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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173230
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】キャスタ切り替え台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20241205BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B62B3/02 H
B62B5/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091517
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 湧星
(72)【発明者】
【氏名】園 淳弘
(72)【発明者】
【氏名】岡田 真紀
【テーマコード(参考)】
3D050
【Fターム(参考)】
3D050AA01
3D050BB02
3D050DD03
3D050EE08
3D050EE15
3D050EE18
3D050FF03
(57)【要約】
【課題】キャスタの切り替えに伴い荷台が上下に動かないキャスタ切り替え台車を提供する。
【解決手段】キャスタ切り替え台車100は、荷台111と、昇降機構部120と、固定機構部130とを備える。昇降機構部120は第1キャスタ121および第2キャスタ122を含む。床面300に対して垂直な方向を第1方向Xとする。昇降機構部120は第1キャスタ121および第2キャスタ122を第1方向Xに昇降させることができる。固定機構部130は、床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置を決定する。固定機構部130によって床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置を決定した状態で、昇降機構部120によって第1キャスタ121および第2キャスタ122が昇降される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷台と、
第1キャスタおよび第2キャスタを含む昇降機構部と、
固定機構部とを備え、
床面に対して垂直な方向を第1方向とすると、
前記昇降機構部は前記第1キャスタおよび前記第2キャスタを前記第1方向に昇降させることができ、
前記固定機構部は、前記床面に対する前記荷台の前記第1方向における相対的な位置を決定し、
前記固定機構部によって前記床面に対する前記荷台の前記第1方向における相対的な位置を決定した状態で、前記昇降機構部によって前記第1キャスタおよび前記第2キャスタが昇降される、キャスタ切り替え台車。
【請求項2】
前記荷台が前進する方向を第2方向とすると、
前記昇降機構部は前記第2方向における前記荷台の動きを、前記第1方向における前記第1キャスタおよび前記第2キャスタの動きに変換し得る、請求項1に記載のキャスタ切り替え台車。
【請求項3】
前記固定機構部は、キャスタ切り替えピニオンを有し、
前記キャスタ切り替えピニオンがキャスタ切り替えラックに接続されることで、前記床面に対して前記荷台の前記第1方向における相対的な位置が決定される、請求項2に記載のキャスタ切り替え台車。
【請求項4】
前記第1方向および前記第2方向に対して垂直な方向を第3方向とすると、
前記第1方向から見た平面視において、前記キャスタ切り替えピニオンは、前記第3方向において前記荷台から離れた位置に配置されている、請求項3に記載のキャスタ切り替え台車。
【請求項5】
前記昇降機構部は、回転部を含み、
前記第1キャスタおよび第2キャスタは、前記回転部に接続されており、
前記回転部が自転することで、前記第1キャスタおよび第2キャスタが昇降する、請求項1に記載のキャスタ切り替え台車。
【請求項6】
前記固定機構部は、フットペダルを有する、請求項5に記載のキャスタ切り替え台車。
【請求項7】
前記第1方向における前記第1キャスタおよび前記第2キャスタの動きを制限するロック機構部を更に備える、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のキャスタ切り替え台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、キャスタ切り替え台車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャスタに付着した塵埃の飛散を抑制するため、キャスタを切り替えるキャスタ切り替え台車が知られている(例えば、特開2004-26026号公報参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-26026号公報参照
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のようなキャスタ切り替え台車は、キャスタと荷台との相対位置が固定されており、キャスタの切り替えに伴い、キャスタに連動して荷台が上下する。そのため、荷台に搭載物が搭載されている場合、荷崩れが発生するおそれがある。
【0005】
本開示は、上記のような課題を解決するために成されたものであり、本開示の目的は、キャスタの切り替えに伴い荷台が上下に動かないキャスタ切り替え台車を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に従ったキャスタ切り替え台車は、荷台と、昇降機構部と、固定機構部とを備える。昇降機構部は第1キャスタおよび第2キャスタを含む。床面に対して垂直な方向を第1方向とする。昇降機構部は第1キャスタおよび第2キャスタを第1方向に昇降させることができる。固定機構部は、床面に対する荷台の第1方向における相対的な位置を決定する。固定機構部によって床面に対する荷台の第1方向における相対的な位置を決定した状態で、昇降機構部によって第1キャスタおよび第2キャスタが昇降される。
【発明の効果】
【0007】
上記によれば、キャスタの切り替えに伴い荷台が上下に動かないキャスタ切り替え台車が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の側面図である。
図2】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の側面図である。
図3】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の側面図である。
図4】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の内部構造を示す平面図である。
図5】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図6】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図7】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図8】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図9】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図10】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の昇降機構部の作動部分を示す平面図である。
図11】実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車の第3内部ピニオンの側面模式図である。
図12】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面図である。
図13】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の固定機構部の側面視である。
図14】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の固定機構部の側面視である。
図15】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車のロック機構部の側面視である。
図16】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車のロック機構部の側面視である。
図17】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図18】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図19】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図20】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図21】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図22】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
図23】実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車の側面視である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示の実施の形態を説明する。なお、特に言及しない限り、以下の図面において同一または対応する部分には同一の参照番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0010】
実施の形態1.
