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特開2024-173267棒金移送装置および棒金収納システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173267
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】棒金移送装置および棒金収納システム
(51)【国際特許分類】
   G07D 9/00 20060101AFI20241205BHJP
   G07D 11/235 20190101ALI20241205BHJP
   B25J 15/08 20060101ALI20241205BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G07D9/00 Z
G07D11/235
G07D9/00 A
B25J15/08 T
B25J15/08 Q
B25J15/08 C
B25J13/08 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091586
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116079
【氏名又は名称】ローレルバンクマシン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500267170
【氏名又は名称】ローレル機械株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500265501
【氏名又は名称】ローレル精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 克彦
【テーマコード(参考)】
3C707
3E141
【Fターム(参考)】
3C707BS10
3C707ES03
3C707ET08
3C707EV13
3C707HS27
3C707HT22
3C707KW01
3E141AA08
3E141DA06
3E141EA06
3E141FG01
3E141KA06
3E141LA21
3E141LA44
(57)【要約】
【課題】移送の際に異常棒金の混入を検出することができる棒金移送装置および棒金収納システムを提供する。
【解決手段】特定金種の複数の棒金Bを、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部82により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、複数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持状態に応じて、把持する複数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。これにより、移送の際に異常棒金の混入を検出することができる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
特定金種の複数の棒金を、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、
前記複数の棒金のそれぞれを挟持する一対の前記挟持部の挟持状態に応じて、把持する前記複数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する
棒金移送装置。
【請求項2】
一対の前記挟持部の挟持位置の相違により、把持する前記複数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する請求項1記載の棒金移送装置。
【請求項3】
一対の前記挟持部の挟持位置の相違により、負圧経路が閉塞されるか否かとし、前記負圧経路に設けられた圧力センサの検出結果に基づいて、把持する前記複数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する請求項2記載の棒金移送装置。
【請求項4】
さらに、
一対の前記挟持部のうちの一方の前記挟持部を複数並べて保持する第1保持部と、
一対の前記挟持部のうちの他方の前記挟持部を複数並べて保持する第2保持部と、
前記第1保持部と前記第2保持部とを近接および離間させる把持駆動部と、
前記第1保持部と前記第2保持部との間隔を検出する間隔検出部と、
前記間隔検出部の検出結果に基づいて、把持する前記複数の棒金内に存在する異常棒金の種類を特定する異常棒金種類特定部と、
を備える請求項1ないし3のいずれか一項記載の棒金移送装置。
【請求項5】
一対の前記挟持部の挟持位置の相違を検出するセンサを前記挟持部ごとに設け、これら複数のセンサの検出結果に基づいて、把持する前記複数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する請求項2記載の棒金移送装置。
【請求項6】
前記複数のセンサの検出結果に基づいて、把持する前記複数の棒金内に存在する異常棒金が枚数不足棒金であるか、枚数過剰棒金であるかを判断する請求項5記載の棒金移送装置。
【請求項7】
さらに、異常棒金があると判断したとき、把持する前記複数の棒金を異常棒金回収部に排除する請求項1ないし3、5ないし6のいずれか一項記載の棒金移送装置。
【請求項8】
特定金種の棒金を供給する棒金供給装置と、
前記棒金供給装置より供給される特定本数の棒金を纏めて把持して移送可能な棒金移送装置と、
前記棒金移送装置によって把持されて移送された前記特定本数の棒金を受け取って収納部材に収納する棒金収納装置と、
を有する棒金収納システムであって、
前記棒金移送装置は、
前記特定本数の棒金を、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、
前記特定本数の棒金のそれぞれを挟持する一対の前記挟持部の挟持状態に応じて、把持する前記特定本数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する
棒金収納システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、棒金移送装置および棒金収納システムに関する。
【背景技術】
【0002】
所定枚数のバラ硬貨を集積して包装紙を巻き付け、巻き付けた包装紙の両端部を加締めて包装硬貨、すなわち棒金とする硬貨包装機がある。また、このような硬貨包装機から供給される特定金種の棒金を所定本数集め、これを箱詰めする装置もある(例えば、特許文献1を参照)。また、所定本数の棒金が箱詰めされたか否かを、所定本数の棒金の重量を検知することで確認する計量部が設けられた装置もある(例えば、特許文献2,3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭54-018636号公報
【特許文献2】特許第3253837号公報
【特許文献3】特許第3712570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、棒金には、構成する硬貨の枚数が、作製時や作製後に不足する状態になる枚数不足棒金や、作製時に過剰となる枚数過剰棒金等の異常棒金を生じることがある。このような異常棒金は、例えば硬貨包装機による作製時に検出されて排除される場合もあるが、検出ミスや排除ミス、搬送中に生じる異常等の何らかの理由により、硬貨枚数が正常の正常棒金と混在してしまう場合がある。例えば箱詰め処理等、棒金を処理する各種処理の処理効率向上等の観点から、異常棒金は、可能な限り早めに検出するのが好ましい。例えば棒金を移送する際に検出することができれば、処理効率向上を図ることができる。
【0005】
