(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173306
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】浴槽洗浄装置
(51)【国際特許分類】
A47K 3/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A47K3/00 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091643
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000115854
【氏名又は名称】リンナイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111257
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 栄二
(74)【代理人】
【識別番号】100110504
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智裕
(72)【発明者】
【氏名】小川 純一
(72)【発明者】
【氏名】岩間 優子
(57)【要約】
【課題】浴槽洗浄運転機能だけでなく新たな機能を付加することで、ユーザの更なる利便性の向上を図ることを可能とする浴槽洗浄装置を提供する。
【解決手段】浴槽洗浄装置1は、給湯源5の湯水を給湯栓70に供給する湯水供給路7から分岐した分岐湯水供給路71に接続され、浴槽60に設けられた洗浄ノズル2から洗剤を含んだ湯水を噴射させる動作モードにより浴槽洗浄運転を実行可能な構成を備え、更に、前記浴槽洗浄運転とは異なる動作モードにより給湯源5から供給される湯水を湯水供給路7及び分岐湯水供給路71を通して浴槽洗浄装置1に供給させるように動作させ、湯水供給路7における分岐湯水供給路71との分岐部分よりも上流側の湯水供給路7aに滞留した湯水を、給湯源5から供給される湯水に置換する即湯運転を実行する構成を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
給湯源から供給される湯水を給湯栓に供給する湯水供給路から分岐した分岐湯水供給路に接続され、浴槽に設けられた洗浄ノズルから洗剤を含んだ湯水を噴射させる動作モードにより浴槽の洗浄を行う浴槽洗浄運転を実行可能な構成を備える浴槽洗浄装置において、
前記浴槽洗浄運転とは異なる動作モードにより給湯源から供給される湯水を湯水供給路及び分岐湯水供給路を通して浴槽洗浄装置に供給させるように動作させ、湯水供給路における分岐湯水供給路との分岐部分よりも上流側の湯水供給路に滞留した湯水を、給湯源から供給される湯水に置換する即湯運転を実行する構成を有する、浴槽洗浄装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転は、洗剤を含まない湯水を洗浄ノズルから連続的に流出させる動作モードにより実行する、浴槽洗浄装置。
【請求項3】
請求項2に記載の浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転時に洗浄ノズルから流出させる湯水流量は、前記浴槽洗浄運転時に洗浄ノズルから噴射させる湯水流量よりも少ない流量に設定される、浴槽洗浄装置。
【請求項4】
請求項1に記載の浴槽洗浄装置において、
分岐湯水供給路から供給される湯水を貯留する貯留タンクと、
貯留タンクに有し、貯留タンク内の所定水位以上の湯水を排出するオーバーフロー排出流路と、
貯留タンク内の湯水を洗浄ノズルへ供給するポンプとを備え、
前記即湯運転は、ポンプの停止状態で、前記上流側の湯水供給路に滞留した湯水を分岐湯水供給路を介して貯留タンクに供給させる動作モードにより実行する、浴槽洗浄装置。
【請求項5】
請求項1に記載の浴槽洗浄装置において、
分岐湯水供給路の下流端に接続される洗浄流路と、
洗浄流路内の湯水温度を検出する温度センサとを備え、
前記即湯運転は、前記湯水温度が即湯開始温度未満の場合に即湯運転の実行を開始し、即湯運転の実行開始後、前記湯水温度が即湯開始温度よりも高い即湯停止温度以上となった場合に即湯運転の実行を停止する動作を行う、浴槽洗浄装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転は、浴槽に所定量の湯水を貯留させる湯はり運転に連動して運転開始させる構成を備える、浴槽洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽の洗浄を行う浴槽洗浄運転を実行可能な浴槽洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽洗浄装置は、例えば、特許文献1に開示されているように、給湯源から供給される湯水に洗剤を混合し、この洗剤を含んだ湯水を浴槽に設けられた洗浄ノズルから断続的に噴射する動作を行って浴槽を洗浄する装置である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記したように浴槽洗浄装置は、浴槽洗浄のための専用装置である。そのため、浴槽洗浄装置において、ユーザの更なる利便性を向上するべく、浴槽洗浄運転の機能の他に、新たな機能を付加することが求められる。
【0005】
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、浴槽洗浄運転の機能だけでなく新たな機能を付加することで、ユーザの更なる利便性の向上を図ることを可能とする浴槽洗浄装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1に係る浴槽洗浄装置は、
給湯源から供給される湯水を給湯栓に供給する湯水供給路から分岐した分岐湯水供給路に接続され、浴槽に設けられた洗浄ノズルから洗剤を含んだ湯水を噴射させる動作モードにより浴槽の洗浄を行う浴槽洗浄運転を実行可能な構成を備える浴槽洗浄装置において、
前記浴槽洗浄運転とは異なる動作モードにより給湯源から供給される湯水を湯水供給路及び分岐湯水供給路を通して浴槽洗浄装置に供給させるように動作させ、湯水供給路における分岐湯水供給路との分岐部分よりも上流側の湯水供給路(以下、「上流側湯水供給路」という。)に滞留した湯水を、給湯源から供給される湯水に置換する即湯運転を実行する構成を有する。