<キャスタ切り替え台車の構成>
図1から図3は、実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車100の側面図である。図4は、実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車100の昇降機構部120の内部構造を示す平面図である。
【0011】
図1から図4に示されたキャスタ切り替え台車100は、たとえば、任意のエリアでキャスタを切り替えることができるキャスタ切り替え台車100であって、荷台111と、昇降機構部120と、固定機構部130と、背面部113と、ロック機構部140とを主に備える。荷台111は、搭載物を搭載し得る。
【0012】
荷台111は、搭載面111aを有する。搭載物は、搭載面111aに搭載され得る。搭載面111aは、床面300に対して平行である。床面300に対して垂直な方向を第1方向Xとする。つまり、第1方向Xは搭載面111aに対して垂直な方向である。第1方向Xから見た平面視において、搭載面111aの形状は、任意の形状であってよく、たとえば、長方形状であってもよい。
【0013】
搭載面111aの縁側には背面部113が配置されている。背面部113は、ハンドル部113aを有する。背面部113において、ハンドル部113aは、第1方向Xに搭載面111aから最も離れた位置に配置されている。ハンドル部113aは、第1方向Xにおいて、使用者が手で把持できる位置に配置されていることが好ましい。当該キャスタ切り替え台車100の使用者は、たとえば、ハンドル部113aを把持して当該キャスタ切り替え台車100を押す。荷台111が前進する方向を第2方向Yとする。使用者がハンドル部113aに第2方向Yに向かって力を加えることで、第2方向Yに荷台111は前進する。
【0014】
荷台111は、筐体112を有する。荷台111の搭載面111aの反対側の面に筐体112が配置されている。筐体112は、昇降機構部120の一部を囲む。なお、図1から図3において、筐体112に囲まれている昇降機構部120の一部は点線で示されている。
【0015】
昇降機構部120は、第1キャスタ121および第2キャスタ122を含む。第1キャスタ121および第2キャスタ122は、床面300を転動し得る。第1キャスタ121および第2キャスタ122の転動する方向は、たとえば、第2方向Yである。第1キャスタ121および第2キャスタ122のいずれか一方のキャスタが床面300に接地している時、他方のキャスタは床面300から離れている。つまり、第1キャスタ121あるいは第2キャスタ122のいずれかが床面300を転動することで、キャスタ切り替え台車100は床面300上を動く。
【0016】
昇降機構部120は第1キャスタ121および第2キャスタ122を第1方向Xに昇降させることができる。具体的には、図1に示されるように、第1キャスタ121は、第1前輪キャスタ121aと第1後輪キャスタ121bとを含む。第2キャスタ122は、第2前輪キャスタ122aと第2後輪キャスタ122bとを含む。
【0017】
後述するように、第1キャスタ121および第2キャスタ122は第3内部ピニオン127を介して連結している。そのため、第1キャスタ121の動きに連動して第2キャスタ122が動く。具体的には、第1方向Xにおいて第1キャスタ121の動く方向と反対の方向に第2キャスタ122が動く。このようにして、任意のエリアにて、床面300を転動するキャスタを切り替えることができる。
【0018】
キャスタ切り替え台車100が建屋外あるいは防塵エリア外で使用された場合、キャスタに塵埃が付着する。この場合、キャスタ切り替え台車100を建屋内および防塵エリア内で使用するとキャスタに付着した塵埃が飛散する恐れがある。床面300を転動するキャスタを第1キャスタ121から第2キャスタ122に切り替えることで、たとえば第1キャスタ121に付着した塵埃の飛散を抑制することができる。
【0019】
ここで、本実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車100の特徴は、床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置を決定した状態で、第1キャスタ121および第2キャスタ122が昇降される点である。具体的には、固定機構部130は、キャスタ切り替えピニオン123を有する。床面300に対して荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置は、キャスタ切り替えピニオン123によって決定される。第1キャスタ121及び第2キャスタ122を切り替える際、キャスタ切り替えピニオン123は、キャスタ切り替えラック400の上面に搭載される。
【0020】
キャスタ切り替えラック400は、たとえば、キャスタ切り替え可能なエリアに配置されている。キャスタ切り替え台車100は、たとえば、防塵エリア内を移動する前に、キャスタ切り替え可能なエリアでキャスタを切り替える。キャスタ切り替え台車100は、キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400の上面を通過するように移動する。その結果、昇降機構部120によって、キャスタが切り替わる。
【0021】
図2および図3に示されるように、キャスタ切り替えラック400の上面には、複数の凸部401が形成されている。複数の凸部401は、キャスタ切り替えピニオン123に噛み合うように第2方向Yに等間隔で形成されている。
【0022】
キャスタ切り替えピニオン123は、第1方向Xにおいてキャスタ切り替えラック400の凸部401と噛み合う位置に配置されている。このようにすることで、キャスタ切り替え台車100のキャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過する際に、キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400の上面に搭載される。その結果、床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定された状態で、キャスタが切り替わる。このようにすれば、キャスタの切り替えに伴い荷台111が上下に動かない。また、キャスタ切り替えピニオン123およびキャスタ切り替えラック400を使用することで、当該キャスタ切り替え台車100は走行しながらキャスタを切り替わる。そのため、キャスタの切り替えにかかる時間を低減することができる。
