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特開2024-173291信号制御装置、ソナーシステム、及び車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173291
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】信号制御装置、ソナーシステム、及び車両
(51)【国際特許分類】
   G01S 7/524 20060101AFI20241205BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
G01S7/524 Z
G01S15/931
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091617
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】322003857
【氏名又は名称】パナソニックオートモーティブシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】張 宏せい
(72)【発明者】
【氏名】森田 忠士
【テーマコード(参考)】
5J083
【Fターム(参考)】
5J083AA02
5J083AB12
5J083AB13
5J083AC26
5J083AD04
5J083AD17
5J083AE01
5J083AE06
5J083AE08
5J083AF05
5J083BA01
5J083CA01
(57)【要約】
【課題】ソフトウェアを更新した場合に、想定した通りに信号の送信が行われたか否かを確認すること。
【解決手段】信号制御装置は、1以上のソナーが接続可能なインタフェースと、前記1以上のソナーから送信される送信信号を制御するソフトウェアを実行する制御部と、前記ソフトウェアを更新するソフトウェアアップデート回路と、を備え、前記制御部は、更新されたソフトウェアの実行により制御された前記送信信号と前記1以上のソナーのいずれかにより受信した受信信号とを比較する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1以上のソナーが接続可能なインタフェースと、
前記1以上のソナーから送信される送信信号を制御するソフトウェアを実行する制御回路と、
前記ソフトウェアを更新するソフトウェアアップデート回路と、
を備え、
前記制御回路は、更新されたソフトウェアの実行により制御された前記送信信号と前記1以上のソナーのいずれかにより受信した受信信号とを比較する
信号制御装置。
【請求項2】
前記受信信号は、前記1以上のソナーのうち前記送信信号を送信したソナーにより受信された信号である請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項3】
前記受信信号は、前記1以上のソナーのうち前記送信信号を送信したソナーとは別のソナーにより直接受信された信号である請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項4】
前記制御回路は、ROMパターンと前記受信信号とを比較する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項5】
前記制御回路は、変調前の前記送信信号と復調された前記受信信号とを比較する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項6】
前記制御回路は、前記送信信号の残響長と前記受信信号の残響長とを比較する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項7】
前記制御回路は、前記送信信号の周波数と前記受信信号の周波数とを比較する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項8】
前記制御回路は、前記送信信号の残響の周波数と前記受信信号の残響の周波数とを比較する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項9】
前記制御回路は、前記送信信号と前記受信信号との比較の結果に基づいて、前記送信信号を調整する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項10】
前記制御回路は、前記受信信号を減衰させる制御を行う請求項2に記載の信号制御装置。
【請求項11】
前記制御回路は、前記1以上のソナーの設置位置に応じて、前記送信信号の変調方式を変更する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項12】
前記制御回路は、前記1以上のソナーが搭載された車両の状況に応じて、前記送信信号の変調方式を変更する請求項1に記載の信号制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の信号制御装置と、前記1以上のソナーを備えるソナーシステム。
【請求項14】
請求項13に記載のソナーシステムが搭載されている車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、信号制御装置、ソナーシステム、及び車両に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両にソナーを配置し、車両の周囲にある対象物を検出するソナーシステムが利用されている。
【0003】
