(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173295
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】半導体記憶装置
(51)【国際特許分類】
H10B 43/30 20230101AFI20241205BHJP
H01L 27/00 20060101ALI20241205BHJP
H10B 43/20 20230101ALI20241205BHJP
H10B 43/23 20230101ALI20241205BHJP
H10B 43/27 20230101ALI20241205BHJP
H10B 43/50 20230101ALI20241205BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20241205BHJP
H01L 21/02 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H10B43/30
H01L27/00 301B
H01L27/00 301C
H01L27/00 301A
H10B43/20
H10B43/23
H10B43/27
H10B43/50
H01L29/78 371
H01L21/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091623
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】河村 大輔
【テーマコード(参考)】
5F083
5F101
【Fターム(参考)】
5F083EP17
5F083EP18
5F083EP22
5F083EP32
5F083EP33
5F083EP34
5F083EP42
5F083EP44
5F083EP76
5F083ER02
5F083ER03
5F083ER22
5F083GA10
5F083GA27
5F083JA03
5F083JA36
5F083JA37
5F083JA39
5F083KA01
5F083KA03
5F083KA05
5F083KA11
5F083LA12
5F083LA16
5F083LA18
5F083LA21
5F083MA01
5F083MA15
5F083PR03
5F083PR21
5F101BA42
5F101BA44
5F101BA46
5F101BB02
5F101BB08
5F101BC01
5F101BC02
5F101BC11
5F101BD16
5F101BD30
5F101BD34
5F101BH23
(57)【要約】
【課題】積層体の沈み込みを抑制すること。
【解決手段】実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層WLが1層ずつ互いに離間して積層されており、複数の導電層WLが階段状に加工された階段部SPを有する積層体LMと、積層体LMの積層方向と交差する第1の方向に少なくとも1列に並んで階段部SPに配置され、複数の導電層WLのそれぞれと接続される複数のコンタクトCCと、を備え、複数の柱状部HRs,HRmは、ピラーPLと異なる層構造を有する複数の第1の柱状部HRsと、ピラーPLと同一の層構造を有する複数の第2の柱状部HRmと、を含み、複数の第1の柱状部HRsは、複数のコンタクトCCの配列位置と少なくとも一部分が第1の方向で重なる列に配置され、複数の第2の柱状部HRmは、複数のコンタクトCCの配列位置から、積層方向と第1の方向とに交差する第2の方向に離れた列に配置される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の導電層が1層ずつ互いに離間して積層されており、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記積層体の積層方向と交差する第1の方向に少なくとも1列に並んで前記階段部に配置され、前記複数の導電層のそれぞれと接続される複数のコンタクトと、
前記階段部から外れた前記積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成するピラーと、
それぞれが前記第1の方向に延びる複数配列を形成して前記階段部に配置され、前記積層方向に延びる複数の柱状部と、を備え、
前記複数の柱状部は、
第1の絶縁層を含むとともに、前記ピラーと異なる層構造を有する複数の第1の柱状部と、
前記ピラーと同一の層構造を有する複数の第2の柱状部と、を含み、
前記複数の第1の柱状部の少なくとも一部を含む第1の群は、
前記複数配列のうち、前記複数のコンタクトの配列位置と少なくとも一部分が前記第1の方向で重なる列に配置され、
前記複数の第2の柱状部の少なくとも一部を含む第2の群は、
前記複数配列のうち、前記複数のコンタクトの配列位置から、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に離れた列に配置される、
半導体記憶装置。
【請求項2】
前記複数の第1の柱状部の他の少なくとも一部は、
前記複数配列のうち、前記複数のコンタクトの配列と前記第2の方向で隣接する列に配置される、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項3】
前記階段部を含む前記積層体内を前記積層方向と前記第1の方向とに延び、前記第2の方向に互いに離間して前記第2の方向の一方側から他方側へと並ぶ第1乃至第3の板状部を更に備え、
前記階段部は、
前記積層体の前記第1の方向の少なくとも一端部に配置され、
前記複数のコンタクトは、
前記第1及び第2の板状部間に位置する前記階段部の第1の領域と、前記第2及び第3の板状部間に位置する前記階段部の第2の領域とのうち、前記第1の領域内に選択的に配置され、
前記第1の群の前記第1の柱状部は、
前記第1の領域内で前記複数のコンタクトの配列位置と少なくとも一部分が前記第1の方向で重なる前記列に配置され、
前記複数の第2の柱状部の他の少なくとも一部は、
前記複数配列のうち、前記第1の群の前記第1の柱状部が配置された前記第1の領域内の前記列と対応する前記第2の領域内の列に配置されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項4】
前記階段部を含む前記積層体内を前記積層方向と前記第1の方向とに延び、前記第2の方向に前記積層体を分割する板状部を更に備え、
前記階段部は、
前記積層体の前記第1の方向の両端部の間の領域に配置され、前記板状部によって前記第2の方向に分割された第1の階段部と第2の階段部とを含み、
前記複数のコンタクトは、
前記第1の方向に少なくとも1列に並んで前記第1及び第2の階段部のそれぞれに配置され、
前記第1及び第2の群の前記第1及び第2の柱状部は、
前記第1及び第2の階段部のそれぞれで前記複数配列の少なくとも一部の列を形成して、前記第1及び第2の階段部のそれぞれに配置されている、
請求項1に記載の半導体記憶装置。
【請求項5】
複数の導電層が1層ずつ互いに離間して積層されており、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、
前記積層体の積層方向と交差する第1の方向に少なくとも1列に並んで前記階段部の一部領域に配置され、前記複数の導電層のそれぞれと接続される複数のコンタクトと、
前記階段部から外れた前記積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成するピラーと、
それぞれが前記第1の方向に延びる複数配列を形成して前記階段部に配置され、前記積層方向に延びる複数の柱状部と、
前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に互いに離間して、前記階段部を含む前記積層体内を前記積層方向と前記第1の方向とに延び、前記第2の方向に前記積層体を分割する第1及び第2の板状部と、を備え、
前記階段部は、
前記積層体の前記第1の方向の一端部に配置され、前記第1及び第2の板状部間に第1の領域を有する第1の階段部と、
前記積層体の前記第1の方向の他端部に配置され、前記第1及び第2の板状部間に第2の領域を有する第2の階段部と、を含み、
前記複数のコンタクトは、
前記第1の方向に向かい合う前記第1及び第2の領域のうち前記第1の領域に選択的に配置され、
前記複数の柱状部は、
第1の絶縁層を含むとともに、前記ピラーと異なる層構造を有する複数の第1の柱状部と、
前記ピラーと同一の層構造を有する複数の第2の柱状部と、を含み、
前記第2の領域には、
前記複数配列のうち、第1の複数列に前記複数の第2の柱状部の少なくとも一部が分散して配置され、
前記第1の領域には、
前記第1の複数列と前記第1の方向に向かい合う第2の複数列のうち、前記複数のコンタクトの配列位置と近接する少なくとも1列に前記複数の第1の柱状部の少なくとも一部が配置される、
半導体記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体記憶装置に関する。
【背景技術】
【0002】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置においては、複数の導電層が1層ずつ互いに離間して積層された積層体中にメモリセルを3次元に配置する。しかし、一部領域において、積層体が積層方向に沈み込み、積層体の上面に凹凸が生じてしまうことがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-034651号公報
【特許文献2】特開2022-047595号公報
【特許文献3】特開2011-060838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
1つの実施形態は、積層体の沈み込みを抑制することができる半導体記憶装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の半導体記憶装置は、複数の導電層が1層ずつ互いに離間して積層されており、前記複数の導電層が階段状に加工された階段部を有する積層体と、前記積層体の積層方向と交差する第1の方向に少なくとも1列に並んで前記階段部に配置され、前記複数の導電層のそれぞれと接続される複数のコンタクトと、前記階段部から外れた前記積層体内を前記積層方向に延び、前記複数の導電層の少なくとも一部との交差部にそれぞれメモリセルを形成するピラーと、それぞれが前記第1の方向に延びる複数配列を形成して前記階段部に配置され、前記積層方向に延びる複数の柱状部と、を備え、前記複数の柱状部は、第1の絶縁層を含むとともに、前記ピラーと異なる層構造を有する複数の第1の柱状部と、前記ピラーと同一の層構造を有する複数の第2の柱状部と、を含み、前記複数の第1の柱状部の少なくとも一部を含む第1の群は、前記複数配列のうち、前記複数のコンタクトの配列位置と少なくとも一部分が前記第1の方向で重なる列に配置され、前記複数の第2の柱状部の少なくとも一部を含む第2の群は、前記複数配列のうち、前記複数のコンタクトの配列位置から、前記積層方向と前記第1の方向とに交差する第2の方向に離れた列に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】実施形態1にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図。
【
図2】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図3】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図4】実施形態1にかかる半導体記憶装置の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図5】実施形態1にかかる柱状部の配置例を示す、階段部を覆う絶縁層中の任意の高さ位置におけるXY断面図。
【
図6】実施形態1にかかる柱状部の配置例を示す、階段部を覆う絶縁層中の任意の高さ位置におけるXY断面図。
【
図7】実施形態1にかかる半導体記憶装置において、柱状部を規定に基づき配置した場合の適用例の1つを示す模式図。
【
図8】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図9】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図10】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図11】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図12】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図13】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図14】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図15】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図16】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図17】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図18】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図19】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図20】実施形態1にかかる半導体記憶装置の製造方法の手順の一部を順に例示する図。
【
図21】実施形態1の変形例にかかる半導体記憶装置のレイアウトを示す模式的な平面図。
【
図22】実施形態2にかかる半導体記憶装置の概略の構成例を示す図。
【
図23】実施形態2にかかる半導体記憶装置が備える階段領域の構成の一例を示すY方向に沿う断面図。
【
図24】実施形態2にかかる半導体記憶装置において、柱状部を規定に基づき配置した場合の適用例の1つを示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下に、本発明の実施形態につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、下記の実施形態により、本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0008】