【0023】
第1キャスタ121から第2キャスタ122に切り替わる動作について説明する。図2はキャスタ切り替え台車100がキャスタ切り替えラック400を通過する前における、キャスタ切り替え台車100の側面図である。図3はキャスタ切り替え台車100がキャスタ切り替えラック400を通過した後における、キャスタ切り替え台車100の側面図である。
【0024】
図2に示されるように、第1キャスタ121が床面300を転動するように当該第1キャスタ121は床面300に接している。第2キャスタ122は、筐体112の内部に収納されている。キャスタ切り替え台車100の前方に、床面300上にキャスタ切り替えラック400が配置されている。キャスタ切り替え台車100が前進することで、キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過する。キャスタ切り替えピニオン123は、第1方向Xにおいてキャスタ切り替えラック400の凸部401と噛み合う位置に配置されている。そのため、キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400に接続されるように、当該キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400の上面に搭載される。
【0025】
キャスタ切り替えラック400の上面は傾斜部を有してもよい(図示せず)。傾斜部は第2方向Yにおいて上面の縁側に配置される。キャスタ切り替えラック400の側面視において上面の形状が凸状となるように、傾斜部は床面300に対して傾斜している。異なる観点から言うと、上面において、上面の両端が第1方向Xにおいて最も床面300に近くなるように傾斜部は床面300に対して傾斜している。このようにすれば、キャスタ切り替えピニオン123は、キャスタ切り替えラック400に搭載しやすくなる。
【0026】
キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過する時、キャスタ切り替え台車100は、キャスタ切り替え台車100が前進する方向と反対の方向に負荷がかかる。当該負荷を軽減するために、コロコンを使用してもよい(図示せず)。キャスタ切り替え台車100は、コロコン上を滑りながら前進することで、負荷が低減される。具体的には、コロコンは筐体112の底面に接触するように床面300に配置されている。側面視において、コロコンは、第2方向Yにおいてキャスタ切り替えラック400に重なる位置に配置されていることが好ましい。
【0027】
キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過する時、キャスタ切り替えラック400およびコロコンによって床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定されている。床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定された状態で、第1方向Xにおいて第1前輪キャスタ121aおよび第1後輪キャスタ121bは床面300から離れるように上昇する。一方、第1方向Xにおいて第2前輪キャスタ122aおよび第2後輪キャスタ122bは床面300に向かって降下する。
【0028】
キャスタが切り替わった後、図1に示されるロック機構部140によって、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の位置を固定する。ロック機構部140は、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の動きを制限する。具体的には、ロック機構部140は、第1後輪キャスタ121bおよび内部ラック128b1を接続するシャフトの動きを制限する。ハンドル部113aを操作することで、ロック機構部140を第2方向Yに移動させることができる。具体的には、ハンドル部113aにはレバー(図示せず)が接続されている。レバーは、ロック機構部140に接続されているワイヤー(図示せず)と接続されている。レバーを引くことで、ロック機構部140は第2方向Yに動く。ロック機構部140が、第1方向Xにおいてシャフトの上側にあるとき、第2後輪キャスタ122bが下降せず(第1後輪キャスタ121bが上昇せず)、第1後輪キャスタ121bが床面300に設置している状態が維持される。一方、ロック機構部140が、第1方向Xにおいてシャフトの下側にあるとき、第1後輪キャスタ121bは下降せず(第2後輪キャスタ122bが上昇せず)、第2後輪キャスタ122bが床面300に設置している状態が維持される。このように、ロック機構部140によって第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の位置を固定でき、当該第1キャスタ121および第2キャスタ122の位置が変動する事に起因する振動が低減する。その結果、当該振動に起因して発生する荷台111の揺れが抑制される。
【0029】
キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過した後、図3に示されるように、第2キャスタ122が床面300を転動するように当該第2キャスタ122は床面300に接する。第1キャスタ121は、筐体112の内部に収納される。このようにして、固定機構部130およびキャスタ切り替えラック400によってキャスタは切り替わる。
【0030】
次に、昇降機構部120の内部構造について説明する。
図4に示されるように、昇降機構部120は、2つのキャスタ切り替えピニオン123と、2つの第1内部ピニオン124と、4つの第2内部ピニオン126a,126bと、2つの第3内部ピニオン127a,127bと、4つの内部ラック128a1,128a2,128b1,128b2と、2つの第1キャスタ121と、2つの第2キャスタ122とを含む。2つのキャスタ切り替えピニオン123、2つの第1内部ピニオン124、4つの第2内部ピニオン126a,126b、および2つの第3内部ピニオン127a,127bの各々の回転軸は、第3方向Zに沿った方向に延びている。第3方向Zは、第1方向Xおよび第2方向Yに対して垂直な方向である。
【0031】
