(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173284
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】無線装置、通信システム、無線装置の制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
H04W 28/18 20090101AFI20241205BHJP
H04W 84/12 20090101ALI20241205BHJP
H04W 16/14 20090101ALI20241205BHJP
H04W 72/0446 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
H04W28/18
H04W84/12
H04W16/14
H04W72/0446
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091607
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】500112146
【氏名又は名称】サイレックス・テクノロジー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(72)【発明者】
【氏名】高田 和俊
(72)【発明者】
【氏名】林 栄植
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD34
5K067EE02
5K067EE10
5K067EE16
5K067EE72
(57)【要約】
【課題】無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行う。
【解決手段】無線装置10は、現在時刻を終期とする第一期間において第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間と、無線装置10がマネジメントフレームの送信に使用した時間とを取得する取得部131と、データの送信に使用した時間と、マネジメントフレームの送信に使用した時間と、現在時刻を始期とする第二期間においてマネジメントフレームの送信に使用される時間とを用いて、第一期間及び第二期間における無線送信時間の総和が、第一期間と第二期間の総和時間に対して所定時間比率を超えないように、第二期間における第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定する推定部132と、新たなデータの送信に使用可能な時間にデータレートを乗じて、第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する算出部133と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一通信装置から取得したデータを所定の通信規格で第二通信装置へ送信する無線装置であって、
前記所定の通信規格は、時間当たりの無線送信可能時間が所定時間比率以下に制限されており、
前記無線装置は、
現在時刻を終期とする第一期間において、前記無線装置が前記第二通信装置への前記データの送信に使用した時間と、前記無線装置がマネジメントフレームの送信に使用した時間とを取得する取得部と、
前記データの送信に使用した時間と、前記マネジメントフレームの送信に使用した時間と、現在時刻を始期とする第二期間においてマネジメントフレームの送信に使用される時間とを用いて、前記第一期間における無線送信時間と前記第二期間における無線送信時間との総和が、前記第一期間と前記第二期間の総和時間に対して前記所定時間比率を超えないように、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定する推定部と、
前記新たなデータの送信に使用可能な時間に、前記無線装置と前記第二通信装置との間の通信速度であるデータレートを乗じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への前記新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する算出部と、
を備える、
無線装置。
【請求項2】
さらに、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第一通信装置から取得するデータの通信速度を制限する帯域制限部を備える、
請求項1に記載の無線装置。
【請求項3】
さらに、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記第一通信装置が前記無線装置へ送信する前記新たなデータの通信速度を制限させる指示を含む制御情報を前記第一通信装置に送信する帯域制限部を備える、
請求項1に記載の無線装置。
【請求項4】
前記第一期間と前記第二期間との時間長は、同じである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項5】
前記無線装置は、前記第一通信装置を含む、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項6】
前記所定の通信規格は、IEEE802.11ahである、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線装置。
【請求項7】
通信システムであって、
請求項1に記載の無線装置と、前記第一通信装置とを備え、
前記第一通信装置は、動画像データに対して圧縮処理を施し、圧縮された前記動画像データを前記データとして送信し、
前記無線装置は、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記第一通信装置の前記圧縮処理における圧縮率を設定し、設定した前記圧縮率を前記第一通信装置に送信する
通信システム。
【請求項8】
第一通信装置から取得したデータを所定の通信規格で第二通信装置へ送信する無線装置の制御方法であって、
前記所定の通信規格は、時間当たりの無線送信可能時間が所定時間比率以下に制限されており、
前記無線装置は、
現在時刻を終期とする第一期間において、前記無線装置が前記第二通信装置への前記データの送信に使用した時間と、前記無線装置がマネジメントフレームの送信に使用した時間とを取得する取得ステップと、
前記データの送信に使用した時間と、前記マネジメントフレームの送信に使用した時間と、現在時刻を始期とする第二期間においてマネジメントフレームの送信に使用される時間とを用いて、前記第一期間における無線送信時間と前記第二期間における無線送信時間との総和が、前記第一期間と前記第二期間の総和時間に対して前記所定時間比率を超えないように、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定する推定ステップと、
前記新たなデータの送信に使用可能な時間に、前記無線装置と前記第二通信装置との間の通信速度であるデータレートを乗じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への前記新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する算出ステップと、
を含む、
無線装置の制御方法。
【請求項9】
請求項8に記載の無線装置の制御方法を1以上のコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線装置、通信システム、無線装置の制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
