IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サッポロビール株式会社の特許一覧

特開2024-173324ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料、並びにビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173324
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料、並びにビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法
(51)【国際特許分類】
   C12C 12/00 20060101AFI20241205BHJP
   C12G 3/08 20060101ALI20241205BHJP
   A23L 2/80 20060101ALI20241205BHJP
   A23L 2/52 20060101ALI20241205BHJP
   C12C 11/11 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
C12C12/00
C12G3/08
A23L2/80
A23L2/00 F
C12C11/11
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091669
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】303040183
【氏名又は名称】サッポロビール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100176773
【弁理士】
【氏名又は名称】坂西 俊明
(72)【発明者】
【氏名】小杉 隆之
【テーマコード(参考)】
4B117
4B128
【Fターム(参考)】
4B117LC04
4B117LG16
4B117LK01
4B117LK06
4B117LK21
4B117LP05
4B117LP07
4B128CP38
4B128CP39
(57)【要約】
【課題】総プリン体含有量を効率的に低減できるビールテイスト飲料の製造方法を提供すること。
【解決手段】総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法。
【請求項2】
前記調整する工程が仕込工程後の溶液のpHを調整することと、前記pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うこととを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記比が5.5以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記比が9以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ビールテイスト飲料の総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
前記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項7】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が4.0以上である、ビールテイスト飲料。
【請求項8】
前記比が5.5以上である、請求項7に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
前記比が9以上である、請求項7に記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
前記総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項7又は8に記載のビールテイスト飲料。
【請求項11】
麦芽比率が50質量%以上である、請求項7又は8に記載のビールテイスト飲料。
【請求項12】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整することを備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料、並びにビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向の上昇からプリン体含有量が低減されたビールテイスト飲料の需要が高まっている。プリン体含有量が低減されたビールテイスト飲料に関しては、これまでに様々な方法が開示されている。例えば、特許文献1には、プリン体の含有量を低減しつつも、ビールテイスト飲料らしい味わいを有し、不適な香りが抑制された飲料として、麦芽比率が10質量%以上、プリン体の含有量が2.0mg/100ml未満、及び原麦汁エキス濃度が5.0質量%以上であり、アセトアルデヒド及びイソアミルアルコールを含有し、アセトアルデヒドの含有量(X)(単位:質量ppm)に対するイソアミルアルコールの含有量(Y)(単位:質量ppm)の比〔(Y)/(X)〕が4.0~70.0である、麦芽発酵飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-141129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまでプリン体含有量を効率的に低減できるビールテイスト飲料の製造方法の検討が充分に行われているとはいえない。本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、総プリン体含有量を効率的に低減できるビールテイスト飲料の製造方法を提供することを目的とする。本発明はまた、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法に関する。
【0006】
本明細書において、「総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比」を、「pH/総プリン体比」とも記載する。本発明に係る製造方法は、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を特定の範囲内に制御するものであるため、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を効率的に低減できる。
【0007】
上記製造方法は、上記調整する工程が仕込工程後の溶液のpHを調整することと、上記pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うこととを含んでいてもよい。これにより、pH/総プリン体比を上記範囲内に調整しやすくなり、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量をより効率的に低減できる。
