(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173274
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シール装置
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65B51/10 101
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091594
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000236964
【氏名又は名称】富士インパルス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン バン ティエン フック
(72)【発明者】
【氏名】山田 哲郎
【テーマコード(参考)】
3E094
【Fターム(参考)】
3E094AA12
3E094BA11
3E094CA06
3E094DA06
3E094EA01
3E094FA17
3E094HA08
(57)【要約】
【課題】内容物が収容された包装袋の内部を脱気してから当該包装袋の開口部をシールする際、シール不良を防止できるシール装置を提供する。
【解決手段】シール装置は、内容物が収容された包装袋の開口部を挟持する一対のシール部と、一対のシール部の少なくとも一方に設けられ、開口部をシールするヒーターと、一対のシール部の間を通って開口部から包装袋の内部へ進入し、包装袋の内部を脱気する脱気ノズルと、一対のシール部及び脱気ノズルを制御する制御部と、を備え、制御部は、一対のシール部を、開口部を挟持した状態で内容物へ向かって前進させ、かつ、脱気ノズルを、脱気させながら一対のシール部と一体として前進させる。
【選択図】
図8E
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物が収容された包装袋の開口部を挟持する一対のシール部と、
前記一対のシール部の少なくとも一方に設けられ、前記開口部をシールするヒーターと、
前記一対のシール部の間を通って前記開口部から前記包装袋の内部へ進入し、前記包装袋の内部を脱気する脱気ノズルと、
前記一対のシール部及び前記脱気ノズルを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記一対のシール部を、前記開口部を挟持した状態で前記内容物へ向かって前進させ、かつ、前記脱気ノズルを、脱気させながら前記一対のシール部と一体として前進させる、シール装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記脱気ノズルを、前記脱気ノズルの先端と前記内容物との距離が所定距離となるまで、脱気させながら前記一対のシール部と一体として前進させた後、前記一対のシール部を前進させつつ、前記脱気ノズルを、脱気させながら前記一対のシール部に対して後退させる、請求項1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記脱気ノズルの先端と前記内容物との距離を前記所定距離に維持するように、前記脱気ノズルを前記一対のシール部に対して後退させる、請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記脱気ノズルの先端の位置を検出するノズル検出手段を備え、
前記制御部は、前記ノズル検出手段の検出結果に基づいて、前記脱気ノズルを前記一対のシール部に対して後退させる、請求項3に記載のシール装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容した包装袋の内部の空気を排出(以下、脱気ともいう)した後、包装袋の開口部をシールするシール装置が知られている(例えば、下記特許文献1)。
【0003】