[実施形態1]
以下、図面を参照して実施形態1について詳細に説明する。
【0009】
(半導体記憶装置の構成例)
図1は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の概略の構成例を示す図である。より詳細には、
図1(a)は半導体記憶装置1のX方向に沿う断面図であり、
図1(b)は半導体記憶装置1のレイアウトを示す模式的な平面図である。
【0010】
ただし、
図1(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。また、
図1(a)においては、必ずしも同一断面に存在しない構成同士が示されているほか、一部の上層配線等が省略されている。
【0011】
また、本明細書において、X方向およびY方向は共に、ワード線WLの面の向きに沿う方向であり、X方向とY方向とは互いに直交する。また、ワード線WLの電気的な引き出し方向を第1の方向と呼ぶことがあり、この第1の方向はX方向に沿う方向である。また、第1の方向と交差する方向を第2の方向と呼ぶことがあり、この第2の方向はY方向に沿う方向である。ただし、半導体記憶装置1は製造誤差を含みうるため、第1の方向と第2の方向とは必ずしも直交しない。
【0012】
図1(a)に示すように、半導体記憶装置1は、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、1つ以上の選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、1つ以上の選択ゲート線SGD、及び周辺回路CBAが設けられた半導体基板SBを備える。
【0013】
電極膜EL上には、絶縁層60を介してソース線SLが配置されている。絶縁層60中には複数のプラグPGが配置され、プラグPGを介してソース線SLと電極膜ELとが電気的な導通を保っている。図示はしないが、電極膜ELと同層には、外部から半導体記憶装置1に電源および信号を供給するための電極パッドが設けられている。ソース線SL上には、選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、及び選択ゲート線SGDがこの順に積層され、積層体LMを構成している。
【0014】
図1(a)(b)に示すように、複数のワード線WLのX方向の中央部にはメモリ領域MRが配置され、複数のワード線WLのX方向の両端部には階段領域SRがそれぞれ配置されている。これらのメモリ領域MR及び階段領域SRは、複数のワード線WL等を貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の板状コンタクトLIによって複数の領域に分割されている。
【0015】
なお、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間に配置され、メモリ領域MR及び階段領域SRを含む領域をブロック領域BLKと呼ぶ。後述するように、メモリ領域MR内には不揮発にデータを保持する複数のメモリセルが含まれており、上記のブロック領域BLKは、これらのデータの消去単位となる。
【0016】
また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間には、選択ゲート線SGDを貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の分離層SHEが配置されている。複数の分離層SHEは、メモリ領域MRの全体に亘ってX方向に沿う方向に延びるとともに、X方向両端部の階段領域SRの一部にまで到達している。
【0017】
メモリ領域MRには、ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLの下端は、ソース線SLに達している。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置1は、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0018】
階段領域SRでは、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工されて終端している。このとき、メモリ領域MRからX方向に遠ざかるにつれて、テラス部分を構成する複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが上層側から下層側へと移っていくため、テラス部分の高さ位置がソース線SL側へと下がっていく。
【0019】
なお、上述の分離層SHEは、メモリ領域MRから階段領域SRの選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分まで延びている。これにより、1つのブロック領域BLK内において、選択ゲート線SGDは複数の領域に分離される。換言すれば、分離層SHEが複数のワード線WLより上層の部分を貫通することで、これらの上層部分が複数の選択ゲート線SGDのパターンに区画される。
【0020】
複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSによって構成される各段のテラス部分には、各層のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSに接続するコンタクトCCがそれぞれ配置される。ワード線WL及び選択ゲート線SGSにおいては、1層ごとに1つのコンタクトCCが接続される。選択ゲート線SGDにおいては、1層あたり、分離層SHEにより分離された区画ごとに1つのコンタクトCCが接続される。
【0021】
ここで、1つのブロック領域BLKにおいて、複数のコンタクトCCは、X方向両側の階段領域SRのうち一方側に配置される。また、X方向の片側で見ると、例えばブロック領域BLKの2つ分ごとに複数のコンタクトCCが配置される。
【0022】
すなわち、
図1(b)の例では、紙面最上部のブロック領域BLKにおいては、X方向両端部の階段領域SRのうち、例えば紙面左側の階段領域SRに複数のコンタクトCCが配置されている。また、上記のブロック領域BLKの1つ下、及び2つ下のブロック領域BLKにおいては、X方向両端部の階段領域SRのうち、紙面右側の階段領域SRに複数のコンタクトCCが配置されている。更に、紙面最下部のブロック領域BLKにおいては、再び紙面左側の階段領域SRに複数のコンタクトCCが配置されている。
【0023】
したがって、
図1(a)に示される、X方向両端部の階段領域SRのそれぞれのコンタクトCCは、異なるブロック領域BLKに属するものであり、実際には同一断面には位置していない。
【0024】
これらのコンタクトCCにより、多層に積層されるワード線WL等が個々に引き出される。より具体的には、これらのコンタクトCCからは、複数のワード線WL中央部のメモリ領域MRに含まれるメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0025】
複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGS、ピラーPL、並びにコンタクトCCは絶縁層50に覆われている。絶縁層50は、これらの構成の周囲にも広がっている。
【0026】
絶縁層50上方の半導体基板SBは、例えばシリコン基板等である。半導体基板SBの表面にはトランジスタTR及び配線等を含む周辺回路CBAが配置されている。コンタクトCCからメモリセルに印加される各種電圧は、これらのコンタクトCCと電気的に接続される周辺回路CBAにより制御される。これにより、周辺回路CBAはメモリセルの電気的な動作を制御する。
【0027】
周辺回路CBAは絶縁層40で覆われており、この絶縁層40と、複数のワード線WL等を覆う絶縁層50とが接合されることにより、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGS、ピラーPL、並びにコンタクトCC等の構成と、周辺回路CBAとを備える半導体記憶装置1が構成される。
【0028】
次に、
図2~
図4を用いて、半導体記憶装置1の詳細の構成例について説明する。
図2~
図4は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。
【0029】
より詳細には、
図2(a)は、半導体記憶装置1のメモリ領域MRにおける断面図である。
図2(a)においては、絶縁層60下方および後述する絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0030】
図2(b)は、選択ゲート線SGD,SGSの高さ位置におけるピラーPLの拡大断面図である。
図2(c)は、ワード線WLの高さ位置におけるピラーPLの拡大断面図である。
図2(d)は、ワード線WLもしくは選択ゲート線SGD,SGSの高さ位置における柱状部HRmの拡大断面図である。
【0031】
図3(a)~
図3(c)は階段領域SRのうち複数のコンタクトCCが配置される部分における断面図であって、
図3(a)は選択ゲート線SGDが階段状となった部分の断面であり、
図3(b)は任意のワード線WLが階段状となった部分の断面であり、
図3(c)は選択ゲート線SGSが階段状となった部分の断面である。
図3(a)~
図3(c)においては、絶縁層60下方および絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0032】
図4(a)~
図4(c)は階段領域SRのうち複数のコンタクトCCが配置されない部分における断面図であって、
図4(a)は選択ゲート線SGDが階段状となった部分の断面であり、
図4(b)は任意のワード線WLが階段状となった部分の断面であり、
図4(c)は選択ゲート線SGSが階段状となった部分の断面である。
図4(a)~
図4(c)においては、絶縁層60下方及び絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0033】
なお、本明細書においては、階段領域SRにおける各段のワード線WLのテラス面が向いた方向を半導体記憶装置1における上方向と規定する。
【0034】
図2(a)に示すように、ソース線SLは、絶縁層60上に、例えば下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbがこの順に積層された多層構造を有する。なお、中間ソース線BSLは、積層体LMのメモリ領域MR下方に配置される。
【0035】
下部ソース線DSLa、中間ソース線BSL、及び上部ソース線DSLbは、例えばポリシリコン層等である。そのうち、少なくとも中間ソース線BSLは、不純物が拡散された導電性のポリシリコン層等であってよい。
【0036】
なお、ソース線SLは、積層体LM外側の上述の絶縁層50を、電極膜ELから周辺回路CBAへと延びる図示しない貫通コンタクトによって、電極膜ELを介して周辺回路CBAに接続されている。
【0037】
ソース線SL上には積層体LMが配置される。積層体LMは、複数のワード線WLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを備える。
【0038】
積層体LMaは、ソース線SLの上方に配置されている。積層体LMaの最下層のワード線WLの更に下層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGS0,SGS1が、積層体LMaの上層側からこの順に配置される。積層体LMbは、積層体LMa上に配置されている。積層体LMbの最上層のワード線WLの更に上層には、絶縁層OLを介して複数の選択ゲート線SGD0,SGD1が、積層体LMbの上層側からこの順に配置される。
【0039】
ただし、積層体LMにおけるこれらのワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSの積層数は任意である。ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSは、例えばタングステン層またはモリブデン層等である。絶縁層OLは例えば酸化シリコン層等である。
【0040】
積層体LMの上面は絶縁層52で覆われている。絶縁層52は絶縁層53で覆われている。絶縁層52,53は、後述する絶縁層51とともに、それぞれ
図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0041】
上述のように、積層体LMは、複数の板状コンタクトLIによってY方向に分割されている。すなわち、板状コンタクトLIのそれぞれは、互いにY方向に並んで、積層体LMの積層方向およびX方向に沿う方向に延びる。
【0042】
このように、板状コンタクトLIは、積層体LMのX方向一端部から他端部に亘って積層体LM内を連続的に延びている。また、板状コンタクトLIは、積層体LM及び上部ソース線DSLbを貫通し、メモリ領域MRでは中間ソース線BSLに到達している。
【0043】
また、板状コンタクトLIは、例えば上端部から下端部に向かってY方向の幅が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、板状コンタクトLIは、例えば上端部と下端部との間の所定位置においてY方向の幅が最大となるボーイング形状を有する。
【0044】
板状コンタクトLIのそれぞれは、絶縁層54と導電層24とを含む。絶縁層54は例えば酸化シリコン層等である。導電層24は例えばタングステン層または導電性のポリシリコン層等である。
【0045】
絶縁層54は、板状コンタクトLIのY方向に向かい合う側壁を覆う。導電層24は絶縁層54の内側に充填され、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続されている。ただし、板状コンタクトLIに代えて、絶縁層が充填された板状部材が積層体LMを貫通するとともにX方向に沿う方向に延びることにより、積層体LMをY方向に分割していてもよい。
【0046】
