(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173259
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラム
(51)【国際特許分類】
E04H 6/18 20060101AFI20241205BHJP
E04H 6/42 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E04H6/18 601G
E04H6/42 C
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091570
(22)【出願日】2023-06-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-26
(71)【出願人】
【識別番号】309036221
【氏名又は名称】三菱重工機械システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【弁理士】
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100172524
【弁理士】
【氏名又は名称】長田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】野田 整一
(72)【発明者】
【氏名】税所 正昭
(72)【発明者】
【氏名】藤川 博康
(72)【発明者】
【氏名】安藤 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】小岩 正幸
(57)【要約】
【課題】安全性を向上させることのできる機械式駐車装置及び安全確認方法並びに安全確認プログラムを提供すること。
【解決手段】機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、乗降室内における車両の位置を検知するための後方検知センサ、在車センサと、乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視部80と、監視領域の物体を検知するための物体検知センサ30とを備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室内における車両の位置を検知するための車両検知手段と、
前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視手段と、
前記監視領域の物体を検知するための物体検知手段と
を備える機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車両検知手段は、乗降室において車両を停止させる室内停車領域と乗降室の入出庫口との間の車両移動経路における車両の位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記車両検知手段は、車両の後方部が前記室内停車領域の後方停車位置を超えていることを検知するための後方検知センサ、車両が前記室内停車領域に停止していることを検知するための在車センサの少なくともいずれか一つを含む請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、利用者にその旨を報知する報知手段を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
乗降室の入出庫口に設けられた入出庫扉と、
前記乗降室内に設けられるとともに、前記入出庫扉の閉扉予約をするための内部操作盤と、
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、前記閉扉予約を取り消す制御手段と
を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
乗降室外に設けられた外部操作盤を備え、
前記制御手段は、前記閉扉予約を取り消した場合に、前記内部操作盤からの閉扉予約を無効とし、利用者に前記外部操作盤から閉扉操作を行わせるためのガイダンスを行う請求項5に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサを備え、
前記室内監視手段は、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサと、
前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する室内監視手段と
を備える機械式駐車装置。
【請求項9】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室を備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、
前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、
前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる工程と、
前記監視領域の物体を検知する工程と
をコンピュータが実行する安全確認方法。
【請求項10】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサとを備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、
前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、
前記乗降室内における車両の位置に応じて、前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する工程と
をコンピュータが実行する安全確認方法。
【請求項11】
請求項9又は請求項10に記載の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
機械式駐車装置では、安全性を確保するために種々の方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、閉扉処理の一例として、第1の認証操作を行ったユーザの認証情報と第2の認証操作を行ったユーザの認証情報とが一致した場合に、安全確認を行い、その後、閉扉ボタンを押すと、入出庫扉が閉じる機械式駐車装置が記載されている。
また、特許文献2には、乗降エリアに入庫した車両の位置、大きさ、及び形状を検知して車両輪郭データを取得し、乗降エリアから車両輪郭データの範囲を除いた範囲を居残り検出範囲として設定し、居残り検出範囲の無人が確認された場合に、機械式駐車設備の起動を許可するように構成した機械式駐車装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-139401号公報
【特許文献2】特開2014-80735号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
乗降室内の無人を可能な限り確認し、機械式駐車装置の安全性の向上を図ることは、重要な課題の一つである。
【0005】
本開示は、安全性を向上させることのできる機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内における車両の位置を検知するための車両検知手段と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視手段と、前記監視領域の物体を検知するための物体検知手段とを備える。
【0007】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサと、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する室内監視手段とを備える。
【0008】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室を備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる工程と、前記監視領域の物体を検知する工程とをコンピュータが実行する。
【0009】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサとを備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する工程とをコンピュータが実行する。
【0010】
本開示の一態様に係る機械式駐車装置の安全確認プログラムは、上記記載の機械式駐車装置の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラムである。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、安全性を向上させることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本開示の一実施形態に係る機械式駐車装置の縦断面図である。
【
図2】本開示の一実施形態に係る乗降室を示す概略斜視透視図である。
【
図3】本開示の一実施形態に係る乗降室の内部及び外部におけるセンサの設置位置の一例について説明するための図である。
【