【0008】
上記製造方法は、上記比が5.5以上であってもよい。これにより、さらに効率的にビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減できる。
【0009】
上記製造方法は、上記比が9以上であってもよい。これにより、より一層効率的にビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減できる。
【0010】
上記製造方法において、上記ビールテイスト飲料の総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満であってもよい。
【0011】
上記製造方法において、上記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上であってもよい。
【0012】
本発明はまた、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が4.0以上である、ビールテイスト飲料にも関する。
【0013】
上記ビールテイスト飲料は、上記比が5.5以上であってもよい。
【0014】
上記ビールテイスト飲料は、上記比が9以上であってもよい。
【0015】
上記ビールテイスト飲料は、上記総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満であってもよい。
【0016】
上記ビールテイスト飲料は、麦芽比率が50質量%以上であってもよい。
【0017】
本発明は更に、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整することを備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法にも関する。
【0018】
本発明は、例えば、以下を包含する。
[1]
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法。
[2]
上記調整する工程が仕込工程後の溶液のpHを調整することと、上記pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うこととを含む、[1]に記載の製造方法。
[3]
上記比が5.5以上である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[4]
上記比が9以上である、[1]又は[2]に記載の製造方法。
[5]
上記ビールテイスト飲料の総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、[1]~[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]
上記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、[1]~[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が4.0以上である、ビールテイスト飲料。
[8]
上記比が5.5以上である、[7]に記載のビールテイスト飲料。
[9]
上記比が9以上である、[7]に記載のビールテイスト飲料。
[10]
上記総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、[7]~[9]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[11]
麦芽比率が50質量%以上である、[6]~[10]のいずれかに記載のビールテイスト飲料。
[12]
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整することを備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、総プリン体含有量を効率的に低減できるビールテイスト飲料の製造方法を提供することができる。本発明によればまた、総プリン体含有量が低減されたビールテイスト飲料を提供することができる。本発明によればさらに、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本発明は、以下の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
本明細書において、「ビールテイスト飲料」とは、ビール様の香味を有する飲料を意味する。ビールテイスト飲料としては、これに限られるものではないが、例えば、酒税法(令和二年法律第八号)上の「発泡性酒類」(ビール、発泡酒、その他の発泡性酒類)に分類されるものが挙げられる。その他の発泡性酒類には、「その他の醸造酒(発泡性)(2)」及び「リキュール(発泡性)(2)」が含まれる。また、ビールテイスト飲料としては、酒税法上の発泡性酒類には属さない飲料及び清涼飲料水(例えば、ノンアルコールビールテイスト飲料)も挙げることができる。本実施形態に係るビールテイスト飲料は、上記例示したものに限られない。
【0022】
本明細書において、「プリン体」とは、プリン塩基、及び酸加水分解によりプリン塩基を遊離することのできる化合物(プリン体化合物)の総称を意味する。プリン体化合物としては、例えば、ヌクレオシド、ヌクレオチド等が挙げられる。また、プリン塩基とは、アデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンを意味する。本明細書において、「総プリン体含有量」とは、酸処理を施したサンプル(麦汁、発酵後液等)中のプリン塩基含有量を測定した値である。
【0023】
酸処理は、サンプル(例えば、麦汁、発酵後液等)に70%過塩素酸水溶液を10v/v%となるように添加し、100℃に設定したヒートブロック上で1.5時間インキュベートすることにより行うことができる。
【0024】
総プリン体含有量は、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(HPLC-MS)によりアデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンそれぞれの含有量を測定し、これらを合算することで求めることができる。
【0025】
本明細書において、「総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比」(pH/総プリン体比)は、下記式(1)で算出される値である。
式(1)pH/総プリン体比=pH/総プリン体含有量(mg/100mL)
【0026】
〔ビールテイスト飲料の製造方法、及びビールテイスト飲料〕
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える。
【0027】