【0007】
前記構成によれば、浴槽洗浄装置が即湯運転を実行することで、上流側湯水供給路に滞留していた湯水は、給湯源から新たに供給される湯水に置換される。これにより、湯水供給路に接続された給湯栓を使用する場合、即湯運転を実行しない場合よりも短時間で温かい湯水を給湯栓から出湯させることができるため、給湯栓使用時のユーザの快適性が向上する。従って、本発明1によれば、浴槽洗浄装置に即湯運転の機能が付加されることで、ユーザは、浴槽を洗浄する浴槽洗浄運転の機能だけでなく、給湯栓から温かい湯水を短時間で出湯させる即湯運転の機能を使用することができ、ユーザの利便性が更に向上する。
【0008】
本発明2に係る浴槽洗浄装置は、本発明1の浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転は、洗剤を含まない湯水を洗浄ノズルから連続的に流出させる動作モードにより実行する構成とすることができる。
【0009】
この構成によれば、浴槽内に浴槽水が貯留されている場合には、即湯運転にて洗浄ノズルから流出した湯水は、排出されることなく浴槽に貯留されるため、前記湯水を浴槽内の浴槽水として有効活用できる。洗浄ノズルから流出する湯水は、洗剤を含まないため、浴槽内の浴槽水に洗剤が混入することもない。また、浴槽内に浴槽水が貯留されていない場合には、即湯運転にて洗浄ノズルから流出した湯水は、浴槽内壁面に散布されるため、浴槽内壁面の清掃を兼ねることができ、前記湯水を有効活用できる。
【0010】
一方、浴槽洗浄装置が給湯器の給水圧で洗浄ノズルから湯水を噴射する直圧式の構成である場合、前記即湯運転時に洗浄ノズルから湯水を断続的に流出させると、給湯源から上流側湯水供給路に湯水が断続的に供給され、上流側湯水供給路内に湯水と水とが交互に形成される冷水サンドイッチが発生してしまう。本発明2によれば、浴槽洗浄装置が前記直圧式の構成の場合、洗浄ノズルから湯水を連続的に流出させることで、給湯源から上流側湯水供給路に湯水が連続的に供給されるため、前記冷水サンドイッチの発生を防止し、即湯運転の際、上流側湯水供給路内の湯水温度を均一に安定させることができる。従って、給湯栓使用の初期から温かい湯水を安定して出湯させることができ、ユーザの快適性及び利便性を向上することができる。
【0011】
本発明3に係る浴槽洗浄装置は、本発明2の浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転時に洗浄ノズルから流出させる湯水流量は、前記浴槽洗浄運転時に洗浄ノズルから噴射させる湯水流量よりも少ない流量に設定される構成とすることができる。
【0012】
この構成によれば、ユーザが浴槽内の浴槽水に浸かっている入浴中に即湯運転を実行した場合であっても、洗浄ノズルから流出する湯水が入浴中のユーザに勢いよく当たることがなく、ユーザの不快感を抑制できる。一方、浴槽内に浴槽水が貯留されていない場合には、洗浄ノズルから浴槽外へ飛散する湯水を低減できるため、飛散した湯水が浴室内のユーザにかかることによるユーザの不快感を抑制できる。
【0013】
本発明4に係る浴槽洗浄装置は、本発明1の浴槽洗浄装置において、
分岐湯水供給路から供給される湯水を貯留する貯留タンクと、
貯留タンクに有し、貯留タンク内の所定水位以上の湯水を排出するオーバーフロー排出流路と、
貯留タンク内の湯水を洗浄ノズルへ供給するポンプとを備え、
前記即湯運転は、ポンプの停止状態で、前記上流側湯水供給路に滞留した湯水を分岐湯水供給路を介して貯留タンクに供給させる動作モードにより実行する構成とすることができる。
【0014】
この構成によれば、上流側湯水供給路の湯水を貯留タンクに貯留させ、洗浄ノズルから湯水を流出させることなく即湯運転を実行できる。そのため、即湯運転の実行によって、浴槽内に浴槽水が貯留されている場合に浴槽水の湯水温度を低下させたり、浴槽内に浴槽水が貯留されていない場合に浴槽やその周辺を濡らしたりすることがなく、ユーザの快適性を更に向上することができる。また、貯留タンク内の湯水は、所定水位以上になるとオーバーフロー排出流路から排出されるため、貯留タンク内の湯水が満水となってタンク上面から溢れ出すこともない。
【0015】
本発明5に係る浴槽洗浄装置は、本発明1~4のいずれか1つの浴槽洗浄装置において、
分岐湯水供給路の下流端に接続される洗浄流路と、
洗浄流路内の湯水温度を検出する温度センサとを備え、
前記即湯運転は、前記湯水温度が即湯開始温度未満の場合に即湯運転の実行を開始し、即湯運転の実行開始後、前記湯水温度が即湯開始温度よりも高い即湯停止温度以上となった場合に即湯運転の実行を停止する動作を行う構成とすることができる。
【0016】
ちなみに、洗浄流路内の湯水温度が即湯開始温度未満に低下している場合には、洗浄流路と接続している分岐湯水供給路内の湯水温度、及び、分岐湯水供給路と接続している湯水供給路内の湯水温度は、即湯開始温度付近まで低下していると推測される。本発明5によれば、洗浄流路内の湯水温度が即湯開始温度未満となると即湯運転の実行を開始することで、上流側湯水供給路内の湯水温度が過度に低下することを抑制することができる。従って、給湯栓使用時には安定して短時間で温かい湯水が出湯され、ユーザの快適性を向上することができる。そして、洗浄流路内の湯水温度が即湯停止温度以上となると上流側湯水供給路内に滞留する湯水のすべてが給湯源から新たに供給された湯水に置換されたと判断できるため、即湯運転の実行を停止する。よって、給湯栓使用時のユーザの快適性を向上しながら、必要以上に上流側湯水供給路内の湯水を新たな湯水に置換してしまうことを抑制して省エネを図ることができる。
【0017】
本発明6に係る浴槽洗浄装置は、本発明1~5のいずれか1つの浴槽洗浄装置において、
前記即湯運転は、浴槽に所定量の湯水を貯留させる湯はり運転に連動して運転開始させる構成とすることができる。
【0018】
ちなみに、湯はり運転が完了すると浴槽に所定量の湯水が貯留されて入浴可能となり、ユーザは、入浴に伴って給湯栓を使用することが想定される。本発明6によれば、湯はり運転に連動させて即湯運転を運転開始させることで、ユーザが入浴する頃には、上流側湯水供給路内に滞留した湯水が給湯源から新たに供給された湯水に置換されるようにすることができるため、入浴時に給湯栓を使用する際には短時間で温かい湯水の出湯が可能となり、入浴の際における給湯栓使用時のユーザの利便性及び快適性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】実施形態1の浴槽洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【
