(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173314
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 21/14 20060101AFI20241205BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F25D21/14 U
F25D11/00 101B
F25D21/14 S
F25D21/14 V
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091653
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡留 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】塩野 謙治
(72)【発明者】
【氏名】山口 和也
(72)【発明者】
【氏名】河井 良二
(72)【発明者】
【氏名】田口 翔一
【テーマコード(参考)】
3L045
3L048
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045HA01
3L045LA05
3L045LA10
3L045LA14
3L045MA02
3L045MA18
3L045NA03
3L045NA05
3L045PA01
3L045PA03
3L045PA04
3L045PA05
3L048AA01
3L048AA03
3L048AA08
3L048BA01
3L048BC02
3L048BD01
3L048CA02
3L048CB02
3L048CB05
3L048DA03
3L048DB03
3L048DB06
3L048EA03
3L048GA01
3L048GA02
3L048GA03
(57)【要約】
【課題】除霜水の蒸発性能を向上させる。
【解決手段】貯蔵庫1は、貯蔵室3と、貯蔵室の温度を検知する貯蔵室温度センサ45と、圧縮機24と蒸発器(冷却器4)を含み、かつ、冷却運転を行う冷凍サイクル150と、蒸発器の冷気を貯蔵室に送風する庫内ファン9と、冷却運転で蒸発器に付着した霜を融解させる除霜運転を行うことにより発生する水を受ける水受け皿42と、水受け皿に水が溜まった際に、圧縮機の排熱を含む冷凍サイクルにより生じる熱を水受け皿上の水に与える水蒸発促進手段(圧縮機24、庫外ファン29)と、を備え、除霜運転を行った場合において、貯蔵室温度センサの検知値(検知温度T
i)が冷却運転を停止するために定められた所定値(冷却運転終了温度(T
i_OFF))を下回っても圧縮機を駆動させ続ける蒸発促進運転(ステップS235)を行う。
【選択図】
図8B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室と、
前記貯蔵室の温度を検知する貯蔵室温度センサと、
圧縮機と蒸発器を含み、かつ、冷却運転を行う冷凍サイクルと、
前記蒸発器の冷気を前記貯蔵室に送風する庫内ファンと、
前記冷却運転で前記蒸発器に付着した霜を融解させる除霜運転を行うことにより発生する水を受ける水受け皿と、
前記水受け皿に水が溜まった際に、前記圧縮機の排熱を含む前記冷凍サイクルにより生じる熱を前記水受け皿上の水に与える水蒸発促進手段と、を備え、
前記除霜運転を行った場合において、前記貯蔵室温度センサの検知値が前記冷却運転を停止するために定められた所定値を下回っても前記圧縮機を駆動させ続ける蒸発促進運転を行う
ことを特徴とする貯蔵庫。
【請求項2】
蒸発皿上の水量を検知又は予測する水量判断手段を備え、
該水量判断手段により水量が任意の閾値よりも少ないと判断されるまで前記蒸発促進運転を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記蒸発促進運転は、除霜後の経過時間及び除霜時間のいずれか一方又は双方に基づいて制御される
ことを特徴とする請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記水量判断手段は、水量センサまたは水位センサである
ことを特徴とする請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記水量判断手段により水受け皿上の水量が多いと判断している場合に、前記除霜運転を禁止する
ことを特徴とする請求項2に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記圧縮機を冷却する庫外ファンを備え、
前記水蒸発促進手段は、前記冷凍サイクルによって温度上昇した空気を前記庫外ファンによって前記水受け皿に送風することで前記水受け皿上の水の蒸発を促進し、
前記蒸発促進運転中に前記圧縮機とともに前記庫外ファンも駆動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記貯蔵室は、冷凍温度帯に保たれるように制御されている
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記蒸発促進運転中は、冷却運転時よりも圧縮機を低速で駆動させる
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記蒸発促進運転中は、冷却運転時よりも庫内ファンを低速で駆動させる、または庫内ファンを停止させる
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項10】
前記除霜運転の終了後に、水位量が予め定められた高水位規定値よりも高い場合に、前記蒸発促進運転を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項11】
前記除霜運転の終了後に、水位量が予め定められた高水位規定値以下である場合であっても、水位量が予め定められた低水位規定値も高いときに、前記蒸発促進運転を行う
ことを特徴とする請求項10に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、「冷却器用のコンプレッサと、このコンプレッサの運転状態に応じて駆動されることにより当該コンプレッサを冷却する冷却ファンと、除霜運転により前記冷却器で生じた除霜水を貯留すると共に前記コンプレッサで発生した熱を受けるように配設された蒸発皿と、前記コンプレッサが運転されたときは、当該コンプレッサの運転開始タイミングから所定条件が成立するまで前記冷却ファンによる送風を禁止する送風禁止手段とを備えたことを特徴とする冷却装置」が開示されている。また、同特許文献1では蒸発皿内の除霜水の加熱方法として、除霜水に浸漬させるように配管された蒸発パイプ内の冷媒の熱により加熱する方法と、蒸発皿をコンプレッサの上方近傍に配設することでコンプレッサからの直接的な熱によって加熱する方法の2つが記載されている。加えて、同特許文献1には冷凍温度センサからの温度信号に基づいてコンプレッサをオンオフ制御することにより冷凍室の温度を設定温度に制御することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の冷蔵庫では、蒸発性能と圧縮機(コンプレッサ)のオンオフ制御の関連性に関しては十分に考慮されていない。そのため、特許文献1の冷蔵庫は、圧縮機及び圧縮機から吐出する冷媒による蒸発水の加熱により蒸発性能を向上させているが、圧縮機オフ中はこの圧縮機及び冷媒による加熱が行えず、蒸発性能が低下するという問題が生じる。なお、貯蔵室内の温度センサからの温度信号に基づいて圧縮機のオンオフ制御を行う冷蔵庫では、一般的には前記温度センサが所定値以下になると圧縮機を停止する。特許文献1に「除霜運転の終了時には冷凍室の温度は設定温度よりも上昇しているので、マイクロコンピュータは、冷却制御の実行によりコンプレッサの駆動状態を継続する」とあるが、これも除霜運転終了後は冷凍温度センサの温度が高く、冷凍温度センサが所定値に到達するまでに長時間を要するものと想定される。したがって、貯蔵室内の温度センサによって圧縮機の停止制御を行う冷蔵庫は、除霜水の蒸発性能を向上させることが望まれる。
