(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173308
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】飲料注出装置及び開閉機構
(51)【国際特許分類】
B67D 1/12 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B67D1/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091645
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000253503
【氏名又は名称】キリンホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100099645
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 晃司
(74)【代理人】
【識別番号】100104499
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 達人
(72)【発明者】
【氏名】加藤 克哉
(72)【発明者】
【氏名】岡田 博
【テーマコード(参考)】
3E082
【Fターム(参考)】
3E082AA04
3E082BB01
3E082DD01
3E082FF09
(57)【要約】
【課題】飲料の注出を停止する位置の範囲がより広い飲料注出装置を提供する。
【解決手段】飲料容器11から飲料を注出する飲料注出装置100は、飲料が流れる注出管121と、ユーザが注出停止位置P10と注出位置P11との間で移動させるレバー本体142と、レバー本体の移動に連動して注出管の内部流路を開閉するように移動し、レバー本体が位置する側から注出管に当接する第1当接部175を有する開閉部材171と、レバー本体を付勢し、第1当接部と注出管を挟むように注出管に当接する第2当接部184を有する付勢部材181とを備え、第2当接部は、注出管に沿う方向ADに延びる平坦面184A、又は第1当接部の移動の軌跡BDに沿った形状を有する凹面284Aを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置であって、
前記飲料が流れる注出管と、
ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、
前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、
前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、
前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する、飲料注出装置。
【請求項2】
前記平坦面は、前記レバー本体が前記注出停止位置にある状態で前記注出管に沿う方向に延びている、請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項3】
前記凹面は、前記レバー本体が前記注出位置から前記注出停止位置へ移動する場合の前記第1当接部の前記軌跡に沿った形状を有する、請求項1に記載の飲料注出装置。
【請求項4】
前記開閉部材は、前記注出管に当接する少なくとも一つのリブを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【請求項5】
前記第1当接部は、前記第1当接部が延びる方向と交差する方向に延びる少なくとも一つのスリットを有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【請求項6】
前記レバー本体は、オリフィス形成部と、前記開閉部材を受け入れる摺動溝とを有し、
前記オリフィス形成部と前記摺動溝との間に、少なくとも一つの突起が形成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【請求項7】
飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置において、前記飲料が流れる注出管を開閉する開閉機構であって、
ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、
前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、
前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、
前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する、開閉機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビール等を含む飲料を注出する飲料注出装置とその開閉機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置が記載されている。この飲料注出装置は、飲料が流れる可撓性の注出管と、注出停止位置と注出位置との間で移動可能なレバー本体とを備えている。また、飲料注出装置は、ユーザによるレバー本体の移動に連動して、注出管内の流路を開閉するように移動する開閉部材と、この開閉部材の移動を案内する案内部とを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の飲料注出装置において、レバー本体が飲料の注出を停止する位置にある状態では、ユーザによるレバー本体の位置変更によって開閉部材の上側当接部と付勢部材の下側当接部とに注出管が挟まれる。これにより、挟まれた注出管が押し潰されて、注出管内の流路が閉鎖される。このとき、当該上側当接部と当該下型当接部の位置は当該レバー本体の位置に従って変位する。そのため、ユーザのレバー操作の勢いが過剰または過少な場合を繰り返すと、流路の閉鎖が不完全となることがあった。そこで、発明者らが鋭意、流路の閉鎖の確実さを高める手段を検討したところ、当該レバー本体の注出停止位置と注出管の相対的位置の安定性をさらに高めることが有効なことを見出した。詳細には、飲料の注出を停止可能にするレバー本体の位置の範囲がより広い飲料注出装置にするとともに、注出管の位置がユーザの様々な操作に対しより変位しにくい飲料注出装置にする機構を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様に係る飲料注出装置は、飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置であって、前記飲料が流れる注出管と、ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する。