図2】実施形態1の浴槽洗浄装置による即湯運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図3】実施形態3の浴槽洗浄装置による湯はり即湯連動運転の動作を説明するためのフローチャートである。
【
図4】実施形態4の浴槽洗浄装置の全体構成を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
実施形態1の浴槽洗浄装置1は、給湯栓70から温かい湯水を即時に出湯可能とする即湯機能付きの浴槽洗浄装置の一例である。
図1に示すように、実施形態1の浴槽洗浄装置1は、主な構成として、洗浄ノズル2、洗浄ユニット3、制御装置4を備えている。浴槽洗浄装置1は、給湯源である給湯器5に接続され、給湯器5から湯水が供給される。
【0021】
給湯器5は、図示しないガスバーナ及び熱交換器を備える。ガスバーナには、燃料ガスをガスバーナに供給するためのガス供給管51が接続されている。熱交換器には、給水源から水を熱交換器に供給するための給水路52と、給湯栓70に湯水を供給するための湯水供給路7と、浴槽60に対し湯はり及び追焚きを行うための風呂回路53とが接続されている。湯水供給路7は、給湯器5から浴室6まで延設されており、湯水供給路7の下流位置には浴室6内のシャワーやカラン等の給湯栓70が接続されている。湯水供給路7は、その途中から分岐した分岐湯水供給路71を有し、分岐湯水供給路71の下流端に浴槽洗浄装置1の洗浄ユニット3が接続されている。なお、湯水供給路7における分岐湯水供給路71との分岐部分よりも上流側を上流側湯水供給路7aと呼び、分岐部分から給湯栓70までの下流側を下流側湯水供給路7bと呼ぶ。
【0022】
給湯器5は、図示しない制御部を備えており、制御部には、給湯器5を遠隔操作するための給湯リモコン54が通信線又は無線により通信可能に接続されている。給湯リモコン54でのユーザの操作に応じて、制御部は、熱交換器で加熱した湯水を湯水供給路7に供給して給湯栓70に給湯する給湯運転、熱交換器で加熱した湯水を風呂回路53から浴槽60に供給して浴槽60に湯水を貯留させる湯はり運転、浴槽60内の浴槽水を風呂回路53に循環させながら熱交換器で加熱する追焚き運転をそれぞれ実行させる。給湯器5の制御部は、給水路52又は風呂回路53の流量が点火水量(作動水量)以上になるとガスバーナを点火し燃焼させ、給水路52、湯水供給路7又は風呂回路53の流量が消火水量(作動停止水量)未満になるとガスバーナを消火し燃焼停止させる燃焼制御を行う。なお、給湯源は、前記したガス式の給湯器5に限らず、貯湯タンクを有する温水器、電気式給湯器、ヒートポンプ式給湯器等であってもよい。
【0023】
浴槽60の底部には、湯水又は洗剤を含んだ湯水を噴射させるための洗浄ノズル2と、浴槽水の貯留又は排水をするための排水栓61とが設けられている。浴槽60の内壁側面には、風呂回路53が接続される循環アダプタ64が設けられている。浴槽60の上面フランジには、排水栓61の排水スイッチ62及び排水栓駆動部63と、洗剤原液を貯留する洗剤タンク65とが配設されている。排水栓61は、給湯器5又は浴槽洗浄装置1からの制御指令で排水栓駆動部63により開閉され、また、ユーザの排水スイッチ62の操作によっても開閉される。浴槽60の上面開放部は、図示しない浴槽蓋をユーザが配置することで蓋をすることができる。
【0024】
洗浄ユニット3は、浴槽60の側面のエプロン内に設けられており、湯水を貯留する貯留タンク31と、貯留タンク31内の湯水を洗浄ノズル2へ供給するポンプ32と、洗浄流路8及び洗剤流路9等の配管類とが設けられている。洗浄流路8は、上流端が湯水供給路7から分岐した分岐湯水供給路71と接続され、下流端が洗浄ノズル2に通じたノズル流路21と接続されている。洗浄流路8には、上流側から順に、開閉弁81、温度センサ82、貯留タンク31、ポンプ32、下流側開閉弁33、流量センサ83、逆止弁84a,84b、洗剤混合部85が設けられている。洗剤流路9は、上流端が洗剤タンク65と接続され、下流端が洗浄流路8の洗剤混合部85と接続されている。洗剤流路9には、洗剤弁91が設けられており、洗剤弁91を開弁することで洗剤タンク65内の洗剤原液が洗剤流路9を通って洗剤混合部85に供給される。なお、前記した開閉弁81、下流側開閉弁33及び洗剤弁91は、電磁弁で構成することができる。
【0025】
洗浄流路8の温度センサ82は、サーミスタ等で構成することができ、洗浄流路8内の湯水の湯水温度Thを検出する。温度センサ82が検出する湯水温度Thは、洗浄流路8が分岐湯水供給路71を介して上流側湯水供給路7aと連通しているため、給湯栓70が使用されていない場合、上流側湯水供給路7a内の湯水の湯水温度とみなすことができる。なお、温度センサ82は、上流側湯水供給路7a内の湯水の湯水温度を反映しやすくするため、洗浄流路8の上流端になるべく近い位置に設けてもよく、また、開閉弁81よりも上流位置に設けてもよい。
【0026】
開閉弁81を開弁することで、給湯器5で加熱された湯水が、上流側湯水供給路7a及び分岐湯水供給路71を通って洗浄流路8に供給され、貯留タンク31に流出する。貯留タンク31には、湯水の水位が低水位か高水位かを検知するための水位検知手段34が設けられている。貯留タンク31には、高水位の位置よりも上方かつ洗浄流路8が接続された流入口よりも下方の位置にオーバーフロー排出流路35が設けられており、オーバーフロー水位を超える貯留タンク31内の湯水は、オーバーフロー排出流路35から排出されるため、タンク上面から湯水が溢れ出すことが防止される。ポンプ32を作動させ、下流側開閉弁33を開弁させることで、貯留タンク31内の湯水は、ポンプ32によって洗浄流路8及びノズル流路21を通って洗浄ノズル2に圧送され、洗浄ノズル2から噴射される。流量センサ83は、ポンプ32の作動によって洗浄流路8を流れる湯水の流量を検出し、この流量検出値に基づいて制御装置4がポンプ32の回転数を制御して洗浄ノズル2から流出させる湯水の流量が確定される。洗剤混合部85は、ベンチュリ管又はオリフィスで構成されており、洗浄流路8を流れる湯水に洗剤タンク65から供給される洗剤原液を混合して洗剤を含む湯水を生成する。逆止弁84a,84bは、これより上流側の洗浄流路8に洗剤や湯水が逆流することを防止する。なお、洗浄ユニット3は、流量センサ83を設けない構成であってもよい。この場合、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズル2から噴射される所定の湯水流量となるポンプ32の回転数設定値を予め実験等で決定し、この回転数設定値に基づいて制御装置4がポンプ32の動作を制御する。
