(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173248
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体装置及びインクジェット記録素子基板
(51)【国際特許分類】
H01L 21/822 20060101AFI20241205BHJP
H01L 21/82 20060101ALI20241205BHJP
B41J 2/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H01L27/04 H
H01L21/82 F
B41J2/14 611
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091553
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 俊雄
【テーマコード(参考)】
2C057
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
2C057AG91
2C057AK02
2C057AK07
5F038AV15
5F038BH19
5F038EZ20
5F064FF28
5F064FF46
(57)【要約】 (修正有)
【課題】電源ノイズによる特性可変素子への誤書込みを防止する半導体装置及びインクジェット記録素子基板を提供する。
【解決手段】書込み電圧が電圧生成回路101の出力端子から出力され、書込み制御スイッチがMND1導通状態であるときに、アンチヒューズ素子(特性可変素子)Caに所定の電圧以上の電圧が印加されることによりアンチヒューズ素子の電気的特性が変化する、メモリ部103を有する半導体装置であって、アンチヒューズ素子に所定の電圧以上の電圧を印加するために用いられる配線と、電源のノイズを検知し、検知信号Vgn1を出力するノイズ検知回路102と、ノイズ検知回路が電源のノイズを検知した時に配線Aからノイズ電流を放電することを可能化するノイズ放電スイッチMND2と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の電圧以上の電圧が印加されたときに電気的特性が変化する特性可変素子と、
前記特性可変素子への書込みを制御するための第1書込み制御信号に基づいて、導通状態又は非導通状態が切り替わる書込み制御スイッチと、
電源及び前記特性可変素子への書込みを制御するための第2書込み制御信号に基づいて、書込み電圧を出力端子から出力する電圧生成回路と、
を備え、
前記書込み電圧が前記電圧生成回路の前記出力端子から出力され、前記書込み制御スイッチが導通状態であるときに、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧が印加されることにより前記特性可変素子の電気的特性が変化する半導体装置であって、
前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧を印加するために用いられる配線と、
前記電源のノイズを検知するノイズ検知回路と、
前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知した時に前記配線からノイズ電流を放電することを可能化するノイズ放電スイッチと、
を更に備える半導体装置。
【請求項2】
前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチとは、第1端子と第2端子との間において直列に配置され、
前記電圧生成回路の前記出力端子と前記第1端子は、前記配線を介して相互に接続され、
前記第2端子の電位とは、前記書込み電圧が前記電圧生成回路の前記出力端子から出力され、前記書込み制御スイッチが導通状態であるときに、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧が印加されるような電位である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記第2端子は、接地されている、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
前記ノイズ放電スイッチは、前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知したときに前記配線において前記電圧生成回路の出力端子と前記第1端子との間にある中間ノードからノイズ電流が放電することを可能化するように配置され、
前記電圧生成回路の出力端子と前記中間ノードとの間に配置され、ノイズを遅延させる遅延素子を更に備える、
請求項2に記載の半導体装置。
【請求項5】
前記遅延素子は、抵抗素子である、
請求項4に記載の半導体装置。
【請求項6】
前記ノイズ放電スイッチは、前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知した時に前記配線を接地する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項7】
前記特性可変素子に並列に接続された抵抗素子を更に備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項8】
前記抵抗素子は拡散抵抗である、
請求項7に記載の半導体装置。
【請求項9】
前記特性可変素子の電気的特性を読み出す読出し回路を更に備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項10】
前記読出し回路は、
電流を発生する電流源と、
比較器と、
を備え、
前記特性可変素子に前記電流を流したときの前記配線の電圧を前記比較器により基準電圧と比較する、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項11】
前記電圧生成回路及び前記読出し回路は排他的に前記配線に電気的に接続される、
請求項9に記載の半導体装置。
【請求項12】
前記特性可変素子は、前記所定の電圧以上の電圧が印加されると抵抗値が変化するアンチヒューズ素子である、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項13】
前記ノイズ検知回路は、前記電源の直流電圧を阻止し、ノイズを透過させる高域通過フィルタを備える、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項14】
前記ノイズ検知回路は、ノイズのパルス幅を広げるパルス幅拡張回路を備え、
前記ノイズ放電スイッチは、前記パルス幅拡張回路によりパルス幅が広げられている期間を前記ノイズ検知回路がノイズを検知している期間として前記配線からノイズ電流を放電することを可能化する、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項15】
前記電圧生成回路はP型の高耐圧トランジスタにより構成される、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項16】
前記電源は、外部接続端子から供給され、