本発明は、移送の際に異常棒金の混入を検出することができる棒金移送装置および棒金収納システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係る第1の態様は、特定金種の複数の棒金を、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、前記複数の棒金のそれぞれを挟持する一対の前記挟持部の挟持状態に応じて、把持する前記複数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する。
【0007】
本発明に係る第2の態様は、特定金種の棒金を供給する棒金供給装置と、前記棒金供給装置より供給される特定本数の棒金を纏めて把持して移送可能な棒金移送装置と、前記棒金移送装置によって把持されて移送された前記特定本数の棒金を受け取って収納部材に収納する棒金収納装置と、を有する棒金収納システムであって、前記棒金移送装置は、前記特定本数の棒金を、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、前記特定本数の棒金のそれぞれを挟持する一対の前記挟持部の挟持状態に応じて、把持する前記特定本数の棒金内に異常棒金が存在するか否かを判断する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、移送の際に異常棒金の混入を検出することができる棒金移送装置および棒金収納システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る一実施形態の棒金移送装置を含む棒金収納システムを概略的に示す構成図である。
図2】本発明に係る一実施形態の棒金移送装置のハンド部を示す側面図である。
図3】本発明に係る一実施形態の棒金移送装置のハンド部を示す正面図である。
図4】本発明に係る一実施形態の棒金移送装置のハンド部の要部を示す断面図である。
図5】本発明に係る一実施形態の棒金移送装置のハンド部の要部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明に係る一実施形態の棒金移送装置および棒金移送装置を含む棒金収納システムを図面を参照して以下に説明する。
【0011】
図1は、実施形態の棒金収納システム10を概略的に示すものである。棒金収納システム10は、実施形態の棒金移送装置11を含んでいる。
【0012】
棒金収納システム10は、予め定められた特定金種すなわち予め定められた特定の単一の金種の棒金のみを収納対象として収納、具体的には箱詰め処理するように構成されたものである。複数金種の棒金を金種別に箱詰め処理する場合、このような棒金収納システム10が、それぞれの金種ごとに、構築されることになる。
【0013】
棒金収納システム10は、棒金移送装置11と、棒金供給装置12と、棒金収納装置13と、棒金収納システム10の全体を制御する制御装置14とを有している。
【0014】
棒金供給装置12は、バラ硬貨供給部21と、硬貨包装部22と、棒金整列部23とを有している。
【0015】
バラ硬貨供給部21は、予め定められた第1の特定金種(例えば100円硬貨)のバラ硬貨が、外部から多数投入されることになり、投入されたバラ硬貨を、硬貨包装部22へ順次供給する。
【0016】
硬貨包装部22は、バラ硬貨供給部21から供給されたバラ硬貨を一枚ずつ分離し、識別しつつ計数して、第1の特定金種以外のバラ硬貨を排除しつつ第1の特定金種の硬貨を所定の包装単位枚数(具体的には50枚)同軸上に集積させて集積硬貨とする。硬貨包装部22は、この集積硬貨の外周部に包装紙を巻き付ける。その際に、包装紙は、集積硬貨から集積方向両外側に延出する状態とされる。次に、硬貨包装部22は、集積硬貨に巻き付けられた包装紙の、集積硬貨から集積方向両外側に延出する両端部をそれぞれ径方向内側に加締めて棒金とする。このようにして作製された棒金は、それを構成するバラ硬貨の集積方向に中心軸線が延びる円柱状となる。硬貨包装部22は、このような棒金作成処理で作製した第1の特定金種の棒金を1本ずつ棒金整列部23に搬送する。その際に、硬貨包装部22は、棒金を、その軸方向に対して直交する方向に移動させる。
【0017】
棒金整列部23は、硬貨包装部22から1本ずつ搬送されてきた一の特定金種の棒金を、それぞれの軸線方向が平行となるように複数である特定本数整列させる。言い換えれば、棒金整列部23は、複数本の一の特定金種の棒金を、軸線方向が並列となる状態とする。その際に、棒金整列部23は、複数である特定本数の一の特定金種の棒金を、全ての中心軸線が同一平面上に配置されるように並べる。また、その際に、棒金整列部23は、複数である特定本数の一の特定金種の棒金を、外径が大きい金種は間隔を広くし、外径が小さい金種は間隔を狭くするように、その金種(外径)に応じた所定の等間隔で並べる。言い換えれば、棒金整列部23は、整列させる金種に応じた間隔で複数である特定本数の棒金を整列させる。また、その際に、棒金整列部23は、複数である特定本数の一の特定金種の棒金の軸方向一側の端面の位置を揃える。その結果、複数である特定本数の一の特定金種の棒金の軸方向他側の端面の位置も揃う。棒金整列部23は、複数である特定本数の一の特定金種の棒金を、このように整列させる。
【0018】
ここでは、棒金整列部23は、硬貨包装部22から1本ずつ搬送されてきた第1の特定金種の棒金を、それぞれの軸線方向が平行となるように、複数である特定本数、具体的には10本整列させる。その際に、棒金整列部23は、第1の特定金種の10本の棒金を水平に、第1の特定金種の外径に対応する所定の等間隔で並べる。
【0019】
このように、棒金整列部23に整列させられた10本の棒金からなる棒金群を棒金移送装置11が把持し持ち上げて棒金収納装置13に移送する。棒金整列部23は、このように整列させた10本の棒金を棒金移送装置11に受け渡すと、硬貨包装部22から搬送されてきた次の10本の棒金を整列させる。棒金整列部23は、このような整列動作を、棒金移送装置11で10本の棒金が移送される度に繰り返し行う。
【0020】
棒金供給装置12は、棒金整列部23において上記のように整列させた第1の特定金種の棒金を棒金移送装置11に供給する。
【0021】
棒金移送装置11は、棒金供給装置12の棒金整列部23で整列状態とされた複数である特定本数、具体的には10本の第1の特定金種の棒金を一度に把持し纏めて棒金収納装置13に移送する。言い換えれば、棒金移送装置11は、棒金供給装置12より供給される複数である特定本数の棒金を纏めて把持して移送可能となっている。
【0022】
棒金移送装置11は、多関節ロボット31と、負圧ポンプ等を含む負圧供給装置32と、異常棒金回収部33とを有している。
【0023】
多関節ロボット31は、多関節ロボット本体41と、多関節ロボット本体41の先端回転部42に取り付けられたハンド部45とを有している。先端回転部42は、回転中心軸線Oを中心に回転する。
【0024】
ハンド部45は、ベース部50と、第1把持ブロック51と、第2把持ブロック52とを有している。
【0025】
図2および図3に示すように、ベース部50は、多関節ロボット本体41の先端回転部42に固定されるベース本体部61を有している。また、ベース部50は、図3に示すように、互いに同一直線上に配置されてベース本体部61から両側に延出する一対のガイド軸62,63と、互いに同一直線上に配置されてベース本体部61から両側に延出する一対のラックギア64,65と、一対のラックギア64,65をそれぞれ駆動する一対の図示略の把持駆動モータと、を有する把持駆動部66を備えている。
【0026】
ベース本体部61は、多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oに沿って先端回転部42から延出している。ベース本体部61には、図2に示すように、圧力センサ71が設けられている。