IEEE標準規格802.11ah(以下、802.11ahともいう)は、920MHz帯の周波数を利用する無線通信手段の1つで、特にIoT(Internet of Things)の通信システムとして様々な分野で活用が期待されている。例えば、802.11ahは、独自プロトコル及び専用システムが不要であり、既存のIP(Internet Protocol)資産及び市販のIPベースの機器と親和性が高いため、既存のIP資産を有効活用できるという利点がある。また、例えば、802.11ahは、免許不要の帯域を用いるアンライセンスバンドを利用する規格であり、利用シーンに合わせて自由に基地局及び端末を設置できるという利点がある。
【0003】
しかしながら、802.11ahで使用される周波数帯(例えば920MHz帯)では、電波法により、1時間当たり360秒までしか電波を送信してはならないという規制がある。この規制を守るため、例えば、特許文献1には、電波を送信してから単位時間当たりの送信時間の総和を第1制限時間以下に制限し、所定の送信周期毎の送信タイミングで無線送信を許可するとともに1回当たりの無線送信時間が第2制限時間以下となるように送信制御する無線通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、例えば、第1制限時間及び第2制限時間による制限によって、電波を送信してから単位時間当たりの送信時間制限を遵守し得るが、一方で刻一刻と変化する無線環境に応じた適切な通信制御を行うことができない場合がある。また、単位時間当たりの送信時間制限の上限に達した場合、電波を送信してはならないという規則に則れば、送信時間制限の上限に達した時点で通信が突然途絶えることになり、然るべき時間経過の後にはじめて、送信すべきデータの再送が行われるため、適切な通信制御を行うことができないおそれ、言い換えれば、通信の効率が低下するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記問題を解決するためになされたものであり、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる無線装置などを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明の一態様に係る無線装置は、第一通信装置から取得したデータを所定の通信規格で第二通信装置へ送信する無線装置であって、前記所定の通信規格は、時間当たりの無線送信可能時間が所定時間比率以下に制限されており、前記無線装置は、現在時刻を終期とする第一期間において、前記無線装置が前記第二通信装置への前記データの送信に使用した時間と、前記無線装置がマネジメントフレームの送信に使用した時間とを取得する取得部と、前記データの送信に使用した時間と、前記マネジメントフレームの送信に使用した時間と、現在時刻を始期とする第二期間においてマネジメントフレームの送信に使用される時間とを用いて、前記第一期間における無線送信時間と前記第二期間における無線送信時間との総和が、前記第一期間と前記第二期間の総和時間に対して前記所定時間比率を超えないように、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定する推定部と、前記新たなデータの送信に使用可能な時間に、前記無線装置と前記第二通信装置との間の通信速度であるデータレートを乗じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への前記新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する算出部と、を備える、無線装置である。
【0008】
これによれば、無線装置は、第一通信装置から新たなデータを取得すると、現在時刻を終期とする第一期間において第二通信装置へのデータ送信に使用した時間(言い換えると、直近の送信実績)から、次の一定時間において第二通信装置へ新たなデータを送信するのに使用可能な時間を推定することができる。また、無線装置は、推定した時間に、現在時刻におけるデータレートを乗じることで、第二通信装置へ新たなデータを送信するのに使用可能な通信帯域を算出することができる。そのため、無線装置は、無線通信の状態によってデータレートが変動しても、データレートの変動に応じて第二通信装置へ新たなデータを送信するのに使用可能な通信帯域を算出することができる。したがって、無線装置は、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。
【0009】
また、前記無線装置は、さらに、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第一通信装置から取得するデータの通信速度を制限する帯域制限部を備えてもよい。
【0010】
これによれば、無線装置は、算出部で算出された通信帯域に応じて、現在時刻を始期とする第二期間において第一通信装置から取得する新たなデータの通信速度を制限することができる。そのため、無線装置は、第一通信装置から取得する新たなデータの量を第二通信装置へ送信可能な時間内に送信できる量に制限することができる。
【0011】
また、前記無線装置は、さらに、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記第一通信装置が前記無線装置へ送信する前記新たなデータの通信速度を制限させる指示を含む制御情報を前記第一通信装置に送信する帯域制限部を備えてもよい。
【0012】
これによれば、無線装置は、算出部で算出された通信帯域に応じて、現在時刻を始期とする第二期間において第一通信装置が無線装置へ送信する新たなデータの通信速度を制限することができる。そのため、無線装置は、第一通信装置から送信される新たなデータの量を第二通信装置へ送信可能な時間内に送信できる量に制限することができる。
【0013】
また、前記第一期間と前記第二期間との時間長は、同じであってもよい。
【0014】
これによれば、無線装置は、同じ時間長の制御周期で通信制御可能であるため、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことが容易になる。
【0015】
また、前記無線装置は、前記第一通信装置を含んでもよい。
【0016】
これによれば、無線装置は、通信環境に左右されにくくなるため、第一通信装置から取得するデータ量の調整が容易になる。
【0017】
また、前記所定の通信規格は、IEEE802.11ahであってもよい。
【0018】
これによれば、無線装置は、IEEE802.11ahにおいても無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。
【0019】
また、本発明の一態様に係る通信システムは、上記の無線装置と、前記第一通信装置とを備え、前記第一通信装置は、動画像データに対して圧縮処理を施し、圧縮された前記動画像データを前記データとして送信し、前記無線装置は、前記算出部で算出された前記通信帯域に応じて、前記第二期間において前記第一通信装置の前記圧縮処理における圧縮率を設定し、設定した前記圧縮率を前記第一通信装置に送信する通信システムである。
【0020】
これによれば、通信システムは、無線環境の変化に応じて適切な圧縮率で圧縮した動画像データを送信することができる。
【0021】
また、本発明の一態様に係る無線装置の制御方法は、第一通信装置から取得したデータを所定の通信規格で第二通信装置へ送信する無線装置の制御方法であって、前記所定の通信規格は、時間当たりの無線送信可能時間が所定時間比率以下に制限されており、前記無線装置は、現在時刻を終期とする第一期間において、前記無線装置が前記第二通信装置への前記データの送信に使用した時間と、前記無線装置がマネジメントフレームの送信に使用した時間とを取得する取得ステップと、前記データの送信に使用した時間と、前記マネジメントフレームの送信に使用した時間と、現在時刻を始期とする第二期間においてマネジメントフレームの送信に使用される時間とを用いて、前記第一期間における無線送信時間と前記第二期間における無線送信時間との総和が、前記第一期間と前記第二期間の総和時間に対して前記所定時間比率を超えないように、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定する推定ステップと、前記新たなデータの送信に使用可能な時間に、前記無線装置と前記第二通信装置との間の通信速度であるデータレートを乗じて、前記第二期間において前記無線装置が前記第二通信装置への前記新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する算出ステップと、を含む、無線装置の制御方法である。