図4】本開示の一実施形態に係る測域センサの検知範囲の一例について説明するための図である。
【
図5】本開示の一実施形態に係る内部操作盤の一構成例を示した図である。
【
図6】本開示の一実施形態に係る外部操作盤の一構成例を示した図である。
【
図7】本開示の一実施形態に係る機械式駐車装置の制御装置が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る入庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る入庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図10】本開示の一実施形態に係る入庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図11】本開示の一実施形態に係る入庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図12】本開示の一実施形態に係る入庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図13】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図14】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図15】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図16】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図17】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図18】本開示の一実施形態に係る出庫時における監視領域の一例を示した図である。
【
図19】本開示の一実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図20】本開示の一実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図21】本開示の一実施形態に係る入庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図22】本開示の一実施形態に係る入庫時に実行される内部監視処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図23】本開示の一実施形態に係る出庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図24】本開示の一実施形態に係る出庫処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【
図25】本開示の一実施形態に係る出庫時に実行される内部監視処理の処理手順の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の一実施形態に係る機械式駐車装置及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムについて、図面を参照して説明する。以下に説明する実施形態では、本開示の機械式駐車装置としてエレベータ式のタワー型機械式駐車装置を例示して説明するが、この例に限定されない。本開示の機械式駐車装置は、垂直循環式、平面往復式、水平循環式、二多段式等であってもよい。また、パレットを使用しないコンベア式やフォーク式の機械式駐車装置であってもよい。
【0014】
図1は、本開示の一実施形態に係る機械式駐車装置1の縦断面図である。
図1に示すように、機械式駐車装置1は、複数の車両2を収容可能なエレベータ式のタワー型立体駐車場施設であり、入出庫口3と入出庫扉4とが設けられた駐車塔5を備えている。駐車塔5の地上階は、車両2を入出庫させる乗降室7となっており、その床面には車両2の方向を転換させるターンテーブル8が設置されている。ターンテーブル8は、乗降室7の床面に形成された凹状のピット9内に旋回板10と旋回駆動部11が設けられた構成である。なお、本実施形態では、乗降室7において、入庫及び出庫の両方が行われる場合を示しているがこれに限定されない。例えば、入庫と出庫とで乗降室を異ならせ、入庫専用の乗降室と、出庫専用の乗降室とを備える構成としてもよい。また、本実施形態において、1つの乗降室が示されているが、複数の乗降室を備えていてもよい。
【0015】
駐車塔5の中心部には垂直な昇降通路13が形成されており、この中にリフト14(搬送手段)が上下に昇降可能に設けられている。リフト14は、例えば駐車塔5の上部に設けられた図示しないウインチから下方に延びる複数本のワイヤロープに四隅を吊持され、上記ウインチが起動することにより昇降通路13内を上下に昇降することができる。
【0016】
一方、昇降通路13の両側には車両格納棚17(駐車スペース)が設けられている。この車両格納棚17は、昇降通路13を挟むようにして上下に多階層状に設けられており、それぞれの車両格納棚17には車両を積載するためのパレット18が1枚ずつ収容されている。なお、車両格納棚17の支柱等は図示が省略されている。
【0017】
リフト14と車両格納棚17の床面には、両者の床面の高さが一致した時に、空荷のパレット18、または車両2が積載されたパレット18を、リフト14から車両格納棚17に、または車両格納棚17からリフト14に、スムーズに受け渡すことができる図示しない受渡機構が設けられている。
【0018】
図2は、乗降室7を示す概略斜視透視図である。乗降室7の内部には、中央部にパレット18が配置されるスペースである室内停車領域がある。本実施形態において、室内停車領域とパレット18の領域とは同一である。
また、乗降室7において入出庫扉4の正面の壁には車両2の位置を利用者(運転手)が確認するための鏡24と、「前進」、「停車」、「後退」の案内を行う電光式の停車位置指示灯25とが設けられている。また、乗降室7の内部には、入出庫の状態に応じて点灯状態が変化する三色灯23が設けられている。三色灯23は、例えば、上から赤、黄、青の順とされている。停車位置指示灯25、三色灯23は、利用者に情報を通知するための報知部として機能する。また、乗降室内には、音声又は表示により利用者に情報(入出庫のためのガイダンス情報、エラー発生情報等)を通知するための他の報知手段、例えば、スピーカ、警告灯、ディスプレイ等が設けられていてもよい。
【0019】
乗降室7には、内部状況を撮影する4台のカメラ35A~35Dが設置されている。本実施形態において、カメラ35A~35Dは、例えば、ビデオカメラであり、それぞれ乗降室7の異なる壁面(4面)に取り付けられている。例えば、カメラ35Aは乗降室7内に停車した車両2の正面を撮影するように配置され、カメラ35Bは車両2の後面、カメラ35Cは車両2の左側面、カメラ35Dは車両2の右側面をそれぞれ撮影する位置に配置されている。なお、カメラの設置数については上記に限定されず、少なくとも1台のカメラが設けられていればよい。
【0020】
乗降室7の内部には、例えば、出庫時において、入出庫扉4を閉めるための入力情報を受け付ける内部操作盤26が設けられている。この内部操作盤26は、主に利用者(例えば、運転手)によって操作される。内部操作盤26は、乗降室7の右側部又は左側部に設けられていてもよいし、右側部及び左側部にそれぞれ設けられていてもよい。
【0021】
また、乗降室7の外部には、外部操作盤22が設けられている。この外部操作盤22は、例えば、この機械式駐車装置1を利用する利用者(運転手)、管理者、保守員等によって操作される。また、外部操作盤22の近傍には、カメラ35A~35Dによって撮像されたリアルタイム画像を表示するためのモニタ28が設置されている。また、乗降室7の外部には、入出庫扉4の上部に青と赤のランプを備えた入庫管制灯21が設けられている。
【0022】
乗降室7には、複数のセンサが設けられている。例えば、乗降室7には、乗降室7にいる人を検知するための物体検知センサ(物体検知手段)30(
図7参照)、乗降室7における車両の位置を検知するための車両検知センサ(車両検知手段)36(
図7参照)等が設けられている。
【0023】
図3は、乗降室7の内部及び外部におけるセンサの設置位置の一例について説明するための図である。
図3に示すように、本実施形態では、物体検知センサ30の一例として、2台の測域センサ30A、30Bが設けられている。測域センサ30Aは、例えば、乗降室7の後方左側に設けられ、測域センサ30Bは、例えば、乗降室7の後方右側に設けられている。測域センサ30A、30Bは、例えば、
図4に示すように、レーザー光線や超音波等の目標物に当たって反射する性質のある探査波Wを出力し、その反射波を受信しながら所定の角度範囲を水平方向にスキャニング(走査)することにより、乗降室内における物体(人、ペット、荷物等)の検知を行う。
【0024】
なお、物体検知センサ30は、この例に限られない。例えば、物体検知センサ30は、後述する監視領域における物体を検知可能なセンサであればよく、複数のセンサを組み合わせたものでもよい。例えば、上述した測域センサ30A、30Bに加えて又は代えて、他の公知の物体検知手段を適宜使用し、監視領域の物体検知を行うこととしてもよい。例えば、他の公知の物体検知手段として、乗降室7の前部領域、右側部領域、左側部領域、及び後部領域のそれぞれの領域に設けられた人感センサ、光電センサ等が挙げられる。また、他の物体検知手段として、上述したカメラ35A~35Dを代用することも可能であり、この場合には、カメラ35A~35Dによって取得された画像データに基づいて乗降室内の無人を判定することができる。
