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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017323
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】警告システム
(51)【国際特許分類】
   G08B 21/02 20060101AFI20240201BHJP
   G08B 25/04 20060101ALI20240201BHJP
   G01S 5/14 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
G08B21/02
G08B25/04 K
G01S5/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119878
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】太田 義弘
(72)【発明者】
【氏名】ウサレム ハッサン
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼井 勇志
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5J062
【Fターム(参考)】
5C086AA22
5C086AA53
5C086BA30
5C086CA06
5C086DA40
5C086FA01
5C086FA11
5C087AA02
5C087AA03
5C087AA11
5C087AA31
5C087BB20
5C087DD03
5C087DD49
5C087EE18
5C087FF02
5C087FF04
5C087FF16
5C087GG08
5C087GG66
5C087GG70
5C087GG84
5J062BB05
5J062CC15
5J062CC18
5J062HH09
(57)【要約】      (修正有)
【課題】進入禁止領域の変更に容易に対応することが可能な警告システムを提供する。
【解決手段】警告システム10は、進入禁止領域20に隣接する境界帯30に、境界線22に対して平行な直線25上に等間隔で並べて置かれ、電波発信装置100が設けられた複数の移動可能な三角コーン50と、電波発信装置100が発信した電波を受信すると共に受信した電波の受信強度が閾値以下になると振動して作業員に警告を発する靴80に設けられた警告装置200と、を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
進入禁止領域に隣接する境界帯に直線上に等間隔で並べて置かれ、電波発信装置が設けられた複数の移動可能な設置部材と、
人の身に着けられ又は人に携帯され、前記電波発信装置が発信した電波を受信すると共に受信した前記電波の受信強度が閾値以上になると前記人に警告を発する警告装置と、
を備え、
前記閾値は、前記設置部材と前記設置部材との間隔の1/2以上離れた位置での前記受信強度に設定されている、
警告システム。
【請求項2】
前記閾値は、前記設置部材と前記設置部材との間隔以上離れた位置での前記受信強度に設定されている、
請求項1に記載の警告システム。
【請求項3】
進入禁止領域に隣接する境界帯に間隔をあけて置かれ、位置情報と識別情報とを含む電波を送信する電波発信装置が設けられた複数の移動可能な設置部材と、
人の身に着けられ又は人に携帯され、前記電波発信装置が発信した電波を受信し、前記電波の受信強度と前記位置情報と前記識別情報とを用いて、隣り合う前記設置部材の前記電波発信装置間を結ぶ線との距離を求め、前記距離が閾値以下になると前記人に警告を発する警告装置と、
を備えた警告システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警告システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作業車両や作業機械などを用いた作業現場において、作業者が作業車両や作業機械などに接近したこと、また複数人数で作業することが必要な作業現場などで作業者が作業範囲を離脱したことを警告灯、警告音等で知らせることができる警告装置に関する技術が開示されている。この先行技術では、警報システムは、作業者が携帯する警報装置及び作業機械に配置された機械用警報装置から構成される。機械用警報装置は、受信強度測定用の特定コードを発信している。作業者の警報装置は、設定範囲の境界における受信強度を基準値として記憶している。警報装置は、基準値と、受信した特定コードの受信強度とを比較する。そして、基準値よりも受信強度が大きい場合には、設定範囲の内部にいると判断し警報を発する。また、警報と同時に、警報信号を機械用警報装置に送信して、作業員が設定範囲の内部にいることを知らせる。
