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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173336
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】トレイ、トレイ用のシート材
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/20 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 5/44 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 21/032 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D5/20 A
B65D5/44 C
B65D21/032
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091690
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】石谷 真
(72)【発明者】
【氏名】牧内 隆文
(72)【発明者】
【氏名】中尾 拓也
【テーマコード(参考)】
3E006
3E060
【Fターム(参考)】
3E006AA03
3E006DA03
3E006DB03
3E060AA03
3E060AB17
3E060BC02
3E060BC04
3E060CD02
3E060CD12
3E060DA07
3E060DA30
(57)【要約】
【課題】容易に積み上げることができると共に収容物への干渉を防止する。
【解決手段】トレイ(10)は、収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能である。トレイには、交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(11)と、底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(12)と、底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(13)と、一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(14)と、が設けられている。各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(21)が突き出しており、一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、一対の桟部が荷重を受けることで、一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立可能に形成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(10、30)であって、
交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(11、31)と、
前記底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(12、32)と、
前記底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(13、33)と、
前記一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(14、34)と、を備え、
前記各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(21、39)が突き出しており、
前記一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、
前記一対の桟部が荷重を受けることで、前記一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立可能に形成されていることを特徴とするトレイ。
【請求項2】
前記一対の桟部と前記一対の第2の側壁の上縁に隙間が空いており、
前記一対の桟部が荷重を受けて、前記一対の桟部が屈曲して前記一対の第2の側壁の上縁に接することで、前記一対の第1の側壁が起立することを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項3】
前記一対の桟部が、上側のトレイに押し潰される潰し代を持っており、
前記一対の桟部が荷重を受けて、前記一対の桟部が押し潰されることで、前記一対の第1の側壁が起立することを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項4】
前記各第1の側壁の上縁から上方に一対の縦長突起が突き出しており、
前記底壁の第1の方向の各端縁から外側に横長突起(22)が突き出しており、
上側のトレイの前記横長突起が前記一対の縦長突起の間に入り込み可能であることを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項5】
前記各縦長突起及び前記各横長突起の両側縁がテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載のトレイ。
【請求項6】
前記一対の第2の側壁の第1の方向の両端縁から前記一対の第1の側壁の内側に入り込む4つの内フラップ(15)を備え、
