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特開2024-173294保冷庫、管理システム、保冷庫制御方法、制御装置、および管理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173294
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】保冷庫、管理システム、保冷庫制御方法、制御装置、および管理装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241205BHJP
   F25D 11/00 20060101ALI20241205BHJP
   F25D 16/00 20060101ALI20241205BHJP
   H02J 7/10 20060101ALI20241205BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q10/087
F25D11/00 101D
F25D16/00
H02J7/10 A
H02J7/00 X
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091621
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】関口 隆
(72)【発明者】
【氏名】平出 博樹
(72)【発明者】
【氏名】若見 学司
(72)【発明者】
【氏名】二階堂 勝
(72)【発明者】
【氏名】奈良 修
【テーマコード(参考)】
3L045
5G503
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA02
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA14
3L045LA16
3L045MA00
3L045PA02
3L045PA03
3L045PA04
5G503AA01
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA08
5G503CA10
5G503EA05
5L010AA16
5L049AA16
5L049CC52
(57)【要約】
【課題】専用の給電装置を設けずに蓄冷や充電などの準備動作を行うことができる保冷庫、管理システム、保冷庫制御方法、制御装置、および管理装置を提供する。
【解決手段】本開示の保冷庫は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫であって、前記電源に接続されたことが検出された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部と、前記管理装置との通信確立後に前記管理装置から前記準備動作を開始する準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する制御を行う開始制御部と、を備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫であって、
前記電源に接続されたことが検出された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部と、
前記管理装置との通信確立後に前記管理装置から前記準備動作を開始する準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する制御を行う開始制御部と、
を備える、保冷庫。
【請求項2】
前記開始制御部は、前記接続要求の送信後に前記通信接続を確立できなかった場合、前記準備動作を開始する制御を行う、
請求項1に記載の保冷庫。
【請求項3】
前記開始制御部は、前記通信接続を確立できないまま前記準備動作が完了した場合、前記準備動作を終了する制御を行う、
請求項2に記載の保冷庫。
【請求項4】
前記要求送信部は、前記接続要求を送信する前に、前記管理装置との通信接続が確立するまで、前記通信接続を確立させる接続要求を繰り返し送信する、
請求項1に記載の保冷庫。
【請求項5】
前記開始制御部は、前記準備動作として、蓄冷材に冷熱を蓄える蓄冷動作、および、バッテリに充電する充電動作、の少なくともいずれかを制御し、
前記要求送信部は、前記蓄冷材に蓄えられている冷熱の残量、および、前記バッテリの充電残量の少なくともいずれかの残量に基づいて設定された頻度で、前記管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を繰り返し送信する、
請求項1に記載の保冷庫。
【請求項6】
前記要求送信部は、前記残量が所定の閾値残量未満である場合、所定の閾値頻度以上の頻度で、前記接続要求を送信する、
請求項5に記載の保冷庫。
【請求項7】
前記開始制御部は、前記残量が所定の閾値残量以上であり、かつ前記要求送信部が所定の閾値回数前記接続要求を送信しても前記通信接続が確立できなかった場合、前記準備動作を開始する制御を行う、
請求項5に記載の保冷庫。
【請求項8】
前記要求送信部は、前記残量が所定の第1閾値残量以上であり、かつ前記通信接続が確立できなかった場合、前記残量が所定の第2閾値未満となるまで新たな前記接続要求を送信しない、
請求項5に記載の保冷庫。
【請求項9】
物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫と、前記保冷庫を管理する管理装置と、を備える管理システムであって、
前記保冷庫は、電源に接続されたことが検出された場合、前記管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信し、
前記管理装置は、前記接続要求に応じて前記準備動作を開始させる準備指示を送信し、
前記保冷庫は、前記管理装置から前記準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する、
管理システム。
【請求項10】
前記管理装置は、
複数の前記保冷庫のそれぞれの動作状態を示す管理情報を記憶しており、
新たな接続要求を受信した場合、前記管理情報に基づいて、前記新たな接続要求を送信した保冷庫に対し前記準備指示を送信するか否かを判断する、
請求項9に記載の管理システム。
【請求項11】
前記保冷庫は、自機の動作状態を示す状態情報を前記管理装置に送信し、
前記管理装置は、前記状態情報に基づいて前記管理情報を更新する、
請求項10に記載の管理システム。
【請求項12】
前記保冷庫は、前記準備動作として、蓄冷材に冷熱を蓄える蓄冷動作、および、バッテリに充電する充電動作の少なくともいずれかを行い、前記蓄冷材に蓄えられている前記冷熱の残量、および、前記バッテリの充電残量の少なくともいずれかの残量を前記状態情報に含めて送信する、
請求項11に記載の管理システム。
【請求項13】
前記管理装置は、前記新たな接続要求を送信した保冷庫の前記残量、および前記管理情報に基づいて、前記新たな接続要求を送信した保冷庫に対し前記準備指示を送信するか否かを判断する、
請求項12に記載の管理システム。
【請求項14】
物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫を制御する制御方法であって、
前記保冷庫が前記電源に接続されたことが検知された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信し、
前記管理装置から前記準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する、
保冷庫制御方法。
【請求項15】
物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫に搭載される制御装置であって、
前記電源に接続されたことが検知された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部と、
前記管理装置から前記準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する制御を行う開始制御部と、
を備える、制御装置。
【請求項16】
