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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173338
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動ワインダ
(51)【国際特許分類】
   B65H 67/06 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B65H67/06 W
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091693
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006297
【氏名又は名称】村田機械株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】平井 克尚
【テーマコード(参考)】
3F112
【Fターム(参考)】
3F112AA06
3F112BA05
3F112GA01
3F112HA03
3F112LB05
3F112MA01
3F112MC08
3F112PB02
3F112PB07
3F112QA01
3F112VB02
(57)【要約】
【課題】自動ワインダにおいて、複数の巻取ユニットにレイを供給するための供給経路に適切な数のトレイを送り出す。
【解決手段】トレイストッパーにより、送り出し経路から供給経路にトレイが送り出される。複数巻取ユニットに対して個別に導入経路が設けられている。各導入経路に、供給経路からのトレイの導入を許容する開状態と、供給経路からのトレイの導入を遮断する閉状態とに切り換え可能な第1ガイドが設けられている。開状態の第1ガイドの数に応じて、送り出し数M1を設定し(S301)、トレイストッパーによるトレイの送り出しを開始させる(S302)。M1個のトレイの送り出しが完了したときに(S303:YES)、複数の導入経路におけるトレイの数に応じて送り出し数M2を設定し(S306)、M2個のトレイの送り出しが完了したときに(S307:YES)、トレイストッパーによるトレイの送り出しを停止させる。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の巻取ユニットと、
前記複数の巻取ユニットにわたって延び、給糸ボビンを直立させた状態で支持するトレイが搬送される供給経路と、
前記複数の巻取ユニットに個別に設けられ、前記供給経路に接続された、前記トレイを前記巻取ユニットに導入するための複数の導入経路と、
前記複数の導入経路に個別に設けられ、前記供給経路から前記導入経路への前記トレイの導入を許容する開状態と、前記供給経路から前記導入経路への前記トレイの導入を遮断する閉状態とに切り換え可能な開閉機構と、
前記供給経路の上流端部に接続され、前記供給経路に送り出すための前記トレイが搬送される送り出し経路と、
前記送り出し経路に設けられ、前記供給経路に向けて前記トレイを送り出す送り出し装置と、
制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記開状態の前記開閉機構の数に応じて送り出す前記トレイの数を決定し、決定した数の前記トレイを前記送り出し装置に送り出させる送り出し処理を実行することを特徴とする自動ワインダ。
【請求項2】
前記制御部は、
前記送り出し処理において、前記開状態の前記開閉機構の数と同じ数の前記トレイを、前記送り出し装置に送り出させることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダ。
【請求項3】
前記制御部は、
前記送り出し処理において、前記開状態の前記開閉機構の数よりも多い数の前記トレイを、前記送り出し装置に送り出させることを特徴とする請求項1に記載の自動ワインダ。
【請求項4】
前記制御部は、
前記送り出し処理が完了したときに、前記送り出し装置に前記トレイの送り出しを停止させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自動ワインダ。
【請求項5】
前記制御部は、
前記送り出し処理が完了したときに、前記送り出し装置に、前記複数の導入経路上の前記トレイの数に応じた数の前記トレイをさらに送り出させてから、前記トレイの送り出しを停止させることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の自動ワインダ。