また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間には、積層体LMbの上層部分を貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の分離層SHEが配置されている。これらの分離層SHEは、選択ゲート線SGD0,SGD1を貫通し、選択ゲート線SGD1直下の絶縁層OLに到達する酸化シリコン層等の絶縁層56である。
【0047】
換言すれば、積層体LMbの上層部分を貫通するこれらの分離層SHEが、板状コンタクトLI間でメモリ領域MRと階段領域SRの一部分とをX方向に延びることで、積層体LMbの上層部分が上述の選択ゲート線SGD0,SGD1に区画される。
【0048】
メモリ領域MRには、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のピラーPLが分散して配置されている。
【0049】
複数のピラーPLは、積層体LMの積層方向から見て例えば千鳥状の配置を取る。個々のピラーPLは、積層体LMの層方向に沿う方向、つまりXY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型(オーバル型)等の形状を有する。
【0050】
また、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、ピラーPLは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0051】
複数のピラーPLのそれぞれは、積層体LM内を積層方向に延びるメモリ層ME、積層体LM内を貫通して中間ソース線BSLと接続するチャネル層CN、チャネル層CN上面を覆うキャップ層CP、及びピラーPLの芯材となるコア層CRを有する。
【0052】
図2(b)(c)に示すように、メモリ層MEは、ピラーPLの外周側から、ブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNがこの順に積層された多層構造を有する。より詳細には、メモリ層MEは、中間ソース線BSLの深さ位置を除くピラーPLの側面に配置されている。また、メモリ層MEは、下部ソース線DSLa深さまで到達するピラーPLの底面にも配置されている。
【0053】
チャネル層CNはメモリ層MEの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間ソース線BSLを貫通して、下部ソース線DSLa深さに到達している。より詳細には、チャネル層CNは、メモリ層MEを介してピラーPLの側面および底面に配置されている。ただし、チャネル層CNの一部は、側面で中間ソース線BSLと接触しており、これにより、中間ソース線BSLを含むソース線SLに電気的に接続される。チャネル層CNの更に内側にはコア層CRが充填されている。
【0054】
また、複数のピラーPLのそれぞれは、上端部にキャップ層CPを有する。キャップ層CPは、少なくともチャネル層CNの上端部を覆うようにピラーPL上端部に配置され、チャネル層CNと接続されている。また、キャップ層CPは、絶縁層52中に配置されるプラグCHを介して、絶縁層53中に配置されるビット線BLと接続される。ビット線BLは、ワード線WLの引き出し方向と交差するように、Y方向に沿う方向に積層体LMの上方を延びる。
【0055】
なお、
図2(a)においては、6つのピラーPLのうち、3つに分離された選択ゲート線SGDをそれぞれ貫通し、
図2(a)に示すビット線BLに電気的に接続される3つのピラーPLにのみプラグCHが接続されている。それ以外のピラーPLは、
図2(a)に示す断面とは異なる位置で、
図2(a)に示すビット線BLと並行してY方向に沿う方向に延びる他のビット線BLに、
図2(a)には不図示のプラグCHを介して接続される。
【0056】
メモリ層MEのブロック絶縁層BK及びトンネル絶縁層TN、並びにコア層CRは例えば酸化シリコン層等である。メモリ層MEの電荷蓄積層CTは例えば窒化シリコン層等である。チャネル層CN及びキャップ層CPは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。
【0057】
図2(c)に示すように、以上のような構成によって、ピラーPL側面の個々のワード線WLと対向する部分には、それぞれメモリセルMCが形成される。ワード線WLから所定の電圧が印加されることにより、メモリセルMCに対してデータの書き込み及び読み出しが行われる。
【0058】
また、
図2(b)に示すように、ピラーPLの側面がワード線WLより上層の選択ゲート線SGD0,SGD1と対向する部分には、選択ゲートSTDがそれぞれ形成される。また、ピラーPLの側面がワード線WLより下層の選択ゲート線SGS0,SGS1と対向する部分には選択ゲートSTSがそれぞれ形成される。
【0059】
選択ゲート線SGD,SGSから所定の電圧がそれぞれ印加されることにより、選択ゲートSTD,STSがオンまたはオフして、その選択ゲートSTD,STSが属するピラーPLのメモリセルMCを選択状態または非選択状態とすることができる。
【0060】
図3及び
図4に示すように、階段領域SRは、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSが階段状に加工された階段部SP,SPdを有する。
【0061】
図3に示す階段部SPは、複数のブロック領域BLKに分割された階段領域SRのうち、コンタクトCCが配置され、ワード線WL等の引き出し機能を有する部分である。
図4に示す階段部SPdは、複数のブロック領域BLKに分割された階段領域SRのうち、コンタクトCCが配置されず、ワード線WL等の引き出し機能を有さない部分であって、ダミーの構成である。
【0062】
すなわち、積層体LMのX方向片側で見たときに、階段部SPと階段部SPdとは、Y方向に並ぶブロック領域BLKの2つおきに交互に配置される。
【0063】
これらの階段部SP,SPdは、絶縁層51で覆われている。絶縁層51は、例えば積層体LMの最上層の高さ位置に到達し、絶縁層52,53は絶縁層51の上面をも覆っている。上述のように、絶縁層51もまた、
図1の絶縁層50の一部分を構成する。
【0064】
また、階段領域SRにおいて、ソース線SLは、中間ソース線BSLに替えて、上部ソース線DSLbと下部ソース線DSLaとの間に介在される中間絶縁層SCOを備えている。中間絶縁層SCOは例えば酸化シリコン層等である。
【0065】
このため、板状コンタクトLIは、階段領域SRにおいては、絶縁層51、積層体LM、及び上部ソース線DSLbを貫通して、中間絶縁層SCOに到達している。
【0066】
また、階段領域SRには、複数の柱状部HRm,HRsが全体に亘って、また、複数のコンタクトCCが部分的に配置されている。後述するように、これらの柱状部HRm,HRsは、犠牲層と絶縁層とが積層された積層体から積層体LMを形成する際、これらの構成を支持する役割を持ち、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。
【0067】
図3に示すように、個々のコンタクトCCは、絶縁層51を貫通して、階段部SPの各段を構成する絶縁層OL直下のワード線WLまたは選択ゲート線SGD,SGSに接続されている。
【0068】
個々のコンタクトCCは、例えば上端部から下端部に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状を有する。あるいは、コンタクトCCは、例えば上端部と下端部との間の所定位置において径および断面積が最大となるボーイング形状を有する。
【0069】
また、コンタクトCCは、コンタクトCCの外周を覆う絶縁層55と、絶縁層55の内側に充填されるタングステン層または銅層等の導電層25とを有する。導電層25は、絶縁層52中に配置されるプラグV0を介して、絶縁層53中に配置される上層配線MXと接続される。この上層配線MXは、上述の周辺回路CBA(
図1参照)と電気的に接続されている。
【0070】
このような構成により、各層のワード線WL、及びワード線WLの上下層の選択ゲート線SGD,SGSを、積層体LMのX方向一端側または他端側から電気的に引き出すことができる。すなわち、上記構成により、周辺回路CBAから、上層配線MX、コンタクトCC、及びワード線WL等を介してメモリセルMCに所定の電圧を印加して、メモリセルMCを記憶素子として動作させることができる。
【0071】
図3(a)は、選択ゲート線SGDと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPを示す。
図3(a)に示す階段部SPには、選択ゲート線SGD1に接続されるコンタクトCCのほか、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数の柱状部HRmが分散して配置されている。
【0072】
選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分には、1層の選択ゲート線SGDに対し、分離層SHEで分離された選択ゲート線SGDのそれぞれの区画に接続される複数のコンタクトCCが配置される。
【0073】
複数の柱状部HRmは、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ、積層体LMの積層方向から見て例えばグリッド状または千鳥状の配置を取る。個々の柱状部HRmは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0074】
また、柱状部HRmは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRmは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0075】
複数の柱状部HRmのそれぞれは、上述のピラーPLと同じ層構造を有する。しかし、複数の柱状部HRmは、全体としてフローティング状態となっており、上述のように、半導体記憶装置1において電気的な機能を有してはいない。
【0076】
また、柱状部HRmが、上記のように、板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉を回避しつつ配置されることで、ピラーPLと同様の層構造を有する柱状部HRmが、板状コンタクトLI及びコンタクトCCと接触することによる影響が抑制される。
【0077】
ピラーPLと同じ層構造として、柱状部HRmは、積層体LM内を積層方向に延びるダミー層MEd,CNd,CRdを有する。
【0078】
図2(d)に示すように、ダミー層MEdは、柱状部HRmの外周側から、ダミー層BKd,CTd,TNdがこの順に積層された多層構造を有する。つまり、ダミー層MEdは上述のピラーPLのメモリ層MEに相当する。また、ダミー層MEdに含まれるダミー層BKd,CTd,TNdは、それぞれピラーPLのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TNに相当する。
【0079】
ただし、ダミー層MEdは、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至る柱状部HRmの側面に途切れることなく配置される。ダミー層MEdは柱状部HRmの下端部にも配置されている。
【0080】
ダミー層CNdは、ダミー層MEdの内側で、積層体LM、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して下部ソース線DSLa深さに到達している。ダミー層CNdは、上述のピラーPLのチャネル層CNに相当する。
【0081】
ただし、上部ソース線DSLbから下部ソース線DSLaに至るダミー層CNdの側面にはダミー層MEdが配置され、更に、上部ソース線DSLbと下部ソース線DSLaの間には中間絶縁層SCOが配置されている。このため、ダミー層CNdは、ソース線SLと電気的に導通していない。ダミー層CNdの更に内側にはダミー層CRdが充填されている。ダミー層CRdは、上述のピラーPLのコア層CRに相当する。
【0082】
また、複数の柱状部HRmのそれぞれは、上端部にダミー層CPdを有する。ダミー層CPdは、少なくともダミー層CNdの上端部を覆うように柱状部HRm上端部に配置され、ダミー層CNdと接続されている。ダミー層CPdは、上述のピラーPLのキャップ層CPに相当する。ただし、ダミー層CPdには上述のプラグCH及びビット線BL等は接続されない。ダミー層CPd自体が柱状部HRmに含まれていなくともよい。
【0083】
柱状部HRmに含まれる各層は、対応するピラーPLの各層と同種の材料を含む。つまり、ダミー層MEdのダミー層BKd,TNd、並びにダミー層CRdは、例えば酸化シリコン層等である。ダミー層CTdは例えば窒化シリコン層等である。ダミー層CNd,CPdは、例えばポリシリコン層またはアモルファスシリコン層等の半導体層である。ここで、ダミー層CNd等に含まれる半導体層は、例えば他のダミー層MEd,CRdに含まれる材料よりもヤング率が高く、硬くて変形し難い性質を有する。
【0084】
図3(b)は、ワード線WLと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPを示す。
図3(b)に示す階段部SPには、テラス部分となるワード線WLに接続されるコンタクトCCのほか、絶縁層51、積層体LMb,LMa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する柱状部HRm,HRsが配置されている。
【0085】
柱状部HRsは、コンタクトCCの近傍に配置される。また、柱状部HRsは、板状コンタクトLIのY方向両側に、板状コンタクトLIに隣接して配置されている。個々の柱状部HRsは、XY平面に沿う方向の断面形状として、例えば円形、楕円形、または小判型等の形状を有する。
【0086】
また、柱状部HRsは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、上層側から下層側に向かって径および断面積が小さくなるテーパ形状をそれぞれ有する。あるいは、柱状部HRsは、積層体LMaを貫通する部分と、積層体LMbを貫通する部分とにおいて、例えば上層側と下層側との間の所定位置で径および断面積が最大となるボーイング形状をそれぞれ有する。
【0087】
柱状部HRsは全体が、酸化シリコン層等の絶縁層57の単体である。つまり、柱状部HRsは、実質的に単一材料の絶縁層57から構成されている。ここで、実質的に単一材料であるとは、1つの柱状部HRs内、あるいは、複数の柱状部HRs間で、これらの柱状部HRsの構成成分の元素比が異なる場合、並びに含有される不純物の種類および量が異なる場合を包含し得るほか、単一材料の柱状部HRs中にボイドを含むことを許容する。