【0027】
図3に示すように、一対のガイド軸62,63は、多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oを含む平面に対し垂直な方向にスライド可能となるようにベース本体部61に支持されている。
【0028】
一対のラックギア64,65は、一対のガイド軸62,63と平行に配置されており、多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oを含む平面に対し垂直な方向にスライド可能となるようにベース本体部61に支持されている。
【0029】
一対の図示略の把持駆動モータは、ベース本体部61内に設けられており、それぞれ駆動軸に図示略のピニオンギアが固定されている。一方の図示略の把持駆動モータに取り付けられた図示略のピニオンギアが一方のラックギア64に噛み合っており、他方の図示略の把持駆動モータに取り付けられた図示略のピニオンギアが他方のラックギア65に噛み合っている。
【0030】
第1把持ブロック51および第2把持ブロック52は、鏡面対称形状であり、鏡面対称状に配置されている。第1把持ブロック51および第2把持ブロック52は、一方の第1把持ブロック51が、ベース本体部61から同じ一側に延出するガイド軸62およびラックギア64のそれぞれの延出先端部に連結されており、他方の第2把持ブロック52が、ベース本体部61から同じ他側に延出するガイド軸63およびラックギア65のそれぞれの延出先端部に連結されている。
【0031】
把持駆動部66は、一方の図示略の把持駆動モータの駆動によって、この把持駆動モータに取り付けられた図示略のピニオンギアに噛み合う一方のラックギア64がベース本体部61に対してスライドし、その結果、このラックギア64に連結された一方の第1把持ブロック51が、この第1把持ブロック51に連結された一方のガイド軸62をベース本体部61に対してスライドさせながら、ベース本体部61に対して近接および離間する。
【0032】
また、把持駆動部66は、他方の図示略の把持駆動モータの駆動によって、この把持駆動モータに取り付けられた図示略のピニオンギアに噛み合う他方のラックギア65がベース本体部61に対してスライドし、その結果、このラックギア65に連結された他方の第2把持ブロック52が、この第2把持ブロック52に連結された他方のガイド軸63をベース本体部61に対してスライドさせながら、ベース本体部61に対して近接および離間する。
【0033】
把持駆動部66は、ラックギア64とラックギア65とが、同期して反対方向に移動する。よって、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52は、同期して共にベース本体部61に近づくように移動して互いに近接することになり、同期して共にベース本体部61から離れるように移動して互いに離間することになる。把持駆動部66は、第1把持ブロック51と、第2把持ブロック52とを近接および離間させるラックアンドピニオン機構である。なお、把持駆動部66は、一対の挟持駆動モータではなく、共通の一つの把持駆動モータで一対のラックギア64,65を同期して反対方向に移動させるようにして、第1把持ブロック51と第2把持ブロック52とを近接および離間させるようにしても良い。また、把持駆動部66は、ボールネジ機構によって第1把持ブロック51と、第2把持ブロック52とを近接および離間させるようにしても良い。
【0034】
第1把持ブロック51および第2把持ブロック52は、上記したように、鏡面対称形状であって、ベース部50に鏡面対称状に取り付けられる。このため、ここでは、これらのうち、一方の第1把持ブロック51を例にとり説明する。
【0035】
第1把持ブロック51は、保持部81と、挟持部82と、カバー部83とを有している。
【0036】
保持部81は、連結部91と、保持ベース部92と、図2に示す一対の配管連結部93と、図3に示す支持部94とを有している。
【0037】
連結部91は、板状であり、対応するガイド軸62およびラックギア64に固定されている。その際に、連結部91は、その厚さ方向をガイド軸62の軸方向に沿わせる。
【0038】
保持ベース部92は、図2に示すように、取付部101と、取付部101よりも幅が広い通路形成部102とを有している。通路形成部102は、取付部101の幅方向に延在しており、取付部101から取付部101の幅方向に沿って両側に延出している。保持ベース部92は、取付部101が連結部91に固定されている。その際に、保持ベース部92は、その厚さ方向を図3に示すガイド軸62の軸方向に沿わせる。保持ベース部92は、取付部101において連結部91に固定された状態で、通路形成部102が、取付部101から多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oの延在方向において先端回転部42とは反対側に広がっている。通路形成部102は、ベース部50および連結部91よりも多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oの延在方向において先端回転部42とは反対側に配置されている。
【0039】
保持ベース部92は、通路形成部102内に、通路111が形成されている。通路111は、図2に示すように、中間通路部112と、一対の端部通路部113と、複数の検出開口部114とを有している。
【0040】
中間通路部112は、通路形成部102の延在方向に直線状に延びている。
【0041】
一対の端部通路部113のうちの一方の端部通路部113は、中間通路部112の延在方向の一端側から、通路形成部102の取付部101側に延出しており、他方の端部通路部113は、中間通路部112の延在方向の他端側から、通路形成部102の取付部101側に延出している。
【0042】
図3に示すように、検出開口部114は、保持ベース部92の厚さ方向において、中間通路部112からベース本体部61側に延出し、通路形成部102のベース本体部61側の検出面部115に開口している。検出開口部114は、検出面部115に対して垂直に形成されている。
【0043】
通路111は、同形状の検出開口部114を、図2に示すように、複数である特定数、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の特定本数と同数の10箇所有している。これら複数の検出開口部114は、中間通路部112の延在方向に沿う同一直線上に中心軸線が配置されている。これら複数の検出開口部114は、中間通路部112の延在方向に所定の等間隔で配置されている。これら複数の検出開口部114は、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の配置間隔と同じ間隔で配置されている。言い換えれば、これら複数の検出開口部114は、第1の特定金種の棒金の外径に応じた間隔で配置されている。
【0044】
一対の配管連結部93は、いずれも保持ベース部92の通路形成部102の取付部101側に取り付けられている。一対の配管取付部93は、いずれも管状である。一対の配管連結部93は、一方の配管連結部93がその内部の通路を一方の端部通路部113の中間通路部112とは反対側の端部に連通させており、他方の配管連結部93がその内部の通路を他方の端部通路部113の中間通路部112とは反対側の端部に連通させている。一対の配管連結部93内の通路も、保持部81に設けられており、通路111を構成している。
【0045】
図3に示すように、支持部94は、保持ベース部92の通路形成部102に取り付けられている。支持部94は、保持ベース部92の厚さ方向における通路形成部102のベース本体部61側に取り付けられている。支持部94は、L字状の部材であり、固定部121と、支持本体部122とを有している。