【0006】
また、他の一態様に係る開閉機構は、飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置において、前記飲料が流れる注出管を開閉する開閉機構であって、ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図8】比較例として注出停止時のケースの幅方向における中央部を通る断面を示す概略断面図。
【
図9】比較例として注出時のケースの幅方向における中央部を通る断面を示す概略断面図。
【
図10】比較例として泡注出時のケースの幅方向における中央部を通る断面を示す概略断面図。
【
図11】第2実施形態に係る下側当接部の概略側面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための例示的な実施形態を、図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下の実施形態において説明する寸法、材料、形状及び構成要素の相対的な位置は任意に設定でき、本発明が適用される装置又は方法の構成又は様々な条件に応じて変更できる。また、特別な記載がない限り、本発明の範囲は、以下に具体的に記載された実施形態に限定されない。なお、本明細書においては、後述するレバー本体142が位置する側を上側とした場合、その反対側が下側に対応する。また、後述するボトル11が位置する側を上流側とした場合、後述するノズル131が位置する側が下流側に対応する。
【0009】
[第1実施形態]
図1を参照して、飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置の一例である飲料サーバ100について説明する。なお、飲料注出装置には飲料注出用のガスの供給装置12を備える。
【0010】
飲料サーバ100は、飲料が流れる注出管の一例としてチューブ121を備えている。そして、飲料サーバ100は、飲料容器の一例としてのボトル11と組み合わされることにより、ボトル11から飲料を注出する用途に供される。ボトル11は、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂製である。代替的に、ボトル11は、他の樹脂、金属、又はガラスから形成されていてもよい。また、ボトル11には、任意の飲料が充填されており、一例としてビール等の発泡性飲料がボトル11に充填されている。
【0011】
また、ボトル11の容量は、家庭的又は個人的な消費、あるいは小規模の料飲店における消費に適している。一例として、ボトル11の容量は、1000mLから50000mLである。さらに、飲料サーバ100は、ボトル11を収容して保持する保持手段の一例として、ケース又はホルダ等の保持容器を備えている。そして、ボトル11は、保持容器によって一定の姿勢に保持される。また、保持容器の内部には、ボトル11の中の飲料を冷却する冷却ユニットを設置してもよい。
【0012】
また、飲料サーバ100は、ボトル11の内部へ飲料注出用のガス(例えば炭酸ガス)を供給するガスボンベ等の供給装置12を備えている。ただし、飲料サーバ100は、ボトル11及び供給装置12の少なくとも一方に代えて又は加えて、外部の飲料容器又はガス供給装置に接続されていてもよい。例えば、飲料サーバ100が冷却ユニットを備える場合、飲料サーバ100は、可撓性チューブまたは硬質の配管によって外部の飲料容器に接続される。
【0013】
さらに、飲料サーバ100は、ボトル11の口部に装着されるアダプタ150を備えている。そして、飲料サーバ100は、注出機構の一例であるヘッド120を備えている。このヘッド120は、アダプタ150に連結されて、ボトル11から飲料を注出するために用いられる。
【0014】
アダプタ150は、供給装置12と接続されたガス配管15と接続されるガスポート153を有している。このガス配管15は、ガス配管継手152によってガスポート153に接続される。また、ガスポート153の内部には、供給装置12へ戻る方向のガスの流れを阻止する逆止弁154が配置されている。
【0015】
一例として、逆止弁154は、ガスポート153内に気密的に装着されるとともに、アダプタ150の内側に向かうに従って互いに徐々に接近するように傾斜した弾性体を有している。そして、弾性体には、幅が狭い直線状の隙間が形成されている。この隙間は、一方向からの圧力を受けて開き、他方からの圧力を受けて閉じるように機能する。具体的に、弾性体の隙間は、ガス配管15の内部圧力が、アダプタ150およびボトル11の内部圧力よりも相対的に高い場合に開くように機能する。そして、弾性体の隙間は、ガス配管15の内部圧力が、アダプタ150およびボトル11の内部圧力よりも相対的に低い場合に閉じるように機能する。
【0016】
さらに、アダプタ150は、後述するチューブ121に接続される接続ジョイントの一例としてシャンク155を有している。このシャンク155は、アダプタ150の中央から突出している。また、シャンク155には、ボトル11の内部に挿入され且つ飲料を吸い上げる取出管の一例であるダウンチューブが接続される。
【0017】
ヘッド120は、アダプタ150との接続部材の一例としてナット124を有している。このナット124の内側には、ナットジョイントが配置されている。そして、ナット124は、ナットジョイントによってチューブ121をシャンク155に接続する。また、ヘッド120は、ユーザが操作して移動する操作レバー141を備えている。さらに、ヘッド120は、ケース160を備えており、ケース160には操作レバー141の下方において飲料が流れ出るノズル131が設けられている。
【0018】
[注出機構]
続いて
図2から
図4を参照してヘッド120についてより詳細に説明する。
図2は、レバー本体142が注出停止位置P10にある場合の、ヘッド120の概略断面図である。
