(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173280
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】RAM
(51)【国際特許分類】
G11C 29/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
G11C29/02 150
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091603
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】井路側 晃輔
【テーマコード(参考)】
5L206
【Fターム(参考)】
5L206AA02
5L206AA14
5L206DD45
5L206EE02
(57)【要約】
【課題】センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障検出漏れを抑制することができるRAMを提供する。
【解決手段】RAM(10)は、互いに非同期の第1,2クロック信号の一方に基づく書き込み動作と、前記第1,2クロック信号の他方に基づく読み出し動作とが可能である。前記RAMは、テスト対象メモリセルを選択する第1選択部(171)と、リファレンスメモリセルを選択する第2選択部(172)と、前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成するリファレンス電圧生成部(173)と、前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第2電圧と前記リファレンス電圧とを比較する比較部(174)と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1クロック信号及び前記第1クロック信号とは非同期の第2クロック信号の一方に基づく書き込み動作と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の他方に基づく読み出し動作とが可能に構成されたRAMであって、
テスト対象メモリセルを選択するように構成された第1選択部と、
リファレンスメモリセルを選択するように構成された第2選択部と、
前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成するように構成されたリファレンス電圧生成部と、
前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第2電圧と前記リファレンス電圧とを比較するように構成された比較部と、
を備える、RAM。
【請求項2】
前記リファレンス電圧生成部は、抵抗素子である、請求項1に記載のRAM。
【請求項3】
前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方は、切り替え可能である、請求項1に記載のRAM。
【請求項4】
前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方は、切り替え可能である、請求項1に記載のRAM。
【請求項5】
テストモードにおいて、前記第1選択部と前記比較部とを電気的に接続し、非テストモードにおいて、前記第1選択部と前記比較部とを電気的に遮断するように構成された第1スイッチを備える、請求項1に記載のRAM。
【請求項6】
テストモードにおいて、前記第2選択部と前記リファレンス電圧生成部及び前記比較部とを電気的に接続し、非テストモードにおいて、前記第2選択部と前記リファレンス電圧生成部及び比較部とを電気的に遮断するように構成された第2スイッチを備える、請求項1に記載のRAM。
【請求項7】
前記テスト対象メモリセル及び前記リファレンスメモリセルを含むメモリセル群を挟んで、書き込みデータを入力し読み出しデータを出力するように構成された入出力部とは反対側に、前記第1選択部、前記第2選択部、前記リファレンス電圧生成部、及び前記比較部が配置される、請求項1~6のいずれか一項に記載のRAM。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書中に開示されている発明は、RAM(Random Access Memory)に関し、より詳細にはデュアルポートRAM及び2port RAMを含むマルチポートRAMに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1で開示されているRAMは、第1メモリセルからのデータ読み出しと、第2メモリセルへのデータ書き込みを、同時又はほぼ同時に行うことができる。このようなRAMは、データの処理を高速に行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2007/018043号(段落0002)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で開示されているRAMにおいて、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路が故障すると、センスアンプで出力論理の判別が可能な電圧レベル(基準値)にまでビット線をディスチャージできなくなる。このため、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障は、メモリセルに記憶されているデータの値が誤って読み出される要因になる。
【0005】