【0005】
本発明は、前記した課題を解決するためになされたものであり、除霜水の蒸発性能を向上させる貯蔵庫(冷凍庫、冷凍冷蔵庫、冷蔵庫を含む)を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明は、貯蔵庫であって、貯蔵室と、前記貯蔵室の温度を検知する貯蔵室温度センサと、圧縮機と蒸発器を含み、かつ、冷却運転を行う冷凍サイクルと、前記蒸発器の冷気を前記貯蔵室に送風する庫内ファンと、前記冷却運転で前記蒸発器に付着した霜を融解させる除霜運転を行うことにより発生する水を受ける水受け皿と、前記水受け皿に水が溜まった際に、前記圧縮機の排熱を含む前記冷凍サイクルにより生じる熱を前記水受け皿上の水に与える水蒸発促進手段と、を備え、前記除霜運転を行った場合において、前記貯蔵室温度センサの検知値が前記冷却運転を停止するために定められた所定値を下回っても前記圧縮機を駆動させ続ける蒸発促進運転を行う構成とする。
その他の手段は、後記する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、除霜水の蒸発性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図7】実施形態に係る貯蔵庫の冷凍サイクルの構成図である。
【
図8A】実施形態に係る貯蔵庫の基本的な運転制御を表すフローチャートである。
【
図8B】実施形態に係る貯蔵庫の除霜後の運転制御を表すフローチャートである。
【
図9】実施形態に係る貯蔵庫の基本的な運転制御を表すタイムチャートである。
【
図10】実施形態に係る貯蔵庫の除霜後の運転制御を表すタイムチャートである。
【
図11】蒸発運転を行う機能を有していない比較例の貯蔵庫の除霜後の運転制御を表すタイムチャートである。
【
図12】ディッピングパイプを備える冷凍サイクルの構成図である。
【
図13】ディッピングパイプを備える冷凍サイクルのX3-X3断面図である。
【
図14】ディッピングパイプを備える冷凍サイクルのY1-Y1断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」と称する)について詳細に説明する。なお、各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示しているに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
【0010】
<貯蔵庫の構成>
以下、
図1から
図7を参照して、本実施形態に係る貯蔵庫1の一例としての冷凍庫の構成について説明する。本実施形態では、貯蔵庫1が冷凍機能を有する冷凍庫である場合を想定して説明する。本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜運転(
図8AのステップS125)を行うだけでなく、後記する蒸発促進運転(
図8BのステップS235)を行うことができるように構成された貯蔵庫1である。蒸発促進運転は、水受け皿42(
図4から
図6参照)上の水(除霜水)の蒸発を促進する運転である。
【0011】
図1は、本実施形態に係る貯蔵庫1の一例としての冷凍庫の正面図である。
図1に示すように、貯蔵庫1は、断熱箱体10と、扉2と、複数の脚10aと、を備えている。また、断熱箱体10の前側(正面側)には、吸引口27と排気口28が設けられている。吸引口27及び排気口28は、扉2によって塞がれる貯蔵室3(
図2)の下側に横並びで設けられている。吸引口27は、機械室25(
図3、
図5参照)に空気を導く開口部である。また、排気口28は、機械室25(
図5参照)から空気を排気するための開口部である。
【0012】
図2は、
図1の扉2を外した状態の正面図である。
図2に示すように、貯蔵庫1は、断熱箱体10の内部に、冷凍温度帯に制御される貯蔵室3を備えている。貯蔵室3内には、上段に棚33、中段に棚34a(前方)、棚34b(後方)、下部に容器35、容器36が設けられている。なお、棚34a、34bは、固定された棚であっても、着脱可能な棚であってもよい。
【0013】
貯蔵庫1は、貯蔵室3の下段後方に冷却器4(蒸発器)が収納された冷却器室8(
図3)を備えている。また、貯蔵庫1は、冷却器室8(
図3)の前方に戻り開口22を備えている。また、貯蔵庫1は、冷却器室8の背部に庫内ファン9を備えている。なお、庫内ファン9には、遠心ファンである後向きファン(ターボファン)を用いている。
【0014】
貯蔵庫1は、庫内ファン9の上部に、送風ダクト20を備えている。送風ダクト20は、前方に開口した吐出口20a、20bと、側方に開口した吐出口20c、20dを備えている。貯蔵庫1は、冷却器4と熱交換した空気が、庫内ファン9により昇圧されて、送風ダクト20の吐出口20a、20b、20c、20dから貯蔵室3に送られて貯蔵室3内を冷却する。
【0015】
貯蔵庫1は、貯蔵室3の背面に、棚33と棚34a、34bとの間に形成される領域の温度を検知する貯蔵室温度センサ45(温度推定手段)を備えている。また、貯蔵庫1は、貯蔵室3の背面に、温度の設定ができる操作部(図示せず)を備えている。
【0016】
図3は、
図1他に記載のX1-X1断面図である。
図4は、
図1他に記載のX2-X2断面図である。
図2から
図4に示すように、貯蔵庫1は、断熱箱体10の左右側面と、背面、及び底面の庫外側の面に、鋼板製の外板11を備えている。また、天井面には着脱自在のトッププレート12を備えている。トッププレート12は、断熱箱体10の上面に設けられた合成樹脂製の薄板であり、表面の汚れがとれやすいように、また、意匠性を高めるために、所定の表面加工が施されている。
図3及び
図4に示すように、トッププレート12の内側(庫内側)には合成樹脂製の天井板13を備えている。なお、トッププレート12の内部には庫外温度センサ(図示せず)と、庫外湿度センサ(図示せず)を備えている。
【0017】
また、貯蔵庫1は、断熱箱体10の庫内側に合成樹脂製の内箱18を備えている。外板11と内箱18との間、天井板13と内箱18との間には、断熱材5(一例として、発泡ポリスチレンや発泡ウレタン)が設けられている。
【0018】
また、貯蔵庫1は、断熱箱体10の前縁に前縁鋼板17を備えている。前縁鋼板17の内側表面には結露抑制配管52が設置されている。これにより、熱伝導率が高い金属である前縁鋼板17の作用で断熱箱体10の前縁に良好に熱が拡がり、結露が抑制される。
【0019】
扉2は、扉2の前面に前面パネル14、扉2の背面に扉内面部材15を備えている。扉2の上面には上面部材16aが設けられ、下面には下面部材16bが設けられている。前面パネル14、扉内面部材15、上面部材16a、下面部材16bの間には断熱材5が設けられている。また、扉2の内面側の外周部で、断熱箱体10の前縁鋼板17と対向する位置にはシール部材19が配設されている。このシール部材19の内部に備えられたマグネット(図示せず)の吸着力により、扉2と断熱箱体10が閉鎖状態に維持されるようにしている。
【0020】