【0046】
固定部121は、一方向に長い角柱状であり、通路形成部102に沿って延在する状態で検出面部115に当接して通路形成部102に固定されている。固定部121は、検出面部115から検出面部115に対し垂直をなしてベース本体部61側に突出している。
【0047】
支持本体部122は、一方向に長い平板状であり、固定部121の検出面部115とは反対側の端部から検出面部115に沿って突出している。支持本体部122も、通路形成部102に沿って延在する状態とされる。支持本体部122は、固定部121から多関節ロボット本体41の先端回転部42の回転中心軸線Oに沿ってベース本体部61とは反対の方向に突出している。支持本体部122は、その厚さ方向を、保持ベース部92の厚さ方向と一致させている。
【0048】
支持本体部122には、その厚さ方向に沿って貫通する支持穴123が形成されている。支持本体部122は、同形状の支持穴123を、複数である特定数、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の特定本数と同数の10箇所有している。これら複数の支持穴123は、それぞれが一対一で対応する検出開口部114と同軸上に配置されている。
【0049】
図2に示すように、第1把持ブロック51は、挟持部82を、複数である特定数、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の特定本数と同数の10箇所有している。挟持部82は、図3に示すように、挟持本体部131と、バネ部132とを有している。第1把持ブロック51は、同形状の挟持本体部131を、複数である特定個数、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の特定本数と同数の10個有している。第1把持ブロック51は、同形状のバネ部132を、複数である特定個数、具体的には、上記した棒金整列部23において整列させられる棒金の特定本数と同数の10個有している。
【0050】
挟持本体部131は、図4に示すように、軸部141と、当接部142と、フランジ部143とを有している。
【0051】
軸部141は、円柱状である。軸部141は、軸方向の一端側が当接面部151となっている。当接面部151は、軸部141の中心軸線に対して垂直に広がる平面状である。軸部141および当接面部151の外径は、検出開口部114の内径よりも大径となっている。
【0052】
当接部142は、軸部141よりも軸方向長さが短い円柱状であり、軸部141の軸方向における当接面部151とは反対側の端部に設けられている。当接部142は、外径が軸部141の外径よりも大径であり、軸部141と同軸状に形成されている。当接部142は、軸方向における当接面部151とは反対側の端面が、当接部142の中心軸線に対して垂直に広がる平面状である。
【0053】
フランジ部143は、外径が軸部141の外径よりも大径であり、軸部141の軸方向の中間部に設けられている。フランジ部143は、当接部142よりも軸方向長さが短い円板状であり、軸部141と同軸状に形成されている。
【0054】
複数である特定個数、具体的には10個の挟持本体部131は、それぞれが軸部141において、支持部94の一対一で対応する支持穴123に嵌合されている。その際に、挟持本体部131は、当接部142が、支持本体部122の検出面部115とは反対側に配置され、フランジ部143が支持本体部122と検出面部115との間に配置される。複数である特定個数、具体的には10個の挟持本体部131は、それぞれの中心軸線が全て平行をなして同一平面上に配置される。
【0055】
挟持本体部131の軸方向における当接部142とフランジ部143との間の軸部141の長さは、支持本体部122の厚さよりも長くなっている。よって、挟持本体部131は、軸部141の、この部分が支持部94の対応する支持穴123に摺動可能に嵌合されて支持部94に支持されている。挟持本体部131は、軸部141の当接部142とは反対側の当接面部151が、検出面部115に対向し、検出面部115に対し当接および離間可能となっている。挟持本体部131は、フランジ部143を支持本体部122に当接させると、当接面部151が検出面部115から離間する。挟持本体部131は、フランジ部143を支持本体部122から離間させて当接面部151を検出面部115に当接させる。その際に、挟持本体部131は、当接部142を支持本体部122に当接させることはない。
【0056】
複数である特定個数、具体的には10個の挟持本体部131は、それぞれが一対一で対応する検出開口部114と同軸上に配置されている。よって、これら複数の挟持本体部131は、それぞれが当接面部151を検出面部115に当接させると、一対一で対応する検出開口部114を閉塞する。これら複数の挟持本体部131は、それぞれが当接面部151を検出面部115から離間させると、一対一で対応する検出開口部114を開放する。これら複数の挟持本体部131は、上記した棒金整列部23において整列させられる特定本数の棒金の配置間隔と同じ間隔で配置されている。言い換えれば、これら複数の挟持本体部131は、第1の特定金種の棒金の外径に応じた間隔で配置されている。
【0057】
挟持本体部131は、当接面部151が検出面部115に当接すると、当接面部151の径方向内側範囲に配置される検出開口部114を閉塞することになるが、その際の閉塞度を高めるため、当接面部151が弾性変形可能なシール性の高いゴムシート等のシール材で形成されている。
【0058】
バネ部132は、螺旋状に巻かれたコイルバネである。
複数である特定個数、具体的には10個のバネ部132は、それぞれが一対一で対応する挟持本体部131の軸部141に外装される。その際に、バネ部132は、その径方向の内側に、軸部141の軸方向におけるフランジ部143よりも当接部142とは反対側の部分を挿通させる。また、その際に、バネ部132は、フランジ部143と検出面部115との間に介装される。バネ部132は、フランジ部143を支持本体部122に当接させるように挟持本体部131を付勢する。言い換えれば、バネ部132は、軸部141の当接面部151を、検出面部115から離間させる方向に挟持本体部131を付勢する。
【0059】
挟持本体部131は、バネ部132以外の外力が加わらない状態では、バネ部132の付勢力によって、フランジ部143を支持本体部122に当接させて、当接面部151を検出面部115から離間させている。挟持本体部131は、当接部142に、軸方向に沿って軸部141とは反対側から軸部141の方向に外力が加わると、バネ部132の付勢力に抗して軸部141において支持本体部122の支持穴123内を移動し、フランジ部143を支持本体部122から離間させる。挟持本体部131は、このようにバネ部132の付勢力に抗して移動した際に、当接面部151を検出面部115に当接させると、一対一で対応する検出開口部114を閉塞する。以上の説明から理解されるように、フランジ部143は、いわゆるEリング(E型止め輪)である。
【0060】
ここで、棒金Bは、上記したように、包装単位枚数の第1の特定金種のバラ硬貨Cを同軸上に配置して集積した集積硬貨CCの外周面に包装紙Sを巻き付け、包装紙Sの両端部をそれぞれ加締めることで作製されることになる。棒金Bは、包装紙Sの加締められて形成された加締部Saが、集積硬貨CCの外周面に巻き付けられた円筒状の巻付部Sbよりも内径が小径の円環状となる。挟持本体部131の当接部142は、その外径が加締部Saの内径よりも小径となっており、集積硬貨CCの加締部Saよりも径方向内側の部分、すなわち集積硬貨CCに当接可能となっている。
【0061】