【0003】
特許文献2には、ビーコンを用いた電波識別リーダー(RFID Reader:Radio Frequency Identification Reader)の位置測定方法及びそのための電波識別システムに関する技術が開示されている。この先行技術では、電波識別システムで移動する電波識別リーダーの位置を測定するために、電波識別システムに固定された位置で自身の基準位置に対する情報と信号強度対距離に対する情報を含むビーコンを送出する複数個のビーコン装置を備えている。そして、移動する電波識別リーダーで少なくとも3個以上のビーコン装置からビーコンを受信してビーコンに含まれた信号強度対距離に対する情報を用いて各ビーコン装置からの相対的な距離を確認した後、三角測量法を用いて位置を計算して位置を容易に測定し、測定した位置の正確性を高める。
【0004】
特許文献3には、インテリジェント電子履物および衣服の自動化された構成を可能にするためのシステム、方法、およびデバイスに関する技術が開示されている。この先行技術では、インテリジェント電子シューズ(IES)は、ユーザの足に取り付くアッパーと、アッパーに取り付けられ、ユーザの足をその上で支持する、ソール構造とを含む。ソール構造物および/またはアッパーに取り付けられる警報システムが、電子コマンド信号に応答して所定の出力を生成する。IESシステムは、遠隔コンピューティングノードと無線通信する無線通信と、無線通信デバイスおよび警報システムと通信する履物コントローラとを含む。履物コントローラは、ユーザの場所及び遠隔コンピューティングノードの場所を示す場所データを受信し、ユーザの場所が所定の場所/ノードの場所に対する所定の近傍内にあるかどうかを決定し、そうであるならば、警報システムにコマンド信号を送信して、ユーザ/車両に通知する。
【0005】
また、例えば、非特許文献1及び非特許文献2のように、赤外線やマイクロ波等を用いて所定の領域に人が侵入すると警告を発する防犯システムが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-346228号公報
【特許文献2】特表2010-531973号公報
【特許文献2】特表2021-525588号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】竹中エンジニアリング株式会社 赤外線センサー、[online]、2022年6月21日検索、インターネット<URL: https://www.takex-eng.co.jp/ja/products/category/38/>
【非特許文献2】竹中エンジニアリング株式会社 マイクロ波センサー、[online]、2022年6月21日検索、インターネット<URL: https://www.takex-eng.co.jp/ja/products/category/52/>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
例えば、工事現場や建築現場等では、作業員の進入を禁止する進入禁止領域がある。このような進入禁止領域への進入を警告する方法として、進入禁止領域に隣接する境界帯に赤外線センサーを設け、作業員が赤外線を横切ると警告音が鳴るシステムが考えられる。
【0009】
工事現場や建築現場等では、例えば施工の進捗状況によって、進入禁止領域が逐次変わっていく。しかし、赤外線センサーは、発光器と受光器との正確な位置合わせ等が必要であり、設置位置の変更が容易でない。
【0010】
特許文献1の技術は、設定範囲の境界線は作業車両や作業機械などを中心とする円形となり、それ以外の境界線を設定することは考慮されていない。
【0011】
特許文献2の技術や特許文献3は、場所を正確に特定するための技術であり、進入禁止領域の変更に容易に対応することは考慮されていない。
【0012】