物体検知センサ30の検知信号は、後述するセンサ制御部57(
図7参照)に出力されるように構成されている。
【0025】
また、本実施形態では、車両検知センサ36の一例として、後方検知センサ31、在車センサ33、開度センサ34等が設けられている。
後方検知センサ31は、車両2がパレット(室内停車領域)18に正常に停車していることを検知するための停止位置検出センサの一つであり、車両2の後方部が所定の停止位置を超えていないかを判定するために用いられるセンサである。例えば、後方検知センサ31は、パレット18、換言すると、室内停車領域の後方(入出庫扉側)近傍に設けられた1対の光電センサである。光電センサからの光線が遮断されるか否かにより、入庫時においては、車両2の後方部が所定の停止位置を超えているか否かを判定することができ、出庫時においては、車両2がパレット18(室内停車領域)から入出庫扉4に向けて移動を開始したことを早期に検知することが可能となる。
【0026】
在車センサ33は、パレット18に車両2が停車していることを検知するセンサである。在車センサ33は、例えば、1対の光電センサであり、光電センサからの光線が遮断されるか否かにより、パレット18上に車両が載置されているか否かを検出する。
【0027】
開度センサ34は、例えば、入出庫扉4の開度に関する情報を出力するセンサである。例えば、開度センサ34は、入出庫口3の両側面部、かつ、所定の高さ位置に設けられた1対の光電センサである。この光電センサからの光線が遮断されるか否かにより、入出庫扉4の開度、換言すると、高さ方向の位置を検出する。また、開度センサ34は、入出庫扉4が全開の状態において、車両の乗降室7への侵入及び乗降室7からの退出を検知することができる。例えば、開度センサ34は、地面からの高さが300mmの高さに設けられている。
これら車両検知センサ36の検知信号は、後述するセンサ制御部57(
図7参照)に出力されるように構成されている。
【0028】
また、乗降室7の入出庫口3には、乗降室7から人又は車両が入退出したことを検知するための入退出検知センサ(侵入検知手段)32が設けられている。入退出検知センサ32は、例えば、入出庫口3の内側に設けられた一対のセンサ32Aと、入出庫口3の外側に設けられた一対のセンサ32Bとを有している。センサ32A、32Bは、例えば、送信部から送信されたビームを受信部において受信するタイプのセンサである。このビームが車両2や人等によって遮光されるとセンサがオンになり、その検知信号が後述するセンサ制御部57(
図7参照)に伝達されるようになっている。
【0029】
センサ制御部57は、例えば、センサ32Aからセンサ32Bの順でオン信号が入力された場合に乗降室7から人又は車両が退出したと判定する。また、センサ制御部57は、例えば、センサ32Bからセンサ32Aの順でオン信号が入力された場合に乗降室7に人又は車両が侵入したと判定する。
【0030】
なお、乗降室7への人又は車両の侵入を検知する手法は、上記例に限定されない。例えば、センサ32Aに代えて、乗降室7の後部領域における人を検知するためのセンサ(人感センサ、測域センサ、後方センサ等)、乗降室内に設置されている所定のセンサを使用してもよい。
また、
図3では、センサ32A、32Bは、入出庫扉4を挟んで乗降室7の内側と外側にそれぞれ設けられているが、この例に限定されない。例えば、センサ32A、32Bがいずれも乗降室内に設けられていてもよいし、乗降室外に設けられていてもよい。
【0031】
また、センサ制御部57は、入退出検知センサ32の検知信号に基づいて、人の入退出か車両の入退出かを判定することができる。例えば、人の入退出の場合、センサ32Aとセンサ32Bからは、同時期にオン信号が出力されない。これに対し、車両2の入退出の場合には、車両はある一定の長さを有していることから、センサ32Aのオン信号とセンサ32Bのオン信号とに時間的な重なりが生じる。このように、センサ32Aのオン信号とセンサ32Bのオン信号との時間的な重なり具合によって、人の入退出か車両2の入退出かを判定することができる。
【0032】
本実施形態では、上記構成による入退出検知センサ32により侵入及び退出がそれぞれ検出可能な構成とされているが、この例に限定されない。例えば、センサ32Aまたは32Bを省略し、入退出検知センサ32を一対の光電センサにより構成することとしてもよい。この場合、侵入か退出かを判別することはできないが、少なくとも人やペットが入出庫口3を通過したことを検知することができる。また、入退出検知センサ32は、上述したセンサに限られない。例えば、カメラ35を入退出検知手段として用いることも可能である。
【0033】
図5は、内部操作盤26の一構成例を示した図である。
図5に示すように、内部操作盤26は、利用者が入力操作を行うための入力部260を備えている。入力部260には、例えば、利用者の認証情報を受け付けるための認証情報入力部が設けられている。本実施形態では、認証情報入力部の一例として、ICカードリーダ261が設けられているが、この例に限定されない。認証情報入力部は、例えば、テンキー、指紋、虹彩、静脈の情報、顔画像等のいわゆる生体認証情報を読み取る生体情報読取部、無線通信(例えば、3G,4G,5G,6G、無線LAN、Wifi、LTE等)で認証情報を受信する無線通信部等によって構成されていてもよい。
【0034】
また、入力部260は、閉扉予約ボタン263、無人確認ボタン264等を備えていてもよい。また、入力部260は、タッチパネル262を備えていてもよい。タッチパネル262の表示は後述する制御装置40によって制御され、また、ICカードリーダ261によって読み取られた認証情報、閉扉予約ボタン263及び無人確認ボタン264が操作者等によって操作されることにより入力された情報は、制御装置40に出力される。なお、タッチパネル262に代えて、入力機能を有さないディスプレイを備えていてもよい。
【0035】
また、タッチパネル262に各種入力画面とガイダンスとが表示され、表示されたガイダンスに従って各種入力情報をタッチパネル262から入力するような構成とされていてもよい。この場合、ICカードリーダ261、閉扉予約ボタン263、無人確認ボタン264はタッチパネル262に表示されるボタンにより代用される。このように、各種情報の入力手法は、上記例に限定されず、公知の技術を適宜採用すればよい。
【0036】
また、内部操作盤26は、無線通信部を有していてもよく、利用者が備える携帯端末から入力された各種入力情報を無線通信部において受信することで、認証情報の入力、無人確認の入力、安全確認の入力、閉扉指示の入力等を行える構成としてもよい。また、携帯端末に代えて、車載器を用いることとしてもよい。携帯端末の一例として、スマートフォン、タブレット端末、リモートコントローラ等が挙げられる。
また、これらの各種入力情報を無線回線を介して入力するような場合には、内部操作盤26を簡素化することが可能となる。例えば、内部操作盤26に無線通信部を設ける代わりに、入力部260を省略することとしてもよい。また、ディスプレイと無線通信部とは必ずしも同じ筐体内に設けられている必要はなく、適宜、それぞれ適切な位置に設置することとしてもよい。
【0037】
図6は、外部操作盤22の一構成例を示した図である。
図6に示すように、外部操作盤22は、例えば、風雨からの保護と悪戯防止のために金属製の筐体43に収容されており、この筐体43には施錠可能な蓋44が設けられている。操作者が外部操作盤22を操作する際には、施錠を解錠して蓋44を開き、外部操作盤22にアクセスする。
【0038】
外部操作盤22は、例えば、利用者の認証情報を受け付けるための認証情報入力部を備えている。本実施形態では、認証情報入力部の一例として、ICカードリーダ46が設けられているが、この例に限定されない。認証情報入力部は、例えば、テンキー、指紋、虹彩、静脈の情報、顔画像等のいわゆる生体認証情報を読み取る生体情報読取部、無線通信(例えば、3G,4G,5G,6G、無線LAN、Wifi、LTE等)で認証情報を受信する無線通信部等によって構成されていてもよい。
【0039】
また、外部操作盤22は、タッチパネル45、操作者(例えば、利用者)に操作方法を音声で案内するためのスピーカ47、機械式駐車装置1の動作を非常停止させる非常停止ボタン48、マイク等を備えていてもよい。
【0040】
タッチパネル45は、表示機能と入力機能とを兼ね備えている。タッチパネル45には、例えば、入出庫の操作を行わせるための各種案内情報が表示されるとともに、入出庫の操作を操作者に行わせるための操作ボタン等が表示される。タッチパネル45の表示は後述する制御装置(制御手段)40によって制御され、また、タッチパネル45が操作者等によって操作されることにより入力された情報は、制御装置40に出力される。制御装置40は、例えば、乗降室7の内部又は外部に設置されている。
【0041】
図7は、本実施形態に係る機械式駐車装置1の制御装置40が備える機能の一例を示した機能ブロック図である。制御装置40は、例えば、情報処理装置であり、CPU、CPUが実行するプログラム等を記憶するための補助記憶装置、各プログラム実行時のワーク領域として機能するメインメモリ、ネットワークに接続するための通信インターフェース等を備えている。