pH/総プリン体比を4.0以上に調整する工程(pH/総プリン体比調整工程)では、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法における任意の段階で、総プリン体含有量及び/又はpHを調整することで、ビールテイスト飲料のpH/総プリン体比を4.0以上に調整すればよく、総プリン体含有量を調整すること、又は総プリン体含有量及びpHを調整することで、ビールテイスト飲料のpH/総プリン体比を4.0以上に調整することが好ましい。pH及び総プリン体含有量を調整する方法は後述する。
【0028】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のpH/総プリン体比は、効率的に総プリン体含有量を低減できるという観点から、4.0以上であればよく、例えば、4.5以上、5.0以上、5.5以上、6以上、6.5以上、7以上、7.5以上、8以上、8.5以上、9以上、9.5以上、又は10以上であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料のpH/総プリン体比は、例えば、50以下、45以下、40以下、35以下、30以下、25以下、20以下、19以下、18以下、17以下、16以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、又は10以下であってもよい。
【0029】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のpH(最終製品としてのpH)は、例えば、3.0以上、3.1以上、3.2以上、3.3以上、3.4以上、3.5以上、3.6以上、3.7以上、3.8以上、3.9以上、4.0以上、4.1以上、又は4.2以上であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料のpHは、6.0以下、5.9以下、5.8以下、5.7以下、5.6以下、5.5以下、5.4以下、5.3以下、5.2以下、5.1以下、5.0以下、4.9以下、4.8以下、4.7以下、又は4.6以下であってもよい。
【0030】
pHは、例えば、ビールテイスト飲料を製造する際の任意の段階で、pHが上記範囲内になるように酸味料を添加する方法、pHが高くなる、又は低くなるような原料種類、又は微生物種類等を適宜選択する方法、発酵条件を適宜調整する方法、及びこれらを任意に組み合わせた方法により調整することができる。酸味料としては、例えば、乳酸、リン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、酒石酸、ピルビン酸、フィチン酸等が挙げられる。pHの調整に用いられる酸味料は、静菌作用により一層優れるという観点から、乳酸であってよい。酸味料の添加によってpHを調整する場合、酸味料の添加量は、添加する酸味料の種類等に応じて、適宜設定されてよい。
【0031】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のpHは、「改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.7 pH」に記載の方法によって測定することができる。
【0032】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の総プリン体含有量は、例えば、2.5mg/100mL以下、2.0mg/100mL以下、1.5mg/100mL以下、1.0mg/100mL以下、0.7mg/100mL以下、0.5mg/100mL以下、0.5mg/100mL未満、0.4mg/100mL未満、又は0.3mg/100mL未満であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の総プリン体含有量は、例えば、0.01mg/100mL以上、0.05mg/100mL以上、0.1mg/100mL以上、又は0.2mg/100mL以上であってよい。
【0033】
プリン体含有量は、例えば、ビールテイスト飲料を製造する際の任意の段階で、含有量が上記範囲内になるようにプリン体源を添加する方法、プリン体含有量が高くなる、又は低くなるような原料種類、酵素剤種類、又は活性炭処理条件(例えば、活性炭種類、活性炭濃度、攪拌速度等)やプリン体吸着材の種類を適宜選択する方法、及びこれらを任意に組み合わせた方法により調整することができる。プリン体源の添加は、例えば、プリン体(アデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンからなる群より選択される少なくとも1種のプリン体塩基)そのものを添加してもよく、微生物由来の原料(酵母エキス等)、植物由来の原料(モルトエキス、大豆ペプチド、エンドウタンパク等)又はこれらに加水分解等の処理を施したものを添加してもよい。なお、本発明で使用されるエンドウタンパクは、エンドウ豆から抽出し、精製分離して得た植物性タンパクであり、商業的に入手可能である。
【0034】
pH/総プリン体比調整工程は、仕込工程後の溶液のpHを調整することと、pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うことを含むことが好ましい。これにより、pH/総プリン体比を上記範囲内に調整することが容易になるため、ビールテイスト飲料中の総プリン体含有量がより効率的に低減できる。この理由の一つとして、後述の実施例に示すとおり、pHを調整することにより、プリン体の活性炭への吸着効率を制御できることが考えられる。
【0035】
仕込工程後の溶液のpHを調整することには、当該溶液が得られた時点から異なるpHに調整することのみならず、当該溶液が得られた時点のpHを維持するように調整することも包含する。仕込工程後の溶液のpHの範囲は、例えば、本実施形態に係るビールテイスト飲料で述べたとおりであってよい。仕込工程後の溶液のpHは本実施形態に係るビールテイスト飲料のpHと同じであっても異なっていてもよい。
【0036】
仕込工程後の溶液のpHは、例えば、仕込工程後の溶液に酸味料を添加する方法、pHが高くなる、又は低くなるような原料種類、又は微生物種類等を適宜選択する方法、発酵条件を適宜調整する方法、及びこれらを任意に組み合わせた方法等により調整することができ、本実施形態に係るビールテイスト飲料で述べたとおりである。
【0037】
活性炭処理は、上記pHを調整した仕込工程後の溶液に活性炭を添加して行うものであればよい。活性炭処理をすることは、活性炭処理後に活性炭を除去することを有していてよい。活性炭の除去は、常法により実施することができる。例えば、活性炭の除去は、ろ過、遠心分離等により実施することができる。
【0038】