しかしながら、包装袋の内部を脱気する際、包装袋が内容物に引っ張られてしまい、包装袋にシワが寄ってしまうことがある。この状態でシールを行うと、シワが寄った箇所でシール不良が発生してしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、内容物が収容された包装袋の内部を脱気してから当該包装袋の開口部をシールする際、シール不良を防止できるシール装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のシール装置は、内容物が収容された包装袋の開口部を挟持する一対のシール部と、
前記一対のシール部の少なくとも一方に設けられ、前記開口部をシールするヒーターと、
前記一対のシール部の間を通って前記開口部から前記包装袋の内部へ進入し、前記包装袋の内部を脱気する脱気ノズルと、
前記一対のシール部及び前記脱気ノズルを制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記一対のシール部を、前記開口部を挟持した状態で前記内容物へ向かって前進させ、かつ、前記脱気ノズルを、脱気させながら前記一対のシール部と一体として前進させる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本実施形態に係るシール装置の全体構成を示す斜視図
【
図2】本実施形態に係るシール装置の全体構成を示す側面図
【
図3】本実施形態に係るシール装置を後側から見た斜視図
【
図4】
図3のシール装置から第1筒部等を取り外した状態の斜視図
【
図6】脱気ノズルの先端が包装袋内へ挿入された状態を示す平面図及び断面図
【
図9】動作条件の算出に必要なデータ、及び必要データから算出される算出データ
【
図10】包装袋の開口部のシール作業を行う際のシール装置の側面図
【
図11】包装袋の開口部のシール作業を行う際のシール装置の側面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、シール装置における一実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0009】
図1はシール装置1の全体構成を示す斜視図である。
図2はシール装置1の全体構成を示す側面図である。シール装置1は、本体部2と、本体部2に取り付けられる一対のシール部5,6と、本体部2に対して昇降する脱気ノズル7と、本体部2を昇降させる第1昇降機構8と、脱気ノズル7を本体部2に対して昇降させる第2昇降機構9と、シール装置1の各部(本体部2、一対のシール部5,6、脱気ノズル7、第1昇降機構8、第2昇降機構9等)の動作を制御する制御部(不図示)と、を備えていてもよい。シール装置1は、
図6に示すように、内容物Oが収容された包装袋Pの内部を脱気してから包装袋Pの開口部P1をシールするものである。
【0010】
以下の説明においては、
図1及び
図2に示すように、上下方向をZ方向、一対のシール部5,6が延びる方向をX方向、Z方向及びX方向に直交する方向をY方向とする。また、本体部2を基準としてY方向を定義することがあり、一対のシール部5,6が配置される側を前側、支柱21(後述する)が配置される側を後側とし、+Y方向を前方向、-Y方向を後方向ともいう。
【0011】
シール装置1は、本体部2を昇降させる第1昇降機構8を備えている。第1昇降機構8は、本体部2を支持する支柱21と、支柱21を支持する基台部22と、を備えていてもよい。支柱21は、上下方向Zに延びており、フレーム20を介して本体部2を支持する。基台部22には、フットスイッチ3が接続されていてもよい。また、基台部22は、基台部22の下端から前方向に延びる2本の脚4を備えていてもよい。
図1及び
図2に示すように、脚4にはキャスターが設けられてもよい。
【0012】
図3は、シール装置1を後側から見た斜視図である。支柱21は、上下方向Zに延びる第1筒部21aと、第1筒部21a内をスライド可能な第2筒部21bと、を備えている。第2筒部21bが第1筒部21a内をスライドすることで、支柱21は上下方向Zに伸縮可能となっている。支柱21の上端は、モーターカバー21cで覆われている。
【0013】
図4は、