前記ノイズ検知回路は、前記電圧生成回路が配置されている位置と前記特性可変素子が配置されている位置の何れよりも前記外部接続端子から近い位置に配置されている、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項17】
1組の前記電圧生成回路、前記ノイズ検知回路、及び前記ノイズ放電スイッチに対して、前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチの組が複数備わる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項18】
1つの前記ノイズ検知回路に対して、前記電圧生成回路及び前記ノイズ放電スイッチの組が複数備わり、
前記電圧生成回路及び前記ノイズ放電スイッチの各組に対して、前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチの組が複数備わる、
請求項1に記載の半導体装置。
【請求項19】
請求項1乃至18の何れか1項に記載の半導体装置を有するインクジェット記録素子基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、半導体装置及びインクジェット記録素子基板に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体装置は、製品完成後に、チップIDや設定パラメータ等の製品固有情報を記録するためOTP(One Time Programmable)メモリが用いられている。OTPメモリには、ヒューズ素子を用いたものとアンチヒューズ素子を用いたものの2種類がある。特許文献1には、アンチヒューズ素子とアンチヒューズ素子に電圧を印加するための電圧印加回路を備える基板が開示されている。この基板においては、電圧印加回路によりアンチヒューズ素子に所定値以上の電圧を印加することにより、アンチヒューズ素子に対して書込みを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に開示されている基板においては、電源ノイズによりアンチヒューズ素子への誤書込みが発生する可能性がある。例えば、静電気放電や雷などによるサージ電圧が電圧生成回路を透過してアンチヒューズ素子まで到達することによりアンチヒューズ素子への誤書込みが発生する可能性がある。これは、アンチヒューズ素子以外の特性可変素子についても同様である。
【0005】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、電源ノイズにより特性可変素子に誤書込みが行われてしまうことを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一形態は、所定の電圧以上の電圧が印加されたときに電気的特性が変化する特性可変素子と、前記特性可変素子への書込みを制御するための第1書込み制御信号に基づいて、導通状態又は非導通状態が切り替わる書込み制御スイッチと、電源及び前記特性可変素子への書込みを制御するための第2書込み制御信号に基づいて、書込み電圧を出力端子から出力する電圧生成回路と、を備え、前記書込み電圧が前記電圧生成回路の前記出力端子から出力され、前記書込み制御スイッチが導通状態であるときに、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧が印加されることにより前記特性可変素子の電気的特性が変化する半導体装置であって、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧を印加するために用いられる配線と、前記電源のノイズを検知するノイズ検知回路と、前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知した時に前記配線からノイズ電流を放電することを可能化するノイズ放電スイッチと、を更に備える半導体装置である。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、電源ノイズにより特性可変素子に誤書込みが行われてしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図5】第1実施形態の回路の動作波形例を示すグラフ
【
図7】第2実施形態の回路の動作波形例を示すグラフ
【
図8】第2実施形態のインクジェット記録素子基板の回路構成例
【
図9】第2実施形態のインクジェット記録素子基板の配置例
【発明を実施するための形態】
【0009】
<第1実施形態>
図1は半導体装置の回路構成の一例であり、アンチヒューズ素子(「特性可変素子」ともいう。)Caに情報が書き込まれる前の状態を示している。
【0010】
本実施形態の半導体装置は、トランジスタMP1、トランジスタMN1、トランジスタMND1、アンチヒューズ素子Caを有するメモリ部103を有する。アンチヒューズ素子Caとは、情報が書き込まれる前には第1の抵抗値を持ち、情報が書き込まれた後には、第1の抵抗値よりも小さい第2の抵抗値を持つような素子であり、情報の書込み動作によって、アンチヒューズ素子Caの抵抗値が変化する。第1の抵抗値は大きいほうが好ましい。理想的には第1の抵抗値は無限大であってもよい。また、第1の抵抗値と第2の抵抗値との差が大きいほうが好ましい。例えば、アンチヒューズ素子Caは、情報が書き込まれる前は容量素子として機能し、情報書込み後は、抵抗素子として機能する。
図1は、アンチヒューズ素子Caに情報が書き込まれる前の状態を示しているため、アンチヒューズ素子Caを、容量素子の回路記号で示している。このような構成によりアンチヒューズ素子Caの抵抗値の変化に基づいて、アンチヒューズ素子Caに書き込まれた情報を保持することができる。
【0011】
図1において、トランジスタMP1はP型トランジスタであり、トランジスタMN1はN型トランジスタであり、トランジスタMP1及びトランジスタMN1のゲートには第1書込み制御信号Sig1が入力されるよう構成されている。
【0012】
またトランジスタMP1のソース及びバックゲートには電源電圧VDD(例えば3.3V)が供給され、ドレインはトランジスタMN1のドレイン及びトランジスタMND1のゲートに接続されている。トランジスタMN1のソース及びバックゲートはグランドGNDに接続されている。トランジスタMP1及びトランジスタMN1は、ロジック回路(
図1では論理反転回路)を形成し、第1書込み制御信号Sig1を論理反転した信号VgをトランジスタMND1のゲートに出力する。
【0013】
トランジスタMND1はN型の高耐圧トランジスタであり、アンチヒューズ素子Caへの電圧の印加を制御する。例えばトランジスタMND1はNMOSトランジスタとすることができる。ここで高耐圧トランジスタとは、ロジック回路に用いられるトランジスタ(トランジスタMP1やトランジスタMN1など)より高い耐圧を有するトランジスタである。高耐圧トランジスタは、制御部等の一般のロジック回路のトランジスタでは耐えられないような高電圧(例えば32V)が印加されても故障しないよう形成されていることが好ましい。また、ロジック回路を構成するトランジスタMP1及びトランジスタMN1を、トランジスタMND1より低い耐圧のトランジスタとすることで、ロジック回路を高速で動作させることができる。
【0014】