活性炭処理に使用する活性炭の平均細孔直径は、4.5nm以下、3.6nm以下、3.0nm以下、2.8nm以下、2.4nm以下、又は、2.0nm以下であってもよい。上記活性炭の平均細孔直径は1.0nm以上、1.2nm以上、1.5nm以上、又は、1.8nm以上であってもよい。活性炭の平均細孔直径は、1.0nm以上3.6nm以下であることが好ましく、1.8nm以上2.0nm以下であることがより好ましい。
【0039】
平均細孔直径は、具体的には、BET法により測定される比表面積(A)及び全細孔容積(V)から下記式(2)に基づいて算出される。
式(2)平均細孔直径=4×[細孔容積(V)]/[比表面積(A)]
【0040】
上記活性炭の原料(活性炭原料)は、例えば、やし(やし殻)、木質(木材)等が挙げられる。
【0041】
上記活性炭の細孔容積は1.3mL/g以上2.2mL/g以下であることが好ましい。上記活性炭の細孔容積は、1.5mL/g以上、1.6mL/g以上、1.7mL/g以上、又は1.8mL/g以上であってもよく、3.6mL/g以下、2.8mL/g以下、2.2mL/g以下、又は1.9mL/g以下であってもよい。活性炭の細孔容積は、BET法により測定することができる。
【0042】
上記活性炭の比表面積は1700m/g以下であってよく、1600m/g以下であってもよい。活性炭の比表面積は、1000m/g以上、又は1100m/g以上であってもよい。活性炭の比表面積は、BET法により測定することができる。
【0043】
上記活性炭の平均粒径は10μm以上100μm以下、又は40μm以上70μm以下であってよい。平均粒径は「JIS K 1474:2014 活性炭試験方法 7.5 有効径,均等係数及び平均粒径」に準拠して測定することができる。
【0044】
上記活性炭の添加量は、例えば、仕込工程後の溶液全量に対して、100mg/L以上、200mg/L以上、300mg/L以上、400mg/L以上、500mg/L以上、600mg/L以上、700mg/L以上、800mg/L以上、900mg/L以上、1000mg/L以上、1100mg/L以上、1200mg/L以上、1300mg/L以上、1400mg/L以上、1500mg/L以上、1600mg/L以上、1700mg/L以上、又は1800mg/L以上であってもよい。また、上記活性炭の添加量は、例えば、仕込工程後の溶液全量に対して、3000mg/L以下、2900mg/L以下、2800mg/L以下、2700mg/L以下、2600mg/L以下、2500mg/L以下、2400mg/L以下、2300mg/L以下、2200mg/L以下、2100mg/L以下、又は2000mg/L以下であってもよい。
【0045】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、苦味価(BU)に対するpHの比(以下、「pH/苦味価比」とも記載する。)を調整する工程(pH/苦味価比調整工程)を備えていてもよい。pH/苦味価比調整工程では、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法における任意の段階で、苦味価及び/又はpHを調整することで、ビールテイスト飲料のpH/苦味価比を調整する。pHを調整する方法は上述のとおりである。なお、本明細書において、pH/苦味価比は、下記式(3)で算出される値である。
式(3)pH/苦味価比=pH/苦味価(BU)
【0046】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のpH/苦味価比は、苦味価を維持しながら効率的に総プリン体含有量を低減できるという観点から、例えば、1以下、0.9以下、0.8以下、0.75以下、0.7以下、0.65以下、0.6以下、0.55以下、0.5以下、0.45以下、0.4以下、0.35以下、0.3以下、0.25以下、0.2以下、0.1以下であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料のpH/苦味価比は、例えば、0.01以上、0.05以上、0.1以上、0.15以上、0.2以上、0.25以上、0.3以上、又は0.35以上であってもよい。
【0047】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価(BU)は、例えば、0以上50以下であってよい。本実施形態に係るビールテイスト飲料のBUは、例えば、40以下、30以下、20以下、15以下、14以下、13以下、12以下、11以下、又は10以下であってよく、0以上、0超、0.1以上、0.5以上、1以上、2以上、3以上、4以上、5以上、10以上、15以上、17以上、又は20以上であってよい。
【0048】
苦味価は、例えば、ビールテイスト飲料を製造する際の任意の段階で、苦味価が上記範囲内になるように苦味料を添加する方法、苦味価が高くなる又は低くなるような原料の種類、使用量、微生物又は酵素剤種類を適宜設定する方法、製造条件(例えば、原料としてホップを含有する場合、ホップ添加後の煮沸時間等)を適宜設定する方法、原料の添加方法の選択、原料を添加するタイミングを適宜設定する方法、及びこれらを任意に組み合わせた方法により調整することができる。苦味料の添加は、例えば、ホップ由来の苦味物質そのものを添加してもよく、ホップ由来の苦味物質を含む組成物等を添加してもよい。
【0049】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の苦味価は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定することができる。
【0050】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、上記調整工程の他は、公知のビールテイスト飲料の製造方法と同様にして製造することができ、例えば、仕込工程を備える。
【0051】
仕込工程は、仕込液を調製する工程である。本明細書において、「仕込液」とは、仕込工程で得られる原料液を意味する。また、本明細書において、「原料液」とは、ビールテイスト飲料の製造過程における液の総称である。仕込液には、例えば、仕込原料及び水を混合した溶液、糖化液、煮沸後の糖化液、固形分を除去した後の糖化液、麦汁等が含まれる。また、本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法が後述の発酵工程を備える場合、発酵工程における原料液には、例えば、発酵前液(麦汁)、発酵中の液、発酵後液等が含まれる。麦汁とは、上述の麦原料等の糖化を経て得られる液であり、未発酵のものである。
【0052】
仕込工程は、例えば、水にプリン体源、糖類(大豆多糖類、液糖等)、苦味料、酸味料、香料、及び、必要に応じてアルコール、他の添加剤等を配合することを含んでいてもよい。
【0053】
また、仕込工程は、例えば、仕込原料を糖化して糖化液を得ること、糖化液をろ過すること、ろ過した糖化液を煮沸すること、煮沸後の糖化液中の固形分を除去すること(例えば、ワールプールで固形分を除去すること)、固形分を除去した糖化液を冷却すること、冷却した糖化液をろ過すること、をこの順に含んでいてもよい。