【請求項6】
前記制御部は、
前記送り出し処理が完了する前に、いずれかの前記開閉機構が前記閉状態から前記開状態に切り換わったときに、前記閉状態から前記開状態に切り換わった前記開閉機構の数に応じて、前記処理で前記送り出し装置に送り出させる前記トレイの数を補正することを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の自動ワインダ。
【請求項7】
前記制御部は、
前記複数の導入経路の各々における前記トレイの数に応じて、各開閉機構の前記開状態と前記閉状態とを切り換えることを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の自動ワインダ。
【請求項8】
前記制御部は、
各導入経路における前記トレイの数についてのトレイ数情報取得し、
前記複数の導入経路の各々についての前記トレイ数情報に基づいて、前記複数の導入経路に共通の、前記開閉機構を前記開状態及び前記閉状態のどちらにするかの基準となる閾値を設定し、
各導入経路に設けられた前記開閉機構の前記開状態と前記閉状態とを、当該導入経路についての前記トレイ数情報が示す前記トレイの数と前記閾値との関係に基づいて切り換えることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の自動ワインダ。
【請求項9】
前記制御部は、
前記閾値を変更したときに、前記送り出し装置に、前記閾値の変更後の所定タイミングにおける前記開状態の前記開閉機構の数に応じた数の前記トレイを送り出させることを特徴とする請求項8に記載の自動ワインダ。
【請求項10】
前記制御部は、
前記送り出し装置による前記開状態の前記開閉機構の数に応じた数の前記トレイの送り出しが完了した後、前記送り出し装置に前記複数の導入経路上の前記トレイの数に応じた数の前記トレイをさらに送り出させてから、前記閾値を変更し、
前記所定タイミングは、前記閾値の変更後、所定のディレイ時間が経過したタイミングであることを特徴とする請求項9に記載の自動ワインダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の巻取ユニットを有する自動ワインダに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の自動ワインダでは、ボビン処理装置から給糸ボビンが装着されたトレイが送出される。給糸ボビンが装着されたトレイは、供給経路に沿って搬送され、複数の巻取ユニットの各々に供給される。また、複数の巻取ユニットにおいて巻取りが完了した給糸ボビンが装着されたトレイが、回収経路に排出される。また、特許文献1に記載の自動ワインダは、供給経路の下流端部まで搬送されたトレイを、供給経路の上流端部に戻すためのリターン経路を有し、リターン経路の下流端部にトレイストッパーが設けられている。トレイストッパーは、複数の巻取ユニットから回収経路にトレイが排出されるペースと、ボビン処理装置からトレイが送出されるペースとの差に応じたペースで、リターン経路から供給経路にトレイが送出されるように、リターン経路を搬送されてきたトレイを供給経路の上流端部に戻すか否かを切り換える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-131365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、特許文献1の自動ワインダでは、上述したように、複数の巻取ユニットから回収経路にトレイが排出されるペースと、ボビン処理装置からトレイが送出されるペースとの差に応じたペースで、リターン経路から供給経路にトレイが送出される。しかしながら、特許文献1の自動ワインダでは、複数の巻取ユニットから回収経路にトレイが排出されるペースと、ボビン処理装置からトレイが送出されるペースとの差が同じであれば、各巻取ユニットにおける個別の状況が異なっていても同じようにリターン経路から供給経路にトレイが送出されている。また、トレイの搬送工程でのトレイの搬送の不具合などによりトレイの供給ペースが乱れてしまうことがある。その結果、各巻取ユニットの状況によっては、供給経路に送り出されるトレイの数が適切な数とならない虞がある。
【0005】