また、レーダなどに適用可能な技術として、組み込まれているソフトウェアを変更することにより、ハードウェアを変更することなく、新しい通信方式に対応することが可能なソフトウェア無線システムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0004】
車両に搭載されたソナーシステムは、ソナーと統合ECUを備える。図4に、既存のソナーと統合ECU(Electronic Control Unit)の構成を示す。
【0005】
ソナー410は、統合ECU420に接続されている。統合ECU420は、超音波の送信指示をソナー410に送信し、ソナー410は検出した物標のデータを統合ECU420に送信する。なお、図4において、統合ECU420に接続されるソナー410は1つであるが、複数個であってもよい。
【0006】
ソナー410は、I/F(Interface)411、変調回路412、駆動回路413、送受信素子414、増幅器415、BPF(Band Pass Filter)416、A/D(Analog/Digital)変換器417、検知処理部418を有する。
【0007】
統合ECU420は、送波制御部421、I/F422、判断部423を有する。
【0008】
このソナー410では、統合ECU420が送信した送信制御信号に基づき、変調回路412が変調を行い、駆動回路413が送受信素子414を駆動して超音波が送信される。
【0009】
送受信素子414が受信した超音波は、増幅器415で増幅され、BPF416でノイズを除去し、A/D変換器417でデジタル信号に変換されて、検知処理部418が物標データを生成し、統合ECU420に送信される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010-136120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上述した既存の技術では、ソフトウェアを更新して、変調方式を変更した場合、想定したとおりの送信波形又は変調方式による信号の送信が行われたか否かを確認することは困難である。
【0012】
本開示は、ソフトウェアを更新した場合に、想定した通りに信号の送信が行われたか否かを確認することを可能とする技術の提供に資する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本開示の一実施例における信号制御装置は、1以上のソナーが接続可能なインタフェースと、前記1以上のソナーから送信される送信信号を制御するソフトウェアを実行する制御回路と、前記ソフトウェアを更新するソフトウェアアップデート回路と、を備え、前記制御回路は、更新されたソフトウェアの実行により制御された前記送信信号と前記1以上のソナーのいずれかにより受信した受信信号とを比較する。
【0014】
本開示の一実施例におけるソナーシステムは、前記信号制御装置と、前記1以上のソナーを備える。
【0015】
本開示に一実施例における車両は、前記ソナーシステムが搭載されている。
【発明の効果】
【0016】
本開示の技術によれば、想定した通りに信号の送信が行われたか否かを確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施の形態の車両の構成を示す図
図2】ソナーと統合ECUの詳細を示す図
図3】設定情報と受信波形の例を示す図
図4】既存のソナーと統合ECUの構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0019】
<構造>
図1では、車両100に設置されている複数のソナー110-1~110-12、アクセル制御部、ステアリング制御部、ブレーキ制御部は、統合ECU120に通信回線130により接続されている。なお、以降は、各ソナー110-1~110-12を区別しない場合、単にソナー110という。
【0020】
通信回線130は、有線回線でも無線回線でもよく、有線回線と無線回線が混じっていてもよい。ソナー110-1~110-12は同じ構成であってもよい。図1では12個のソナーが記載されているが、ソナーの数は1以上であればよい。
【0021】
ソナー110は、超音波を送信し、受信する。統合ECU120は、ソナー110を制御する。統合ECU120は、ソナー110から送信される送信信号を制御する信号制御装置の一例である。また、ソナー110と統合ECU120とは、ソナーシステムを構成する。アクセル制御部、ステアリング制御部、ブレーキ制御部は統合ECUにより制御され、例えばソナー110により測定された車両周囲に存在する物体までの距離、方向に基づいて、統合ECUにより、アクセル操作、ステアリング操作、ブレーキ操作が制御される。なお、統合ECUは、アクセル制御部、ステアリング制御部、ブレーキ制御部のうち、少なくとも1つを制御すればよく、また、図1に図示されていない車両の装備を制御してもよい。
【0022】
図2に、2つのソナー110a、110b、アクセル制御部、ステアリング制御部、ブレーキ制御部が統合ECU120に接続されている状態を示す。ソナー110a及び110bは、ソナー110-1~110-12の任意の2つであって、ソナー110-1及びソナー110-2でもよいし、ソナー110-2及びソナー110-3でもよい。統合ECU120は、測距モードと、比較解析モードを有し、測距モードでは、車両の周囲の物体までの距離及び方位を求め、比較解析モードでは、変更した送波が正しく変更されたか否かを確認する。
【0023】
図2では、ソナー110a及びソナー110bが、同一の構成である場合について説明するが、異なる構成であってもよい。また、図2では、2つのソナーが記載されているが、3つ以上でもよい。