【0022】
これによれば、上記無線装置と同様の効果を奏する。
【0023】
また、本発明の一態様に係るプログラムは、上記の無線装置の制御方法を1以上のコンピュータに実行させるプログラムである。
【0024】
これによれば、上記無線装置と同様の効果を奏する。
【0025】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明により、無線装置は、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、従来の無線装置の動作を示す説明図である。
【
図2】
図2は、無線装置がマネジメントフレームに使用する時間の推移を示すグラフである。
【
図3】
図3は、
図2に示される状況で無線装置に通信負荷をかけた場合の残り時間の推移を示すグラフである。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る無線装置を備える通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る無線装置が実行する処理の一例を示すフロー図である。
【
図6】
図6は、帯域制限ステップにおける帯域制限部の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る無線装置が実行する推定処理を具体的に説明するための第1図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る無線装置が実行する推定処理を具体的に説明するための第2図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る無線装置が実行する推定処理を具体的に説明するための第3図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る無線装置が実行する推定処理を具体的に説明するための第4図である。
【
図11】
図11は、帯域制限ステップにおける帯域制限部の動作の他の例を説明するための模式図である。
【
図12】
図12は、無線装置が第一通信装置を備える場合の帯域制限部の動作の一例を説明するための模式図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る無線装置を備える動画像配信システムの構成の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(本発明に至った知見)
まず、従来の無線装置及び課題について説明する。
図1は、従来の無線装置の動作を示す説明図である。
【0029】
背景技術の欄で説明したように、日本では、920MHz帯を使う802.11ahについては、1時間当たり360秒(すなわち、送信可能な時間比率=10%)までしか電波を送信してはならないという規則がある。言い換えれば、802.11ahについては、全体のうちの10%の時間までしか電波を送信してはならない、つまり、電波を送信可能である時間比率が全体のうちの10%であるという規則がある。上記時間比率を、所定時間比率ともいう。
【0030】
従来の無線装置は、電波の送信を開始してから単位時間当たりの送信時間の総和を制限時間以下に制限することで、上記の規則に違反しないように(より具体的には、電波の送信が1時間当たり360秒を超えないように)通信制御することで、上記規則を遵守している。
【0031】
例えば、
図1に示されるように、従来の無線装置は、第一通信装置から取得したデータを第二通信機器へ送信する際に、1回当たりの無線送信時間が制限時間を超えて送信することになるデータ(通信パケットともいう)があれば、そのデータ(通信パケット)をその送信前に破棄することで、第二通信装置へ送信するデータ量を調整する。
【0032】
このように、従来の無線装置は、第二通信装置との無線通信を制御しているが、制限時間を超えて送信することになるデータを破棄するので、通信を用いるアプリケーション又はサービス等の品質を低下させてしまう可能性(例えば、動画データを送信するアプリケーションにおけるコマ落ち、又は、音声の音飛びなどを発生させてしまう可能性)がある。
【0033】
上記の品質の低下を回避するために、第一通信装置から取得したデータを上記のように破棄することなく、第二通信装置へのデータ送信速度を調整する方法もあるが、この方法は、下記(1)または(2)の理由で実装が難しいと考えられる。
【0034】
(1)無線装置が第二通信装置との通信に使用可能な通信帯域は、データレートに連動して変化するからである。なお、データレートは、無線装置と第二通信装置との間の通信における信号の伝送速度であり、無線環境により変化する。
【0035】
(2)無線装置がマネジメントフレームに使用する時間は、帯域制限の対象にすることができないからである。なお、無線装置は、一般に、最遅のデータレートで第二通信装置へマネジメントフレームを送信することが多い。ここで言うマネジメントフレームとは、無線通信を維持するために必要な通信のために用いられる、無線通信における管理フレームである。
【0036】
無線装置がマネジメントフレームに使用する時間の例を、
図2を参照しながら説明する。
【0037】
図2は、無線装置がマネジメントフレームに使用する時間の推移を示すグラフである。ここでは、送信可能時間の算定に用いられる時間幅として管理される単位時間(管理単位時間ともいう)を、1時間(つまり、3600秒)よりも短く、例として1分間(つまり、60秒)に設定する。すなわち、この例では、管理単位時間としての1時間(つまり、3600秒)に対して送信可能時間を360秒に制限するのではなく、所定時間比率である10%はそのままに、管理単位時間としての1分間(つまり、60秒)に対して送信可能時間を6秒に制限するように、通信制御を行う例を示す。
【0038】
図2において、グラフの横軸は、無線装置の電源がONされた時点を時刻0とした場合の時刻を示している。また、グラフの縦軸は、当該時刻において、現時点を始期とする6秒間の期間に無線装置が第二通信装置との通信に使用できる時間(残時間ともいう)を示している。
【0039】
図2において、残時間が2秒おきに示されている。残時間は、2秒ごとに、当該時点を終期とする60秒の期間に無線装置がフレームの送信に消費した時間(消費時間ともいう)を、制限時間である6秒から減ずることで算出される。
【0040】
無線装置は、電源がONされるとマネジメントフレームの送信を開始し、所定周期でマネジメントフレームの送信を繰り返す。これにより、
図2に示される残時間は、時間の経過とともに減少する。マネジメントフレームは、例えば、ビーコンフレームである。無線装置は、例えば100ミリ秒に1回ビーコンフレームを送信する。この場合、1回のビーコンフレーム送信時間が3.3ミリ秒であるとすると、管理単位時間である60秒間に600回×3.3ミリ秒、すなわち約2秒を、送信時間として消費する。
【0041】
電源ONからの経過時間が60秒を超えた時点以降は、当該時点より60秒以上過去に、マネジメントフレームの送信に使用された時間が、消費時間に含まれなくなる(言い換えると、当該消費時間が過去の送信実績として算入されなくなる)。そのため、経過時間が60秒以降の時刻における残時間は、当該時点より60秒以上過去にマネジメントフレームの送信に使用された時間の減少分と、新たにマネジメントフレームの送信に使用された時間の増加分とのバランスが取れて、約4秒に維持される。
【0042】