また、貯蔵庫1は、貯蔵室3の下段背部に、冷却器4が収納された冷却器室8を備えている。冷却器室8は、前面側下方に開口した戻り開口22を備えている。冷却器室8には下から除霜ヒータ21、冷却器4、庫内ファン9が備えられている。庫内ファン9は、遠心ファンである後向きファン(ターボファン)が用いられている。庫内ファン9の上部には、複数の吐出口20a~20d(吐出口20c,20dについては
図2を参照)を備えた送風ダクト20が設けられている。また、除霜ヒータ21の下方には樋30と、樋30の傾斜した面の最も低くなる位置に排水口31が設けられている。冷却器4の下方には、圧縮機24が設けられている。
【0021】
本実施形態に係る貯蔵庫1では所定の条件、例えば圧縮機24の積算運転時間や扉開閉の積算時間などから算出する値が所定値以上になったとき、冷却器4等に付着した霜を解かす除霜運転を開始する。除霜運転は圧縮機24と庫内ファン9を停止した状態で除霜ヒータ21に通電し、除霜ヒータ21からの輻射及び自然対流等により冷却器4及びその周辺の霜を解かす運転である。この除霜運転で排出された融解水(以下、除霜水)は、樋30から排水口31に流れ、さらにその排水口31から排水管32を流れて水受け皿42(
図4)へと流れる構成となっている。
【0022】
また、貯蔵庫1は、断熱箱体10外の下部(庫外)に機械室25を備えている。この構成を
図5、
図6を合わせて説明する。
図5は、
図3他に記載のX3-X3断面図である。
図6は、
図1他に記載のY1-Y1断面図である。なお、
図5の破線は他の部材の背面で本来見えない部材、
図6の点線は断面より上部で本来見えない部材を参考として示している。
【0023】
図3及び
図6に示すように、機械室25には、圧縮機24と、前方下部の放熱器風路160内に設置された放熱器50を備えている。放熱器50の前方の放熱器風路160の入口部には、吸引口27を備え、吸引口27にはフィルタ27a(
図3)を備えている。このようにフィルタ27aを設置することで、フィンチューブ式熱交換器である放熱器50のフィン表面に塵埃が堆積して、フィン間の流路が縮小したり、閉塞することを防いでいる。
【0024】
また、
図4、
図5及び
図6に示すように、機械室25には、庫外ファン29と水受け皿42を備えている。水受け皿42は、機械室25の底面43の上部に設けられ、除霜水を溜める部材である。庫外ファン29は、下方に開口したケーシング44に覆われており、庫外ファン29からの送風が水受け皿42の上面を流れるように設けられている。水受け皿42の前方には排気口28を備えており、庫外ファン29の駆動によって、吸引口27(
図3参照)から吸気され、放熱器50や圧縮機24を冷却して熱交換することで温度上昇した空気が、水受け皿42の上面を流れて、排気口28から排気される。
【0025】
また
図5に示すように、貯蔵庫1は庫外ファン29の右側に基板収納箱70を備えている。基板収納箱70にはインバータ装置や制御回路が実装された基板71を備えている。基板71の下部には水受け皿42上の水位を測る、例えば超音波式の水位センサ201を備えている。
【0026】
図6に示すように、庫外ファン29により機械室25の前方左側下部に設けられた吸引口27から機械室25内に空気が流入する。流入した空気は、放熱器50が設けられている放熱器風路160を通過し、出口開口160aから圧縮機24周辺に流れる。圧縮機24周辺を通過した空気は、庫外ファン29に流入して昇圧され、庫外ファン29を実装しているケーシング44(
図5)から、ケーシング44(
図5)の下部に設けた水受け皿42とカバー体42a(
図5)の間の空間を通過する。そして、空気は、蒸発皿出口42bを介して、排気口28から庫外に排出される。なお水受け皿42で蒸発した水(水蒸気)も空気と一緒に排気口28から排出される。係る構成において、圧縮機24と庫外ファン29は、水受け皿42上に除霜水が溜まった際に、冷凍サイクル150(
図7)により生じる熱を水受け皿42上の除霜水に与える水蒸発促進手段として機能する。
【0027】
この空気の流れにより、放熱器50(
図3)を流れる冷媒の熱を庫外から取り込んだ空気で良好に冷却して冷凍サイクル150(
図7)の効率を高めるとともに、放熱器50(
図3)を流れた空気で圧縮機24も良好に冷却し、圧縮機24の過度な昇温に起因する故障を生じ難くしている。
【0028】
加えてこの空気流れにより、水受け皿42に溜まった除霜水も効率よく蒸発させている。ここで、水の時間当たりの蒸発量Wevを簡易的に表すと、以下の式(1)となる。
Wev=hd・A・(Xwater―Xair) …(1)
【0029】
ここで、「hd」は、空気と水間の物質伝達率を意味している。また、「A」は、空気と接触する水面積を意味している。また、「Xair」は、空気の絶対湿度を意味している。また、「Xwater」は、水の飽和絶対湿度を意味している。
【0030】
なお、一般的に水面近傍の流速が高いと、物質伝達率hdも高くなる。また、水温が高くなると、水の飽和絶対湿度Xwaterも高くなる。また、水面近傍の流速が高いと、熱伝達率も高くなり、空気による水の加熱量も高くなる。
【0031】
庫外ファン29に昇圧された空気は、ケーシング44を介して除霜水が溜まる水受け皿42に向けて吐出される。そのため、水受け皿42内に貯まる除霜水周辺の流速を高くし(物質伝達率hdを高くし)、さらに庫外から流入した空気(絶対湿度Xairが比較的低い空気)を流すことで、蒸発を促進することができる(蒸発量Wevを大きくすることができる)。
【0032】
加えて、庫外から流入した空気は、水受け皿42に到達するまでに、放熱器50の冷媒からの放熱や、圧縮機24や庫外ファン29の排熱により加熱されて温度が上昇する。この比較的温度の高い空気を除霜水の近傍に流すことで、除霜水の温度を上昇させ(水の飽和絶対湿度Xwaterを高くし)、さらに蒸発を促進することができる(蒸発量Wevを大きくすることができる)。
【0033】
また、
図5に示すように、水受け皿42の上部に設けたカバー体42aは、ケーシング44及び排水管32と接続する開口と、水位センサ201により水受け皿42上の水位を測るための開口を設けているが、それ以外の水受け皿42の上部を塞いでいる。これにより、庫外ファン29から吐出される空気が水受け皿42とカバー体42aの間の空間から漏れ出て、再び庫外ファン29に吸い込まれるショートサーキットを防いでいる。
【0034】
図7は、本実施形態に係る貯蔵庫1の冷凍サイクル150の構成図である。
図7に示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1の冷凍サイクル150は、圧縮機24と、圧縮機24と吐出配管59を介して接続された冷媒の放熱を行うフィンチューブ式熱交換器である放熱器50と、放熱器50と接続配管151を介して接続され、断熱箱体10(
図2)の左右側面、背面、底面の外表面を形成する外板11(
図2)の内面側に略接触するように配置された放熱配管である壁面放熱配管51と、を備える。さらに、冷凍サイクル150は、壁面放熱配管51と接続配管151を介して接続され、断熱箱体10の前縁鋼板17(
図2)の内面に略接触するように配置されて、結露を抑制するように前縁鋼板17(
図2)を加熱する放熱配管である結露抑制配管52と、結露抑制配管52と接続配管151を介して接続され、冷媒中の水分を除去するドライヤ55と、ドライヤ55と接続され、冷媒を減圧する減圧手段であるキャピラリチューブ53と、キャピラリチューブ53と接続され、冷媒と庫内の空気を熱交換することで庫内の熱を吸熱する冷却器4と、を備えている。
【0035】