【0027】
制御装置4は、浴槽洗浄装置1に電力を供給するとともに、浴槽洗浄装置1の動作を制御する。制御装置4は、マイクロコンピュータ等の演算処理手段、RAMやROM等の記憶手段、時間経過をカウントするタイマー等を備えている。記憶手段には、浴槽洗浄運転及び即湯運転に関するプログラム、各種の情報等が記憶されている。制御装置4は、洗浄ユニット3、排水栓駆動部63、給湯器5の制御部等と通信線又は無線により通信可能に接続されており、排水栓61及び洗浄ユニット3等の動作を制御する。制御装置4には、浴槽洗浄装置1を遠隔操作するための洗浄リモコン41が通信線又は無線により通信可能に接続されている。洗浄リモコン41には、図示しないが、浴槽洗浄装置1によって浴槽60の洗浄を行う浴槽洗浄運転を実行させるための洗浄スイッチ、浴槽洗浄装置1によって給湯栓70から即時に温かい湯水を出湯させる即湯運転を実行させるための即湯スイッチ、温度や時間や動作モード等を設定するための各スイッチ等が設けられている。ちなみに、浴槽洗浄運転は、洗浄ノズル2から洗剤を含んだ湯水を噴射させる動作モードを実行する。即湯運転は、浴槽洗浄運転とは異なる動作モードを実行する。すなわち、即湯運転では、給湯器5から供給される湯水を上流側湯水供給路7a及び分岐湯水供給路71を通して浴槽洗浄装置1に供給させる動作を実行するため、洗浄ノズル2から洗剤を含んだ湯水を噴射させる動作モード以外の動作モードを行う。この即湯運転の動作モードとして、例えば、洗浄ノズル2からは洗剤を含まない湯水を流出させる動作モード、洗浄ノズル2からは湯水等を一切流出させない動作モード等である。ここで、本明細書において、洗浄ノズル2からの湯水の「流出」は、洗浄ノズル2から湯水が出ることをいい、洗浄ノズル2から湯水が飛ぶように出る噴射の状態、噴射のように湯水が飛ばず少量の湯水が洗浄ノズル2から出る状態等を含む。
【0028】
次に、浴槽洗浄装置1による浴槽洗浄運転の動作の一例を説明する。
ユーザが洗浄リモコン41の洗浄スイッチをオン操作すると、制御装置4は、排水栓61を開栓させて浴槽60内の浴槽水を排水させる排水工程を実行する。排水栓61が開栓されてから所定の排水時間が経過すると、排水工程を終えて予備洗浄工程に移る。
【0029】
予備洗浄工程に入ると、制御装置4は、開閉弁81を開弁させて給湯器5から供給される湯水を洗浄流路8を通して貯留タンク31に供給させる。貯留タンク31内に湯水が高水位まで溜まると、制御装置4は、開閉弁81を閉弁させ、また、下流側開閉弁33を開弁させ、ポンプ32を作動させて、洗浄ノズル2から浴槽60内に湯水のみを噴射させる予備洗浄工程を実行する。所定の予備洗浄時間が経過すると、制御装置4は、ポンプ32を作動停止させ、下流側開閉弁33を閉弁させて、予備洗浄工程を終える。なお、制御装置4は、浴槽洗浄運転中、貯留タンク31内の湯水が低水位まで低下すると開閉弁81を開弁させて貯留タンク31に湯水を供給させ、貯留タンク31内の湯水が高水位まで上昇すると開閉弁81を閉弁させて貯留タンク31への湯水の供給を停止させる。
【0030】
予備洗浄工程を終えて所定の待機時間が経過すると、制御装置4は、ポンプ32を作動させ、下流側開閉弁33及び洗剤弁91を開弁させて、洗剤混合部85で湯水に洗剤を混合して洗浄ノズル2から浴槽60内に洗剤を含んだ湯水を噴射させる洗浄工程を実行する。洗浄工程では、洗浄ノズル2からの洗剤を含んだ湯水の噴射と噴射停止の動作を1サイクルとし、この1サイクルの動作を複数回実行する。すなわち、洗浄工程は、洗浄ノズル2から洗剤を含んだ湯水を断続的に噴射させる動作モードを行う。洗浄ノズル2からの噴射を停止するときは、ポンプ32を作動停止させ、下流側開閉弁33及び洗剤弁91を閉弁させる。洗浄ノズル2からの噴射と噴射停止を所定のサイクル数実行すると、制御装置4は、洗浄工程を終える。
【0031】
洗浄工程を終えて所定の待機時間が経過すると、制御装置4は、下流側開閉弁33を開弁させ、ポンプ32を作動させて、洗浄ノズル2から浴槽60内に湯水のみを噴射させるすすぎ工程を実行する。所定のすすぎ時間が経過すると、すすぎ工程を終えるが、このとき、貯留タンク31内の湯水を浴槽60内に排出させるため、開閉弁81を閉弁させ、所定のタンク内排水時間だけ、ポンプ32を作動状態とし、下流側開閉弁33を開弁状態とする。そして、所定のタンク内排水時間が経過すると、制御装置4は、ポンプ32を作動停止させ、下流側開閉弁33を閉弁させて、浴槽洗浄運転を終了させる。なお、浴槽洗浄運転は、前記各工程をすべて実行する動作のみに限定されず、洗浄ノズル2から湯水のみを噴射させる動作を断続的に行う等であってもよい。
【0032】
次に、浴槽洗浄装置1による即湯運転の動作について説明する。
図2のフローチャートを参照して、ユーザが洗浄リモコン41の即湯スイッチをオン操作すると、ステップS1で、制御装置4は、即湯運転を運転開始させる。続くステップS2で、制御装置4は、浴槽洗浄装置1が浴槽洗浄運転中であるか否かを判断する。浴槽洗浄運転中の場合(ステップS2で「Yes」)、制御装置4は、浴槽洗浄運転が終了するまで即湯運転を待機状態とする。浴槽洗浄運転中でなかった場合や浴槽洗浄運転を終了して浴槽洗浄運転中でなくなった場合(ステップS2で「No」)、ステップS3へ処理を進める。
【0033】
ステップS3で、制御装置4は、洗浄流路8の温度センサ82で検出される洗浄流路8内の湯水の湯水温度Thが、即湯開始温度Ta未満に低下しているか否かを判断する。ここで、前記「即湯開始温度Ta」は、給湯器5から給湯栓70に供給する湯水の給湯温度としてユーザが給湯リモコン54で設定した給湯設定温度に基づいて決定される。この場合、即湯開始温度Taは、給湯設定温度から一定以上低い温度が設定され、本実施形態1では、例えば、給湯設定温度-5℃に設定される。なお、即湯開始温度Taは、前記給湯設定温度を基準とする以外に、給湯栓70に供給する給湯温度として給湯器5に事前に登録された一又は複数の温度から一つ選択された固定温度を基準にして、この固定温度から一定以上低い温度(例えば、固定温度-5℃)としてもよい。また、制御装置4は、前記給湯設定温度及び前記固定温度を給湯器5の制御部と通信して認識することができる。