図3に示すように、カバー部83は、保持ベース部92の取付部101のベース本体部61とは反対側の面に取り付けられている。カバー部83は、平板状であり、取付部101から通路形成部102とは反対側に広がっている。
【0062】
以上の構成の第1把持ブロック51に対し、第2把持ブロック52は、上記したように鏡面対称形状であり、鏡面対称状に配置されている。よって、第2把持ブロック52は、第1把持ブロック51の保持部81と鏡面対称状の保持部81を有しており、その連結部91が対応するガイド軸63およびラックギア65に連結されている。また、第2把持ブロック52は、第1把持ブロック51の複数である特定数、具体的には10箇所の挟持部82と鏡面対称状に、複数である特定数、具体的には10箇所の挟持部82を有している。第2把持ブロック52の、これら複数の挟持部82をそれぞれ構成する挟持本体部131は、それぞれが、一対一で対応する第1把持ブロック51の挟持本体部131と同軸上に配置されている。また、第2把持ブロック52は、第1把持ブロック51のカバー部83と鏡面対称状のカバー部83を有している。
【0063】
把持駆動部66は、一対の挟持部82のうちの一方である第1把持ブロック51の挟持部82を複数並べて保持する保持部81と、一対の挟持部82のうちの他方である第2把持ブロック52の挟持部82を複数並べて保持する保持部81とを近接および離間させる。
【0064】
図2に示すように、第1把持ブロック51は、一対の配管連結部93のうちの一方の配管連結部93が配管161を介して図1に示す負圧供給装置32に連通している。負圧供給装置32内には、配管161内に負圧を供給する負圧ポンプ等の図示略の負圧発生源と、配管161と負圧発生源との連通および遮断を切り替える図示略の開閉バルブとが設けられている。
【0065】
図2に示すように、第1把持ブロック51は、一対の配管連結部93のうちの他方の配管連結部93が配管163に連通している。図3に示すように、第2把持ブロック52は、通路形成部102の延在方向において、この配管連結部93と同側に配置された一方の配管連結部93が配管163に連通している。第2把持ブロック52は、図示略の他方の配管連結部が図2に示す配管171を介してベース本体部61の圧力センサ71に連通している。
【0066】
よって、第1把持ブロック51は、図2に示す通路111の一端が、配管161内の通路を介して図1に示す負圧供給装置32に連通し、図2に示す通路111の他端が、配管163内の通路、図3に示す第2把持ブロック52内の通路111および図2に示す配管171を介して圧力センサ71に連通している。また、図2に示す第2把持ブロック52は、通路111の一端が、配管163内の通路、第1把持ブロック51内の通路111および図2に示す配管161を介して図1に示す負圧供給装置32に連通し、図3に示す通路111の他端が、図2に示す配管171を介して圧力センサ71に連通している。
【0067】
図2に示す第1把持ブロック51の通路111と、配管161内の通路と、配管163内の通路と、図3に示す第2把持ブロック52の通路111と、図2に示す配管171内の通路とが、一端が図1に示す負圧供給装置32の図示略の開閉バルブに連通し、他端が図2に示す圧力センサ71に連通する負圧経路175を構成している。図1に示す負圧供給装置32は、図示略の開閉バルブが開かれると図2および図3に示す負圧経路175に負圧を導入し、図示略の開閉バルブが閉じられると負圧経路175への負圧の導入を停止する。圧力センサ71は、その際に、負圧経路175内の圧力を検出する。
【0068】
ハンド部45は、図3に示すように、第1把持ブロック51と第2把持ブロック52とを所定距離離間させた状態が待機状態となっている。ハンド部45が待機状態にあるとき、第1把持ブロック51においては、挟持部82の挟持本体部131がバネ部132の付勢力によってフランジ部143を支持本体部122に当接させ、第2把持ブロック52においても、挟持部82の挟持本体部131がバネ部132の付勢力によってフランジ部143を支持本体部122に当接させている。この状態で、第1把持ブロック51の挟持本体部131と、第2把持ブロック52の挟持本体部131とは、一の特定金種の棒金B、即ち第1の特定金種の棒金Bの軸方向長さよりも長い間隔をあけている。
【0069】
棒金移送装置11は、図1に示す棒金整列部23にて整列させられた複数である特定本数の一の特定金種の棒金B、具体的には10本の第1の特定金種の棒金Bを把持し持ち上げて、棒金収納装置13に移送する。その際に、棒金移送装置11は、10本の第1の特定金種の棒金Bを、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部82により挟持しつつ、纏めて把持して移送する。
【0070】
すなわち、棒金移送装置11は、制御装置14で制御されて、多関節ロボット31が、待機状態のハンド部45を、棒金整列部23に整列させられた10本の第1の特定金種の棒金Bを軸方向の両側から把持可能に配置する。その際に、多関節ロボット31は、棒金整列部23に整列させられた10本の第1の特定金種の棒金Bが、第1把持ブロック51と第2把持ブロック52との間の中央位置に配置されるように、ハンド部45を配置する。また、その際に、多関節ロボット31は、同一直線上に配置されて対をなす全10対の挟持本体部131のそれぞれが、棒金整列部23にある10本の棒金Bの一対一で対応するものを間に配置しつつこれと同一直線上に配置されるようにハンド部45を配置する。
【0071】
この状態から、棒金移送装置11は、制御装置14で制御されて、ベース本体部61の位置はそのままで、把持駆動部66が、図示略の一対の把持駆動モータを駆動して、一対のラックギア64,65をベース本体部61に対してスライドさせ、第1把持ブロック51の保持部81および第2把持ブロック52の保持部81を、それぞれ同期してベース本体部61に近接させる。すると、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の同一直線上に配置されて対をなす全10対の挟持本体部131のそれぞれが、棒金整列部23にある10本の棒金Bの一対一で対応するものを軸方向両側から挟持する。これにより、ハンド部45が棒金整列部23にある10本の棒金Bを把持する。
【0072】
棒金整列部23にある10本の棒金Bを把持した際に、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52は、対をなす挟持本体部131が、それぞれ挟持した棒金B内の集積硬貨CCの構成枚数に応じた挟持状態となる。棒金移送装置11は、複数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持状態に応じて、把持する複数の棒金B内に、集積硬貨CCの構成枚数に過不足がある異常棒金が存在するか否かを判断する。
【0073】
すなわち、10本の全ての棒金B内の集積硬貨CCの構成枚数が同枚数(例えば包装単位枚数の50枚)であれば、第1把持ブロック51において、10個の挟持本体部131が、いずれも、図4に示すように、バネ部132を縮めながら移動して当接面部151を検出面部115に当接させて対応する検出開口部114を閉塞している。それと共に、第2把持ブロック52においても、10個の挟持本体部131が、いずれもバネ部132を縮めながら移動して検出面部115に当接して対応する検出開口部114を閉塞している。これにより、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52のすべての検出開口部114が閉塞されることになる。その結果、第1把持ブロック51の通路111と第2把持ブロック52の通路111とを含む負圧経路175が、外気に対して閉塞される。
【0074】