しかしながら、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障は、センスアンプの差動対トランジスタのばらつきによって出荷前の検査で検出できないおそれがある。つまり、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路が故障しているRAMが市場に流出してしまうおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書中に開示されているRAMは、第1クロック信号及び前記第1クロック信号とは非同期の第2クロック信号の一方に基づく書き込み動作と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の他方に基づく読み出し動作とが可能に構成されている。前記RAMは、テスト対象メモリセルを選択するように構成された第1選択部と、リファレンスメモリセルを選択するように構成された第2選択部と、前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成するように構成されたリファレンス電圧生成部と、前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第2電圧と前記リファレンス電圧とを比較するように構成された比較部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本明細書中に開示されているRAMによれば、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障検出漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、2port RAMの一部を示す図である。
【
図2】
図2は、2port RAMの各部電圧波形を示すタイミングチャートである(正常動作時)。
【
図3】
図3は、電圧ΔVの確率密度関数を示す図である。
【
図4】
図4は、2port RAMの各部電圧波形を示すタイミングチャートである(センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路故障時)。
【
図5】
図5は、実施形態に係る2port RAMを示すブロック図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る2port RAMの一部を示す図である。
【
図7】
図7は、ターゲット列セレクタの一構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、アドレスと選択されるビット線との関係を示す図である。
【
図9】
図9は、選択信号と選択されるビット線との関係を示す図である。
【
図10】
図10は、リファレンス列セレクタの一構成例を示す図である。
【
図11】
図11は、アドレスと選択されるビット線との関係を示す図である。
【
図12】
図12は、テスト信号及び選択信号とモードとの関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において、MOS(Metal Oxide Semiconductor)電界効果トランジスタとは、ゲートの構造が、「導電体または抵抗値が小さいポリシリコン等の半導体からなる層」、「絶縁層」、及び「P型、N型、又は真性の半導体層」の少なくとも3層からなる電界効果トランジスタをいう。つまり、MOS電界効果トランジスタのゲートの構造は、金属、酸化物、及び半導体の3層構造に限定されない。
【0010】
<2port RAMの読み出し動作>
図1及び
図2は、2port RAMの読み出し動作について説明するための図である。
【0011】
図1は、2port RAMの一部を示す図である。
図1には、メモリセル1と、プリチャージ回路2と、センスアンプ3と、読み出し用ビット線rbit及びrbitbと、書き込み用ビット線wbit及びwbitbと、読み出し用ワード線WLrと、書き込み用ワード線WLwと、アクセストランジスタQ1~Q4とが図示されている。
【0012】
メモリセル1は、Pチャネル型のMOS電界効果トランジスタQ11及びQ13と、Nチャネル型のMOS電界効果トランジスタQ12及びQ14と、によって構成される。
【0013】
プリチャージ回路2は、Pチャネル型のMOS電界効果トランジスタQ21~Q23によって構成される。プリチャージ回路2は、読み出し用ビット線rbit及びrbitbをプリチャージする。
【0014】
アクセストランジスタQ1~Q4は、Nチャネル型のMOS電界効果トランジスタである。アクセストランジスタQ1は、読み出し用アクセストランジスタであり、読み出し用ビット線rbitとメモリセル1(MOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ゲート)とを連結する。アクセストランジスタQ2は、書き込み用アクセストランジスタであり、書き込み用ビット線wbitとメモリセル1(MOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ゲート)とを連結する。アクセストランジスタQ3は、読み出し用アクセストランジスタであり、読み出し用ビット線rbitbとメモリセル1(MOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ゲート)とを連結する。アクセストランジスタQ4は、書き込み用アクセストランジスタであり、書き込み用ビット線wbitbとメモリセル1(MOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ゲート)とを連結する。
【0015】
図2は、2port RAMの読み出し動作時の各部電圧波形を示すタイミングチャートである。なお、
図2は、正常動作時のタイミングチャートである。また、
図2の前提条件として、メモリセル1においてMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ゲートにHIGHレベルの電圧が印加され、MOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ゲートにLOWレベルの電圧が印加されている。
【0016】
クロック信号CPr(
図1において不図示)がLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第1タイミングTM1において、書き込み動作が開始される。