図4に示されるように、昇降機構部120は、平面視において第1中心線C1を線対称の軸とした構成を有する。具体的には、キャスタ切り替えピニオン123、第1内部ピニオン124、第2内部ピニオン126a、第2内部ピニオン126b、第1前輪キャスタ121a、第1後輪キャスタ121b、第2前輪キャスタ122a、第2後輪キャスタ122bの各々は一対となって構成されている。第1中心線C1を線対称の軸として、一対のキャスタ切り替えピニオン123、一対の第1内部ピニオン124、一対の第2内部ピニオン126a、一対の第2内部ピニオン126b、一対の第1前輪キャスタ121a、一対の第1後輪キャスタ121b、一対の第2前輪キャスタ122a、一対の第2後輪キャスタ122bの各々は、第1中心線C1を挟むように配置されている。平面視において、2つの第3内部ピニオン127a,127b、および4つの内部ラック128a1,128a2,128b1,128b2は、第1中心線上に配置されている。
【0032】
図4に示されるように、昇降機構部120は、平面視において第2中心線C2を線対称の軸として構成されている。具体的には、第2中心線C2を線対称として、第2内部ピニオン126aおよび第2内部ピニオン126b、第3内部ピニオン127aおよび第3内部ピニオン127b、内部ラック128a1および内部ラック128b1、内部ラック128a2および内部ラック128b2、第1前輪キャスタ121aおよび第1後輪キャスタ121b、第2前輪キャスタ122aおよび第2後輪キャスタ122bの各々は、第2中心線C2を挟むように配置されている。平面視において、2つのキャスタ切り替えピニオン123、および2つの第1内部ピニオン124は、第2中心線C2上に配置されている。
【0033】
図4に示されるように、2つのキャスタ切り替えピニオン123は筐体112の外部に配置されている。具体的には、平面視において、キャスタ切り替えピニオン123は、第3方向Zにおいて荷台111から離れた位置に配置されている。一方、2つの第1内部ピニオン124、4つの第2内部ピニオン126a,126b、2つの第3内部ピニオン127a,127b、4つの内部ラック128a1,128a2,128b1,128b2、2つの第1キャスタ121、および2つの第2キャスタ122は筐体112の内部に配置されている。
【0034】
キャスタ切り替えピニオン123は、当該キャスタ切り替えピニオン123の回転力を伝達するように第1内部ピニオン124に接続されている。第1内部ピニオン124は、第3方向Zにおいて、キャスタ切り替えピニオン123と第1中心線C1との間に配置されている。
【0035】
第1内部ピニオン124は、当該第1内部ピニオン124の回転力を伝達するように前側コンベア125aを介して第2内部ピニオン126aに接続されている。第2内部ピニオン126aは、第2方向Yにおいてキャスタ切り替え台車100が前進する側に配置されている。また、第1内部ピニオン124は、当該第1内部ピニオン124の回転力を伝達するように後側コンベア125bを介して第2内部ピニオン126bに接続されている。第2内部ピニオン126bは、第2方向Yにおいてキャスタ切り替え台車100が前進する側の反対側に配置されている。
【0036】
第2内部ピニオン126aは、当該第2内部ピニオン126aの回転力を伝達するように第3内部ピニオン127aに接続されている。第2内部ピニオン126bは、当該第2内部ピニオン126bの回転力を伝達するように第3内部ピニオン127bに接続されている。
【0037】
図11は、実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車100の第3内部ピニオン127aの側面模式図である。図4および図11に示されるように、第3内部ピニオン127aは、第2方向Yにおいて内部ラック128a1および内部ラック128a2に挟まれるように配置されている。内部ラック128a1および内部ラック128a2には、複数の凸部128cが形成されている。複数の凸部128cは、第3内部ピニオン127aに噛み合うように第1方向Xに等間隔で形成されている。このようにして、内部ラック128a1は、第3内部ピニオン127aの回転方向の動きを第1前輪キャスタ121aの第1方向Xの動きに変換する。内部ラック128a2は、第3内部ピニオン127aの回転方向の動きを第2前輪キャスタ122aの第1方向Xの動きに変換する。第3内部ピニオン127bおよび内部ラック128b1,128b2も同様の構成となっている。そのため、内部ラック128b1は、第3内部ピニオン127bの回転方向の動きを第1後輪キャスタ121bの第1方向Xの動きに変換する。内部ラック128b2は、第3内部ピニオン127bの回転方向の動きを第2後輪キャスタ122bの第1方向Xの動きに変換する。
【0038】
内部ラック128a1は、第1前輪キャスタ121aに接続されている。内部ラック128a1の第1方向Xの動きに連動して、第1前輪キャスタ121aは第1方向Xに動く。内部ラック128a2は、第2前輪キャスタ122aに接続されている。内部ラック128a2の第1方向Xの動きに連動して、第2前輪キャスタ122aは第1方向Xに動く。内部ラック128b1は、第1後輪キャスタ121bに接続されている。内部ラック128b1の第1方向Xの動きに連動して、第1後輪キャスタ121bは第1方向Xに動く。内部ラック128b2は、第2後輪キャスタ122bに接続されている。内部ラック128b2の第1方向Xの動きに連動して、第2後輪キャスタ122bは第1方向Xに動く。
【0039】
第3内部ピニオン127aからみて、内部ラック128a1は、第2方向Yにおいて内部ラック128a2の反対側に配置されている。そのため、第1方向Xにおける内部ラック128a1の動く方向は、内部ラック128a2の動く方向の反対の方向である。つまり、第1方向Xにおける第1前輪キャスタ121aの動く方向は、第2前輪キャスタ122aの動く方向の反対の方向である。このようにして、第1前輪キャスタ121aおよび第2前輪キャスタ122aは連動して第1方向Xに互いに反対方向に動く。また、第1方向Xにおける第1後輪キャスタ121bの動く方向は、第2後輪キャスタ122bの動く方向の反対の方向である。このようにして、第1後輪キャスタ121bおよび第2後輪キャスタ122bは連動して第1方向Xに互いに反対方向に動く。
【0040】
次に、キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400を通過した際の、昇降機構部120の動作について説明する。なお、キャスタ切り替えラック400がキャスタ切り替え台車100の前進する方向の右側に配置されている場合を仮定する。