物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫を管理する管理装置であって、
複数の前記保冷庫のそれぞれの動作状態を示す管理情報を記憶する記憶部と、
前記複数の保冷庫のいずれかから通信接続を確立させる接続要求を新たに受信した場合、前記管理情報に基づいて、前記接続要求を新たに送信した保冷庫に対し前記準備動作を開始させる準備指示を送信するか否かを判断する判断部と、
を備える、管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保冷庫、保冷庫を管理する管理システム、保冷庫制御方法、保冷庫に搭載される制御装置、および保冷庫の管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
給電を受けることで、庫内の蓄冷体に冷熱を蓄え、蓄冷体で庫内を冷却することで庫内の物品を所定温度域に保冷できる保冷庫が知られている。
【0003】
物流拠点には、複数の保冷庫に対する給電を管理するための給電装置が設けられることがある。特許文献1には、保冷庫の電源プラグが給電設備のコンセントに挿入されたことを検出し、給電した際に給電中となるコンセントの総数が所定の総数以下になるように管理する給電装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第7108857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、専用の給電装置の設置にはコストが発生するため、専用の給電装置を設置しなくても使用可能な保冷庫が要望されている。
【0006】
本開示は、専用の給電装置を設けずに蓄冷や充電などの準備動作を行うことができる保冷庫、管理システム、保冷庫制御方法、制御装置、および管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る保冷庫は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫であって、前記電源に接続されたことが検出された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部と、前記管理装置との通信確立後に前記管理装置から前記準備動作を開始する準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する制御を行う開始制御部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係る管理システムは、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫と、前記保冷庫を管理する管理装置と、を備える管理システムであって、前記保冷庫は、電源に接続されたことが検出された場合、前記管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信し、前記管理装置は、前記接続要求に応じて前記準備動作を開始させる準備指示を送信し、前記保冷庫は、前記管理装置から前記準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する。
【0009】
本開示の一態様に係る保冷庫制御方法は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫を制御する制御方法であって、前記保冷庫が前記電源に接続されたことが検知された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信し、前記管理装置から前記準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する。
【0010】
本開示の一態様に係る制御装置は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫に搭載される制御装置であって、前記電源に接続されたことが検知された場合、外部の管理装置に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部と、前記管理装置から前記準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、前記準備動作を開始する制御を行う開始制御部と、を備える。
【0011】
本開示の一態様に係る管理装置は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫を管理する管理装置であって、複数の前記保冷庫のそれぞれの動作状態を示す管理情報を記憶する記憶部と、前記複数の保冷庫のいずれかから通信接続を確立させる接続要求を新たに受信した場合、前記管理情報に基づいて、前記接続要求を新たに送信した保冷庫に対し前記準備動作を開始させる準備指示を送信するか否かを判断する判断部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示の保冷庫によれば、専用の給電装置を設けずに蓄冷や充電などの準備動作を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】管理システムの全体構成について説明するための図
図2】保冷庫の構造を説明するための断面模式図
図3】保冷庫の機能ブロック図
図4】管理装置の機能ブロック図
図5】管理システムの全体の動作例を説明するためのシーケンス図
図6】保冷庫の動作例を説明するためのフローチャート
図7】保冷庫の動作例を説明するためのフローチャート
図8】保冷庫の動作例を説明するためのフローチャート
図9】保冷庫の動作例を説明するためのフローチャート
図10】管理装置の動作例を説明するためのフローチャート
図11】第1の変形例における保冷庫の動作を説明するためのフローチャート
図12】第2の変形例における、保冷庫に制御装置を組み合わせて構成される保冷庫ユニットの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施の形態に係る管理システム100について説明する。
【0015】
<管理システム100の全体構成>
図1は、管理システム100の全体構成について説明するための図である。図1に示すように、管理システム100は、物流拠点にて取り扱われる1または複数の保冷庫10と、管理装置20と、を備える。保冷庫10のそれぞれと管理装置20とは、インターネットまたはイントラネットなどのネットワークNWを介して互いに通信可能に接続されている。
【0016】
図1では、1つの物流拠点が複数の保冷庫10全てを取り扱っている例が示されているが、本開示では複数の物流拠点がそれぞれ1または複数の保冷庫10を取り扱っていてもよい。この場合においても、複数の物流拠点にて取り扱われる1または複数の保冷庫10は、それぞれネットワークNWを介して管理装置20と通信可能に接続される。
【0017】
<保冷庫10>
図2は、保冷庫10の構造を説明するための断面模式図である。図2に示すように、保冷庫10は、筐体11と、筐体11内部に設けられた貯蔵室12と、筐体11の前面に開閉可能に取り付けられた扉13と、冷却装置14と、を有する。扉13が開かれることにより、保冷庫10の外部から貯蔵室12に物品の出し入れが可能となる。
【0018】
冷却装置14は、貯蔵室12の内部を冷却するための蓄冷材15に冷熱を蓄積する装置である。蓄冷材15は、例えばフィルムや樹脂容器等に、塩化ナトリウムと水との混合物、または高吸水性ポリマーと水との混合物等の蓄冷材料が充填されて構成される。蓄冷材15は、液状あるいはゲル状の蓄冷材料が冷却装置14により冷却されると固化して冷熱を蓄えることができる。
【0019】
冷却装置14は、凝縮器141、圧縮機142、膨張弁143、および蒸発器144を有し、冷媒が内部を流れる冷媒管によりこれらの構成が順に接続されている。冷媒は、蒸発器144、圧縮機142、凝縮器141、膨張弁143の順番で通過するようになっている。
【0020】