一方の第2の側壁に連なる内フラップの先端部と他方の第2の側壁に連なる内フラップの先端部が連結されていることを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項7】
段ボール製のトレイであって、
前記一対の第2の側壁及び前記4つの内フラップの中芯(6)の段頂が上下方向に延びていることを特徴とする請求項6に記載のトレイ。
【請求項8】
前記一対の第2の側壁の第1の方向の両端縁から前記一対の第1の側壁の内側に入り込む4つの内フラップを備え、
前記各内フラップの上縁から上方に凸部(28)が突き出しており、
前記凸部が前記縦長突起を内側から支えていることを特徴とする請求項1に記載のトレイ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のトレイを組み立てることを特徴とするシート材。
【請求項10】
収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(40)であって、
交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(41)と、
前記底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(42)と、
前記底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(43)と、
前記一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(44)と、を備え、
前記各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(49)が突き出しており、
前記一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、
前記一対の第2の側壁の側縁が前記一対の第1の側壁に接するように傾斜していることを特徴とするトレイ。
【請求項11】
収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(50)であって、
交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(51)と、
前記底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(52)と、
前記底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(53)と、
前記一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(54)と、を備え、
前記各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(59)が突き出しており、
前記一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、
前記一対の第1の側壁には把持穴(55)が形成されており、当該把持穴の上方では前記一対の第1の側壁に対して前記一対の桟部が2段階に折り曲げられていることを特徴とするトレイ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トレイ、トレイ用のシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数のトレイが積み上げられたときに、上下のトレイのズレを防止するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のトレイは、矩形状の底壁の四辺から側壁が立上り、一対の側壁の上縁から一対の桟部が底壁に対向するように横向きに倒されている。一対の側壁の上縁から上方に一対の係止突起が突き出しており、この一対の側壁の下縁には係止突起に対応する一対の係止穴が形成されている。下側トレイの一対の桟部に上側トレイの底壁が載置され、上側トレイの一対の係止穴に下側トレイの一対の係止突起が挿し込まれることで複数のトレイが積み上げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-177272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のトレイを積み上げる際には、上側トレイの一対の係止穴に下側トレイの一対の係止突起を挿し込ませなければならず煩わしい作業になっていた。また、複数のトレイが積み上げられると、上側トレイの一対の係止穴に下側トレイの一対の係止突起が突き出し、上側トレイの収容物に下側トレイの係止突起が干渉するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、容易に積み上げることができると共に収容物への干渉を防止することができるトレイ及びシート材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様のトレイは、収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイであって、交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁と、前記底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁と、前記底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁と、前記一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部と、を備え、前記各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起が突き出しており、前記一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、前記一対の桟部が荷重を受けることで、前記一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立可能に形成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、下側のトレイの各第1の側壁から突き出した縦長突起に上側のトレイの各第1の側壁が誘導される。下側のトレイの一対の桟部に上側のトレイが載置されると、下側のトレイの一対の桟部が荷重を受けて一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立し、下側のトレイの各第1の側壁から突き出た縦長突起によって上側のトレイが挟み込まれる。よって、複数のトレイを容易に積み上げることができる。このとき、下側のトレイの縦長突起が上側のトレイ内に入り込むことがないため、上側のトレイ内の収容物に縦長突起が干渉することがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1の実施形態のトレイを上方から見た斜視図である。
図2】第1の実施形態のシート材の平面図である。
図3】比較例のシート材の平面図である。
図4】第1の実施形態のトレイの組み立て作業の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態のトレイの左側部の模式図である。
図6】第1の実施形態のトレイを積み上げ作業の一例を示す図である。
図7】第2の実施形態のトレイの左側部の模式図である。
図8】第3の実施形態のトレイの左側部の模式図である。
図9】第4の実施形態のトレイの上面模式図である。
図10図9のトレイをA-A線に沿って切断した断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態について説明する。各図に付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ包装箱を正面から見たときの前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。また、本実施形態では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
<第1の実施形態>
図1及び図2を参照して、第1の実施形態のトレイについて説明する。図1は第1の実施形態のトレイを上方から見た斜視図である。図2は第1の実施形態のシート材の平面図である。
【0011】
図1に示すように、トレイ10は、青果物等の収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能に形成されている。トレイ10の底壁11は、左右方向(第1の方向)に沿った一対の長側縁及び前後方向(第2の方向)に沿った一対の短側縁を有する上面視矩形状に形成されている。底壁11の一対の短側縁(左右方向の両端縁)から一対の短壁(第1の側壁)12が立ち上がり、底壁11の一対の長側縁(前後方向の両端縁)から一対の長壁(第2の側壁)13が立ち上がっている。トレイ10は、底壁11、一対の短壁12、一対の長壁13によって上面を開放した略直方体状に形成されている。
【0012】
一対の短壁12の上縁から左右方向内側に一対の桟部14が拡がり、一対の桟部14によってトレイ10上の左右両側に載置面が形成されている。各桟部14の両側縁(前後方向の両端縁)が左右方向内側に張り出しており、この各桟部14の両側縁の下側には各長壁13の上縁から前後方向内側に拡がる上縁フラップ17が位置付けられている。各桟部14の両側縁の先端側から挿込片16が下方に延びており、上縁フラップ17の基端には挿込穴18が形成されている。上縁フラップ17の挿込穴18に桟部14の挿込片16が入り込むことで、一対の桟部14を介して一対の短壁12と一対の長壁13が連結されている。
【0013】
各短壁12の上縁中央を挟んで、各短壁12の上縁から上方に一対の縦長突起21が突き出している。各短壁12の中央下部には作業者の指が挿し込まれる把持穴23が形成されており、把持穴23の下縁となる底壁11の短側縁から左右方向外側に横長突起22が突き出している。複数のトレイ10が積み上げられる際に、上側のトレイ10の横長突起22が下側のトレイ10の一対の縦長突起21の間に入り込むことで上下のトレイ10が前後左右に位置決めされる(図6参照)。各縦長突起21及び各横長突起22の両側縁がテーパー状に形成されており、一対の縦長突起21の間に横長突起22が誘い込み易くなっている。
【0014】
一対の長壁13の両側縁(左右方向の両端縁)から一対の短壁12の内側に4つの内フラップ15(図1では2つのみ図示)が入り込んでいる。一方の長壁13に連なる内フラップ15の先端部及び他方の長壁13に連なる内フラップ15の先端部のいずれか一方に上向きのフック25が形成され、いずれか他方が下向きのフック26が形成されている(特に図2参照)。一対の内フラップ15の先端部のフック25、26同士が互いに引っ掛け合うことで一対の内フラップ15の先端部が連結されている。一対の内フラップ15によって短壁12の内側に内壁が形成されて、圧縮荷重に対するトレイ10の強度が高められている。