図3のシール装置1から第1筒部21a、第2筒部21b、及びモーターカバー21cを取り外した状態の斜視図である。第1昇降機構8は、上下方向Zに延びるスクリューシャフト21dと、スクリューシャフト21dを挿入可能なロッドパイプ21eと、スクリューシャフト21dを回転させるモーター21fと、を備えている。スクリューシャフト21dは、第2筒部21bに内蔵され、ロッドパイプ21eは、第1筒部21aに内蔵される。スクリューシャフト21dの上部は、フレーム20に回転可能に支持されている。スクリューシャフト21dの上端は、チェーンを介してモーター21fに接続されており、スクリューシャフト21dは、モーター21fの回転に伴って回転する。
【0014】
スクリューシャフト21dは、ロッドパイプ21eの上端に螺合されており、スクリューシャフト21dが回転することで、スクリューシャフト21dのロッドパイプ21eへの挿入量が変更される。言い換えると、スクリューシャフト21dが回転することで、スクリューシャフト21dのロッドパイプ21eからの突出量が変更される。これにより、第1昇降機構8は、モーター21fによってスクリューシャフト21dを回転させることで、フレーム20を上下方向Zに昇降させることができ、すなわち、本体部2を上下方向Zに昇降させることができる。本体部2の昇降距離や昇降速度は、モーター21fの回転を制御することで制御される。
【0015】
また、シール装置1は、一対のシール部5,6を備えている。一対のシール部5,6は、本体部2とともに昇降する。一対のシール部5,6は、押圧部5と、押圧部5と対向する受け部6と、を備えていてもよい。受け部6は、本体部2の下部に配置されている。押圧部5は、受け部6の前側に配置されている。
【0016】
押圧部5は、本体部2に設定された所定の軸芯5a周りに回転可能に支持されている(
図2を参照)。シールを行う際は、この押圧部5が後方向へ移動される。押圧部5は、例えば、本体部2に内蔵された不図示のエアシリンダで移動されるが、モーター等のその他のアクチュエーターを使用して移動されてもよい。また、センサなどを設けておき、包装袋Pが所定位置にセットされると、押圧部5が自動で移動されるようにしてもよい。
【0017】
押圧部5は、第1押圧部51と第2押圧部52とを備える。第1押圧部51は、第2押圧部52よりも受け部6へ向かって突出している。なお、第1押圧部51と第2押圧部52は、独立して動くことが可能である。
【0018】
第1押圧部51は、第2押圧部52に対して前後方向Yにスライド自在に取り付けられている。また、第1押圧部51は、バネなどの付勢手段により第2押圧部52に対して後方向に付勢されており、通常の状態では、第2押圧部52よりも後方向に突出している。
【0019】
シール装置1は、押圧部5の後側に配置され、押圧部5に対応する受け部6を備えている。受け部6は、第1受け部61と第2受け部62とを備える。第1押圧部51と第2押圧部52には、第1受け部61と第2受け部62がそれぞれ対応する。
【0020】
第1押圧部51と第1受け部61は、包装袋Pの開口部P1近傍を挟持する機能を有している。第1押圧部51と第1受け部61の挟持面は、ゴムなどの弾性材料により形成される。なお、第1押圧部51と第1受け部61の挟持面は、スポンジなどの樹脂材料により形成されてもよい。
【0021】
第2押圧部52と第2受け部62は、包装袋Pの開口部P1を押圧・挟持してシールする機能を有している。第2受け部62は、その前部に不図示の線状ヒーターが内蔵されており、その表面部はフッ素樹脂シートにより被覆されている。これにより、樹脂製の包装袋Pの融着片が付着しにくく、たとえ付着したとしてもはがれ易いようになっている。線状ヒーターは、包装袋Pの開口部P1の長さをカバーできるように十分な長さを有している。なお、線状ヒーターは第2押圧部52に内蔵されるようにしてもよく、第2押圧部52と第2受け部62の両方に内蔵されるようにしてもよい。
【0022】
また、シール装置1は、上下方向Zに移動可能な脱気ノズル7を備えている。脱気ノズル7は、上下方向Z視で押圧部5と受け部6とに挟まれる空間の左右方向のほぼ中心に設けられている。脱気ノズル7は、不図示の真空ポンプまたはエジェクターに接続されている。脱気ノズル7は、包装袋Pの内部の空気を吸引する。
【0023】