【0088】
柱状部HRsは、このように絶縁層57の単体であるため、他の構成に対して電気的な影響を及ぼし得ず、隣接する板状コンタクトLI及びコンタクトCCとの干渉が許容されている。
【0089】
複数の柱状部HRmは、複数のワード線WL等が階段状に加工された下層側の階段部SPにおいて、コンタクトCCの近傍と板状コンタクトLIに隣接する位置とを除く、階段部SPの全体に亘って分散して配置されている。階段部SPの下層側において、柱状部HRmに替えて柱状部HRsが、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置に配置されるのは以下の理由による。
【0090】
板状コンタクトLIにおいて、絶縁層51中に配置される部位は、積層体LM中に配置される部位よりもテーパ形状またはボーイング形状の度合いが大きくなる傾向にある。つまり、板状コンタクトLIがテーパ形状である場合、絶縁層51中において、板状コンタクトLIの上端部の幅と下端部の幅との差が大きくなりやすい。板状コンタクトLIがボーイング形状である場合、絶縁層51中において、板状コンタクトLIの最大幅と、板状コンタクトLIの上下端の幅との差が大きくなりやすい。
【0091】
また、積層体LMの積層方向に絶縁層51内を延びる距離が長いほど、板状コンタクトLIのテーパ形状またはボーイング形状の度合いがいっそう大きくなりやすい。つまり、階段領域SRにおいて、積層体LMの上層側の各層が階段状に加工された領域よりも、積層体LMの下層側の各層が階段状に加工された領域において、板状コンタクトLIのテーパ形状またはボーイング形状がより顕著になりやすい。
【0092】
上記の点は、コンタクトCCにおいても同様である。積層体LMの上層側の各層に接続されるコンタクトCCよりも、積層体LMの下層側の各層に接続されるコンタクトCCの方が、積層体LMの積層方向に絶縁層51内を延びる距離が長い。つまり、積層体LMの下層側の各層に接続されるコンタクトCCのテーパ形状またはボーイング形状は、より顕著になりやすい。
【0093】
したがって、コンタクトCCの最大径および板状コンタクトLIの最大幅が増大する傾向にあり、接触リスクもまた増大する階段部SPの下層側において、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置に、柱状部HRmに替えて柱状部HRsを配置する。これにより、これらのコンタクトCC及び板状コンタクトLIとの接触をある程度許容しつつ、柱状部HRsを密に配置することができる。
【0094】
図3(c)は、選択ゲート線SGSと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPを示す。選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分においても、階段部SPは、上述の
図3(b)と同様の構成を有する。すなわち、
図3(c)に示す階段部SPには、選択ゲート線SGS1に接続されるコンタクトCCのほか、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置に配置される柱状部HRsと、これらのコンタクトCC及び板状コンタクトLIから離れて配置される柱状部HRmとが配置されている。
【0095】
図4に示すように、階段部SPdの各部も、複数のコンタクトCCが配置されないことを除き、上述の
図3(a)~
図3(c)に示す階段部SPと略同様に構成されている。
【0096】
図4(a)は、選択ゲート線SGDと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPdを示す。選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分において、階段部SPdには、上述の
図3(a)と同様、複数の柱状部HRmが階段部SPdの全体に亘って分散して配置されている。
【0097】
図4(b)は、ワード線WLと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPdを示す。
図4(c)は、選択ゲート線SGSと絶縁層OLとが1対ずつ階段状に加工された部分の階段部SPdを示す。
【0098】
ワード線WLが階段状に加工された部分と、選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分とにおいて、階段部SPdには、上述の
図3(b)(c)と同様、複数の柱状部HRsが、板状コンタクトLIにY方向に隣接して配置されている。
【0099】
一方、階段部SPdにはコンタクトCCが配置されないため、複数の柱状部HRmは、板状コンタクトLIに隣接する位置を除く、階段部SPdの全体に亘って分散して配置されている。
【0100】
なお、積層体LMの同じ高さ位置において、柱状部HRm,HRsのXY平面に沿う方向の断面積は、例えばピラーPLのXY平面に沿う方向の断面積よりも大きい。また、複数の柱状部HRm間のピッチ及び複数の柱状部HRs間のピッチは、例えば複数のピラーPL間のピッチよりも大きく、積層体LMにおけるワード線WLの単位面積あたりの柱状部HRm,HRsの配置密度は、ワード線WLの単位面積あたりのピラーPLの配置密度よりも低い。
【0101】
このように、例えば柱状部HRm,HRsに比べて、ピラーPLの断面積を小さく構成し、狭ピッチとすることで、所定サイズの積層体LM内に高密度に多数のメモリセルMCを形成することができ、半導体記憶装置1の記憶容量を高めることができる。一方、柱状部HRm,HRsは、専ら積層体LMを支持するために用いられるので、例えばピラーPLのように断面積が小さく狭ピッチの精密な構成としないことで、製造負荷を減らすことができる。
【0102】
次に、
図5及び
図6を用いて、柱状部HRm,HRsの配置例について、より詳細に説明する。
図5及び
図6は、実施形態1にかかる柱状部HRm,HRsの配置例を示す、階段部SPを覆う絶縁層51中の任意の高さ位置におけるXY断面図である。
【0103】
図5(a)及び
図5(b)は、幾つかのワード線WLに接続されるコンタクトCCの近傍における柱状部HRm,HRsの配置例の幾つかを示している。上述のように、柱状部HRm,HRsは例えば千鳥状またはグリッド状に配置される。
図5(a)は千鳥状配置を取る柱状部HRm,HRsの一例であり、
図5(b)はグリッド状配置を取る柱状部HRm,HRsの一例である。
【0104】
図5(a)及び
図5(b)に示すように、複数のコンタクトCCは、上下層のワード線WLのテラス部分がX方向に並んで配置されることに応じて、例えばX方向に沿う方向に少なくとも1列に並んで配置されている。
【0105】
このような構成において、柱状部HRm,HRsのそれぞれの配置を決定する際には、例えばX方向に沿う方向に延びる複数列の列ごとに、柱状部HRm,HRsのいずれを配置するかが選択される。この場合、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、コンタクトCCに近接する箇所が含まれる列には、コンタクトCCとの干渉がある程度許容される柱状部HRsが配置される。また、それ以外の列には、コンタクトCCとの干渉回避を前提とする柱状部HRmが配置される。
【0106】
図5(a)に示す例では、個々のコンタクトCCの周囲には、コンタクトCCを取り囲むように6つの柱状部HRsが配置されている。つまり、コンタクトCCをX方向両側から挟む1対の柱状部HRs、及びコンタクトCCをY方向両側から挟む2対の柱状部HRsのそれぞれの配置箇所は、コンタクトCCに近接しており、コンタクトCCとの接触リスクが高い箇所である。
【0107】
これをX方向に沿う方向に延びる柱状部HRm,HRsの複数の配列Rc1~Rc7ごとに見ると、上記に挙げたコンタクトCCに近接する6つの柱状部HRsは、配列Rc3~Rc5のいずれかに含まれる。
【0108】
配列Rc3~Rc5のうち、配列Rc4は、コンタクトCCの配列位置とX方向で全体が重なっている。このため、配列Rc4には、コンタクトCCのX方向両側の、コンタクトCCとの接触リスクが高い箇所が含まれる。
【0109】
この配列Rc4のように、例えばコンタクトCCの配列位置とX方向で全体が重なるなど、列中にコンタクトCCに近接する箇所がある場合、その列には柱状部HRsが配置される。
【0110】
また、配列Rc3~Rc5のうち、コンタクトCCからY方向に離間して配置される配列Rc3,Rc5は、コンタクトCCの配列位置とY方向で隣接する。このため、コンタクトCCの配列位置とY方向で隣接する配列Rc3,Rc5には、コンタクトCCのY方向両側の、コンタクトCCとの接触リスクが高い箇所が含まれる。
【0111】
ここで、コンタクトCCの配列位置とY方向で隣接するとは、Y方向においてコンタクトCCの配列との間に他の列が介在されることなく配置されている列である。すなわち、配列Rc3,Rc5とコンタクトCCの配列との間には、柱状部HRm,HRsの他の列が介在されていない。
【0112】
これらの配列Rc3,Rc5のように、例えばコンタクトCCの配列位置とY方向で隣接するなど、列中にコンタクトCCに近接する箇所がある場合、その列には柱状部HRsが配置される。
【0113】
図5(b)に示す例では、個々のコンタクトCCの周囲には、コンタクトCCを取り囲むように4つの柱状部HRsが配置されている。つまり、コンタクトCCをX方向両側から挟む2対の柱状部HRsのそれぞれの配置箇所は、コンタクトCCに近接しており、コンタクトCCとの接触リスクが高い箇所である。
【0114】
これをX方向に沿う方向に延びる柱状部HRm,HRsの複数の配列Rg1~Rg6で見ると、上記に挙げたコンタクトCCに近接する4つの柱状部HRsは、配列Rg3,Rg4のいずれかに含まれる。配列Rg3,Rg4は、コンタクトCCの配列位置とX方向で一部分が重なっている。
【0115】
つまり、配列Rg3に属する柱状部HRsのY方向のコンタクトCC側の端部は、コンタクトCCのY方向の配列Rg3側の端部よりもコンタクトCCのY方向中心寄りに位置する。同様に、配列Rg4に属する柱状部HRsのY方向のコンタクトCC側の端部は、コンタクトCCのY方向の配列Rg4側の端部よりもコンタクトCCのY方向中心寄りに位置する。
【0116】
この場合、配列Rg3,Rg4にはともに、コンタクトCCのX方向両側の、コンタクトCCとの接触リスクが高い箇所が含まれる。
【0117】
これらの配列Rg3,Rg4のように、例えばコンタクトCCの配列位置とX方向で一部分が重なるなど、列中にコンタクトCCに近接する箇所がある場合、その列には柱状部HRsが配置される。したがって、配列Rg3,Rg4には柱状部HRsが配置されることとなる。
【0118】
以上、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、コンタクトCCの配列位置と少なくとも一部分がX方向で重なる列、及びコンタクトCCの配列位置とY方向で隣接する列には、コンタクトCCに近接する箇所が含まれることとなるため、柱状部HRsを配置する。
【0119】
これに対して、柱状部HRmは、コンタクトCCの配列位置からY方向に離れた列に配置される。すなわち、柱状部HRmは、コンタクトCCの配列位置とX方向で重なる部分がなく、コンタクトCCの配列位置とY方向で隣接してもいない列に配置される。このような列には、コンタクトCCに近接する箇所が含まれないからである。
【0120】
図5(a)に示すように、柱状部HRm,HRsの複数の配列Rc1~Rc7のうち、配列Rc2,Rc6は、コンタクトCCの配列位置とX方向で重なる部分を有さない。また、配列Rc2,Rc6とコンタクトCCの配列との間には、それぞれ配列Rc3,Rc5が介在されており、配列Rc2,Rc6は、コンタクトCCの配列とY方向に隣接してもいない。したがって、配列Rc2,Rc6にはともに柱状部HRmが配置されることとなる。
【0121】
また、配列Rc2,Rc6よりも更にコンタクトCCから離れた配列Rc1,Rc7も、当然のことながら、コンタクトCCに対する配置が上述の定義からは外れている。したがって、これらの配列Rc1,Rc7にも柱状部HRmが配置されることとなる。
【0122】
図5(b)に示すように、柱状部HRm,HRsの複数の配列Rg1~Rg6のうち、配列Rg2,Rg5は、コンタクトCCの配列位置とX方向で重なる部分を有さない。また、配列Rg2,Rg5とコンタクトCCの配列との間には、それぞれ配列Rg3,Rg4が介在されており、配列Rg2,Rg5は、コンタクトCCの配列とY方向に隣接してもいない。したがって、配列Rg2,Rg5にはともに柱状部HRmが配置されることとなる。
【0123】
また、配列Rg2,Rg5よりも更にコンタクトCCから離れた配列Rg1,Rg6も、当然のことながら、コンタクトCCに対する配置が上述の定義からは外れている。したがって、これらの配列Rg1,Rg6にも柱状部HRmが配置されることとなる。
【0124】
以上のように、例えばコンタクトCCの周囲のごく限られた箇所にのみ柱状部HRsを配置するのではなく、複数列に配置される柱状部HRs,HRmの列ごとに、柱状部HRs,HRmのいずれかを配置することで、コンタクトCC周囲の階段部SPの構成がシンプルになる。
【0125】
図6(a)~
図6(c)は、板状コンタクトLIの近傍における柱状部HRm,HRsの配置例の幾つかを示している。
図6(a)は千鳥状配置を取る柱状部HRm,HRsの一例であり、
図6(b)は千鳥状配置を取る柱状部HRm,HRsの他の例であり、
図6(c)はグリッド状配置を取る柱状部HRm,HRsの一例である。
【0126】
板状コンタクトLIの近傍において、柱状部HRm,HRsのそれぞれの配置を決定する際には、例えばX方向に沿う方向に延びる複数列の列ごとに、板状コンタクトLIに近接するか否かが考慮される。板状コンタクトLIとY方向で隣接する列には、板状コンタクトLIに近接する列であるとして、柱状部HRsを配置する。
【0127】
図6(a)に示すように、X方向に沿う方向に延びる柱状部HRm,HRsの複数の配列Rc11~Rc16のうち、板状コンタクトLIからY方向に離間して配置される配列Rc13,Rc14と、板状コンタクトLIとの間には、柱状部HRm,HRsの他の列が介在されていない。つまり、配列Rc13,Rc14は、板状コンタクトLIとY方向で隣接しており、配列Rc13,Rc14には柱状部HRsが配置されることとなる。