ここで、マネジメントフレームは、常に最遅のデータレートで送信されるので、マネジメントフレームに使用される時間は、一定で変わらない。なお、
図2では、例として無線通信における管理フレーム(マネジメントフレーム)としてビーコンフレームを用いて説明するが、これに限らない。つまり、無線通信を維持するために必要となる通信のうち、所定周期で予め決まった時間の通信を行う通信であればよい。具体的には、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)の更新時に行われる通信などである。
【0043】
このような状況において、無線装置がマネジメントフレームの送信に加えてデータの送信を行うと、
図3に示される状況に陥る場合がある。
図3は、
図2に示される状況で無線装置がデータを送信し通信負荷がかかった場合の残時間の推移を示すグラフである。ここでは、無線装置の電源がONされてから30秒後に無線装置が第一通信装置からデータの取得を開始し、取得したデータを第二通信装置に転送する例を示す。
【0044】
図3に示されるように、無線装置の電源がONされてから30秒経過するまでは、
図2における場合と同様に、無線装置はマネジメントフレームのみの送信をし、データの送信をしない。そのため、無線装置の電源がONされてから30秒経過までは、残時間が減少していく。時間経過とともにマネジメントフレームの送信に使用された時間が増加し、制限時間である6秒から、マネジメントフレームの送信に使用された時間が消費時間として差し引かれるからである。
【0045】
次に、無線装置が第一通信装置からデータの取得を開始し第二通信装置へデータを送信した時点(経過時間30秒)から60秒までの間は、残時間の減少率が大きくなる。時間経過とともに、マネジメントフレームの送信に使用された時間と、第二通信装置へのデータ送信に使用された時間との両方が増加し、制限時間である6秒から、上記両方の時間が消費時間として差し引かれるからである。
【0046】
次に、電源ONからの経過時間が60秒を超えた時点では、当該時点より60秒以上過去に、マネジメントフレームの送信に使用された時間が、消費時間に含まれなくなる(言い換えると、当該消費時間が過去の送信実績として算入されなくなる)。そのため、経過時間が60秒以降の時刻における残時間の減少率はその分小さくなる。しかしながら、無線装置が第二通信装置へデータを送信し続けていると、残時間がやがて0秒になり、無線装置は、第二通信装置と通信不能になる。
【0047】
このような通信不能になる状態を回避するために、従来の無線装置は、第一通信装置から取得したデータを第二通信装置へ送信するタイミングで、過去の送信実績を確認して、当該データを第二通信装置へ送信すると1時間当たりの送信時間が所定時間比率である10%を超えると判定した場合に、冒頭述べたように当該データを破棄する(
図1参照)。
【0048】
しかしながら、上記のように、無線装置が取得したデータの一部を破棄すると、例えば、第二通信装置との通信を用いるアプリケーション又はサービス等の品質を低下させてしまう可能性(例えば、動画データを送信するアプリケーションにおけるコマ落ち、又は、音声の音飛びなどを発生させてしまう可能性)がある。
【0049】
そこで、本願発明者らは、鋭意検討した結果、法律に規定される1時間より短い管理単位時間を設定し、無線装置の直近の管理単位時間における送信実績に基づいて、次の管理単位時間で無線装置が第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な時間を制限時間を超えない(所定時間比率を超えない)ように推定することで、第二通信装置への新たなデータの送信に使用可能な通信帯域に応じて無線装置が第一通信装置から取得するデータ量を制限することができることを見出した。これにより、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる無線装置などを提供することが可能となる。
【0050】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0051】
以下で説明する実施の形態は、いずれも本発明の好ましい一具体例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、本発明の最上位概念を示す独立請求項に記載されていない構成要素については、より好ましい形態を構成する任意の構成要素として説明される。なお、同一の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0052】
(実施の形態)
本実施の形態において、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる通信システム及び無線装置などについて説明する。
【0053】
[1.構成]
まず、本実施の形態に係る無線装置を備える通信システムの構成について説明する。
図4は、実施の形態に係る無線装置を備える通信システムの構成の一例を示す模式図である。
【0054】
本実施の形態では、通信システム1は、例えば、無線装置10と、第一通信装置21と、第二通信装置22とを備える。
図4では、通信システム1は、第一通信装置21及び第二通信装置22をそれぞれ1つ備える例を示しているが、2つ以上備えてもよい。
【0055】
無線装置10は、第一通信装置21から取得したデータを、所定の通信規格で第二通信装置22へ送信する。所定の通信規格は、単位時間当たりの無線送信時間が制限されている。例えば、所定の通信規格は、IEEE802.11ahである。上述した規則により、無線装置10は、802.11ahを用いた無線送信時間が1時間(つまり、3600秒)当たり360秒を超えないように通信制御を行う必要がある。
【0056】
本実施の形態では、無線装置10は、上述した管理単位時間幅(例えば60秒)を有し、現在時刻を終期とする第一期間における第二通信装置22との送信実績から第二通信装置22へのデータ送信に使用した時間を取得し、上述した管理単位時間幅を有し、現在時刻を始期とする第二期間において第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定し、推定した時間にデータレートを乗じて第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する。もっとも第一期間と第二期間の長さは同じである必要はない。
【0057】
さらに、無線装置10は、算出した通信帯域に応じて、(i)現在時刻を始期とする第二期間において第一通信装置21から取得する新たなデータの通信速度を制限する、又は、(ii)現在時刻を始期とする第二期間において第一通信装置21が無線装置10へ送信する新たなデータの通信速度を制限する。これにより、無線装置10においてデータが滞留する(言い換えれば、無線装置10が受信したデータを送信できずに保持し続ける)ことを抑制することに寄与する。
【0058】
無線装置10は、例えば、第一通信部11と、第二通信部12と、制御部13と、記憶部14とを備える。
【0059】
第一通信部11は、第一通信装置21と通信を行う通信回路(又は、通信モジュール)である。第一通信部11は、例えば、広域通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路、及び、局所通信ネットワークを介して通信を行うための通信回路の少なくともいずれかを備えてもよい。また、第一通信部11は、有線通信を行う有線通信回路であってもよいし、無線通信を行う無線通信回路であってもよい。第一通信部11の通信規格は、特に限定されない。
【0060】
第二通信部12は、第二通信装置22と前述の所定の通信規格(例えば、IEEE802.11ah)で無線通信を行う通信回路(または、通信モジュール)である。
【0061】