また、冷凍サイクル150は、冷却器4を形成する冷却器配管41の出口側の配管に気液分離器54を備え、気液分離器54の出口側で戻り配管58に接続される。戻り配管58は、圧縮機24と接続される。また、冷凍サイクル150は、戻り配管58の一部がキャピラリチューブ53と熱交換する熱交換部57となっている。なお、壁面放熱配管51及び結露抑制配管52の内径は例えば3.2mmであり、キャピラリチューブ53の内径は壁面放熱配管51及び結露抑制配管52の内径の三分の一以下の例えば0.85mmである。
【0036】
次に、本実施形態に係る貯蔵庫1の冷凍サイクル150における冷媒の流れについて説明する。
【0037】
本実施形態に係る貯蔵庫1では、圧縮機24が駆動すると冷媒が圧縮されて、高温高圧のガス冷媒となり吐出配管59を介して放熱器50に入る。放熱器50においては、庫外ファン29(
図4及び
図5参照)による通風によって冷媒から熱が奪われてエンタルピが減少し、二相状態となり、接続配管151を介して壁面放熱配管51に流入する。
【0038】
断熱箱体10の両側面、底面、背面に配置された壁面放熱配管51では、断熱箱体10の外板11を介して主に庫外の空気と熱交換することでさらにエンタルピが減少する。続いて、接続配管151を介して前縁鋼板17(
図2)に配置された結露抑制配管52に冷媒が入る。結露抑制配管52において前縁鋼板17(
図2)を介した熱交換が行われて液冷媒となり、接続配管151を介してドライヤ55に至り、水分が除去された後に、キャピラリチューブ53に入る。
【0039】
キャピラリチューブ53では高温高圧の冷媒が減圧され、低温低圧の二相冷媒になり冷却器4の入口に至る。冷媒は、冷却器4の冷却器配管41を流れて庫内の空気と熱交換し、エンタルピが上昇するとともに渇き度が上がり、略飽和ガス冷媒となり冷却器4の出口に至る。
【0040】
冷却器4の出口から、圧縮機24に戻る戻り配管58は、熱交換部57においてキャピラリチューブ内の冷媒によって加熱されて温度が上昇(エンタルピが上昇)して、圧縮機24に戻る。なお、冷凍サイクル150に封入される冷媒は可燃性冷媒のイソブタンである。
【0041】
<貯蔵庫の動作>
以下、
図8A、
図8B、
図9、
図10を参照して、貯蔵庫1の動作について説明する。
図8A、
図8B、
図9、
図10に示す動作は、主に、貯蔵庫1の制御部(基板71)によって行われる。
図8Aは、貯蔵庫1の基本的な運転制御を表すフローチャートである。
図8Bは、貯蔵庫1の除霜後の運転制御を表すフローチャートである。
図9は、貯蔵庫1の基本的な運転制御を表すタイムチャートであり、
図8Aに対応している。
図10は、貯蔵庫1の除霜後の運転制御を表すタイムチャートであり、
図8Bに対応している。なお、
図9、
図10は、本実施形態に係る貯蔵庫1を、室温32℃、相対湿度70%の環境に設置した場合の運転状態を表している。
【0042】
貯蔵庫1は、除霜運転を行った場合において、貯蔵室3(
図3)の検知温度が予め定められた冷却運転停止温度を下回っていても圧縮機24(
図3)を駆動させ続けることで蒸発促進運転(
図8BのステップS235)を行う、という特徴を有している。
【0043】
なお、以下の説明において「フラグA」は、制御部(基板71)の記憶部に記憶された、除霜運転を禁止状態にするのか又は可能状態にするのかを表すフラグである。フラグAの設定がONの場合に、除霜運転禁止状態となり、一方、フラグAの設定がOFFの場合に、除霜運転可能状態となる。
【0044】
貯蔵庫1は、電源が投入されると、冷却運転を開始する。ここでは、このとき、貯蔵庫1が除霜水が少ない場合の動作である基本的な運転制御を行う。
【0045】
以下、
図8A及び
図9を参照して、除霜水が少ない場合の基本的な運転制御について説明する。
図8Aに示すように、除霜水が少ない場合の基本的な運転制御では、まず、貯蔵庫1は、貯蔵室温度センサ45(
図2)によって検知される貯蔵室3(
図2)の温度に応じた制御を行う。具体的には、貯蔵庫1は、貯蔵室温度センサ45によって検知される貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転開始温度(T
i_ON)以上であるか否かを繰り返し判定する(ステップS105)。
【0046】
ステップS105の判定で、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転開始温度(T
i_ON)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、圧縮機24、庫内ファン9、庫外ファン29を駆動して冷却運転を開始する(ステップS110、
図9の時刻t
0)。このとき、貯蔵庫1は、後記する蒸発促進運転(
図8BのステップS235)時よりも高速(H)で圧縮機24を駆動する。このとき、貯蔵室3が冷凍室として構成されている場合に、貯蔵室3は、冷凍温度帯(0℃以下の温度帯)に保たれるように制御される。
【0047】
ステップS110の冷却運転では、貯蔵庫1は、圧縮機24を駆動させることにより冷却器4を冷却し、それにより低温になった冷却器4の空気を庫内ファン9で貯蔵室3に送風して貯蔵室3内を冷却する。また、貯蔵庫1は、庫外ファン29を駆動させることにより、放熱器50の放熱量を向上させるとともに、圧縮機24を冷却する。ステップS110の冷却運転により貯蔵室3の温度が低下する。
【0048】
冷却運転を開始すると、冷却器4に霜が付着し易くなる。そこで、貯蔵庫1は、冷却運転中に除霜が必要であるか否かを判定する(ステップS115)。
【0049】
ステップS115の判定で、除霜が必要であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、記憶部に記憶されたフラグAがON(除霜運転禁止状態)であるか否かを判定する(ステップS120)。ステップS120の判定は、ステップS115の判定で、除霜が必要であると判定された場合(“Yes”の場合)であっても、フラグAがON(除霜運転禁止状態)であるときは、除霜運転を行わないようにするためのものである。
【0050】
ステップS120の判定で、フラグAがON(除霜運転禁止状態)でないと判定された場合に(“No”の場合)に、貯蔵庫1は、圧縮機24、庫内ファン9を停止するとともに、庫外ファン29、除霜ヒータ21を駆動して除霜運転を行う(ステップS125、
図10の時刻t
d0)。すなわち、貯蔵庫1は、圧縮機24、庫内ファン9が停止した状態で除霜ヒータ21に通電し、除霜ヒータ21による加熱で冷却器4の霜を解かす。なお、
図10の時刻t
d0は除霜運転中の時刻である。
【0051】
ステップS125の後、貯蔵庫1の処理は、符号A11を経て、
図8Bに示すステップS201に進む。この場合に、貯蔵庫1は、除霜運転を終了するか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201の判定は、除霜ヒータ21の加熱により霜の解凍と共に冷却器4の温度が上昇するため、冷却器温度センサ46によって検知される冷却器4の温度が除霜運転終了温度(T
d_OFF)以上になったか否かを判定することで行われる。除霜運転終了温度(T
d_OFF)以上になったと判定された場合に、貯蔵庫1は、除霜運転を終了すると判定する。この場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1の処理は、ステップS205に進む。一方、除霜運転終了温度(T
d_OFF)以上になっていないと判定された場合に、貯蔵庫1は、除霜運転を終了しないと判定する。この場合(“No”の場合)に、貯蔵庫1は、除霜運転終了温度(T
d_OFF)以上になったと判定されるまで(すなわち、除霜運転を終了すると判定するまで)、ステップS201の判定処理を繰り返す。
【0052】