本発明は、上記事実を鑑み、進入禁止領域の変更に容易に対応することが可能な警告システムを提供することが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第一態様は、進入禁止領域に隣接する境界帯に直線上に等間隔で並べて置かれ、電波発信装置が設けられた複数の移動可能な設置部材と、人の身に着けられ又は人に携帯され、前記電波発信装置が発信した電波を受信すると共に受信した前記電波の受信強度が閾値以上になると前記人に警告を発する警告装置と、を備え、前記閾値は、前記設置部材と前記設置部材との間隔の1/2以上離れた位置での前記受信強度に設定されている、警告システムである。
【0014】
第一態様の警告システムでは、進入禁止領域に隣接する境界帯に設置部材が直線上に等間隔に設置されている。人の身に着けられている又は人に携帯されている警告装置は、設置部材の電波発信装置が発信した電波の受信強度が閾値以上になると人に警告を発する。閾値は、設置部材と設置部材との間隔の1/2以上離れた位置での受信強度に設定されている。したがって、人が進入禁止領域に近づくと設置部材が並べられた直線の手前で確実に警告が発せられる。つまり、人が進入禁止領域に進入する前に確実に警告が発せられる。
【0015】
このように移動可能な設置部材を境界帯に直線上に等間隔で並べるだけで、人が進入禁止領域に進入する前に確実に警が発せられる。したがって、進入禁止領域の変更に容易に対応できる。
【0016】
第二態様は、前記閾値は、前記設置部材と前記設置部材との間隔以上離れた位置での前記受信強度に設定されている、第一態様に記載の警告システムである。
【0017】
第二態様の警告システムでは、閾値は設置部材と設置部材との間隔以上離れた位置での受信強度に設定されているので、人が進入禁止領域に近づくと設置部材が並べられた直線から離れた位置で確実に警告が発生される。
【0018】
第三態様は、進入禁止領域に隣接する境界帯に間隔をあけて置かれ、位置情報と識別情報とを含む電波を送信する電波発信装置が設けられた複数の移動可能な設置部材と、人の身に着けられ又は人に携帯され、前記電波発信装置が発信した電波を受信し、前記電波の受信強度と前記位置情報と前記識別情報とを用いて、隣り合う前記設置部材の前記電波発信装置間を結ぶ線との距離を求め、前記距離が閾値以下になると前記人に警告を発する警告装置と、を備えた警告システムである。
【0019】
第三態様の警告システムでは、進入禁止領域に隣接する境界帯に設置部材が間隔をあけて設置されている。人の身に着けられている又は人に携帯されている警告装置は、設置部材の電波発信装置が発信した電波の受信強度と位置情報と識別情報とを用いて、隣り合う設置部材の電波発信装置間を結ぶ線との距離を求め、距離が閾値以下になると人に警告を発する。したがって、人が進入禁止領域に近づくと設置部材間を結ぶ線で確実に警告が発せられる。つまり、人が進入禁止領域に進入する前に確実に警告が発せられる。
【0020】
このように移動可能な設置部材を境界帯に間隔をあけて並べるだけで、人が進入禁止領域に進入する前に確実に警が発せられる。したがって、進入禁止領域の変更に容易に対応できる。
【0021】
ここで、「進入禁止領域」とは、人の進入を禁止する領域であり、例えば、工事現場や建築現場等において、施工の進捗状況に応じて適宜設定される人が進入を禁止する領域である。より具体的には、打設したコンクリートが硬化する前の領域、地盤がぬかるんでいる領域、水たまりがある領域、穴が掘られている領域、重機が移動する領域及び落下物が落ちる可能性のある領域等である。
【0022】
また、「移動可能な設置部材」とは、例えば三角コーンやポールスタンド等の人が容易に持ち運んで設置することが可能なものである。
【0023】
また、「人の身に着けられ」とは、例えば、靴、服、帽子、ヘルメット及びゴーグル等の人が履いたり、着たり、かぶったり、かけたりするものに、取り付けられたり、内蔵されていたりしていることである。
【0024】
また、「人に携帯され」とは、例えば衣服のポケットに入れたり、首から下げたりして、常時携帯することである。
【0025】
また、「人に警告を発する」とは、振動、音及び光等によって人に気をつけるように告げ知らせることである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、進入禁止領域の変更に容易に対応することが可能な警告システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】第一実施形態の警告システムの概略構成の平面図である。
図2】(A)は警告システムを構成する警告装置の振動部が足裏を刺激することを説明する説明図であり、(B)は警告装置が内蔵された靴の分解斜視図である。