本発明の目的は、複数の巻取ユニットの各々の状況に応じて、供給経路に適切な数のトレイを送り出すことが可能な自動ワインダを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の糸処理装置は、複数の巻取ユニットと、前記複数の巻取ユニットにわたって延び、給糸ボビンを直立させた状態で支持するトレイが搬送される供給経路と、前記複数の巻取ユニットに個別に設けられ、前記供給経路に接続された、前記トレイを前記巻取ユニットに導入するための複数の導入経路と、前記複数の導入経路に個別に設けられ、前記供給経路から前記導入経路への前記トレイの導入を許容する開状態と、前記供給経路から前記導入経路への前記トレイの導入を遮断する閉状態とに切り換え可能な開閉機構と、前記供給経路の上流端部に接続され、前記供給経路に送り出すための前記トレイが搬送される送り出し経路と、前記送り出し経路に設けられ、前記供給経路に向けて前記トレイを送り出す送り出し装置と、制御部と、を備え、前記制御部は、前記開状態の前記開閉機構の数に応じて送り出す前記トレイの数を決定し、決定した数の前記トレイを前記送り出し装置に送り出させる送り出し処理を実行する。
【0007】
本発明では、各導入経路に設けられた開閉機構の開状態及び閉状態を適切に切り換えることによって、例えば、トレイがない導入経路、トレイの数が少ない導入経路に優先的にトレイを導入させるなど、複数の巻取ユニットに適切にトレイを供給することができる。
【0008】
一方で、本発明の場合、閉状態の開閉機構が設けられた導入経路にはトレイが導入されない。そのため、例えば特許文献1と同様に、単に、複数の巻取ユニットからトレイが排出されるペースと、ボビン処理装置からトレイが送出されるペースとの差に応じたペースで、送り出し経路から供給経路にトレイが送り出されるようにすると、どの導入経路にも導入されないトレイの数が多くなってしまう虞がある。
【0009】
これに対して、本発明では、開状態の開閉機構の数に応じて送り出すトレイの数を決定し、決定した数のトレイを送り出し装置に送り出させる送り出し処理を実行する。これにより、どの導入経路にも導入されないトレイの数を抑えることができる。
【0010】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し処理において、前記開状態の前記開閉機構の数と同じ数の前記トレイを、前記送り出し装置に送り出させる。
【0011】
本発明によると、開状態の開閉機構と同じ数のトレイを送り出すことによって、どの導入経路にも導入されないトレイの数を抑える効果を高くすることができる。
【0012】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し処理において、前記開状態の前記開閉機構の数よりも多い数の前記トレイを、前記送り出し装置に送り出させる。
【0013】
本発明によると、開状態の開閉機構と同じ数のトレイを送り出すことによって、どの導入経路にも導入されないトレイの数を極力抑えつつも、トレイを送り出している途中で、別の開閉機構が開状態となった場合のトレイの供給の遅れを生じにくくすることができる。
【0014】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し処理が完了したときに、前記送り出し装置に前記トレイの送り出しを停止させる。
【0015】
本発明によると、送り出し経路から供給経路への過剰にトレイが送り出されないようにして、どの導入経路にも導入されないトレイの数を抑えることができる。
【0016】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し処理が完了したときに、前記送り出し装置に、前記複数の導入経路上の前記トレイの数に応じた数の前記トレイをさらに送り出させてから、前記トレイの送り出しを停止させる。
【0017】
本発明によると、例えば、トレイがない導入経路又はトレイの数が少ない導入経路に設けられた開閉機構が開状態となっており、トレイの導入は可能であるがトレイの数がある程度多い導入経路に設けられた開閉機構が閉状態となっている場合に、開状態の開閉機構の数に応じたトレイが送り出され、これらのトレイが開状態の開閉機構が設けられた導入経路に導入された後には、それまで閉状態となっていた開閉機構が開状態に切り換えられ、当該開閉機構が設けられた導入経路へのトレイの導入が可能となることがある。
【0018】