【0019】
ヘッド120は、ユーザが注出停止位置P10と
図7に示す注出位置P11との間で移動させるレバー本体142を有している。また、ヘッド120は、チューブ121の内部の流路を開閉する開閉機構126を備えている。この開閉機構126は、ユーザが操作して移動させるレバー本体142の移動に連動して、チューブ121の内部にある不図示の内部流路を開閉する。そのために、レバー本体142の移動に連動して、開閉部材の一例であるスライダー171が移動する。具体的に、スライダー171によってチューブ121を押し潰すことにより、チューブ121の内部流路を閉鎖する。なお、チューブ121は、軟質の可撓性樹脂によって形成されている。可塑性樹脂として例えばシリコーンゴムがあるがこれに限られない。
【0020】
レバー本体142の上部は、ユーザが手によって操作して移動させる操作レバー141の内部に挿入されている。そして、レバー本体142は、操作レバー141の外筒に形成されているレバー雌ねじ部に対して連結される。
【0021】
また、ヘッド120は、ケース160の内部に収容されるベース161(不図示)を有している。さらに、ヘッド120は、弾性部材の一例である圧縮コイルばね191を有している。この圧縮コイルばね191は、ベース161によって回転可能に支持されている付勢部材の一例であるサスペンション181を、レバー本体142に向かって付勢する。そして、ベース161は、圧縮コイルばね191の一端を受け入れている。
【0022】
なお、弾性部材は、圧縮コイルばね191に限られず、弾性ゴム等の他の部材であってもよい。また、一例として、ヘッド120が有する、レバー本体142、ケース160、ベース161、スライダー171、及びサスペンション181等の各部材は、硬質樹脂によって形成されている。硬質樹脂として例えばポリオキシメチレンがあるがこれに限られない。
【0023】
[比較例]
図8から
図10を参照して、従来技術としての比較例に係る飲料注出装置における開閉機構26について説明する。なお、各実施形態に係る飲料注出装置における開閉機構126は、比較例に係る開閉機構26と同様に動作するため、その動作の説明は省略する。また、
図8から
図10においては、説明の便宜上、押し潰される前のチューブ21を破線で示している。また、ベース61に形成されており、開閉部材のガイドピン72を案内するガイド溝63の一部を破線で示している。
【0024】
開閉機構26は、ユーザが操作して移動させるレバー本体42の移動に連動して、チューブ21の内部流路を開閉する。そのために、レバー本体42の移動に連動して、開閉機構26の開閉部材が移動する。具体的に、レバー本体42が、
図8に示す注出停止位置P0にあるときには、開閉部材の上側当接部75がチューブ21を押し潰して流路を閉鎖する。また、レバー本体42が、
図9に示す注出位置P1にあるときには、上側当接部75がチューブ21から離れる方向に移動して流路を開放する。さらに、レバー本体42が、
図10に示す泡注出位置P2にあるときには、上側当接部75がチューブ21から離れる方向に移動して、流路の一部を開放する。
【0025】
図8に示すように、レバー本体42が注出停止位置P0にある場合、上側当接部75はチューブ21に向かって突出している。そして、チューブ21は、この上側当接部75と付勢部材81の下側当接部84との間に挟まれた状態で、その内部空間が閉塞するように弾性変形される。これにより、チューブ21の内部における飲料の流れが阻止され、飲料の注出が停止する。
【0026】
また、レバー本体42が注出停止位置P0にあるとき、
図8に示すように矢印Aで示すチューブ21からの上方反力が上側当接部75に加わり、ガイドピン72はガイド溝63の上側内壁に押し付けられる。そして、当該上方反力と当該上側内壁に働く抗力がつりあった状態で安定するようにガイド溝63の形状が選定されているため、開閉部材はベース61に対して一定の位置に留まる。
【0027】
また、矢印Bで示すチューブ21からの下方反力は、付勢部材81の下側当接部84に加わる。これにより、付勢部材81には、付勢回動軸83を中心に圧縮コイルばね91に向かって回動する方向に力が加わる。一方、付勢部材81は圧縮コイルばね91によって付勢され、レバー本体42に向かって移動する方向に力が加わる。そのため、矢印Cで示す方向に付勢ピン87がレバー本体42を付勢する方向に力が加わる。これにより、レバー本体42には、レバー回動軸45を中心に注出位置P1に向かって回動する方向に力が加わる。
【0028】
そのため、レバー本体42の下部が付勢部材81に近づく方向、つまり矢印Cで示す方向とは反対方向に、レバー本体42が付勢ピン87を押すことになる。レバー本体42が付勢ピン87を押すことによって、圧縮コイルばね91が縮まると圧縮コイルばね91が付勢する力が強くなる。その結果、付勢ピン87がレバー本体42を付勢する力と、レバー本体42が付勢ピン87を押す力とが釣り合う。これにより、レバー本体42は、移動せずに注出停止位置P0に留まる。
【0029】
また、レバー回動軸45を中心に注出位置P1に向かって回動する方向に力が加わると、矢印Dで示す方向においてレバー本体42から開閉部材にも力が加わる。しかし、この力は、開閉部材とレバー本体42の摺動溝との間に働く摩擦力等によって打ち消される。そのため、開閉部材は、チューブ21を押し潰す位置に留まる。
【0030】
飲料を注出する場合、ユーザは、レバー本体42を操作して注出停止位置P0から
図9に示す注出位置P1に向かって移動させる。レバー本体42が注出停止位置P0から矢印Eに示す方向に移動すると、開閉部材が上方に押される。そのため、ガイドピン72がガイド溝63の延在部63Aから湾曲部63Bへと案内されて、上側当接部75がチューブ21から離れる方向に移動する。そして、レバー本体42が注出位置P1に到達すると、ガイドピン72はガイド溝63の湾曲部63Bの上端部に位置する。
【0031】
レバー本体42の移動時に、レバー本体42は、圧縮コイルばね91の付勢力に抗して付勢部材81の付勢ピン87を付勢する。そして、レバー本体42が注出位置P1に向かってさらに移動すると、レバー本体42のレバーピン47が
図9における右方向に移動して、付勢部材81の突出部86の先端に乗り上がる。その後、レバーピン47は、圧縮コイルばね91の付勢力に抗して突出部86を付勢する。
【0032】