【0017】
次に、プリチャージ制御信号PRCrがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第2タイミングTM2において、読み出し用ビット線rbitはHIGHレベルの電圧Vrbitが印加されている状態からフローティング状態に切り替わり、読み出し用ビット線rbitbはHIGHレベルの電圧Vrbitbが印加されている状態からフローティング状態に切り替わる。
【0018】
次に、読み出し用ワード線WLrに印加される電圧VWLrがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第3タイミングTM3において、アクセストランジスタQ1及びQ3がオフ状態からオン状態に切り替わり、メモリセル1のLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線(読み出し用ビット線rbitb)がディスチャージされる。
【0019】
次に、読み出し指令SAEがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第4タイミングTM4において、センスアンプ3は非アクティブからアクティブに切り替わり、センスアンプ3による読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitと読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbとの間の電圧差判定が行われ、読み出しデータが確定する。
【0020】
図2に示すように読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbより大きい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はHIGHレベルになる。一方、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbより小さい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はLOWレベルになる。
【0021】
しかしながら、製造ばらつきの影響で実際は、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbと電圧ΔVとの合計値より大きい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はHIGHレベルになり、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbと電圧ΔVとの合計値より小さい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はLOWレベルになる。
【0022】
電圧ΔVは、製造ばらつきによってビット線間の電圧差(センスアンプ3で検出される電圧差)に影響を及ぼすオフセット電圧値とする。電圧ΔVの確率密度関数は
図3に示すようになっている。電圧ΔVが正の場合には電圧VOUTはLOWレベルになり易く、電圧ΔVが負の場合には電圧VOUTはHIGHレベルになり易い。ビット線は、ディスチャージされると基準値を下回るように設計されている。基準値は、製造ばらつきによって電圧VOUT(読み出しデータ)が正しい論理から逆転しないように設定される。
【0023】
図4は、2port RAMの読み出し動作時の各部電圧波形を示すタイミングチャートである。なお、
図4は、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路が故障しているときのタイミングチャートである。また、
図4の前提条件として、メモリセル1においてMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ゲートにHIGHレベルの電圧が印加され、MOS電界効果トランジスタQ13及びQ14の各ドレイン並びにMOS電界効果トランジスタQ11及びQ12の各ゲートにLOWレベルの電圧が印加されている。
【0024】
クロック信号CPr(
図1において不図示)がLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第1タイミングTM1’において、書き込み動作が開始される。
【0025】
次に、プリチャージ制御信号PRCrがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第2タイミングTM2’において、読み出し用ビット線rbitはHIGHレベルの電圧Vrbitが印加されている状態からフローティング状態に切り替わり、読み出し用ビット線rbitbはHIGHレベルの電圧Vrbitbが印加されている状態からフローティング状態に切り替わる。
【0026】
次に、読み出し用ワード線WLrに印加される電圧VWLrがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第3タイミングTM3’において、アクセストランジスタQ1及びQ3がオフ状態からオン状態に切り替わる。しかし、メモリセル1のLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線(読み出し用ビット線rbitb)からメモリセル1内のグラウンド電位VSSの印加端までの経路が故障しているため、メモリセル1のLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線(読み出し用ビット線rbitb)はディスチャージされない。
【0027】
次に、読み出し指令SAEがLOWレベルからHIGHレベルに切り替わる第4タイミングTM4’において、センスアンプ3は非アクティブからアクティブに切り替わり、センスアンプ3による読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitと読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbとの間の電圧差判定が行われ、読み出しデータが確定する。