そこで、本発明では、開状態の開閉機構の数に応じて決定した数のトレイの送り出しが完了したときに、複数の導入経路上のトレイの数に応じた数のトレイをさらに送り出させてから、送り出し装置にトレイの送り出しを停止させる。これにより、例えば、開状態の開閉機構の数に応じた数のトレイの送り出しが完了した後にいずれかの開閉機構が開状態となった場合に、この開閉機構が設けられた導入経路に導入するためのトレイを送り出すことができる。これにより、複数の導入経路へより効率よくトレイを導入させることができる。
【0019】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し処理が完了する前に、いずれかの前記開閉機構が前記閉状態から前記開状態に切り換わったときに、前記閉状態から前記開状態に切り換わった前記開閉機構の数に応じて、前記処理で前記送り出し装置に送り出させる前記トレイの数を補正する。
【0020】
本発明によると、開状態の開閉機構の数に応じて決定した数のトレイの送り出しが完了する前に、いずれかの開閉機構が閉状態から開状態に切り換わったときに、閉状態から開状態に切り換わった開閉機構の数に応じて、送り出させるトレイの数を補正することにより、適切な数のトレイを送り出すことができる。
【0021】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記複数の導入経路の各々における前記トレイの数に応じて、各開閉機構の前記開状態と前記閉状態とを切り換える。
【0022】
本発明によると、複数の導入経路の各々におけるトレイの数に応じて、各開閉機構の開状態と閉状態とを切り換えるため、例えば、トレイがない導入経路、トレイの数が少ない導入経路に優先的にトレイを導入させるなど、複数の巻取ユニットに適切にトレイを供給することができる。
【0023】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、各導入経路における前記トレイの数についてのトレイ数情報取得し、前記複数の導入経路の各々についての前記トレイ数情報に基づいて、前記複数の導入経路に共通の、前記開閉機構を前記開状態及び前記閉状態のどちらにするかの基準となる閾値を設定し、各導入経路に設けられた前記開閉機構の前記開状態と前記閉状態とを、当該導入経路についての前記トレイ数情報が示す前記トレイの数と前記閾値との関係に基づいて切り換える。
【0024】
本発明によると、複数の導入経路についての個別のトレイ数情報に基づいて複数の導入経路に共通の閾値を設定する。そして、各導入経路に設けられた開閉機構の開状態と閉状態とを、当該導入経路についてのトレイ数情報が示すトレイの数と上記閾値との関係に基づいて切り換える。これにより、簡単な処理で、複数の導入経路の各々におけるトレイの数に応じて、各開閉機構の開状態と閉状態とを切り換えることができる。
【0025】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記閾値を変更したときに、前記送り出し装置に、前記閾値の変更よりも後のタイミングにおける前記開状態の前記開閉機構の数に応じた数の前記トレイを送り出させる。
【0026】
閾値が変更された後に、複数の開閉機構の開状態及び閉状態に変化が生じる。本発明では、閾値の変更よりも後の所定タイミングにおける開状態の開閉機構の数に応じた数のトレイを送り出させることにより、適切な数のトレイを送り出すことができる。
【0027】
また、本発明の自動ワインダにおいて、前記制御部は、前記送り出し装置による前記開状態の前記開閉機構の数に応じた数の前記トレイの送り出しが完了した後、前記送り出し装置に前記複数の導入経路上の前記トレイの数に応じた数の前記トレイをさらに送り出させてから、前記閾値を変更し、前記所定タイミングは、前記閾値の変更後、所定のディレイ時間が経過したタイミングである。
【0028】
本発明では、開状態の開閉機構の数に応じた数のトレイの送り出しが完了した後、複数の導入経路上のトレイの数に応じた数のトレイをさらに送り出させてから、閾値を変更する。このトレイは、閾値の変更により開状態となった開閉機構が設けられた導入経路に導入されることがある。そこで、本発明では、閾値の変更後、所定のディレイ時間が経過したタイミングにおける開状態の開閉機構の数に応じた数のトレイを送り出させる。これにより、複数の導入経路上のトレイの数に応じて送り出されたトレイが導入経路に導入された場合に、その後に送り出すトレイの数を少なくして、送り出すトレイの数をより適切なものにすることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によると、複数の巻取ユニットに適切にトレイを供給することができるとともに、どの導入経路にも導入されないトレイの数を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】本発明の実施形態に係る自動ワインダの概略構成図である。