図3】第一実施形態の警告システムを横から見た側面図である。
図4】(A)は第一実施形態の警告システムの警告ラインを説明するための平面図であり、(B)は警告ラインを判り易く図示した平面図である。
図5】第一実施形態の警告システムのブロック図である。
図6】第二実施形態の警告システムを横から見た側面図である。
図7】第二実施形態の警告システムのブロック図である。
図8】第二実施形態の警告システムの概略構成の平面図である。
図9】第二実施形態の警告システムおける警告装置と三角コーンを結ぶ線との距離を求める方法を説明するための説明図である。
図10】三辺の長さが既知の三角形の高さを求める方法を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<第一実施形態>
本発明の第一実施形態の警告システムについて説明する。なお、水平方向の直交する二方向をX方向及びY方向とし、それぞれ矢印X及び矢印Yで示す。X方向及びY方向と直交する鉛直方向をZ方向として、矢印Zで示す。
【0029】
[全体構成]
まず、本実施形態の警告システムの全体構成について説明する。
【0030】
図3に示すように、警告システム10は、設置部材の一例としての複数の三角コーン50と、警告装置200と、を有している。各三角コーン50の内部には、電波発信装置100が設けられている。本実施形態では、電波発信装置100は、三角コーン50の中心軸52に配置されている。また、本実施形態では、警告装置200は、作業員70の靴80のソール部82内に設けられている(図2(B)も参照)。
【0031】
図5に示すように、電波発信装置100は、電波送信部120と、バッテリー110と、を含んで構成されている。電波送信部120は、電波102を全方向に向けて発信する。バッテリー110は、電波送信部120に電気を供給する。なお、各三角コーン50内(図3参照)に設けられた電波発信装置100が発信する電波102の出力は同じである。
【0032】
警告装置200は、電波受信部220と、制御部230と、警告部の一例としての振動部240と、バッテリー210と、を含んで構成されている。電波受信部220は、電波発信装置100の電波送信部120が発信した電波102を受信する。振動部240は、靴80のソール部82(図2(B)及び図3参照)を振動させる。バッテリー210は、電波受信部220、制御部230及び振動部240に電気を供給する。
【0033】
本実施形態の振動部240における振動源は、磁場の強さを細かく調整して振動を発生させるMRFデバイスであるが、これに限定されるものではない。振動源は、例えば、回転に伴って振動を発生させるバイブレータモータであってもよい。なお、「MRF」は、Magneto-Rheological Fluidの略である。
【0034】
制御部230は、電波受信部220が受信した電波102の受信強度を測定すると共に受信強度が記憶されている閾値Sを超えると、振動部240によって靴80のソール部82を振動させ(図2(B)及び図3参照)、作業員70の足72(図2(A)参照)の足裏を刺激する。
【0035】
[三角コーンの設置方法]
次に、三角コーン50の設置方向について説明する。
【0036】
図1に示す本実施形態の進入禁止領域20は、建築現場に設けられているが、これに限定されるものではない。
【0037】
進入禁止領域20には、隣接して境界帯30が設定されている。境界帯30は、進入禁止領域20の境界線22から所定の幅H(図4参照)の帯状の領域である。なお、境界帯30の幅方向と直交する長手方向を帯方向とする。そして、この境界帯30に建築現場の作業員70(図3参照)が進入すると警告を発して、作業員70の進入禁止領域20への進入を防止するように三角コーン50を設置する。
【0038】
具体的には、三角コーン50は、境界線22に対して平行な直線25上に間隔Kで等間隔に並べる。本実施形態では、境界帯30の幅方向の中間位置の近傍に三角コーン50を並べる。なお、間隔Kは、三角コーン50の中心軸52(図3参照)間の間隔である。
【0039】
境界帯30の外側の境界線22と、三角コーン50が並べられる直線25(隣合う三角コーン50同士を結ぶ線)と、の間を距離Lとする。そして、三角コーン50を並べる間隔Kと距離Lとの関係が、次式になるように並べる。
【0040】
距離L=(√3/2)×間隔K
なお、上式は正三角形の底辺と頂点との距離の式から導出される。
【0041】