冷却装置14には電源プラグ18が接続されている。電源プラグ18が物流拠点のコンセントなどに接続されると、冷却装置14は物流拠点に設けられた電源に接続される。電源は、例えば商用電源であってもよいし、物流拠点に設けられた発電機であってもよい。なお、物流拠点の電源は、冷却装置14への電力供給のために特別に設けられたものではなく、一般的な電源として物流拠点に設けられている既存の設備であることが好適である。保冷庫10が電源に接続されると、冷却装置14が動作し、蒸発器144を流れる冷媒と周囲の空気とが熱交換することにより、蒸発器144の近傍に配置された蓄冷材15が冷却される。これにより、蓄冷材15に冷熱が蓄えられる。
【0021】
貯蔵室12の内部には、冷気を循環させるファン16が配置されている。ファン16は、バッテリ17と電気的に接続されており、バッテリ17に充電された電力によって回転する。ファン16が回転すると、蓄冷材15の冷気が貯蔵室12内に供給されることで貯蔵室12内が冷却される。バッテリ17には電源プラグ18が接続されており、電源プラグ18が物流拠点のコンセントなどに接続されると、バッテリ17は物流拠点に設けられた電源に接続され、図示しない充電制御装置などの制御に基づいてバッテリ17が充電されるようになっている。
【0022】
以下、保冷庫10の使用態様について説明する。保冷庫10は、物流拠点において電源に接続され、冷却装置14による蓄冷材15への蓄冷動作と、バッテリ17への充電動作と、を行う。本明細書では、保冷庫10における蓄冷動作と充電動作をまとめて、保冷庫10を物品の配送に使用するための準備動作と記載する。準備動作は、後述の制御部111により制御される。
【0023】
蓄冷材15への蓄冷とバッテリ17の充電が完了すると、保冷庫10は、電源との接続が解除され、例えば複数の物流拠点間における、冷蔵や冷凍の物品の搬送に使用される。保冷庫10が物品の搬送に使用される状態では、冷却装置14は動作せず、バッテリ17に充電された電力によりファン16が回転することで貯蔵室12内部が冷却される。保冷庫10が物品の搬送に使用されている間、蓄冷材15に蓄熱された冷気が徐々に消費されるとともに、ファン16を回転させる電力がバッテリ17から消費される。
【0024】
物品の搬送に使用されることで蓄冷材15の冷熱およびバッテリ17の電力が失われると、保冷庫10は物流拠点において再度電源に接続される。これにより蓄冷動作と充電動作とが行われることで、保冷庫10は再び冷蔵または冷凍の物品の搬送に使用できるようになる。このように、保冷庫10は、蓄冷動作および充電動作と、物品の搬送への使用とを繰り返し行うことができる。
【0025】
図3は、保冷庫10の機能ブロック図である。保冷庫10は、制御部111と、制御部111の制御対象としての通信部19と、検出部110と、冷却装置14と、ファン16と、バッテリ17と、を有する。
【0026】
制御部111は、保冷庫10の動作を制御する。制御部111は、保冷庫10の各部を中枢的に制御するものであり、演算実行部としてのCPU、このCPUによって実行可能な基本制御プログラムや所定のデータ等を記憶するROM、RAMなどのメモリ、その他の周辺回路などを備えている。
【0027】
通信部19は、ネットワークNWを介して外部の構成と通信を行うネットワークモジュールである。これにより、図1に示すように、保冷庫10はネットワークNWを介して管理装置20と通信を行うことができる。
【0028】
通信部19は、例えば物流拠点に設けられた無線通信設備を介した無線通信(Wi-Fiなど)により通信を行う。または、通信部19は、LANケーブルなどの接続による有線通信により通信を行ってもよい。
【0029】
検出部110は、図2に示す電源プラグ18が電源に接続されたか否かを検出する。検出部110は、例えば電源プラグ18を介して電圧が供給されたか否かに基づいて、電源プラグ18が電源に接続されたか否かを判断する。この場合、検出部110は、制御部111の一機能として実現されてもよい。
【0030】
または、検出部110は、電源プラグ18に設けられた物理スイッチであってもよい。この場合、電源プラグ18がコンセントに挿されると物理スイッチが動作することで、検出部110が電源に接続されたことを検出する。
【0031】
制御部111は、機能ブロックとして、要求送信部112と、開始制御部113と、動作制御部114と、を有する。
【0032】
動作制御部114は、開始制御部113の制御に基づいて、蓄冷動作、充電動作、またはその両方を行うように、冷却装置14およびバッテリ17の少なくともいずれかを制御する。また、動作制御部114は、冷熱残量が満容量となったとき、すなわち蓄冷材15がそれ以上冷熱を蓄えることができなくなったとき、または、バッテリ17の充電残量が満容量となったとき、準備動作を終了させる。
【0033】
また、動作制御部114は、物品の搬送に用いられる場合、ファン16の回転を制御する。
【0034】
開始制御部113は、管理装置20から準備動作を開始する準備指示を受信した場合に、動作制御部114に準備動作を開始させる。
【0035】
要求送信部112は、管理装置20に対して、通信接続を要求する接続要求を送信する。
【0036】
制御部111が行う各種処理の詳細は、後述する。
【0037】
<管理装置20>
管理装置20は、1または複数の物流拠点において使用される、1または複数の保冷庫10の動作状態の管理および制御を行う装置である。管理装置20は、例えば演算実行部としてのCPU、このCPUによって実行可能な基本制御プログラムや所定のデータ等を記憶するROM、RAMなどのメモリ、その他の周辺回路などを備える一種のコンピュータである。具体的には、管理装置20は、PC(Personal Computer)、タブレット端末、ワークステーションなどの複数種類のコンピュータのうちの少なくとも1種類の装置である。管理装置20は、ネットワークNWを介して1または複数の保冷庫10と通信を行うことにより、それぞれの保冷庫10の蓄冷動作および充電動作の管理および制御を行う。
【0038】
図1に示す例では、管理装置20は1つのみ設けられているが、本開示はこれに限定されず、例えば物流拠点毎に管理装置が設けられていてもよい。この場合、物流拠点毎の管理装置がネットワークを介して互いに接続されてもよい。また、複数の物流拠点に設置された複数の管理装置とネットワークを介して互いに接続され、複数の管理装置をさらに管理する集中管理装置がさらに設けられてもよい。この場合、以下説明する管理装置20の機能は、複数の管理装置および集中管理装置の少なくともいずれかに分散して保有されればよい。
【0039】
図4は、管理装置20の機能ブロック図である。管理装置20は、通信部21と、判断部22と、指示生成部23と、記憶部24と、を有する。
【0040】
通信部21は、ネットワークNWを介して外部の構成と通信を行うネットワークモジュールである。これにより、図1に示すように、管理装置20はネットワークNWを介して複数の保冷庫10と通信を行うことができる。
【0041】
記憶部24は、1または複数の保冷庫10の動作状態を示す管理情報を記憶する。動作状態には、準備動作を行っている準備動作状態、および、管理装置20からの準備指示を待機している待機動作状態が含まれる。これにより、管理装置20は、通信接続が確立している複数の保冷庫10のそれぞれが、現在どのような動作状態であるかを把握することができる。なお、管理情報は、通信接続の確立後に保冷庫10から受信される状態情報に基づいて随時更新される。
【0042】
判断部22は、通信接続が確立されていない保冷庫10から新たな接続要求を受信した場合、管理情報に基づいて、通信接続が確立されていない保冷庫10に対し準備指示を送信するか否かを判断する。判断部22は、現在の管理情報、および、通信接続が確立されていない保冷庫10から新たに受信した残量情報に基づいて、判断を行う。残量情報とは、蓄冷材15に蓄えられている冷熱の残量、および、バッテリ17の充電残量、の少なくともいずれかの残量を示す情報である。残量情報は、通信接続の確立後に保冷庫10から受信される状態情報に含まれていればよい。
【0043】
指示生成部23は、保冷庫10から新たな接続要求を受信した場合、判断部22の判断に基づいて、新たな接続要求を送信した保冷庫10に対する準備指示、または待機動作に移行させる待機指示を生成する。
【0044】
また、判断部22は、保冷庫10から新たな接続要求を受信した場合、既に準備動作状態の保冷庫10、または既に待機状態の保冷庫10に対して、準備指示または待機指示を生成する。