制御装置40は、機械式駐車装置1の全体の制御を行う。例えば、制御装置40は、機械式駐車装置1を制御するために必要となる各種データが格納されている総合データベース52を備えている。総合データベース52には、在車状況、パレット形状種別、車両格納棚形状種別、当該機械式駐車装置1の使用を許可されている人物の識別情報、利用者等の連絡先(例えば、登録メールアドレス等)等が格納されている。当該機械式駐車装置1の使用を許可されている人物には、利用者の他、管理者、保守員等が含まれる。
【0042】
また、制御装置40は、後述する入庫処理、出庫処理の実行に伴い、必要なデータを格納するための記憶部41を備えている。例えば、記憶部41には、第1のユーザ認証処理においてユーザ認証に成功した利用者ID(第1認証情報)、物体検知センサ30の検知結果(例えば、測域センサ30A、30Bによるスキャン結果)、監視領域、各種モードの情報等が格納される。
【0043】
制御装置40の補助記憶装置には、機械式駐車装置1の各機構を制御するための制御プログラム等が記憶されており、CPUが補助記憶装置に格納されている各種プログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、後述する各部の機能を実現させる。また、プログラムの実行にあたり、CPUは総合データベース52に格納されている各種データを参照して用いる。
【0044】
上記制御プログラムは、制御装置40の製造時においてROM等の補助記憶装置に予め格納されていてもよいし、施工後などにおいて、制御プログラム等を配信するサーバ等からダウンロードしてインストールされてもよい。また、外部記憶装置を介してインストールされる態様としてもよい。このように、各種プログラムのインストール方法については特に限定されない。
【0045】
制御装置40は、主制御部50を備えている。主制御部50には、上述した総合データベース52に加えて、入出庫扉制御部55、搬送機制御部56、センサ制御部57、カメラ制御部58、画像データベース59、車両計測制御部61、旋回制御部62等が接続されている。また、主制御部50には、内部操作盤26及び外部操作盤22が接続されており、双方向通信が可能な構成とされている。
【0046】
入出庫扉制御部55は、主制御部50から動作指令を受けて入出庫扉4を開閉駆動する扉駆動部63を制御することにより、入出庫扉4を開閉させる。また、入出庫扉制御部55は、入出庫扉センサ67から入出庫扉4の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0047】
入出庫扉センサ67は、例えば、入出庫扉4の全開及び全閉を検知し、その旨を示す検知信号(扉全開信号、扉全閉信号)を入出庫扉制御部55に出力する。入出庫扉センサ67として、公知のセンサを適宜採用することができる。例えば、入出庫扉センサ67の一例として、リミットスイッチ等が挙げられる。扉駆動部63は、例えば、モータ等を備えて構成される。なお、扉駆動部63には、公知の種々の構成を適宜採用することができる。
【0048】
搬送機制御部56は、主制御部50から動作指令を受けてリフト14を駆動するリフト駆動部64を制御することにより、リフト14の昇降およびパレット18の積み下ろし動作を制御する。また、搬送機制御部56は、搬送機位置センサ68からリフト14の位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0049】
センサ制御部57は、物体検知センサ30の検知信号を受信し、その情報を主制御部50に出力する。また、センサ制御部57は、入退出検知センサ32の検知信号に基づいて人又は車両の入退出を判定し、判定結果を主制御部50に出力する。また、センサ制御部57は、車両検知センサ36の検知信号を主制御部50に出力する。
【0050】
また、センサ制御部57は、主制御部50からの指示に基づいて、物体検知センサ30の無効化及び有効化並びに入退出検知センサ32の無効化及び有効化を制御する。
ここで、センサの無効化は、センサ自体の作動を停止させる、すなわち、センサを物体の検知ができない状態とすることを含む。また、センサの無効化は、センサ自体は作動しているが、仮にセンサによって物体が検知された場合でも、そのセンサの検知結果をソフトウェアによる判定処理において無効化する(物体を検知していないと判定する)ことも含む。
【0051】
カメラ制御部58は、主制御部50から動作指令を受けて乗降室7の内部に設置されたカメラ35(35A~35D)に画像を撮像させ、その画像情報を主制御部50に出力する。この画像情報は、画像データベース59に所定の期間蓄積される。なお、画像データベース59を総合データベース52の内部に設けたり、クラウド上に設けたりしても良い。
【0052】
車両計測制御部61は、主制御部50から動作指令を受けて、車両計測器69により、リフト14に搭載された車両の車重を計測し、車重センサ73を介してその情報を主制御部50にフィードバックする。この車重情報は、リフト14の制御等に用いられる。
【0053】
旋回制御部62は、主制御部50から動作指令を受けて、ターンテーブル8を旋回させる旋回駆動部11を制御することによってターンテーブル8を動作させる。また、旋回制御部62は、ターンテーブル位置センサ71によりターンテーブル8の旋回位置信号を受けて、その情報を主制御部50にフィードバックする。
【0054】
主制御部50は、各制御部55,56,57,58,61,62からのフィードバック、内部操作盤26又は外部操作盤22からの入力情報に基づいて機械式駐車装置1を運行させる。また、主制御部50は、内部操作盤26及び外部操作盤22と授受する各種情報に基づいて入庫処理の制御プログラムや出庫処理の制御プログラムを実行する。なお、物体検知センサ30、入退出検知センサ32、後方検知センサ31、在車センサ33の検知信号については、上述したセンサ制御部57を介して主制御部50に入力される態様に代えて、直接的に主制御部50に入力されることとしてもよい。このようにすることで、検知信号に応じたより迅速な制御を実施することが可能となる。
【0055】
また、主制御部50は、例えば、室内監視部(室内監視手段)80、無人確認部81を備えている。
室内監視部80は、乗降室内における車両の位置、より具体的には、車両の移動経路上における位置に応じて、無人を確認するための監視領域を変化させる。また、室内監視部80は、乗降室内における車両の位置、より具体的には、車両の移動経路上における位置に応じて、物体検知センサ30の無効化及び有効化並びに入退出検知センサ32の無効化及び有効化を制御する。なお、入退出検知センサ32が無効化された状態において、物体検知センサ30が入退出検知センサ32の機能を担う。すなわち、監視領域と監視領域以外の領域との境界(例えば、
図9~
図11、
図15~
図17における太線)を侵入検知ラインとして仮想的に設定することで、入庫又は出庫の状況に応じて侵入検知ラインを動的に変化させることができる。
【0056】
無人確認部81は、物体検知センサ30からの検知信号に基づいて、室内監視部80によって設定された監視領域の無人を確認する。具体的には、無人確認部81は、監視領域において物体が検知されているか否かを判定する。監視領域において物体が検知されていない場合には無人と判定し、検知されている場合には無人でないと判定する。
【0057】
次に、室内監視部80による入退出検知センサ32及び物体検知センサ30の有効化及び無効化、並びに、監視領域の設定について
図8~
図18を参照して説明する。
【0058】
〔入庫時の監視領域〕
入庫時において、室内監視部80は、例えば、
図8に示すように、車両2が乗降室外に停車されている場合、乗降室内の全域である監視領域K0を設定するとともに、物体検知センサ30及び入退出検知センサ32を有効化する。
【0059】
次に、例えば、
図9に示すように、入出庫扉4が全開状態であることが検知された場合には、室内監視部80は、監視領域K1を設定する。監視領域K1は、例えば、監視領域K0から乗降室7の後方領域が除かれた領域である。また、室内監視部80は、入退出検知センサ32を無効化する。
【0060】
次に、例えば、
図10に示すように、車両2が乗降室内に侵入することにより、開度センサ34によって検知された場合に、室内監視部80は、監視領域K2を設定する。監視領域K2は、例えば、乗降室7の監視領域K0から乗降室7の後方領域及び室内停車領域の一部が除かれた領域である。
また、例えば、
図11に示すように、車両2が後方検知センサ31によって検知された場合に、室内監視部80は、監視領域K3を設定する。監視領域K3は、例えば、監視領域K0から乗降室7の後方領域及び前方領域並びに室内停車領域が除かれた領域である。
【0061】
また、例えば、
図12に示すように、車両2が後方検知センサ31によって検知されず、かつ、在車センサ33によって車両2が検知された場合、換言すると、車両2がパレット18上に移動して停止した場合に、室内監視部80は、物体検知センサ30を無効化する。
【0062】
次に、例えば、
図13に示すように、利用者(運転手)の退出が開度センサ34によって検知された場合に、室内監視部80は、監視領域K4を設定する。監視領域K4は、監視領域K0から室内停車領域と乗降室の前方領域とが除かれた領域である。