【0015】
各内フラップ15の上縁から上方に凸部28が突き出しており、各桟部14には凸部28に対応して開口27が形成されている。内フラップ15の凸部28が桟部14の開口27に入り込み、凸部28によって縦長突起21が左右方向内側から支えられている。凸部28は桟部14と共に載置面として機能すると共に凸部28によって縦長突起21の剛性が内側から高められている。また、短壁12及び縦長突起21は下縁から上縁に向かって左右方向外側に傾倒している。複数のトレイ10を積み上げる際には(図6参照)、下側のトレイ10の縦長突起21によって上側のトレイ10の短壁12が誘導されて作業性が向上される。
【0016】
複数のトレイ10が積み上げられると、一対の縦長突起21と横長突起22によって前後左右に位置決めされるが、荷崩れ防止のために複数のトレイ10同士が強く連結されることが好ましい。そこで、第1の実施形態では、一対の桟部14が荷重を受けることで、一対の短壁12が左右方向内側に起立するように形成されている。一対の桟部14に上側のトレイ10が載せられるまでは、一対の短壁12が傾倒しており、縦長突起21によって積み上げの作業性が向上される。一対の桟部14に上側のトレイ10が載せられると、一対の短壁12が起立して縦長突起21に上側のトレイ10が強固に挟み込まれる。
【0017】
図2に示すように、トレイ10は平板状のシート材5を組み立てることで箱型に形成される。シート材5は、一枚の紙製の段ボールシートをダイカッタ等で切り抜くことで形成されている。段ボールシートは、波状の中芯6に表ライナ及び裏ライナを貼り合わせた両面段ボールシートである。なお、図2には表ライナ側から見た段ボールシートを示している。ここでは、段ボールシートの中芯6の段頂が延びる方向を「段目方向X」とし、段ボールシートの中芯6と直交する方向を「流れ方向Y」として説明する。シート材5の段目方向Xが前後方向に合わせられ、シート材5の流れ方向Yが左右方向に合わせられている。
【0018】
シート材5の中央には流れ方向Yを長辺とする矩形状の底壁11が設けられている。底壁11の流れ方向Yの外側には一対の折線L1を介して略矩形状の一対の短壁12が連なり、底壁11の段目方向Xの外側には一対の折線L2を介して略矩形状の一対の長壁13が連なっている。一対の短壁12が一対の折線L1を分断するように切り抜かれて、一対の把持穴23と一対の横長突起22が形成されている。各把持穴23の流れ方向Yの外側の端縁から内向きに緩衝片24が突き出し、緩衝片24が折線L3によって屈曲可能になっている。緩衝片24の屈曲によって把持穴23を持ったときの指への食い込みが和らげられる。
【0019】
一対の短壁12の流れ方向Yの外側には一対の折線L4を介して一対の桟部14が連なっている。各桟部14が折線L4を分断するように切り抜かれて、一対の縦長突起21と一対の開口27が形成されている。各桟部14の段目方向Xの両端部が流れ方向Yの外側に張り出し、この各桟部14の両端部には一対の折線L5を介して一対の挿込片16が連なっている。各挿込片16は段目方向Xの外側に向かって流れ方向Yの内側に近づくように湾曲している。各挿込片16の基端部分が部分的に切り欠かれており、トレイ10の組み立て時には切欠き29によって各挿込穴18の開口縁に各挿込片16が掛止可能になっている。
【0020】
一対の長壁13の段目方向Xの外側には4つの折線L6を介して4つの上縁フラップ17が連なっている。4つの上縁フラップ17は各長壁13の流れ方向Yの両端側に位置している。各上縁フラップ17には折線L6を分断するように挿込穴18が形成されている。このとき、各挿込穴18の流れ方向Yの内側の端縁から各長壁13の流れ方向Yの両端(折線L7)までの距離D1よりも、各挿込片16の流れ方向Yの外側の端縁から各桟部14の基端(折線L4)までの距離D2が長く形成されている。詳細は後述するが、各挿込穴18に各挿込片16が挿し込まれたときに各短壁12が流れ方向Yの外側に傾倒される。
【0021】
一対の長壁13の流れ方向Yの外側には4つの折線L7を介して4つの内フラップ15が連なっている。流れ方向Yの一方側(図示右側)かつ段目方向Xの一方側(図示上側)の内フラップ15には上向きのフック25が形成され、流れ方向Yの一方側かつ段目方向Xの他方側(図示下側)の内フラップ15には下向きのフック26が形成されている。流れ方向Yの他方側(図示左側)かつ段目方向Xの一方側の内フラップ15には下向きのフック26が形成され、流れ方向Yの他方側かつ段目方向Xの他方側の内フラップ15には上向きのフック25が形成されている。フック25、26によって段目方向Xで対向する一対の内フラップ15が連結可能になっている。
【0022】
各内フラップ15の段目方向Xの外側の端縁から凸部28が突き出しており、トレイ10の組み立て時には凸部28が桟部14の開口27に入り込み可能になっている。なお、図2において、破線で示す折線L1-L7は罫線で形成されている。罫線とは段ボールシートを裏ライナ側から直線状に押し潰した折線を示している。折線L1-L7は、段ボールシートが折り曲げ可能であれば、どのように形成されていてもよい。例えば、折線L1-L7の一部又は全てがリード罫によって形成されていてもよい。リード罫とは、罫線上に複数の切込みを断続的に形成した折線を示している。
【0023】
ところで、本実施形態では、前後の内フラップ15を連結させることによってトレイ10の左右両側の強度が確保されている。より詳細には、シート材5の段目方向Xが前後方向に合わせられており、トレイ10の組み立て時には一対の長壁13及び4つの内フラップ15の中芯6の段頂が上下方向に延びて、一対の短壁12の中芯6の段頂が前後方向に延びている。このため、一対の短壁12だけでは十分な強度を確保することが難しいが、一対の短壁12の内側には内フラップ15が位置付けられており、中芯6の段頂が上下方向に延びる内フラップ15によって強度が確保されている。