アンチヒューズ素子CaはトランジスタMND1を介して第2端子BBに接続されている。アンチヒューズ素子Caとしては、例えばMOS構造(Metal Oxide Semiconductor構造)を有するアンチヒューズ素子を用いることができる。アンチヒューズ素子Caの上部電極は第1端子AAに接続されていて、下部電極はトランジスタMND1のドレインに接続されている。トランジスタMND1のソースは第2端子BBに接続されている。従って、アンチヒューズ素子CaとトランジスタMND1は、第1端子AAと第2端子BBの間で直列に接続されている。
【0015】
第1端子AA及び第2端子BBは、メモリ部103と外部の回路を電気的に接続するための接続部であり、アンチヒューズ素子Caに電圧を印加するため、又はアンチヒューズ素子Caに生じている電圧を測定するための端子である。例えば第1端子AAの電位は、情報書込み時には高電圧(例えば32V)とすることができる。第2端子BBは、グランドGNDに接続されている。
【0016】
電圧生成回路101は第2書込み制御信号Sig2に基づき、外部接続端子であるVH端子に印加されている高電圧(例えば32V)を配線Aに出力するか否かを切り替える。ここで
図1に示すように配線Aは、電圧生成回路101の出力端子と第1端子AAとを相互に接続するための配線である。電圧生成回路101は例えば
図2に示すように、P型の高耐圧トランジスタMPD1を含むように構成することができる。高耐圧トランジスタMPD1はあるいは
図3に示すように、別途設けられた書込み・読出し制御回路307から出力される第2書込み制御信号Sig4に基づきスイッチング動作を行う構成でもよい。書込み・読出し制御回路307はロジック回路電源電圧VDDを持っている第2書込み制御信号Sig4の電圧を高耐圧トランジスタMPD1の動作電圧に対応した電圧に昇圧する昇圧回路を含んでいてもよい。また電圧生成回路101はVH端子に印加される高電圧よりもアンチヒューズ素子書込み電圧の方が低い場合は、VH端子の電圧(例えば32V)を書込み電圧(例えば24V)に降圧する降圧回路を含んでもよい。
【0017】
アンチヒューズ素子Caに情報を書き込むときには、導通状態となったトランジスタMND1のソースドレイン間の電位差はほぼゼロであるので、アンチヒューズ素子Caには、端子AAと端子BBの電位差にほぼ等しい電圧がかけられる。ここで、端子BBの電位は回路のGND電位であり、また、書込み時には端子AAには回路のGND電位を基準としたときの書込み電圧が印加される。従って、書込み時には、端子AAと端子BBの電位差の値は、書込み電圧とほぼ等しい。従って、書込み電圧を、アンチヒューズ素子Caに情報を書き込むために必要な所定の電圧以上の電圧に設定すればよい。
【0018】
書込み電圧の一例としてあげた上述の32Vは、実施形態によるアンチヒューズ素子Caに情報を書き込むために必要な所定の電圧である10Vに対して3倍強の値を持つ。これは、書込みに要する時間を1から数秒から数ミリ秒に短縮させるためである。また、書込み電圧の他の一例としてあげた上述の24Vは、実施形態によるアンチヒューズ素子Caに情報を書き込むために必要な所定の電圧である10Vに対して二倍強の値を持つ。これも、書込みに要する時間を1から数秒から数ミリ秒に短縮させるためであるが、短縮後の時間は、32Vの場合と比較して短い。
【0019】
アンチヒューズ素子Caが書込み状態にあるか否かの読み取り時には、
図2に示すように第1端子AAに電気的に接続されているVID端子の電圧を、半導体装置外部から検出して判定を行うようにしてもよい。また
図2に示すように読出し回路204で書込み状態を検出してもよい。読出し回路204をメモリ部103と同じ半導体装置に搭載する場合は、読出し回路204と配線Cとの間に高耐圧トランジスタMND3を接続し、読出し時以外は読出し回路204と配線Cを電気的に分離できる構成が好ましい。トランジスタMND3の読出し制御信号Sig3は
図3に示すような読出し制御信号Sig5に置き換えてもよい。ここで、読出し制御信号Sig5は、
図3に示すように書込み・読出し制御回路307から電圧生成回路101の第2書込み制御信号Sig4と組をなして出力されるものである。なお高耐圧トランジスタMPD1とトランジスタMND3が同時にオンになると、電圧生成回路101から出力される電圧と読出し回路204から出力される電圧とが配線Cにおいて互いに干渉し誤動作を起こす可能性がある。更には読出し回路204がロジック回路に用いられる低耐圧トランジスタで構成される場合は、VH端子に印加された高電圧が低耐圧トランジスタに印加され、読出し回路204が破壊される可能性がある。そこで、書込み・読出し制御回路307は、第2書込み制御信号Sig4と読出し制御信号Sig5を用いて、高耐圧トランジスタMPD1とトランジスタMND3が排他的にオンになるような制御を行うことによりこれを避けている。高耐圧トランジスタMPD1とトランジスタMND3は、オンではないときには、出力が高インピーダンスとなり、配線Cとは、電気的に接続されていない状態になる。
【0020】
図3の構成では、1組の電圧生成回路101、ノイズ検知回路302、及びノイズ放電スイッチMND4に対して、特性可変素子Ca、並列抵抗素子Rp、書込み制御スイッチMND1、論理反転回路MP1、MN1を含む組であるメモリ部303が複数備わる。並列抵抗素子Rpについては後述する。書込み制御信号生成部308は、入力した信号Sigcont10に基づいて第1書込み制御信号Sig10からSigNを生成する。第1書込み制御信号10からSigNは、各メモリ部303における第1書込み制御信号として利用される。
【0021】
次に、
図2を用いてアンチヒューズ素子Caに情報を書き込む際の動作を説明する。アンチヒューズ素子Caへの情報の書込みの際には、電圧生成回路101の高耐圧トランジスタMPD1をオン状態にする。これによりVH端子に印加されている高電圧(例えば32V)が第1端子AAを介してアンチヒューズ素子Caに接続されている配線Cに印加される。この時、トランジスタMND3はオフ状態(高インピーダンス状態)にしておき、読出し回路204と配線Cとは電気的に分離しておく。次に、書き込みたいアンチヒューズ素子Caに対応する第1書込み制御信号Sig1をLOWレベル(例えばGND電位)の信号とすることによりトランジスタMND1をオフ状態(つまり非導通状態)からオン状態(つまり導通状態)に切り替える。これによりアンチヒューズ素子Caの上部電極と下部電極の間にあるゲート絶縁膜にVH端子に印加されている高電圧がかけられる。その結果アンチヒューズ素子Caのゲート絶縁膜が絶縁破壊され、アンチヒューズ素子Caの抵抗値は大きく下がる。よって書込み前にはアンチヒューズ素子Caは容量素子であったのに対し、書込み後にはアンチヒューズ素子Caは抵抗素子となる。このように、トランジスタMND1は、第1書込み制御信号Sig1により導通状態/非導通状態が切り替わる。そして、端子AAに書込み電圧が印加されている期間において第1書込み制御信号Sig1によりトランジスタMND1が導通状態となったときに、アンチヒューズ素子Caに情報が書き込まれる。従って、トランジスタMND1は、書込み制御スイッチとして機能する。
【0022】
次に、