図2】(a)はトレイの送り出しを停止させている状態のトレイストッパーの平面図であり、(b)はトレイを送り出している状態のトレイストッパーの平面図である。
図3】(a)は供給経路から導入経路へのトレイの導入が遮断されている状態の個別経路周辺部分の平面図であり、(b)は供給経路から導入経路へのトレイの導入が許容されている状態の個別経路周辺部分の平面図である。
図4】(a)は供給経路から導入経路へ導入されたトレイが第1ガイドによって案内されているときの個別経路周辺部分の平面図であり、(b)は導入されたトレイが第2ガイドによって案内されているときの個別経路周辺部分の平面図である。
図5】(a)はトレイが押さえ部の付勢力に逆らって排出経路に送られているときの個別経路周辺部分の平面図であり、(b)はトレイが排出経路を搬送されているときの個別経路周辺部分の平面図である。
図6】自動ワインダの電気的構成を示すブロック図である。
図7】メイン制御部と各個別制御部との信号の送受信を説明するためのシーケンス図である。
図8】各個別制御による開閉機構の開状態と閉状態とを切り換えるための処理の流れを示すフローチャートである。
図9】メイン制御部によるトレイの送り出すための処理の流れを示すフローチャートである。
図10】変形例1における、メイン制御部によるトレイの送り出すための処理の流れを示すフローチャートである。
図11】変形例2に係る自動ワインダの概略構成図である。
図12】変形例3に係る自動ワインダの概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。なお、以下では、図中に示した方向を適宜使用して説明を行う。
【0032】
<自動ワインダの全体構成>
図1に示すように、自動ワインダ1は、左右方向に配列された複数の巻取ユニット11と、左端部に配置されたボビン処理装置12と、右端部に配置されたコントロールボックス13と、複数の巻取ユニット11が配列されている領域(ボビン処理装置12とコントロールボックス13との間の領域)に設けられたトレイ搬送装置14と、を備える。
【0033】
<巻取ユニット>
巻取ユニット11は、後述する供給経路31から供給されたトレイTに直立した状態で支持された給糸ボビンSから糸を解舒し、解舒した糸を巻き取って不図示のパッケージを形成する。また、巻取ユニット11は、ユニット停止センサ21(図6参照)を有する。ユニット停止センサ21は、巻取ユニット11にユニット停止が発生していることを検出するためのものである。ユニット停止が発生しているとは、メンテナンス状態で停止したり、何らかの不具合が発生して自動運転が継続できず停止したりすることによって、糸の巻き取りが停止していることである。
【0034】
<ボビン処理装置>
ボビン処理装置12は、給糸ボビンSが支持されたトレイTをトレイ搬送装置14に供給するとともに、トレイ搬送装置14から戻される空ボビンEが支持されたトレイTを回収する。ボビン処理装置12は、給糸ボビンSに対する口出し処理や空ボビンEに対する残糸の除去処理等を行う。本実施形態では、不図示の精紡機からボビン処理装置12に給糸ボビンSが供給されるものとするが、精紡機で精紡された給糸ボビンSがオペレータによってボビン処理装置12に供給されてもよい。
【0035】
<コントロールボックス>
コントロールボックス13は、操作パネル16を有する。操作パネル16は、コントロールボックス13の前面に設けられており、オペレータによって巻取条件等を入力できるようになっている。また、操作パネル16には、複数の巻取ユニット11の動作状況や異常等が表示される。
【0036】
<トレイ搬送装置>
トレイ搬送装置14は、ボビン処理装置12と複数の巻取ユニット11との間でトレイTを搬送する。図1に示すように、トレイ搬送装置14は、供給経路31と、送り出し経路32と、回収経路33と、複数の個別経路34とを有する。各経路におけるトレイTの搬送は、各経路に設けられた、ベルトコンベア等からなるコンベヤ装置39(図6参照)よって行われる。なお、図1における矢印は、トレイTの搬送方向を示す(他の図でも同様)。