【0024】
例えば、図3(A)の比較例1に示すシート材61は、本実施形態と同形状であるが、シート材61の段目方向Xがトレイの左右方向に合わせられている。シート材61からトレイが組み立てられると、一対の短壁63の中芯62の段頂が上下方向に延びているが、一対の長壁64及び4つの内フラップ65の中芯62の段頂が左右方向及び前後方向に延びている。このため、一対の短壁63の強度を確保できるが、一対の長壁64の強度を十分に確保できない。また、図3(B)の比較例2に示すシート材71は、内フラップ75同士が連結される構成ではなく、このシート材71では段目方向Xがトレイの前後方向に合わせられても、内フラップ75が短壁73の内側で内壁として機能しないため十分な強度が確保できない。
【0025】
図4を参照して、第1の実施形態のトレイの組み立て作業について説明する。図4は第1の実施形態のトレイの組み立て作業の一例を示す図である。なお、トレイは、作業者の手作業によって組み立てられてもよいし、製函機によって自動的又は半自動的に組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者がトレイを組み立てる場合について説明するが、組み立て作業の作業順序は適宜変更が可能である。
【0026】
図4(A)に示すように、シート材5(図2参照)の裏ライナが上方に向けられている。先ず、一対の長壁13が折線L2に沿って上向きに折られて、底壁11に対して一対の長壁13が起こされる。次に、各内フラップ15が折線L7に沿って内向きに折られて、前後方向の一対の内フラップ15のフック25、26が互いに引っ掛けられて内フラップ15が連結される。一対の長壁13及び4つの内フラップ15によって矩形状の周壁が形成されている。上記したように、一対の長壁13及び4つの内フラップ15の中芯6(図2参照)の段頂が上下方向に延びており、圧縮荷重に対するトレイ10の強度が高められている。
【0027】
図4(B)に示すように、一対の短壁12が折線L1に沿って上向きに折られて、底壁11に対して一対の短壁12が起こされる。これにより、一対の短壁12の把持穴23から底壁11の横長突起22が外方に突き出され、内フラップ15の左右方向外側に一対の短壁12が位置付けられる。また、各上縁フラップ17が折線L6に沿って内向きに折られて、一対の長壁13に対して各上縁フラップ17が横向きに倒される。一対の長壁13及び4つの内フラップ15から成る周壁の四隅に上縁フラップ17が位置付けられ、各上縁フラップ17の挿込穴18が上方に向けられる。
【0028】
図4(C)に示すように、各挿込片16が折線L5に沿って内向きに折られ、一対の桟部14が折線L4に沿って内向きに折られながら、各挿込片16が各上縁フラップ17の挿込穴18に挿し込まれる。一対の桟部14が内向きに倒されることで、一対の短壁12の上縁のそれぞれから一対の縦長突起21が上方に突き出される。各挿込片16が各挿込穴18に挿し込まれることで、一対の桟部14を介して一対の長壁13と一対の短壁12が連結されてトレイ10が組み立てられる。このとき、一対の短壁12は下縁から上縁に向けて左右方向外側に傾けられ、各桟部14の開口27に内フラップ15の凸部28が入り込んでいる。
【0029】
図5を参照して、トレイの挟持構造について説明する。図5は第1の実施形態のトレイの左側部の模式図である。
【0030】
図5(A)に示すように、トレイ10が組み立てられた状態では、上縁フラップ17の挿込穴18に挿込片16が挿し込まれて、長壁13に対して短壁12が桟部14を介して連結されている。上記したように、長壁13の側端縁から挿込穴18の左右方向内側の端縁までの距離D1よりも、桟部14の基端から挿込片16の左右方向内側の端縁までの距離D2が長い。このため、短壁12が下縁から上縁に向かって長壁13の側端縁(内フラップ15)から離れるように傾倒し、桟部14と長壁13の上縁(上縁フラップ17)に隙間が空いている。
【0031】
図5(B)に示すように、トレイ10の桟部14が荷重を受けると、桟部14と長壁13の隙間を狭めるように桟部14が屈曲して長壁13の上縁に接する。桟部14の折れ曲がりに連動して短壁12が引き寄せられて、短壁12と長壁13の隙間を狭めるように短壁12が起立する。短壁12が傾倒姿勢から起立姿勢に変形すると、短壁12から突き出した縦長突起21が左右方向内側に動かされる。図5ではトレイ10の右側を図示しているが、トレイ10の左側でも縦長突起21が左右方向内側に動かされる。このため、トレイ10が積み上げられることで左右両側の縦長突起21によって上下のトレイ10が連結される。
【0032】
なお、図5(C)に示すように、トレイ10の桟部14が荷重を受けると、短壁12と長壁13の隙間を埋めるように短壁12が折れ曲がって長壁13の側端縁に接する場合がある。短壁12の折れ曲がりによって短壁12と長壁13の隙間を狭めるように短壁12が起立する。短壁12が傾倒姿勢から起立姿勢に変形すると、短壁12から突き出した縦長突起21が左右方向内側に動かされる。このような場合でも、トレイ10が積み上げられることで左右両側の縦長突起21によって上下のトレイ10が連結される。
【0033】
図6を参照して、トレイの積み上げ作業について説明する。図6は第1の実施形態のトレイを積み上げ作業の一例を示す図である。ここでは、積み上げられた2つのトレイのうち、下側のトレイを下側トレイとし、上側のトレイを上側トレイとして説明する。下がトレイ及び上側トレイの各部には符号a、bが付されているが、任意のトレイの各部を特定しない場合には符号a、bを省略することもある。