【0054】
糖化液を得ることは、例えば、仕込原料及び水を仕込んだ後、50~76℃に温度を調節して、当該温度を保持するものであってよい。具体的には、例えば、1~200分、50~76℃で温度を保持する。これにより、例えば、原料の糖化が進んだり、可溶性成分が溶出したりして、酵母の代謝に必要な成分を含む糖化液が得られる。得られた糖化液は、そのまま麦汁として使用してもよいし、ろ過、煮沸、固形分の除去及び冷却、冷却後のろ過を経た後麦汁として使用してもよい。
【0055】
仕込原料としては、麦原料を用いてもよく、麦原料以外の原料を用いてもよく、これらを組み合わせて用いてもよく、麦原料を用いることが好ましい。
【0056】
麦原料としては、例えば、大麦、小麦、オート麦、ライ麦、ハト麦等が挙げられる。麦原料は、麦であってよく、麦芽であってもよい。麦原料は大麦、麦芽又はこれらの両方を含んでいてもよい。
【0057】
仕込原料が麦芽を含む場合、仕込原料中の麦芽比率(水及びホップ以外の原料に占める麦芽の割合)は、0質量%超100質量%以下であってよい。麦芽比率は、10質量%以上、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上であってよく、本発明の効果がより顕著に奏されるという観点から、50質量%以上、60質量%以上、65質量%以上、66質量%以上、67質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、又は100質量%であることが好ましい。また、仕込原料中の麦芽比率は、100質量%未満、95質量%以下、90質量%以下、80質量%以下、70質量%以下、66質量%以下、65質量%以下、60質量%以下、55質量%以下、50質量%以下、又は50質量%未満であってよい。
【0058】
麦原料以外の原料としては、例えば、コーン、米類、コウリャン等の穀類、馬鈴薯、サツマイモ等のイモ類、大豆、エンドウ等の豆類、ハーブ、スパイス等の植物原料であってもよく、スターチ、グリッツ、液糖、グラニュー糖などの粉状の糖等の糖質原料(糖類)であってもよい。
【0059】
糖類を使用する場合、糖類の使用比率(水及びホップ以外の原料に占める割合)は、例えば、0質量%超、10質量%以上、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、又は40質量%以上であってよい。また、糖類の使用比率(水及びホップ以外の原料に占める割合)は、例えば、50質量%以下、45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下、30質量%以下、25質量%以下、20質量%以下、15質量%以下、又は10質量%以下であってよい。
【0060】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、原料として水溶性食物繊維を含有していてもよい。水溶性食物繊維とは、水に可溶な食物繊維である。食物繊維とは、人の消化酵素で消化されない、食品中の難消化成分である。水溶性食物繊維としては、例えば、難消化性デキストリン、難消化性グルカン、その他の難消化性多糖類等であってよい。水溶性食物繊維は、1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。水溶性食物繊維を使用する場合、水溶性食物繊維の使用比率(水及びホップ以外の原料に占める割合)は、例えば、1質量%以上、2質量%以上、3質量%以上、4質量%以上、又は5質量%以上であってよい。また、水溶性食物繊維の使用比率(水及びホップ以外の原料に占める割合)は、例えば、10質量%以下、9質量%以下、8質量%以下、7質量%以下、又は6質量%以下であってよい。
【0061】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、本発明の効果を損なわない範囲で、飲料に通常配合される苦味料、着色料、甘味料、高甘味度甘味料、酸化防止剤、酸味料、香料、塩類等のその他原料を含んでいてもよい。苦味料としては、上記のホップの他、例えば、カフェイン、ゲンチアナ抽出物、ペプチド類、テオブロミン、ナリンジン、ニガキ抽出物、ニガヨモギ抽出物、キナ抽出物等が挙げられる。着色料としては、例えば、カラメル色素、クチナシ色素、果汁色素、野菜色素、合成色素を挙げることができる。甘味料としては、例えば、果糖ぶどう糖液糖、グルコース、ガラクトース、マンノース、フルクトース、ラクトース、スクロース、マルトース、グリコーゲン、デンプンを挙げることができる。高甘味度甘味料としては、例えば、ネオテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二ナトリウム、チクロ、ズルチン、ステビア、グリチルリチン、ソーマチン、モネリン、アスパルテーム、アリテームを挙げることができる。酸化防止剤としては、例えば、ビタミンC、ビタミンE、ポリフェノールを挙げることができる。酸味料としては、例えば、リン酸、乳酸、DL-リンゴ酸、クエン酸、アジピン酸、クエン酸三ナトリウム、グルコノデルタラクトン、グルコン酸、グルコン酸カリウム、グルコン酸ナトリウム、コハク酸、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、DL-酒石酸、L-酒石酸、DL-酒石酸ナトリウム、L-酒石酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、氷酢酸、フマル酸、フマル酸一ナトリウム、DL-リンゴ酸ナトリウムを挙げることができる。塩類としては、例えば、食塩、酸性りん酸カリウム、酸性りん酸カルシウム、りん酸アンモニウム、硫酸マグネシウム、硫酸カルシウム、メタ重亜硫酸カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、硝酸カリウム、硫酸アンモニウムを挙げることができる。
【0062】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量は、特に制限されないが、例えば、1.0g/100mL未満が好ましく、0.8g/100mL以下、0.7g/100mL以下、0.6g/100mL以下、又は0.5g/100mL未満がより好ましい。糖質含有量が所定値未満(又は以下)となることによって、健康志向の消費者に適する飲料となる。また、ビールテイスト飲料を製造する際、一般的に麦芽比率を低くすることは糖質含有量の低減に寄与する。しかし、そうすると原料液のpHに対する緩衝能も低くなり、また、ビールテイスト飲料の製造方法が発酵工程を備える場合、発酵で生成される有機酸による影響を受けやすく、pHが下がる要因となると考えられる。このことから糖質含有量が低いビールテイスト飲料の方が、pH/総プリン体比を調整することによる総プリン体含有量の低減効果を発揮しやすい。なお、本実施形態に係るビールテイスト飲料の糖質含有量の下限は、特に限定されず、例えば、0.00g/100mL超、0.05g/100mL以上、又は0.1g/100mL以上であってよい。