【0034】
ステップS3において、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯開始温度Ta未満に低下していない場合(ステップS3で「No」)、制御装置4は、即湯運転の実行を停止状態にして、ステップS2に処理を戻す。洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯開始温度Ta未満に低下した場合(ステップS3で「Yes」)、制御装置4は、ステップS4へ処理を進める。
【0035】
ステップS4で、制御装置4は、洗浄流路8の開閉弁81を開弁させて即湯運転を実行させる。開閉弁81の開弁により、上流側湯水供給路7aに滞留していた湯水は、分岐湯水供給路71を通って洗浄流路8に流出する。上流側湯水供給路7a内の湯水が連続的に洗浄流路8に流出することで、給湯器5では、給水路52に点火水量以上の水が流れてガスバーナが点火されて給湯運転が行われるため、湯水供給路7には給湯器5から加熱された湯水が供給される。従って、上流側湯水供給路7aに滞留していた湯水を給湯器5から新たに供給される温かい湯水に置換する即湯運転が行われる。
【0036】
また、即湯運転の実行開始の際には、ステップS5で、制御装置4は、ポンプ32を停止状態とし、下流側開閉弁33と洗剤弁91とを閉弁状態に保持させる。従って、即湯運転の実行により、上流側湯水供給路7aから分岐湯水供給路71を通って洗浄流路8に流出した湯水は貯留タンク31に貯留され、洗浄ノズル2からは湯水及び洗剤を含んだ湯水は一切流出しない。この場合、浴槽洗浄運転時とは異なり、貯留タンク31内の湯水の水位が高水位以上となっても開閉弁81を閉弁させない。すなわち、即湯運転では、開閉弁81を常時開弁状態に保持させ、洗浄流路8から湯水を貯留タンク31に連続的に供給させる。このとき、貯留タンク31内の湯水は、高水位位置よりも上のオーバーフロー水位を超えるとオーバーフロー排出流路35からタンク外に排出されるため、貯留タンク31内の湯水が満水となってタンク上面から溢れ出すことはない。このように、浴槽洗浄装置1による即湯運転の動作は、洗浄流路8から湯水を連続的に貯留タンク31に供給させ、オーバーフロー排出流路35から排出させる動作となるため、洗剤を含んだ湯水を洗浄ノズル2から噴射させる浴槽洗浄運転の動作モードとは異なる動作モードとなる。
【0037】
即湯運転の実行中は、ステップS6で、制御装置4は、温度センサ82で検出される洗浄流路8内の湯水温度Thが、即湯停止温度Tb以上に上昇したか否かを判断する。ここで、前記「即湯停止温度Tb」は、即湯開始温度Taよりも高い温度であり、即湯開始温度Taの場合と同様に、ユーザが給湯リモコン54で設定した前記給湯設定温度に基づいて決定される。この場合、即湯停止温度Tbは、給湯設定温度と同じ温度か少し低い温度に設定され、本実施形態1では、例えば、給湯設定温度-2℃に設定される。なお、即湯開始温度Taが前記した給湯器5での固定温度を基準とする場合、即湯停止温度Tbも前記固定温度を基準とし、この場合、即湯停止温度Tbは、固定温度と同じ温度か少し低い温度(例えば、固定温度-2℃)とする。
【0038】
ステップS6において、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯停止温度Tb以上に上昇していない場合(ステップS6で「No」)、制御装置4は、即湯運転の実行を継続させる。洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯停止温度Tb以上に上昇した場合(ステップS6で「Yes」)、ステップS7で、制御装置4は、開閉弁81を閉弁させて即湯運転の実行を停止させる。開閉弁81の閉弁により、洗浄流路8が閉じられるため、分岐湯水供給路71を介して上流側湯水供給路7aから洗浄流路8への湯水の供給が停止され、上流側湯水供給路7a内の湯水を給湯器5から供給される湯水と置換する即湯運転の動作が停止される。
【0039】
続くステップS8で、制御装置4は、即湯運転の運転時間(例えば、即湯スイッチのオン操作からの経過時間、すなわちステップS1で即湯運転を開始してからの経過時間)が保温設定時間Hを経過したか否かを判断する。保温設定時間Hは、ユーザが洗浄リモコン41の運転時間スイッチを操作して設定された時間であり、例えば、1時間、1時間30分、2時間等のように任意の時間が設定できる。なお、保温設定時間Hは、制御装置4に事前に登録された一又は複数の時間から一つ選択された固定時間であってもよい。そして、ステップS8において、即湯運転の運転時間が保温設定時間Hを経過していない場合(ステップS8で「No」)、制御装置4は、ステップS2へ処理を戻して、浴槽洗浄運転が実行されたか否かを監視しながら、即湯運転の運転動作を継続させる。即湯運転の運転時間が保温設定時間Hを経過した場合(ステップS8で「Yes」)、制御装置4は、ステップS9へ移行して即湯運転を終了させる。
【0040】
以上より、本実施形態1の浴槽洗浄装置1によれば、浴槽洗浄装置1が即湯運転を実行することによって、上流側湯水供給路7aに滞留していた湯水(温度の低い湯水又は常温の水)を給湯器5から新たに供給される温かい湯水に置換することができる。従って、即湯運転の実行後に湯水供給路7に接続する浴室6内の給湯栓70を開栓して使用する場合、上流側湯水供給路7aの温かい湯水が下流側湯水供給路7bを通って即時に給湯栓70から出湯される。よって、即湯運転を実行しない場合よりも短時間で温かい湯水を給湯栓70から出湯させることができるため、給湯栓70使用時のユーザの快適性が向上する。このように、本実施形態1の浴槽洗浄装置1によれば、浴槽洗浄装置1に即湯運転の機能が付加されることで、ユーザは、浴槽60を洗浄する浴槽洗浄運転の機能だけでなく、給湯栓70から温かい湯水を短時間で出湯させる即湯運転の機能を使用でき、浴室6におけるユーザの利便性が更に向上する。また、湯水供給路7に別に即湯回路を設けることなく、浴槽洗浄装置1によって給湯栓70の即湯運転機能が実現できる。
【0041】
また、本実施形態1によれば、即湯運転は、上流側湯水供給路7aに滞留していた湯水を貯留タンク31に貯留させ、洗浄ノズル2から湯水等を一切流出させない動作モードにより実行する(