【0034】
図6(A)に示すように、下側トレイ10aに上側トレイ10bが載せられるまでは、下側トレイ10aの左右の桟部14aには荷重が作用しない。このため、下側トレイ10aの左右の縦長突起21a及び短壁12aが左右方向外側に傾倒している。下側トレイ10aに上側トレイ10bが載せられる際には、下側トレイ10aの左右両側で一対の縦長突起21aの間に上側トレイ10bの横長突起22bが位置合わせされる。そして、下側トレイ10aの左右の縦長突起21aに上側トレイ10bの左右の短壁12bを沿わせるようにして、下側トレイ10aの左右の桟部14a上に上側トレイ10bが載せられる。
【0035】
図6(B)に示すように、下側トレイ10aに上側トレイ10bが載せられると、下側トレイ10a及び上側トレイ10bの左右両側で一対の縦長突起21aと横長突起22bが噛み合って下側トレイ10aに対して上側トレイ10bが前後左右に位置決めされる。また、下側トレイ10aの左右の桟部14aに上側トレイ10bの荷重が作用して、下側トレイ10aの左右の桟部14aが折れ曲がって左右の短壁12aが左右方向内側に起立する。下側トレイ10aの左右の縦長突起21aが左右方向内側に動かされて、下側トレイ10aの左右の縦長突起21aによって上側トレイ10bが強く挟持される。
【0036】
以上、第1の実施形態によれば、下側トレイ10aの各短壁12aから突き出した縦長突起21aに上側トレイ10bの各短壁12bが誘導される。下側トレイ10aの一対の桟部14aに上側トレイ10bが載置されると、一対の桟部14aが荷重を受けて一対の短壁12aが左右方向内側に起立し、各短壁12aから突き出た縦長突起21aによって上側トレイ10bが挟み込まれる。よって、複数のトレイ10を容易に積み上げることができる。このとき、下側トレイ10aの縦長突起21aが上側トレイ10b内に入り込むことがないため、上側トレイ10b内の収容物に縦長突起21aが干渉することがない。また、下側トレイ10aに十分な強度が確保されているため、短壁12aの折れ曲がりが抑えられて荷姿が損なわれることがない。
【0037】
<第2の実施形態>
図7を参照して、第2の実施形態について説明する。図7は第2の実施形態のトレイの左側部の模式図である。なお、第2の実施形態は、桟部が傾けられていない点で第1の実施形態と相違する。したがって、第2の実施形態では、第1の実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0038】
図7(A)に示すように、第2の実施形態のトレイ30は、十分な厚みを持った段ボールシートによって形成されている。トレイ30が組み立てられた状態では、上縁フラップ37の挿込穴38に挿込片36が挿し込まれて、長壁33に対して短壁32が桟部34を介して連結されている。第2の実施形態では、短壁32が下縁から上縁に向かって長壁33の側端縁から離れるように傾倒しているが、桟部34が左右方向外側に向かって長壁33の上縁に接するように水平に延びている。この桟部34には荷重を受けて押し潰される潰し代が設けられている。
【0039】
図7(B)に示すように、トレイ30の桟部34が荷重を受けると、桟部34が上方から押し潰されることで桟部34が屈曲する。桟部34の押し潰しに連動して短壁32が引き寄せられて、短壁32と長壁33の隙間を狭めるように短壁32が起立する。短壁32が傾倒姿勢から起立姿勢に変形すると、短壁32から突き出した縦長突起39が左右方向内側に動かされる。図7ではトレイ30の右側を図示しているが、トレイ30の左側でも縦長突起39が左右方向内側に動かされる。このため、トレイ30が積み上げられることで左右両側の縦長突起39によって上下のトレイ30が連結される。
【0040】
以上、第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様に、複数のトレイ30を容易に積み上げることができると共に収容物への干渉が防止される。また、トレイ30の短壁32の折れ曲がりが抑えられて荷姿が損なわれることがない。
【0041】
<第3の実施形態>
図8を参照して、第3の実施形態について説明する。図8は第3の実施形態のトレイの左側部の模式図である。なお、第3の実施形態は、長壁と短壁に隙間が空けられていない点で第1の実施形態と相違する。したがって、第3の実施形態では、第1の実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0042】
図8に示すように、トレイ40が組み立てられた状態では、上縁フラップ47の挿込穴48に挿込片46が挿し込まれて、長壁43に対して短壁42が桟部44を介して連結されている。短壁42が下縁から上縁に向かって左右方向外側に傾倒しており、長壁43の側縁が短壁42に接するように傾斜し、桟部44が左右方向外側に向かって長壁43の上縁に接するように水平に延びている。第3の実施形態では、長壁43の側縁が短壁42の側縁に接しているため、複数のトレイ40が積み重ねられても長壁43及び短壁42の稜線で圧縮荷重に対するトレイ40の強度が高められている。
【0043】
以上、第3の実施形態では、縦長突起49によって上側のトレイ40を挟持する構成ではないが、第1の実施形態と同様に、複数のトレイ40を容易に積み上げることができると共に収容物への干渉が防止される。また、トレイ40の短壁42の折れ曲がりが抑えられて荷姿が損なわれることがない。
【0044】
<第4の実施形態>