図8Aに戻り、前記したステップS115の判定で、除霜が必要でないと判定された場合(“No”の場合)に、貯蔵庫1は、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転終了温度(T
i_OFF)以下であるか否かを判定する(ステップS135)。
【0053】
ステップS135の判定で、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転終了温度(T
i_OFF)よりも大きいと判定された場合(“No”の場合)に、貯蔵庫1の処理は、ステップS115に戻る。一方、ステップS135の判定で、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転終了温度(T
i_OFF)以下であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、圧縮機24、庫内ファン9、庫外ファン29を停止して冷却運転を終了する(ステップS140、
図9の時刻t
1)。
【0054】
ステップS140の後、貯蔵庫1の処理は、ステップS105の処理に戻る。そして、ステップS105の判定で、再び、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転開始温度(T
i_ON)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、冷却運転を再開する(ステップS110、
図9の時刻t
2)。
【0055】
次に、
図8B及び
図10を参照して、除霜後の運転制御について説明する。貯蔵庫1は、
図8AのステップS125で、除霜運転を行う。
【0056】
そして、
図8AのステップS125の後、除霜ヒータ21の加熱により霜の解凍と共に冷却器4の温度が上昇する。これにより、冷却器温度センサ46によって検知される冷却器4の温度が除霜運転終了温度(T
d_OFF)以上になる。すなわち、冷却器4の温度が除霜運転終了温度(T
d_OFF)に到達する。すると、貯蔵庫1は、
図8Bに示すように、除霜運転を終了するか否かを判定する(ステップS201)。ステップS201の判定で、除霜運転を終了すると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、除霜ヒータ21を停止し、記憶部に記憶されたフラグAをON(除霜運転禁止状態)に設定して、除霜運転を終了する(ステップS205、
図10の時刻t
d1)。
【0057】
貯蔵庫1は、除霜運転を終了すると、圧縮機24、庫内ファン9、庫外ファン29を駆動して冷却運転を行う(ステップS210、
図10の時刻t
d1)。このとき、貯蔵庫1は、後述する蒸発促進運転時よりも高速(H)で圧縮機24を駆動する。
【0058】
ステップS210の後、貯蔵庫1は、貯蔵室温度センサ45によって検知される貯蔵室3の検知温度Tiが冷却運転終了温度(Ti_OFF)以下であるか否かを繰り返し判定する(ステップS215)。
【0059】
ステップS215の判定で、貯蔵室3の検知温度Tiが冷却運転終了温度(Ti_OFF)以下であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、水受け皿42上の水量が高水位規定値(WHI)以下であるか否かを判定する(ステップS220)。ここでは水位センサ201で測った水位量Wを水受け皿42上の水量として扱うものとして説明する。
【0060】
ステップS220の判定で、水位量Wが高水位規定値(WHI)以下であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1は、フラグAの設定をOFF(除霜運転可能状態)に設定する(ステップS225)。
【0061】
ステップS225の後、貯蔵庫1は、水位量Wが低水位規定値(WLOW)以下であるか否かを判定する(ステップS230)。なお、水位量Wは高水位規定値(WHI)よりも低水位規定値(WLOW)の方が低くなっている。すなわち、低水位規定値(WLOW)時の水量は高水位規定値(WHI)時の水量よりも少なくなっている。
【0062】
ステップS230の判定で、水位量Wが低水位規定値(W
LOW)以下であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1の処理は、符号A21を経て、
図8Aに示すステップS110)に戻る。そして、貯蔵庫1は、
図8A及び
図9に示す基本的な運転制御を行う。なお、この場合に、貯蔵庫1は、後記するステップS235の処理(蒸発促進運転)を行わない。
【0063】
一方、ステップS220の判定で、水位量Wが高水位規定値(W
HI)よりも高いと判定された場合(“No”の場合)に、貯蔵庫1は、蒸発促進運転を行う(ステップS235、
図10の時刻t
d2)。
【0064】
また、ステップS230の判定で、水位量Wが低水位規定値(W
LOW)よりも高いと判定された場合(“No”の場合)にも、貯蔵庫1は、蒸発促進運転を行う(ステップS235、
図10の時刻t
d2)。
【0065】
ステップS235において、貯蔵庫1は、庫内ファン9を停止するとともに、圧縮機24、庫外ファン29を駆動して蒸発促進運転(蒸発促進モード)を行う。このとき、貯蔵庫1は、冷却運転時よりも低速(L)で圧縮機24を駆動する。貯蔵庫1は、ステップS235の処理(蒸発促進運転)を行うことで、水受け皿42上の水の蒸発を促進させる。
【0066】
なお、前記したステップS220の判定で、“No”の場合に、水位量Wが高水位規定値(WHI)よりも高いため、貯蔵庫1は、ステップS235で蒸発促進運転を行うことで、水受け皿42上の水の蒸発を促進させる。また、前記したステップS230の判定で、“No”の場合に、水位量Wは、高水位規定値(WHI)以下であるものの、低水位規定値(WLOW)よりも高いため、貯蔵庫1は、ステップS235で蒸発促進運転を行うことで、水受け皿42上の水を蒸発させる。なお、蒸発促進運転は、除霜後の経過時間及び除霜時間のいずれか一方又は双方に基づいて制御される構成にしてもよい。
【0067】
ステップS235の処理(蒸発促進運転)を行うと、貯蔵庫1は、貯蔵室3の検知温度Tiが冷却運転開始温度(Ti_ON)以上であるか否かを判定する(ステップS240)。
【0068】
ステップS240の判定で、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転開始温度(T
i_ON)以上であると判定された場合(“Yes”の場合)に(
図10の時刻t
d3)、貯蔵庫1の処理は、ステップS210に戻る。この場合に、貯蔵庫1は、ステップS210で冷却運転を行う(
図10の時刻t
d4)。
【0069】
一方、ステップS240の判定で、貯蔵室3の検知温度T
iが冷却運転開始温度(T
i_ON)よりも低いと判定された場合(“No”の場合)に(
図10の時刻t
d2から時刻t
d3までの間)、貯蔵庫1の処理は、ステップS220に戻る。この場合に、貯蔵庫1は、ステップS220からステップS240までの処理を繰り返し行う。その際に、ステップS230の判定で、水位量Wが低水位規定値(W
LOW)以下であると判定された場合(“Yes”の場合)に、貯蔵庫1の処理は、符号A21を経て、
図8Aに示すステップS110)に戻る。そして、貯蔵庫1は、
図8A及び
図9に示す基本的な運転制御を行う。
【0070】
これらの制御は、CPU、ROMやRAM等のメモリ、インターフェース回路等を搭載した機械室25内に設けられた基板収納箱70内の基板71(制御部)により実行される。基板71は、庫外温度センサ(図示せず)、庫外湿度センサ(図示せず)、貯蔵室温度センサ45、冷却器温度センサ46、水位センサ201等と電気配線(図示せず)で接続され、各センサの出力値や操作部の設定、ROMに予め記録されたプログラム等を基に、圧縮機24や庫内ファン9、庫外ファン29、電気ヒータ60のON/OFFや回転速度制御、加熱量制御を行う。