このように、第1把持ブロック51において、10個の挟持本体部131が全て当接面部151に当接し、第2把持ブロック52において、10個の挟持本体部131が全て当接面部151に当接すると、第1把持ブロック51の保持部81および第2把持ブロック52の保持部81は、第1把持ブロック51の10個の挟持本体部131と、第2把持ブロック52の10個の挟持本体部131と、10本の棒金Bの集積硬貨CCとによって、それ以上の近接が規制される状態になる。
【0075】
また、10本のうちの1本でも棒金B内の集積硬貨CCの構成枚数が、他の棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数よりも少ない棒金Bがある場合(例えば、他の棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数50枚に対して、棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数が49枚、あるいは、他の棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数51枚に対して、棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数が50枚等)、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の挟持本体部131のうち、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bを挟持する対をなす挟持本体部131が、それぞれ、バネ部132を縮めながら移動して、図4に示すように、当接面部151を検出面部115に当接させて対応する検出開口部114を閉塞する。
【0076】
このように、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の対をなす挟持本体部131が、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bを挟持して、共に、それぞれが対向する検出面部115に当接すると、第1把持ブロック51の保持部81および第2把持ブロック52の保持部81は、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bと、それを挟持する第1把持ブロック51の挟持本体部131および第2把持ブロック52の挟持本体部131とによって、それ以上の近接が規制される状態になる。この状態で、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の挟持本体部131のうち、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bよりも少ない棒金Bを挟持する対をなす挟持本体部131は、図5に示すように、当接面部151を検出面部115に当接させることができず、対応する検出開口部114を閉塞しない状態となる。その結果、第1把持ブロック51の通路111および第2把持ブロック52の通路111を含む負圧経路175が、外気に対して開放される。
【0077】
ここで、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bよりも少ない棒金Bを挟持する対をなす挟持本体部131は、それぞれを付勢するバネ部132の付勢力でバランスして、棒金Bを、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間の中央位置に保持することになる。その結果、集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bよりも少ない棒金Bを挟持する対をなす挟持本体部131は、第1把持ブロック51の保持部81に保持された一方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになり、第2把持ブロック52の保持部81に保持された他方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになって、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の両方において通路111を開放することになる。
【0078】
棒金移送装置11は、ハンド部45で棒金整列部23にある10本の棒金Bを把持させると、制御装置14で制御されて、負圧供給装置32の開閉バルブを開き、負圧を、負圧経路に、配管161から導入させる。そして、棒金移送装置11は、圧力センサ71によって、第1把持ブロック51の通路111および第2把持ブロック52の通路111を含む負圧経路175内の圧力が所定値以下であるか否かを検出する。
【0079】
負圧経路175内の圧力が所定値以下であることが検出されると、負圧経路175が適正な負圧状態にあって外気に対して閉塞された状態にあり、ハンド部45で把持した10本の全ての棒金Bの集積硬貨CCの構成枚数が同枚数であって、第1把持ブロック51において、10個の挟持本体部131が、いずれも対応する検出開口部114を閉塞すると共に、第2把持ブロック52において、10個の挟持本体部131が、いずれも対応する検出開口部114を閉塞していると判断する。ここで、集積硬貨CCの構成枚数の過不足の異常の発生頻度は低いことから、棒金移送装置11は、圧力センサ71によって負圧経路175内の負圧が所定値以上であることが検出されると、ハンド部45で把持した10本の全ての棒金Bが正常棒金であると判定して、負圧供給装置32の開閉バルブを閉じた後、把持した10本の棒金Bを棒金収納装置13に受け渡す。
【0080】
具体的に、棒金移送装置11は、制御装置14の制御により、多関節ロボット本体41を作動させて、10本の棒金Bを把持した状態のハンド部45を、棒金収納装置13の棒金受け取り位置に移動させた後、図示略の一対の把持駆動モータを駆動させて、一対のラックギア64,65をベース本体部61に対してスライドさせ、第1把持ブロック51の保持部81および第2把持ブロック52の保持部81を、それぞれ同期してベース本体部61から離間させて待機状態に戻す。すると、ハンド部45の第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の全ての挟持本体部131が棒金Bから離れて棒金Bの挟持を解除する。これにより、ハンド部45が把持していた10本の棒金Bを整列状態のまま棒金収納装置13に受け渡す。
【0081】
棒金収納装置13は、このように多関節ロボット31によって把持されて移送されてきた第1の特定金種の10本の棒金Bを、整列状態のまま受け取って、所定の箱詰め本数、具体的には50本、10本×5段に重ねて一つの図示略の収納部材であるダンボール箱等の収納箱にいれて収納箱を封止する。言い換えれば、棒金収納装置13は、棒金移送装置11によって把持されて移送された特定本数の棒金Bを受け取って収納部材に収納する。
【0082】
他方、棒金移送装置11は、ハンド部45が棒金整列部23にある10本の棒金Bを把持した際に、圧力センサ71によって、負圧経路175の圧力が所定値以下ではないこと、すなわち所定値より大きいことが検出されると、負圧経路175が外気に対して開放された状態であり、ハンド部45で把持した10本の棒金Bの中の少なくともいずれか一つに、集積硬貨CCの構成枚数が他の棒金Bよりも少なく、これを挟持している挟持本体部131が、対応する検出開口部114を閉塞していないものがあり、把持した10本の棒金B内に、集積硬貨CCの構成枚数に過不足がある異常棒金が存在すると判断する。
【0083】