これにより、圧縮コイルばね91が縮むとともに、付勢部材81が付勢回動軸83を中心に圧縮コイルばね91に向かって回動する。その結果、付勢部材81の下側当接部84は、チューブ21から離れる方向に移動する。そのため、チューブ21は、自らの弾性によって元の形状に復帰する。これにより、チューブ21の内部流路の閉塞が解除されるため、チューブ21の内部を通る飲料の流れが許容され、チューブ21を通って飲料が注出される。
【0033】
レバー本体42が注出位置P1に到達すると、圧縮コイルばね91の付勢力によって矢印Gで示す方向に突出部86がレバーピン47を付勢する。これにより、レバー本体42には、レバー回動軸45を中心に矢印Fに示す方向に回動する方向に力が加わる。そのため、レバー本体42によって開閉部材が上方に向かって押される。しかし、開閉部材のガイドピン72はガイド溝63の湾曲部63Bの一部に当接しているため、開閉部材の摺動は規制される。その結果、レバー本体42は注出位置P1において保持され、レバー本体42の移動が制限される。
【0034】
飲料の注出を停止する場合、ユーザは、レバー本体42を操作して注出位置P1から
図8に示す注出停止位置P0に向かって移動させる。レバー本体42が注出位置P1から矢印Fに示す方向に移動すると、開閉部材が下方に押される。そのため、ガイドピン72がガイド溝63の湾曲部63Bから延在部63Aの方向へと案内されて、開閉部材がチューブ21に近づく方向に摺動する。そして、レバー本体42が注出停止位置P0に到達すると、ガイドピン72はガイド溝63の
図8に示す位置まで案内される。
【0035】
また、レバー本体42の移動時に、付勢部材81の突出部86は、圧縮コイルばね91の付勢力によってレバー本体42のレバーピン47を付勢する。レバー本体42が注出停止位置P0に向かってさらに移動すると、レバーピン47が突出部86の上方に移動して、
図9における左方向に移動する。これにより、レバーピン47は、突出部86の先端から離れる。その後、付勢部材81の付勢ピン87は、圧縮コイルばね91の付勢力によってレバー本体42を付勢する。これにより、圧縮コイルばね91が伸びるとともに、付勢部材81が付勢回動軸83を中心にレバー本体42に向かって回動する。そして、レバー本体42が注出停止位置P0に到達すると、
図8に示すように下側当接部84と上側当接部75とがチューブ21を押し潰す。
【0036】
泡を注出する場合、ユーザは、レバー本体42を操作して注出停止位置P0から
図10に示す泡注出位置P2に向かって移動させる。レバー本体42が注出停止位置P0から矢印Hに示す方向に移動すると、レバー本体42によって、開閉部材が
図10における左方向に押される。そのため、ガイドピン72がガイド溝63の延在部63Aに案内されて、開閉部材が付勢部材81に近づく方向に摺動する。
【0037】
レバー本体42の移動時に、レバー本体42は、圧縮コイルばね91の付勢力に抗して付勢部材81の付勢ピン87を付勢する。これにより、圧縮コイルばね91が縮むとともに、付勢部材81が付勢回動軸83を中心に圧縮コイルばね91に向かって回動する。その結果、付勢部材81の下側当接部84は、チューブ21から離れる方向に移動する。そのため、チューブ21は、自らの弾性によって元の形状に復帰しようとする。そして、チューブ21の内部流路の閉塞が解除され、チューブ21の内部を通る飲料及び泡の流れが許容される。
【0038】
レバー本体42が泡注出位置P2に到達すると、チューブ21の内部にオリフィスを形成する位置において、レバー本体42の移動が規制される。具体的に、レバー本体42のオリフィス形成部48がチューブ21に押し込まれると、チューブ21の外方への弾性変形はベース61によって制限される。そのため、チューブ21は、オリフィス形成部48の両側において上方に向かって丸みを帯びるようにして左右対称的に弾性変形する。これにより、オリフィス形成部48の周辺には、断面積が小さいオリフィスが生じる。その結果、飲料の流れる方向におけるオリフィスの下流と上流との間で飲料の圧力差が拡大する。これにより、飲料泡が生成され、チューブ21を通って泡が注出される。
【0039】
泡の注出を停止する場合、ユーザは、レバー本体42に加えていた力を解除する。そして、レバー本体42が泡注出位置P2にあるときには、圧縮コイルばね91の付勢力によって、付勢部材81の付勢ピン87がレバー本体42を付勢する。これにより、レバー本体42は、レバー回動軸45を中心に矢印Iで示す方向に回動する。そのため、ユーザが力を加えなくとも、レバー本体42は、注出停止位置P0に向かって移動する。
【0040】
レバー本体42が泡注出位置P2から矢印Iに示す方向に移動すると、開閉部材が
図10における右方向に押される。そのため、ガイドピン72がガイド溝63の延在部63Aにおいて案内されて、開閉部材が付勢部材81から離れる方向に摺動する。そして、レバー本体42が注出停止位置P0に到達すると、ガイドピン72はガイド溝63の
図8に示す位置に移動する。
【0041】
注出停止位置P0へと移動すると、圧縮コイルばね91が伸びるとともに、付勢部材81が付勢回動軸83を中心にレバー本体42に向かって回動する。その結果、付勢部材81の下側当接部84は、チューブ21に近づく方向に移動する。そして、レバー本体42が注出停止位置P0に到達すると、
図8に示すように下側当接部84と上側当接部75とがチューブ21を押し潰す。これにより、チューブ21の内部における飲料の流れが阻止され、泡の注出が停止される。
【0042】
[注出管の変位]
ユーザは、
図10の泡注出位置P2から
図8の注出停止位置P0へとレバー本体42を移動させることがある。この場合、チューブ21とオリフィス形成部48との間に発生する摩擦力に起因して、チューブ21は、
図10に示す上流方向UDに向かって押し上げられる。そのため、チューブ21の少なくとも一部は、オリフィス形成部48によって、上流方向UDに向かって変位する可能性がある。
【0043】
また、ユーザは、
図8の注出停止位置P0から
図9の注出位置P1へとレバー本体42を移動させることがある。この場合、チューブ21と上側当接部75との間に発生する摩擦力に起因して、チューブ21は、上流方向UDに向かって押し上げられる。そのため、チューブ21の少なくとも一部は、上側当接部75によって、上流方向UDに向かって変位する可能性がある。
【0044】
さらに、ユーザは、