図2のステップS4、ステップS5)。従って、即湯運転の実行によって、浴槽60内に浴槽水が貯留されている場合には、上流側湯水供給路7aに滞留していた低温の湯水によって浴槽60内の浴槽水の湯水温度を低下させることがなく、また、浴槽水に洗剤が混入することもない。浴槽60内に浴槽水が貯留されていない場合には、浴槽60やその周辺を濡らすことがない。また、洗浄ノズル2からは湯水等の流出が無いため、ユーザに違和感を与えることもない。よって、ユーザの快適性を更に向上することができる。
【0042】
また、本実施形態1によれば、即湯運転の実行開始と実行停止は、洗浄流路8内の湯水温度Thに基づいて行う(
図2のステップS3、ステップS6)。浴槽洗浄装置1の洗浄流路8は、分岐湯水供給路71及び上流側湯水供給路7aと連通しているため、給湯栓70が使用されていない状態では、洗浄流路8内の湯水温度Thを上流側湯水供給路7a内の湯水温度と大差が無いとみなすことができる。そのため、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯開始温度Ta未満に低下している場合、洗浄流路8と接続する分岐湯水供給路71内の湯水温度、及び、分岐湯水供給路71と接続する上流側湯水供給路7a内の湯水温度は、即湯開始温度Ta付近まで低下していると推測される。従って、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯開始温度Ta未満となると即湯運転の実行を開始(
図2のステップS3で「Yes」→ステップS4)することで、上流側湯水供給路7a内の湯水温度が過度に低下することを抑制できる。その結果、給湯栓70使用時には絶えず短時間で温かい湯水を出湯させることができるため、ユーザの快適性を向上することができる。
【0043】
そして、即湯運転の実行により、上流側湯水供給路7aの湯水が分岐湯水供給路71を通って下流の洗浄流路8に流れてくるため、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯停止温度Tb以上に上昇した場合には、上流側湯水供給路7a内の湯水温度は既に即湯停止温度Tb以上に上昇している。従って、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯停止温度Tb以上となると上流側湯水供給路7a内に滞留する湯水のすべてが給湯器5から新たに供給された温かい湯水に置換されたと判断できるため、即湯運転の実行を停止(
図2のステップS6で「Yes」→ステップS7)する。よって、給湯栓70使用時のユーザの快適性を向上しながら、必要以上に上流側湯水供給路7a内の湯水を給湯器5からの新たな湯水に置換してしまうことを抑制して省エネを図ることができる。
【0044】
なお、即湯運転の実行開始(
図2のステップS4)は、洗浄流路8内の湯水温度Thにかかわらず、浴槽洗浄運転中でない場合に直ちに実行開始するようにしてもよい。すなわち、
図2のステップS3(即湯開始温度Taの判断)を無くして、浴槽洗浄運転中でない場合(ステップS2で「No」)、ステップS4に処理を進め、開閉弁81を開弁させて即湯運転を実行開始させる。これにより、上流側湯水供給路7aに滞留した湯水を給湯器5から新たに供給される温かい湯水に速やかに置換することができる。
【0045】
また、即湯運転の実行停止(
図2のステップS7)は、洗浄流路8内の湯水温度Thにかかわらず、即湯運転の実行時間が一定時間経過した場合に実行停止するようにしてもよい。すなわち、
図2のステップS6での判断は、即湯運転の実行時間が即湯運転の実行開始(
図2のステップS4)から一定時間(例えば、1分間)を経過したか否かの判断とし、即湯運転の実行時間が一定時間経過した場合に、開閉弁81を閉弁(
図2のステップS7)させて即湯運転を実行停止させる。この場合、即湯運転の実行停止が早くて上流側湯水供給路7aに滞留した湯水のすべてが給湯器5から新たに供給される温かい湯水に置換されていないこともあり得るが、即湯運転を実行しない場合に比べて、給湯栓70を開くと短時間で温かい湯水の出湯が可能となる。
【0046】
また、即湯運転の実行中に、洗浄リモコン41の洗浄スイッチがオン操作されて浴槽洗浄運転の実行指示がされた場合、即湯運転を終了させて浴槽洗浄運転の実行を優先させるか、浴槽洗浄運転の実行指示を無効にして即湯運転の実行を優先させてもよい。
【0047】
また、洗浄ユニット3において、ポンプ32が作動停止状態の場合は貯留タンク31内の湯水が洗浄ノズル2に流れ込まない設置条件等であれば下流側開閉弁33を設けない構成であってもよい。
【0048】
(実施形態2)
実施形態2の浴槽洗浄装置1は、装置の全体構成としては実施形態1(
図1参照)と同じ構成を備え、即湯運転は、開閉弁81を常時開弁状態に保持させて洗浄流路8から湯水を貯留タンク31に連続的に供給させるが、実施形態1と異なり、洗剤を含まない湯水を洗浄ノズル2から連続的に流出させる動作モードにより実行する。すなわち、本実施形態2による即湯運転の動作は、
図2のステップS5において、下流側開閉弁33を開弁させ、ポンプ32を作動させる動作を行う。なお、洗剤弁91は閉弁状態に保持させる。これにより、貯留タンク31内の湯水をポンプ32によって洗浄ノズル2に供給させ、洗浄ノズル2からは洗剤を含まない湯水を連続的に流出させる。このとき、洗浄ノズル2から湯水を流出させる湯水流量は、流量センサ83の流量検出値に基づいてポンプ32の回転数を制御して、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズル2から湯水を噴射させる湯水流量よりも少ない低流量に設定される。例えば、即湯運転時に洗浄ノズル2から湯水を流出させる湯水流量は、浴槽洗浄運転時の1/2程度に抑制する。なお、流量センサ83を洗浄ユニット3に設けない構成の場合、浴槽洗浄運転時のポンプ32の回転数設定値に対し、即湯運転時は、ポンプ32の回転数を浴槽洗浄運転時における回転数設定値よりも低下させることで、洗浄ノズル2からの湯水流量を低流量にすることができる。
【0049】