制御部13は、無線装置10に関する各種情報処理を行う。制御部13は、例えば、マイクロコンピュータによって実現されるが、プロセッサ又は専用回路によって実現されてもよい。制御部13の機能は、制御部13を構成するマイクロコンピュータ又はプロセッサなどのハードウェアが記憶部14に記憶されたコンピュータプログラム(いわゆる、ソフトウェア)を実行することによって実現される。
【0062】
制御部13は、機能的な構成要素として、取得部131と、推定部132と、算出部133と、帯域制限部134とを備える。取得部131、推定部132、算出部133、及び、帯域制限部134が行う具体的な処理については、後述する。なお、制御部13は、単位時間(ここでは、1時間)よりも短い管理単位時間を用いてDuty制御(管理単位時間内における送信可能時間の割合(比率)に基づく制御)を行っている。管理単位時間は、例えば、60秒であるがこれに限定されず、設計に応じて適宜設定されてもよい。管理単位時間は、現在時刻を終期とする第一期間の時間長、及び、現在時刻を始期とする第二期間の時間長として用いられる。なお、以降の説明では主として第一期間と第二期間との時間長が等しい場合を説明するが、第一期間及び第二期間は、それぞれ異なる時間長であってもよい。
【0063】
記憶部14は、制御部13が実行するコンピュータプログラムなどが記憶される記憶装置である。また、記憶部14は、第一通信部11、第二通信部12、及び、制御部13で行われる情報処理により記憶する必要が生じた情報を一時的に記憶できる。記憶部14は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)によって実現されるが、半導体メモリによって実現されてもよい。
【0064】
第一通信装置21は、無線装置10を介して第二通信装置22へデータを送信する。例えば、第一通信装置21は、無線装置10を介して取得した第二通信装置22からの要求に応じて無線装置10へデータを送信する。このとき、第一通信装置21は、データと共に第二通信装置22の識別情報を送信する。
【0065】
第一通信装置21は、例えば、無線装置10の帯域制限部134から出力された制御信号に従って、第一通信装置21が無線装置10へ送信するデータの通信速度を調整してもよい。
【0066】
なお、第一通信装置21と無線装置10との間の通信については、第一通信部11で説明したため、ここでの説明を省略する。
【0067】
無線装置10は、例えば、無線通信回路を備えるアクセスポイント(無線アクセスポイント)であってもよいし、有線通信と無線通信を相互に中継する中継装置(ブリッジ装置)であってもよい。
【0068】
第一通信装置21は、例えば、Webサーバであってもよいし、エッジサーバであってもよいし、センサであってもよい。センサは、例えば、カメラ、マイク、又は、熱画像センサなどであるが、特に限定されない。
【0069】
第二通信装置22は、無線装置10から所定の通信規格(IEEE802.11ah)で送信されたデータを取得する。第二通信装置22は、例えば、据え置き型もしくは携帯型のコンピュータ装置、タブレット端末、又は、スマートフォンなどの情報端末である。
【0070】
[2.動作]
続いて、本実施の形態に係る無線装置10の動作について説明する。
図5は、実施の形態に係る無線装置10が実行する処理の一例を示すフロー図である。
図6は、帯域制限ステップS4における帯域制限部134の動作の一例を説明するための模式図である。
【0071】
図5に示されるように、取得ステップS1において、無線装置10の取得部131は、現在時刻を終期とする第一期間(例えば、直近の60秒間)において無線装置10が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間を取得する。例えば、取得部131は、記憶部14に記憶された通信履歴を参照して、第一期間における送信実績から、第一期間において第二通信部12が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間を算出してもよいし、当該時間を記憶部14から読み出してもよい。
【0072】
なお、取得ステップS1では、取得部131は、さらに、第一期間において、例えばマネジメントフレームの送信に使用された時間を取得してもよい。例えば、取得部131は、記憶部14に記憶された通信履歴を参照して、第一期間における送信実績から、第二通信部12が第二通信装置22へのマネジメントフレームの送信に使用した時間を算出してもよいし、予め設定された当該時間を記憶部14から読み出してもよい。なお、無線装置10は、マネジメントフレームを常に最遅のデータレートで一定量を送信するので、マネジメントフレームの送信に使用される時間は、第一期間においても第二期間においても変わらないため、予め設定された固定値を用いてもよい。
【0073】
次に、推定ステップS2において、無線装置10の推定部132は、取得ステップS1で取得された、第一期間において第二通信装置22へのデータの送信に使用された時間と、現在時刻を始期とする第二期間(例えば、向こう60秒間)においてマネジメントフレームに使用される時間とを用いて、第一期間と第二期間の総和時間に対する、当該時間帯における無線送信時間の総和が所定時間比率(すなわち、802.11ah通信においては10%)を超えないように、第二期間において無線装置10が第二通信装置22へ新たなデータを送信するのに使用可能な時間を推定する。例えば、第一期間と第二期間の期間長が等しく60秒である場合には、無線装置10の推定部132は、第一期間における無線送信時間と第二期間における無線送信時間との総和が6秒の2倍以下になるように、第二期間において無線装置10が第二通信装置22へ新たなデータを送信するのに使用可能な時間を推定することができる。こうすることで、仮に第一期間で所定時間比率を超えて無線送信が行われたとしても、これに続く第二期間でその分抑制し、逆に第一期間で所定時間比率を下回って無線送信が行われた場合、これに続く第二期間でその余剰分を積み増して無線送信の時間消費ができるなど、フレキシブルな送信の運用管理が可能となる。
【0074】
次に、算出ステップS3において、無線装置10の算出部133は、推定ステップS2で推定された、第二期間において無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間に、現在時刻のデータレートを乗じ、さらに第二期間の時間長(この例では60秒)で除することにより、第二期間において無線装置10が第二通信装置22へ新たなデータを送信するのに使用可能な通信帯域を算出する。
【0075】
次に、帯域制限ステップS4において、帯域制限部134は、算出ステップS3で算出された通信帯域に応じて、第二期間において無線装置10が第二通信装置22へ送信する帯域を制限する。このとき、無線装置10が第二通信装置22へ送信する帯域を制限するだけでは、第一通信装置21から受信するデータ量によっては、無線装置10にデータ滞留が生じ、滞留したデータがバッファ容量を超えれば中継が破綻してしまう。そこで無線装置10は、第一通信装置21から取得する新たなデータの通信速度を制限する。例えば、
図6に示されるように、帯域制限部134は、第一通信部11が第一通信装置21との間の通信に使用できる通信帯域を制限する。これには、無線装置10と第一通信装置21の間の通信プロトコルに依存するが、例えば、無線装置10がデータ受信に伴うAck信号の送出タイミング、あるいは無線装置10からのデータ送信リクエストを送出するタイミング、などを制御することで可能となる。もちろん後述するように第一通信装置21に対して送信を制限するよう制御情報を送信してもよい。
【0076】
帯域制限ステップS4の処理が終了し一定の周期(例えば2秒)が経過すると、再び取得ステップS1の処理に戻る。なお、このステップS1の処理に戻るのは、一定の周期でなく、第二通信装置22へデータを送信するタイミングごとでもよい。
【0077】
このようにして、無線装置10は一連の処理(ステップS1からS4)を繰り返し実行することにより、電波の発信を開始してから単位時間当たりの送信時間の総和が時間当たり所定時間比率を越えないように通信制御を行うことができる。