図8の注出停止位置P0から
図10の泡注出位置P2へとレバー本体42を移動させることがある。この場合、チューブ21とオリフィス形成部48との間に発生する摩擦力に起因して、チューブ21は、上流方向UDとは反対方向に向かって押し下げられる。そのため、チューブ21の少なくとも一部は、オリフィス形成部48によって、当該反対方向に向かって変位する可能性がある。
【0045】
また、ユーザは、
図9の注出位置P1から
図8の注出停止位置P0へとレバー本体42を移動させることがある。この場合、チューブ21と上側当接部75との間に発生する摩擦力に起因して、チューブ21は、上流方向UDとは反対方向に向かって押し下げられる。そのため、チューブ21の少なくとも一部は、上側当接部75によって、当該反対方向に向かって変位する可能性がある。
【0046】
これに対して、各実施形態に係る飲料サーバ100は、飲料の注出を停止する操作レバー141の位置の範囲を広げることができると共に、注出管の変位を抑制できる。 以下、このような飲料サーバ100について、より詳細に説明する。
【0047】
[レバー]
飲料サーバ100の説明に戻り、
図2及び
図3を参照してレバー本体142について説明する。なお、
図3は、下方から見たレバー本体142の下端部の概略斜視図である。
【0048】
図3に示すように、レバー本体142の下部の両側には、開閉部材の一例であるスライダー171を受け入れる摺動溝143が形成されている。この摺動溝143の内側の幅は、スライダー171の幅よりもわずかに大きい。そのため、スライダー171は、摺動溝143に沿って摺動できる。また、摺動溝143の内側には、円柱状のレバー回動軸145が突出している。そして、レバー回動軸145は、上方へ移動したスライダー171の係合溝173と係合する。なお、レバー本体142には、サスペンション181と面する位置に矩形状の開口部が形成されている。
【0049】
また、レバー本体142は、チューブ121を押し潰してオリフィスを形成するオリフィス形成部148を有している。このオリフィス形成部148は、レバー本体142の下方に向かって突出している。また、オリフィス形成部148の両側には、ベース161の一部と当接する平面部が形成されている。さらに、オリフィス形成部148の先端は、チューブ121を傷付けることがないように丸みを帯びている。そして、チューブ121を横断する方向において、オリフィス形成部148の幅はチューブ121の幅よりも短く設定されている。
【0050】
上述したように、レバー本体142は、オリフィス形成部148と、スライダー171を受け入れる摺動溝143とを有している。そして、
図3に示すように、レバー本体142のオリフィス形成部148と摺動溝143との間には、少なくとも一つの突起149が形成されている。すなわち、オリフィス形成部148に対して摺動溝143側にあるレバー本体142の端面に、突起149が形成されている。一例として、
図3に示すレバー本体142は、複数の突起149として四つの突起149を有している。代替的に、突起149は一つから三つ又は五つ以上であってもよい。
【0051】
また、各突起149は角柱であるが、その他の任意の形状を有する立体であって例えば円柱又は半球等であってもよい。また、複数の突起149のうち、オリフィス形成部148に近い位置に形成されている突起149は、オリフィス形成部148から遠い位置に形成されている突起149よりも下方に突出する突出方向の高さが高い。さらに、各突起149の高さは、オリフィス形成部148から離れるにつれて低くなるように設定されている。ただし、各突起149の高さは、オリフィス形成部148からの距離に関わらず同じであってもよい。
【0052】
各突起149が形成されていることにより、突起149がチューブ121と接触するため、チューブ121が上流方向UDに向かって押し上げられることを抑制できる。また、泡を注出するためにユーザがレバー本体142を移動させる際に、レバー本体142の下面とチューブ121との接触面積を低減できる。そのため、レバー本体142とチューブ121との間に発生する摩擦力を低減して、チューブ121の変位を抑制できる。すなわち、チューブ121の下面に加わる摩擦抵抗が、チューブ121の上面に加わる摩擦抵抗よりも大きくなることによって、チューブ121の押し上げを抑制できる。この機構により、ユーザのレバー本体142の操作の勢いが過剰な場合であっても、確実にチューブ121の位置を安定的に維持できるようになる。
【0053】
なお、レバー本体142のチューブ121に対向する部分は、オリフィス形成部148以外は、チューブ121から離れた位置に設計することが望ましい。これにより、レバー本体142をコンパクトにできるとともに、ユーザがチューブ121をヘッド120に装着する際の操作を簡便に行えるようになる。
【0054】
[開閉部材]
図2及び
図4を参照して、スライダー171について説明する。なお、
図4は、下方から見たスライダー171の概略斜視図である。
【0055】
スライダー171は、レバー本体142の移動に連動してチューブ121の内部流路を開閉するように移動する。さらに、スライダー171は、レバー本体142が位置する側からチューブ121に当接する第1当接部の一例として、上側当接部175を有している。具体的に、
図4に示すスライダー171は、レバー回動軸145に向かって上方に突出するとともに、摺動溝143に受け入れられる一対の摺動部分174を有している。また、各摺動部分174にはU字状の係合溝173が形成されており、レバー回動軸145が当該係合溝173に挿入される。そして、スライダー171は、レバー本体142の係合溝173の内側において、
図2における上下方向に摺動する。
【0056】
さらに、スライダー171は、チューブ121を横断する方向に延びる上側当接部175を有している。そして、スライダー171がチューブ121に向かって下方へ移動すると、上側当接部175がチューブ121に向かって突出する。そして、チューブ121は、この上側当接部175とサスペンション181の下側当接部184との間に挟まれた状態で、その内部空間が閉塞するように弾性変形される。これにより、チューブ121の内部における飲料の流れが阻止され、飲料の注出が停止する。一方、スライダー171がチューブ121から離れて上方へ移動すると、チューブ121の内部流路の閉塞が解除される。そのため、当該内部流路を通る飲料の流れが許容され、チューブ121を通って飲料が注出される。