すなわち、棒金移送装置11は、複数である特定本数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持位置の相違により、把持する複数である特定本数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。具体的に、棒金移送装置11は、複数である特定本数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持位置の相違により、負圧経路175が閉塞されるか否かとし、負圧経路175に設けられた圧力センサ71の検出結果に基づいて、把持する複数である特定本数の棒金B内に、集積硬貨CCの構成枚数に過不足がある異常棒金が存在するか否かを判断する。
【0084】
なお、把持する複数である特定本数の棒金Bのうちの少なくとも一つに把持ミス、すなわち対をなす挟持部82で挟持できなかった棒金Bが存在する場合も、棒金Bを挟持できなかった対をなす挟持本体部131は、当接面部151を検出面部115に当接させることができず、対応する検出開口部114を閉塞しない状態となる。その結果、負圧経路175の圧力が所定値以下にはならない。よって、棒金移送装置11は、集積硬貨CCの構成枚数に過不足がある異常棒金が存在する場合に加えて、棒金Bの把持ミスがあった場合も検出できる。
【0085】
ハンド部45で把持した10本の棒金Bの中の少なくともいずれか一つの中に、集積硬貨CCの構成枚数が他の棒金Bよりも少ないものがあると判断すると、棒金移送装置11は、ハンド部45で把持した10本の棒金Bの中に集積硬貨CCの構成枚数が所定値、具体的には包装単位枚数の50枚よりも少ない(例えば49枚)または多い(例えば51枚)過不足の異常棒金があると判定して、負圧供給装置32の開閉バルブを閉じると共に、把持した10本の棒金Bを、異常棒金回収部33に整列状態のまま受け渡す。
【0086】
具体的に、棒金移送装置11は、制御装置14の制御により、多関節ロボット本体41を作動させて、10本の棒金Bを把持した状態のハンド部45を、異常棒金回収部33の棒金受け取り位置に移動させた後、図示略の一対の把持駆動モータを駆動させて、一対のラックギア64,65をベース本体部61に対してスライドさせ、第1把持ブロック51の保持部81および第2把持ブロック52の保持部81を、それぞれ同期してベース本体部61から離間させて待機状態に戻す。すると、ハンド部45の第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の全ての挟持本体部131が棒金Bから離れて挟持を解除する。これにより、ハンド部45が把持していた10本の棒金Bを整列状態のまま異常棒金回収部33に受け渡す。
【0087】
棒金移送装置11は、ハンド部45で把持した10本の棒金Bの中に異常棒金があると判定すると、図示略の表示装置によりその旨を表示して報知すると共に、図示略の音声発生装置により報知音を発生させて報知する。
【0088】
以上に述べたように、実施形態の棒金移送装置11およびこれを含む棒金収納システム10は、棒金移送装置11が、特定金種の複数の棒金Bを、軸線方向が並列となる状態で、それぞれを軸線方向の両側から一対の挟持部82により挟持しつつ、纏めて把持して移送可能であり、複数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持状態に応じて、把持する複数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。これにより、棒金移送装置11は、特定金種の複数の棒金Bを纏めて移送する際に、これら棒金Bの中の異常棒金の混入を検出することができる。
【0089】
また、実施形態の棒金移送装置11およびこれを含む棒金収納システム10は、棒金移送装置11が、複数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持位置の相違により、把持する複数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。これにより、棒金移送装置11は、特定金種の複数の棒金Bを纏めて移送する際に、これら棒金Bの中の異常棒金の混入を容易に検出することができる。
【0090】
また、実施形態の棒金移送装置11およびこれを含む棒金収納システム10は、棒金移送装置11が、複数の棒金Bのそれぞれを挟持する一対の挟持部82の挟持位置の相違により、負圧経路175が閉塞されるか否かとし、負圧経路175に設けられた圧力センサ71の検出結果に基づいて、把持する複数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。これにより、棒金移送装置11は、特定金種の複数の棒金Bを纏めて移送する際に、これら棒金Bの中の異常棒金の混入を容易に検出することができる。
【0091】
また、実施形態の棒金移送装置11およびこれを含む棒金収納システム10は、棒金移送装置11が、把持した複数の棒金B内に異常棒金が存在すると判断すると、把持した複数の棒金Bを異常棒金回収部33に排除する。よって、把持した複数の棒金B内に異常棒金が存在しても、棒金移送装置11を停止させることなく、次の複数の棒金Bを把持して移送することができる。したがって、把持した複数の棒金B内に異常棒金が存在しても、棒金収納システム10を停止させることがない。
【0092】
また、実施形態の棒金移送装置11およびこれを含む棒金収納システム10は、棒金移送装置11が、把持した複数の棒金B内に異常棒金が存在すると判断すると、その旨を報知するため、異常棒金の発生原因を早めに調査することができる。
【0093】
以上に述べた実施形態の棒金移送装置11を以下の変形例1~変形例4のように変更することが可能である。
【0094】
<変形例1>
棒金移送装置11を、複数の棒金Bを、箱詰めする棒金収納装置13に移送する以外にも、例えば、棒金トレイに装填する棒金装填システムでの棒金移送等、種々の棒金移送に適用することができる。
【0095】
<変形例2>
また、実施形態および変形例1の棒金移送装置11においては、ハンド部45で把持した棒金Bの中に他の棒金Bよりも集積硬貨CCの構成枚数が少ない棒金Bがある場合、この棒金Bを挟持する一対の挟持本体部131は、一対のバネ部132の付勢力でバランスして、棒金Bを、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間の中央位置に保持することになる。その結果、この棒金Bを挟持する一対の挟持本体部131は、第1把持ブロック51の保持部81に保持された一方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになり、第2把持ブロック52の保持部81に保持された他方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになって、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の両方において通路111を開放することになる。このことから、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52の両方に通路111を設けるのではなく、一方のみに通路111を設けても良い。例えば、第1把持ブロック51の保持部81のみに通路111を設け、第1把持ブロック51の保持ベース部92のみに一対の配管連結部93を取り付け、これら配管連結部93のうちの一方の配管連結部93を配管161を介して負圧発生装置162に連通させ、これら配管連結部93のうちの他方の配管連結部93を配管171を介して圧力センサ71に連通させるようにしても良い。
【0096】
<変形例3>