図2を用いてアンチヒューズ素子Caと同じ半導体装置に読出し回路204を搭載する場合の情報読出し動作の説明をする。情報読出しを行う前に高耐圧トランジスタMPD1をオフ状態(高インピーダンス状態)にしておき、VH端子の電圧をアンチヒューズ素子Caに接続された配線Cから電気的に分離しておく必要がある。またトランジスタMND3をオン状態とし、読出し回路204と配線Cとを電気的に接続する。この状態で情報の読出しを行いたいアンチヒューズ素子Caに対応する第1書込み制御信号Sig1をLOWレベルの信号とすることにより、トランジスタMND1をオン状態にする。これにより読出し回路204内の電流源205からアンチヒューズ素子Caに読出し電流Ireadが供給される。これにより、アンチヒューズ素子Caの抵抗をRaとすると、Iread×Raの読出し電圧Vreadが配線Cを介して読出し回路204内の電圧比較器206の非反転入力端子に入力される。電圧比較器206において、読出し電圧Vreadは反転入力端子に入力された基準電圧Vrefと比較され、読出し電圧Vreadの方が基準電圧Vrefよりも大きい場合は出力端子OUTに「High」の論理値を持つ出力信号が出力される。その一方で、読出し電圧Vreadの方が基準電圧Vrefよりも小さい場合は「Low」の論理値を持つ出力信号が出力される。アンチヒューズ素子Caは一般的には絶縁膜からなるため未書込み状態では抵抗値が大きく、書込みにより絶縁膜が破壊されると、導通状態となり抵抗値が小さくなる。
図2に示す回路の場合、未書込みならば「High」の論理値を持つ出力信号が出力され、書込み済みならば「Low」の論理値を持つ出力信号が出力される。なお、論理反転回路を追加したり、非反転入力端子と反転入力端子を入れ替えたりして逆論理の出力信号を出力してもよい。また、読出し回路204の構成は本実施形態の電流源を用いた抵抗値検出の方法以外の方法を用いたものでもよい。
【0023】
ここで、製造工程において、静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)や建物のAC電源に侵入する雷サージなどにより、非常に大きなサージ電圧がVH端子から半導体装置内に侵入する可能性がある。また、ユーザが使用する環境によっても同様なことが生ずる可能性がある。特に情報読出し中は
図2に示す高耐圧トランジスタMPD1がオフ状態である。しかし、VH端子にサージ電圧が印加されると、半導体基板においてP型の高耐圧トランジスタMPD1のソースドレイン間に形成された寄生容量Cpを介して、サージ電圧は配線Cへと侵入する可能性がある。この時トランジスタMND3はオン状態となっているため、高電圧のサージ電圧が読出し回路204に印加され、これにより読出し回路204が破壊されるおそれがある。
【0024】
また、情報読出し中は、トランジスタMND1はオン状態であり、これによりアンチヒューズ素子Caの下部電極はグランドGNDに接続された状態である。従って、アンチヒューズ素子Caの絶縁膜破壊電圧である10V程度の比較的小さなサージ電圧でも、そのサージ電圧が上部電極に印加されるとアンチヒューズ素子Caに情報の書込みが行われる可能性がある。その結果、書込みをする予定でなかったアンチヒューズ素子Caに書込みが行われ、半導体装置に記録されている情報が変化してしまう可能性がある。
【0025】
上記の読出し回路204の破壊や上記の誤書込みは、製品の出荷検査工程での電気測定中、例えばアンチヒューズ素子Caの健全性確認や、読出し回路の動作確認中にも発生する可能性がある。
【0026】
図4に比較例としての回路図を示す。電圧生成回路401は一般的にトランジスタにより構成されるが、
図4は、特に電圧生成回路401がMOSトランジスタ202により構成される例を示す。MOSトランジスタMP202は書込み時以外にはオフになり、これによりアンチヒューズ素子Caは電源パッドであるVH端子と電気的に切り離される。このような状態において、別途設けられた読出し回路404で読取り判定を行う等の別の動作が行われる。ここでMOSトランジスタMP202は電源・グランド電圧が安定的な環境下では正常にオフ状態を維持することが可能である。しかし静電気放電や雷サージなどにより外部から高周波ノイズやサージ電圧がVH端子に侵入すると、それらはMOSトランジスタMP202に形成された寄生容量Cp201等によってMOSトランジスタMP202を透過して、配線Zまで到達することがある。特に読取り動作にサージ電圧が配線Zまで侵入した場合には読出し回路404の破壊やアンチヒューズ素子Caへの誤書込みが発生する可能性がある。
【0027】
そこで本実施形態では
図1に示すように、サージ電圧などのノイズ電圧が侵入するVH端子近傍にノイズ検知回路102を接続する。そして、アンチヒューズ素子Caをノイズ電圧から保護するために配線Aにノイズ放電スイッチとして機能するトランジスタMND2(以下、ノイズ放電スイッチMND2ともいう。)を接続してノイズ対策を行う。つまり、ノイズ放電スイッチMND2の第1の接続端子を配線Aにおいて電圧生成回路101の出力端子と端子AAとの間にある中間ノードCCに接続し、第2の接続端子をグランドGNDに接続することによりノイズ対策を行う。この構成において、ノイズ検知回路102はVH端子から侵入したノイズ電圧を検出して、検知信号Vgn1を出力する。ノイズ放電スイッチMND2は検知信号Vgn1を受けてオンになる。これによりノイズ放電スイッチMND2は、検知信号Vgn1によりノイズ電流を放電することが可能化される。これにより、ノイズ放電スイッチMND2は、配線Aに侵入するノイズ電流をグランドGNDへと放電する。これによりサージ電圧がアンチヒューズ素子Caに到達する前に、配線Aの電圧上昇を抑えることができる。
【0028】
なお、GND電位は、
図1から
図3に示すような回路を搭載した基板におけるGND電位である。後述するようにインクジェット記録素子基板にこのような回路を搭載する場合には、GND電位は、インクジェット記録素子基板におけるGND電位である。基板のGND配線は、通常は、基板が搭載されている装置(後述するインクジェット記録素子基板に対しては画像形成装置や複合機)の筐体に直接的に又は他の基板を介して電気的に接続される。また、筐体はアース線を介して大地に接地される。従って、導通状態となったノイズ放電スイッチMND2を介して端子CCから基板のGNDに流れ込んだ電流は、装置の筐体を介して大地まで放出される。なお、大地の電位を基準としたときの筐体の電位は、ゼロボルトであるとは限らない。また、大地の電位を基準としたときの基板のGND電位も筐体の電位を基準としたときの基板のGND電位も、ゼロボルトであるとは限らない。書込み電圧は、基板のGND電位を基準としたものである。
図1から
図3に示す回路は1つの半導体装置に設けられていてもよく、複数の半導体装置に跨って設けられてもよいが、いずれにしても全ての半導体装置は、基板に接地される。但し、筐体に生ずるノイズを考慮して、基板のGNDを筐体に接続しなくてもよい。このような場合には、例えば、基板のGNDに大きな容量を持たせ、ここにノイズ電流が吸収されるようにしてもよい。
【0029】
図2の回路図をもとに、より詳細な電圧波形を
図5の例にて説明する。VH端子に印加されるノイズ電圧をVH波形に示す。書込み用電圧としての電圧が供給されるVH端子には定常状態においては高電圧(例えば32V)が印加される。情報読出し時には電圧生成回路101の高耐圧トランジスタMPD1がオフ状態であるため、配線Cの電圧値は電源電圧VDD又はアンチヒューズ素子Caの読出し電圧値と等しくなる。
【0030】
ここで仮にVH端子に数十MHz、60Vピークのノイズ電圧が印加されると、高周波成分は寄生容量Cpを介して配線Cまで伝達される。特に本実施形態のノイズ対策回路がない場合は、