【0128】
図6(b)に示す例では、千鳥状配置を取る柱状部HRm,HRsが、より高密度に配置されている。これにより、X方向に沿う方向に延びる柱状部HRm,HRsの複数の配列Rs11~Rs20のうち、互いに隣り合う配列Rs11,Rs12同士、配列Rs12,Rs13同士、配列Rs13,Rs14同士、配列Rs14,Rs15同士、配列Rs16,Rs17同士、配列Rs17,Rs18同士、配列Rs18,Rs19同士、及び配列Rs19,Rs20同士は、一部分が互いにX方向で重なり合っている。
【0129】
図6(b)に示すように、柱状部HRm,HRsの複数の配列Rs11~Rs20のうち、配列Rs15,Rs16はY方向に最も板状コンタクトLI寄りに配置されており、これらの配列Rs15,Rs16と板状コンタクトLIとの間には、柱状部HRm,HRsの他の列が介在されていない。つまり、配列Rs15,Rs16は板状コンタクトLIに隣接しており、配列Rs15,Rs16には柱状部HRsが配置されることとなる。
【0130】
また、配列Rs15,Rs16よりも板状コンタクトLIからY方向に離間して配置される配列Rs14,Rs17について見てみると、上述のように、配列Rs14,Rs15同士および配列Rs16,Rs17同士はX方向に互いに重なり合っている。このため、配列Rs14,Rs17と板状コンタクトLIとの間に、配列Rs15,Rs16が介在しているとは言えず、配列Rs14,Rs17もまた、板状コンタクトLIに隣接する列であり、配列Rs14,Rs17にも柱状部HRsが配置されることとなる。
【0131】
このように、柱状部HRm,HRsの配置密度が高い場合等には、板状コンタクトLIのY方向片側の複数列を板状コンタクトLIと隣接する列であるものとして、これらの複数列に柱状部HRsを配置してもよい。
【0132】
図6(c)に示すように、X方向に沿う方向に延びる柱状部HRm,HRsの複数の配列Rg11~Rg14のうち、配列Rg12,Rg13と、板状コンタクトLIとの間には、柱状部HRm,HRsの他の列が介在されていない。つまり、配列Rg12,Rg13は、板状コンタクトLIとY方向で隣接しており、配列Rg12,Rg13には柱状部HRsが配置されることとなる。
【0133】
これに対して、柱状部HRmは、コンタクトCCに加えて、板状コンタクトLIからもY方向に離れた列に配置される。すなわち、柱状部HRmは、板状コンタクトLIとY方向で隣接していない列に配置される。
【0134】
以上、
図6に示す例は、コンタクトCCが配置されない階段部SPdにも適用される。すなわち、階段部SPdにおいても、板状コンタクトLIにY方向片側で隣接する1列または複数列に柱状部HRsが配置されることとなる。また、階段部SPdにおいて、柱状部HRmは、板状コンタクトLIにY方向で隣接する位置を除く複数列に分散して配置されることとなる。
【0135】
なお、上述の
図5及び
図6に示した柱状部HRm,HRsの配列Rc1~Rc7,Rc11~Rc16,Rs11~Rs20,Rg1~Rg6,Rg11~Rg14等の各列に付した番号は、これらを識別するためのものであって、柱状部HRm,HRsの列の個数を示すものではない。
【0136】
上記のような規定にしたがって、柱状部HRm,HRsを配置した場合の適用例を
図7に示す。
【0137】
図7は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1において、柱状部HRm,HRsを規定に基づき配置した場合の適用例の1つを示す模式図である。より詳細には、
図7は、選択ゲート線SGDの高さ位置におけるXY断面図であり、積層体LMのX方向片側の階段領域SRの一部と、メモリ領域MRの一部とを含む。
【0138】
図7に示すように、積層体LMのX方向片側の階段領域SRには、板状コンタクトLIで分割されたブロック領域BLKの2つ分ごとに、コンタクトCCが接続される階段部SPと、コンタクトCCが接続されない階段部SPdとが交互に配置されている。
【0139】
これらの階段部SP,SPdにおいて、メモリ領域MRから延びる分離層SHEによって分離されている領域は、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分に相当する。分離層SHEのX方向の端部から先の領域は、複数のワード線WLが階段状に加工された部分である。
【0140】
図7における階段部SPを見ると、分離層SHEで分離された個々の選択ゲート線SGDの区画には2つずつコンタクトCCが配置されている。つまり、
図7の例では、積層体LMは2層の選択ゲート線SGDを有する。
【0141】
また、階段部SPにおけるワード線WLが階段状に加工された部分には、板状コンタクトLIで分割された個々のブロック領域BLKごとに、X方向に沿う方向に並ぶコンタクトCCが3列に配置されている。
図7の例では、上述したように、メモリ領域MRから遠ざかるにつれて、階段部SPのテラス面を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGSが下層側へと移り変わっていくほか、Y方向に向かってもレイヤが移り変わるよう階段部SPが構成されているためである。
【0142】
このように、テラス面を構成するワード線WL等のレイヤが、X方向のみならずY方向にも変化する階段構造を複数列階段などとも呼ぶ。つまり、Y方向に3段階にレイヤが変化する上記の階段構造は3列階段である。複数列階段においては、X方向およびY方向の少なくとも1方向において、階段の1段分が複数レイヤのワード線WL等を含んで構成されうる。
【0143】
また、複数列階段であるか否かに依らず、階段部SPは、メモリ領域MRから離れるほど各段が下降していく階段部分に対向するように、メモリ領域MRに向かって各段が下降していく階段部分を含みうる。メモリ領域MRから離れる方向に下降していく階段部分には、上述のようにコンタクトCCが接続されるのに対し、メモリ領域MRに向かって下降していく階段部分のワード線WL等は、例えばフローティング状態となっており、コンタクトCCは接続されない。
【0144】
すなわち、X方向の同じ位置に並ぶテラス面を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGSのレイヤを、Y方向に相互に異ならせて階段部SP,SPdを構成してもよい。
図7は、ワード線WL及び選択ゲート線SGSの積層方向に連続する3つのレイヤのテラス面が、X方向の同じ位置にY方向に並ぶ3列階段の例を示している。このような構成を有する
図7に示す例では、各レイヤのワード線WL及び選択ゲート線SGSに接続するため、コンタクトCCもX方向の同じ位置に3つずつY方向に並んで配置されている。
【0145】
また、
図7の例では、複数のピラー及び複数の柱状部HRm,HRsがいずれも千鳥状の配置を取っている。1つのブロック領域BLK内において、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLの配列は20列である。
【0146】
一方、柱状部HRm,HRsの径およびピッチは、ピラーPLの径およびピッチより大きく構成されている。このため、1つのブロック領域BLK内において、X方向に沿う方向に並ぶ柱状部HRm,HRsは、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分では13列に配置され、ワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分では11列に配置されている。
【0147】
このような構成の階段部SP,SPdにおいて、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分では、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置を含む1つのブロック領域BLK内の全体に亘って、柱状部HRmが複数列に分散して配置される。
【0148】
また、階段部SPのワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分では、コンタクトCCに近接し、あるいは、板状コンタクトLIに隣接する位置に柱状部HRsが配置される結果、1つのブロック領域BLK内の全体に亘って、柱状部HRsが複数列に分散して配置されている。
【0149】
すなわち、X方向に沿う方向に延びる3列に配置されるコンタクトCCの1つの列において、コンタクトCCの配列位置と全体がX方向で重なる1列と、コンタクトCCの配列位置とY方向両側で隣接する2列とは、コンタクトCCに近接する箇所が含まれる列であり、これらの列には柱状部HRsが配置される。
【0150】
このように、コンタクトCCの1つの列に対し、その周辺の3列に柱状部HRsが配置されることとなる。これらに加え、ブロック領域BLKのY方向両側の板状コンタクトLIに隣接する列にそれぞれ柱状部HRsが配置される。この結果、ブロック領域BLK内の全体に柱状部HRsが配置されることとなる。
【0151】
また、階段部SPdのワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分では、ブロック領域BLKのY方向両側の板状コンタクトLIに隣接する1列にそれぞれ柱状部HRsが配置される。また、それらの列の内側の9列には柱状部HRmが配置される。
【0152】
(半導体記憶装置の製造方法)
次に、
図8~
図20を用いて、実施形態1の半導体記憶装置1の製造方法について説明する。
図8~
図20は、実施形態1にかかる半導体記憶装置1の製造方法の手順の一部を順に例示する図である。
【0153】
まずは、
図8に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの下層部分である積層体LMsa、及び積層体LMsaに各種構成が形成される様子を示す。
【0154】
図8は、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0155】
図8(a)に示すように、支持基板SS上に、下部ソース線DSLa、中間犠牲層SCNもしくは中間絶縁層SCO、及び上部ソース線DSLbをこの順に形成する。
【0156】
支持基板SSとしては、シリコン基板等の半導体基板、セラミック基板等の絶縁基板、または導電性基板等を使用することができる。支持基板SSの上面側には、上述の絶縁層60(
図2等参照)が形成されていてもよい。
【0157】
中間犠牲層SCNは、後にメモリ領域MRとなる支持基板SS上の領域に形成し、中間絶縁層SCOは、後に階段領域SRとなる支持基板SS上の領域に形成する。中間犠牲層SCNは、例えば窒化シリコン層等であり、後にポリシリコン層等に置き換えられて中間ソース線BSLとなる層である。中間絶縁層SCOは、上述の通り、例えば酸化シリコン層等である。
【0158】
また、上部ソース線DSLb上に、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsaを形成する。絶縁層NLは、例えば窒化シリコン層等であり、後に導電材料に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGSとなる犠牲層として機能する。
【0159】
図8(b)に示すように、積層体LMsaの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工する。このような加工は、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体LMsaの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで行うことができる。
【0160】
すなわち、積層体LMsaの上面にマスクパターンを形成し、例えば露出部分の絶縁層NLと絶縁層OLとを1層ずつエッチング除去する。また、酸素プラズマ等による処理で、マスクパターンの端部を後退させて積層体LMsaの上面を新たに露出させ、絶縁層NLと絶縁層OLとを更に1層ずつエッチング除去する。このような処理を複数回繰り返すことで上記階段状の形状が形成される。
【0161】
図8(c)に示すように、階段部分を覆い、積層体LMsaの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。絶縁層51は、積層体LMsaの外側領域にも形成される。
【0162】
図8(d)に示すように、積層体LMsaを積層方向に延びる複数のメモリホールMHa及び複数のホールHLaを例えば一括形成する。メモリホールMHaは、後にピラーPLの下部構造となる部分である。ホールHLaは、後に柱状部HRm,HRsのいずれかの下部構造となる部分である。
【0163】
複数のメモリホールMHaは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、積層体LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。複数のホールHLaは、後に階段領域SRとなる領域に配置され、絶縁層51、積層体LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達している。
【0164】
図8(e)に示すように、これらのメモリホールMHa及びホールHLa内をアモルファスシリコン層またはCVD-カーボン層等の犠牲層26で充填する。
【0165】
これにより、後にメモリ領域MRとなる領域には、複数のメモリホールMHaに犠牲層26が充填されたピラーPLcが形成される。また、後に階段領域SRとなる領域には、複数のホールHLaに犠牲層26が充填された柱状部HRcが形成される。
【0166】
次に、
図9及び
図10に、ワード線WLが形成される前の積層体LMの上層部分である積層体LMsbが形成され、さらに、積層体LMsbに各種構成が形成される様子を示す。
【0167】
図9及び
図10は、上述の
図8と同様、後にメモリ領域MR及び階段領域SRとなる領域のX方向に沿う断面図である。
【0168】
図9(a)に示すように、積層体LMsa上と階段部分の絶縁層51上とを覆い、複数の絶縁層NLと複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMsbを形成する。積層体LMsbの犠牲層NLは、後に導電層に置き換えられてワード線WLまたは選択ゲート線SGDとなる。