図5は、脱気ノズル7の周辺を示す斜視図である。第2昇降機構9は、脱気ノズル7を本体部2に対して昇降させる。第2昇降機構9は、脱気ノズル7がブラケット91,92を介して固定されるスライド台93と、スライド台93を上下方向Zにガイドする一対のガイドレール94(
図1を参照)と、スライド台93を上下方向Zに駆動させるエアシリンダと、を備えている。ガイドレール94は、本体部2の前面に上下方向Zに沿って取り付けられている。エアシリンダのシリンダチューブは、本体部2に内蔵されており、本体部2から突出したピストンロッド95の先端は、スライド台93に固定されている。これにより、第2昇降機構9は、エアシリンダを伸縮させることで、スライド台93を上下方向Zに昇降させることができ、すなわち、脱気ノズル7を上下方向Zに昇降させることができる。脱気ノズル7の昇降距離や昇降速度は、エアシリンダの伸縮を制御することで制御される。脱気ノズル7は、本体部2の前側から押圧部5と受け部6との間を通って移動することで、包装袋Pの内部へ進入することが可能となる。
【0024】
シール装置1は、脱気ノズル7の先端7aの位置を検出するノズル検出手段を備えている。ノズル検出手段は、スライド台93に形成された複数の貫通孔93aと、本体部2に設けられ、貫通孔93aを検出可能な不図示の検出センサと、を備えていてもよい。
【0025】
複数の貫通孔93aは、スライド台93の縁部に上下方向Zに沿って形成されている。複数の貫通孔93aは、等間隔に配置されている。貫通孔93aのピッチは、例えば10mmである。
【0026】
検出センサは、対向する貫通孔93aの一つを検出することができる。検出センサは、例えば、光センサである。検出センサは、貫通孔93aを検出すると、検出信号を制御部へ送信する。制御部は、検出センサが検出した貫通孔93aの個数と、貫通孔93aのピッチとによって、本体部2に対するスライド台93の上下方向Zに沿った移動距離を算出することができる。これにより、制御部は、本体部2に対するスライド台93の上下方向Zの相対位置、すなわち、本体部2に対する脱気ノズル7の上下方向Zの相対位置を算出することができる。その結果、制御部は、本体部2の上下方向Zの位置と、本体部2に対する脱気ノズル7の上下方向Zの相対位置とに基づいて、脱気ノズル7の先端7aの位置を検出することができる。
【0027】
脱気ノズル7の先端7aは、扁平な楕円筒状をしている。脱気ノズル7の先端7aに形成された吸引口は、高さ(Y方向の長さ)が2mm~5mm、幅(X方向の長さ)が17mm~25mmの楕円状である。
【0028】
図7は、シール装置1の動作を示すフローチャートである。
図8A~
図8Hは、シール装置1の動作を説明するための模式図である。
【0029】
スタート時、脱気ノズル7は、
図8Aに示すように一対のシール部5,6よりも上方に位置している(
図1も参照)。ステップST1において、シール装置1に取り付けられたフットスイッチ3を押す。これにより、ステップST2において、脱気ノズル7は、下降する。脱気ノズル7は、
図8Bに示すように、一対のシール部5,6の間を通過して、先端7aが一対のシール部5,6よりも下方向へ突出するまで下降する。
【0030】
ステップST3において、包装袋Pをシール装置1にセットする。この際、
図8Cに示すように、脱気ノズル7の先端7aが、開口部P1から包装袋Pの内部に挿入された状態となるように、包装袋Pをセットする。包装袋Pの内部には、内容物Oが収容されている。内容物Oは、例えば、箱体である。脱気ノズル7は、先端7aが内容物Oから離れた位置となるように配置される。
【0031】
ステップST4において、シール装置1に取り付けられたフットスイッチ3を押す。これにより、ステップST5において、押圧部5が受け部6へ向かって移動し、
図8Dに示すように、第1押圧部51と、対向する第1受け部61とによって、開口部P1の近傍が挟持される。このとき、脱気ノズル7は、包装袋Pとともに第1押圧部51と第1受け部61によって挟持された状態となる。
【0032】
ステップST6において、シール装置1に取り付けられたフットスイッチ3を押す。これにより、ステップST7において、