【0024】
ソナー110aは、駆動回路211a、送受信素子212a、増幅器213a、BPF(Band Pass Filter)214a、A/D(Analog/Digital)変換器215a、I/F(Interface)216aを有する。なお、1つのソナー110aには、複数の送受信素子212aが含まれていてもよいし、送信素子と受信素子とに分離していてもよい。
【0025】
駆動回路211aは、統合ECU120による制御により、送受信素子212aを駆動する。例えば、駆動回路211aは識別子を有し、自回路の識別子が付与された制御信号を統合ECU120から受信することにより、送受信素子212aを駆動する。また、駆動回路211aにおいて、統合ECU120から受信したデジタル信号をアナログ信号に変換する。
【0026】
送受信素子212aは、駆動回路211aにより駆動されて超音波を送信する。また超音波を受信し、受信した超音波に対応する交流信号を増幅器213aに送信する。
【0027】
増幅器213aは、送受信素子212aが受信した超音波に基づく交流信号を増幅する。例えば、増幅器213aには、低雑音増幅器(LNA:Low Noise Amplifier)が用いられる。
【0028】
BPF214aは、増幅器213aにより増幅された交流信号のノイズを除去する。例えば、BPF214aには、ノイズの帯域に応じて、LPF(Low Pass Filter)、HPF(High Pass Filter)、BEF(Band Elimination Filter)が用いられる。
【0029】
A/D215aは、ノイズが除去された交流信号をデジタル信号に変換する。
【0030】
I/F216aは、ソナー110aに入出力する信号が伝送される通信回線を接続する。
【0031】
ソナー110bは、駆動回路211b、送受信素子212b、増幅器213b、BPF214b、A/D変換器215b、I/F216bを有する。なお、1つのソナー110bに複数の送受信素子212bが含まれていてもよいし、送信素子と受信素子とに分離していてもよい。
【0032】
駆動回路211b、送受信素子212b、増幅器213b、BPF214b、A/D変換器215b、I/F216bの機能はそれぞれ、駆動回路211a、送受信素子212a、増幅器213a、BPF214a、A/D変換器215a、I/F216aと同様であるので説明を省略する。
【0033】
統合ECU120は、設定部221、送波制御部222、I/F(Interface)223、検知処理部224、比較解析部225、ソフトウェアアップデート部227、車両制御部を備える。設定部221、送波制御部222、検知処理部224、比較解析部225は制御部226を構成している。
【0034】
設定部221は、送波制御部222が制御する送波の波形を設定する。設定部221の設定により、送波制御部222は、BPSK変調、パルス変調、チャープ変調、その他の変調方式の間で変調方式を切り替えることができる。
【0035】
送波制御部222は、ソナー110a、110bが送波する超音波信号を制御する。例えば、送波制御部222は、超音波信号の送波波形を制御する。また、送波制御部222は、BPSK(Binary Phase Shift Keyint)変調、パルス変調、チャープ変調、その他の変調方式の間で変調方式を切り替える。
【0036】
送波制御部222は、ソナー110a、110b毎に超音波信号の送波波形を制御する。その際、送波制御部222は、各ソナー110a、110bの識別子を用いてもよい。
【0037】
I/F223は、統合ECU120に入出力する信号が伝送される通信回線を接続する。
【0038】
検知処理部224は、ソナー110a、110bの送受信素子212が受信した超音波に応じて伝送された信号を検知する。例えば、検知処理部224は、設定部221から、送波制御部222に設定する内容、例えば、変調方式に関する情報を予め通知されるため、その情報に基づいて、受信した波形に基づいて、変調方式、周波数等を判断する。
【0039】
検知処理部224は、測距モードでは、送波制御部222の制御により送波された信号と検知処理部224が検知した信号の遅延時間に基づいて、対象物までの距離を求める。また、検知処理部224は、複数のソナー110a、110bの信号に基づいて、対象物の方位を求める。検知処理部224は、求めた対象物体までの距離、方位を車両制御部に出力する。車両制御部は、対象物体までの距離、方位に基づいて、アクセル制御部、ステアリング制御部、ブレーキ制御部に対して、制御信号を出力する。なお、検知処理部224は、比較解析モードでは、検知した信号を比較解析部225に出力する。
【0040】
比較解析部225は、比較解析モードでは、設定部221が送波制御部222に設定した信号と検知処理部224が検知した信号に基づいて、想定した信号が送信され、受信されているかどうかを判断する。
【0041】
検知処理部224が検知した信号とは、後に詳しく説明するが、ソナー110aの送受信素子212aが超音波を送波した場合に送受信素子212aが受信した回り込み信号、または、ソナー110aの送受信素子212aが超音波を送波した場合にソナー110bの送受信素子212bが直接受信した直接波の信号である。
【0042】
比較解析部225は、比較解析モードでは、接続されているソナー110a、110b毎の送波方式の情報を設定部221から取得するので、異なる送波方式が存在する場合であっても、各ソナー110a、110bから想定した波形が送信され、受信されているかどうかを判断することができる。
【0043】