【0169】
図9(b)に示すように、積層体LMsbの一部領域において、絶縁層NLと絶縁層OLとを階段状に加工する。このような加工は、上述の
図8(b)に示した処理と同様、フォトレジスト層等のマスクパターンのスリミングと、積層体LMsbの絶縁層NL及び絶縁層OLのエッチングとを複数回繰り返すことで行うことができる。
【0170】
このとき、積層体LMsaに形成済みの階段部分の最上段と、積層体LMsbに形成した階段部分の最下段とを近接させて、これらが積層体LMsaの下層側から積層体LMsbの上層側へと連続的に連なるように形成する。また、積層体LMsaの階段部分を覆う絶縁層51上の積層体LMsbが除去されることにより、積層体LMsaの階段部分に形成された柱状部HRcの上端部が絶縁層51の上面に露出する。
【0171】
なお、柱状部HRc内に充填した犠牲層26がCVD-カーボン層等である場合、上記のマスクパターンのスリミング時に犠牲層26までもが除去されることのないよう、柱状部HRcの上面を予め酸化シリコン層等で保護しておく。
【0172】
図9(c)に示すように、柱状部HRcが露出した絶縁層51の上面と、積層体LMbsに新たに形成された階段部分とを覆い、積層体LMsbの上面の高さまで達する絶縁層51を形成する。絶縁層51は、積層体LMsa,LMsbの外側領域にも形成される。
【0173】
図10(a)に示すように、積層体LMsbの高さ位置を積層方向に延びる複数のメモリホールMHb及び複数のホールHLbを例えば一括形成する。メモリホールMHbは、後にピラーPLの上部構造となる部分である。ホールHLbは、後に柱状部HRm,HRsのいずれかの上部構造となる部分である。
【0174】
複数のメモリホールMHbは、後にメモリ領域MRとなる領域に配置され、積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成されたピラーPLcの上端部にそれぞれ到達している。
【0175】
複数のホールHLbの一部は、積層体LMsa,LMsbの階段部分と積層方向に重なる位置に配置され、絶縁層51及び積層体LMsbを貫通して、積層体LMsaに形成された柱状部HRcの上端部にそれぞれ到達している。
【0176】
図10(b)に示すように、メモリホールMHb及びホールHLb底のピラーPLc及び柱状部HRcから犠牲層26を除去する。
【0177】
これにより、複数のメモリホールMHb底に、それぞれメモリホールMHaが開口し、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間犠牲層SCNを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のメモリホールMHが形成される。また、複数のホールHLb底に、それぞれホールHLaが開口し、絶縁層51、積層体LMsb,LMsa、上部ソース線DSLb、及び中間絶縁層SCOを貫通して、下部ソース線DSLaに到達する複数のホールHLが形成される。
【0178】
なお、ピラーPLc及び柱状部HRc内に充填した犠牲層26がCVD-カーボン層等である場合には、上述の
図10(a)の処理に用いたマスクパターン等を、酸素プラズマを用いたアッシング等により除去する際に、これらのピラーPLc及び柱状部HRcからも一括して犠牲層26が除去されうる。
【0179】
次に、
図11及び
図12に、柱状部HRsが形成される様子を示す。
図11及び
図12の(a)は、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図であり、より詳細には、上述の
図2(a)に示す断面に相当する断面図である。
図11及び
図12の(b)は、後に階段領域SRの階段部SPとなる領域のY方向に沿う断面図であり、より詳細には、
図3(b)に示す断面に相当する断面図である。
【0180】
図11(a)に示すように、複数のメモリホールMHをフォトレジスト層等のマスク層71で覆う。すなわち、後にメモリ領域MRとなる領域の全体が覆われる。また、図示はしないが、後に階段部SPとなる領域であって、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分となる部分も全体が、面状のマスク層71で覆われる。
【0181】
図11(b)に示すように、後に階段部SPとなる領域であって、ワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分となる部分では、複数のホールHLのうち、後にコンタクトCCに近接する箇所を含むこととなる列に属するホールHL及び板状コンタクトLIに隣接することとなる列に属するホールHLを残し、他の列に属するホールHLをマスク層71で覆う。
【0182】
より詳細には、
図11(b)に示す6列のホールHLのうち、紙面左右方向の両端部に配置された列に属するホールHLは、後に板状コンタクトLIが形成されることとなる部分に隣接している。また、紙面中央の2列に属するホールHLは、後にコンタクトCCが形成されることとなる部分に近接している。
【0183】
したがって、
図11(b)に示す例では、それ以外の紙面左右方向の左から2列目、及び右から2列目のホールHLをマスク層71で覆う。すなわち、
図11(b)に示すマスク層71は、紙面の奥行方向にストリップ状に延びている。
【0184】
上述のように、半導体記憶装置1においては、柱状部HRs,HRmの複数列のうち所定の列がコンタクトCCに近接する箇所を含む場合、その列の全体に亘って柱状部HRsを配置する。これにより、例えばコンタクトCCの周囲のごく限られた箇所にのみ柱状部HRsを配置する場合と比較して、マスク層71を高精密に形成しなくとも、例えばストリップ状に配置することができ、柱状部HRsの形成プロセスの難度を低下させることができる。
【0185】
図12(b)に示すように、マスク層71から露出した左右両端部および紙面中央部のホールHL内に、酸化シリコン層等の絶縁層57を充填して柱状部HRsを形成する。
【0186】
その後、酸素プラズマ等を用いてマスク層71が除去される。これにより、複数のメモリホールMH、及び残ったホールHLが再び開口する。
【0187】
なお、上記の処理においては、図示はしないが、後に階段部SPdとなる領域であって、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分となる部分全体も、面状のマスク層71で覆われ、複数のホールHLをそのまま残存させる。一方、後に階段部SPdとなる領域であって、ワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分となる部分では、複数のホールHLのうち、後に板状コンタクトLIに隣接することとなる列を除く他の列に属するホールHLをマスク層71で覆って残存させる。
【0188】
次に、
図13~
図18を用いて、メモリホールMH及び残ったホールHL内に多層構造が形成される様子を示す。
【0189】
図13~
図18の(a)は、上述の
図11及び
図12の(a)と同様、後にメモリ領域MRとなる領域のY方向に沿う断面図であり、
図13~
図18の(b)は、上述の
図11及び
図12の(b)と同様、後に階段領域SRの階段部SPとなる領域のY方向に沿う断面図である。
【0190】
図13(a)及び
図14(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、メモリホールMH内に、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbをこの順に形成する。これにより、メモリホールMHの側面、及び下部ソース線DSLaが露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが配置され、メモリホールMHの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0191】
多層絶縁層MEbは、後にメモリ層MEとなる多層構造の絶縁層である。半導体層CNbは、後にチャネル層CNとなる層である。絶縁層CRbは、後にコア層CRとなる酸化シリコン層等である。
【0192】
多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbは、積層体LMsbの上面にもこの順に形成される。
【0193】
図13(b)及び
図14(b)に示すように、後に階段部SPとなる領域においても、
図13(a)及び
図14(a)の処理により、ホールHLの側面、及び下部ソース線DSLaが露出する底面に、多層絶縁層MEb及び半導体層CNbが形成され、ホールHLの中心部に絶縁層CRbが充填される。
【0194】
後に階段部SPとなる領域においても、多層絶縁層MEb、半導体層CNb、及び絶縁層CRbは、絶縁層51の上面にもこの順に形成される。
【0195】
図15(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbを順次エッチバックして、積層体LMsb上面から除去するとともに、メモリホールMH上端部に窪みDNを形成する。
【0196】
これにより、メモリホールMH内に、外周側から順に、メモリ層ME、チャネル層CN、及びコア層CRが形成される。
【0197】
図15(b)に示すように、後に階段部SPとなる領域においても、
図15(a)の処理により、絶縁層51の上面から絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbが順次除去されるとともに、ホールHL上端部に窪みDNdが形成される。
【0198】
これにより、ホールHL内には、外周側から順に、ダミー層MEd,CNd,CRdが形成される。
【0199】
なお、絶縁層CRb、半導体層CNb、及び多層絶縁層MEbのエッチバックの際、多層絶縁層MEb及び絶縁層CRbと同種の絶縁層57等が充填された柱状部HRsの上面を図示しないマスク層等によって保護しておいてもよい
【0200】
図16(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、メモリホールMH上端部の窪みDNに半導体層CPbを形成する。半導体層CPbは、後にキャップ層CPとなる層である。半導体層CPbは、積層体LMsbの上面にも形成される。
【0201】
図16(b)に示すように、後に階段部SPとなる領域においても、
図16(a)の処理により、ホールHL上端部の窪みDNdに半導体層CPbが充填され、絶縁層51の上面が半導体層CPbに覆われる。
【0202】
図17(a)及び
図18(a)に示すように、後にメモリ領域MRとなる領域において、CMP等によって、積層体LMsb上面の半導体層CPbを除去し、メモリホールMHの上端部にキャップ層CPを形成する。また、CMP等によって薄くなった積層体LMsb最上層の絶縁層OLを積み増す。
【0203】
これにより、キャップ層CPが最上層の絶縁層OLに埋没したピラーPLが形成される。ただし、この時点で、メモリ層MEはピラーPLの側壁全体を覆っており、チャネル層CNの側面の一部がメモリ層MEから露出した状態となっていない。
【0204】
図17(b)及び
図18(b)に示すように、後に階段部SPとなる領域においても、
図17(a)及び
図18(a)の処理により、ダミー層CPdが上端部に形成されて、柱状部HRmが形成される。
【0205】
なお、柱状部HRmは、後述するリプレース処理中に支持構造となるダミーの構成として形成されるものであって、半導体記憶装置1の機能には寄与しない。したがって、柱状部HRmはダミー層CPdを有していなくともよく、柱状部HRmに対し
図16(b)の処理を行わなくともよい。この場合、ホールHL上端部の窪みDNdは、例えば絶縁層等で埋め戻すことができる。
【0206】
また、上記の
図13~
図18の処理は、後に階段部SPdとなる領域の複数のホールHLに対しても行われる。これにより、後に階段部SPdとなる領域においても、後に板状コンタクトLiと隣接することとなる列を除く複数列に属する柱状部HRmが形成される。
【0207】
次に、
図19及び
図20を用いて、ソース線SL及びワード線WLが形成される様子を示す。
【0208】
【0209】
図19(a)に示すように、積層体LMsb,LMsa、及び上部ソース線DSLbを貫通し、中間犠牲層SCNに到達するスリットSTを形成する。また、スリットSTのY方向に向かい合う側壁に絶縁層54sを形成する。
【0210】
スリットSTは、テーパ形状またはボーイング形状のY方向縦断面を有し、積層体LMsa,LMsb内をX方向に沿う方向にも延びている。したがって、図示しない階段領域SRにおいては、スリットSTの下端部は中間絶縁層SCOに到達する。
【0211】
このとき、複数の絶縁層NL,OLが交互に積層された積層体LMsa,LMsbと、酸化シリコン層等の単体である絶縁層51との硬度の違いから、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いは、絶縁層51で覆われた階段領域SRにおいて、より顕著となる。
【0212】
また、階段領域SRの上層側から下層側の階段部分へと向かうほど、スリットSTが、積層体LMsa,LMsbの積層方向に絶縁層51内を延びる距離が増す。したがって、上層側から下層側の階段部分へと向かうほど、スリットSTのテーパ形状またはボーイング形状の度合いが高まっていく。
【0213】
図19(b)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTを介して、例えば熱リン酸等の中間犠牲層SCNの除去液を流入させて、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLbに挟まれた中間犠牲層SCNを除去する。
【0214】
これにより、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にギャップ層GPsが形成される。また、ピラーPL外周部のメモリ層MEの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0215】