図8Eに示すように、一対のシール部5,6(本体部2)は、下降を開始し、同時に、脱気ノズル7は、包装袋Pの内部の脱気を開始する。このとき、脱気ノズル7は、一対のシール部5,6とともに下降を開始する。すなわち、一対のシール部5,6と脱気ノズル7が一体として下降しつつ、脱気ノズル7は包装袋Pの内部を脱気する。一対のシール部5,6と脱気ノズル7は、脱気ノズル7の先端7aと内容物Oとの間の距離が所定の第1距離7bとなるまで下降する。第1距離7bは、例えば30mmである。
【0033】
その後、ステップST8において、
図8Fに示すように、一対のシール部5,6は下降しつつ、脱気ノズル7は、脱気しながら、一対のシール部5,6に対して上昇する。このとき、一対のシール部5,6の下降距離(本体部2の下降距離)と、脱気ノズル7の上昇距離とを等しくすることで、脱気ノズル7の先端7aと内容物Oとの間の距離を、第1距離7bに維持することができる。一対のシール部5,6は、一対のシール部5,6と内容物Oとの間の距離が所定の第2距離6aとなるまで下降する。第2距離6aは、例えば、40mmである。
【0034】
なお、一対のシール部5,6の下降と、脱気ノズル7の上昇は、同時に行っても、順番に行ってもよい。本実施形態においては、一対のシール部5,6と脱気ノズル7を一体として一定距離(本実施形態では貫通孔93aの1ピッチ分)下降させた後、脱気ノズル7を一定距離(本実施形態では貫通孔93aの1ピッチ分)上昇させることで、脱気ノズル7の先端7aと内容物Oとの間の距離を、結果的に第1距離7bに維持するようにしている。すなわち、脱気ノズル7の先端7aと内容物Oとの距離を所定距離に維持するとは、脱気ノズル7の先端7aと内容物Oとの距離を、連続して所定距離に維持する場合のほか、多少の範囲で変動しながら結果的に所定距離に維持する場合も含む。
【0035】
ステップST9において、シール装置1に取り付けられたフットスイッチ3を押す。これにより、ステップST10において、
図8Gに示すように、脱気ノズル7を上昇させて、包装袋Pから抜く。なお、脱気ノズル7は、本実施形態のように、任意の時間経過した後にフットスイッチ3を押して上昇させてもよいが、例えば、脱気時間を予め設定しておき、設定時間を経過したら自動で上昇させる、という構成でもよい。また、例えば、脱気ノズル7に真空計を接続して任意の真空度に到達したら自動で脱気ノズル7を上昇させる、という構成でもよい。
【0036】
脱気ノズル7が上昇した後、ステップST11において、
図8Hに示すように、自動で押圧部5が受け部6へ向かってさらに移動する。これにより、付勢手段により受け部6へ向かって付勢されていた第1押圧部51が押され、第2押圧部52と第2受け部62とで開口部P1が圧着されるようになる。
【0037】
ステップST12において、第2受け部62に内蔵されたヒーターを加熱し、開口部P1を熱溶着することで開口部P1がシールされる。
【0038】
ヒーターによる所定時間の加熱が完了すると、ステップST13において、押圧部5を前方向に移動させてシール部5,6を開放する。これにより、開口部P1近傍の挟持状態が解除され、開口部P1がシールされた包装袋Pを取り出すことができる。
【0039】
次いで、シール装置1の動作条件について説明する。
図9は、動作条件の算出に必要なデータ、及び必要データから算出される算出データを示している。動作条件の算出に必要なデータは、シール装置1へ事前に入力される。必要なデータは、出荷時に予め入力されていても、ユーザによって入力されてもよい。
【0040】
図10及び
図11は、包装袋Pの開口部P1のシール作業を行う際のシール装置1の側面図であり、
図10は、動作条件の算出に必要なデータを説明するための図であり、
図11は、動作条件を算出する方法を説明するための図である。
【0041】
本実施形態において、シール装置1によるシール作業は、内容物Oを収容した状態の包装袋Pを作業テーブルT上に置いて行われる。作業テーブルTは、床F上に載置される。
【0042】
必要データa1:内容物Oの寸法
内容物Oの寸法には、内容物Oの幅(X方向の長さ)、内容物Oの高さ(Z方向の長さ)、及び内容物Oの奥行(Y方向の長さ)が含まれる(内容物Oの幅は
図10に示していない)。必要データa1から、「(c1)内容物Oの高さ」、「(c2)内容物Oの容量」を得ることができる。