図5において破線のVC波形で示すように配線Cの電圧は15Vの電圧まで達する可能性がある。アンチヒューズ素子Caの絶縁膜破壊電圧が10Vであるならば、アンチヒューズ素子Caは書き込みされる。
【0031】
その一方で本実施形態のノイズ対策回路がある場合、ノイズ検知回路102内のノイズ検知容量Cn1は、電源電圧VDDを阻止するが、ノイズ電圧の高周波成分を透過させる。これにより、ノイズ放電スイッチとして機能するトランジスタMND2のゲートに供給されるノイズ検知信号Vgn2は、
図5においてVgn2波形に示すように上昇する。つまり、トランジスタMND2のゲート電圧は上昇する。ここでノイズ検知信号Vgn2がノイズ放電スイッチMND2のオンしきい値電圧(Vth)を超えているMND2オン期間においてノイズ放電スイッチMND2はオンになる。これにより配線Cに流れ込んできたサージ電流をノイズ放電スイッチMND2を経由してグランドGNDに放電させることができる。
【0032】
そのため
図5において実線のVC波形で示すように配線Cの電圧上昇を抑えることで、配線Cの電圧をアンチヒューズ素子Caの絶縁膜破壊電圧10V以下に保つことができる。従って、VH端子から侵入するノイズ電圧によりアンチヒューズ素子Caの誤書込みが生ずることを防止することが可能となる。なおノイズ検知容量Cn1とノイズ放電スイッチMND2は、通常使用時の高電圧(例えば32V)やノイズ電圧が印加されても、素子破壊しないように高耐圧容量と高耐圧トランジスタで構成する必要がある。またノイズ検知回路102は、ノイズが侵入しない状態、即ちVH端子の電圧が安定している定常状態、においてノイズ放電スイッチMND2がオンにならないようにプルダウン抵抗Rn1を備える。また図示しないがノイズ電圧によって素子が破壊されないように一般的に保護素子として用いられる保護ダイオードをVH端子-GND間に接続することが好ましい。ノイズ検知回路102は、ノイズ検知容量Cn1とプルダウン抵抗Rn1により構成され、VH端子から供給された電源の直流電圧を阻止し、ノイズを透過させる高域通過フィルタであると捉えることもできる。
【0033】
ここで、
図3に示すように、アンチヒューズ素子Caに対して抵抗素子Rpを並列接続することが好ましい。抵抗素子Rpがないならば、配線Dに書込み電圧が印加された際に書込み制御スイッチMND1がオフ状態であるにもかかわらず、アンチヒューズ素子Caの両端に高い電圧が印加され、アンチヒューズ素子Caに対して書込みが行われることがありえる。アンチヒューズ素子Caに対して抵抗素子Rpを並列接続することによりこれを防止することができている。
【0034】
次に、
図3に示すアンチヒューズ素子Ca、抵抗素子Rp、及びトランジスタMND1の断面構造の具体例を
図6に示す。半導体基板610において、P型シリコン基板600上に、Pウエル領域601とNウエル領域602a、602b、及び602cが形成されている。Pウエル領域601は、ロジック回路を構成するNMOSトランジスタのPウエルと同じ工程で形成することができる。また、Nウエル領域602a、602b、及び602cは、ロジック回路を構成するPMOSトランジスタのNウエルと同じ工程で形成することができる。
【0035】
なお、P型シリコン基板600に対するNウエル領域の不純物濃度は、Nウエル領域602a、602b、及び602cとP型シリコン基板600とのブレイクダウン電圧が、高電圧になったときのVID端子の電圧より高くなる濃度となっている。また、Pウエル領域601とNウエル領域602a、602b、及び602cの不純物濃度は、Pウエル領域601とNウエル領域602a、602bとのブレイクダウン電圧が、高電圧になったときのVID端子の電圧より高くなる濃度となっている。
【0036】
Pウエル領域601及びNウエル領域602a、602b、及び602cに、フィールド酸化膜603、高濃度のN型拡散領域606a~606e、及び高濃度P型拡散領域607が形成されている。フィールド酸化膜603は、例えばLOCOS(Local Oxidation of Silicon)法で形成することができる。
【0037】
高耐圧NMOSトランジスタであるトランジスタMND1の構成を説明する。ゲート電極605aは、ゲート絶縁膜604を介して、隣接するPウエル領域601とNウエル領域602aの上に配置される。Pウエル領域601とゲート電極605aの重なる領域がチャネル形成領域となる。
【0038】
高濃度のN型拡散領域606aはトランジスタMND1のソースであって、高濃度P型拡散領域607はバックゲート電極である。Nウエル領域602aは、ドレインの電界緩和領域として、ゲート電極605aの下部まで延在している部分を有する。Nウエル領域602a内に形成された高濃度のN型拡散領域606bが、トランジスタMND1のドレイン電極となる。
【0039】
更に、ゲート電極605aのドレイン側は、Nウエル領域602内に形成されたフィールド酸化膜603上に乗り上げた構造、所謂、LOCOSオフセット構造を有している。これにより、トランジスタMND1がオフ状態、すなわち、ゲート電極の電圧がGND電位で、ドレイン電極の電圧が、高電圧になったときのVID端子の電圧まで上昇しても、ゲート-ドレイン耐圧が確保できる。
【0040】
次に、アンチヒューズ素子Caの構造を説明する。アンチヒューズ素子Caは、上部電極、下部電極、及びその間の絶縁層を有する。たとえば、Nウエル領域602bの上にゲート絶縁膜604を介して設けられた電極605bが、アンチヒューズ素子Caの上部電極として機能する。また、Nウエル領域602bにおいて、高濃度のN型拡散領域606cに接続され、半導体基板610のトランジスタMND1等の素子が配される面に対する平面視で、上部電極と重複する部分が、下部電極として機能する。なお、トランジスタMND1、アンチヒューズ素子Ca、及び抵抗素子Rp等の素子が配される面に対する平面視とは、例えば、トランジスタMND1のチャネル形成領域の表面に対する平面視である。
【0041】
図6では、Nウエル領域602bの、平面視において上部電極と重ならない領域のみに高濃度のN型拡散領域606cが形成されているが、高濃度のN型拡散領域606cはこれに限定されない。例えば、上部電極と重複する部分の一部、又は重複する部分全域に高濃度のN型拡散領域606cが形成されている工程としてもよい。平面視において上部電極と重なる領域に高濃度のN型拡散領域606cも形成されている場合には、高濃度のN型拡散領域606cの重複部分もアンチヒューズ素子Caの下部電極として機能する。
【0042】
更に
図6では、アンチヒューズ素子Caの下部電極がトランジスタMND1のドレインに接続されているが、上部電極が第3のトランジスタMND1のドレインに接続され、下部電極が高電圧(
図1に示す第1端子AA)に接続されていてもよい。
【0043】
ゲート絶縁膜604は、ロジック回路を構成するトランジスタMP1及びトランジスタMN1のゲート絶縁膜の形成工程で形成することができ、例えば酸化膜で形成することができる。また、電極605a、605bは、例えばポリシリコン層とすることができる。ポリシリコン層、高濃度のN型拡散領域606a~606c、及び、高濃度P型拡散領域607は、低耐圧ロジック回路を構成するトランジスタMP1及びトランジスタMN1の、各要素の形成工程と同じ工程で形成することができる。