【0071】
貯蔵庫1では、除霜運転により冷却器4及びその周辺から除霜水が機械室25に排出され、水受け皿42に溜まる。この除霜水が増え続け、水受け皿42の許容水量を超えると、水受け皿42からあふれ、排気口28等から庫外に水が流れる可能性がある。そのため、次の除霜運転までに水受け皿42上に水がない、あるいは少ない状態にしておくことが好ましい。
【0072】
そこで、本実施形態では、貯蔵庫1は、
図5、
図6を用いて説明したように、放熱器50の冷媒からの放熱や、圧縮機24や庫外ファン29の排熱を利用して比較的高い温度にした空気を庫外ファン29で水受け皿42内に貯まる除霜水の近傍に流すことで、除霜水の蒸発を促進させている。
【0073】
ここで、本発明を分かり易く説明するために、
図8B及び
図10に示す除霜後の運転制御(蒸発促進運転)を行わずに、
図8A及び
図9に示す基本的な運転制御のみを行う動作を比較例として説明し、その後に本実施形態の動作について説明する。
【0074】
比較例では、
図8B及び
図10に示す除霜後の運転制御(蒸発促進運転)を行わずに、
図8A及び
図9に示す基本的な運転制御のみを行う。このような比較例では、
図11に示すように、動作する。
図11は、蒸発運転を行う機能を有していない比較例の貯蔵庫の除霜後の運転制御を表すタイムチャートである。
【0075】
図11に示すように、比較例の貯蔵庫は、冷却運転中に除霜が必要であるか否かを判定し、除霜が必要であると判定された場合に除霜運転を開始する。このとき、比較例の貯蔵庫は、圧縮機24、庫内ファン9が停止した状態で除霜ヒータ21に通電し、除霜ヒータ21による加熱で冷却器4の霜を解かす。霜が解けることで、水受け皿42(
図4から
図6参照)上の水位が上昇する。
【0076】
比較例の貯蔵庫は、水受け皿42(
図4から
図6参照)上の水位が高水位規定値(W
HI)よりも高くなると、冷却運転を開始する(時刻t
d-a1)。これにより、貯蔵室3(
図3)の温度が下降する。比較例の貯蔵庫は、貯蔵室3(
図3)の温度が冷却運転終了温度(T
i_OFF)まで下がると、冷却運転を停止する(時刻t
d-a2)。これにより、貯蔵室3(
図3)の温度が上昇する。この後、同様のタイミングで、比較例の貯蔵庫は、冷却運転の開始(時刻t
d-a3、時刻t
d-a3)と停止(時刻t
d-a4)を繰り返す。
【0077】
比較例の貯蔵庫は、貯蔵室3の検知温度が低温になると、圧縮機24と庫外ファン29を停止する。圧縮機24を停止すると、放熱器50の冷媒からの放熱や、圧縮機24からの排熱が行われず、除霜水の温度が上昇し難くなり、または低下し、蒸発量が低下する。また庫外ファン29を停止した場合も、除霜水と空気間の物質伝達率が低下し、さらに除霜水から気化した水分が除霜水近傍に残るため、除霜水近傍の絶対湿度も高くなり、蒸発量が低下する。
【0078】
これに対して、本実施形態では、
図8A及び
図9に示す基本的な運転制御と
図8B及び
図10に示す除霜後の運転制御(蒸発促進運転)の両方を行う。このような本実施形態では、貯蔵庫1は、圧縮機24、庫外ファン29を駆動させ、庫内ファン9を停止した状態で蒸発促進運転を行うことで、水受け皿42上の除霜水の蒸発を促進させる。その際に、貯蔵庫1は、圧縮機24と庫外ファン29を継続運転することで、放熱器50の冷媒からの放熱や圧縮機24の排熱を利用して除霜水の温度を上昇させ、除霜水の蒸発を継続して促進させることができる。すなわち、貯蔵庫1は、除霜水が冷凍サイクル150(
図7参照)の放熱影響(冷媒からの放熱や圧縮機24の排熱)によって温度が上昇するように構成されている。貯蔵庫1は、除霜運転を行った後に、圧縮機24を継続して駆動させる蒸発促進運転を行えるようにしたことで、より長時間にわたって除霜水の蒸発を促進することができる。そのため、貯蔵庫1は、除霜水の積算蒸発量を増加させる(高める)ことができる。
【0079】
なお、本実施形態では、水受け皿42が放熱器50及び圧縮機24の空気流れ下流側に配されている。そのため、貯蔵庫1は、庫外ファン29を駆動させることにより冷凍サイクル150(
図7参照)の放熱影響を水受け皿42に与える構成になっている。しかしながら、貯蔵庫1は、例えば放熱器50を含む冷媒配管及び圧縮機24からの熱が直接または自然対流によって到達する位置に水受け皿42を設けるように構成してもよい。この場合、庫外ファン29を駆動させなくても、水受け皿42上の除霜水の蒸発を促進させることができる。
【0080】
なお、貯蔵庫1は、
図12から
図13に示すようなディッピングパイプ101を備える構成にしてもよい。ディッピングパイプ101は、水受け皿42上に溜まる除霜水に浸るように配設された冷媒配管である。
図12は、ディッピングパイプ101を備える冷凍サイクル150の構成図である。
図13は、ディッピングパイプ101を備える冷凍サイクル150の
図3他に示すX3-X3断面図である。
図14は、ディッピングパイプ101を備える冷凍サイクル150の
図2他に示すY1-Y1断面図である。ディッピングパイプ101の内部には、圧縮機24で圧縮されて加熱された冷媒が流れる。ディッピングパイプ101は、水受け皿42上の除霜水に浸るように配設されている。そのため、水受け皿42上の除霜水は、ディッピングパイプ101によって加熱される。このような構成の貯蔵庫1は、圧縮機24を駆動させてディッピングパイプ101内に冷媒を流すことで、ディッピングパイプ101内の冷媒と水受け皿42上の除霜水との間で直接熱交換を行うことができる。そのため、このような構成の貯蔵庫1は、圧縮機24を駆動させ続けることで、庫外ファン29を駆動させなくても、水受け皿42上の除霜水の蒸発を促進させることができる。
【0081】
一方、本実施形態に係る貯蔵庫1は、庫外ファン29を駆動させて水受け皿42上の除霜水に送風することで、除霜水と空気との間の物質伝達率を向上させたり、除霜水近傍の絶対湿度の低下による除霜水の蒸発を促進させたりすることができる。また、貯蔵庫1は、水受け皿42が放熱器50及び圧縮機24の空気流れ下流側に配されている場合に、庫外ファン29を駆動させることで、冷凍サイクル150の放熱影響をより効率よく水受け皿42上の除霜水に与えること(すなわち、除霜水を効率よく加熱すること)ができる。このような貯蔵庫1は、庫外ファン29も継続駆動させることで、除霜水の積算蒸発量をさらに高めることができる。加えて、庫外ファン29による対流で圧縮機24周辺を空気が流れるため、継続運転している圧縮機24を冷却することができ、その結果、圧縮機24の過度な昇温を抑制することができる。
【0082】
また、除霜水が少ない場合に蒸発促進運転を実施しない、すなわち
図8BのステップS230がYesになると
図8Aの基本制御に戻るようにしている理由も省エネルギー性能の観点である。すなわち、圧縮機24を低速で回していても圧縮機24を停止した場合に比べると消費電力量が増えるので、不要な蒸発促進運転を実施しないようにしている。
【0083】
なお、蒸発促進運転の実施可否、すなわち
図8BのステップS230のYes/Noの判断に、本実施形態では超音波式の水位センサ201を用いているが、本発明はこの限りではなく、蒸発皿上の水量を検知又は予測する水量判断手段があればよい。
【0084】
例えば除霜終了後に所定の時間が経過していれば水受け皿42の水量は十分に低下していると予測して、