【0043】
必要データa2:包装袋Pの寸法
包装袋Pの寸法には、包装袋Pの高さ(Z方向の長さ)、及び包装袋Pの幅(X方向の長さ)が含まれる(包装袋Pの幅は
図10に示していない)。必要データa2から、「(c3)包装袋Pの容量」を得ることができる。
【0044】
必要データa3:床F~包装袋P底面の距離
必要データa3から、「(c4)内容物Oの底面の位置」を得ることができる。
【0045】
必要データa4:下降スタート時のシール部5,6の高さ
必要データa4から、「(c5)シール部5,6の下降スタート位置」を得ることができる。
【0046】
必要データa5:脱気ノズル7の出代
必要データa5から、「(c6)脱気ノズル7のシール部5,6からの出代」を得ることができる。
【0047】
算出する動作条件としては、以下の(A)シール部5,6の必要下降距離、(B)シール部5,6の下降速度、(C)脱気ノズル7の上昇開始位置が挙げられる。
【0048】
(A)シール部5,6の必要下降距離
「(c1)内容物Oの高さ」と「(c4)内容物Oの底面の位置」から、「(c7)内容物Oの上端の位置」を算出する。
【0049】
次いで、「(c7)内容物Oの上端の位置」と「シール時のシール部5,6の位置(例えば、内容物Oの上端から第2距離6a上方の位置)」から、「(c8)シール部5,6の下降ゴール位置」を算出する。
【0050】
次いで、「(c5)シール部5,6の下降スタート位置」と「(c8)シール部5,6の下降ゴール位置」から、「(A)シール部5,6の必要下降距離」を算出する。
【0051】
(B)シール部5,6の下降速度
「(c2)内容物Oの容量」と「(c3)包装袋Pの容量」から、「(c9)脱気する空気量」を算出する。
【0052】
次いで、「(c9)脱気する空気量」と「脱気能力(単位時間当たりの規定脱気量)」から、「(c10)脱気時間」を算出する。
【0053】
次いで、「(A)シール部5,6の必要下降距離」と「(c10)脱気時間」から、「(B)シール部5,6の下降速度」を算出する。
【0054】
(C)脱気ノズル7の上昇開始位置
「(c5)シール部5,6の下降スタート位置」と「(c6)脱気ノズル7の受け部6からの出代」から、「(c11)脱気ノズル7の先端7aのスタート位置」を算出する。
【0055】
次いで、「(c7)内容物Oの上端の位置」と「脱気ノズル7の先端7aの最下位置(例えば、内容物Oの上端から第1距離7b上方の位置)」から、「(c12)脱気ノズル7の先端7aのゴール位置」を算出する。
【0056】
次いで、「(c11)脱気ノズル7の先端7aのスタート位置」と「(c12)脱気ノズル7の先端7aのゴール位置」から、「(C)脱気ノズル7の上昇開始位置(脱気ノズル7の上昇を開始するシール部5,6の下降距離)」を算出する。
【0057】
[1]
以上より、シール装置1は、内容物Oが収容された包装袋Pの開口部P1を挟持する一対のシール部5,6と、前記一対のシール部5,6の少なくとも一方に設けられ、前記開口部P1をシールするヒーターと、前記一対のシール部5,6の間を通って前記開口部P1から前記包装袋Pの内部へ進入し、前記包装袋Pの内部を脱気する脱気ノズル7と、前記一対のシール部5,6及び前記脱気ノズル7を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記一対のシール部5,6を、前記開口部P1を挟持した状態で前記内容物Oへ向かって前進させ、かつ、前記脱気ノズル7を、脱気させながら前記一対のシール部5,6と一体として前進させる、という構成が好ましい。
【0058】
斯かる構成によれば、一対のシール部5,6で開口部P1を挟持した状態で、一対のシール部5,6と脱気ノズル7を一体として内容物Oへ向かって前進させつつ、包装袋Pの内部を脱気することで、包装袋Pが内容物Oに引っ張られてシワが発生することを抑制できるため、シール不良を防止できる。
【0059】
[2]
また、上記[1]のシール装置1においては、前記制御部は、前記脱気ノズル7を、前記脱気ノズル7の先端7aと前記内容物Oとの距離が所定距離(本実施形態においては、第1距離7b)となるまで、脱気させながら前記一対のシール部5,6と一体として前進させた後、前記一対のシール部5,6を前進させつつ、前記脱気ノズル7を、脱気させながら前記一対のシール部5,6に対して後退させる、という構成が好ましい。