【0028】
読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbより大きい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はHIGHレベルになる。一方、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbより小さい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はLOWレベルになる。
【0029】
しかしながら、製造ばらつきの影響で実際は、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbと電圧ΔVとの合計値より大きい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はHIGHレベルになり、読み出し用ビット線rbitに印加される電圧Vrbitが読み出し用ビット線rbitbに印加される電圧Vrbitbと電圧ΔVとの合計値より小さい場合にはセンスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)はLOWレベルになる。
【0030】
故障のせいでメモリセル1のLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線(読み出し用ビット線rbitb)が基準値を下回らないと、センスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)は電圧ΔVの値次第で期待値通りにHIGHレベルになることもあり(
図4に示す太点線参照)、期待値とは逆にLOWレベルになることもある(
図4に示す実線参照)。
【0031】
したがって、センスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)に基づく故障検出では、センスアンプ3から出力される電圧VOUT(読み出しデータ)が期待値通りになると、メモリセル1のLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線(読み出し用ビット線rbitb)からメモリセル1内のグラウンド電位VSSの印加端までの経路が故障しているRAMが市場に流出してしまう。
【0032】
<実施形態に係る2port RAM>
図5は、実施形態に係る2port RAM10を示すブロック図である。2port RAM10は、メモリアレイ11と、読み出し用制御部12と、読み出し用ワード線デコーダ13と、書き込み用制御部14と、書き込み用ワード線デコーダ15と、M個の入出力部16と、M個のテスト回路17と、を備える。
【0033】
メモリアレイ11は、N行4×M列のマトリクス状に配置された複数のメモリセルと、N本の読み出し用ワード線と、N本の書き込み用ワード線と、8×M本の読み出し用ビット線と、8×M本の書き込み用ビット線と、各メモリセルに対して4個ずつ設けられるアクセストランジスタと、を含む。なお、本実施形態では、複数のメモリセルはN行4×M列の配置であるが、この配置は単なる一例である。したがって、複数のメモリセルはN行4×M列の配置に限らず、他の配置であってもよい。他の配置としては、例えばN行8×M列の配置、N行16×M列の配置などがある。
【0034】
読み出し用制御部12は、データを読み出すために、読み出し用ワード線デコーダ13及び入出力部16を制御する。
【0035】
読み出し用ワード線デコーダ13は、読み出し用制御部12から供給される読み出し用アドレスをデコードしてメモリアレイ11の行を選択する。
【0036】
書き込み用制御部14は、データを書き込むために、書き込み用ワード線デコーダ15及び入出力部16を制御する。
【0037】
書き込み用ワード線デコーダ15は、書き込み用制御部14から供給される書き込み用アドレスをデコードしてメモリアレイ11の行を選択する。
【0038】
入出力部16は、書き込みデータを外部から入力し、読み出しデータを外部に出力する。
【0039】
テスト回路17は、センスアンプに電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障有無をテストする。
【0040】
テスト回路17は、メモリアレイ11を挟んで、入出力部16とは反対側に配置される。このような配置により、テスト回路17に至るまでのビット線の引き回しを抑制することができる。
【0041】
図6は、実施形態に係る2port RAM10の一部を示す図である。
図6では、1個の入出力部16及び1個のテスト回路17に対応するメモリアレイ11の一部と、読み出し用制御部12と、読み出し用ワード線デコーダ13と、書き込み用制御部14と、書き込み用ワード線デコーダ15と、1個の入出力部16と、1個のテスト回路17と、が図示されている。なお、
図6において、
図1と同様の部分には同様の符号が付されている。また、
図6において、入出力部16内に設けられるプリチャージ回路の図示は省略されている。
【0042】
入出力部16は、センスアンプ3と、読み出し用列セレクタ4と、ライトドライバ5と、書き込み用列セレクタ6と、を備える。
【0043】
センスアンプ3は、読み出し用制御部12の制御によって選択されたメモリセル1からデータを読み出す。読み出し用列セレクタ4は、読み出し用制御部12の制御により、メモリアレイ11の行を選択する。ライトドライバ5は、書き込み用制御部14の制御によって選択されたメモリセル1にデータを書き込む。書き込み用列セレクタ6は、書き込み用制御部14の制御により、メモリアレイ11の行を選択する。
【0044】
テスト回路17は、ターゲット列セレクタ171と、リファレンス列セレクタ172と、抵抗素子173と、センスアンプ174と、を備える。