図9及び図10を参照して、第4の実施形態について説明する。図9は第4の実施形態のトレイの上面模式図である。図10図9のトレイをA-A線に沿って切断した断面模式図である。なお、第4の実施形態は、桟部の中央を2段階に折り曲げた点で第1の実施形態と相違する。したがって、第4の実施形態では、第1の実施形態と同様な構成については説明を省略する。
【0045】
図9及び図10(A)に示すように、トレイ50が組み立てられた状態では、上縁フラップ57の挿込穴58に挿込片56が挿し込まれて、長壁53に対して短壁52が桟部54を介して連結されている。短壁52が下縁から上縁に向かって長壁53の側端縁から離れるように傾倒し、桟部54と長壁53の上縁に隙間が空いている。短壁52には把持穴55が形成されており、この把持穴55の上方では短壁52に対して桟部54が2段階に折り曲げられている。このとき、桟部54に2本の罫線が入れられて2段階に折られてもよいし、桟部54に1本の太い罫線が入れられて線幅の両端で2段階に折られてもよい。
【0046】
図10(B)に示すように、トレイ50の桟部54が荷重を受けると、桟部54と長壁53の隙間を狭めるように桟部54が折れ曲がって長壁53の上縁に接する。把持穴55の上方では桟部54の折れ曲がりに連動して短壁52が押し出されて、短壁52と長壁53の隙間を拡げるように短壁52が傾倒する。把持穴55周辺では桟部54に作用する荷重が左右方向外側に逃がされて、強度が低い把持穴55周辺の意図しない変形が抑えられる。なお、縦長突起59付近では第1の実施形態と同様に変形して、トレイ50の左右両側の縦長突起59に上側のトレイ50が強く挟持される。
【0047】
以上、第4の実施形態では、第1の実施形態と同様に、複数のトレイ50を容易に積み上げることができると共に収容物への干渉が防止される。また、トレイ50の短壁52の折れ曲がりが抑えられて荷姿が損なわれることがなく、把持穴周辺への荷重が軽減されて短壁52の意図しない変形が抑えられる。
【0048】
なお、上記各実施形態では、トレイが直方体状に形成されているが、トレイは積み上げ可能な箱状に形成されていればよい。
【0049】
また、上記各実施形態では、トレイの左右両側に2つずつ縦長突起が設けられ、トレイの左右両側に1つずつ横長突起が設けられているが、トレイの左右両側に1つずつ縦長突起が設けられ、トレイの左右両側に2つずつ横長突起が設けられていてもよい。
【0050】
また、上記各実施形態では、トレイに縦長突起及び横長突起が設けられているが、トレイには少なくとも縦長突起が設けられていればよい。また、縦長突起の数は特に限定されず、トレイの左右両側に3つ以上の縦長突起が設けられていてもよい。
【0051】
また、上記各実施形態では、トレイが両面段ボールシートで形成されているが、トレイが片面段ボールシート、複両面段ボールシート、厚紙、樹脂製の板材等で形成されていてもよい。
【0052】
以上の通り、第1態様は、収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(10、30)であって、交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(11、31)と、底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(短壁12、32)と、底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(長壁13、33)と、一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(14、34)と、を備え、各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(21、39)が突き出しており、一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、一対の桟部が荷重を受けることで、一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立可能に形成されている。この構成によれば、下側のトレイの各第1の側壁から突き出した縦長突起に上側のトレイの各第1の側壁が誘導される。下側のトレイの一対の桟部に上側のトレイが載置されると、下側のトレイの一対の桟部が荷重を受けて一対の第1の側壁が第1の方向内側に起立し、下側のトレイの各第1の側壁から突き出た縦長突起によって上側のトレイが挟み込まれる。よって、複数のトレイを容易に積み上げることができる。このとき、下側のトレイの縦長突起が上側のトレイ内に入り込むことがないため、上側のトレイ内の収容物に縦長突起が干渉することがない。
【0053】
第2態様は、第1態様において、一対の桟部と一対の第2の側壁の上縁に隙間が空いており、一対の桟部が荷重を受けて、一対の桟部が屈曲して一対の第2の側壁の上縁に接することで、一対の第1の側壁が起立する。この構成によれば、一対の桟部の屈曲によって一対の第1の側壁を起立させることができる。
【0054】
第3態様は、第1態様において、一対の桟部が、上側のトレイに押し潰される潰し代を持っており、一対の桟部が荷重を受けて、一対の桟部が押し潰されることで、一対の第1の側壁が起立する。この構成によれば、一対の桟部の押し潰しによって一対の第1の側壁を起立させることができる。
【0055】
第4態様は、第1態様から第3態様のいずれか1態様において、各第1の側壁の上縁から上方に一対の縦長突起が突き出しており、底壁の第1の方向の各端縁から外側に横長突起(22)が突き出しており、上側のトレイの横長突起が一対の縦長突起の間に入り込み可能である。この構成によれば、上下のトレイを前後左右に位置決めした状態で複数のトレイを積み上げることができる。