【0037】
供給経路31は、複数の巻取ユニット11の後方に位置し、複数の巻取ユニット11にわたって左右方向に延びている。供給経路31において、トレイTは右側から左側に向かって搬送される。また、トレイ搬送装置14は、供給経路31の下流端部(左端部)まで搬送されてきたトレイTを検出するための第1トレイセンサ29を有している。
【0038】
送り出し経路32は、供給経路31の後方において、左右方向に沿って延びている。送り出し経路32の両端部は、供給経路31の両端部と接続されている。また、送り出し経路32の左端部はボビン処理装置12に接続されている。送り出し経路32において、ボビン処理装置12から供給されたトレイT、及び、供給経路31から戻されたトレイTが、左側から右側に搬送される。
【0039】
また、送り出し経路32の下流端部(右端部)には、供給経路31に向けてトレイTを送り出すための第1トレイストッパー35が設けられている。また、送り出し経路32のトレイストッパー35のすぐ上流側(左側)の部分には、送り出し経路32上のトレイTを検出するための第2トレイセンサ27が設けられている。
【0040】
トレイストッパー35は、図2(a)、(b)に示すように、アーム41と、第1ローラ42と、第2ローラ43とを備えている。アーム41は、アーム駆動源38(図6参照)に接続されており、上下方向に延びた軸41aを中心に揺動可能となっている。アーム駆動源38としてはソレノイドバルブなどが採用される。また、アーム41は、2方向に分かれて延びた第1部分41bと第2部分41cを有している。第1部分41bは、第2部分41cよりも送り出し経路32の下流側(右側)に位置している。
【0041】
第1ローラ42は、アーム41の第1部分41bの先端部に設けられている。第1ローラ42は、アーム41の第1部分41bに、上下方向に延びた第1軸42aを中心に回転自在に支持されている。第2ローラ43は、アーム41の第2部分41cの先端部に設けられている。第2ローラ43は、アーム41の第2部分41cに、上下方向に延びた第2軸43aを中心に回転自在に支持されている。
【0042】
トレイストッパー35は、トレイTの送り出しを行わないときには、図2(a)のような姿勢になっている。この状態では、第2ローラ42が、送り出し経路32上のトレイTと接触可能となっているとともに、第2ローラ43が、送り出し経路32上のトレイTとは接触しないようになっている。これにより、送り出し経路32を搬送されてきたトレイTは、第1ローラ42に接触することで、それ以上の搬送が停止される。そして、トレイストッパー35が図2(a)の状態で保持されている間は、送り出し経路32を搬送されるトレイTは、トレイストッパー35による送り出しが停止されて、送り出し経路32上に貯留される。
【0043】
トレイTを送り出すときには、トレイストッパー35に、アーム41を、第1軸41aを中心に上方から見て時計回り方向に揺動させて図2(b)の状態とした後に、アーム41を反対方向に揺動させて図2(a)の状態に戻す、送り出し動作を行わせる。トレイストッパー35を図2(b)の状態にすると、第1ローラ42が、送り出し経路32上のトレイTとは接触しないようになるとともに、第2ローラ43が、送り出し経路32上のトレイTと接触可能となる。これにより、それまで第1ローラ42によって送り出しが停止されていたトレイTが、供給経路31に向けて送り出される。また、次に送り出されるトレイTは、第2ローラ43によって搬送が停止される。そして、アーム41を反対方向に揺動させて図2(a)の状態に戻すと、第2ローラ43よって搬送が停止されていたトレイTは、第1ローラ42によって送り出しが停止される。
【0044】
また、トレイ搬送装置14は、ボビン処理装置12から送られてきたトレイTを検出するための第3トレイセンサ28を有する。また、送り出し経路32の左側における供給経路31との接続部分には、ブリッジブレーカー36が設けられている。ブリッジブレーカー36は、送り出し経路32と供給経路31との接続部分において、供給経路31から送り出し経路32に搬送されるトレイTと、ボビン処理装置12から送り出し経路32に供給されるトレイTとが引っ掛かって詰まる、いわゆるブリッジが発生するのを防止するためのものである。具体的には、第3トレイセンサ28においてトレイTが検出されているときに、ブリッジブレーカー36が作動し、送り出し経路32の供給を優先して供給する。また、ブリッジブレーカー36は、第3トレイセンサ28においてトレイTが検出されている状態が継続するとき、トレイT同士がぶつかってブリッジが発生していると判断してブリッジブレーカー36を繰り返し作動させ、ブリッジしているトレイTを崩すことも行っている。