そして、比較解析部225は、想定した波形が送信されたか否かの情報をソフトウェアアップデート部227に出力する。なお、比較解析部225は、図示しない出力部に出力してもよい。出力部は、例えば、画像を出力するディスプレイ、音声を出力するスピーカーなどである。
【0044】
ソフトウェアアップデート部227は、制御部226のソフトウェアの更新の指示を、例えば製造元から受けた場合に、それを実行する。なお、ソフトウェアアップデート部227は、通信回線により製造元のサーバなどに接続されて、ソフトウェアアップデートの情報を入手してもよいし、SDカード、USB(Universal Serial Bus)メモリなどを介して、ソフトウェアアップデートの情報を入手してもよい。例えば、ソフトウェアアップデート部227は、設定部221及び送波制御部222のソフトウェアを更新することにより、ソナー110a、110bから送波される超音波の波形を変更することができる。
【0045】
<ソナーシステムの動作>
ソナーシステムは、測定モードと比較解析モードを有する。送波制御部222の制御に基づいて、ソナー110a、110bは、超音波を送波し、ソナー110a、110bが受信した超音波に対応する信号は、統合ECU120に送信される。
【0046】
ソナー110aの送受信素子212aが送波した超音波は、送受信素子212aの回り込みにより、送受信素子212aでも受信される。回り込みによる超音波は、遅延時間がほぼ0であって、対象物に反射した信号ではないので、統合ECU120は、測定モードでは、回り込みによる超音波を利用しなくてもよい。
【0047】
これに対して、比較解析モードでは、統合ECU120は、回り込みによる信号を、送信された信号波形の確認に使用することができる。この場合、ソナー110a、110bは、送受信素子212aと増幅器213aの間にアッテネータを備え、受波した信号を、増幅器213aを飽和させない程度に減衰させてもよい。また、アッテネータは、遅延時間が所定の時間より短い場合に動作させてもよい。
【0048】
また、ソナー110aの送受信素子212aが送波した超音波は、ソナー110bの送受信素子212bに直接受信される。ソナー110bの送受信素子212bが直接受信する超音波は、対象物に反射した信号ではないので、統合ECU120は、測定モードでは利用しなくてもよい。これに対して、比較解析モードでは、統合ECU120は、直接受信する信号を、送信された信号波形の確認に用いてもよい。
【0049】
本実施の形態では、統合ECU120は、送信信号を送信したソナー110aにより受信された回り込み信号、または、送信信号を送信したソナー110aとは別のソナー110nにより受信された受信信号を用いて、送信された信号波形の確認を行う。なお、統合ECU120は、それらを両方用いて、送信された信号波形の確認が行なってもよい。
【0050】
統合ECU120は、比較解析モードでは、ソナー110a、110bが受信した信号の波形が、想定される波形か否かを判定する。ソナー110a、110bが受信した信号は、ソナー110a、又は、ソナー110bが送信した信号であるから、設定部221の設定に基づいて送波した信号が、ソナー110a、110bのいずれかから送信されているかを比較解析部225において判定することができる。
【0051】
これにより、ソフトウェアアップデート部227が更新したソフトウェアによって、想定された信号が送波されているかどうかを確認することができる。
【0052】
また、統合ECU120が、全てのソナー110a、110bが受波した信号の検知を行い、変調方式等の波形を判断するので、各ソナー110a、110bの構成が同じでなくても、想定された信号が送波されているかどうかを確認することができる。
【0053】
例えば、ソナー110aが送波する信号の変調方式と異なる変調方式の信号をソナー110bが受波する場合であっても、統合ECU120は、想定された信号が送波されているかどうか確認することができる。
【0054】
<変調方式の設定>
ソナー110で検知しようとする対象物に応じて、ソナー110が送波する信号の変調方式を変更することも有効である。
【0055】
例えば、車両100に設置されているソナー110の位置、又は車両100の状況によって、検知する対象物に応じた最適な変調方式を用いるようにしてもよい。
【0056】
この場合、設定部221は、統合ECU120に接続されているソナー110毎に変調方式を設定する。なお、設定部221による設定でなく、ソナー110に個別に変調方式を予め設定してもよい。
【0057】
例えば、車両100に設置されているソナー110の位置によって変調方式を変更する場合、設定部221は、遠くの物体を検知するため、車両100のフロント部に配置されたソナー110-3、110-4(図1参照)から送信される信号に対して、BPSK変調方式を適用してもよい。
【0058】
また、設定部221は、近くの物体を検知して自動駐車等に利用するため、車両100のコーナー部分と側面に配置されたソナー110-1、110-2、110-5、110-6から送信される信号に対して、パルス変調方式を適用するように設定してもよい。
【0059】
また、設定部221は、交差点などで人を確実に検知するため、車両100のフロント部分とコーナー部分に配置されたソナー110-2、110-3、110-4、110-5から送信される信号に対して、チャープ変調方式を適用してもよい。
【0060】
さらに、設定部221は、近くの物体を検知して自動駐車等に利用するため、車両100の側面に配置されたソナー110-1、110-6、110-7、110-12から送信される信号に対して、パルス変調方式を適用するように設定してもよい。