ここで、三角コーン50に内蔵された電波発信装置100から発信される電波102(図5参照)の電波強度は、三角コーン50(電波発信装置100)から離れるに従って小さくなる。
【0042】
そして、図4(A)に示すように、各三角コーン50(電波発信装置100)から前述の間隔Kと同じ距離における電波強度と同等以上となる範囲は円領域34となる。隣接する三角コーン50の円領域34が交差する中間位置35は、境界帯30の境界線32上に位置する。中間位置35と中間位置35との間は境界線32の外側に円弧状となる。よって、境界帯30の境界線32の外側に境界線32に沿って電波強度以下の警告ライン36が形成される。なお、図4(B)は警告ライン36を判り易く図示したものである。
【0043】
ここで、上述したように、三角コーン50は、直線25上に間隔Kで等間隔に並べる必要がある。
【0044】
しかし、三角コーン50を厳密に直線25上に並べる必要はない。目視で凡そ三角コーン50が直線25上に並んでいるように見えればよく、例えば、三角コーン50が10cm程度直線25から外れてもいても問題はない。
【0045】
同様に、三角コーン50を厳密に間隔Kで等間隔に並べる必要はない。目視で凡そ三角コーン50が間隔Kで等間隔に並んでいるように見えればよい。なお、三角コーン50を間隔Kで並べる方法はどのような方法であってもよい。例えば、間隔Kの長さの紐又は棒で三角コーン50同士が間隔Kとなるように並べればよい。
【0046】
[警告装置の閾値の設定方法]
次に警告装置200の閾値Sの設定方法について説明する。
【0047】
図5に示す警告装置200の制御部230に記憶されている電波強度の閾値Sは、図4(A)に示す三角コーン50が並べられた間隔K離れた位置における電波強度に設定する。よって、図3に示すように、警告装置200が内蔵された靴80を履いた作業員70が警告ライン36(図4(A)及び図4(B)参照)を横切って境界帯30に入ると振動部240が振動し、作業員70に警告する(図2(A)も参照)。
【0048】
なお、警告装置200の制御部230に閾値Sを入力して設定する方法は、どのようなものであってもよい。例えば、スマートフォン等の携帯端末又はパソコン等と無線又は有線で接続して閾値Sを入力して設定すればよい。
【0049】
[作用]
次に本実施形態の作用について説明する。
【0050】
本実施形態の警告システム10では、進入禁止領域20に隣接する境界帯30に、電波発信装置100が内蔵された三角コーン50が直線25上に間隔Kで設置されている。靴80のソール部82に内蔵された警告装置200は、電波発信装置100が発信した電波102の受信強度が閾値S以上になると、振動部240が振動して作業員70の足72の裏に刺激を与えて警告を発する。閾値Sは、三角コーン50と三角コーン50との間隔K離れた位置での受信強度に設定されている。
【0051】
したがって、作業員70が進入禁止領域20に近づき、三角コーン50が並べられた境界帯30の境界線32の手前の警告ライン36を超えると、警告が発せられる。つまり、人が進入禁止領域20に進入する前に確実に警告が発せられる。
【0052】
このように容易に移動可能な三角コーン50を作業員70が手で持って運んで境界帯30に直線25上に間隔Kで並べるだけで、作業員70が進入禁止領域20に進入する前に確実に警告が発せられる。したがって、工事の進捗状況に応じて進入禁止領域20が変更しても容易に対応することができる。
【0053】
ここで、前述したように、閾値Sは、三角コーン50を並べる間隔Kの距離での電波強度に設定されている。しかし、閾値Sは間隔Kよりも長い距離での電波強度に設定されていてもよい。または、閾値Sは間隔Kよりも短い距離での電波強度に設定されていてもよい。ただし、閾値Sは、間隔Kの1/2以上離れた位置での受信強度に設定する必要がある。これは閾値Sが間隔Kの1/2未満であると、三角コーン50と三角コーン50との間に警告されない領域が発生するからである。
【0054】
<第二実施形態>
本発明の第二実施形態の警告システムについて説明する。なお、第一実施形態と同一の部材には同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化する。
【0055】
[全体構成]
まず、本実施形態の警告システムの全体構成について説明する。
【0056】