【0045】
ターゲット(テスト対象)列セレクタ171は、読み出し用制御部12の制御により、読み出し用ワード線デコーダ13と協働して、テスト対象メモリセルを選択する。
【0046】
リファレンス列セレクタ172は、書き込み用制御部14の制御により、書き込み用ワード線デコーダ15と協働して、リファレンスメモリセルを選択する。
【0047】
抵抗素子173は、リファレンス電圧生成部の一例である。リファレンス電圧生成部は、リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成する。より詳細には、リファレンス電圧生成部は、リファレンスメモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成する。
【0048】
リファレンス電圧生成部が抵抗素子173である場合、リファレンス電圧生成部を簡易な構成にすることができる。リファレンス電圧生成部の他の例としては、例えば直流電圧源を挙げることができる。
【0049】
リファレンス電圧生成部は、リファレンスメモリセル及びリファレンスメモリセルに接続される読み出し用アクセストランジスに欠陥がない場合に、リファレンスメモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線に印加される第1電圧に対して電圧上昇させて基準値と等しいリファレンス電圧を生成するように設計される。
【0050】
センスアンプ174は、テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第2電圧とリファレンス電圧とを比較する。より詳細には、センスアンプ174は、テスト対象メモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線に印加される第2電圧とリファレンス電圧とを比較する。
【0051】
センスアンプ174は、第2電圧がリファレンス電圧より大きければ、HIGHレベルの電圧を出力する。テスト対象メモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線からテスト対象メモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路に故障があれば、第2電圧が低下しないため、センスアンプ174の出力電圧はHIGHレベルになる。
【0052】
一方、センスアンプ174は、第2電圧がリファレンス電圧より小さければ、LOWレベルの電圧を出力する。テスト対象メモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線からテスト対象メモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路に故障がなければ、第2電圧がディスチャージによって低下するため、センスアンプ174の出力電圧はLOWレベルになる。
【0053】
したがって、テスト回路17の出力(センスアンプ174の出力電圧)の確認によって、センスアンプ3に電気的に接続されるビット線からメモリセル内のグラウンド電位印加端までの経路の故障検出漏れが抑制される。
【0054】
リファレンスメモリセル及びリファレンスメモリセルに接続される読み出し用アクセストランジスには欠陥がないことが必要である。例えば、テスト対象メモリセルを1つ決定し、そのテスト対象メモリセルに対して異なる複数のリファレンスメモリセルを設定して、いずれにおいてもセンスアンプ174の出力電圧がLOWレベルになれば、そのテスト対象メモリセルをリファレンスメモリセルとして採用して以後のテストが実施されればよい。
【0055】
図7は、ターゲット列セレクタ171の一構成例を示す図である。
図7に示す構成例のターゲット列セレクタ171は、列セレクタ171Aと、ビット線セレクタ171Bと、スイッチ171Cと、を備える。
【0056】
列セレクタ171Aは、データの読み出しの際にも利用されるアドレスADRAに基づいて、
図8に示す関係に従って四対のビット線から一対のビット線を選択する。
【0057】
ビット線セレクタ171Bは、選択信号SELに基づいて、
図9に示す関係に従って、一対のビット線から一本のビット線を選択する。これにより、センスアンプ174においてリファレンス電圧と比較される第2電圧が印加されるビット線の切り替えが可能となり、一対のビット線のうちどちらがテスト対象メモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線であってもテスト回路17によるテストが可能となる。
【0058】
スイッチ171Cは、テスト信号TEがHIGHレベルであるテストモードであるときにオン状態になり、列セレクタ171A及びビット線セレクタ171Bとセンスアンプ174とを電気的に接続する。一方、スイッチ171Cは、テスト信号TEがLOWレベルである非テストモード(通常動作モード)であるときにオフ状態になり、列セレクタ171A及びビット線セレクタ171Bとセンスアンプ174とを電気的に遮断する。これにより、非テストモード(通常動作モード)においてセンスアンプ174の影響を低減できるため、回路設計が容易になる。
【0059】
図10は、リファレンス列セレクタ172の一構成例を示す図である。
図10に示す構成例のリファレンス列セレクタ172は、列セレクタ172Aと、ビット線セレクタ172Bと、スイッチ172Cと、を備える。
【0060】
列セレクタ172Aは、データの書き込みの際にも利用されるアドレスADRBに基づいて、
図11に示す関係に従って四対のビット線から一対のビット線を選択する。
【0061】
ビット線セレクタ172Bは、選択信号SELに基づいて、
図9に示す関係に従って、一対のビット線から一本のビット線を選択する。これにより、リファレンス電圧の元になる第1電圧が印加されるビット線の切り替えが可能となり、一対のビット線のうちどちらがリファレンスメモリセルのLOWレベルデータを格納している側の読み出し用ビット線であってもテスト回路17によるテストが可能となる。