【0045】
判断部22および指示生成部23の動作の詳細については、後述する。
【0046】
<動作例>
以下では、上述した構成を有する管理システム100の動作例について説明する。
【0047】
[管理システム100の全体の動作例]
図5は、管理システム100の全体の動作例を説明するためのシーケンス図である。
【0048】
ステップS1において、保冷庫10は、物流拠点の電源に接続されたことを検出する。この時点では、保冷庫10は準備動作を開始していないものとする。
【0049】
ステップS2において、保冷庫10は、管理装置20に対し、管理装置20に通信接続するための接続要求を送信する。
【0050】
ステップS3において、保冷庫10から接続要求を新たに受信した管理装置20は、まず保冷庫10との通信接続を確立させるための接続応答を保冷庫10に送信する。これにより、保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立される。なお、保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立されなかった場合については、後述の保冷庫10の動作例において詳細に説明する。
【0051】
ステップS4において、保冷庫10は、接続応答の受信に応じて、その時点での保冷庫10の動作状態(ここでは、待機状態)を示す状態情報を送信する。上述したように、状態情報には、蓄冷材15に蓄えられている冷熱の残量、および、バッテリ17の充電残量、の少なくともいずれかの残量を示す残量情報が含まれている。
【0052】
ステップS5において、管理装置20は、受信した状態情報に基づいて、管理情報を更新する。ここでは、新たに接続要求を送信した保冷庫10は、新たに待機動作状態であるとして管理情報に登録される。
【0053】
ステップS6において、管理装置20は、更新された管理情報に基づいて、新たに準備指示または待機指示を送信すべき保冷庫10を決定する。本ステップにおいて、例えば管理装置20は、管理情報に基づいて待機動作状態の保冷庫10の優先順位を設定し、優先順位が高い順から準備指示を送信すると決定する。優先順位の設定方法の例としては、例えば、管理情報に待機動作状態であると登録された時間が古い保冷庫10の方がより優先順位が高くなるように設定する方法、または、状態情報に含まれる残量情報に基づいて、残量がより少ない保冷庫10の方がより優先順位が高くなるように設定する方法、などが挙げられる。また、管理装置20は、新たに準備指示を送信することにより、物流拠点において同時に準備動作状態となる保冷庫10の数が、予め設定された最大台数以下となるように、準備指示を送信すべき保冷庫10を決定する。もしくは、管理装置20は、優先順位に基づいて予め保冷庫10毎に準備指示の送信時刻を設定しておき、設定された送信時刻となった場合にその保冷庫10に対して準備指示を送信することで、同時に準備動作状態となる保冷庫10の数が最大台数以下となるようにしてもよい。最大台数は、例えば、物流拠点の電源の電力供給能力に基づいて、予め設定されればよい。また、最大台数は、物流拠点の担当者が予め設定するものであってもよい。
【0054】
一方で、管理装置20は、既に準備動作状態であった保冷庫10のうち、残量が満容量に近い保冷庫10に対し、待機指示を送信すると決定してもよい。
【0055】
ステップS7において、管理装置20は、ステップS6で決定したそれぞれの保冷庫10に対し、準備指示または待機指示を送信する。
【0056】
ステップS8において、管理装置20からの指示を受信した保冷庫10は、指示に従って準備動作または待機動作を開始する。
【0057】
このように、管理システム100では、保冷庫10は電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。管理装置20は、物流拠点において、同時に準備動作状態となる保冷庫10の数が、予め設定された最大台数を超えないように準備指示を送信する。
【0058】
これにより、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に抑制できる。また、管理装置20がネットワークを介して準備指示を送信することにより保冷庫10の動作状態を管理することができるため、物流拠点に専用の給電装置を設置する必要がなく、低コストで複数の保冷庫10の管理を行うことができる。
【0059】
[保冷庫10の動作例]
以下では、図6から図9を参照して、保冷庫10の動作例を説明する。
【0060】
ステップS11において、それまで電源に接続されていなかった保冷庫10が、電源に接続されたことを検出する。
【0061】
ステップS12において、保冷庫10は、ステップS11の電源への接続を契機として、管理装置20への接続要求を管理装置20に対して送信する。
【0062】
ステップS13において、保冷庫10は、管理装置20への接続要求に対する管理装置20からの接続応答を受信し、管理装置20との通信接続を確立できたか否かを判断する。通信接続が確立できたと判断した場合(ステップS13:YES)、保冷庫10は、処理をステップS14に進め、そうでない場合(ステップS13:NO)、図7に示すフローチャートのステップS21、図8に示すフローチャートのステップS31、または図9に示すフローチャートのステップS41のいずれかに進む。なお、ステップS13で管理装置20との通信接続を確立できなかったと判断した場合、ステップS21、S31、S41のいずれに進むかは、例えば管理システム100の管理者などにより、予め設定されていればよい。
【0063】
なお、保冷庫10は、例えば接続要求の送信後、所定時間が経過しても保冷庫10が管理装置20からの接続応答を受信できなかった場合に、管理装置20との通信接続を確立できなかったと判断する。所定時間については、例えば管理システム100の管理者などにより、予め設定されていればよい。所定時間が経過しても保冷庫10が管理装置20からの接続応答を受信できない理由としては、例えば、保冷庫10と物流拠点の無線通信設備との間に障害物があったり、物理的距離が離れていたり、電波状況が悪かったりすることで、保冷庫10が発する電波が無線通信設備に届かないことなどが挙げられる。
【0064】
ステップS14において、保冷庫10は、管理装置20との通信接続が確立したことを契機として、自機の動作状態(ここでは待機状態)および残量を示す状態情報を管理装置20に送信する。
【0065】
ステップS15において、保冷庫10は、管理装置20からの指示(準備指示または待機指示)を受信したか否かを判断する。指示を受信したと判断した場合(ステップS15:YES)、保冷庫10は、処理をステップS16に進め、そうでない場合(ステップS15:NO)、ステップS15の処理を繰り返す。
【0066】
ステップS16において、保冷庫10は、管理装置20からの指示に従って動作状態を変更する。すなわち、保冷庫10は、管理装置20から準備動作の準備指示を受信した場合、準備動作を開始する。また、保冷庫10は、管理装置20から待機指示を受信した場合、待機動作へ移行する。
【0067】
ステップS17において、保冷庫10は、ステップS16で動作状態を変更したことにより変更された自機の動作状態を示す新たな状態情報を、管理装置20に対して送信する。
【0068】
ステップS17の後、保冷庫10は、準備動作が完了した、すなわち、蓄冷材15およびバッテリ17の残量が満容量となった場合、準備動作を停止し、準備動作が完了したことを示す状態情報を管理装置20に対して送信する。また、ステップS17の後、待機状態の保冷庫10は、管理装置20から準備指示を受信するまで待機した後、準備動作を実行する。
【0069】
なお、ステップS17の後、準備動作が完了する前、すなわち、蓄冷材15およびバッテリ17の残量が満容量となる前に管理装置20から動作状態を変更する指示を受信した場合、保冷庫10は、指示に従って動作状態を変更すればよい。例えば、準備動作を実行している保冷庫10が、管理装置20から待機指示を受信した場合には、当該保冷庫10は、指示に従って準備動作を中断し、待機状態へ移行すればよい。
【0070】