【0063】
なお、入退出検知センサ32を有効化するタイミングは上記に限られない。例えば、車両がパレット18上に停止したことが検知された場合、換言すると、
図12に示す状態において、入退出検知センサ32を有効化することとしてもよい。
【0064】
〔出庫時の監視領域〕
出庫時において、入出庫扉4が全開状態となるまでは、監視領域K4が設定され、物体検知センサ30及び入退出検知センサ32は有効化された状態とされている。
【0065】
次に、例えば、
図14に示すように、入出庫扉4が全開状態であることが検知された場合には、室内監視部80は、物体検知センサ30を一時的に無効化する。すなわち、出庫の際には、利用者が乗降室内に侵入して内部を移動する必要があることから、少なくとも物体検知センサ30を無効化する必要がある。物体検知センサ30を有効化させるタイミングは、例えば、利用者が車両2に乗車したことが乗降室内のセンサやカメラ35の映像に基づいて確認されたとき、又は、後述するように、内部操作盤26において閉扉予約の入力操作が行われてから所定期間経過したときなどが挙げられる。
【0066】
次に、例えば、
図15に示すように、利用者が車両2に乗り込み、車両2を移動させることによって車両2が後方検知センサ31によって検知された場合に、室内監視部80は、監視領域K3を設定する。また、室内監視部80は、入退出検知センサ32を無効化する。
【0067】
次に、
図16に示すように、在車センサ33によって車両2が検知されない状態となると、室内監視部80は、監視領域K2を設定する。
続いて、
図17に示すように、後方検知センサ31によって車両2が検知されない状態となると、室内監視部80は、監視領域K1を設定する。
次に、
図18に示すように、開度センサ34によって車両2の退出が検知されると、室内監視部80は、監視領域K0を設定するとともに、入退出検知センサ32を有効化する。これにより、入退出検知センサ32によって物体が検知された場合には、人やペットの侵入であると判定されることとなる。
【0068】
このように、室内監視部80は、乗降室内における車両2の移動位置に応じて異なる監視領域K1~K4を設定する。換言すると、室内監視部80は、乗降室7における車両移動経路の位置に応じてそれぞれ異なる監視領域を動的に設定する。これにより、車両の移動に応じて適切な監視範囲を動的に設定することができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0069】
〔入庫処理〕
次に、入庫時において、制御装置40によって実行される入庫処理の一例について図を参照して説明する。
図19~
図21は、制御装置40によって実行される入庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0070】
まず入庫を行う場合、利用者は車両2を入出庫口3の前に移動させ、降車して、外部操作盤22に向かう。そして、専用の鍵で施錠を解錠し筐体43の蓋44を開ける。制御装置40は、蓋44が開いたことを検知すると(
図19のSA1)、外部操作盤22のタッチパネル45に第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0071】
利用者がICカードをICカードリーダ46に接触させると、ICカードに登録されている利用者ID(第1認証情報)が読み取られ、制御装置40に送信される。制御装置40は、利用者IDが入力されると(SA3)、入庫を行おうとしている人物が予め登録された利用者であるか否かを判定する第1のユーザ認証(第1認証)を行う(SA4)。具体的には、制御装置40は総合データベース52にアクセスし、入力された利用者IDが登録されているか否かを判定する。この結果、第1のユーザ認証が成功しなかった場合には(SA5:NO)、タッチパネル45にユーザ認証に失敗したメッセージを表示させることによりユーザに認証が失敗したことを通知した上で、第1のユーザ認証画面を表示させる(SA2)。
【0072】
一方、第1のユーザ認証が成功した場合(SA5:YES)、すなわち、利用者IDが総合データベース52に登録されている場合には、外部操作盤22のタッチパネル45からの入力操作が可能な操作許可状態とし(SA6)、第1のユーザ認証が成功した利用者IDを記憶部41に記憶し(SA7)、外部操作盤22のタッチパネル45に起動確認画面を表示させる(SA8)。
【0073】
起動確認画面において、起動ボタンが押下されると(SA9)、制御装置40は、リフト14等の車両搬送機構や入出庫扉4等の機械機構の運転が可能な運転許可状態とし(SA10)、車両格納棚17から空パレットを呼び出す(SA11)。
【0074】
次に、空パレットが乗降室7に到着すると、制御装置40はタッチパネル45に入出庫扉4が開くことを示す扉開画面を表示し、入出庫扉4を開く(SA12)。そして、入出庫扉4が完全に開くと(
図20のSA13)、制御装置40は、機械機構(リフト14等の車両搬送手段や入出庫扉4)の運転をロックする運転ロック状態とする(SA14)。
【0075】
続いて、制御装置40は利用者に対して入庫を促す入庫案内画面をタッチパネル45に表示させ(SA15)、更に、外部操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SA16)。これにより、利用者が外部操作盤22の前を離れている間における第三者によるタッチパネル45からの入力を阻止することが可能となる。
【0076】
また、制御装置40は、入出庫扉4が完全に開いたことが検知されると、内部監視処理を開始する(SA17)。なお、内部監視処理の詳細については後述する。
【0077】
入庫案内画面を確認した利用者は車両2に乗り込み、車両2を乗降室内に移動させ、乗降室内に搬送された空パレットに車両2を載置させ、乗降室を退出する。
次に、制御装置40は、外部操作盤22のタッチパネル45に第2のユーザ認証画面を表示させ、利用者に対して認証情報の入力を促す(SA18)。
【0078】
これにより、利用者等がICカードをICカードリーダ46に接触させ、認証情報(第2認証情報)が入力されると(SA19)、制御装置40は、受信した利用者ID(第2認証情報)が予め登録されている利用者IDであるか否かを判定する第2のユーザ認証を行う(SA20)。
【0079】
この結果、第2のユーザ認証に成功した場合には(SA20:YES)、続いて、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが同一か否かを判定する照合処理を行う(SA21)。照合処理に成功した場合には(SA21:YES)、
図21のステップSA22に移行する。
【0080】
一方、第2のユーザ認証が成功しなかった場合(SA20:NO)、又は、照合処理が成功しなかった場合には(SA21:NO)、ステップSA18に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証又は照合に失敗した旨を通知することとしてもよい。
【0081】
図21のステップSA22において、制御装置40は、外部操作盤22を操作許可状態とする。続いて、制御装置40は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル45に表示させるとともに、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SA23)。
【0082】
無人確認画面において、無人確認ボタンが押されると(SA24)、外部操作盤22のタッチパネル45に入出庫扉4を閉めるための扉閉画面を表示させる(SA25)。閉扉画面では、例えば、閉扉ボタンを表示するとともに、乗降室内の無人を再度確認した上で閉扉ボタンを操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。
【0083】
この閉扉画面において、閉扉ボタンが押されると(SA26)、制御装置40は物体検知センサ30の検知信号に基づいて監視領域K4(
図13参照)の無人を判定する(SA27)。この結果、監視領域K4に物体が検知された場合には(SA27:NO)、ステップSA23に戻る。一方、監視領域K4が無人であった場合には(SA27:YES)、閉扉処理を行い(SA28)、記憶部41に記憶されている利用者ID(第1認証情報)を消去し(SA29)、入庫処理を終了する。
【0084】
〔入庫時の内部監視処理〕
次に、
図20のSA17で実行される入庫時の内部監視処理について説明する。
図22は、制御装置40によって実行される入庫時の内部監視処理の手順の一例を示したフローチャートである。
上述したように、制御装置40は、入出庫扉4が完全に開いたことが検知されると、内部監視処理を開始する。
【0085】
まず、制御装置40は、監視領域K1(
図9参照)を設定し(SB1)、更に、入退出検知センサ32を無効化する(SB2)。続いて、車両2が乗降室内への移動を始めることにより、開度センサ34によって車両2が検知されると(SB3)、制御装置40は、監視領域K2(
図10参照)を設定する(SB4)。更に、車両2が移動を進め、後方検知センサ31によって検知されると(SB5)、制御装置40は、監視領域K3(