図8Aの基本制御に戻る判断を行うようにしてもよい。この場合、比較的基板71の制御は容易である。一方、庫外温度センサと庫外湿度センサにより検知する周囲の温湿度や扉開閉の頻度、及び/または除霜時間から除霜時に排出される除霜水量を推定することで予測をさらに高度化することができる。さらに周囲の温湿度と圧縮機24や庫外ファン29の運転時間から蒸発量を推定して、水量を予測して判断しても予測を高度化することができる。このような水量判断手段を用いることで水位センサ201が不要となる。
【0085】
一方、本実施形態のように水位センサ201を用いることで、より確実に水量を検知することができ、確実に除霜水の漏れを防止でき、かつ、比較的短期間で蒸発促進運転を止めて必要に応じて圧縮機24等を停止する省エネルギー性能の高い運転に切り替えられる。また、本実施形態の水位センサ201は、高水位規定値(W
HI)、低水位規定値(W
LOW)の2段階の水位(水量)を検知するが、例えばある水量より上か下かを検知するフロートスイッチなど、1つの基準のみ検知できる水位判断手段の場合は高水位規定値(W
HI)及びそれを用いたフラグAに関する制御(
図8BのステップS220、ステップS230)を行わない、または高水位規定値(W
HI)と低水位規定値(W
LOW)を同じ値として扱ってもよい。
【0086】
ここで、本実施形態において高水位規定値(W
HI)及びそれを用いたフラグAに関する制御について説明する。除霜運転後にONにしたフラグA(
図8BのステップS205)は水位センサ201により検知する水位が高水位規定値(W
HI)以下になるとOFFになる(
図8BのステップS220、ステップS230)。本実施形態では、このフラグAがONの状態、すなわち水位センサ201により検知する水位が高水位規定値(W
HI)より高い状態では、除霜を禁止する。水受け皿42の水は基本的に除霜水であり、除霜を行わなければ水の供給もないため水受け皿42から庫外に水が漏れることはない。よって水位センサ201により検知する水位が高水位規定値(W
HI)より高い場合、すなわち水受け皿42の水量が多く、この状態で水が供給されると水漏れの懸念がある場合の除霜を禁止することで、水受け皿42からの水漏れを抑制している。なお、この状態では除霜運転が行えないが、前述した構成及び蒸発促進運転により短時間で高水位規定値(W
HI)以下にしており、この除霜運転の禁止状態(フラグAがON)となっている時間は短く抑えられている。
【0087】
庫外ファン29を駆動させ除霜水に送風することで得られる物質伝達率の向上及び除霜水近傍の絶対湿度の低下による除霜水の蒸発促進効果は、圧縮機24の駆動状態によらない。よって、例えば貯蔵室3が冷蔵温度帯で食品凍結を抑えるために圧縮機24を駆動させられない場合においても、庫外ファン29を駆動させることで、庫外ファン29を停止させている場合よりも蒸発を促進することができる。
【0088】
なお、蒸発促進運転は基本的には貯蔵室3が冷凍温度帯に保たれるように制御することで行われる制御である。貯蔵室3が冷蔵温度帯に制御する場合は、貯蔵室3の検知温度Tiが低温になった後も圧縮機24を継続運転すると食品が低温になりすぎて意図せぬ凍結などが起こることが懸念されるが、貯蔵室3の検知温度Tiが冷凍温度で凍結を前提としている場合はこの懸念が不要である。よって、上記した制御は、貯蔵室3の検知温度Tiが冷凍温度の場合に特に有効な制御である。
【0089】
ここで、蒸発促進運転時に、圧縮機24を冷却運転時よりも低速で駆動させる理由について説明する。圧縮機24を高速で駆動させ続けて貯蔵室3を過剰に低温にすることは、貯蔵室3が冷凍温度であれば貯蔵室3内の食品への影響は小さいが、庫内と庫外の温度差が広がり庫外から貯蔵室3への熱の侵入が増えるので省エネルギー性能の観点からは望ましくない。そのため、蒸発促進運転の実施条件が満たされた場合、圧縮機24は運転を継続するが回転速度は冷却運転よりも低速にする。これにより、冷凍サイクルの熱(放熱器50を介した冷媒及び圧縮機24からの熱)により冷却器4(蒸発器)上の水の蒸発を促進しつつ、貯蔵室3の過度な低温化による消費電力量の増加を抑制することができる。
【0090】
また、蒸発促進運転時に、庫内ファン9を停止する理由について説明する。圧縮機24が駆動しているため冷却器4は低下するが、庫内ファン9を停止することで貯蔵室3への送風は抑えられる。そのため、貯蔵室3の低温化及び貯蔵室3内の壁面近傍の熱伝達が抑えられ、庫外から貯蔵室3への熱の侵入が抑えられる。また庫内ファン9の駆動に要する電力も抑えられる。すなわち、庫内ファン9を停止することで、放熱器50の冷媒及び圧縮機24の熱により冷却器4(蒸発器)上の水の蒸発を促進しつつ、消費電力量の増加を抑制することができる。なお、本効果は必ずしも庫内ファン9が停止する必要はなく、蒸発促進運転時の庫内ファン9の回転速度を冷却運転時よりも低速にすることでも同様の効果は得られる。
【0091】
<貯蔵庫の主な特徴>
(1)
図2に示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1は、貯蔵室3と、貯蔵室3の温度を検知する貯蔵室温度センサ45と、圧縮機24(
図3)と蒸発器(冷却器4(
図3))を含み、かつ、冷却運転を行う冷凍サイクル150(
図7)と、蒸発器(冷却器4)の冷気を貯蔵室3に送風する庫内ファン9と、冷却運転で蒸発器(冷却器4)に付着した霜を融解させる除霜運転を行うことにより発生する水を受ける水受け皿42と、水受け皿42に水が溜まった際に、圧縮機24の排熱を含む冷凍サイクル150(
図7)により生じる熱を水受け皿42上の水に与える水蒸発促進手段(圧縮機24、庫外ファン29)と、を備える。
図8Bに示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜運転を行った場合において、貯蔵室温度センサ45の検知値(検知温度T
i)が冷却運転を停止するために定められた所定値(冷却運転終了温度T
i_OFF)を下回っても圧縮機24を駆動させ続ける蒸発促進運転(ステップS235)を行う。
【0092】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜運転を行った場合において、貯蔵室温度センサ45の検知値(検知温度Ti)が所定値(冷却運転終了温度Ti_OFF)を下回っても、蒸発促進運転を行って圧縮機24を駆動させ続けることで、水受け皿42上の水(除霜水)の蒸発を促進することができる。そのため、本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜水の蒸発性能を向上させることができる。
【0093】
(2)本実施形態に係る貯蔵庫1は、蒸発皿上の水量を検知又は予測する水量判断手段(水位センサ201)を備える。貯蔵庫1は、水量判断手段(水位センサ201)により水量が任意の閾値よりも少ないと判断されるまで蒸発促進運転を行う構成にしてもよい。
【0094】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、水量判断手段(水位センサ201)により水量が任意の閾値よりも少ないと判断されるまで蒸発促進運転を行うため、さらに除霜水の蒸発性能を向上させることができる。
【0095】
(3)本実施形態に係る貯蔵庫1において、蒸発促進運転は、除霜後の経過時間及び除霜時間のいずれか一方又は双方に基づいて制御される構成にしてもよい。
【0096】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜後の経過時間及び除霜時間のいずれか一方又は双方に基づいて蒸発促進運転を制御することができるため、消費電力量の低い好適な蒸発促進運転を行うことができる。