【0044】
このようにアンチヒューズ素子CaはMOS構造を有する容量素子であり、アンチヒューズ素子Caへの書込みを制御するトランジスタがMOSトランジスタである。よって、アンチヒューズ素子Caとトランジスタを同じ工程で形成することができるため、少ない工程数で安価に半導体装置を形成することができる。
【0045】
高濃度のP型拡散領域607、N型拡散領域606a~606e、及びフィールド酸化膜603上には複数のコンタクト部608が設けられた絶縁膜が設けられ、絶縁膜上には、導電層609a~609eが設けられている。導電層609a~609eは、例えばアルミ等の金属から形成することができる。なお、導電層609a~609eと各電極、配線は、電気的に接続されていれば、その製造手法、材料、及び構造は限定されない。
【0046】
図6では、アンチヒューズ素子Caとして、下部電極及び上部電極がNウエル領域とポリシリコンで形成される容量素子を例として示しているが、アンチヒューズ素子Caはこの構造に限定されず、例えばPMOSトランジスタを用いた容量素子であってもよい。アンチヒューズ素子Caの下部電極及び上部電極の一方が一方の端子、他方が他方の端子として機能する。
【0047】
抵抗素子Rpは、拡散抵抗であり、半導体基板610内の半導体領域である、Nウエル領域602cを有し、609d及び609eの導電層に、それぞれ高濃度のN型拡散領域606d及び606eを介して接続される。抵抗素子Rpはこの構造に限定されない。例えば、導電層による抵抗体、ポリシリコンによる抵抗体が、抵抗素子Rpとして用いられてもよい。
【0048】
絶縁膜は、トランジスタMND1や抵抗素子Rp等を覆うように半導体基板610上に形成された絶縁体層であり、例えば酸化シリコンからなる。また絶縁体層は、これに限定されず、窒化シリコンや炭化シリコンからなっていてもよく、これらの積層や混合物層でもよい。
【0049】
導電層609aは、コンタクト部608を介してトランジスタMND1のソースとバックゲートに接続されており、接地電位が与えられる。導電層609bは、コンタクト部608を介してトランジスタMND1のドレイン電極とアンチヒューズ素子Caの下部電極に接続されている。導電層609cは、コンタクト部608を介してアンチヒューズ素子Caの上部電極に接続され、不図示の部分で
図1に示す第1端子AAに接続されている。導電層609cは、書込み時には、第1端子AAを介して高電圧(例えば32V)が印加される。導電層609dは導電層609cと接続され(不図示)、導電層609eは導電層609bと接続される(図示しない)。
【0050】
<第2実施形態>
本実施形態ではノイズ放電スイッチをより安定的に駆動することで、効率よくノイズ電流をグランドGNDへ放電するノイズ検知回路302を
図3に示す。ノイズ検知回路302はノイズ検知容量Cn2の信号をトランジスタMN2で受ける。本実施形態では、ロジック電源電圧VDDをプルアップ抵抗Rn3とトランジスタMN2とで分圧した信号Vgn4を論理反転素子INV1により論理反転した信号Vgn5に応じてノイズ放電スイッチMND4を駆動する構成が採られている。詳細な電圧波形を
図7にて説明する。VH波形は、高電圧(32V)にノイズ電圧が重畳された波形であり、ノイズ発生時にはこのような波形の電圧がVH端子に供給される。情報読出し時には電圧生成回路101の高耐圧トランジスタMPD1はオフ状態であるため、配線Dの電圧値は電源電圧VDDもしくはアンチヒューズ素子Caの読出し電圧値と等しくなる。ここで仮にVH端子に高電圧に加えて数十MHz、60Vピークのノイズ電圧が印加されると、ノイズ電圧の高周波成分は寄生容量Cpを介して配線Dに伝達される。本実施形態のノイズ対策回路(ノイズ検知回路302及びノイズ放電スイッチMND4)がない場合は、
図7において破線のVD波形で示すように配線Dの電圧は15Vまで達する可能性がある。その一方で本実施形態のノイズ対策回路がある場合、ノイズ検知回路302内のノイズ検知容量Cn2は、電源電圧VDDを阻止するが、ノイズ電圧の高周波成分を透過させる。これにより、トランジスタMN2のゲートに供給されるノイズ検知信号Vgn3は、
図7においてVgn3波形に示すように上昇する。つまり、トランジスタMN2のゲート電圧は上昇する。ここでノイズ検知信号Vgn3の電圧がトランジスタMN2のオンしきい値電圧(Vth)を超えているトランジスタMN2オン期間においてトランジスタMN2はオンになる。トランジスタMN2がオンになると論理反転素子INV1の入力端子の信号Vgn4は0Vになる。このため、論理反転素子INV1の出力信号である信号Vgn5の電圧、即ちノイズ放電スイッチMND4のゲート電圧はオン電圧(=電源電圧VDD)になる。これにより配線Dに流れ込んできたノイズ電流をノイズ放電スイッチMND4を経由してグランドGNDに放電させることができる。
【0051】
ノイズ電圧は、ピーク値に達してから立ち下がる。これに従って、ノイズ検知信号Vgn3も立ち下がり、続けてトランジスタMN2はオンからオフに切り替わる。しかし、論理反転素子INV1の入力端子には、プルアップ抵抗Rn3と、論理反転素子INV1のゲートに付加した容量Cinvによって決まる時定数τ=Rn3×Cinvの低域通過フィルタが形成されている。従って、論理反転素子INV1の入力信号Vgn4の電圧が0Vから電源電圧VDDへと遷移するまでには時定数τに比例した時間を要する。論理反転素子INV1が出力する信号Vgn5の論理反転には論理反転素子INV1の入力信号Vgn4の電圧がしきい値電圧(電源電圧VDD電圧の約1/2)を超える必要がある。このため、ノイズ放電スイッチMND4は、信号Vng4の電圧がしきい値電圧を超えない期間(MND4オン期間)はオン状態であり、ノイズ電流をグランドGNDへ流し続けることができる。
【0052】
例としてRn3=100kΩ、Cinv=1pFとすると時定数τ=1μsecとなり、信号Vgn4の電圧が0Vからしきい値電圧になるまでの時間は約0.7μsecになる。従って、信号Vgn4の電圧の上昇が開始してからも0.7μsecの間は、ノイズ放電スイッチMND4はノイズ電流の放電を継続することができる。
【0053】
従って、トランジスタMN2、プルアップ抵抗Rn3、容量Cinvは、ノイズがピーク値付近の電圧を維持している期間を長くする波形整形部として機能する。また、
図7を参照すると、論理反転素子INV1の入力信号Vng4のレベルが反転しきい値(VDD×1/2)以下である期間においては、論理反転素子INV1の出力はHIGHの論理レベルを有する。そして、HIGHの論理レベルに対応する電圧は、トランジスタMND4をオンにさせる電圧である。従って、トランジスタMN2、プルアップ抵抗Rn3、容量Cinv、及び論理反転素子INV1は、全体としてみると、ノイズがピーク値を維持している期間を長くする波形整形部或いは単安定マルチ・バイブレータとして機能していることになる。また、特に、この波形整形部は、ノイズが続けてピーク値を持つ場合には、ピーク値を持つたびに、それを起点としてノイズがピーク値を維持している期間を更新する。従って、トランジスタMN2、プルアップ抵抗Rn3、容量Cinv、及び論理反転素子INV1は、全体としてみると、ノイズのピークパルスをトリガとするリトリガブル単安定マルチ・バイブレータとして機能するともいえる。又は、トランジスタMN2、プルアップ抵抗Rn3、容量Cinv、及び論理反転素子INV1は、全体としてみると、ノイズのパルス幅を広げるパルス幅拡張回路として機能するともいえる。また、ノイズがピーク値を持つたびに、ノイズのパルス幅を広げるのでリトリガブルなパルス幅拡張回路として機能するともいえる。ノイズ放電スイッチMND4は、パルス幅拡張回路によりパルス幅が広げられている期間をノイズ検知回路302がノイズを検知している期間として配線からノイズ電流を放電することを可能化する。