実施形態2の浴槽洗浄装置1によれば、即湯運転の実行により洗剤を含まない湯水を洗浄ノズル2から連続的に流出させることで、貯留タンク31内の湯水をオーバーフロー排出流路35からはできる限り排出させないようにすることができる。そして、浴槽60内に浴槽水が貯留されている場合(排水栓61が閉じている。)には、即湯運転の実行により洗浄ノズル2から流出した湯水は排出されることなく浴槽60に貯留されるため、洗浄ノズル2から流出した湯水を浴槽60内の浴槽水として有効活用できる。洗浄ノズル2からは洗剤を含まない湯水を流出させるため、浴槽60内の浴槽水に洗剤が混入することもない。一方、浴槽60内に浴槽水が貯留されていない場合(排水栓61が開いている。)には、即湯運転の実行により洗浄ノズル2から流出した湯水は、浴槽60の内壁面に散布されるため、浴槽60の内壁面の清掃を兼ねることができ、洗浄ノズル2から流出した湯水を有効活用できる。
【0050】
また、即湯運転時に洗浄ノズル2から湯水を流出させる湯水流量は、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズル2から湯水を噴射させる湯水流量よりも少ない流量に設定することで、ユーザが浴槽60内の浴槽水に浸かっている入浴中であっても、洗浄ノズル2から流出する湯水が入浴中のユーザに勢いよく当たることがなく、ユーザの不快感を抑制できる。一方、浴槽60内に浴槽水が貯留されていない場合には、洗浄ノズル2から浴槽60外へ飛散する湯水を低減できるため、浴槽60外に飛散した湯水が浴室6内のユーザにかかり難くなりユーザの不快感を抑制できる。
【0051】
なお、即湯運転時の洗浄ノズル2からの湯水流量は、ポンプ32の回転数を制御して、浴槽洗浄運転時の洗浄ノズル2からの湯水流量と同等又は多い流量に設定されてもよい。この場合、貯留タンク31内の湯水を更にオーバーフロー排出流路35から排出させないようにして浴槽60で有効活用することができる。本実施形態2において、前述以外の構成、動作、作用効果、変形例等は実施形態1での説明を援用する。
【0052】
(実施形態3)
実施形態3の浴槽洗浄装置1は、装置の全体構成としては実施形態1(
図1参照)と同じ構成を備え、即湯運転は、実施形態1と異なり、給湯器5による湯はり運転の実行に連動して運転開始させる湯はり即湯連動運転を行う。
【0053】
湯はり即湯連動運転の動作は、
図3のフローチャートを参照して、ユーザが給湯リモコン54の湯はりスイッチをオン操作することにより、ステップS11で、制御装置4は、即湯運転を運転開始させる。一方、給湯器5では、給湯リモコン54の湯はりスイッチのオン操作により、風呂回路53を通じて浴槽60に所定量の湯水を貯留させる湯はり運転が実行される。なお、湯はり運転にて浴槽60に所定量の湯水を貯留させるには、所定の水量(例えば、200リットル)の湯水を貯留することだけでなく、浴槽60の所定の水位(例えば、レベル5)まで湯水を貯留することを含む。また、本明細書において、前記「即湯運転を運転開始」には、即湯運転を直ちに実行させること、いつでも即湯運転を実行可能な実行許可状態とすることを含むが、本実施形態3では、後者をいう。
【0054】
続くステップS12で、制御装置4は、湯はり運転が湯はり完了所定時間前(例えば、湯はり完了の5分前)になったか否かを判断する。ここで、浴槽洗浄装置1の制御装置4は給湯器5の制御部の制御信号を監視して給湯器5の制御部が出力する湯はり運転実行信号(例えば、湯はり運転進捗情報、湯はり運転残り時間情報等)を取得するか、給湯器5の制御部が湯はり運転の実行に伴って所定のタイミングで浴槽洗浄装置1の制御装置4に即湯運転実行指示信号を出力する等の構成とすることで、浴槽洗浄装置1の制御装置4は、湯はり完了所定時間前になったか否かを判断することができる。これにより、給湯器5による湯はり運転と浴槽洗浄装置1による即湯運転とを連動可能とする。
【0055】
ステップS12において、湯はり運転が湯はり完了所定時間前になっていない場合(ステップS12で「No」)、制御装置4は、即湯運転を待機状態とする。湯はり完了所定時間前になった場合(ステップS12で「Yes」)、制御装置4は、処理をステップS13に進め、即湯運転を実行させるための動作を行う。即湯運転を実行させる動作としてのステップS13からステップS19までの処理は、実施形態1において、
図2のステップS3からステップS9までの処理に相当する動作を行うが、実施形態3では、ステップS13で、洗浄流路8内の湯水温度Thが即湯開始温度Ta未満に低下していない場合(ステップS13で「No」)は即湯運転の実行を停止状態にし、ステップS18で、即湯運転の運転時間が保温設定時間Hを経過していない場合(ステップS18で「No」)は処理をステップS13に戻して即湯運転を継続させる。
【0056】
湯はり運転が完了すると浴槽60に所定量の湯水が貯留されて入浴可能となり、ユーザは、入浴に伴って浴室6でシャワーやカラン等の給湯栓70を使用することが想定される。従って、本実施形態3の浴槽洗浄装置1によれば、湯はり運転の実行に連動させて即湯運転を運転開始させることで、ユーザが入浴する頃には、上流側湯水供給路7a内に滞留した湯水が給湯器5から新たに供給された温かい湯水に置換されるようにすることができるため、入浴時に給湯栓70を使用する際には短時間で温かい湯水の出湯が可能となり、入浴の際における給湯栓70使用時のユーザの利便性及び快適性が向上する。
【0057】
なお、湯はり運転と連動した即湯運転の実行は、湯はり完了所定時間前(
図3のステップS12)に限らず、湯はり運転の実行開始と同時、湯はり運転実行中の任意の時点、湯はり運転の完了と同時、又は、湯はり運転の完了後所定時間内(例えば、湯はり運転完了して3分後等)のいずれかの時点であってもよい。
【0058】
また、前記した湯はり即湯連動運転は、給湯リモコン54の湯はりスイッチのオン操作で実行させるが(
図3のステップS11)、給湯リモコン54には、湯はり運転だけを実行させる湯はりスイッチと、前記湯はり即湯連動運転を実行させる湯はり即湯連動スイッチとをそれぞれ設けるようにしてもよいし、また、給湯リモコン54の湯はりスイッチがオン操作されたときに前記湯はり即湯連動運転を行う場合と湯はり運転だけを行う場合とに切り替えるスイッチを給湯器5の制御部又は浴槽洗浄装置1の制御装置4に設けたり、給湯リモコン54での設定によって前記切り替えができるようにしてもよい。
【0059】
また、本実施形態3における湯はり即湯連動運転では、湯はり運転が実行されるため、即湯運転の実行中に洗浄リモコン41で洗浄スイッチがオン操作されても浴槽洗浄運転の実行指示を無効とする。本実施形態3において、前述以外の構成、動作、作用効果、変形例等は実施形態1での説明を援用する。