【0056】
第5態様は、第4態様において、各縦長突起及び各横長突起の両側縁がテーパー状に形成されている。この構成によれば、一対の縦長突起の間に横長突起を誘い込み易い。
【0057】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様において、一対の第2の側壁の第1の方向の両端縁から一対の第1の側壁の内側に入り込む4つの内フラップ(15)を備え、一方の第2の側壁に連なる内フラップの先端部と他方の第2の側壁に連なる内フラップの先端部が連結されている。この構成によれば、一対の内フラップによって短壁の内側に内壁が形成されて、圧縮荷重に対するトレイの強度を高めることができる。
【0058】
第7態様は、第6態様において、段ボール製のトレイであって、一対の第2の側壁及び4つの内フラップの中芯(6)の段頂が上下方向に延びている。この構成によれば、圧縮荷重に対するトレイの強度を高めることができる。
【0059】
第8態様は、第1態様から第7態様のいずれか1態様において、一対の第2の側壁の第1の方向の両端縁から一対の第1の側壁の内側に入り込む4つの内フラップを備え、各内フラップの上縁から上方に凸部(28)が突き出しており、凸部が縦長突起を内側から支えている。この構成によれば、縦長突起の剛性を高めることができる。
【0060】
第9態様は、第1態様から第8態様のいずれか1態様のトレイを組み立てることを特徴とするシート材である。この構成によれば、容易に積み上げることができると共に収容物への干渉を防止することができるトレイをシート材から組み立てることができる。
【0061】
第10態様は、収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(40)であって、交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(41)と、底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(短壁42)と、底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(長壁43)と、一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(44)と、を備え、各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(49)が突き出しており、一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、一対の第2の側壁の側縁が一対の第1の側壁に接するように傾斜している。この構成によれば、下側のトレイの各第1の側壁から突き出した縦長突起に上側のトレイの各第1の側壁が誘導される。よって、複数のトレイを容易に積み上げることができる。一対の第2の側壁の側縁が一対の第1の側壁に接しているため、複数のトレイが積み重ねられても第1、第2の側壁の稜線で圧縮荷重に対するトレイの強度を高めることができる。また、下側のトレイの縦長突起が上側のトレイ内に入り込むことがないため、上側のトレイ内の収容物に縦長突起が干渉することがない。
【0062】
第11態様は、収容物を収容した状態で上下に積み上げ可能なトレイ(50)であって、交差する第1の方向及び第2の方向に沿った外縁を有する底壁(51)と、底壁の第1の方向の両端縁から立ち上がる一対の第1の側壁(短壁52)と、底壁の第2の方向の両端縁から立ち上がる一対の第2の側壁(長壁53)と、一対の第1の側壁の上縁から第1の方向内側に拡がる一対の桟部(54)と、を備え、各第1の側壁の上縁から上方に縦長突起(59)が突き出しており、一対の第1の側壁は下縁から上縁に向かって第1の方向外側に傾倒しており、一対の第1の側壁には把持穴(55)が形成されており、当該把持穴の上方では一対の第1の側壁に対して一対の桟部が2段階に折り曲げられている。この構成によれば、下側のトレイの各第1の側壁から突き出した縦長突起に上側のトレイの各第1の側壁が誘導される。よって、複数のトレイを容易に積み上げることができる。下側のトレイの一対の桟部に上側のトレイが載置されて一対の桟部が荷重を受けると、一対の桟部の2段階の折目によって一対の第1の側壁の把持穴周辺が第1の方向外側に傾倒する。把持穴が形成された分だけ第1の側壁の強度が低下するが、把持穴周辺への荷重が軽減されることで第1の側壁の意図しない変形が抑えられる。また、下側のトレイの縦長突起が上側のトレイ内に入り込むことがないため、上側のトレイ内の収容物に縦長突起が干渉することがない。
【0063】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0064】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、実用新案登録請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0065】
5 :シート材
6 :中芯
10、30、40、50:トレイ
11、31、41、51:底壁
12、32、42、52:短壁(第1の側壁)
13、33、43、53:長壁(第2の側壁)
14、34、44、54:桟部
15 :内フラップ
21、39、49、59:縦長突起
22 :横長突起
27 :開口
28 :凸部
55 :把持穴
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10