【0062】
スイッチ172Cは、テスト信号TEがHIGHレベルであるテストモードであるときにオン状態になり、列セレクタ172A及びビット線セレクタ172Bとセンスアンプ174とを電気的に接続する。一方、スイッチ172Cは、テスト信号TEがLOWレベルである非テストモード(通常動作モード)であるときにオフ状態になり、列セレクタ172A及びビット線セレクタ172Bとセンスアンプ174とを電気的に遮断する。これにより、非テストモード(通常動作モード)においてセンスアンプ174の影響を低減できるため、回路設計が容易になる。
【0063】
なお、
図7に示す構成例のターゲット列セレクタ171及び
図10に示す構成例のリファレンス列セレクタ172が用いられる場合、テスト信号TE及び選択信号SELと2port RAM10のモードとの関係は
図12に示すようになる。テスト信号TE及び選択信号SELがHIGHレベルである場合には、ビット線bit(読み出し用ビット線rbit)のテストモードになる。テスト信号TEがHIGHレベルであり選択信号SELがLOWレベルである場合には、ビット線bitb(読み出し用ビット線rbitb)のテストモードになる。テスト信号TEがLOWレベルである場合には、選択信号SELのレベルにかかわらず通常動作モードになる。
【0064】
<その他>
発明の構成は、上記実施形態のほか、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。上記実施形態は、全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきであり、本発明の技術的範囲は、上記実施形態の説明ではなく、特許請求の範囲によって示されるものであり、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内に属する全ての変更が含まれると理解されるべきである。
【0065】
例えば、上記実施形態に係るRAMは、入力専用ポート及び出力専用ポートを備える2port RAMであったが、2port RAMの代わりに、互いに独立した第1入出力ポートであるAポート及び第2入出力ポートであるBポートを備えるデュアルポートRAMが用いられてもよい。
【0066】
<付記>
上述の実施形態にて具体的構成例が示された本開示について付記を設ける。
【0067】
本開示のRAM(10)は、第1クロック信号及び前記第1クロック信号とは非同期の第2クロック信号の一方に基づく書き込み動作と、前記第1クロック信号及び前記第2クロック信号の他方に基づく読み出し動作とが可能に構成されたRAMであって、テスト対象メモリセルを選択するように構成された第1選択部(171)と、リファレンスメモリセルを選択するように構成された第2選択部(172)と、前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第1電圧に対して電圧上昇させたリファレンス電圧を生成するように構成されたリファレンス電圧生成部(173)と、前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方に印加される第2電圧と前記リファレンス電圧とを比較するように構成された比較部(174)と、を備える構成(第1の構成)である。
【0068】
上記第1の構成のRAMにおいて、前記リファレンス電圧生成部は、抵抗素子である構成(第2の構成)であってもよい。
【0069】
上記第1又は第2の構成のRAMにおいて、前記テスト対象メモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方は、切り替え可能である構成(第3の構成)であってもよい。
【0070】
上記第1~第3いずれかの構成のRAMにおいて、前記リファレンスメモリセルに電気的に接続された一対の読み出し用ビット線の一方は、切り替え可能である構成(第4の構成)であってもよい。
【0071】
上記第1~第4いずれかの構成のRAMにおいて、テストモードにおいて、前記第1選択部と前記比較部とを電気的に接続し、非テストモードにおいて、前記第1選択部と前記比較部とを電気的に遮断するように構成された第1スイッチ(171C)を備える構成(第5の構成)であってもよい。
【0072】
上記第1~第5いずれかの構成のRAMにおいて、テストモードにおいて、前記第2選択部と前記リファレンス電圧生成部及び前記比較部とを電気的に接続し、非テストモードにおいて、前記第2選択部と前記リファレンス電圧生成部及び比較部とを電気的に遮断するように構成された第2スイッチ(172C)を備える構成(第6の構成)であってもよい。
【0073】
上記第1~第6いずれかの構成のRAMにおいて、前記テスト対象メモリセル及び前記リファレンスメモリセルを含むメモリセル群(11)を挟んで、書き込みデータを入力し読み出しデータを出力するように構成された入出力部(16)とは反対側に、前記第1選択部、前記第2選択部、前記リファレンス電圧生成部、及び前記比較部が配置される構成(第7の構成)であってもよい。
【符号の説明】
【0074】
1 メモリセル
2 プリチャージ回路
3 センスアンプ
4 読み出し用列セレクタ
5 ライトドライバ
6 書き込み用列セレクタ
10 2port RAM
11 メモリアレイ
12 読み出し用制御部
13 読み出し用ワード線デコーダ
14 書き込み用制御部
15 書き込み用ワード線デコーダ
16 入出力部
17 テスト回路
171 ターゲット列セレクタ
171A 列セレクタ
171B ビット線セレクタ
171C スイッチ
172 リファレンス列セレクタ
172A 列セレクタ
172B ビット線セレクタ
172C スイッチ
173 抵抗素子
174 センスアンプ
Q1~Q4 アクセストランジスタ
Q11~Q14、Q21~Q23 MOS電界効果トランジスタ
rbit、rbitb 読み出し用ビット線
wbit、wbitb 書き込み用ビット線
WLr 読み出し用ワード線
WLw 書き込み用ワード線