図11参照)を設定する(SB6)。続いて、車両2がパレット18上に移動して停止すると(SB7)、換言すると、後方検知センサ31によって検知されず、かつ、在車センサ33によって車両が検知されると、制御装置40は、物体検知センサ30を無効化する(SB8)。次に、利用者(運転手)の退出が開度センサ34によって検知されると(SB9)、制御装置40は、物体検知センサを有効化し(SB10)、監視領域K4(
図12参照)を設定する(SB11)。更に、制御装置40は、入退出検知センサ32を有効化して(SB12)、内部監視処理を終了する。
【0086】
なお、上述した内部監視処理において、車両2の移動中に物体検知センサ30によって監視領域に物体が検知された場合には、制御装置40は、監視領域に物体(人、ペット等)が検知されたことを報知し、利用者に対して周囲の安全確認を促すアナウンスを行う。例えば、アナウンスは、乗降室内に設置されたスピーカ等により、音声や警報によって行うことができる。また、乗降室内の前方にディスプレイを設置し、ディスプレイにメッセージを表示させることとしてもよい。また、停車位置指示灯25の停車を点灯させることにより、利用者に車両2を一旦停止させ、周囲の安全を確認した上で、再度移動を再開するように誘導してもよい。また、車両2に搭載された車載器との通信が可能な状態とされている場合には、無線通信部を介して車載器を通じて報知するようにしてもよい。
【0087】
〔出庫処理〕
次に、本実施形態に係る制御装置40によって実行される出庫処理について
図23~
図24を参照して説明する。
図23~
図24は、制御装置40によって実行される出庫処理の手順の一例を示したフローチャートである。
【0088】
出庫処理における開扉までの処理は、ステップSA11において空パレットではなく、車両が載置されたパレットが乗降室7に呼び出される点以外は、上述した入庫処理におけるSA1~SA12と同様であるから、ここでの詳細な説明は省略する。
図23のステップSC13において、入出庫扉4が完全に開くと、制御装置40は、機械機構(リフト14等の車両搬送手段や入出庫扉4)の運転をロックする運転ロック状態とする(SC14)。
【0089】
続いて、制御装置40は、利用者に対して出庫を促す出庫案内画面をタッチパネル45に表示させ(SC15)、更に、外部操作盤22のタッチパネル45からの入力を受け付けない操作ロック状態とする(SC16)。これにより、利用者が外部操作盤22の前を離れている間における第三者によるタッチパネル45からの入力を阻止することが可能となる。
【0090】
また、制御装置40は、入出庫扉4が完全に開いたことが検知されると、内部監視処理を開始する(SC17)。なお、内部監視処理の詳細については後述する。
【0091】
出庫案内画面を確認した利用者は、乗降室7に移動する。続いて、制御装置40は、内部操作盤26(
図5参照)のタッチパネル262に第2のユーザ認証画面を表示させ、利用者に対して認証情報の入力を促す(SC18)。制御装置40は、例えば、三色灯23の赤色を点灯させるとともに、スピーカを介して音声によって認証情報の入力を促すガイダンスを報知してもよい。
【0092】
これにより、利用者等がICカードをICカードリーダに接触させ、認証情報(第2認証情報)が入力されると(SC19)、制御装置40は、第2のユーザ認証を行う(SC20)。この結果、第2のユーザ認証に成功した場合には(SC20:YES)、続いて、第1のユーザ認証で入力された利用者ID(第1認証情報)と第2のユーザ認証で入力された利用者ID(第2認証情報)とが同一又は所定の関係を有するか否かを判定する照合処理を行う(SC21)。この結果、照合処理に成功した場合には(SC21:YES)、
図24のステップSC22に移行する。
【0093】
一方、第2のユーザ認証が成功しなかった場合(SC20:NO)、又は、照合処理が成功しなかった場合には(SC21:NO)、ステップSC18に戻り、第2のユーザ認証画面を表示させる。なお、このとき、認証又は照合に失敗した旨を通知することとしてもよい。
【0094】
次に、
図24のステップSC22において、制御装置40は、内部操作盤26を操作許可状態とする(SC22)。続いて、制御装置40は、乗降室内の無人確認を利用者に行わせるための無人確認画面をタッチパネル262に表示させるとともに(SC23)、利用者に無人確認を行わせるためのガイダンスを行う(SC24)。また、このとき制御装置40は、三色灯23の赤色を点滅させてもよい。
【0095】
無人確認画面において、無人確認ボタン264(
図5参照)が押されると(SC24)、制御装置40は、タッチパネル262に入出庫扉4の閉扉予約を行わせるための閉扉予約画面を表示させる(SC25)。閉扉予約画面では、例えば、乗降室内の無人を再度確認した上で閉扉予約ボタン263(
図5参照)を操作するように利用者を促すガイダンスが表示される。また、このとき、制御装置40は、三色灯23の黄色を点灯させてもよい。
【0096】
この閉扉予約画面を確認した利用者により、閉扉予約ボタン263が押されると(SC26)、制御装置40は、例えば、利用者に乗車するように促すガイダンスを行うとともに、三色灯23の黄色を点滅させる。続いて、制御装置40は、物体検知センサ30の検知結果に基づいて、乗降室7の人の無人が確認できたか否かを判定する(SC27)。ここで、乗降室内の物体検知センサ30による無人確認は、利用者が乗車した後に行う必要がある。このため、例えば、制御装置40は、閉扉予約ボタン263が押されてから所定期間後に、若しくは、乗降室内に設置されているセンサ又はカメラ35によって利用者の乗車が確認された後に、物体検知センサ30の検知結果に基づく無人確認を行う。
【0097】
この結果、物体検知センサ30によって乗降室内の無人が確認できない場合には(SC27:NO)、ステップSC23に戻り、無人確認画面をタッチパネル262に再び表示させる。また、このとき、制御装置40は、タッチパネル262に、人が乗降室内に侵入したことを報知することとしてもよい。
【0098】
一方、ステップSC27において、人の侵入が検知されていない場合には(SC27:YES)、制御装置40は、音声等によって利用者に対して退出を促すガイダンスを行うとともに、三色灯23の青色を点灯させる。これにより、利用者が車両2を移動させ、後方検知センサ31によって車両2が検知されると、制御装置40は、三色灯23の青色を点滅させる。そして、車両2の退出が開度センサ34によって検知されると(SC28)、制御装置40は、三色灯23を消灯させるとともに閉扉処理を行い(SC29)、記憶部41に記憶されている利用者IDを消去して(SC30)、出庫処理を終了する。
【0099】
〔出庫時の内部監視処理〕
次に、
図23のSC17で実行される出庫時の内部監視処理について説明する。
図25は、制御装置40によって実行される出庫時の内部監視処理の手順の一例を示したフローチャートである。
上述したように、制御装置40は、入出庫扉4が完全に開いたことが検知されると、内部監視処理を開始する。
【0100】
まず、制御装置40は、物体検知センサ30を一時的に無効化する(SD1)。続いて、利用者が車両2に乗り込み、乗降室外への移動を始めることにより、車両2が後方検知センサ31によって検知されると(SD2)、制御装置40は、監視領域K3(
図15参照)を設定し(SD3)、更に、入退出検知センサ32を無効化する(SD4)。
【0101】
更に、車両2が移動し、在車センサ33によって車両2が検知されない状態となると(SD5)、制御装置は、監視領域K2(
図16参照)を設定する(SD6)。更に、車両2が移動し、後方検知センサ31によって車両2が検知されない状態となると(SD7)、制御装置は、監視領域K1(
図17参照)を設定する(SD8)。更に、車両2が移動し、開度センサ34によって車両が乗降室7から退出したことが検知されると(SD9)、制御装置40は、監視領域K0(
図18参照)を設定し(SD10)、更に、入退出検知センサ32を有効化し(SD11)、内部監視処理を終了する。
【0102】
なお、上述した内部監視処理において、物体検知センサ30によって監視領域に物体が検知された場合、入退出検知センサ32によって人やペットの乗降室7への侵入が検知された場合には、制御装置40は、乗降室内において人やペット等が検知されたことを報知し、利用者に対して周囲の安全確認を促すアナウンスを行うとよい。
アナウンスは、例えば、乗降室内に設置されたスピーカ等により、音声や警報によって行うことができる。また、乗降室内の前方にディスプレイを設置し、ディスプレイにメッセージを表示させることとしてもよい。また、三色灯23を所定の態様で点灯又は点滅させることにより、車両2を一旦停止させ、周囲の安全を確認した上で、再度移動を再開するように誘導してもよい。また、制御装置40は、車両2に搭載された車載器との無線通信が可能な状態とされている場合には、車載器を通じて報知するようにしてもよい。
【0103】
また、制御装置40は、内部監視処理において、物体検知センサ30によって監視領域に物体が検知された場合、入退出検知センサ32によって人やペットの乗降室7への侵入が検知された場合には、車両2に乗り込む前に行われた内部操作盤26からの閉扉予約を取り消すとともに、利用者に内部操作盤26からの一連の入力操作(例えば、
図23のSC18~SC27)を再度行わせることとしてもよい。あるいは、制御装置40は、車両2に乗り込む前に行われた内部操作盤26からの閉扉予約を取り消すとともに、入庫時と同様に、外部操作盤22からの入力操作により閉扉を行わせることとしてもよい。