【0078】
なお、言うまでもないが、ステップS3で算出された通信帯域の値は、必ずしも第二期間中固定値のまま適用されるという訳ではなく、第二期間中にステップS4からステップS1およびS2を経由して再びステップS3に戻れば、新たに算出した値に置き換えられる。
【0079】
[推定処理の具体例]
続いて、推定ステップS2で無線装置10が実行する推定処理をより具体的に説明する。
図7は、実施の形態に係る無線装置10が実行する推定処理を具体的に説明するための第1図である。
図8は、実施の形態に係る無線装置10が実行する推定処理を具体的に説明するための第2図である。
図9は、実施の形態に係る無線装置10が実行する推定処理を具体的に説明するための第3図である。
図10は、実施の形態に係る無線装置10が実行する推定処理を具体的に説明するための第4図である。なお、この例でも、無線装置10と第二通信装置22との間の通信規格はIEEE802.11ahである。IEEE802.11ahでは、単位時間(1時間=3,600秒)当たりの無線送信時間がその1/10である360秒に制限されている。
【0080】
図7~
図10では、グラフの横軸は、無線装置10の電源がONされた時点を時刻0とした場合の時刻(秒)を示している。また、グラフの縦軸は、管理単位時間(この例では60秒間)において、無線装置10が920MHz帯の電波を送信可能な全時間(この例では、6秒)を100%としたときの残時間を割合として示している。残時間の割合は、管理単位時間(60秒)において無線装置10が920MHz帯の電波を送信可能な全時間(6秒)のうち無線装置10が当該電波の送信に使用した時間を差し引き、送信可能な全時間(6秒)で除した値である。また、図中の制御枠A1は、現在時刻を終期とする第一期間(ここでは、60秒間)を示す制御枠であり、制御枠A2は、現在時刻を始期とする第二期間(ここでは、60秒間)を示す制御枠である。制御枠の縦軸方向の高さは、100%(つまり6秒に相当)としている。
【0081】
また、
図7~
図10における実線の縦棒は、マネジメントフレーム送信による使用時間割合を示している。点線の縦棒は、過去のデータ送信による使用時間割合を示しており、破線の縦棒は、現時点以降のデータ送信による使用時間割合を示している。マネジメントフレームは、前述の100ミリ秒ごとにビーコンフレームを3.3ミリ秒間で送信する前提(すなわち、60秒間で2秒分の送信時間の消費がある)で説明する。
【0082】
図7では、無線装置10の電源がONされた時点において、無線装置10が実行する処理例を説明する。
【0083】
無線装置10の電源がONされると、無線装置10の取得部131は、例えば、記憶部14に記憶された制御枠A1における通信履歴を参照し、第一期間において無線装置10が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間(ここでは、ゼロ秒)を取得する。また、取得部131は、第一期間において無線装置10がマネジメントフレームの送信に使用した時間(ここでは、ゼロ秒)も取得する。
【0084】
次に、無線装置10の推定部132は、取得部131が取得した、第一期間において第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間(ゼロ秒)と、第二期間においてマネジメントフレームに使用される時間T1とを用いて、第一期間における無線送信時間と第二期間における無線送信時間との総和が12秒(この例では、第一期間と第二期間の総和時間である120秒に所定時間比率10%を乗じた時間)を超えないように、第二期間において、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T2を推定する。
【0085】
なお、無線装置10が920MHz帯の電波を送信可能な時間(この例では、6秒)は、管理単位時間(この例では、60秒)の10%に相当する時間である。ここで、第二期間において無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間は、第二期間(60秒)において無線装置10の送信可能時間(6秒)からマネジメントフレームの送信に使用される時間(2秒)を除いた残りの時間(6-2=4秒)となる。さらに、過去の第一期間は、全く送信をしていないので、この期間の余剰通信可能時間である6秒を加えた10秒が、第二期間のデータ送信のための使用可能期間と考えることとする。
【0086】
この場合、10秒を無線装置10が920MHz帯の電波を送信可能な時間に対する時間T2の割合で表すと、10秒/6秒×100≒167%である。これが、
図7のグラフにおけるT2の上端の位置に相当する。
【0087】
次に、
図8では、無線装置10の電源がONされてから30秒経過したときに、無線装置10が実行する処理例を説明する。
【0088】
無線装置10の取得部131は、記憶部14に記憶された制御枠A1における通信履歴を参照し、第一期間において無線装置10が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間(ここでは、ゼロ秒)を取得する。また、取得部131は、第一期間において無線装置10がマネジメントフレームの送信に使用した時間T1(2秒)も取得する。
【0089】
次に、無線装置10の推定部132は、取得部131が取得した、第一期間において第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間(電源ON時点から30秒間はデータ未送信であり、ゼロ秒)と、第一期間および第二期間の総和である120秒に対してマネジメントフレームに使用される時間T1(60秒当たり2秒であり、第一期間および第二期間で合計3秒)とを用いて、第一期間における無線送信時間と第二期間における無線送信時間との総和が12秒(第一期間と第二期間の総和時間である120秒に所定時間比率10%を乗じた時間)を超えないように、第二期間において、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T2を推定する。
図8の例でも、第一期間における第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間がゼロ秒であるので、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T2は、6×2―3=9秒となる。これは
図8の破線の長さでは、9/6=150%に相当する。
【0090】
第二期間において、データ送信に使用可能な時間T2をより一般化すると、
T2=期間の時間長×2×α-Tm-Td
と表せる。
【0091】
ただし、T2は、第二期間においてデータ送信に使用可能な時間である。また、αは所定時間比率であり、802.11ah規格では10%である。Tmは、マネジメントフレーム送信時間(第一期間分と第二期間分の合計)であり、Tdは、第一期間においてデータ送信に使用した時間である。
【0092】
なお、上式は、第一期間長=第二期間長の場合であるが、両者が異なる場合は、
T2=(t1+t2)×α-Tm-Td
となる。ここでt1は、第一期間の長さ、t2は、第二期間の長さである。
【0093】
このように第二期間においてデータ送信に使用可能な時間T2を推定すると、次にT2にデータレートを乗じて、第二期間に送信可能なデータ量を算出し、これを第二期間の時間長である60秒で除して、当該期間における送信帯域(言い換えれば、送信可能な最大帯域)を得る。
【0094】
すなわち
送信帯域(bps)=使用可能時間(sec)×データレート(bit/sec)/期間長(sec)
と表される。
【0095】
さらに、
図9で、無線装置10の電源がONされてから60秒経過したときに、無線装置10が実行する処理例を説明する。なお、
図9では、無線装置10は、電源ON時点から30秒間後から第二通信装置22へデータの送信を行っている。
【0096】