【0041】
図5から図10は、実施の形態1に係るキャスタ切り替え台車100の昇降機構部120の作動部分を示す平面図である。図5から図10において、作動箇所は太線で示されている。
【0042】
図5に示されるように、キャスタ切り替え台車100がキャスタ切り替えラック400を通過している際、右側に配置されているキャスタ切り替えピニオン123が回転する。キャスタ切り替えピニオン123の回転する動きに連動して、第1内部ピニオン124が回転する。
【0043】
図6に示されるように、第1内部ピニオン124の回転する動きに連動して、前側コンベア125aおよび後側コンベア125bが動く。
【0044】
図7に示されるように、前側コンベア125aの動きに連動して、第2内部ピニオン126aが回転する。同様に、後側コンベア125bの動きに連動して、第2内部ピニオン126bが回転する。第2内部ピニオン126aの回転する方向は、第2内部ピニオン126bが回転する方向と反対の方向である。
【0045】
図8に示されるように、第2内部ピニオン126aの回転する動きに連動して、第3内部ピニオン127aが回転する。同様に、第2内部ピニオン126bの回転する動きに連動して、第3内部ピニオン127bが回転する。第3内部ピニオン127aの回転方向は、第3内部ピニオン127bが回転する方向と反対の方向である。
【0046】
図9に示されるように、第3内部ピニオン127aの回転する動きに連動して、内部ラック128a1および内部ラック128a2は第1方向Xに昇降する。同様に、第3内部ピニオン127bの回転する動きに連動して、内部ラック128b1および内部ラック128b2が昇降する。第1方向Xにおいて、内部ラック128a1および内部ラック128b1の動く方向は、内部ラック128a2および内部ラック128b2の動く方向と反対の方向である。
【0047】
図10に示されるように、第1方向Xにおいて内部ラック128a1の昇降する動きに連動して第1前輪キャスタ121aも第1方向Xに昇降する。第1方向Xにおいて内部ラック128a2の昇降する動きに連動して第2前輪キャスタ122aも第1方向Xに昇降する。同様に、第1方向Xにおいて内部ラック128b1の昇降する動きに連動して第1後輪キャスタ121bも第1方向Xに昇降する。第1方向Xにおいて内部ラック128b2の昇降する動きに連動して第2後輪キャスタ122bも第1方向Xに昇降する。第1方向Xにおいて、第1前輪キャスタ121aおよび第1後輪キャスタ121bの動く方向は、第2前輪キャスタ122aおよび第2後輪キャスタ122bの動く方向と反対の方向である。
【0048】
このようにして、昇降機構部120は第2方向Yにおける荷台111の動きを、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の動きに変換し得る。
【0049】
<作用効果>
本開示に従ったキャスタ切り替え台車100は、荷台111と、昇降機構部120と、固定機構部130とを備える。昇降機構部120は第1キャスタ121および第2キャスタ122を含む。床面300に対して垂直な方向を第1方向Xとする。昇降機構部120は第1キャスタ121および第2キャスタ122を第1方向Xに昇降させることができる。固定機構部130は、床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置を決定する。固定機構部130によって床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置を決定した状態で、昇降機構部120によって第1キャスタ121および第2キャスタ122が昇降される。
【0050】
このようにすれば、固定機構部130によって床面300に対する荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定された状態で、キャスタが切り替わる。その結果、キャスタの切り替えに伴い荷台111が上下に動かない。荷台111に搭載物が搭載されている場合、荷崩れが発生するおそれがある。
【0051】
上記キャスタ切り替え台車100について、荷台111が前進する方向を第2方向Yとする。昇降機構部120は第2方向Yにおける荷台111の動きを、第1方向Xにおける第1キャスタ121および前記第2キャスタ122の動きに変換し得る。このようにすれば、昇降機構部120によって、第1キャスタ121および第2キャスタ122を切り替えることができる。
【0052】
上記キャスタ切り替え台車100について、固定機構部130は、キャスタ切り替えピニオン123を有する。キャスタ切り替えピニオン123がキャスタ切り替えラック400に接続されることで、床面300に対して荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定される。このようにすれば、固定機構部130によって床面300に対して荷台111の第1方向Xにおける相対的な位置が決定された状態で、キャスタが切り替わる。また、キャスタ切り替えピニオン123およびキャスタ切り替えラック400を使用することで、当該キャスタ切り替え台車100の走行中にキャスタを切り替えることができる。そのため、キャスタの切り替えにかかる時間を低減することができる。
【0053】
上記キャスタ切り替え台車100について、第1方向Xおよび第2方向Yに対して垂直な方向を第3方向Zとする。第1方向Xから見た平面視において、キャスタ切り替えピニオン123は、第3方向Zにおいて荷台111から離れた位置に配置されている。このようにすれば、外部に配置されたキャスタ切り替えラック400にキャスタ切り替えピニオン123が容易に接続することができる。
【0054】
上記キャスタ切り替え台車100は、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の動きを制限するロック機構部140を更に備える。このようにすれば、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の位置を固定することができる。また、第1方向Xにおける第1キャスタ121および第2キャスタ122の位置を固定すれば、キャスタの切り替え時に発生する振動が低減する。その結果、当該振動に起因して発生する荷台111の揺れが抑制される。
【0055】
実施の形態2.