このとき、スリットSTの側壁は絶縁層54sで保護されているので、積層体LMsa,LMsb内の絶縁層NLまでもが除去されてしまうことが抑制される。また、図示しない階段領域SRにおいて、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間には中間犠牲層SCNがなく、ギャップ層GPsは形成されない。
【0216】
図19(c)に示すように、スリットSTを介してギャップ層GPs内に適宜、薬液を流入させて、ギャップ層GPs内に露出したメモリ層MEのブロック絶縁層BK、電荷蓄積層CT、及びトンネル絶縁層TN(
図2(b)(c)参照)を順次、除去する。これにより、ピラーPLの一部側壁からメモリ層MEが除去され、内側のチャネル層CNの一部がギャップ層GPs内に露出する。
【0217】
図19(d)に示すように、絶縁層54sで側壁を保護されたスリットSTから、例えばアモルファスシリコン等の原料ガスを注入し、ギャップ層GPsをアモルファスシリコン等で充填する。また、支持基板SSを加熱処理して、ギャップ層GPs内に充填されたアモルファスシリコンを多結晶化してポリシリコン等を含む中間ソース線BSLを形成する。
【0218】
これにより、ピラーPLのチャネル層CNの一部が、中間ソース線BSLを介して側面でソース線SLと接続される。
【0219】
このとき、図示しない階段領域SRにおいては、下部ソース線DSLaと上部ソース線DSLbとの間にはギャップ層GPsが形成されていない。このため、例えば柱状部HRmのダミー層MEdが除去されることはなく、また、中間ソース線BSLの形成も行われない。
【0220】
ダミーの構成である柱状部HRmは、ソース線SLと電気的な導通を有さないことが好ましい。上述のように、メモリ領域MRを除く階段領域SRでは、下部ソース線DSLa及び上部ソース線DSLb間に、中間犠牲層SCNに替えて中間絶縁層SCOを配置しておくことで、柱状部HRmがソース線SLと導通することが抑制される。
【0221】
図20(a)に示すように、スリットST側壁の絶縁層54sを一旦除去する。
【0222】
図20(b)に示すように、スリットSTから積層体LMsa,LMsb内部へと、例えば熱リン酸等の絶縁層NLの除去液を流入させて、積層体LMsa,LMsbの絶縁層NLを除去する。これにより、絶縁層OL間の絶縁層NLが除去された複数のギャップ層GPを有する積層体LMga,LMgbが形成される。
【0223】
複数のギャップ層GPを含む積層体LMga,LMgbは脆弱な構造となっている。後にメモリ領域MRとなる領域では、複数のピラーPLがこのような脆弱な積層体LMga,LMgbを支持する。一方、後に階段領域SRとなる領域においては、複数の柱状部HRm,HRsがこれらの積層体LMga,LMgbを支持する。
【0224】
このようなピラーPL及び柱状部HRm,HRsの支持構造によって、残った絶縁層OLが撓んだり、積層体LMga,LMgbが歪んだり倒壊したりすることが抑制される。
【0225】
図20(c)に示すように、スリットSTから積層体LMga,LMgb内部へと、例えばタングステンまたはモリブデン等の導電材の原料ガスを注入し、積層体LMga,LMgbのギャップ層GPを導電材で充填して複数のワード線WL等を形成する。これにより、複数のワード線WL等と複数の絶縁層OLとが1層ずつ交互に積層された積層体LMa,LMbを含む積層体LMが形成される。
【0226】
なお、積層体LMbの最上層および最上層から2番目の導電層は、後にこれらを貫通する分離層SHEが形成されることで、複数の選択ゲート線SGDのパターンに区画される。
【0227】
以上のように、中間犠牲層SCNから中間ソース線BSLを形成する処理、及び絶縁層NLからワード線WLを形成する処理をリプレース処理とも呼ぶ。
【0228】
その後、スリットSTの側壁に絶縁層54を形成し、絶縁層54内に導電層24を充填して、板状コンタクトLIを形成する。ただし、スリットST内に導電層24を形成することなく絶縁層54等を充填し、板状部材を形成してもよい。
【0229】
また、積層体LMbの最上層の導電層を含む1つまたは複数の導電層を貫通する溝を形成し、溝内に絶縁層56を充填することで、これらの導電層を選択ゲート線SGDのパターンに区画する分離層SHEを形成する。
【0230】
また、絶縁層51を貫通し、階段部SPの各段を構成するワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ到達する複数のコンタクトホールを一括して形成し、コンタクトホール内に絶縁層55及び導電層25を形成する。これにより、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSにそれぞれ接続されるコンタクトCCが形成される。
【0231】
続いて、積層体LMの上面および階段領域SRを覆う絶縁層51の上面に絶縁層52を形成し、絶縁層52を貫通して、コンタクトCCに接続されるプラグV0を形成する。また、絶縁層52を貫通して、ピラーPLに接続されるプラグCHを形成する。更に、絶縁層52上に絶縁層53を形成し、プラグV0,CHに接続される上層配線MX及びビット線BL等を形成する。また、絶縁層53の上面には周辺回路CBAと電気的な導通を取るための電極パッド等が形成される。
【0232】
なお、例えばデュアルダマシン法等を用いることにより、プラグV0,CH、上層配線MX、及びビット線BL等を一括して形成してもよい。
【0233】
また、積層体LMが形成された支持基板SSとは別体の半導体基板SB上に、周辺回路CBAを形成し、絶縁層40で覆う。絶縁層40中には、周辺回路CBAを絶縁層40の表面に引き出すコンタクト、ビア、配線等を形成し、絶縁層40の上面に形成された電極パッド等と接続される。
【0234】
続いて、支持基板SSと半導体基板SBとを、それぞれが有する絶縁層50,40で貼り合わせ、絶縁層50,40中の電極パッドを接続する。その後、支持基板SSを除去してソース線SLを露出させ、プラグPGが形成された絶縁層60を介して、電極膜ELが接続される。
【0235】
以上により、実施形態1の半導体記憶装置1が製造される。
【0236】
3次元不揮発性メモリ等の半導体記憶装置の製造工程において、積層体中の犠牲層を導電層に置き換えて、導電層と絶縁層とが積層された積層体を形成することがある。この場合、リプレース処理中に複数のギャップ層を含む脆弱な積層体を支持するため、例えば階段領域に柱状部が配置される。柱状部は、例えば積層体を貫通するホール内に酸化シリコン層等の絶縁層が充填された構造を有する。
【0237】
しかしながら、柱状部を絶縁層等から構成した場合、その後の製造工程における熱的な処理によって、柱状部を構成する絶縁層が収縮することがある。この場合、複数の柱状部の収縮により、これらの柱状部が配置された領域全体が、ピラーにより支持されるメモリ領域等の他の領域に比べて積層体の積層方向に沈み込んでしまうことがある。つまり、製造途中の半導体記憶装置の上面が凹凸を有することとなってしまう。
【0238】
これにより、例えばリソグラフィ技術を用いた処理等において、沈み込みが起きた領域で照準が合わずに正常な露光がされないことがある。また、例えば積層体上方の絶縁層に形成されたホールまたは溝等を埋め込んだ導電材をホールまたは溝外の上面から研磨除去する処理等において、沈み込みが起きた領域に導電材の研磨残りが発生してしまったりすることがある。
【0239】
そこで、例えば酸化シリコン層等よりもヤング率が高くて硬い材料で柱状部を構成することが考えられる。この場合、例えば柱状部の層構造をヤング率の高いチャネル層等を含むピラーの層構造と統一すれば、柱状部およびピラーを一括形成することができ簡便である。
【0240】
しかしながら、柱状部をピラーと同じ層構造とした場合には、スリットまたはコンタクトホールと柱状部との接触による複数のワード線間の耐圧低下の課題が生じる。
【0241】
具体的には、コンタクトホールの形成条件は窒化層に対する選択比が低く、柱状部に電荷蓄積層に相当する窒化層等が含まれていると、コンタクトホールが接触することで柱状部の窒化層が除去されてしまう懸念がある。その後、コンタクトホール内に導電層が充填されると、窒化層が除去されて生じた柱状部の空隙内にも導電層が充填されて、複数のワード線間で耐圧が不足してしまう場合がある。
【0242】
また、積層体のリプレース処理を行うスリットを形成する際、柱状部に電荷蓄積層に相当する窒化層等が含まれていると、スリットと柱状部が接触して柱状部の窒化層がスリット内に露出してしまう懸念が生じる。この場合、スリットを介してリプレース処理を行うと、露出部分を介して柱状部の窒化層までもが導電層で置き換えられてしまい、上記と同様、複数のワード線間で耐圧が不足してしまう恐れがある。
【0243】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、複数の柱状部HRsの少なくとも一部は、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、複数のコンタクトCCの配列位置と少なくとも一部分がX方向で重なる列に属する。複数の柱状部HRmの一部は、複数のコンタクトCCの配列位置からY方向に離れた列に属する。
【0244】
このように、コンタクトCCとの接触リスクの高い位置には、絶縁層57の単体である柱状部HRsを配置することで、コンタクトCCとの接触を許容しつつ、柱状部HRsを高密度に配置して、リプレース処理中の積層体LMga,LMgbを充分に支持することができる。
【0245】
一方で、コンタクトCCとの接触リスクの低い位置には、ヤング率の高いチャネル層に相当するダミー層CNdを含む柱状部HRmを配置することで、その後の処理で、積層体LMの沈み込みを抑制することができる。
【0246】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、複数の柱状部HRsの一部は、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、複数のコンタクトCCの配列とY方向で隣接する列にも属する。このように、コンタクトCCと隣接する列もコンタクトCCとの接触リスクが比較的高い位置である。コンタクトCCと隣接する列にも柱状部HRsを配置することで、よりいっそうコンタクトCCとの接触による弊害を抑制することができる。
【0247】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、複数の柱状部HRsの他の一部は、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、板状コンタクトLIとY方向で隣接する列に属する。このように、板状コンタクトLIとの接触リスクの高い位置に、絶縁層57の単体である柱状部HRsを配置することで、板状コンタクトLIとの接触を許容しつつ、柱状部HRsを高密度に配置して、リプレース処理中の積層体LMga,LMgbを充分に支持することができる。
【0248】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、積層体LMのX方向の一端部に配置された階段部SPには、複数の柱状部HRm,HRsのうち少なくとも複数の柱状部HRsの一部が配置される。積層体LMのX方向の他端部に配置され上記の階段部SPとX方向に向かい合う階段部SPdには、複数の柱状部HRmの少なくとも一部が複数列に分散して配置される。
【0249】
このように、同一ブロック領域BLK内で、X方向片側の階段部SPにコンタクトCCが配置される片側引き出し方式の半導体記憶装置1では、コンタクトCCが配置されないX方向のもう一方側の階段部SPdには、主に柱状部HRmを配置することができる。これにより、積層体LMの沈み込みをいっそう抑制することができる。
【0250】
実施形態1の半導体記憶装置1によれば、階段部SP,SPdにおいて、複数の柱状部HRsの他の一部は、柱状部HRm,HRsの複数列のうち、Y方向に並ぶ板状コンタクトLIのそれぞれとY方向で隣接する列に属する。これにより、コンタクトCCが配置されない階段部SPdにおいても、板状コンタクトLIとの接触を許容しつつ、柱状部HRsを高密度に配置して、リプレース処理中の積層体LMga,LMgbを充分に支持することができる。
【0251】
なお、上述の実施形態1では、複数のワード線WL等を片側で引き出す方式において、X方向片側の階段領域SRには、ブロック領域BLKの2つ分ごとに、Y方向に交互に階段部SP,SPdを配置することとした。しかし、ワード線WL等の片側引き出し方式では、同一のブロック領域BLK内でX方向片側に階段部SPを配置することとすればよく、階段部SP,SPdの配置順は上記に限られない。階段部SP,SPdの配置の他の例を
図21に示す。
【0252】
図21は、実施形態1の変形例にかかる半導体記憶装置1aのレイアウトを示す模式的な平面図である。
【0253】
図21に示す例では、半導体記憶装置1aが備える階段部SP,SPdは、X方向片側の階段領域SRに、ブロック領域BLKの1つ分ごとに、Y方向に交互に配置されている。このような配置においても、半導体記憶装置1aを複数のワード線WL等を片側で引き出す方式で機能させることができる。
【0254】
また、上述の実施形態1では、上下に2つの積層体LMa,LMbが積み重ねられた2Tier構造の積層体LMを備えることとした。しかし、積層体の構成は、2Tierに限られず、1Tierであってもよく、3Tier以上であってもよい。
【0255】
また、上述の実施形態1では、ピラーPLは、チャネル層CNの側面でソース線SLと接続していることとしたが、これに限られない。例えばピラー底面のメモリ層を除去してチャネル層の下端部でソース線と接続するようにピラーを構成してもよい。
【0256】
また、上述の実施形態1では、積層体LMの上方に周辺回路CBAを配置することとした。しかし、周辺回路は、積層体の下方または積層体と同じレイヤに配置されてもよい。
【0257】
周辺回路を積層体の下方に配置する場合には、例えば絶縁層で覆われた周辺回路を有する半導体基板の絶縁層上に、ソース線および積層体を形成することができる。周辺回路を積層体と同じレイヤに配置する場合には、周辺回路が形成される半導体基板上の周辺回路とは異なる位置に、積層体を形成することができる。
【0258】
[実施形態2]
以下、図面を参照して実施形態2について詳細に説明する。実施形態2の半導体記憶装置は、積層体LMにおける階段領域の配置が、上述の実施形態1とは異なる。
【0259】
以下の図面においては、上述の実施形態1と同様の構成に同様の符号を付し、その説明を省略することがある。