【0063】
本明細書において糖質とは、食品の栄養表示基準(平成15年厚生労働省告示第176号)に基づく糖質をいう。具体的には、糖質は、食品から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分を除いたものをいう。ビールテイスト飲料中の糖質含有量は、当該ビールテイスト飲料の重量から、タンパク質、脂質、食物繊維、灰分、水分及びアルコール分の量を控除することにより算定される。タンパク質、脂質、灰分、水分の量は、栄養表示基準に掲げる方法により測定する。アルコール分の量は、水分量とともに測定することができる。具体的には、タンパク質の量は改良デュマ法による全窒素(タンパク質)の定量法で測定し、脂質の量はエーテル抽出法、クロロホルム・メタノール混液抽出法、ゲルベル法、酸分解法又はレーゼゴットリーブ法で測定し、食物繊維の量は高速液体クロマトグラフ法又はプロスキー法で測定し、灰分の量は酢酸マグネシウム添加灰化法、直接灰化法又は硫酸添加灰化法で測定し、水分及びアルコール分の量はカールフィッシャー法、乾燥助剤法、減圧加熱乾燥法、常圧加熱乾燥法又はプラスチックフィルム法で測定することができる。
【0064】
糖質含有量の調整は、例えば、糖類を原料液に添加することにより実施することができる。また、糖質含有量が高くなる、又は低くなるような原料種類を適宜選択する方法によって、糖質含有量の調整を行ってもよい。
【0065】
糖化液を得る際、仕込原料及び水に加えて、必要に応じて酵素剤を添加してもよい。仕込工程で添加する酵素としては、例えば、多糖分解酵素(例:α-アミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラナーゼ、グルコアミラーゼ、α-グルコシダーゼ、イソアミラーゼ、セルラーゼ(β-グルカナーゼを含む)、ヘミセルラーゼ、デキストラナーゼ)を用いることができる。酵素は、1種を単独で使用してもよく、複数種を併用してもよい。多糖分解酵素の添加量は、使用する酵素の種類、酵素活性、原料の種類等に応じて適宜調節することができる。
【0066】
糖化液を煮沸する際、糖化液にホップを添加してよい。添加するホップとしては、例えば、乾燥ホップ、ホップペレット、ホップエキスを用いることができる。ホップは、ローホップ、ヘキサホップ、テトラホップ、イソ化ホップエキス等のホップ加工品であってもよい。
【0067】
煮沸後の糖化液中の固形分の除去は、例えば、煮沸後の糖化液に含まれる不溶性の固形分を沈殿させることにより行うことができる。固形分としては、煮沸により生じた熱凝固物、煮沸の際にホップを添加した場合には、ホップのかす等が挙げられる。固形分の除去は、ワールプール中で実施してよい。また、固形分の除去の際、煮沸後の糖化液中に上述したホップを添加してもよい。
【0068】
固形分を除去した糖化液の冷却は、例えば、酵母による発酵が可能な温度まで糖化液を冷却して発酵前液(冷麦汁)を得る。
【0069】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、上記仕込工程で得られた発酵前液(冷麦汁)にビール酵母を添加して発酵させて発酵後液を得る発酵工程を備えていてもよい。発酵工程では、酵母によりアルコール発酵が行われる。より具体的には、発酵前液に酵母を接種して発酵させ、酵母により生成するアルコールを含む発酵後液を得る。
【0070】
発酵工程で使用する酵母は、通常のビール酵母であってもよく、アルコール生成能が高い又は低い酵母(例えば、マルトース資化性及び/又はマルトトリオース資化性が低い酵母)であってもよく、香気成分等の生成能が高い又は低い酵母であってもよく、有機酸生成能が高い又は低い酵母であってもよい。
【0071】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、アルコール度数調整工程を備えていてもよい。アルコール度数調整工程は、アルコール度数を調整する工程である。発酵工程において、発酵期間又は温度を適宜選択する、アルコール生成能が高い又は低い酵母を適宜選択する、酵素剤種類を適宜選択する等してアルコール度数を調整してもよく、通常のビール等のビールテイスト飲料と同様に発酵を行ってアルコールを生成させた後に、アルコールを添加する、除去する又は低減させることによって、アルコール度数を調整してもよい。添加するアルコールに特に制限はなく、例えば、蒸留アルコール(例えば、原料用アルコール、スピリッツ、ウォッカ)であってもよく、醸造により得られた発酵液であってもよい。アルコールを除去又は低減させる方法に特に制限はなく、例えば、蒸留、透析、希釈等の常法に従って実施することができる。
【0072】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、アルコール度数が1v/v%以上であるビールテイストアルコール飲料であってもよく、アルコール度数が1v/v%未満であるビールテイストノンアルコール飲料であってもよい。なお、本明細書においてアルコールとは、特に言及しない限りエタノールを意味する。
【0073】
本実施形態に係るビールテイスト飲料がビールテイストアルコール飲料である場合、アルコール度数は、特に制限されず、例えば、1v/v%以上、2v/v%以上、3v/v%以上、3.5v/v%以上、4v/v%以上、4.5v/v%以上、5v/v%以上、5.5v/v%以上、6.0v/v%以上、又は6.5v/v%以上であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイストアルコール飲料のアルコール度数は、例えば、20v/v%以下、15v/v%以下、10v/v%以下、9v/v%以下、8v/v%以下、7v/v%以下、6.5v/v%以下、6v/v%以下、5.5v/v%以下、5v/v%以下、4.5v/v%以下、4v/v%以下、3.5v/v%以下、又は3v/v%以下であってもよい。
【0074】
本実施形態に係るビールテイスト飲料がビールテイストノンアルコール飲料である場合、アルコール度数は、特に制限されないが、1v/v%未満であればよく、0.9v/v%以下、0.8v/v%以下、0.7v/v%以下、0.6v/v%以下、0.5v/v%以下、0.4v/v%以下、0.3v/v%以下、0.2v/v%以下、0.1v/v%以下、又は0.005v/v%未満(0.00v/v%)であってもよい。また、本実施形態に係るビールテイストノンアルコール飲料のアルコール度数は、0.005v/v%以上、0.1v/v%以上、0.2v/v%以上、0.3v/v%以上、0.4v/v%以上、0.5v/v%以上であってもよい。
【0075】