無線装置10の取得部131は、第一期間(0秒~60秒)において無線装置10が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間T3を取得する。このとき、取得部131は、第一期間において無線装置10がマネジメントフレームの送信に使用した時間T1も取得する。
【0097】
次に、無線装置10の推定部132は、取得部131が取得した、第一期間における第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間T3と、第一期間および第二期間(0秒~120秒)におけるマネジメントフレームの送信に使用される時間T1×2とを用いて、第一期間における無線送信時間と第二期間における無線送信時間との総和が12秒(第一期間と第二期間の総和時間である120秒に所定時間比率10%を乗じた時間)を超えないように、第二期間において、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T21を推定する。具体的には、T21=6×2-2×2-T3であるが、これは、推定部132は、第一期間において、第二通信装置22へのデータの送信が行われていない期間(0秒~30秒まで)に使用されなかった余剰の帯域B1が、次の管理単位時間(つまり第二期間)で使用可能な帯域B2として追加できると考えることも可能である。
図9に示す例のように、過去30秒の時点から現在までマネジメントフレームを含め100%の送信をしたケースでは、T3=2秒分であり、上の計算式によってT21=6秒であり、図の破線部の高さは100%である(マネジメントフレーム分2秒を含めると(6+2)/6×100=133%となる)。
【0098】
図10では、無線装置10の電源がONされてから90秒経過したときに、無線装置10が実行する処理例を説明する。
【0099】
無線装置10の取得部131は、第一期間(30秒~90秒)において無線装置10が第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間T3を取得する。このとき、取得部131は、第一期間において無線装置10がマネジメントフレームの送信に使用した時間T1も取得する。
【0100】
次に、無線装置10の推定部132は、取得部131が取得した、第一期間において第二通信装置22へのデータの送信に使用した時間T3と、第一期間および第二期間(30秒~150秒)においてマネジメントフレームに使用される時間T1とを用いて、第一期間における無線送信時間と第二期間における無線送信時間との総和が12秒(第一期間と第二期間の総和時間である120秒に所定時間比率10%を乗じた時間)を超えないように、第二期間において、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T22を推定する。具体的には、
図8で述べたものと同様の計算式
T22=6×2-2×2-T3
であるが、例えば、推定部132は、第一期間において無線装置10が電波を送信可能な時間(6秒)がマネジメントフレームを含め100%使用されている場合、第二期間において無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間T22を、時間T3と同じ時間と推定できる。(上式でT3=4秒のとき、第一期間の送信時間実績は6秒となるが、上式に代入するとT22も4秒となり、
図10に示すようにマネジメントレーム分の2秒を含め、6秒、すなわち100%の高さのグラフとなる。)
【0101】
その後、
図8の説明で述べたのと同様の手続きにより、第二期間(90秒~150秒)における送信帯域を算出する。
【0102】
なお、上記の例では、帯域制限ステップS4で、無線装置10の帯域制限部134は、算出ステップS3で算出された通信帯域に応じて、無線装置10が第一通信部11から取得するデータの通信速度を制限するが、この例に限られない。例えば、
図11に示されるように、無線装置10の帯域制限部134は、算出ステップS3で算出された通信帯域に応じて、第一通信装置21が無線装置10へ送信するデータの通信速度を制限してもよい。
【0103】
図11は、帯域制限ステップS4における帯域制限部134の動作の他の例を説明するための模式図である。まず、例えば、帯域制限部134は、算出ステップS3で算出された、無線装置10が第二通信装置22への送信に使用可能な通信帯域と、当該通信帯域に応じて第一通信装置21に無線装置10へ送信するデータの送信速度を制限させる指示を含む制御情報を第一通信部11へ出力する。ここで、制御情報に含まれる指示には、例えば無線装置10の帯域制限部134にて算出される無線装置10へ送信するデータの送信速度が含まれていてもよい。当該データ送信速度は、算出ステップS3で算出された通信帯域のうち、無線装置10が第二通信装置22への送信に使用可能な通信帯域との間で予め設定された通信帯域使用における優先度によって算出されてもよい。具体的には、無線装置10が第二通信装置22への送信に使用可能な通信帯域と当該データ送信速度との間で予め設定された配分率(例えば80:20など)によって決まってもよい。次に、第一通信部11は、帯域制限部134から出力された制御情報を取得すると、当該制御情報を第一通信装置21へ送信する。第一通信装置21は、無線装置10から送信された当該制御情報に含まれる指示を基に無線装置10へ送信するデータの送信速度を決定する。
【0104】
以上、本発明の実施の形態では、無線装置10は、現在時刻を終期とする第一期間における第二通信装置22との送信実績から第一期間において第二通信装置22へのデータ送信に使用した時間を取得し、第一期間及び第二期間における無線送信時間の総和が第一期間と第二期間の総和時間に対して所定時間比率を超えないように、次の制御周期(より詳細には、現在時刻を始期とする第二期間)において第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な時間を推定し、推定した時間にデータレートを乗じて第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な通信帯域を算出する。これにより、無線装置10は、無線通信の状態によってデータレートが変動しても、データレートの変動に応じて第二通信装置22との通信に使用可能な通信帯域を算出することができる。したがって、無線装置10は、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。
【0105】
また、本発明の実施の形態では、無線装置10は、さらに、算出した通信帯域に応じて、(i)第二期間において第一通信装置21から取得する新たなデータの通信速度を制限する、又は、(ii)第二期間において第一通信装置21が無線装置10へ送信する新たなデータの通信速度を制限する。上記(i)により、無線装置10は、第一通信装置21から取得する新たなデータの量を第二通信装置22へ送信可能な時間内に送信できる量に制限することができる。また、上記(ii)により、無線装置10は、第一通信装置21から送信される新たなデータの量を第二通信装置22へ送信可能な時間内に送信できる量に制限することができる。上記(i)又は、(ii)により、通信システム1において、無線装置10は、無線環境の変化に応じて適切に通信制御を行うことができる。
【0106】
なお、上記の実施の形態では、無線装置10と第一通信装置21が別体の装置である例を説明したが、必ずしもこの例に限られない。例えば、無線装置10は、第一通信装置21を含んでいてもよい。これらの2つの装置は筐体を同一のものとしてもよく、さらに同一の基板上に配置されていてもよい。また、例えば、第一通信装置21は、無線装置10の筐体上に取り付けられてもよい。例えば、無線装置10の第一通信部11は、第一通信装置21との間でデータなどの送受信を行う際に、通信を介して行ってもよいし、通信を介さずに行ってもよい。例えば、第一通信装置21が無線装置10の筐体上に取り付けられている場合、無線装置10の第一通信部11は有線通信又は無線通信を介して第一通信装置21とデータの送受信を行ってもよい。また、例えば、第一通信装置21が無線装置10の筐体内に内蔵されている場合、第一通信部11は、内部バスを介して第一通信装置21に接続される。