【0054】
また本回路構成においてはノイズ放電スイッチMND4を駆動しているあいだは常に信号Vgn5の電圧を電源電圧VDDに保つことができるため、第1実施形態のノイズ検知回路102と比較してよりトランジスタの電流駆動能力を高いまま維持できる。つまり、
図7に示すように、ノイズ電圧が短期間に複数のピークを有する場合、ピーク間で放電が休止することを防止することができる。そのためより効率よくグランドGNDへノイズ電流を流すことが可能となる。そのため
図7において実線のVD波形で示すように配線Dの電圧上昇を抑えることができる。従って、配線Dの電圧をアンチヒューズ素子Caの絶縁膜破壊電圧10V以下に保つことができ、VH端子から侵入するノイズ電圧によりアンチヒューズ素子Caへの誤書込みが発生することを防止することが可能となる。
【0055】
更にノイズ検知回路302がノイズを検知し、ノイズ放電スイッチMND4がオンになる時刻までの間に、ノイズ電圧が電圧生成回路101を透過し、配線Dへと到達してしまう可能性がある。これを避けるために本実形態では
図3に示すように、電圧生成回路101の出力端子と中間ノードCCとの間にノイズ遅延用抵抗素子Rdを挿入している。ここで、中間ノードCCは、配線Dにおいて電圧生成回路101の出力端子と端子AAとの間にある。また、ノイズ放電スイッチMND4は、第1の接続端子が中間ノードCCに接続され、第2の接続端子がグランドGNDに接続されている。このような構成により、
図7のVD波形に示すように配線Dに侵入するノイズを遅延させ、VDの電圧が上昇する前にノイズ放電スイッチMND4をオンにさせることができる。アンチヒューズ素子Caに書込みを行う際にノイズ遅延用抵抗素子Rdにより電圧降下したり、ノイズ遅延用抵抗素子Rdにより書込み電流が制限されたりすることを避けるために、ノイズ遅延用抵抗素子Rdの抵抗値を例えば数十Ω程度に小さくする。このためには、例えば、ノイズ遅延用抵抗素子Rdを抵抗値が小さなポリシリコン層に形成したり、高濃度のN型拡散により形成すればよい。
【0056】
図8に本実施形態のノイズ対策回路をインクジェット記録素子基板に搭載した回路構成を示す。インクジェット記録素子基板は、複数の記録素子モジュール801と複数のメモリモジュール802を含む。各記録素子モジュール801は、電源VheatとグランドGNDの間において直列接続された記録素子RhとトランジスタMND80を含む。各メモリモジュール802は、メモリ部303を含む。記録素子Rhとは、インクジェット記録ヘッドに備わる圧力室にあるインクを加熱するためのヒータであってもよいし、圧力室にあるインクを駆動するための圧電素子であってもよい。インクジェット記録素子基板に複数のアンチヒューズ素子Caが備わることになるが、複数のアンチヒューズ素子には、例えば、インクジェット記録素子基板に対応付けられた情報が書き込まれる。
【0057】
選択回路803は、記録素子Rh及びアンチヒューズ素子Caの何れか一方を選択するための機能選択信号805を各記録素子モジュール801と各メモリモジュール802にある選択用の論理素子に供給する。また、選択回路803は、各ビットの選択/非選択を切り替えるためのビット選択信号804を各記録素子モジュール801と各メモリモジュール802にある選択用の論理素子に供給する。
【0058】
図8から明らかなように、ノイズ検知回路102は、電圧生成回路101が配置されている位置と比較して、外部接続端子であるVH端子から近い位置に配置されている。また、ノイズ検知回路102は、アンチヒューズ素子Caが配置されている位置と比較して、外部接続端子であるVH端子から近い位置に配置されている。ノイズ検知回路102がノイズを検知した場合、ノイズが電圧生成回路101及びノイズ遅延用抵抗素子Rdを経由して中間ノードCCに到達する前にノイズ放電スイッチMND4はオン状態となる。これによりノイズが記録素子モジュール801及びメモリモジュール802に侵入することを防止することができる。
【0059】
図9に本実施形態のノイズ対策回路をインクジェット記録素子基板901に配置した例を示す。メモリモジュール802は記録素子モジュール801が配列される方向に並列して配列され、それら配列の両端に外部接続端子903a配列群、903b配列群が配置される。ノイズ検知回路102やノイズ放電スイッチMND4、電圧生成回路101は外部接続端子903a配列群と記録素子モジュール801配列群との間の領域に配置される。ノイズ検知回路102は高感度に応答性良くノイズ電圧を検出できるように、VH端子に隣接して配置するのが好ましい。また選択回路803は外部接続端子903b配列群と記録素子モジュール801配列群との間の領域に配置される。
図9に従って配置することによってインクジェット記録素子基板の外形やインク供給口902との対称性を可能な限り維持し、かつ基板内の配線接続の領域をより小さく収めることができる。
【0060】
<第3実施形態>
本実施形態では、上記実施の形態で示した電圧生成回路を複数配置した場合の例を示す。
図10は本実施形態にかかる半導体装置の回路構成であり、半導体装置はアンチヒューズ素子Ca、並列抵抗素子Rp、トランジスタMND1、論理反転回路MP1、MN1を含む組であるメモリ部303を複数有する。配線E、配線Fは互いに電気的に分離され、各々の配線毎に、各々の電圧生成回路101A、101Bと、各々のノイズ放電スイッチMND41、MND42と、読出し回路204との接続スイッチMND31、MND32とを有する。従って、電圧生成回路101A及びノイズ放電スイッチMND41の組に対して、メモリ部303が複数備わり、電圧生成回路101A、101B及びノイズ放電スイッチMND42の組に対しても、メモリ部303が複数備わる。
【0061】
また、1つのノイズ検知回路102に対して、電圧生成回路101A、ノイズ放電スイッチMND41の組と、電圧生成回路101A、101B、ノイズ放電スイッチMND42の組が備わる。ノイズ検知回路102の出力信号であるノイズ検知信号Vgn5は、ノイズ放電スイッチMND41、MND42のそれぞれのゲートに接続される。ノイズ検知された際には、各々配線E、配線Fに侵入したノイズ電圧は、ノイズ検知信号Vgn5を受け取ったノイズ放電スイッチMND41、MND42が各々オンになることによって、ノイズ電流をグランドGNDへと放電する。
【0062】
本実施形態では説明のため、半導体装置が電圧生成回路を2つ有する例を示したが、単一期間内のアンチヒューズ素子Caの書込みビット数を更に増やしたい場合は、より多くの電圧生成回路を有してもよい。同様に単一期間内のアンチヒューズ素子Caの読出しビット数を更に増やしたい場合は、複数の読出し回路を有してもよい。本実施形態の構成により、VH端子から侵入するノイズ電圧からアンチヒューズ素子Caの誤書込みを防止することが可能となる。
【0063】
<その他の実施形態>
