(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173311
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】水平検出治具
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A63F7/02 349Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091649
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】520071320
【氏名又は名称】株式会社アカギ
(74)【代理人】
【識別番号】100074169
【弁理士】
【氏名又は名称】広瀬 文彦
(72)【発明者】
【氏名】松岡 輝
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA21
2C088FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】遊技機の盤面の釘が正確な位置に打設されているかについて検査を行う際に、遊技機の盤面の画像データの傾きを検出し、遊技機盤面の画像・映像を水平に補正することを可能とした遊技機の水平検出治具を提供する。
【解決手段】遊技機の盤面前のガラス板に設置される水平検出治具であって、前記水平検出治具が固定設置された遊技機の盤面を撮影した画像データを画像処理することにより画像データの水平補正を行うため、前記水平検出治具は、土台となる板状の基部と、前記基部の中央に設けられる水平検出治具本体をガラス板に着脱自在に吸着又は粘着固定するための固定部材と、前記基部の下に設けられるバランサーと、画像データの水平補正を行うために前記基部の上下左右に各々設けられる水平検出用コードと、前記固定部材による前記基部の固定後に前記基部が水平となるよう較正するための較正部材とからなる構成である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機(10)の盤面(12)前に設置されるガラス板(14)に設置される水平検出治具(1)において、
前記水平検出治具(1)が固定設置された遊技機の盤面(12)を撮影した画像データ(20)を画像処理することにより、該画像データ(20)の水平補正を行うため、
前記水平検出治具(1)は、前記水平検出治具の土台となる板状の基部(100)と、前記基部の中央に設けられる水平検出治具本体をガラス板(14)に着脱自在に吸着又は粘着固定するための固定部材(200)と、前記基部の下に設けられるバランサー(110)と、画像データ(20)の水平補正を行うために前記基部(100)の上下左右に各々設けられる水平検出用コード(120)と、前記固定部材による前記基部の固定後に前記基部が水平となるよう較正するための較正部材(300)と、からなる事を特徴とする水平検出治具。
【請求項2】
前記バランサー(110)は、重錘からなり、該重錘の重量によって前記基部(1)の水平を較正することを特徴とする請求項1に記載の水平検出治具。
【請求項3】
前記水平検出用コード(120)は、1次元または2次元コード、または画像処理が可能な図形からなり、前記水平検出治具(1)が固定設置された遊技機(10)の盤面(12)を撮影した画像データ(20)に含まれる前記水平検出用コード(120)を読み取った上で画像処理することにより、該画像データ(20)の水平補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の水平検出治具。
【請求項4】
前記固定部材(200)は、前記ガラス板(14)に前記基部(100)を吸着又は粘着固定するために裏面に接着部(210)を装備し、表面のダイアル(220)を回転させて前記接着部(210)を作動させる構成からなるとともに、前記基部(100)を軸回転・回転停止自在に保持する回転制御部(230)を備え、
前記較正部材(300)は、前記回転制御部(230)による前記基部(100)の軸回転・回転停止を制御する較正用ボタン(310)を備えており、