図6に示すように、警告システム12は、設置部材の一例としての複数の三角コーン51と、警告装置400と、を有している。各三角コーン51の内部には、電波発信装置300が設けられている。本実施形態では、電波発信装置300は、三角コーン51の中心軸53に配置されている。また、本実施形態では、警告装置400は、作業員70の靴81のソール部82内(図2(B)も参照)に設けられている。
【0057】
図7に示すように、電波発信装置300は、電波送信部320と、バッテリー310と、を含んで構成されている。電波送信部320は、当該三角コーン51の識別情報と位置情報とを含む電波302を全方向に向けて発信する。バッテリー310は、電波送信部320に電気を供給する。なお、各三角コーン51内(図6参照)に設けられた電波送信部320が発信する電波302の出力は同じである。
【0058】
警告装置400は、電波受信部420と、制御部430と、警告部の一例としての振動部240と、バッテリー410と、を含んで構成されている。電波受信部420は、電波発信装置300の電波送信部320が発信した電波302を受信する。振動部240は、靴80のソール部82(図6参照)を振動させる。なお、本実施形態の振動部240は、第一実施形態の振動部240と同じものであるが、これに限定されるものではない。バッテリー410は、電波受信部420、制御部430及び振動部240に電気を供給する。
【0059】
制御部430は、電波受信部420が受信した電波302の受信強度を測定すると共に識別情報と位置情報を確認する。更に、制御部430は、電波強度と識別情報と位置情報とを用いて、隣り合う三角コーン51を結ぶ線27との距離D(図8参照)を求める。そして、制御部430は、距離Dが記憶されている閾値M(図8参照)以下になると、振動部240によって靴80のソール部82を振動させ(図7参照)、作業員70の足72(図2(A)参照)の足裏を刺激する。
【0060】
なお、電波強度と識別情報と位置情報とを用いて、隣り合う三角コーン51を結ぶ線27と警告装置400との距離Dを求める方法は、後述する。
【0061】
[三角コーンの設置方法]
次に、三角コーン51の設置方向について説明する。
【0062】
図8に示す本実施形態の進入禁止領域20の外側には、隣接して境界帯30が設定されている。境界帯30は、進入禁止領域20の境界線22から所定の幅H(図8参照)の帯状の領域である。そして、この境界帯30に建築現場の作業員70(図7参照)が進入すると警告を発して、作業員70の進入禁止領域20への進入を防止するように三角コーン51を設置する。
【0063】
具体的には、三角コーン51は、境界線22に対して平行な直線25上に並べる。そして、作業者は、並べた三角コーン51の位置情報を電波送信部320(図7参照)に入力する。電波送信部320への位置情報の入力は、どのような方法で行ってもよい。例えば、作業者が三角コーン51の傍でGPS装置を手に持った状態で、GPS装置と電波送信部320とを有線又は無線で繋ぎ、GPS装置が測定した位置情報を入力する。また、電波送信部320(図7参照)は、それぞれ個別の識別情報が予め入力されている。
【0064】
[三角コーンを結ぶ線と警報装置との距離の求め方]
次に、警告装置400の制御部430が、電波強度と識別情報と位置情報とを用いて、隣り合う三角コーン51を結ぶ線27と警告装置400との距離Dを求める方法の一例について説明する。
【0065】
図8に示す警告装置400の制御部430(図7参照)は、電波受信部420(図7参照)が受信した電波302の受信強度を測定すると共に識別情報と位置情報を確認する。このとき、3以上の電波302(識別情報)を受信した場合は、電波強度の大きい上位二つを採用する。
【0066】
次に制御部430は、電波強度から隣り合う二つの三角コーン51(電波発信装置300)からの距離A、Bを求める。
【0067】
図9に示すように、警告装置400(図8参照)は、隣り合う一方の三角コーン51を中心とする半径A(距離A)の円A1と、他方の三角コーン51を中心とする半径B(距離B)の円B1と、が交わる点P1と点P2のどちらかに位置していることがわかる。そして、制御部430は、これら点P1又は点P2との隣り合う三角コーン51を結ぶ線27との距離D(図7も参照)を求める。なお、点P1と線27との距離と、点P2と線27との距離と、は等しいので、制御部430は、警告装置400が点P1及び点P2のどちらに位置しているかを確定する必要はない。
【0068】
制御部430(図7参照)は、隣り合う三角コーン51(電波発信装置300)の位置情報から隣り合う三角コーン51の距離Cを求める。