<キャスタ切り替え装置の構成>
図12は、実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車200の側面図である。図12図1に対応する。図12に示されたキャスタ切り替え台車200は、基本的には図1から図4に示されたキャスタ切り替え台車200と同様の構成を備えるが、昇降機構部220、および固定機構部230の構造が異なる。
【0056】
図12に示されるように昇降機構部220は、回転部224およびリンク部223を有する。回転部224は、回転軸を有する。回転軸は第3方向Zに沿った方向に延びている。回転部224は、前輪側回転部224aおよび後輪側回転部224bを含む。前輪側回転部224aは、第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2を含む。第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2は、互いに垂直になるように伸びている。第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2は互いに交差している。第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2が互いに交差している点を中心として、前輪側回転部224aは、自転することができる。
【0057】
第1前輪側接続部225a1の一方端に第1前輪キャスタ221aが接続されている。第2前輪側接続部225a2の一方端に第2前輪キャスタ222aが接続されている。つまり、第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2が互いに交差している点を中心として前輪側回転部224aが自転することで、第1前輪キャスタ221aおよび第2前輪キャスタ222aは、回転しながら昇降する。
【0058】
後輪側回転部224bは、第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2を含む。第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2は、互いに垂直になるように伸びている。第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2は互いに交差している。第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2が互いに交差している点を中心として、後輪側回転部224bは、自転することができる。
【0059】
第1後輪側接続部225b1の一方端に第1後輪キャスタ221bが接続されている。第2後輪側接続部225b2の一方端に第2後輪キャスタ222bが接続されている。つまり、第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2が互いに交差している点を中心として後輪側回転部224bが自転することで、第1後輪キャスタ221bおよび第2後輪キャスタ222bは、回転しながら昇降する。
【0060】
第1後輪側接続部225b1において、第1後輪キャスタ221bが接続されている一方端の反対側の他端における端部226(図示せず)は、ホルダ245によって保持され得る。第2後輪側接続部225b2において、第2後輪キャスタ222bが接続されている一方端の反対側の他端における端部226は、ホルダ245によって保持され得る。
【0061】
前輪側回転部224aおよび後輪側回転部224bは、リンク部223を介して接続されている。具体的には、第2前輪側接続部225a2および第1後輪側接続部225b1がリンク部223に接続されている。第2前輪側接続部225a2において、第1前輪側接続部225a1および第2前輪側接続部225a2が互いに交差している点と第2前輪キャスタ222aとの間にリンク部223が接続されている。第1後輪側接続部225b1において、第1後輪側接続部225b1および第2後輪側接続部225b2が互いに交差している点と第1後輪キャスタ221bとの間にリンク部223が接続されている。
【0062】
このように、前輪側回転部224aおよび後輪側回転部224bは、リンク部223を介して接続されているため、後輪側回転部224bの回転する動きに連動して、前輪側回転部224aは回転する。
【0063】
固定機構部230は、前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bを有する。前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bは、荷台211を支持し得る。前輪側固定部230aは、第2方向Yにおいて荷台211が前進する側に荷台211に接続されている。後輪側固定部230bは、第2方向Yにおいて荷台211が前進する側の反対側に荷台211に接続されている。前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bは、第1方向Xに沿って延びるように延在している。
【0064】
前輪側固定部230aは、前輪側支持部231a、前輪側小型キャスタ233a、および前輪側被覆部234aを含む。前輪側被覆部234aは、前輪側小型キャスタ233aを被覆し得る。前輪側被覆部234aは、前輪側支持部231aにおいて、床面300に最も近い位置に配置されている。前輪側小型キャスタ233aは前輪側支持部231aにおいて、床面300に近い一方端に接続されている。
【0065】
図13および図14は、実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車200の固定機構部230の側面視である。図13に示されるように、後輪側固定部230bは、後輪側支持部231b、後輪側小型キャスタ233b、後輪側被覆部234b、およびフットペダル232を含む。後輪側被覆部234bは、後輪側小型キャスタ233bを被覆し得る。後輪側被覆部234bは、後輪側支持部231bにおいて、床面300に最も近い位置に配置されている。後輪側小型キャスタ233bは後輪側支持部231bにおいて、床面300に近い一方端に接続されている。フットペダル232は、使用者の足を乗せることができる。フットペダル232は、第2方向Yに延びるように後輪側支持部231bに形成されている。フットペダル232は、第2方向Yにおいて荷台211が前進する方向の反対の方向に後輪側支持部231bから延びている。
【0066】
図13に示されるように、荷台211が固定機構部230によって床面300に対して支持されていないときは、後輪側被覆部234bは、後輪側小型キャスタ233bを被覆している。使用者はフットペダル232に足をかけて、図13に示す方向Dに力を加えることで後輪側固定部230bは第1方向Xに沿って下降する。後輪側固定部230bおよび前輪側固定部230aは接続部(図示せず)によって接続されている。そのため、第1方向Xに沿った後輪側固定部230bの動きに連動して、前輪側固定部230aは第1方向Xに沿って動く。この時、固定機構部230の下降する動きに連動して、小型キャスタが支持部に対して下降するように動く。