【0057】
また、上側当接部175は、摺動部分174の間を横切って延びるとともに下方に向かって突出し、チューブ121に上方から当接する。そして、上側当接部175の幅は、チューブ121の横断方向において、チューブ121の幅よりも長く設定されている。また、上側当接部175の先端は、チューブ121を傷付けることがないように丸みを帯びている。さらに、スライダー171は、円柱状のガイドピン172を有している。そしてガイドピン172は、スライダー171の両側から突出している。
【0058】
図4に示すように、スライダー171は、チューブ121に当接する少なくとも一つのリブ178を有する。一例として、スライダー171には三つのリブ178が形成されており、各リブ178は円弧状の外形を有している。そして、リブ178により、ユーザがレバー本体142を移動させる際に、スライダー171とチューブ121との接触面積を低減できる。そのため、スライダー171とチューブ121との間に発生する摩擦力を低減して、チューブ121の変位を抑制できる。代替的に、各リブ178は、少なくとも一部に直線状の外形を有していてもよい。
【0059】
また、リブ178は、スライダー171の上流側、すなわちオリフィス形成部148に近い側に形成されている。そのため、特にチューブ121が上流方向UDに向かって押し上げられることを抑制できる。さらに、リブ178は、スライダー171の上流側の面から上側当接部175までの範囲に形成されている。代替的に、リブ178は、スライダー171の上流側の面に加えて、スライダー171の下流側の面に形成されていてもよい。
【0060】
また、上側当接部175は、上側当接部175が延びる方向と交差する方向に延びる少なくとも一つのスリット179を有している。当該スリット179は、上側当接部175が延びる方向と交差する方向に延びており、
図4の例では上側当接部175が延びる方向と直交する方向に延びている。すなわち、スリット179は、チューブ121の横断方向と直交する方向に延びている。
【0061】
一例として、上側当接部175には八つのスリット179が形成されている。また、複数のスリット179の一部は、リブ178の一部の両側に形成されている。さらに、他のスリット179の両側には、リブ178よりも小さい複数の小型リブが形成されている。すなわち、スリット179は、小型リブ同士の間、又はリブ178と小型リブとの間に形成されている。スリット179が形成されていることにより、ユーザがレバー本体142を移動させる際に、スライダー171の上側当接部175とチューブ121との接触面積を低減できる。そのため、上側当接部175とチューブ121との間に発生する摩擦力を低減して、チューブ121の変位を抑制できる。
【0062】
[付勢部材]
図2及び
図5を参照して、サスペンション181について説明する。なお、
図5は、上方から見たサスペンション181の下端部分の概略斜視図である。
【0063】
図2に示すように、レバー本体142を付勢するサスペンション181は、L字状の外形を有しており、圧縮コイルばね191によってレバー本体142に向かって付勢され、付勢回動軸183を中心に回動する。この付勢回動軸183は、サスペンション181が有する円柱状の部材である。また、サスペンション181のレバー本体142側とは反対側の部分には、圧縮コイルばね191の端部を受け入れる円状の穴である受け部が形成されている。
【0064】
また、サスペンション181は、第2当接部の一例である下側当接部184を有している。この下側当接部184は、スライダー171の上側当接部175とチューブ121を挟むように、チューブ121に当接する。また、
図5に示すように、下側当接部184は、チューブ121に沿う方向ADに延びる平坦面184Aを有する。なお、平坦面184Aは、
図7に示す沿う方向ADと平行に延びる平面を含むが、沿う方向ADと平行ではない部分を含んでいてもよい。このような平坦面184Aを有することによって、下側当接部184と上側当接部175にチューブ121が挟まれる領域が広くなる。そのため、レバー本体142は、
図2において一点鎖線によって示す注出停止位置P10から所定の閉止範囲に渡って、注出を停止した状態で移動することができる。
【0065】
そして、レバー本体142の中心軸が閉止範囲にある場合には、下側当接部184と上側当接部175がチューブ121を押し潰して流路を閉鎖する。これにより、レバー本体142によって飲料の注出が停止する位置の範囲を広げることができる。
【0066】
また、平坦面184Aは、レバー本体142が注出停止位置P10から所定の閉止範囲にある状態で、チューブ121に沿う方向ADに延びている。これにより、ユーザが、閉止範囲において、レバー回動軸145を中心にレバー本体142を回動しても、飲料の注出が停止した状態を維持できる。
【0067】
さらに、平坦面184Aによって、チューブ121と下側当接部184との接触面積を増加できる。これにより、レバー本体142とチューブ121との間に発生する摩擦力に対して、チューブ121と下側当接部184との間に発生する摩擦力を相対的に高くできる。そのため、チューブ121がレバー本体142によって押し上げられることを抑制して、チューブ121の変位を抑制できる。代替的に、下側当接部184は、平坦面184Aに代えて複数の凹凸が形成されている凹凸面を有していてもよい。これにより、チューブ121と下側当接部184との間に発生する摩擦力を相対的に高めることができる。この機構により、ユーザのレバー本体142の操作の勢いが過剰な場合であっても、確実にチューブ121の位置を安定的に維持できるようになる。
【0068】
なお、サスペンション181の突出部186は、レバー本体142の矩形状の開口部に挿入されている。そして、レバー本体142のレバーピン147は、当該開口部を横断している。そのため、レバーピン147は、飲料の注出時に、圧縮コイルばね191によって付勢される突出部186と当接する。さらに、サスペンション181の付勢ピン187は、レバー本体142におけるオリフィス形成部148側とは反対側において、レバー本体142と当接する。
【0069】
[ベース]
図2、及び
図6を参照してヘッド120のベース161について説明する。なお、
図6は、ベース161の内面を示す概略図である。また、