【0045】
回収経路33は、複数の巻取ユニット11よりも前方において、複数の巻取ユニット11にわたって左右方向に延びている。回収経路33の左端部は、ボビン処理装置12と接続されている。回収経路33において、巻取ユニット11により糸が解舒された後の空ボビンEが支持されているトレイTが、右側から左側に向かって搬送され、最終的にボビン処理装置12に戻される。
【0046】
複数の個別経路34は、複数の巻取ユニット11に対して個別に設けられた経路である。複数の個別経路34は、前後方向において供給経路31と回収経路33との間に位置し、左右方向に並んでいる。各個別経路34は、途中で湾曲しながら前後方向に延びており、後端部が供給経路31に接続され、前端部が回収経路33に接続されている。
【0047】
また、各個別経路34は、導入経路34aと排出経路34bとによって構成されている。導入経路34aは、個別経路34のうち、巻取位置に位置する部分、及び、これよりも後方の部分であり、供給経路31に接続されている。排出経路34bは、個別経路34のうち、巻取位置よりも前方の部分であり、回収経路33に接続されている。巻取位置とは、巻取ユニット11が給糸ボビンSから糸を解舒するときにこの給糸ボビンSが支持されたトレイTが位置する個別経路34上の位置のことである。また、各導入経路34aには、巻取位置に位置しているものも含めて最大3つのトレイTを位置させることができるようになっている。ただし、各導入経路34aに位置させることのできる最大のトレイTの数はこれには限られない。
【0048】
また、図3(a)、(b)に示すように、各個別経路34には、第1ガイド51(本発明の開閉機構、回転部材)と、第2ガイド52と、ユニット内トレイセンサ53と、トレイ押さえ部54とが設けられている。
【0049】
第1ガイド51は、導入経路34aのうち供給経路31との接続部分の近傍に配置されている。第1ガイド51は円形の板状の部材である。第1ガイド51は、その中心に位置し上下方向に延びる第1回転軸51aを中心として回転可能に取り付けられている。第1ガイド51には、周方向の一部分に切欠き51bが形成されている。第1ガイド51は、供給経路31、送り出し経路32、回収経路33及び個別経路34を形成するカバー部材の下方に配置されている。なお、本実施形態において第1ガイド51は円形であるが、楕円形であってもよい。また円形の一部に円軌道を外れた凹凸が形成された円弧部を含んでもよい。また、第1ガイド51の、周方向の切欠き51bは1箇所あるが、複数箇所(例えば3箇所)であっても良い。
【0050】
第1ガイド51は、第1モータ56(図6参照)により回転駆動される。第1モータ56は、回転位相を制御可能であって、正逆回転が可能なモータである。第1モータ56は、例えばステッピングモータである。
【0051】
第2ガイド52は、導入経路34aのうち第1ガイド51よりも下流側の部分に配置されている。第2ガイド52は、細長い棒状の板であり、それぞれの端部がガイド片52bである。第2ガイド52は、その中心に位置し上下方向に延びる第2回転軸52aを回転中心として回転可能に取り付けられている。第2ガイド52は、供給経路31、送り出し経路32、回収経路33、及び個別経路34を形成するカバー部材の下方に配置されている。
【0052】
第2ガイド52は、第2モータ57(図6参照)により回転駆動される。第2モータ57は、回転位相を制御可能である。第2モータ57は、例えばステッピングモータである。第1モータ56と第2モータ57は異なるモータであるため、個別に動作可能である。
【0053】
第1ガイド51と第2ガイド52は、上下方向(回転軸方向)における位置が異なる。そのため、上下方向から見て、第1ガイド51と第2ガイド52とが重なっても両者は干渉しない。また、第1ガイド51と第2ガイド52は、トレイTの上下方向の位置が異なる箇所を押圧する。そのため、第1ガイド51と第2ガイド52が同時にトレイTを押圧することが容易となる。本実施形態では、第1ガイド51の下方に第2ガイド52が配置されているが、第1ガイド51の上方に第2ガイド52が配置されてもよい。
【0054】