【0060】
斯かる構成によれば、脱気ノズル7の先端7aが内容物Oに接触することを抑制できる。
【0061】
[3]
また、上記[2]のシール装置1においては、前記制御部は、前記脱気ノズル7の先端7aと前記内容物Oとの距離を前記所定距離(本実施形態においては、第1距離7b)に維持するように、前記脱気ノズル7を前記一対のシール部5,6に対して後退させる、という構成が好ましい。
【0062】
斯かる構成によれば、脱気ノズル7の先端7aが内容物Oに接触することを防止できる。
【0063】
[4]
また、上記[3]のシール装置1においては、前記脱気ノズル7の先端7aの位置を検出するノズル検出手段(本実施形態においては、貫通孔93aと検出センサ)を備え、前記制御部は、前記ノズル検出手段の検出結果に基づいて、前記脱気ノズル7を前記一対のシール部5,6に対して後退させる、という構成が好ましい。
【0064】
斯かる構成によれば、脱気ノズル7の先端7aが内容物Oに接触することを確実に防止できる。
【0065】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0066】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0067】
上記実施形態に係るシール装置1においては、脱気ノズル7の先端7aの位置を検出するノズル検出手段は、スライド台93に形成された複数の貫通孔93aと、本体部2に設けられ、貫通孔93aを検出可能な検出センサと、を備える、という構成である。しかしながら、シール装置1は、斯かる構成に限られない。ノズル検出手段としては、例えば、包装袋Pの外側から脱気ノズル7の先端7aを検出可能な赤外線センサ、包装袋Pの外側から脱気ノズル7の先端7aを撮影可能な画像センサ等でもよい。
【0068】
上記実施形態に係るシール装置1においては、内容物Oは箱体である、という構成である。しかしながら、シール装置1は、斯かる構成に限られない。内容物Oとしては、粉体であってもよい。このとき、例えば、
図12に示すように、粉体Oが包装袋Pの中に入れられ、さらに包装袋Pが容器Rに入れられた状態で、包装袋Pの開口部P1をシールする。この例では、動作条件の算出に必要な必要データa6として、容器Rの寸法が追加される。容器Rは、四角箱状でもよく、円筒状でもよい。容器Rの寸法としては、容器Rが四角箱状であれば、容器Rの高さ、幅、及び奥行であり、容器Rが円筒状であれば、容器Rの外径及び高さである。詳細な説明は省略するが、シール部5,6が容器Rに接触しないように、必要データa6に基づいて、シール部5,6の下降ゴール位置が算出される。
【0069】
上記実施形態に係るシール装置1においては、本体部2を昇降させる(上下方向Zに移動させる)第1昇降機構8と、脱気ノズル7を本体部2に対して昇降させる(上下方向Zに移動させる)第2昇降機構9と、を備える、という構成である。しかしながら、シール装置1は、斯かる構成に限られない。シール装置1は、例えば、本体部2を前後方向Yに移動させる第1移動機構と、脱気ノズル7を本体部2に対して前後方向Yに移動させる第2移動機構と、を備える、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0070】
1…シール装置、2…本体部、3…フットスイッチ、4…脚、5…押圧部、5a…軸芯、6…受け部、6a…第2距離、7…脱気ノズル、7a…先端、7b…第1距離、8…第1昇降機構、9…第2昇降機構、20…フレーム、21…支柱、21a…第1筒部、21b…第2筒部、21c…モーターカバー、21d…スクリューシャフト、21e…ロッドパイプ、21f…モーター、22…基台部、51…第1押圧部、52…第2押圧部、61…第1受け部、62…第2受け部、91…ブラケット、92…ブラケット、93…スライド台、93a…貫通孔、94…ガイドレール、95…ピストンロッド、F…床、O…内容物、P…包装袋、P1…開口部、R…容器、T…作業テーブル