【0069】
制御部430は、警告装置400と二つの三角コーン51(電波発信装置300)で形成される三角形E(図10参照)の三辺の長さA、B、Cから、隣り合う三角コーン51(電波発信装置300)を結ぶ線27を底辺とする高さ、つまり隣り合う三角コーン51を結ぶ線27と警告装置400との距離Dを求める。
【0070】
なお、三辺の長さが判っている三角形の底辺からの高さを求めることは容易に可能である。例えば、図10に示すように、ヘロンの公式で三角形Eの面積を求め、求めた面積を二倍して平行四辺形Fにし、底辺Cで割ると距離Dが求められる。
【0071】
[警告装置の閾値の設定方法]
次に警告装置200の閾値Mの設定方法について説明する。
【0072】
図7に示す警告装置400の制御部430に記憶されている距離Dの閾値Mは、図8に示す三角コーン51を結ぶ線27との境界帯30の境界線32との距離である。よって、図6に示すように、警告装置400が内蔵された靴81を履いた作業員70が境界線32を横切って境界帯30(図8参照)に入ると振動部240が振動し、作業員70に警告する。
【0073】
なお、警告装置200の制御部430に閾値Mを入力して設定する方法は、どのようなものであってもよい。例えば、スマートフォン等の携帯端末又はパソコン等と無線又は有線で接続して閾値Mを入力して設定すればよい。
【0074】
[作用]
次に本実施形態の作用について説明する。
【0075】
本実施形態の警告システム12では、進入禁止領域20に隣接する境界帯30に、電波発信装置300が内蔵された三角コーン51が直線25上に設置されている。靴81のソール部82に内蔵された警告装置400は、電波発信装置300が発信した電波302の受信強度を測定すると共に受信強度と位置情報と識別情報とを用いて、隣り合う三角コーン51間を結ぶ線27と警告装置400との距離Dを求め、距離Dが閾値L以下になると、振動部240が振動して作業員70の足72の裏に刺激を与えて警告を発する。
【0076】
したがって、作業員70が進入禁止領域20に近づき、三角コーン51が並べられた境界帯30の境界線32を超えると、警告が発せられる。つまり、人が進入禁止領域20に進入する前に確実に警告が発せられる。
【0077】
このように容易に移動可能な三角コーン51を作業員70が手で持って運んで境界帯30に直線25に並べて位置情報を入力するだけで、作業員70が進入禁止領域20に進入する前に確実に警告が発せられる。したがって、工事の進捗状況に応じて進入禁止領域20が変更しても容易に対応することができる。
【0078】
<その他>
尚、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0079】
例えば、上記実施形態の進入禁止領域20は、建築現場に設けられていたが、これに限定されるものではない。進入禁止領域20は、例えば道路工事等の工事現場に設けられていてもよい
【0080】
また、例えば、上記実施形態では、移動可能な設置部材は、三角コーン50、51であったが、これに限定されるものではない。移動可能な設置部材は、ポールスタンド等の人が容易に持ち運んで設置することが可能なものであればよい。
【0081】
また、例えば、上記実施形態では、警告装置200、400は、靴80、81のソール部82に設けられていたが、これに限定されない。警告装置200、400は、靴以外、例えば、服に面ファスナー等で取り付けてもよいし、ベスト、帽子、ヘルメット及びゴーグル等に内蔵されていてもよい。更に、警告装置200、400は、衣服のポケットに入れたり、首から下げたりして、携帯されてもよい。
【0082】
また、例えば、上記実施形態では、警告装置200、400は、振動によって警告したが、これに限定されるものではない。警告装置200、400は、音や光等によって警告してもよい。
【0083】
更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。複数の実施形態及び変形例等は、適宜、組み合わされて実施可能である。
【符号の説明】
【0084】
10 警告システム
12 警告システム
20 進入禁止領域
30 境界帯
50 三角コーン(設置部材の一例)
51 三角コーン(設置部材の一例)
100 電波発信装置
200 警告装置
300 電波発信装置
400 警告装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10