図6は、ベース161の一対の壁部165のうち一方のみを示している。
【0070】
図6に示すように、ベース161は、チューブ121を保持する保持部を有している。そして、保持部には、断面U字状の湾曲溝が形成されている。この湾曲溝は、チューブ121の外形と相補的な形状を有しており、ノズル131に向かって下方に傾斜している。また、ベース161には、湾曲溝を挟むようにストッパー部が形成されている。このストッパー部は、泡を注出するときにレバー本体142の移動を規制する。具体的に、ユーザがレバー本体142を移動すると、オリフィス形成部148の両側の平面部とストッパー部が当接する。これにより、チューブ121の内部に適切な大きさのオリフィスを形成する位置で、レバー本体142の移動が規制される。
【0071】
また、ベース161には、スライダー171の移動を案内する案内部の一例としてガイド溝163が形成されている。このガイド溝163は、スライダー171のガイドピン172を受け入れるように、ベース161において対向する一対の壁部165にそれぞれ形成されている。そして、ガイドピン172は、ベース161の両側に形成されたガイド溝163に挿入される。ガイドピン172は、レバー本体142が移動するとガイド溝163によって案内される。そして、スライダー171は、レバー本体142の係合溝173の内部において上下方向に摺動する。
【0072】
[開閉機構]
続いて
図2及び
図7を参照して、開閉機構126について説明する。
図7は、レバー本体142が注出位置P11にある場合の、ヘッド120の概略断面図である。そのため、
図7においてはベース161の一対の壁部165の一方が図示されていない。なお、
図7においては、説明の便宜上、チューブ121を破線によって示している。
【0073】
図2及び
図7に示すように、チューブ121は、ナット124、及びベース161を通るようにヘッド120に保持される。そして、チューブ121の一端は、
図1に示すシャンク155に接続されている。また、チューブ121は、ヘッド120の内部を経由して下方に曲げられて、
図1に示すノズル131へと延びている。そして、ガス圧によってボトル11から送り出される飲料は、チューブ121の内部流路を通ってヘッド120のノズル131へと導かれる。このとき、チューブ121の先端部が、注出口として機能する。代替的に、ノズル131が注出口として機能してもよい。この場合、チューブ121の先端部から注出口までの流路は、ノズル131に形成されてもよい。
【0074】
そして、開閉機構126のレバー本体142は、
図2に示す注出停止位置P10から、
図7において一点鎖線によって示す注出位置P11まで移動することができる。注出位置P11は、注出停止位置P10に対してナット124から離れる方向にレバー本体142を移動させた位置である。また、レバー本体142は、泡注出位置へと、注出停止位置P10からナット124に近づく方向に移動させることができる。
【0075】
また、注出を停止する場合、ユーザは、注出位置P11から注出停止位置P10までレバー本体142を移動させることができる。レバー本体142を移動させると、開閉機構126においては、レバー本体142が付勢ピン187を押すことになる。そして、レバー本体142が付勢ピン187を押すことによって、圧縮コイルばね191が縮まると圧縮コイルばね191が付勢する力が強くなる。その結果、付勢ピン187がレバー本体142を付勢する力と、レバー本体142が付勢ピン187を押す力とが釣り合う。これにより、レバー本体142は、注出停止位置P10から移動せずに留まることになる。
【0076】
また、収容部として機能するベース161は、レバー本体142の下部と、スライダー171と、サスペンション181とを収容している。そして、開閉機構126においては、レバー本体142の移動に連動して、チューブ121の内部流路を開閉するようにスライダー171が移動する。これにより、ベース161の内部に配置されたチューブ121の内部流路が開閉される。具体的に、レバー本体142が注出停止位置P10にあるときには、スライダー171がチューブ121を押し潰して流路を閉鎖する。一方、レバー本体142が注出位置P11へ移動すると、スライダー171がチューブ121から離れる方向に移動して流路を開放する。
【0077】
以上説明した第1実施形態に係る飲料サーバ100によれば、飲料の注出を停止する操作レバー141の位置の範囲がより広い飲料注出装置を提供できる。また、第1実施形態に係る飲料サーバ100は、チューブ121の変位を抑制できる。
【0078】
[第2実施形態]
図11を参照して第2実施形態について説明する。第2実施形態は、付勢部材の下側当接部284が上側当接部175の移動の軌跡BDに沿った形状を有する凹面284Aを有する点において、第1実施形態と異なる。なお、
図11は、レバー本体142が注出停止位置P10にある場合の、下側当接部284を拡大して示す概略側面図である。また、第2実施形態の説明においては、第1実施形態との相違点について主に説明し、既に説明した構成要素については同じ参照番号を付し、その説明を省略する。特に説明した場合を除き、同じ参照符号を付した構成要素は同一の動作及び機能を奏し、その作用効果も同一である。
【0079】
図11に示すように、凹面284Aは、レバー本体142が
図7に示す注出位置P11から
図2に示す注出停止位置P10へ移動する場合の上側当接部175の移動の軌跡BDの一部に沿って湾曲した形状を有する。具体的に、凹面284Aは、
図11において下方に向かって凹むように湾曲している。そして、上側当接部175の先端は、レバー本体142が注出位置P11から注出停止位置P10へ移動する際に、軌跡BDの上を通って移動する。なお、凹面284Aの湾曲形状は、軌跡BDと平行に延びる形状を含むが、凹面284Aに軌跡BDと平行ではない部分が含まれていてもよい。
【0080】
凹面284Aを有することによって、下側当接部284と上側当接部175にチューブ121が挟まれる領域が広くなる。そのため、レバー本体142は、注出停止位置P10から所定の閉止範囲に渡って、注出を停止した状態で移動することができる。そして、レバー本体142の中心軸が閉止範囲にある場合には、下側当接部284と上側当接部175がチューブ121を押し潰して流路を閉鎖する。これにより、レバー本体142によって飲料の注出が停止する位置の範囲を広げることができる。
【0081】