【0107】
図12は、第一通信装置21が無線装置10と一体化され、無線装置10が第一通信装置21を含む場合の帯域制限部134の動作の一例を説明するための模式図である。例えば、
図12に示されるように、無線装置10の帯域制限部134は、算出ステップS3で算出された、無線装置10が第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な通信帯域と、当該通信帯域に応じて第一通信装置21に無線装置10へ送信する新たなデータの送信速度を制御させる指示を含む制御情報を第一通信部11へ出力する。次に、第一通信部11は、帯域制限部134から取得した制御情報を第一通信装置21へ送信する。なお、制御情報は、必ずしも上記の指示を含まなくてもよい。なお、制御情報には、無線装置10及び第二通信装置22の識別情報が含まれる。
【0108】
上記の実施の形態では、無線装置10は、例えば、第二通信装置22との無線のデータレートがエラーの発生率によって動的に変化しても、現在時刻のデータレートを用いて第二通信装置22への新たなデータの送信に使用可能な帯域を算出するため、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。しかしながら、第二通信装置22への使用可能な帯域の算出に使用されるデータレートを通常よりも低めの値に固定してもよい。これにより、無線装置10は、無線環境に寄らず、安定したデータ通信を行うことができる。
【0109】
なお、無線装置10が複数の第二通信装置22へ新たなデータを送信する場合、第二通信装置22の台数に応じて新たなデータの送信に使用可能な帯域を、例えば10%から5%のようにさらに制限してもよい。これにより、同一の周波数帯(例えば、920MHz帯)で同時に通信可能な第二通信装置22の台数を増やすことが可能になる。
【0110】
(実施の形態の応用例)
ここで、例えば、動画像を送信する前に使用可能な通信帯域を測定したのちに動画像の圧縮率を決定し送信する技術が知られている。このような従来技術を用いた通信システムでは、動画像を送信する側の通信装置(例えばコンテンツ提供側の通信装置)が動画像の圧縮率を一方的に決定し動画像を配信するため、その後の通信環境の劣化が生じれば、受信側の通信装置(例えばコンテンツの視聴者の通信装置)で受信する動画像の品質が著しく劣化する可能性がある。そのため、視聴者は送信する側の通信装置の圧縮率が変化することによって、その都度、不快感を生じかねない。また、これまで述べてきた、単位時間当たりの送信時間の総和に制限を受ける通信規格(例えば802.11ahなど)を用いて動画像の配信が行われる場合には、当該制限時間の上限に達した時点で、配信が停止し、通信が回復する(使用可能となる時間が担保される)まで動画像の配信ができないという問題も生じ得る。このような課題に対しても本発明の実施の形態にかかる無線装置を適用できる。
【0111】
本発明の実施の形態の応用例として、例えば、コンテンツサーバからネットワークを経由して接続された複数の通信端末に動画像を配信する通信システム(動画像配信システムともいう)などがある。
【0112】
以下、本発明の実施の形態の応用例に係る無線装置を備える動画像配信システムの構成について説明する。
図13は、本発明の実施の形態に係る無線装置を備える動画像配信システムの構成の一例を示す模式図である。
【0113】
図13に示す本実施の形態の応用例では、動画像配信システム1000は、例えば、無線装置100と、配信サーバ301(本発明の実施の形態の第一通信装置21に相当)と、通信端末201(本発明の実施の形態の第二通信装置22に相当)と、通信端末202(本発明の実施の形態の他の第二通信装置22に相当)と、通信リンク303と、無線リンク304と、を備える。なお、
図13では、動画像配信システム1000は、通信端末201及び通信端末202の2つの通信端末を備える例を示しているが、3つ以上備えてもよい。
【0114】
配信サーバ301は、動画像データに対して圧縮処理を施し、圧縮された動画像データを無線装置100に送信する。
【0115】
無線装置100は、算出部133で算出された通信帯域に応じて、第二期間において配信サーバ301の圧縮処理における圧縮率を設定し、設定した圧縮率を配信サーバ301に送信する。
【0116】
具体的には、本発明の実施の形態の応用例にかかる無線装置100は、配信サーバ301からの動画像データを受信する過程において、上述した
図5に示すとおりのステップを経て、送信帯域を算出したのち、得られた制御情報を配信サーバ301に送信する。配信サーバ301は、当該制御情報を基に、これから配信すべき動画像データの圧縮率を動的に変更することができる。より具体的には、配信サーバ301は、動画エンコードまたは音声エンコード処理時の圧縮処理を動的に変更でき、変更後の圧縮処理を用いて動画エンコードまたは音声エンコード処理を行い動画像データを送信する。配信サーバ301は、無線装置100から受信した制御情報を基に動画データを適切な圧縮率で圧縮することで、無線装置100から通信端末への送信時間制限を遵守できるよう、通信端末201および202に送信する動画像データを生成している。
【0117】
配信サーバ301が無線リンク304を介して通信端末201および202に向けて動画像データを送信するときには、無線リンク304を通じた無線装置100から通信端末201および202への動画像データの送信時間が、配信サーバ301から受信したデータ量により自動的に制御される。
【0118】
配信サーバ301から配信される動画像データが、予め、無線装置100から受信した制御情報を基に適切な圧縮率で圧縮されることで生成されているので、そのデータ量自体が無線リンク304で通信可能である適切なデータ量になっているからである。
【0119】
このように、本発明の実施の形態の応用例に係る無線装置100は、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる。
【0120】
なお、本発明は、装置として実現できるだけでなく、その装置を構成する処理手段をステップとする方法として実現したり、それらステップをコンピュータに実行させるプログラムとして実現したり、そのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体として実現したり、そのプログラムを示す情報、データまたは信号として実現したりすることもできる。そして、それらプログラム、情報、データおよび信号は、インターネット等の通信ネットワークを介して配信してもよい。
【0121】
以上、本発明の無線装置、無線装置の制御方法及びプログラムについて、実施の形態に基づいて説明したが、本発明は、この実施の形態に限定されるものではない。本発明の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、異なる実施の形態における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本発明の範囲内に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明は、無線環境の変化に応じて適切な通信制御を行うことができる無線装置等に利用可能である。
【符号の説明】
【0123】
1 通信システム
10、100 無線装置
11 第一通信部
12 第二通信部
13 制御部
131 取得部
132 推定部
133 算出部
134 帯域制限部
14 記憶部
21 第一通信装置
22 第二通信装置
201、202 通信端末
301 配信サーバ
303 通信リンク
304 無線リンク
1000 動画像配信システム
A1、A2 制御枠
B1、B2 帯域