【0260】
図22は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2の概略の構成例を示す図である。より詳細には、
図22(a)は半導体記憶装置2のX方向に沿う断面図であり、
図22(b)は半導体記憶装置2のレイアウトを示す模式的な平面図である。ただし、
図22(a)においては図面の見やすさを考慮してハッチングを省略する。また、
図22(a)においては、一部の上層配線等が省略されている。
【0261】
図22(a)に示すように、半導体記憶装置2もまた、上述の実施形態1と同様、紙面下側から順に、電極膜EL、ソース線SL、及び1つ以上の選択ゲート線SGS、複数のワード線WL、1つ以上の選択ゲート線SGD、及び周辺回路CBAが設けられた半導体基板SBを備える。
【0262】
図22(a)(b)に示すように、複数のワード線WLのX方向の中央部には複数の階段領域SR2が配置され、複数のワード線WLのX方向の両端部にはメモリ領域MRがそれぞれ配置されている。これらのメモリ領域MR及び階段領域SR2は、複数のワード線WLを貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の板状コンタクトLIによって複数の領域に分割されている。
【0263】
また、Y方向に隣接する板状コンタクトLI間には、選択ゲート線SGDを貫通してX方向に沿う方向に延びる複数の分離層SHEが配置されている。複数の分離層SHEは、メモリ領域MRの全体に亘ってX方向に沿う方向に延びるとともに、X方向中央部の階段領域SR2の、そのメモリ領域MR寄りの一端部にまで到達している。
【0264】
メモリ領域MRには、ワード線WL及び選択ゲート線SGD,SGSを積層方向に貫通する複数のピラーPLが配置されている。ピラーPLとワード線WLとの交差部には複数のメモリセルが形成される。これにより、半導体記憶装置2もまた、例えばメモリ領域MRにメモリセルが3次元に配置された3次元不揮発性メモリとして構成される。
【0265】
1つの階段領域SR2は、複数のワード線WLが積層方向に擂り鉢状もしくは渓谷様とも称する形状に掘り下げられた階段部分を含み、Y方向中央付近を板状コンタクトLIによって分割されている。つまり、擂り鉢形状の1つの階段領域SR2は、板状コンタクトLIを挟んで2つのブロック領域BLKに跨って配置されている。
【0266】
階段領域SR2において、階段部分の各段は、X方向およびY方向の両側から底面に向かって階段状に下降していく擂り鉢状の形状の各辺をなす。
【0267】
階段部分の各段を構成するワード線WL等の各層は、階段領域SR2のY方向片側の部分を介して、階段領域SR2を挟んだX方向両側で電気的な導通を保っている。X方向の一方側及び他方側に配置され、X方向に向かい合う擂り鉢状の各階段部分のメモリ領域MRから離れた側には、複数のワード線WL等にそれぞれ接続するコンタクトCCが配置される。このとき、複数のコンタクトCCは、例えばこれらX方向に向かい合う階段部分において、それぞれ異なるレイヤのワード線WL等に接続される。
【0268】
つまり、コンタクトCCは、例えばX方向一方側の階段部分では最上層から1,3,5番目のワード線WLに接続され、例えばX方向他方側の階段部分では最上層から2,4,6番目のワード線WLに接続されてよい。このため、
図22(a)の例に依らず、これらの階段部分は、例えば2層のワード線WL等により階段の1段が形成され、コンタクトCCが接続されるワード線WL等が専らテラス面を形成していてもよい。
【0269】
これらのコンタクトCCからは、X方向両側のメモリ領域MR内のメモリセルに対し、そのメモリセルと同じ高さ位置のワード線WLを介して書き込み電圧および読み出し電圧等が印加される。
【0270】
次に、
図23を用いて、半導体記憶装置2の詳細の構成例について説明する。
【0271】
図23は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2が備える階段領域SR2の構成の一例を示すY方向に沿う断面図である。
図23においては、絶縁層60下方および絶縁層53上方の構造が省略されている。
【0272】
また、
図23においては、半導体記憶装置2が、3Tier構造の積層体LM2を備える例について示す。すなわち、
図23の例では、半導体記憶装置2の積層体LM2は、積層体LMa,LMb,LMcを含む。積層体LMaは、ソース線SLの上方に配置され、1つ以上の選択ゲート線SGS及び複数のワード線WLを含む。積層体LMbは、積層体LMa上に配置され、複数のワード線WLを含む。積層体LMcは、積層体LMb上に配置され、複数のワード線WL及び1つ以上の選択ゲート線SGDを含む。
【0273】
ただし、実施形態2においても、半導体記憶装置2が、上述の実施形態1と同様、2Tier構造の積層体を備えていてもよく、または、1Tierもしくは4Tier以上の積層体を備えていてもよい。
【0274】
なお、実施形態2の半導体記憶装置2において、メモリ領域MRは上述の実施形態1のメモリ領域MRと同様に構成される。
【0275】
図23に示すように、半導体記憶装置2が備える階段領域SR2は、板状コンタクトLIによって分割されたY方向片側において、複数のコンタクトCCが配置される階段部SP2と、階段部SP2のY方向一方側に配置されるダミーの階段部SP2dとを有し、階段部SP2のY方向他方側で板状コンタクトLIに向かって開放されている。
【0276】
上述のように、複数のコンタクトCCが配置される階段部SP2は、X方向に隣り合うメモリ領域MRに対し、階段領域SR2のX方向に離れた側の1辺に配置される。図示はしないが、階段領域SR2のメモリ領域MR側の一辺、つまり、階段部SP2と対向する辺にもまた、ダミーの階段部SP2dが配置される。
【0277】
これらのダミーの階段部SP2dは、コンタクトCCが配置されず、ワード線WL等の引き出し機能を有さない構成であり、ワード線WL等の引き出し機能を有する階段部SP2よりも急峻に形成されている。
【0278】
また、階段部SP2が、積層体LMaから積層体LMbを経て積層体LMcへと連続的な階段形状を有するのに対し、階段部SP2dは、積層体LMa~LMc間で断続的な階段形状を有している。つまり、例えば積層体LMaの階段部分に、積層体LMbの階段部分が積層方向に重なり、積層体LMcの階段部分もまた、これらの階段部分に積層方向に重なるよう構成されている。
【0279】
このように構成されることで、ダミーの構成であるこれらの階段部SP2dが、半導体記憶装置2に占める面積を削減することができる。
【0280】
ただし、階段部SP2とX方向で対向するメモリ領域MR寄りの階段部SP2dには、選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトCCが配置されることがある。
【0281】
上記のような階段部SP2,SP2dを含む階段領域SR2は、例えばリプレース前の積層体LM2の中央部分に開口を有するフォトレジスト層等のマスクパターンを形成し、スリミングと積層体LM2のエッチングとを複数回繰り返すことで得られる。
【0282】
上記処理においては、マスクパターンの層厚が一定以上に維持されるよう、所定回数のスリミングごとに新たなマスクパターンを形成し直して処理を継続する。マスクパターンを複数回形成する際、マスクパターンの開口位置を調整することで、擂り鉢状の形状の4辺のうち1辺に、比較的なだらかな形状を有する階段部SPが形成され、その他の辺に急峻な階段部SP2dが形成される。
【0283】
その後、上記の擂り鉢状部分をスリットSTにより分割することで、2つ分の階段領域SR2が得られる。
【0284】
このような階段領域SR2にもまた、上述の実施形態1と同様、柱状部HR2mと柱状部HR2sとがX方向に沿う方向に延びる複数列に並び、それらの列ごとに柱状部HRm,HRsのいずれかが選択されて配置されている。ここで、柱状部HR2m,HR2sの層構造は、上述の実施形態1のそれぞれの柱状部HRm,HRsと同様であり、これらの柱状部HR2m,HR2sは、3Tier構造の積層体LM2を貫通して延びている点が異なっている。
【0285】
また、上述の実施形態1と同様、柱状部HR2m,HR2sの複数列のうち、コンタクトCCの配列位置と少なくとも一部分がX方向で重なる列、並びにコンタクトCCの配列位置または板状コンタクトLIとY方向で隣接する列に柱状部HR2sを配置する。
【0286】
また、それ以外の列、つまり、コンタクトCCの配列位置からY方向に離れているとともに、板状コンタクトLIとも隣接していない列には、柱状部HR2mを配置する。
【0287】
図23の例では、板状コンタクトLIによって分割されたY方向片側の階段領域SR2において、X方向に沿う方向に延びる7つの列に柱状部HR2s,HR2mが配置されている。これらのうち、コンタクトCCにY方向両側で隣接する列および板状コンタクトLIにY方向で隣接する列の合計3列に柱状部HR2sが配置され、それら以外の4列に柱状部HR2mが配置されている。
【0288】
なお、
図23の例では、階段領域SR2を分割する板状コンタクトLIに隣接する列が、コンタクトCCにも隣接することとなっている。しかし、板状コンタクトLIとコンタクトCCとの間に複数列が配置されていてもよく、その場合には、それらの複数列に対して、適宜、柱状部HR2sまたは柱状部HR2mが配置される。
【0289】
実施形態2の構成において、上記に述べた規定にしたがって、柱状部HR2m,HR2sを配置した場合の適用例を
図24に示す。
【0290】
図24は、実施形態2にかかる半導体記憶装置2において、柱状部HR2m,HR2sを規定に基づき配置した場合の適用例の1つを示す模式図である。より詳細には、
図24は、選択ゲート線SGDの高さ位置におけるXY断面図であり、積層体LM2のX方向片側のメモリ領域MRの一部と、階段領域SR2の一部とを含む。
【0291】
図24に示すように、板状コンタクトLIによってY方向に分割された階段領域SR2のそれぞれの領域において、メモリ領域MR寄りに配置された階段部SP2dには、メモリ領域MRから延びる複数の分離層SHEが到達している。
【0292】
また、上記の階段部SP2dの選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分には、これらの選択ゲート線SGDの個々の区画に接続されるコンタクトCCが2つずつ配置されている。つまり、
図24の例では、積層体LM2は2層の選択ゲート線SGDを有する。
【0293】
また、上記の階段部SP2dとX方向で対向し、メモリ領域MRからX方向に離れた側に配置される階段部SP2には、複数のワード線WL及び選択ゲート線SGSにそれぞれ接続される複数のコンタクトCCが配置されている。これらのコンタクトCCは、例えば階段領域SR2を分割する板状コンタクトLI寄りの領域に、板状コンタクトLIに沿ってX方向に沿う方向に1列に配置されている。なお、複数の選択ゲート線SGDに接続されるコンタクトCCが、階段部SP2にも配置されてもよい。
【0294】
また、
図24の例では、複数のピラー及び複数の柱状部HR2m,HR2sがいずれも千鳥状の配置を取っている。1つのブロック領域BLK内において、X方向に沿う方向に並ぶピラーPLの配列は24列である。
【0295】
一方、柱状部HR2m,HR2sの径およびピッチは、ピラーPLの径およびピッチより大きく構成されている。このため、1つのブロック領域BLK内において、X方向に沿う方向に並ぶ柱状部HR2m,HR2sは15列に配置されている。
【0296】
上記のような構成の階段部SPdにおいて、選択ゲート線SGDが階段状に加工された部分では、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置を含む1つのブロック領域BLK内の全体に亘って、柱状部HR2mが複数列に分散して配置される。
【0297】
また、階段部SPのワード線WL及び選択ゲート線SGSが階段状に加工された部分では、コンタクトCCの近傍および板状コンタクトLIに隣接する位置に柱状部HR2sが配置されている。
【0298】
図24の例では、X方向に沿う方向に並ぶ複数のコンタクトCCの配列と全体がX方向で重なる1列と、コンタクトCCの配列位置とY方向両側で隣接する2列との計3列には、コンタクトCCに近接する箇所を含む列として、柱状部HR2sが配置されている。また、1つのブロック領域BLKをY方向両側から挟む2つの板状コンタクトLIにそれぞれ隣接する列には、板状コンタクトLIに隣接する列として、柱状部HR2sが配置されている。
【0299】
一方、それ以外の残り10列には柱状部HR2mが配置されている。すなわち、階段領域SR2をY方向に分割する板状コンタクトLIに隣接する柱状部HR2sの列と、コンタクトCCにY方向で隣接する2列のうち板状コンタクトLI側の柱状部HR2sの列と、の間の1列には柱状部HR2mが配置されている。また、コンタクトCCにY方向反対側で隣接する柱状部HR2sの列と、もう一方側の板状コンタクトLIに隣接する柱状部HR2sの列との間の9列にも柱状部HR2mが配置されている。
【0300】
実施形態2の半導体記憶装置2によれば、複数のコンタクトCCは、X方向に沿う方向に少なくとも1列に並んで、板状コンタクトLIによりY方向に分割された階段領域SR2の各階段部SP2のそれぞれに配置される。また、複数の柱状部HR2s,HR2mのそれぞれは、複数列に配列されて上記各階段部SP2のそれぞれに配置されている。
【0301】
このように、実施形態2においても、柱状部HR2s,HR2mを適宜配置することで、リプレース処理中の積層体をより確実に支持するとともに、その後の処理で、積層体LM2の沈み込みを抑制することができる。
【0302】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0303】
1,1a,2…半導体記憶装置、BK…ブロック絶縁層、BKd,CNd,CTd,TNd…ダミー層、CC…コンタクト、CN…チャネル層、CT…電荷蓄積層、HR2m,HRm,HR2s,HRs…柱状部、LI…板状コンタクト、LM,LM2,LMa,LMb,LMc,LMga,LMgb,LMsa,LMsb…積層体、MC…メモリセル、MR…メモリ領域、NL,OL…絶縁層、51,57…絶縁層、PL…ピラー、SP,SP2,SPd,SP2d…階段部、SR,SR2…階段領域、SGD,SGS…選択ゲート線、ST…スリット、TN…トンネル絶縁層、WL…ワード線。