また、実施形態および変形例1,2の棒金移送装置11において、一対のラックギア64,65により近接および離間する第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間隔を検出できるよう、一対のラックギア64,65を駆動する図示略の一対のピニオンギアに連動して回転するロータリエンコーダ(間隔検出部)を設けても良い。変形例3は、ロータリエンコーダで検出する回転量から、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間隔を検出することができる。第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間隔から、複数の棒金Bのうちの集積硬貨CCの構成枚数が最も多い棒金Bを挟持した一対の挟持本体部131の間隔、すなわち挟持する棒金Bの長さを算出する。そして、異常棒金種類特定部が、間隔検出部の検出結果に基づいて、把持する複数の棒金B内に存在する異常棒金の種類を特定する。
【0097】
すなわち、変形例3の棒金移送装置11は、一対の挟持部82のうちの一方の挟持部82を複数並べて保持する第1把持ブロック51の保持部81(第1保持部)と、一対の挟持部82のうちの他方の挟持部82を複数並べて保持する第2把持ブロック52の保持部81(第2保持部)と、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81とを近接および離間させる把持駆動部66と、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間隔を検出する間隔検出部と、間隔検出部の検出結果に基づいて、把持する複数の棒金B内に存在する異常棒金の種類を特定する異常棒金種類特定部と、を有する。
【0098】
変形例3のように構成すれば、一対の挟持本体部131の間隔は、挟持する複数の棒金Bの最長長さに基づくことになるので、異常棒金種類特定部は、検出した棒金B群の長さが、挟持搬送する特定金種の正常棒金長さに等しい場合であって、さらに異常棒金の混入を検出したときには、異常棒金は、集積硬貨CCの構成枚数が不足している枚数不足棒金であると判断し、他方、検出した棒金群の長さが、挟持搬送する特定金種の正常棒金長さより長い場合であって、さらに異常棒金の混入を検出したときには、異常棒金は、集積硬貨CCの構成枚数が過剰の枚数過剰棒金であると判断するようにする。
【0099】
<変形例4>
また、実施形態および変形例1の棒金移送装置11において、上記負圧経路175と圧力センサ71と負圧供給装置32等の構成に代えて、第1把持ブロック51の保持部81の検出面部115と、第1把持ブロック51の複数の挟持本体部131のそれぞれの当接面部151との間に、これらの接触および離間を検出する接触センサを設けると共に、第2把持ブロック52の保持部81の検出面部115と、第2把持ブロック52の複数の挟持本体部131のそれぞれの当接面部151との間に、これらの接触および離間を検出する接触センサを設けても良い。この場合、複数の挟持本体部131による複数の棒金Bの挟持時に、これら接触センサのそれぞれによって、当接面部151と検出面部115との接触の有無の検出を行い、すべての接触センサが、当接面部151と検出面部115との接触有りを検出すると、挟持しているすべての棒金Bは正常棒金であると判断し、一部の接触センサが、対応する当接面部151と検出面部115との接触有りを検知できない、すなわち対応する当接面部151と検出面部115との離間有りを検出していると、当該当接面部151を有する挟持本体部131によって挟持している棒金Bは、他の棒金Bよりも集積硬貨CCの構成枚数が少ないと判断できる。
【0100】
この場合、一般的に過不足棒金の発生が少ないことから、半数を超える所定数の接触センサが挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との接触有りを検出し、残りの接触センサが挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との離間有りを検出しているときには、この残りの接触センサで検出面部115との接触の有無が検出される当接面部151を有する挟持本体部131によって挟持されている棒金Bは、集積硬貨CCの構成枚数が不足している枚数不足棒金であると判断する。また、半数を超える所定数の接触センサが挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との離間有りを検出し、残りの接触センサが挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との接触有りを検出しているときには、この残りの接触センサで検出面部115との接触の有無が検出される当接面部151を有する挟持本体部131によって挟持されている棒金Bは、集積硬貨CCの構成枚数が過剰の枚数過剰棒金であると判断する。
【0101】
すなわち、変形例4の棒金移送装置11は、一対の挟持部82の挟持位置の相違を検出する接触センサを挟持部82ごとに設け、これら複数の接触センサの検出結果に基づいて、把持する複数の棒金B内に異常棒金が存在するか否かを判断する。しかも、変形例4の棒金移送装置11は、複数の接触センサの検出結果に基づいて、把持する複数の棒金B内に存在する異常棒金が枚数不足棒金であるか、枚数過剰棒金であるかを判断する。
【0102】
変形例4の棒金移送装置11のように、挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との接触および離間を検出する接触センサを、挟持本体部131ごとに個別に設けることで、異常棒金が枚数不足棒金であるか枚数過剰棒金であるかを判断できるので、異常棒金回収部33へ受け渡す際に、異常棒金が枚数不足棒金である場合は、その旨を、異常棒金が枚数過剰棒金である場合には、その旨を報知するようにすることができる。
【0103】
また、変形例4の棒金移送装置11のように、挟持本体部131の当接面部151と検出面部115との接触および離間を検出する接触センサを、挟持本体部131ごとに個別に設けることで、異常棒金回収部33へ棒金Bを整列状態で受け渡すことによって、異常棒金回収部33へ受け渡された整列状態の複数の棒金Bにおける異常棒金の位置を把握できて報知でき、さらには、異常棒金が枚数不足棒金である場合は、その旨を、異常棒金が枚数過剰棒金である場合には、その旨を、合わせて報知するようにすることができる。
【0104】
変形例4の棒金移送装置11においても、ハンド部45で把持した棒金Bの中に他の棒金Bよりも集積硬貨CCの構成枚数が少ない棒金Bがある場合、この棒金Bを挟持する一対の挟持本体部131は、一対のバネ部132の付勢力でバランスして、棒金Bを、第1把持ブロック51の保持部81と第2把持ブロック52の保持部81との間の中央位置に保持することになる。その結果、この棒金Bを挟持する一対の挟持本体部131は、第1把持ブロック51の保持部81に保持された一方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになり、第2把持ブロック52の保持部81に保持された他方の挟持本体部131が、この保持部81の検出面部115から離間することになる。このため、第1把持ブロック51および第2把持ブロック52のうちの一方のみにおいて、保持部81の検出面部115と、複数の挟持本体部131のそれぞれの当接面部151との間に接触センサを設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0105】
10…棒金収納システム、11…棒金移送装置、12…棒金供給装置、13…棒金収納装置、33…異常棒金回収部、66…把持駆動部、71…圧力センサ、81…保持部、82…挟持部、175…負圧経路、B…棒金。
図1
図2
図3
図4
図5