本実施形態に係るビールテイスト飲料のアルコール度数は、例えば、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.3.6 ビール、アルコール(アルコライザー法)」若しくは「8.3.7 ヘッドスペースGC-FID法」、又は国税庁所定分析法「3-4アルコール分」に記載の方法によって測定することができる。
【0076】
本実施形態に係る製造方法では、発酵後工程として、発酵後液を熟成、冷却する工程、及び発酵後液をろ過する工程(第1ろ過工程)を備えていてもよい。第1ろ過工程を実施することにより、発酵後液から不溶性の固形分、酵母等を除去することができる。
【0077】
本実施形態に係る製造方法では、他の発酵後工程として、発酵後液(又は第1ろ過工程後の発酵後液)に対して加熱(殺菌)等を行ってもよい。
【0078】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、発酵後液を貯蔵して貯酒液を得る貯酒工程を備えていてもよく、貯酒液をろ過してろ過液を得るろ過工程(第2ろ過工程)を備えていてもよく、第2ろ過工程後のろ過液を容器に充填する充填工程を備えていてもよい。
【0079】
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法において、活性炭処理を行う仕込工程後の溶液は、例えば、仕込液、発酵後液、発酵後液を熟成、冷却、又はろ過した溶液、貯酒工程後の溶液、貯酒工程後第2ろ過工程前の溶液(貯酒液)、第2ろ過工程後の溶液、又は第2ろ過工程後充填工程前の溶液であってもよい。
【0080】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、発酵飲料(ビールテイスト発酵飲料)であってもよく、非発酵飲料(ビールテイスト非発酵飲料)であってもよい。発酵飲料は、酵母等による発酵を経て製造されるものである。非発酵飲料は、酵母等による発酵を行わずに製造されるものである。なお、非発酵飲料には、酵母等による発酵を行わず、アルコール(例えば、スピリッツ、原料用アルコール等の蒸留アルコール)を配合して製造されるビールテイスト飲料も含まれる。
【0081】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、非発泡性であってもよく、発泡性であってもよい。ここで、非発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)未満であることをいい、発泡性とは、20℃におけるガス圧が0.049MPa(0.5kg/cm)以上であることをいう。発泡性とする場合、ガス圧の上限は0.294MPa(3.0kg/cm)であってもよく、0.25MPa(2.55kg/cm)程度としてもよい。
【0082】
本実施形態に係るビールテイスト飲料は、容器に入れて提供することができる。容器は密閉できるものであればよく、金属製(アルミニウム製又はスチール製など)のいわゆる缶容器・樽容器を適用することができる。また、容器は、ガラス容器、ペットボトル容器、紙容器、パウチ容器等を適用することもできる。容器の容量は特に限定されるものではなく、現在流通しているどのようなものも適用することができる。なお、気体、水分及び光線を完全に遮断し、長期間常温で安定した品質を保つことが可能な点から、金属製の容器を適用することが好ましい。
【0083】
〔ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法〕
本実施形態に係るビールテイスト飲料の製造方法は、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備えることで、効率的にビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減することできる。したがって、本発明は、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法とも捉えることができる。当該方法は、上記方法における具体的な態様等として、上述した各態様を特に制限なく適用することができる。
【0084】
〔プリン体の活性炭への吸着効率を制御する方法〕
後述の実施例に示すとおり、ビールテイスト飲料の製造において、pHを調整することにより活性炭へのプリン体の吸着効率を制御できる。したがって、本発明は、pHを調整することを含む、プリン体の活性炭への吸着効率を制御する方法とも捉えることができる。pHを調整することは上述のとおりである。
【0085】
活性炭へのプリン体吸着効率とは、例えば、活性炭処理前の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)に対する、活性炭処理前の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)と活性炭処理後の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)との差の比(以下、「総プリン体吸着率」とも記載する。)であってもよい。
【実施例0086】
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の実施例により限定されるものではない。
【0087】
(試験例:ビールテイスト飲料の総プリン体含有量の評価)
仕込水、麦芽、糖類を使用して、常法に従い発酵前液を得た。得られた発酵前液にビール酵母を接種して、一定期間発酵させ、発酵後液を得た。得られた発酵後液を濾過して麦芽比率51%の溶液を製造した。ガス抜きを行った当該溶液において、以下の手順により表1に示すpH/総プリン体比、及びpH/苦味価比になるように調整してサンプル2~10のビールテイスト飲料を製造した。まず、上記溶液に表1に示すpHとなるように90%乳酸を添加した。そこへ、活性炭を表1に示す添加率となるように添加して、5℃、20分間撹拌し、活性炭処理を行った。次いでろ紙でろ過したのち、フィルター(Dismic(登録商標)、株式会社アドバンテック社製)処理を行った。また、対照として、上記溶液において活性炭処理を行わず、さらに、pH/総プリン体比及びpH/苦味価比を調整せずにサンプル1のビールテイスト飲料を製造した。
【0088】
pHの測定は、「改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.7 pH」に記載の方法によって測定した。
【0089】
苦味価は、改訂BCOJビール分析法(公益財団法人日本醸造協会発行、ビール酒造組合国際技術委員会〔分析委員会〕編集、2013年増補改訂)の「8.15 苦味価」に記載されている方法によって測定した。
【0090】
製造したサンプル1~10のビールテイスト飲料の総プリン体含有量は、サンプルを酸処理に供した後、高速液体クロマトグラフィー質量分析装置(HPLC-MS)によりアデニン、キサンチン、グアニン、及びヒポキサンチンそれぞれの含有量を測定し、これらを合算することで求めた。酸処理は、サンプルに70%過塩素酸水溶液を10v/v%添加し、100℃に設定したヒートブロック上で1.5時間インキュベートすることにより行った。結果を表1に示す。