【0061】
また、設定部221は、車両が自動駐車をしている場合であるか、車両が交差点に近づいている場合であるか、車両が所定の速度以上で走行中であるか等の車両の状況に応じて、ソナー110から送波される信号の変調方式を変更してもよい。
【0062】
<信号の比較>
図3は、設定部221により設定される信号波形の設定情報とソナー110により受信された信号波形と検知処理部224が硬判定した波形の例を示す図である。
【0063】
設定部221に、ソナー110が送波する信号波形がROMパターンにより設定されている場合、比較解析部225は、ROMパターンと、検知処理部224が受信した信号の波形を硬判定した波形とを比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうか確認する。
【0064】
図3には、受信波形、硬判定波形および設定波形を示す。検知処理部224は、受波信号を、事前に設定された閾値で判定することで、0または1のバイナリデータに変換した硬判定波形を生成する。比較解析部225は硬判定波形とROMパターンに設定された波形を比較し、一致しているかどうかを判定する。
【0065】
また、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号の周波数と設定部221が設定した信号の周波数とを比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうか確認してもよい。
【0066】
また、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号を復調した信号と、設定部221が設定した変調前の信号とを比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうか、設定部221が設定した特定パターンの情報が検知処理部224で正常に復調されたかどうかを確認してもよい。
【0067】
また、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号を復調する際に用いた変調方式と、設定部221が設定した変調方式とを比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうかを確認してもよい。なお、変調方式には、ASK(Amplitude Shift Keying)、FSK(Frequency Shift Keying)、PSK(Phase Shift Keying)などがあり、比較解析部225は、受波波形の振幅、周波数、位相と、設定した振幅、周波数、位相と、を比較することで変調方式が正しいかどうかを判定する。また、比較解析部225は、変調をかける前のデータと、復調後のデータが一致している場合は、送波制御部222で変調する際に用いた変調方式と検知処理部224で復調する際に用いた変調方式が一致していると判断してもよい。
【0068】
また、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号の残響長と送波した信号の残響長を比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうかを確認することとしてもよい。この場合、送波した信号の残響長は予め分かっているものとする。
【0069】
また、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号の残響の周波数を、設定部221が設定した信号の残響の周波数と比較することで、想定された波形の信号が送波されているかどうかを確認してもよい。この場合、送波した信号の残響の周波数は予め分かっているものとする。
【0070】
<変形例>
比較解析部225は、想定された波形の信号が送波されているか否かの確認結果に基づいて、送波する信号波形を調整するよう設定部221に指示をするフィードバック制御を行うこととしてもよい。
【0071】
例えば、比較解析部225は、検知処理部224が受信した信号の振幅が小さい場合、送波する超音波の音圧を上げるように調整する指示を設定部221に対して出力してもよい。
【0072】
また、比較解析部225が行う判断は、統合ECU120の外部装置で行うこともできる。例えば、比較解析部225が行う判断は、クラウドサーバで行われてもよい。
【0073】
なお、上述の実施形態の信号制御装置において、各構成要素に用いた「・・・部」という表記は、上述のとおり、「・・・回路(circuitry)」、「・・・アッセンブリ」、「・・・デバイス」、「・・・ユニット」、又は、「・・・モジュール」といった他の表記に置換されうる。
【0074】
また、上述の実施形態の信号制御装置は、例えばROMにインストールされているプログラムをCPUが実行することにより、信号制御を行ってもよい。
【0075】
しかし、信号制御装置で実行されるプログラムは、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されてもよい。あるいは、ネットワークを介してプログラムをダウンロードし、コンピュータで実行させてもよい。
【0076】
また、信号制御装置の機能の少なくとも一部が、CPUを有さない専用のハードウェア回路によって実現されてもよい。
【0077】