【0060】
(実施形態4)
図4に示すように、実施形態4の浴槽洗浄装置1Aは、装置の全体構成において、実施形態1の浴槽洗浄装置1(
図1参照)と対比して、洗浄流路8には、貯留タンク31、ポンプ32及び下流側開閉弁33を有さず、温度センサ82の下流側に流量調整弁86が設けられており、給湯器5から供給される湯水の圧力(給水圧)を利用して洗浄ノズル2から浴槽60に湯水又は洗剤を含んだ湯水を噴射する直圧式の構成を備え、即湯運転の動作は、実施形態1、3と異なり、洗剤を含まない湯水を洗浄ノズル2から連続的に流出させる動作モードにより実行する。具体的に、本実施形態4による即湯運転の動作は、
図2のステップS5及び
図3のステップS15において、ポンプ32及び下流側開閉弁33に関する動作は無く、流量調整弁86の開度を調整する動作と、洗剤弁91を閉弁状態とする動作とを行い、それ以外のステップは、
図2及び
図3のフローチャートに従った処理の動作を行う。ここで、流量調整弁86の開度は、制御装置4により流量センサ83の流量検出値に基づいて設定されるが、このとき、即湯運転時に洗浄ノズル2から流出させる湯水流量は、浴槽洗浄運転時に洗浄ノズル2から噴射させる湯水流量よりも少ない低流量に設定される。この場合、前記低流量は、給湯器5が燃焼運転されるように給湯器5の点火水量以上の流量とする。
【0061】
実施形態4の浴槽洗浄装置1Aによれば、開閉弁81を開弁することにより、給湯器5から供給される湯水を上流側湯水供給路7a及び分岐湯水供給路71を通して浴槽洗浄装置1Aの洗浄流路8に供給させるように動作させて、上流側湯水供給路7aに滞留した湯水を給湯器5から新たに供給される温かい湯水に置換する即湯運転が実行される。この即湯運転の場合、洗浄流路8に流れる湯水は、ノズル流路21を通して洗浄ノズル2に供給されるが、洗剤弁91は閉弁状態であるため、洗剤を含まない湯水が連続的に洗浄ノズル2から噴射される。
【0062】
そして、即湯運転の実行後に湯水供給路7に接続する浴室6内の給湯栓70を開栓して使用する場合、上流側湯水供給路7aの温かい湯水が下流側湯水供給路7bを通って即時に給湯栓70から出湯される。従って、即湯運転を実行しない場合よりも短時間で温かい湯水を給湯栓70から出湯させることができるため、給湯栓70使用時のユーザの快適性が向上する。よって、本実施形態4の浴槽洗浄装置1Aによっても、新たな機能として即湯運転の機能が付加されることで、ユーザは、浴槽60を洗浄する浴槽洗浄運転の機能と、給湯栓70から温かい湯水を短時間で出湯させる即湯運転の機能とを使用することができ、ユーザの利便性が更に向上する。
【0063】
ところで、給湯器5からの給水圧で洗浄ノズル2から湯水を噴射させる直圧式の浴槽洗浄装置1Aの場合、前記即湯運転の際に、浴槽洗浄運転時の動作モードのように洗浄ノズル2から湯水を断続的に噴射させると、給湯器5から上流側湯水供給路7aに湯水が断続的に供給されるため、上流側湯水供給路7a内に湯水と水とが交互に形成される冷水サンドイッチが発生し、給湯栓70使用の初期に湯水と水とが交互に出湯されてしまう。
【0064】
本実施形態4の浴槽洗浄装置1Aによれば、即湯運転の実行中は、開閉弁81を常に開弁状態に保持させて洗浄ノズル2から湯水を連続的に流出させることで、上流側湯水供給路7aには給湯器5から湯水を連続的に供給されるため、前記冷水サンドイッチの発生を防止し、即湯運転の際、上流側湯水供給路7a内の湯水温度を均一に安定させることができる。従って、給湯栓70使用の初期から温かい湯水を安定して出湯させることができ、ユーザの快適性及び利便性を向上することができる。また、開閉弁81が開弁と閉弁とを繰り返すことがないため、開閉弁81の耐久性を低下させることがない。給湯器5でも作動と作動停止を繰り返すことがないため、給湯器5の耐久性を低下させることがない。このように、本実施形態4の浴槽洗浄装置1Aによる即湯運転の動作は、湯水のみを連続的に洗浄ノズル2から噴射させるため、洗剤を含んだ湯水を断続的に噴射させる浴槽洗浄運転の動作とは異なる動作モードとなる。
【0065】
なお、本実施形態4において、即湯運転時に洗浄ノズル2から流出させる湯水流量は、流量調整弁86の開度設定により浴槽洗浄運転時の湯水流量と同流量又は浴槽洗浄運転時の湯水流量よりも多い大流量としてもよい。これにより、上流側湯水供給路7aに滞留した湯水を給湯器5から新たに供給される温かい湯水に速やかに置換することができる。本実施形態4において、前述以外の構成、動作、作用効果、変形例等は実施形態1、3での説明を援用する。
【0066】
以上、実施形態について説明したが、本発明は、前記各実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲内で様々な変更を行うことが可能である。
例えば、即湯運転の開始(湯はり即湯連動運転では湯はり運転の開始)は、予約運転できるようにしてもよい。例えば、洗浄リモコン41又は給湯リモコン54で、1時間後、2時間後等のようなタイマー設定、あるいは、何時何分等の予約時間の設定をして、定刻になったときに運転開始させるようにする。
また、浴槽洗浄装置1,1A(洗浄リモコン41、制御装置4)や給湯器5(給湯リモコン54、制御部)は、インターネット、LAN等のネットワークを介して、スマートフォン等の携帯端末と通信可能に接続され、洗浄リモコン41や給湯リモコン54の操作以外に、携帯端末からの操作により浴槽洗浄装置1,1Aによる即湯運転が行われるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0067】
1,1A 浴槽洗浄装置
2 洗浄ノズル
3 洗浄ユニット
4 制御装置
5 給湯器(給湯源)
6 浴室
7 湯水供給路
7a 上流側湯水供給路
7b 下流側湯水供給路
8 洗浄流路
9 洗剤流路
21 ノズル流路
31 貯留タンク
32 ポンプ
33 下流側開閉弁
34 水位検知手段
35 オーバーフロー排出流路
41 洗浄リモコン
51 ガス供給管
52 給水路
53 風呂回路
54 給湯リモコン
60 浴槽
61 排水栓
62 排水スイッチ
63 排水栓駆動部
64 循環アダプタ
65 洗剤タンク
70 給湯栓
71 分岐湯水供給路
81 開閉弁
82 温度センサ
83 流量センサ
84a,84b 逆止弁
85 洗剤混合部
86 流量調整弁
91 洗剤弁