このように、保冷庫10は、電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。このため、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に抑制できる。
【0071】
次に、図7図8、および図9を参照して、図6のフローチャートのステップS13でNOと判断された場合、すなわち、保冷庫10が管理装置20との通信接続を確立できなかった場合の、保冷庫10のそれぞれ異なる動作例について説明する。
【0072】
[第1の動作例]
図7に示す第1の動作例では、図6のフローチャートのステップS13でNOと判断された場合、すなわち、保冷庫10が管理装置20との通信接続を確立できなかった場合、ステップS21において、保冷庫10は、管理装置20からの動作指示を待たずに準備動作を開始する。
【0073】
一方で、ステップS22において、保冷庫10は、管理装置20に対して接続要求を再送する。
【0074】
ステップS23において、保冷庫10は、ステップS22における接続要求の再送により、管理装置20から接続応答を受信でき、管理装置20との通信接続を確立できたか否かを判定する。管理装置20との通信接続を確立できた場合(ステップS23:YES)、保冷庫10は、処理をステップS24に進め、そうでない場合(ステップS23:NO)、処理をステップS210に進める。
【0075】
ステップS24において、保冷庫10は、管理装置20に対して現在の自機の状態情報を送信する。ここでは、ステップS21で準備動作を開始しているので、保冷庫10は準備動作状態であることを示す状態情報を送信することになる。
【0076】
ステップS25において、保冷庫10は、管理装置20から改めて準備指示を受信したか否かを判断する。なお、保冷庫10は、ステップS24において準備動作状態であることを示す状態情報を管理装置20に対して送信しているが、管理装置20は、通信確立後、改めて保冷庫10に準備動作を開始させてよいかを判断し、その判断結果に基づいて準備指示、または待機指示を送信してくるものとする。
【0077】
管理装置20から改めて準備指示を受信したと判断した場合(ステップS25:YES)、保冷庫10は、処理をステップS26に進め、そうでない場合、すなわち待機指示を受信した場合(ステップS25:NO)、処理をステップS29に進める。
【0078】
ステップS26において、保冷庫10は、管理装置20から改めて受信した準備指示に基づき、準備動作を継続する。
【0079】
ステップS27において、保冷庫10は、準備動作が完了した、すなわち、蓄冷材15およびバッテリ17の残量が満容量となったか否かを判断する。準備動作が完了したと判断した場合(ステップS27:YES)、保冷庫10は、処理をステップS28に進め、そうでない場合(ステップS27:NO)、ステップS27の処理を繰り返す。なお、準備動作が完了するまえに、管理装置20から待機指示を受信した場合、保冷庫10は、準備動作を中断してステップS29の待機動作に移行してもよい。
【0080】
ステップS28において、保冷庫10は、管理装置20に対して準備動作が完了したことを示す状態情報を送信する。これにより、管理装置20において、この保冷庫10が管理情報から除外される。
【0081】
ステップS29において、保冷庫10は、ステップS21で開始していた準備動作を停止し、待機動作へ移行する。その後、処理はステップS24に戻る。
【0082】
ステップS23で、保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できなかった場合、ステップS210において、保冷庫10は、準備動作を継続し、準備動作が完了したか否かを判断する。準備動作が完了したと判断した場合(ステップS210:YES)、保冷庫10は、そのまま処理を終了させ、そうでない場合(ステップS210:NO)、ステップS22に戻って接続要求を再送する。
【0083】
このように、図7に示す第1の動作例では、保冷庫10が接続要求を送信しても管理装置20との通信接続を確立できなかった場合、保冷庫10は、管理装置20からの準備指示を待たずに一方的に準備動作を開始する。これにより、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、保冷庫10の準備動作を行うことができず物流拠点において物品の配送に用いることができる保冷庫10の数が確保できない、などの不利益を抑制することができる。
【0084】
また、第1の動作例では、保冷庫10の判断で準備動作を開始した後も、保冷庫10は管理装置20に対して接続要求を再送し、通信が確立された場合には管理装置20からの指示に従って準備動作を継続、または待機動作に移行する。これにより、管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始する保冷庫10が多数発生することで、物流拠点における全保冷庫10の消費電力の合計が、電源の電力供給能力を超えてしまう事態を抑制できる。
【0085】
[第2の動作例]
図8に示す第2の動作例では、図6のフローチャートのステップS13でNOと判断された場合、すなわち、保冷庫10が管理装置20との通信接続を確立できなかった場合、ステップS31において、保冷庫10は、自機における蓄冷材15の冷熱残量およびバッテリ17の充電残量を取得する。
【0086】
ステップS32において、保冷庫10は、ステップS31で取得した残量が、所定の閾値残量未満であるか否かを判断する。所定の閾値残量は、他の保冷庫10よりも優先的に準備動作を行う必要があると考えられる残量であって、満容量を100%とした場合、閾値残量は例えば50%である。なお、閾値残量は、例えば物流拠点の管理者によって予め設定された値であってもよいし、例えば季節毎に異なる値に設定されていてもよい。
【0087】
残量が閾値残量未満であると判断した場合(ステップS32:YES)、保冷庫10は、処理をステップS33に進め、そうでない場合(ステップS32:NO)処理をステップS37に進める。
【0088】
ステップS33において、保冷庫10は、所定の閾値頻度以上の頻度で、管理装置20に対して接続要求を繰り返し送信する。閾値頻度は、例えば物流拠点の無線通信設備の通信処理能力や管理装置20の処理能力などに基づいて予め設定される値である。具体的には、閾値頻度は、5分に1回程度の値に設定されればよい。
【0089】
ステップS34において、保冷庫10は、ステップS33の閾値頻度以上での接続要求の送信により、管理装置20との通信接続を確立できたか否かを判断する。管理装置20との通信接続を確立できたと判断した場合(ステップS34:YES)、処理は図7に示す第1の動作例のステップS24へ進む。以降の処理は、第1の動作例において管理装置20との通信接続を確立できたと判断された場合(ステップS23:YES)と同様であるため、説明を省略する。
【0090】
一方、管理装置20との通信接続を確立できなかったと判定された場合(ステップS34:NO)、保冷庫10は、処理をステップS35に進める。
【0091】
ステップS35において、保冷庫10は、閾値頻度以上での接続要求の送信回数が、所定の閾値回数を超えたか否かを判断する。閾値回数は、管理システム100の管理者などにより、適宜の回数(例えば、3~5回など)に予め設定されればよい。
【0092】
接続要求の繰り返し送信回数が閾値回数を超えたと判断した場合(ステップS35:YES)、保冷庫10は、処理をステップS36に進め、そうでない場合(ステップS35:NO)、処理をステップS31に戻す。
【0093】
ステップS36において、保冷庫10は、管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始する。これにより、残量が比較的少ない保冷庫10が、管理装置20との通信接続を確立できなかったために準備動作を開始できない事態を抑制できる。
【0094】
ステップS36以降の保冷庫10の処理は、図7に示す第1の動作例における、ステップS22以降の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0095】
ステップS32で残量が閾値残量以上でないと判断された場合、ステップS37において、保冷庫10は、上記説明した閾値頻度(例えば、5分に1回)未満の頻度で、管理装置20に対して接続要求を繰り返し送信する。