前記較正用ボタン(310)の押下により、前記回転制御部(230)による前記固定部材(200)と前記基部(100)の回転停止状態を一時的に解除して前記基部(100)を軸回転自在とし、前記バランサー(110)の重量による前記基部(1)の水平の較正を行うことを特徴とする請求項3に記載の水平検出治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ等の遊技機に打設される釘を検査・判定評価する際に用いられる治具に関し、特に、遊技機の盤面の釘が正確な位置に打設されているかどうかについて検査を行う際に、遊技機の盤面の画像データの傾きを検出した上で、遊技機盤面の画像・映像を水平に補正することを可能とした、遊技機の水平検出治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、遊技機に打設される釘の正確性を検査するための装置が開発され、使用されている。パチンコ等の遊技機の釘は、打設位置や角度等に僅かなズレが生じるだけで出玉に影響を及ぼすことから、公正さを保つとともに不正を排除するために、正しい位置に正しい角度で打設することが要求されている。
【0003】
遊技機に打設された釘の打設位置を検査する方法には様々なものが存在するが、近年では、遊技機の盤面を撮影した上で、その映像を画像処理して各釘の位置及び角度を取得し、各釘の打設位置の正確性を検査する方法がとられている。
【0004】
遊技機の釘を検査するための技術としては、例えば、特開2022-56087号公報が存在する。ここでは、検査基準の遊技釘の位置情報を取得し、位置情報が取得された検査基準の遊技釘の周囲に仮想的な仮想釘を生成し、生成された仮想釘を可及的に多く含むように所定サイズの矩形の位置を決定するとともに、検査対象の遊技釘が写る画像の矩形に相当する領域に含まれる遊技釘を識別した上で、検査対象の遊技釘の位置情報が矩形に含まれる検査基準の遊技釘の位置情報に適合するか否かを検査する構成が開示されている。
【0005】
この構成によれば、確かに、遊技釘の適合検査の精度の低下を抑制しつつ検査時間の増大を抑制することが可能になると考えられる。しかしながら、遊技機の盤面に打設される釘の検査は短時間で行われるため、スマートフォン等の撮影装置を用いて検査画像を取得する際に、画像が傾いた状態となる場合が発生するが、このような画像では釘の正確な位置を取得することが出来ないという問題点があった。
【0006】
そこで、スマートフォン等で撮影された遊技機の盤面の静止画・動画中の釘を位置を正確に判定することにより遊技機の盤面の釘が正確な位置に打設されているかどうかについて検査を行う際に、取得した遊技機の盤面の画像の傾きを検出した上で、遊技機盤面の画像・映像を水平に補正することを可能とした、遊技機の水平検出治具の開発が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記問題を解決するため、パチンコ等の遊技機に打設される釘を検査・判定評価する際に用いられる治具であって、特に、遊技機の盤面の釘が正確な位置に打設されているかどうかについて検査を行う際に、遊技機の盤面の画像データの傾きを検出した上で、遊技機盤面の画像・映像を水平に補正することを可能とした、遊技機の水平検出治具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために本発明に係る水平検出治具は、遊技機の盤面前に設置されるガラス板に設置される水平検出治具であって、前記水平検出治具が固定設置された遊技機の盤面を撮影した画像データを画像処理することにより、該画像データの水平補正を行うため、前記水平検出治具は、前記水平検出治具の土台となる板状の基部と、前記基部の中央に設けられる水平検出治具本体をガラス板に着脱自在に吸着又は粘着固定するための固定部材と、前記基部の下に設けられるバランサーと、画像データの水平補正を行うために前記基部の上下左右に各々設けられる水平検出用コードと、前記固定部材による前記基部の固定後に前記基部が水平となるよう較正するための較正部材と、からなる構成である。
【0010】
また、前記バランサーは、重錘からなり、該重錘の重量によって前記基部の水平を較正する構成である。
また、前記水平検出用コードは、1次元または2次元コード、または画像処理が可能な図形からなり、前記水平検出治具が固定設置された遊技機の盤面を撮影した画像データに含まれる前記水平検出用コードを読み取った上で画像処理することにより、該画像データの水平補正を行う構成である。
【0011】