【0067】
後輪側固定部230bが、床面300に接するように下降したとき、図14に示されるように後輪側小型キャスタ233bは後輪側被覆部234bから露出する。つまり、後輪側小型キャスタ233bが床面300に接するように、後輪側固定部230bが荷台211を支持する。この時、前輪側小型キャスタ233aも同様に前輪側被覆部234aから露出する。そして、前輪側小型キャスタ233aが床面300に接するように、前輪側固定部230aが荷台211を支持する。
【0068】
キャスタ切り替え台車200が建屋外あるいは防塵エリア外で使用された場合、キャスタに塵埃が付着する。このような、キャスタ切り替え台車200を建屋内および防塵エリア内で使用するとキャスタに付着した塵埃が飛散する。被覆部で小型キャスタを被覆することで、たとえば小型キャスタに付着した塵埃の飛散を抑制することができる。
【0069】
小型キャスタが床面300に設置した時に発生する振動を抑制するために、当該小型キャスタにダンパー(図示せず)が設けられていてもよい。ダンパーを設けることで、荷台211に搭載された搭載物の荷崩れを抑制することができる。
【0070】
図15および図16は、実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車200のロック機構部240の側面視である。図15および図16に示されるように、ロック機構部240は、第1留め具241a、第2留め具241b、第1ワイヤ242、圧縮バネ244、バネ固定部243、およびホルダ245を含む。
【0071】
バネ固定部243は、荷台211の上に配置されている。バネ固定部243は、荷台211に固定されている。ホルダ245は、圧縮バネ244を介してバネ固定部243と接続されている。ホルダ245は、第1方向Xにおいて、バネ固定部243から見て荷台211が配置されている側に配置されている。圧縮バネ244が第1方向Xに伸縮することで、ホルダ245は第1方向Xにおける位置が変更され得る。
【0072】
ホルダ245は、第1後輪側接続部225b1の端部226あるいは第2後輪側接続部225b2の端部226を保持し得る。具体的には、ホルダ245は、中空の孔が形成されている。ホルダ245が第1方向Xに下降することで、当該孔に第1後輪側接続部225b1あるいは第2後輪側接続部225b2が挿入される。孔に第1後輪側接続部225b1あるいは第2後輪側接続部225b2が挿入されることで、後輪側回転部224bが固定される。
【0073】
ホルダ245は、第1ワイヤ242を介して第1留め具241aおよび第2留め具241bに接続されている。ホルダ245は、第1ワイヤ242によって第1方向Xに沿って昇降される。第1留め具241aおよび第2留め具241bは、背面部213に固定され得る。第1留め具241aおよび第2留め具241bは任意の方法で、背面部213に固定されてもよい。
【0074】
背面部213は、たとえば、中空の筒が嵌められていてもよい。中空の筒の下面に第1ワイヤ242に接続されている第1留め具241aあるいは第2留め具241bが接触するように、第1留め具241aおよび第2留め具241bのいずれかが中空の筒に留められる。
【0075】
図15に示されるように、ホルダ245によって後輪側回転部224bを保持する際は、第1留め具241aを中空の筒に引っかける。第1留め具241aを中空の筒に留めることで、ホルダ245の孔に第1後輪側接続部225b1あるいは第2後輪側接続部225b2が挿入される位置までホルダ245が下降する。その結果、後輪側回転部224bは、ホルダ245によって固定される。
【0076】
図16に示されるように、後輪側回転部224bを固定しない際は、第2留め具241bを中空の筒に留める。第2留め具241bを中空の筒に留めることで、ホルダ245の孔に第1後輪側接続部225b1あるいは第2後輪側接続部225b2が挿入されない位置までホルダ245が上昇する。その結果、ホルダ245によって後輪側回転部224bは固定されず、当該後輪側回転部224bは回転することができる。この時、ホルダ245が上昇していることで、圧縮バネは縮んでいる。そのため、圧縮バネ244によりホルダ245に第1方向Xに張力が加わっている。
【0077】
次に、キャスタ切り替え台車200の動作について説明する。図17から図23は、実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車200の側面視である。
【0078】
図17に示されるように、第1前輪キャスタ221aおよび第1後輪キャスタ221bは床面300に接している。一方、第2前輪キャスタ222aおよび第2後輪キャスタ222bは床面300に接していない。前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bは床面300に接しておらず、床面300から離れている。第1留め具241aが中空の筒に留められており、ホルダ245が第1後輪側接続部225b1の端部226を保持している。
【0079】
図18に示されるように、前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bが床面300に接するまで、前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bを下降させる。具体的には、使用者はフットペダル232に足をかけて、図18に示す方向D1に力を加える。後輪側固定部230bは第1方向Xに沿って下降する。後輪側固定部230bの下降する動きに連動して、前輪側固定部230aは第1方向Xに沿って下降する。この時、キャスタ切り替え台車200は、固定機構部230によって床面300に対する荷台211の第1方向Xにおける相対的な位置は決定されている状態である。
【0080】
図19に示されるように、ホルダ245を第1方向Xに沿って上昇させる、具体的には、第2留め具241bを中空の筒に留める。ホルダ245が第1方向Xに沿って上昇するため、回転部224は解放される。
【0081】
図20に示されるように、回転部224は固定されていない。そのため、前輪側回転部224aおよび後輪側回転部224bの各々は、自重によって図20に示す第1回転方向R1に45°自転する。
【0082】