【0096】
以上説明したように、図8に示す第2の動作例では、保冷庫10の残量(冷熱残量および充電残量)に基づいて、管理装置20への接続要求の繰り返し送信頻度を変化させている。これにより、残量が比較的少ない場合には、送信頻度を比較的高くすることで、管理装置20との通信接続を確立させることができる確率を高めることができる。また、閾値回数接続要求を送信しても管理装置20との通信接続が確立されなかった場合は、保冷庫10は管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始する。これにより、第1の動作例と同様に、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、保冷庫10の準備動作を行うことができず物流拠点において物品の配送に用いることができる保冷庫10の数が確保できない、などの不利益を抑制することができる。
【0097】
[第3の動作例]
図9に示す第3の動作例では、図6のフローチャートのステップS13でNOと判断された場合、すなわち、保冷庫10が管理装置20との通信接続を確立できなかった場合、第2の動作例と同様に、ステップS41において、保冷庫10は、自機における蓄冷材15の冷熱残量およびバッテリ17の充電残量を取得する。
【0098】
ステップS42において、保冷庫10は、ステップS41で取得した残量が、所定の第1閾値残量未満であるか否かを判断する。第1閾値残量は、例えば第2の動作例における閾値残量よりも大きい値であってもよい。
【0099】
残量が第1閾値残量未満であると判断した場合(ステップS42:YES)、保冷庫10は、処理をステップS43に進め、そうでない場合(ステップS42:NO)処理をステップS49に進める。
【0100】
ステップS43において、保冷庫10は、ステップS41で取得した残量が、所定の第2閾値残量以上であるか否かを判断する。所定の第2閾値残量は、第1閾値残量より小さい値であって、例えば第2の動作例における閾値残量と同じ値である。
【0101】
残量が第2閾値残量未満であると判断した場合(ステップS43:YES)、保冷庫10は、処理をステップS44に進め、そうでない場合(ステップS43:NO)処理をステップS48に進める。
【0102】
ステップS44において、保冷庫10は、所定の閾値頻度以上の頻度で、管理装置20に対して接続要求を繰り返し送信する。閾値頻度は、第2の動作例で説明したものと同様の値であればよい。
【0103】
ステップS45において、保冷庫10は、ステップS44の閾値頻度以上での接続要求の送信により、管理装置20との通信接続を確立できたか否かを判断する。管理装置20との通信接続を確立できたと判断した場合(ステップS45:YES)、処理は図7に示す第1の動作例のステップS24へ進む。以降の処理は、第1の動作例において管理装置20との通信接続を確立できたと判断された場合(ステップS23:YES)と同様であるため、説明を省略する。
【0104】
ステップS46において、保冷庫10は、閾値頻度以上での接続要求の送信回数が、所定の閾値回数を超えたか否かを判断する。閾値回数は、第2の動作例の閾値回数と同じ回数である。
【0105】
接続要求の繰り返し送信回数が閾値回数を超えたと判断した場合(ステップS46:YES)、保冷庫10は、処理をステップS47に進め、そうでない場合(ステップS46:NO)、処理をステップS41に戻す。
【0106】
ステップS47において、保冷庫10は、管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始する。これにより、残量が比較的少ない保冷庫10が、管理装置20との通信接続を確立できなかったために準備動作を開始できない事態を防止できる。
【0107】
ステップS46以降の保冷庫10の処理は、図7に示す第1の動作例における、ステップS22以降の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0108】
ステップS42で残量が第1閾値残量未満でないと判断された場合、ステップS49において、保冷庫10は、待機状態に移行した後、ステップS41に処理を戻す。
【0109】
以上説明したように、図9に示す第3の動作例では、保冷庫10の残量(冷熱残量および充電残量)が第1閾値残量より大きい場合には、保冷庫10は、待機状態に移行する。第3の動作例では、残量が充分ある保冷庫10については接続要求させないことにより、接続動作による消費電力を抑制できる。また、管理装置20に対して接続要求する保冷庫10の数を抑制することにより、残量が少ない保冷庫10と管理装置20との通信接続を確立しやすくすることができる。
【0110】
時間の経過に伴い、残量が第1閾値未満となった場合には、第2の動作例と同様に、残量に応じた頻度で管理装置20に対して接続要求を繰り返し送信する。これにより、残量が比較的少ない場合には、送信頻度を比較的高くすることで、管理装置20との通信接続を確立させることができる確率を高めることができる。また、残量が比較的少ない場合で、閾値回数接続要求を送信しても管理装置20との通信接続が確立されなかった場合は、保冷庫10は管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始する。これにより、第1の動作例と同様に、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、保冷庫10の準備動作を行うことができず、物流拠点において物品の配送に用いることができる保冷庫10の数が確保できない、などの不利益を抑制することができる。
【0111】
[管理装置20の動作例]
次に、図10を参照して、管理装置20の動作例について説明する。図10にて説明する動作例では、管理装置20は、新たに保冷庫10から接続要求を受信したことを契機として、既に接続が確立したすべての保冷庫10の動作状態を管理することができる。
【0112】
ステップS51において、管理装置20は、保冷庫10からの新たな接続要求を受信する。
【0113】
ステップS52において、管理装置20は、新たな接続要求を送信した保冷庫10との通信接続を確立させるための接続応答を返送する。
【0114】
ステップS53において、管理装置20は、新たな接続要求を送信した保冷庫10との通信接続を確立できたか否かを、当該保冷庫10から状態情報を受信できたか否かにより判断する。状態情報を受信できたと判断した場合(ステップS53:YES)、管理装置20は、処理をステップS54に進め、そうでない場合(ステップS53:NO)、処理を終了して新たな接続要求の受信を待ち受ける。
【0115】
ステップS54において、管理装置20は、ステップS53で受信した状態情報に基づいて、管理情報を更新する。ここでは、新たな接続要求を送信した保冷庫10を、新たに管理情報に登録するとともに、当該保冷庫10の動作状態を待機動作とする。
【0116】
ステップS55において、管理装置20は、更新した管理情報に基づいて、新たに指示(準備指示または待機指示)を送信すべき保冷庫10を決定する。
【0117】
新たに指示(準備指示または待機指示)を送信すべき保冷庫10を決定方法については、図5のステップS6にて説明したように、管理情報に基づいて待機動作状態の保冷庫10の優先順位を設定し、優先順位が高い保冷庫10に対して優先的に準備指示を送信すると決定する方法が採用されればよい。
【0118】
管理装置20は、管理情報に登録されている全保冷庫10の動作状態を参照して、全保冷庫10の動作状態を最適化するように、準備指示および待機指示を送信する保冷庫10を決定することが好適である。全保冷庫10の動作状態の最適化とは、以下の複数の条件をできるだけ多く満たすように動作状態を決定することである。
【0119】
第1条件は、物流拠点において準備動作状態となる保冷庫10の数が最大台数以下となることである。
【0120】
第2条件は、準備動作状態となる保冷庫10により消費される電力の合計が、物流拠点の電源の電力供給能力を超えないことである。
【0121】
第3条件は、物流拠点において残量が少ない保冷庫10の数が、できるだけ少なくなることである。