【0104】
このように、本実施形態に係る入庫処理及び出庫処理に係る一連の処理手順について説明したが、手順や処理内容については一例であり、適宜処理の追加、省略、手順変更が可能である。
【0105】
また、上述した出庫時における内部監視処理では、後方検知センサ31により車両2が検知された場合に入退出検知センサ32を無効化していたが、これに限られない。例えば、入退出検知センサ32を無効化するタイミングは、車両2が入退出検知センサ32が設置されている車両移動経路の位置を通過する前であればよい。
【0106】
また、上述した入庫処理では、外部操作盤22から閉扉のための一連の処理を行っていたが、これに限られない。例えば、出庫処理と同様に、内部操作盤26から閉扉のための一連の処理を行うこととしてもよい。
また、同様に、上述した出庫処理では、内部操作盤26から閉扉のための一連の処理を行っていたが、これに限られない。例えば、入庫処理と同様に、外部操作盤22から閉扉のための一連の処理を行うこととしてもよい。
【0107】
また、入出庫扉4を開けるための入力操作、入出庫扉4を閉めるための入力操作や確認作業等は一例であり、これに限られない。すなわち、入出庫扉4を開けるための入力操作、入出庫扉4を閉めるための入力操作や確認作業等については、公知の入力操作や確認作業等を適宜採用することが可能である。
【0108】
以上、説明してきたように、本実施形態に係る機械式駐車装置1及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムによれば、乗降室7内における車両2の位置を検知するための車両検知センサ36と、乗降室7内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視部80と、監視領域の物体を検知するための物体検知センサ30とを備える。
【0109】
これにより、車両2の移動時において、車両2の位置に応じて適切な監視領域を設定することが可能となる。これにより、外部からの侵入を高い精度で検知することができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0110】
以上、本開示について、上記実施形態を用いて説明したが、本開示の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。開示の要旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に多様な変更又は改良を加えることができ、該変更又は改良を加えた形態も本開示の技術的範囲に含まれる。また、上記実施形態で説明した入庫処理、出庫処理、入庫時における内部監視処理、出庫時における内部監視処理の流れは一例であり、本開示の主旨を逸脱しない範囲内において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、処理順序を入れ替えたりすることが可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、車両検知センサ36として、後方検知センサ31、在車センサ33、開度センサ34を用いていたがこれに限られない。例えば、他のセンサを車両検知センサ36として用いることとしてもよい。また、車両移動経路における車両2の位置をより細やかに検知できるように、車両検知センサを更に追設することとしてもよい。また、乗降室の前方又は後方に距離センサを設置し、車両との距離を計測することによって車両の位置を検知することとしてもよい。このように、車両2の位置をより細かく検知することにより、監視領域をより細やかに設定することが可能となる。
【0112】
また、上記実施形態では、入出庫扉4として上方開きの扉を例示して説明したがこれに限られない。例えば、入出庫扉4は、下方開き(地面に格納されるタイプ)であってもよいし、水平開きであってもよい。
【0113】
また、上述した各実施形態においては、制御装置40によって外部操作盤22及び内部操作盤26が制御される場合を例示したが、この例に限られない。例えば、外部操作盤22及び内部操作盤26のそれぞれに操作盤制御装置を設け、操作盤制御装置と制御装置40との情報のやり取りによって、上述の処理が実現されるようにしてもよい。この場合、例えば、制御装置40が行っていた認証情報(利用者ID)の格納処理や照合処理を外部操作盤22及び内部操作盤26のそれぞれに設けられている操作盤制御装置に実行させることとしてもよい。すなわち、上記入庫処理及び出庫処理を実現させるための具体的な制御系に関する装置構成については、上述した構成に限定されず、公知の技術を参酌し、様々な構成を実現し得る。
【0114】
以上説明した各実施形態に記載の機械式駐車装置1及びその安全確認方法並びに安全確認プログラムは、例えば以下のように把握される。
【0115】
本開示の第1態様に係る機械式駐車装置(1)は、車両(2)の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室(7)と、前記乗降室内における車両の位置を検知するための車両検知手段(36)と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視手段(80)と、前記監視領域の物体を検知するための物体検知手段(30)とを備える。
【0116】
これにより、車両の移動時において、車両の位置に応じて適切な監視領域を設定することが可能となる。この結果、外部からの侵入を高い精度で検知することができ、安全性を向上させることが可能となる。
【0117】
本開示の第2態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第1態様において、前記車両検知手段は、乗降室において車両を停止させる室内停車領域と乗降室の入出庫口(3)との間の車両移動経路における車両の位置を検出するための少なくとも1つのセンサ(33、34)を有する。
【0118】
これにより、乗降室において車両を停止させる室内停車領域と乗降室の入出庫口との間の車両移動経路における車両の位置に応じて、適切な監視領域を設定することが可能となる。
【0119】
本開示の第3態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第2態様において、車両検知手段は、車両の後方部が前記室内停車領域の後方停車位置を超えていることを検知するための後方検知センサ(31)、車両が前記室内停車領域に停止していることを検知するための在車センサ(33)の少なくともいずれか一つを含む。
【0120】
これにより、既存の機械式駐車装置において一般的に設置されているセンサを用いて車両移動経路における車両の位置を検出することが可能となる。この結果、センサを増設する手間やコストを不要とすることができる。
【0121】
本開示の第4態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第1から第3態様のいずれかにおいて、前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、利用者にその旨を報知する報知手段を備える。
【0122】
これにより、監視領域に物体が検知された場合には、利用者に対して注意喚起を促すことにより、例えば、目視による無人確認を実行させることが可能となる。これにより、安全性を更に向上させることができる。
【0123】
本開示の第5態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第1から第4態様のいずれかにおいて、乗降室の入出庫口(3)に設けられた入出庫扉(4)と、前記乗降室内に設けられるとともに、前記入出庫扉の閉扉予約をするための内部操作盤(26)と、前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、前記閉扉予約を取り消す制御手段(40)とを備える。
【0124】
このように、内部操作盤から入出庫扉の閉扉予約がなされた後に、物体検知手段によって監視領域に物体が検知された場合には、出庫時における自動閉扉の予約を取り消すので、人やペットなどが乗降室内に残された状態で入出庫扉が自動的に閉じられることを回避することが可能となる。これにより、安全性を更に向上させることが可能となる。
【0125】
本開示の第6態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第5態様において、乗降室外に設けられた外部操作盤(22)を備え、前記制御手段(40)は、前記閉扉予約を取り消した場合に、前記内部操作盤からの閉扉予約を無効とし、利用者に前記外部操作盤から閉扉操作を行わせるためのガイダンスを行う。
【0126】
このように、内部操作盤から入出庫扉の閉扉予約がなされた後に、物体検知手段によって監視領域に物体が検知された場合には、出庫時における自動閉扉の予約を取り消すとともに、内部操作盤からではなく外部操作盤から利用者に閉扉操作を行わせることが可能となる。これにより、安全性を更に向上させることができる。
【0127】
本開示の第7態様に係る機械式駐車装置(1)は、上記第1から第6態様のいずれかにおいて、乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサ(32)を備え、前記室内監視手段は、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する。