【0097】
(4)本実施形態に係る貯蔵庫1において、水量判断手段は、水量センサ(図示せず)または水位センサ201(
図5)であるとよい。
【0098】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、水量判断手段で検知された水受け皿42上の除霜水の水量または水位量に基づいて、蒸発促進運転を制御することができるため、消費電力量の低い好適な蒸発促進運転を行うことができる。
【0099】
(5)
図8Bに示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1は、水量判断手段(水位センサ201)により水受け皿42上の水量が多いと判断している場合に、除霜運転を禁止するとよい。例えば、本実施形態に係る貯蔵庫1は、ステップS220の判定で“No”の場合に、ステップS205で設定されたフラグAの設定をONのまま維持にするとよい。
【0100】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、水受け皿42上の水量が多いと判断している場合に、除霜運転を禁止するため、水受け皿42上から除霜水が溢れることを抑制することができる。
【0101】
(6)
図4に示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1は、圧縮機24を冷却する庫外ファン29を備える。水蒸発促進手段(圧縮機24、庫外ファン29)は、冷凍サイクル150(
図7)によって温度上昇した空気を庫外ファン29によって水受け皿42に送風することで水受け皿42上の水の蒸発を促進する。本実施形態に係る貯蔵庫1は、蒸発促進運転中に圧縮機24(
図3)とともに庫外ファン29も駆動させるとよい。
【0102】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、蒸発促進運転中に圧縮機24とともに庫外ファン29も駆動させることで、加熱された空気を水受け皿42上に送り、水受け皿42上の除霜水を蒸発させることができる。
【0103】
(7)本実施形態に係る貯蔵庫1において、貯蔵室3は、冷凍温度帯(0℃以下の温度帯)に保たれるように制御されている構成にしてもよい。
【0104】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、貯蔵室3を冷凍温度帯に保ちながら、除霜運転及び蒸発促進運転を行うことができる。
【0105】
(8)
図8BのステップS235に示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1において、蒸発促進運転中は、冷却運転時よりも圧縮機24を低速(L)で駆動させるとよい。
【0106】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、蒸発促進運転時の消費電力量を低減することができる。
【0107】
(9)本実施形態に係る貯蔵庫1において、蒸発促進運転中は、冷却運転時よりも庫内ファン9を低速で駆動させる、または庫内ファン9を停止させるとよい。例えば、本実施形態に係る貯蔵庫1は、
図8BのステップS235において、庫内ファン9を停止させる。
【0108】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、蒸発促進運転時の消費電力量を低減することができる。
【0109】
(10)
図8Bに示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1において、除霜運転の終了後に、水位量Wが予め定められた高水位規定値(W
HI)よりも高い場合に、蒸発促進運転を行うとよい。例えば、本実施形態に係る貯蔵庫1は、ステップS220の判定で“No”の場合に、ステップS235で蒸発促進運転を行う。
【0110】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、水位量Wが予め定められた高水位規定値(WHI)よりも高い場合に、速やかに蒸発促進運転を行うことができる。
【0111】
(11)
図8Bに示すように、本実施形態に係る貯蔵庫1において、除霜運転の終了後に、水位量Wが予め定められた高水位規定値(W
HI)以下である場合であっても、水位量Wが予め定められた低水位規定値(W
LOW)も高いときに、蒸発促進運転を行うとよい。例えば、本実施形態に係る貯蔵庫1は、ステップS220の判定で“Yes”の場合であっても、ステップS230の判定で“No”の場合に、ステップS235で蒸発促進運転を行う。
【0112】
このような本実施形態に係る貯蔵庫1は、除霜運転の終了後に、水位量Wが予め定められた高水位規定値(WHI)以下である場合であっても、水位量Wが予め定められた低水位規定値(WLOW)も高いときに、蒸発促進運転を行うことができる。
【0113】
以上の通り、本実施形態に係る貯蔵庫1によれば、除霜水の蒸発性能を向上させることができる。
【0114】
本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態は、本発明を分かり易く説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、実施形態の構成の一部を他の構成に置き換えることが可能であり、また、実施形態の構成に他の構成を加えることも可能である。また、各構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0115】
例えば、本発明の一部は、冷凍庫として構成された貯蔵庫1だけでなく、冷凍冷蔵庫や冷蔵庫として構成された貯蔵庫1にも適用することができる。
【0116】
また例えば、前記した実施形態に係る貯蔵庫1は、冷凍温度帯の貯蔵室を1つ備えているが、冷凍温度帯の貯蔵室と冷蔵温度帯の貯蔵室を備えた貯蔵庫の冷凍温度帯の貯蔵室に本発明の構成を適用したり、冷蔵温度帯と冷凍温度帯に切り替え可能な貯蔵室の冷蔵温度設定時に本発明の構成を適用することもできる。なお、冷蔵温度の場合は一部の効果のみが得られる。
【0117】
また例えば、
図8Bに示した蒸発促進運転制御に移行する基準温度(ステップS215の冷却運転終了温度(T
i_OFF))と、
図8Aに示した冷却運転時の圧縮機を停止する基準温度(ステップS125の冷却運転終了温度(T
i_OFF))を同じにしているが、必ずしも同じである必要はない。同じく
図8Bに示した蒸発促進運転制御から冷却運転に戻る基準温度(ステップS240の冷却運転開始温度(T
i_ON))と、
図8Aに示した圧縮機24を駆動させて冷却運転を開始する基準温度(ステップS105の冷却運転開始温度(T
i_ON))は、必ずしも同じである必要はない。
【符号の説明】
【0118】
1 貯蔵庫(冷凍庫)
3 貯蔵室
4 冷却器(蒸発器)
8 冷却器室
9 庫内ファン
21 除霜ヒータ
24 圧縮機(水蒸発促進手段)
25 機械室
29 庫外ファン(水蒸発促進手段)
41 冷却器配管
42 水受け皿
42a カバー体
42b 蒸発皿出口
43 底面
44 ケーシング
45 貯蔵室温度センサ
46 冷却器温度センサ
50 放熱器(放熱配管)
71 基板(制御部)
101 ディッピングパイプ
150 冷凍サイクル
201 水位センサ(水量判断手段)
hd 物質伝達率
Ti 検知温度(検知値)
Ti_OFF 冷却運転終了温度(所定値)
Ti_ON 冷却運転開始温度
Td_OFF 除霜運転終了温度
Xair 絶対湿度
Xwater 飽和絶対湿度
W 水位量
Wev 蒸発量
WLOW 低水位規定値
WHI 高水位規定値