【0122】
このような第1から第3の条件が満たされることにより、物流拠点において、効率よく保冷庫10の準備動作を行うことができるとともに、物品の搬送に使用できない保冷庫10の数を最小限とすることができる。ここで例示した第1から第3の条件は一例であり、条件は、管理システム100の運用方針に基づいて、管理者などが自由に設定することができる。また、例えば機械学習モデルに複数の保冷庫10の最適化について学習処理を施し、管理装置20に搭載した学習済みモデルを用いて準備指示および待機指示を送信する保冷庫10を決定するようにしてもよい。
【0123】
ステップS56において、管理装置20は、ステップS55で決定した保冷庫10に対し、準備指示または待機指示を送信する。
【0124】
ステップS57において、管理装置20は、ステップS56で指示を送信した各保冷庫10から、指示によって変更された動作状態を示す状態情報を受信する。
【0125】
ステップS58において、管理装置20は、ステップS57で受信した状態情報に基づいて、管理情報を更新する。その後、管理装置20は、処理を終了し、新たな接続要求を待ち受ける。
【0126】
以上説明したように、図10に示す管理装置20の動作例では、管理装置20は、新たな接続要求の受信を契機として、既に管理装置20との通信接続が確立している全保冷庫10の動作状態を最適化することができる。
【0127】
<変形例>
以下では、上述した実施の形態で説明した動作例とは異なる、保冷庫10の動作例について説明する。
【0128】
上述した実施の形態において、保冷庫10は、図7から図9に示すように、管理装置20との通信接続を確立できなかった場合、管理装置20からの準備指示を待たずに準備動作を開始している。
【0129】
[第1の変形例]
以下説明する第1の変形例において、保冷庫10は、必ず管理装置20からの準備指示を待ってから準備動作を行う。図11は、第1の変形例における保冷庫10の動作を説明するためのフローチャートである。
【0130】
ステップS61において、それまで電源に接続されていなかった保冷庫10が、電源に接続されたことを検出する。
【0131】
ステップS62において、保冷庫10は、ステップS11の電源への接続を契機として、準備動作の接続要求を管理装置20に対して送信する。
【0132】
ステップS63において、保冷庫10は、準備動作の接続要求に対する管理装置20からの接続応答を受信し、管理装置20との通信接続を確立できたか否かを判断する。通信接続が確立できたと判断した場合(ステップS63:YES)、保冷庫10は、処理をステップS64に進め、そうでない場合(ステップS63:NO)、処理をステップS62に戻す。
【0133】
ステップS64において、保冷庫10は、管理装置20との通信接続が確立したことを契機として、自機の動作状態(ここでは待機状態)と残量とを示す状態情報を管理装置20に送信する。
【0134】
ステップS65において、保冷庫10は、管理装置20からの指示(準備指示または待機指示)を受信したか否かを判断する。指示を受信したと判断した場合(ステップS65:YES)、保冷庫10は、処理をステップS66に進め、そうでない場合(ステップS65:NO)、ステップS65の処理を繰り返す。
【0135】
ステップS66において、保冷庫10は、管理装置20からの指示に従って動作を開始する。すなわち、保冷庫10は、管理装置20から準備動作の準備指示を受信した場合、準備動作を開始する。また、保冷庫10は、管理装置20から待機指示を受信した場合、待機動作へ移行する。
【0136】
ステップS67において、保冷庫10は、ステップS66で動作を開始したことにより変更された自機の動作状態を示す新たな状態情報を、管理装置20に対して送信する。
【0137】
ステップS67の後、保冷庫10は、準備動作が完了した、すなわち、蓄冷材15およびバッテリ17の残量が満容量となった場合、準備動作を停止し、準備動作が完了したことを示す状態情報を管理装置20に対して送信する。また、ステップS67の後、待機状態の保冷庫10は、管理装置20から準備指示を受信するまで待機した後、準備動作を実行する。
【0138】
このような変形例においても、保冷庫10は、電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。このため、上述した実施の形態と同様に、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に防止できる。
【0139】
[第2の変形例]
以下説明する第2の変形例では、保冷庫10が図3に示す通信部19、制御部111の要求送信部112、および開始制御部113などを有していない場合について説明する。
【0140】
既に各地の物流拠点において、準備動作を行うことができる保冷庫が普及している。既に普及している保冷庫は、準備動作を実行する動作制御部を有するが、外部との通信機能や、動作制御部による準備動作をいつ開始するかを制御する開始制御部などを有しない。このように既に普及した保冷庫に対し、後付けの制御モジュールを追加することで、上述した実施の形態にて説明した保冷庫10と同様の動作を行わせることができるようになる。以下説明する第2の変形例では、図12に示すように、冷却装置31、ファン32、バッテリ33、およびこれらの動作を制御する動作制御部34を有する保冷庫30に、後付けの制御装置40を追加することで、上述した実施の形態で説明した保冷庫10と同様の機能を持たせることができる。
【0141】
図12は、第2の変形例における、保冷庫30に制御装置40を組み合わせて構成される保冷庫ユニット50の機能ブロック図である。
【0142】
図12に示すように、保冷庫30は、冷却装置31、ファン32、バッテリ33、およびこれらの動作を制御する動作制御部34を有する。この保冷庫30に、通信部41、要求送信部42、および開始制御部43を有する制御装置40を組み合わせることで、保冷庫ユニット50が構成される。制御装置40は、例えば、通信モジュールおよびCPUまたはマイクロコンピュータなどを搭載した電子基板であり、保冷庫30の内部(筐体の外壁面と貯蔵室との間など)に収納され、動作制御部34を構成するCPUまたはマイクロコンピュータと電気的に接続される。
【0143】
保冷庫ユニット50は、上述した実施の形態で説明した保冷庫10と同様の機能を有する。これにより、後付けの制御装置40を既に普及している保冷庫30に追加するとともに、保冷庫ユニット50と通信可能な管理装置を用意することで、上述した実施の形態の管理システム100と同様の効果を得ることができる。
【0144】
<作用、効果>
以上説明したように、本開示の実施の形態に係る保冷庫10は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫10であって、電源に接続されたことが検出された場合、外部の管理装置20に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部112と、管理装置20との通信確立後に管理装置20から準備動作を開始する準備指示を受信した場合、準備動作を開始する制御を行う開始制御部113と、を備える。
【0145】
このように、保冷庫10は、電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。このため、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合など、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に抑制できる。
【0146】
また、本開示の実施の形態に係る保冷庫10によれば、開始制御部113は、接続要求の送信後に通信接続を確立できなかった場合、準備動作を開始する制御を行う。
【0147】
これにより、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、保冷庫10の準備動作を行うことができず、物流拠点において物品の配送に用いることができる保冷庫10の数が確保できない、などの不利益を抑制することができる。
【0148】
また、本開示の実施の形態に係る保冷庫10によれば、開始制御部113は、通信接続を確立できないまま準備動作が完了した場合、準備動作を終了する制御を行う。