また、前記固定部材は、前記ガラス板に前記基部を吸着又は粘着固定するために裏面に接着部を装備し、表面のダイアルを回転させて前記接着部を作動させる構成からなるとともに、前記基部を軸回転・回転停止自在に保持する回転制御部を備え、前記較正部材は、前記回転制御部による前記基部の軸回転・回転停止を制御する較正用ボタンを備えており、前記較正用ボタンの押下により、前記回転制御部による前記固定部材と前記基部の回転停止状態を一時的に解除して前記基部を軸回転自在とし、前記バランサーの重量による前記基部の水平の較正を行う構成である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上記詳述した通りの構成であるので、以下のような効果がある。
1.水平検出治具に較正部材を設けたため、固定部材による基部の固定後に基部を水平に較正することが可能となる。また、水平検出用コードを基部の上下左右に貼付する構成としたため、撮影した盤面の映像中に描画された水平検出用コードを用いて画像が水平となるように画像処理することが可能となる。
2.バランサーを、重錘としたため、重錘重量で水平の較正を行うことが可能となる。
【0013】
3.水平検出用コードを、バーコードなどの1次元・2次元コードまたは画像処理が可能な図形としたため、撮影した画像データに含まれる水平検出用コードを読み取った上で画像処理することが可能となり、精確に水平となるように画像処理することが可能となる。
4.較正用ボタンの押下により回転制御部の回転制御を行うことを可能としたため、基部の水平の検出を容易に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る水平検出治具を、図面に示す実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明に係る水平検出治具の概略図であり、
図2は、水平検出治具の側面図である。
図3は、水平検出治具を盤面に取り付ける状態を示す図であり、
図4は、画像データを示す図である。
【0015】
本発明に係る水平検出治具1は、
図1に示すように、基部100と、固定部材200と、較正部材300と、からなり、遊技機10の盤面12に打設された複数の釘16が、各々正確な位置に打設されているかどうか検査する際に、遊技機10の盤面12の画像データ20の傾きを検出し、遊技機盤面12の画像・映像の画像処理を行い、
図4に示すように、画像データ20を水平に補正する事を可能とした、水平を検出するための治具である。
【0016】
水平検出治具1は、
図3に示すように、遊技機10の盤面12前に設置されるガラス板14に設置される。その後、水平検出治具1が固定設置された遊技機10の盤面12を撮影し、得られた
図4に示す静止画や動画からなる画像データ20に対して画像処理をすることにより、画像データ20の水平補正を行う構成である。
【0017】
基部100は、水平検出治具1の土台となる部材であり、
図1および
図2に示すように、板状部材からなる。基部100は、本実施例では四角形の板状部材であって、各頂点が上下左右端となるように正方形を45度回転させた構成である。
【0018】
固定部材200は、水平検出治具1本体を遊技機10のガラス板14に着脱自在に吸着又は粘着固定するための部材であり、基部100の中央に設置される。固定部材200は、本実施例では、
図1および
図2に示すように、基部100の中央に切設された円形の開口に、基部100が回転自在となるように嵌設される構成である。
【0019】
基部100は、バランサー110が設置される構成である。バランサー110は、本実施例では、
図1および
図2に示すように、正方形からなる基部100の下部の角部に設置される構成であり、回転自在に固定部材200に設置される基部をバランサー110の重量によって安定させるために用いられる。
【0020】
基部100は、更に水平検出用コード120が設置される構成である。水平検出用コード120は、遊技機10の盤面12を撮影した画像データ20を画像処理して水平補正を行う際に用いられるコードであり、本実施例では、
図1および
図3に示すように、正方形からなる基部100の上下左右に各々設けられる。
【0021】
較正部材300は、基部100の角度を調整するための部材であり、固定部材200によって基部100を固定した後に、基部100が水平となるよう基部100の固定を一時的に解除して回転可能としたうえで較正することを可能とする部材である。
【0022】
次に、基部100の構成の詳細について説明する。バランサー110は、
図1および
図2に示すように、重錘からなる。バランサー110は、上述のように、正方形からなる基部100の下部の角部に設置されており、重錘の重量によって基部100の水平を較正する構成である。なお、バランサー110は、遊技機100に使用される遊技球等の重りを複数収納可能な収納ケースからなる構成としてもよい。これにより、収納ケースに遊技球等の重りを複数収納することが可能となり、重錘の重さの調整が容易となる。