【0091】
なお、表1中、「苦味価吸着率」及び「総プリン体吸着率」は、活性炭処理前の溶液における苦味価(BU)又は総プリン体含有量(mg/100mL)に対する、活性炭処理前の溶液における苦味価(BU)又は総プリン体含有量(mg/100mL)と活性炭処理後の溶液における苦味価(BU)又は総プリン体含有量(mg/100mL)との差の比を示す(下記式(4)又は(5))。
式(4)苦味価吸着率={活性炭処理前の溶液における苦味価(BU)-活性炭処理後の溶液における苦味価(BU)}/活性炭処理前の溶液における苦味価(BU)
式(5)総プリン体吸着率={活性炭処理前の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)-活性炭処理後の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)}/活性炭処理前の溶液における総プリン体含有量(mg/100mL)
【0092】
【表1】
【0093】
pH/総プリン体比を4.0以上に調整して製造したビールテイスト飲料(サンプル2~10)は、より総プリン体含有量が低減されており、効率的に総プリン体含有量を低減できた。また、仕込工程後の溶液のpHを調整すること及びpHを調整した仕込工程後の溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うことで、ビールテイスト飲料のpH/総プリン体比を調整することができた。さらに、pHが高いほど総プリン体吸着率が大きくなる一方で、BU吸着率は小さくなった。一般に苦味価はビールテイスト飲料の主要な香味成分が含有されていることの一つの指標である。このことから、本発明はビールテイスト飲料として好ましい香味を維持しながら、総プリン体含有量を低減したビールテイスト飲料を製造する場合に有用であることが示唆された。

【手続補正書】
【提出日】2024-06-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上50以下に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法であり、
前記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、製造方法
【請求項2】
前記調整する工程が仕込工程後の溶液のpHを調整することと、前記pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うこととを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記比が5.5以上50以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記比が9以上50以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ビールテイスト飲料の総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が4.0以上50以下であり、麦芽比率が50質量%以上である、ビールテイスト飲料。
【請求項7】
前記比が5.5以上50以下である、請求項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項8】
前記比が9以上50以下である、請求項に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
前記総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項又はに記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上50以下に調整することを備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法であり、
前記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、方法
【手続補正書】
【提出日】2024-11-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
pHを3.0以上6.0以下、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上50以下、及び苦味価(BU)に対するpHの比を0.1以上0.9以下に調整する工程を備える、ビールテイスト飲料の製造方法であり、
前記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、製造方法。
【請求項2】
前記調整する工程が仕込工程後の溶液のpHを調整することと、前記pHを調整した溶液に活性炭を添加して活性炭処理を行うこととを含む、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が5.5以上50以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が9以上50以下である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項5】
前記ビールテイスト飲料の総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項1又は2に記載の製造方法。
【請求項6】
pHが3.0以上6.0以下であり、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が4.0以上50以下であり、苦味価(BU)に対するpHの比が0.1以上0.9以下であり、麦芽比率が50質量%以上である、ビールテイスト飲料。
【請求項7】
前記総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が5.5以上50以下である、請求項6に記載のビールテイスト飲料。
【請求項8】
前記総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比が9以上50以下である、請求項6に記載のビールテイスト飲料。
【請求項9】
前記総プリン体含有量が0.5mg/100mL未満である、請求項6又は7に記載のビールテイスト飲料。
【請求項10】
pHを3.0以上6.0以下、総プリン体含有量(mg/100mL)に対するpHの比を4.0以上50以下、及び苦味価(BU)に対するpHの比を0.1以上0.9以下に調整することを備える、ビールテイスト飲料の総プリン体含有量を低減する方法であり、
前記ビールテイスト飲料の麦芽比率が50質量%以上である、方法。