以上説明した第2実施形態に係る飲料サーバ100によっても、飲料の注出を停止する操作レバー141の位置の範囲がより広い飲料注出装置を提供できる。また、第2実施形態に係る飲料サーバ100は、チューブ121の変位を抑制できる。
【0082】
以上、各実施形態を参照して本発明について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明に反しない範囲で変更された発明、及び本発明と均等な発明も本発明に含まれる。また、各実施形態及び各変形形態、並びに各実施形態又は各変形形態に含まれる技術的手段は、本発明に反しない範囲で適宜組み合わせることができる。
【0083】
例えば、開閉部材は、レバー本体142の回動に従ってチューブ121から離れる方向とチューブ121に近づく方向とに移動できればよい。一例として、レバー本体142にカムを設けて、カムの回転を開閉部材の移動に変換してもよい。また、操作レバー141の移動は回動には限定されない。一例として、操作レバー141を水平移動させること、又は垂直軸を中心に操作レバー141を回転させることによって、変換機構を介してその力をレバー本体142の回動に変換させてもよい。
【0084】
さらに、泡の注出が不要である場合、レバー本体142の泡注出位置への回動は省略できる。この場合、オリフィス形成部148を省略してもよい。また、案内部として、ベース161に延在部と湾曲部とを有する突条を形成してもよい。この場合、スライダー171には当該突条を受け入れる溝部を形成する。代替的に、突条を挟んで対向するとともに、スライダー171が摺動する際に回転する一対の回転部を、スライダー171に設けてもよい。また、泡の注出を停止する場合に、圧縮コイルばね191の付勢力に加えて、ユーザがレバー本体142に力を加えることによってレバー本体142が回動するように、圧縮コイルばね191の付勢力を設定してもよい。
【0085】
また、ガイドピン172は、スライダー171に挿入された別部材であってもよく、外方に突出するようにスライダー171と一体的に形成されてもよい。また、付勢回動軸183及び付勢ピン187は、サスペンション181に挿入された別部材であってもよく、外方に突出するようにサスペンション181と一体的に形成されてもよい。また、レバー回動軸145及びレバーピン147は、レバー本体142に挿入された別部材であってもよく、外方に突出するようにレバー本体142と一体的に形成されてもよい。
【0086】
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0087】
(付記1)
飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置であって、
前記飲料が流れる注出管と、
ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、
前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、
前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、
前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する、飲料注出装置。
【0088】
(付記2)
前記平坦面は、前記レバー本体が前記注出停止位置にある状態で前記注出管に沿う方向に延びている、付記1に記載の飲料注出装置。
【0089】
(付記3)
前記凹面は、前記レバー本体が前記注出位置から前記注出停止位置へ移動する場合の前記第1当接部の前記軌跡に沿った形状を有する、付記1に記載の飲料注出装置。
【0090】
(付記4)
前記開閉部材は、前記注出管に当接する少なくとも一つのリブを有する、付記1から3のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【0091】
(付記5)
前記第1当接部は、前記第1当接部が延びる方向と交差する方向に延びる少なくとも一つのスリットを有する、付記1から4のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【0092】
(付記6)
前記レバー本体は、オリフィス形成部と、前記開閉部材を受け入れる摺動溝とを有し、
前記オリフィス形成部と前記摺動溝との間に、少なくとも一つの突起が形成されている、付記1から5のいずれか一項に記載の飲料注出装置。
【0093】
(付記7)
飲料容器から飲料を注出する飲料注出装置において、前記飲料が流れる注出管を開閉する開閉機構であって、
ユーザが注出停止位置と注出位置との間で移動させるレバー本体と、
前記レバー本体の移動に連動して前記注出管の内部流路を開閉するように移動し、前記レバー本体が位置する側から前記注出管に当接する第1当接部を有する開閉部材と、
前記レバー本体を付勢し、前記第1当接部と前記注出管を挟むように前記注出管に当接する第2当接部を有する付勢部材とを備え、
前記第2当接部は、前記注出管に沿う方向に延びる平坦面、又は前記第1当接部の移動の軌跡に沿った形状を有する凹面を有する、開閉機構。
【符号の説明】
【0094】
11 :ボトル(飲料容器)
12 :ガスの供給装置
15 :ガス配管
26 :開閉機構
42 :レバー本体
45 :レバー回動軸
48 :オリフィス形成部
63 :ガイド溝
72 :ガイドピン
75 :上側当接部
81 :付勢部材
83 :付勢回動軸
84 :下側当接部
86 :突出部
87 :付勢ピン
100 :飲料サーバ(飲料注出装置)
120 :ヘッド
121 :チューブ(注出管)
124 :ナット
126 :開閉機構
131 :ノズル
141 :操作レバー
142 :レバー本体
143 :摺動溝
145 :レバー回動軸
148 :オリフィス形成部
149 :突起
150 :アダプタ
152 :ガス配管継手
153 :ガスポート
154 :逆止弁
155 :シャンク
160 :ケース
161 :ベース
171 :スライダー(開閉部材)
172 :ガイドピン
175 :上側当接部(第1当接部)
178 :リブ
179 :スリット
181 :サスペンション(付勢部材)
184 :下側当接部(第2当接部)
184A :平坦面
191 :圧縮コイルばね
284A :凹面
AD :沿う方向
BD :軌跡
P10 :注出停止位置
P11 :注出位置