このように、上述の実施形態の信号制御装置は、ソフトウェア、ハードウェア、またはハードウェアと連携したソフトウェアで実現することが可能である。また、上述の実施形態の信号制御装置は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、または記録媒体で実現されてもよく、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータープログラム、及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。なお、プログラム製品は、コンピュータープログラムが記録されたコンピュータが読み取り可能な媒体である。
【0078】
また、上述の実施形態の信号制御装置の各機能ブロックは、部分的に、または全体的に、集積回路であるLSIとして実現され、上述の実施形態の信号制御装置の各処理は、部分的に、または全体的に、1つのLSIまたはLSIの組み合わせによって制御されてもよい。LSIは個々のチップから構成されてもよいし、機能ブロックの一部または全てを含むように1つのチップから構成されてもよい。LSIはデータの入力と出力とを備えてもよい。LSIは、集積度の違いにより、IC、システムLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIと呼称されることもある。
【0079】
ただし、集積回路化の手法はLSIに限るものではなく、専用回路、汎用プロセッサ又は専用プロセッサで実現してもよい。また、LSI製造後に、プログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはLSI内部の回路セルの接続および設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。上述の実施形態の信号制御装置の各処理が、デジタル処理またはアナログ処理として実現されてもよい。
【0080】
さらには、半導体技術の進歩または派生する別技術によりLSIに置き換わる集積回路化の技術が登場すれば、当然、その技術を用いて機能ブロックの集積化を行ってもよい。バイオ技術の適用等が可能性としてあり得る。
【0081】
(1)本開示の一実施例における信号制御装置は、1以上のソナーが接続可能なインタフェースと、前記1以上のソナーから送信される送信信号を制御するソフトウェアを実行する制御回路と、前記ソフトウェアを更新するソフトウェアアップデート回路と、を備え、前記制御部は、更新されたソフトウェアの実行により制御された前記送信信号と前記1以上のソナーのいずれかにより受信した受信信号とを比較する。
【0082】
(2)(1)の信号制御装置において、前記受信信号は、前記1以上のソナーのうち前記送信信号を送信したソナーにより受信された信号である。
【0083】
(3)(1)の信号制御装置において、前記受信信号は、前記1以上のソナーのうち前記送信信号を送信したソナーとは別のソナーにより直接受信された信号である。
【0084】
(4)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、ROMパターンと前記受信信号とを比較する。
【0085】
(5)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、変調前の前記送信信号と復調された前記受信信号とを比較する。
【0086】
(6)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記送信信号の残響長と前記受信信号の残響長とを比較する。
【0087】
(7)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記送信信号の周波数と前記受信信号の周波数とを比較する。
【0088】
(8)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記送信信号の残響の周波数と前記受信信号の残響の周波数とを比較する。
【0089】
(9)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記送信信号と前記受信信号との比較の結果に基づいて、前記送信信号を調整する。
【0090】
(10)(2)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記受信信号を減衰させる制御を行う。
【0091】
(11)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記1以上のソナーの設置位置に応じて、前記送信信号の変調方式を変更する。
【0092】
(12)(1)の信号制御装置において、前記制御回路は、前記1以上のソナーが搭載された車両の状況に応じて、前記送信信号の変調方式を変更する。
【0093】
(13)本開示の一実施例におけるソナーシステムは、(1)の信号制御装置と、前記1以上のソナーを備える。
【0094】
(14)本開示に一実施例における車両は、(13)のソナーシステムが搭載されている。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本開示の技術は、信号制御装置、ソナーシステム、及び車両に利用できる。
【符号の説明】
【0096】
100 車両
110 ソナー
120 統合ECU
130 通信回線
211a、211b、413 駆動回路
212a、212b、414 送受信素子
213a、213b、415 増幅器
214a、214b、416 BPF
215a、215b、417 A/D
216a、216b、223、411、422 I/F
221 設定部
222 送波制御部
224、418 検知処理部
225 比較解析部
226 制御部
227 ソフトウェアアップデート部
412 変調回路
421 送波制御部
423 判断部
図1
図2
図3
図4