アンチヒューズ素子CaとトランジスタMND1を入れ替えてもよい。この場合、トランジスタMND1のソースドレイン間の電圧を第1書込み制御信号Sig1の論理レベルに応じて制御することにより、トランジスタMND1のON/OFFを切り替える回路を設ければよい。
【0064】
上記の実施形態では、第2端子BB、トランジスタMND2のソース、トランジスタMN1のソースはグランドGNDに接続されているが、一定の電位をもった電源に接続されていてもよい。
【0065】
上記の実施形態におけるノイズ遅延用抵抗素子Rdを他の遅延素子に変更してもよい。
【0066】
上記の実施形態では、第2端子BBはグランドGNDに接続されているが、グランドGNDに接続されないように変更してもよい。例えば、グランドGNDと第2端子BBの間に何かしらの回路が挿入されていてもよい。この変更に伴い、必要に応じて、トランジスタNP1とMN1により構成される論理反転回路を変更してもよい。
【0067】
上記に実施形態では、アンチヒューズ素子を特性可変素子の一例として取り上げて説明をしたが、本開示ではアンチヒューズ素子はこれに限られない。書込みにより書込み前と比較して何かしらの電気的特性が変化する特性可変素子が本開示に含まれる。例えば、書込みにより書込み前より抵抗値が高くなるような素子、書込みにより電気的インピーダンスが変化する特性可変素子が本開示に含まれる。
【0068】
上記の実施形態では、ノイズ対策回路をアンチヒューズ素子をサージ電圧などのノイズ電圧から保護するために利用する構成の説明をした。しかし、本開示は、これに限られず、ノイズ対策回路を他の素子や回路をサージ電圧などのノイズ電圧から保護する構成も含む。
【0069】
<本開示の技術的特徴>本開示は、以下の構成を含む。
【0070】
[構成1]
所定の電圧以上の電圧が印加されたときに電気的特性が変化する特性可変素子と、
前記特性可変素子への書込みを制御するための第1書込み制御信号に基づいて、導通状態又は非導通状態が切り替わる書込み制御スイッチと、
電源及び前記特性可変素子への書込みを制御するための第2書込み制御信号に基づいて、書込み電圧を出力端子から出力する電圧生成回路と、
を備え、
前記書込み電圧が前記電圧生成回路の前記出力端子から出力され、前記書込み制御スイッチが導通状態であるときに、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧が印加されることにより前記特性可変素子の電気的特性が変化する半導体装置であって、
前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧を印加するために用いられる配線と、
前記電源のノイズを検知するノイズ検知回路と、
前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知した時に前記配線からノイズ電流を放電することを可能化するノイズ放電スイッチと、
を更に備える半導体装置。
【0071】
[構成2]
前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチとは、第1端子と第2端子との間において直列に配置され、
前記電圧生成回路の前記出力端子と前記第1端子は、前記配線を介して相互に接続され、
前記第2端子の電位とは、前記書込み電圧が前記電圧生成回路の前記出力端子から出力され、前記書込み制御スイッチが導通状態であるときに、前記特性可変素子に前記所定の電圧以上の電圧が印加されるような電位である、
構成1に記載の半導体装置。
【0072】
[構成3]
前記第2端子は、接地されている、
構成2に記載の半導体装置。
【0073】
[構成4]
前記ノイズ放電スイッチは、前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知したときに前記配線において前記電圧生成回路の出力端子と前記第1端子との間にある中間ノードからノイズ電流が放電することを可能化するように配置され、
前記電圧生成回路の出力端子と前記中間ノードとの間に配置され、ノイズを遅延させる遅延素子を更に備える、
構成2又は3に記載の半導体装置。
【0074】
[構成5]
前記遅延素子は、抵抗素子である、
構成4に記載の半導体装置。
【0075】
[構成6]
前記ノイズ放電スイッチは、前記ノイズ検知回路が前記電源のノイズを検知した時に前記配線を接地する、
構成1乃至5の何れか1に記載の半導体装置。
【0076】
[構成7]
前記特性可変素子に並列に接続された抵抗素子を更に備える、
構成1乃至6の何れか1に記載の半導体装置。
【0077】
[構成8]
前記抵抗素子は拡散抵抗である、
構成7に記載の半導体装置。
【0078】
[構成9]
前記特性可変素子の電気的特性を読み出す読出し回路を更に備える、
構成1乃至8の何れか1に記載の半導体装置。
【0079】
[構成10]
前記読出し回路は、
電流を発生する電流源と、
比較器と、
を備え、
前記特性可変素子に前記電流を流したときの前記配線の電圧を前記比較器により基準電圧と比較する、
構成9に記載の半導体装置。
【0080】
[構成11]
前記電圧生成回路及び前記読出し回路は排他的に前記配線に電気的に接続される、
構成9又は10に記載の半導体装置。
【0081】
[構成12]
前記特性可変素子は、前記所定の電圧以上の電圧が印加されると抵抗値が変化するアンチヒューズ素子である、
請求項1乃至11の何れか1に記載の半導体装置。
【0082】
[構成13]
前記ノイズ検知回路は、前記電源の直流電圧を阻止し、ノイズを透過させる高域通過フィルタを備える、
構成1乃至12の何れか1に記載の半導体装置。
【0083】
[構成14]
前記ノイズ検知回路は、ノイズのパルス幅を広げるパルス幅拡張回路を備え、
前記ノイズ放電スイッチは、前記パルス幅拡張回路によりパルス幅が広げられている期間を前記ノイズ検知回路がノイズを検知している期間として前記配線からノイズ電流を放電することを可能化する、
請求項1乃至13の何れか1に記載の半導体装置。
【0084】
[構成15]
前記電圧生成回路はP型の高耐圧トランジスタにより構成される、
構成1乃至14の何れか1に記載の半導体装置。
【0085】
[構成16]
前記電源は、外部接続端子から供給され、
前記ノイズ検知回路は、前記電圧生成回路が配置されている位置と前記特性可変素子が配置されている位置の何れよりも前記外部接続端子から近い位置に配置されている、
構成1乃至15の何れか1に記載の半導体装置。
【0086】
[構成17]
1組の前記電圧生成回路、前記ノイズ検知回路、及び前記ノイズ放電スイッチに対して、前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチの組が複数備わる、
構成1乃至16の何れか1に記載の半導体装置。
【0087】
[構成18]
1つの前記ノイズ検知回路に対して、前記電圧生成回路及び前記ノイズ放電スイッチの組が複数備わり、
前記電圧生成回路及び前記ノイズ放電スイッチの各組に対して、前記特性可変素子と前記書込み制御スイッチの組が複数備わる、
構成1乃至16の何れか1に記載の半導体装置。
【0088】
[構成19]
構成1乃至18の何れか1項に記載の半導体装置を有するインクジェット記録素子基板。
【符号の説明】
【0089】
101 電圧生成回路
102 ノイズ検知回路
901 インクジェット記録素子基板
MND2、MND4 ノイズ放電スイッチ
Ca アンチヒューズ素子
MND1 書込み制御スイッチ