図21に示されるように、前輪側回転部224aおよび後輪側回転部224bの各々を、図21に示す第2回転方向R2に45°自転させる。具体的には、ハンドル部213aを回す。ハンドル部213aは、背面部213に接続されている。ハンドル部213aは、第3方向Zに沿った方向を回転軸として回転することができる。図21に示されているように、ハンドル部213aおよび後輪側回転部224bは第2ワイヤ227によって接続されている。ハンドル部213aの回転する動きに連動して、後輪側回転部224bは図21に示す第2回転方向R2に45°回転する。また、後輪側回転部224bの回転する動きに連動して、前輪側回転部224aも第2回転方向R2に45°回転する。その結果、第2前輪キャスタ222aおよび第2後輪キャスタ222bの各々は、第1前輪キャスタ221aおよび第1後輪キャスタ221bのよりも床面300に近い位置に配置される。このようにして、固定機構部230によって床面300に対する荷台211の第1方向Xにおける相対的な位置を決定した状態で、昇降機構部220によって第1キャスタ221および第2キャスタ222が昇降される。なお、固定機構部230は小型キャスタが床面300に接しているため、当該キャスタ切り替え台車200が走行中でも、第1キャスタ221および第2キャスタ222を自由に切り替えることができる。つまり、本実施の形態2に係るキャスタ切り替え台車200は、本実施の形態1におけるキャスタ切り替えラックを必要とせずにキャスタを切り替えることができる。
【0083】
図22に示されるように、ホルダ245を第1方向Xにおいて下降させる、具体的には、第1留め具241aを中空の筒に留める。ホルダ245が下降するため、ホルダ245が第2後輪側接続部225b2の端部226を保持する。このようにして、回転部224は再度固定される。
【0084】
図23に示されるように、第2前輪キャスタ222aおよび第2後輪キャスタ222bが床面300に接するまで、前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bを上昇させる。具体的には、図23に示す方向U1に前輪側固定部230aおよび後輪側固定部230bを上昇させる。このようにして、キャスタを切り替えることができる。
【0085】
<作用効果>
上記キャスタ切り替え台車200について、昇降機構部220は、回転部224を含む。第1キャスタ221および第2キャスタ222は、回転部224に接続されている。回転部224が自転することで、第1キャスタ221および第2キャスタ222が昇降する。このようにすれば、昇降機構部220によって、第1キャスタ221および第2キャスタ222を切り替えることができる。
【0086】
上記キャスタ切り替え台車200について、固定機構部230は、フットペダル232を有する。このようにすれば、使用者はフットペダル232に足をかけて力を加えることで、固定機構部230を下降させることができる。
【0087】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。矛盾のない限り、今回開示された実施の形態の少なくとも2つを組み合わせてもよい。本開示の基本的な範囲は、上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることを意図される。
【0088】
以下、本開示の諸態様を付記としてまとめて記載する。
(付記1)
荷台と、
第1キャスタおよび第2キャスタを含む昇降機構部と、
固定機構部とを備え、
床面に対して垂直な方向を第1方向とすると、
前記昇降機構部は前記第1キャスタおよび前記第2キャスタを前記第1方向に昇降させることができ、
前記固定機構部は、前記床面に対する前記荷台の前記第1方向における相対的な位置を決定し、
前記固定機構部によって前記床面に対する前記荷台の前記第1方向における相対的な位置を決定した状態で、前記昇降機構部によって前記第1キャスタおよび前記第2キャスタが昇降される、キャスタ切り替え台車。
(付記2)
前記荷台が前進する方向を第2方向とすると、
前記昇降機構部は前記第2方向における前記荷台の動きを、前記第1方向における前記第1キャスタおよび前記第2キャスタの動きに変換し得る、付記1に記載のキャスタ切り替え台車。
(付記3)
前記固定機構部は、キャスタ切り替えピニオンを有し、
前記キャスタ切り替えピニオンがキャスタ切り替えラックに接続されることで、前記床面に対して前記荷台の前記第1方向における相対的な位置が決定される、付記2に記載のキャスタ切り替え台車。
(付記4)
前記第1方向および前記第2方向に対して垂直な方向を第3方向とすると、
前記第1方向から見た平面視において、前記キャスタ切り替えピニオンは、前記第3方向において前記荷台から離れた位置に配置されている、付記3に記載のキャスタ切り替え台車。
(付記5)
前記昇降機構部は、回転部を含み、
前記第1キャスタおよび第2キャスタは、前記回転部に接続されており、
前記回転部が自転することで、前記第1キャスタおよび第2キャスタが昇降する、付記1から付記4のいずれか1項に記載のキャスタ切り替え台車。
(付記6)
前記固定機構部は、フットペダルを有する、付記1から付記5のいずれか1項に記載のキャスタ切り替え台車。
(付記7)
前記第1方向における前記第1キャスタおよび前記第2キャスタの動きを制限するロック機構部を更に備える、付記1から付記6のいずれか1項に記載のキャスタ切り替え台車。
【符号の説明】
【0089】
100,200 キャスタ切り替え台車、111,211 荷台、111a 搭載面、112 筐体、113,213 背面部、113a,213a ハンドル部、120,220 昇降機構部、121,221 第1キャスタ、121a,221a 第1前輪キャスタ、121b,221b 第1後輪キャスタ、122,222 第2キャスタ、122a,222a 第2前輪キャスタ、122b,222b 第2後輪キャスタ、123 キャスタ切り替えピニオン、124 第1内部ピニオン、125a 前側コンベア、125b 後側コンベア、126a,126b 第2内部ピニオン、127,127a,127b 第3内部ピニオン、128a1,128a2,128b1,128b2 内部ラック、128c,401 凸部、130,230 固定機構部、140,240 ロック機構部、223 リンク部、224 回転部、224a 前輪側回転部、224b 後輪側回転部、225a1 第1前輪側接続部、225a2 第2前輪側接続部、225b1 第1後輪側接続部、225b2 第2後輪側接続部、226 端部、227 第2ワイヤ、230a 前輪側固定部、230b 後輪側固定部、231a 前輪側支持部、231b 後輪側支持部、232 フットペダル、233a 前輪側小型キャスタ、233b 後輪側小型キャスタ、234a 前輪側被覆部、234b 後輪側被覆部、241a 第1留め具、241b 第2留め具、242 第1ワイヤ、243 バネ固定部、244 圧縮バネ、245 ホルダ、300 床面、400 キャスタ切り替えラック、C1 第1中心線、C2 第2中心線、R1 第1回転方向、R2 第2回転方向、X 第1方向、Y 第2方向、Z 第3方向。
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