【0023】
また、水平検出用コード120は、本実施例では、リーダー等で読み取り可能な情報を包含する1次元または2次元コードからなる構成である。また、1次元・2次元コードに代えて、画像処理が可能な図形からなる構成としてもよい。水平検出治具1が固定設置された遊技機10の盤面12を撮影し、取得された画像データ20に含まれる水平検出用コード120を読み取る。水平検出用コード120は画像データ20中の略上下左右に配置されることになるため、これを精確に上下左右となるように画像を回転させる画像処理を行い画像データ20の水平補正を行う構成である。
【0024】
次に、固定部材200について説明する。固定部材200は、
図1および
図2に示すように、接着部210と、ダイアル220と、回転制御部230とを備える構成である。接着部210は、遊技機10に基部100を固定するために固定部材200を遊技機10のガラス板14に吸着又は粘着させて固定する柔軟性を有する部材であり、
図2に示すように、固定部材200の裏面の中央に設置される。
【0025】
また、ダイアル220は、接着部210を作動させる部材であり、固定部材200の表面に設置される。ダイアル220を回転させることにより接着部210を空洞に引き上げ真空状態を中央に作ってて、固定部材200をガラス板14に負圧吸着又は粘着固定する構成である。
【0026】
また、回転制御部230は、基部100を保持する部材であり、後述する較正用ボタン310の操作により、基部100を軸回転・回転停止自在に保持する構成である。
【0027】
較正部材300は、較正用ボタン310を備える構成である。較正用ボタン310は、回転制御部230による基部100の軸回転・回転停止を制御する部材であり、
図2および
図3に示すように、押下することによって作動するボタン状の部材である。
【0028】
較正用ボタン310を押下すると、回転制御部230による固定部材200と基部100の回転停止状態が一時的に解除される。これにより、固定部材200が嵌設された状態の基部100が軸回転自在となる。この際、バランサー110の重量により、基部100が水平となるように自動的に回転する。これにより、水平検出治具1の水平の較正を行うことが可能となる。
【0029】
次に、本発明に係る水平検出治具1の使用方法について説明する。まず、遊技機10の盤面12中央部のガラス板14に水平検出治具1を配置し、ダイアル220を回す事で、接着部210が真空状態となり、固定部材200がガラス板14に吸着又は粘着固定され、盤面12上に水平検出治具1が保持される。なお、水平検出治具1は、測定対象の釘16が基部100等によって隠れないように、釘16の無い液晶部分などに取り付ける。
【0030】
較正用ボタン310を押下すると、回転制御部230による固定部材200と基部100の回転停止状態が一時的に解除され、基部100がバランサー110の重量により瞬時に重心補正される。較正用ボタン310を離すと、基部100が再度固定され、水平状態に較正されることとなる。
【0031】
その後、撮影装置で遊技機10の盤面を撮影し、撮影された画像データ20中の水平検出用コード120を用いて画像データ20の水平補正を行った上で、画像中に表示された釘16の打設位置を検出し、正しい位置に打設されているかどうかについて検査を行う。
【0032】
遊技機の盤面に打設される釘の検査は短時間で行われるため、スマートフォン等の撮影装置を用いて検査画像を取得する際に、カメラのX/Y/Z軸がそれぞれ傾くことになり、画像が傾いた状態となる場合が発生する。このため、そのままの画像データで釘の位置及び角度を測定すると不正確となるため、これを補正する必要があった。
【0033】
本発明に係る水平検出治具1を用いることにより、取得した遊技機10の盤面12の画像データ20の傾きを検出した上で、遊技機盤面の画像・映像を水平に補正することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図3】水平検出治具を盤面に取り付ける状態を示す図
【符号の説明】
【0035】
1 水平検出治具
10 遊技機
12 盤面
14 ガラス板
16 釘
20 画像データ
100 基部
110 バランサー
120 水平検出用コード
200 固定部材
210 接着部
220 ダイアル
230 回転制御部
300 較正部材
310 較正用ボタン