【0128】
これにより、車両の移動状態に応じて、適切なタイミングで侵入検知センサの有効化及び無効化を制御することが可能となる。
【0129】
本開示の第8態様に係る機械式駐車装置(1)は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサと、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する室内監視手段とを備える。
【0130】
これにより、車両の移動状態に応じて、適切なタイミングで侵入検知センサの有効化及び無効化を制御することが可能となる。
【0131】
本開示の第9態様に係る機械式駐車装置(1)の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室を備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる工程と、前記監視領域の物体を検知する工程とをコンピュータが実行する。
【0132】
本開示の第10態様に係る機械式駐車装置(1)の安全確認方法は、車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、前記乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサとを備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、前記乗降室内における車両の位置に応じて、前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する工程と、をコンピュータが実行する。
【0133】
本開示の第11態様に係る安全確認プログラムは、上記第9又は第10態様に記載の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラムである。
【符号の説明】
【0134】
1 :機械式駐車装置
2 :車両
3 :入出庫口
4 :入出庫扉
7 :乗降室
18 :パレット
21 :入庫管制灯
22 :外部操作盤
23 :三色灯
25 :停車位置指示灯
26 :内部操作盤
28 :モニタ
30 :物体検知センサ
30A :測域センサ
30B :測域センサ
32 :入退出検知センサ
32A :センサ
32B :センサ
31 :後方検知センサ
33 :在車センサ
34 :開度センサ
35 :カメラ
35A :カメラ
35B :カメラ
35C :カメラ
35D :カメラ
36 :車両検知センサ
40 :制御装置
45 :タッチパネル
46 :ICカードリーダ
47 :スピーカ
48 :非常停止ボタン
50 :主制御部
52 :総合データベース
55 :入出庫扉制御部
57 :センサ制御部
67 :入出庫扉センサ
80 :室内監視部
81 :無人確認部
260 :入力部
261 :ICカードリーダ
262 :タッチパネル
263 :閉扉予約ボタン
264 :無人確認ボタン
【手続補正書】
【提出日】2023-11-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室内における車両の位置を検知するための車両検知手段と、
前記乗降室内における車両の移動経路上における各位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視手段と、
前記監視領域の物体を検知するための物体検知手段と
を備える機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車両検知手段は、乗降室において車両を停止させる室内停車領域と乗降室の入出庫口との間の車両移動経路における車両の位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記車両検知手段は、車両の後方部が前記室内停車領域の後方停車位置を超えていることを検知するための後方検知センサ、車両が前記室内停車領域に停止していることを検知するための在車センサの少なくともいずれか一つを含む請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、利用者にその旨を報知する報知手段を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
乗降室の入出庫口に設けられた入出庫扉と、
前記乗降室内に設けられるとともに、前記入出庫扉の閉扉予約をするための内部操作盤と、
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、前記閉扉予約を取り消す制御手段と
を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
乗降室外に設けられた外部操作盤を備え、
前記制御手段は、前記閉扉予約を取り消した場合に、前記内部操作盤からの閉扉予約を無効とし、利用者に前記外部操作盤から閉扉操作を行わせるためのガイダンスを行う請求項5に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサを備え、
前記室内監視手段は、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室を備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、
前記乗降室内における車両の位置を検知する工程と、
前記乗降室内における車両の移動経路上における各位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる工程と、
前記監視領域の物体を検知する工程と
をコンピュータが実行する安全確認方法。
【請求項9】
請求項8に記載の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラム。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-22
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室と、
前記乗降室内における車両の位置を検知するための車両検知手段と、
前記乗降室内における車両の移動経路上における、前記車両検知手段によって検知された車両の各位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視手段と、
車両の移動中において、前記監視領域の物体を検知するための物体検知手段と
を備える機械式駐車装置。
【請求項2】
前記車両検知手段は、乗降室において車両を停止させる室内停車領域と乗降室の入出庫口との間の車両移動経路における車両の位置を検出するための少なくとも1つのセンサを有する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記車両検知手段は、車両の後方部が前記室内停車領域の後方停車位置を超えていることを検知するための後方検知センサ、車両が前記室内停車領域に停止していることを検知するための在車センサ、および乗降室の前方又は後方に設置されるとともに、車両との距離を計測することによって車両の位置を検知する距離センサの少なくともいずれか一つを含む請求項2に記載の機械式駐車装置。
【請求項4】
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、利用者にその旨を報知する報知手段を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項5】
乗降室の入出庫口に設けられた入出庫扉と、
前記乗降室内に設けられるとともに、前記入出庫扉の閉扉予約をするための内部操作盤と、
前記物体検知手段によって前記監視領域に物体が検知された場合に、前記閉扉予約を取り消す制御手段と
を備える請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項6】
乗降室外に設けられた外部操作盤を備え、
前記制御手段は、前記閉扉予約を取り消した場合に、前記内部操作盤からの閉扉予約を無効とし、利用者に前記外部操作盤から閉扉操作を行わせるためのガイダンスを行う請求項5に記載の機械式駐車装置。
【請求項7】
乗降室内への物体の侵入を検知する侵入検知センサを備え、
前記室内監視手段は、前記乗降室における車両の位置に応じて前記侵入検知センサの有効化及び無効化を制御する請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項8】
車両の入庫及び出庫の少なくともいずれか一方を行う乗降室を備える機械式駐車装置に適用される安全確認方法であって、
前記乗降室内における車両の位置を検知する車両検知工程と、
前記乗降室内における車両の移動経路上における、前記車両検知工程において検知された車両の各位置に応じて、乗降室内の無人を確認するための監視領域を変化させる室内監視工程と、
車両の移動中において、前記監視領域の物体を検知する物体検知工程と
をコンピュータが実行する安全確認方法。
【請求項9】
請求項8に記載の安全確認方法をコンピュータに実行させるための安全確認プログラム。