【0149】
これにより、保冷庫10が不要な電力を消費する事態を抑制できる。
【0150】
また、本開示の実施の形態に係る保冷庫10によれば、要求送信部112は、接続要求を送信する前に、管理装置20との通信接続が確立するまで、通信接続を確立させる接続要求を繰り返し送信する。
【0151】
これにより、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、接続を確立できる確率を高めることができる。
【0152】
また、本開示の実施の形態に係る保冷庫10によれば、開始制御部113は、準備動作として、蓄冷材15に冷熱を蓄える蓄冷動作、および、バッテリ17に充電する充電動作、の少なくともいずれかを制御し、要求送信部112は、蓄冷材15に蓄えられている冷熱の残量、および、バッテリ17の充電残量の少なくともいずれかの残量に基づいて設定された頻度で、管理装置20に対して通信接続を確立させる接続要求を繰り返し送信する。
【0153】
特に、要求送信部112は、残量が所定の閾値残量未満である場合、所定の閾値頻度以上の頻度で、接続要求を送信する。また、開始制御部113は、残量が所定の閾値残量以上であり、かつ要求送信部112が所定の閾値回数接続要求を送信しても通信接続が確立できなかった場合、準備動作を開始する制御を行う。
【0154】
このように、残量が比較的少ない場合には、送信頻度を比較的高くすることで、管理装置20との通信接続を確立させることができる確率を高めることができる。また、例えば電波状況が悪く保冷庫10と管理装置20との通信接続が確立できないような場合に、保冷庫10の準備動作を行うことができず物流拠点において物品の配送に用いることができる保冷庫10の数が確保できない、などの不利益を抑制することができる。
【0155】
一方で、要求送信部112は、残量が所定の第1閾値残量以上であり、かつ通信接続が確立できなかった場合、残量が所定の第2閾値未満となるまで新たな接続要求を送信しない。
【0156】
このように、残量が充分ある保冷庫10については接続要求させないことにより、接続動作による消費電力を抑制できる。また、管理装置20に対して接続要求する保冷庫10の数を抑制することにより、残量が少ない保冷庫10と管理装置20との通信接続を確立しやすくすることができる。
【0157】
本開示の実施の形態に係る管理システム100によれば、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫10と、保冷庫10を管理する管理装置20と、を備える管理システム100であって、保冷庫10は、電源に接続されたことが検出された場合、管理装置20に対して通信接続を確立させる接続要求を送信し、管理装置20は、接続要求に応じて準備動作を開始させる準備指示を送信し、保冷庫10は、管理装置20から準備指示を受信した場合、準備動作を開始する。
【0158】
このように、保冷庫10は、電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。このため、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合など、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に抑制できる。
【0159】
また、本開示の実施の形態に係る管理システム100によれば、管理装置20は、複数の保冷庫10のそれぞれの動作状態を示す管理情報を記憶しており、新たな接続要求を受信した場合、管理情報に基づいて、新たな接続要求を送信した保冷庫10に対し準備指示を送信するか否かを判断する。
【0160】
このように、新たな接続要求を送信した保冷庫10に送信する指示の内容を、それ以外の保冷庫10の管理情報に基づいて決定するので、管理システム100に含まれる複数の保冷庫10の動作状態を最適化できる。
【0161】
また、本開示の実施の形態に係る管理システム100によれば、保冷庫10は、自機の動作状態を示す状態情報を管理装置20に送信し、管理装置20は、状態情報に基づいて管理情報を更新する。
【0162】
これにより、管理装置20は、複数の保冷庫10の管理情報を最新の状態に維持することができる。
【0163】
また、本開示の実施の形態に係る管理システム100によれば、保冷庫10は、準備動作として、蓄冷材15に冷熱を蓄える蓄冷動作、および、バッテリ17に充電する充電動作の少なくともいずれかを行い、蓄冷材15に蓄えられている冷熱の残量、および、バッテリ17の充電残量の少なくともいずれかの残量を状態情報に含めて送信する。
【0164】
これにより、管理装置20は、複数の保冷庫10の動作状態を正確に管理できる。
【0165】
また、本開示の実施の形態に係る管理システム100によれば、管理装置20は、新たな接続要求を送信した保冷庫10の残量、および管理情報に基づいて、新たな接続要求を送信した保冷庫10に対し準備指示を送信するか否かを判断する。
【0166】
これにより、管理装置20は、新たな接続要求を送信した保冷庫10に対する動作指示を適切に決定できる。
【0167】
本開示の実施の形態に係る保冷庫制御方法は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫10を制御する制御方法であって、保冷庫10が電源に接続されたことが検知された場合、管理装置20に対して通信接続を確立させる接続要求を外部の管理装置20に対して送信し、管理装置20から準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、準備動作を開始する。
【0168】
このように、保冷庫10は、電源に接続されただけでは準備動作を開始せず、管理装置20から準備指示を受信して初めて準備動作を開始する。このため、物流拠点において多数の保冷庫10が同時に電源に接続された場合など、多数の保冷庫10に供給する電力が物流拠点の電源の電力供給能力を超えてしまう事態を好適に抑制できる。
【0169】
本開示の実施の形態に係る制御装置40は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫30に搭載される制御装置40であって、電源に接続されたことが検知された場合、外部の管理装置20に対して通信接続を確立させる接続要求を送信する要求送信部42と、管理装置20から準備動作を開始させる準備指示を受信した場合、準備動作を開始する制御を行う開始制御部43と、を備える。
【0170】
本開示の実施の形態に係る管理装置20は、物品を保冷するための準備動作を電源から供給される電力を用いて行う保冷庫10を管理する管理装置20であって、複数の保冷庫10のそれぞれの動作状態を示す管理情報を記憶する記憶部24と、複数の保冷庫10のいずれかから通信接続を確立させる接続要求を新たに受信した場合、管理情報に基づいて、接続要求を新たに送信した保冷庫10に対し準備動作を開始させる準備指示を送信するか否かを判断する判断部22と、を備える。
【産業上の利用可能性】
【0171】
本開示は、物品の搬送に使用する準備動作を行う保冷庫に好適である。
【符号の説明】
【0172】
100 管理システム
10 保冷庫
11 筐体
12 貯蔵室
13 扉
14 冷却装置
141 凝縮器
142 圧縮機
143 膨張弁
144 蒸発器
15 蓄冷材
16 ファン
17 バッテリ
18 電源プラグ
19 通信部
110 検出部
111 制御部
112 要求送信部
113 開始制御部
114 動作制御部
20 管理装置
21 通信部
22 判断部
23 指示生成部
24 記憶部
30 保冷庫
31 冷却装置
32 ファン
33 バッテリ
34 動作制御部
40 制御装置
41 通信部
42 要求送信部
43 開始制御部
50 保冷庫ユニット
図1
図2
図3
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図5
図6
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図10
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図12