ユニット内トレイセンサ53は、トレイTが導入経路34aに進入したことを検出する。トレイ押さえ部54は、トレイTを巻取位置に位置合わせするための部材である。トレイ押さえ部54は、揺動軸54aと、本体54bと、レール54cと、接触部54dと、を備える。本体54bは、揺動軸54aを揺動中心としてレール54cに沿って揺動可能である。また、本体54bは、図示しない付勢部材により、個別経路34の上流側に向けて付勢されている。接触部54dは本体54bの先端部に取り付けられており、トレイTに接触する。接触部54dは、例えば樹脂製である。付勢部材の付勢力により、接触部54dはトレイTを上流側(後側)に押圧してトレイTを押さえる。
【0055】
<導入経路へのトレイの導入の切り換え、導入されたトレイの搬送>
次に、供給経路31から導入経路34aへのトレイTの導入を許容するか遮断するかの切り換え、及び、供給経路31から導入経路34aに導入されたトレイTの搬送について説明する。
【0056】
第1ガイド51は、第1回転軸51aを中心に回転することによって、図3(a)に示す閉状態と、図3(b)に示す開状態とに切り換え可能である。
【0057】
図3(a)に示すように、第1ガイド51が閉状態であるときには、第1ガイド51の切欠き51bが形成されていない部分によって導入経路34aの供給経路31との接続部分が塞がれている。これにより、供給経路31から導入経路34aへのトレイTの導入が遮断され、トレイTは、第1ガイド51の外縁に沿って案内されて供給経路31を下流側に搬送される。
【0058】
図3(b)に示すように、第1ガイド51が開状態であるときには、第1ガイド51の切欠き51bが導入経路34aの供給経路31との接続部分と上下方向に重なり、切欠き51bが供給経路31と接続されている。これにより、供給経路31から導入経路34aへのトレイTの導入が許容される。また、供給経路31から導入経路34aへ導入されたトレイTは、切欠き51bの内部に入り込む。
【0059】
また、第1ガイド51は切欠き51bの内部に入り込んだトレイTをガイドする。詳細には、図4(a)に示すように、切欠き51bの内部にトレイTが入り込んだ状態において、第1ガイド51が回転することにより、切欠き51bの壁部がトレイTを押圧する。これにより、トレイTがガイドされて導入経路34aを下流側(前側)に移動する。
【0060】
第2ガイド52は、第1ガイド51にガイドされて搬送されてきたトレイTを、ガイド片52bを用いてガイドする。詳細には、図4(b)に示すように、第2ガイド52が時計回り方向に回転することにより、第2ガイド52のガイド片52bがトレイTを押圧する。これにより、トレイTがガイドされて、個別経路34(導入経路34a)を下流側(前側)に移動する。
【0061】
第2ガイド52によりトレイTがガイドされ始めた後、供給経路31から導入経路34aにさらにトレイTを導入させない場合には、第1ガイド51を、例えば図3(a)の位置まで回転させて閉状態にする。一方、供給経路31から導入経路34aにさらにトレイTを導入させる場合には、第1ガイド51を、図3(b)の位置まで回転させて開状態にする。
【0062】
トレイ押さえ部54は、第2ガイド52にガイドされてきたトレイTを、接触部54dにより上流側(後側)に押圧して押さえる。これにより、図4(b)に示すように、第2ガイド52とトレイ押さえ部54とによってトレイTが挟まれ、トレイTが巻取位置に保持される。そして、この状態で、巻取ユニット11により、巻取位置に位置するトレイTに支持された給糸ボビンSから糸が解舒される。
【0063】
巻取位置に位置するトレイTに支持された給糸ボビンSからの糸の解舒が完了し、このトレイTに空ボビンEが支持された状態となった後、第2ガイド52を時計回り方向に回転させる。このとき、トレイ押さえ部54を付勢する付勢部材の付勢力を超える力で第2ガイド52を回転させることにより、図5(a)に示すように、ガイド片52bがトレイ押さえ部54を押しのけるようにトレイTを搬送させる。これにより、図5(b)に示すように、トレイTが排出経路34bに排出される。排出経路34bに排出されたトレイTは、回収経路33に搬送される。
【0064】
<自動ワインダの電気的構成>
次に、自動ワインダ1の電気的構成について説明する。図6に示すように、自動ワインダ1は、メイン制御部61と、複数のユニット制御部62とを備えている。なお、本実施形態では、メイン制御部61と複数のユニット制御部62とを合わせたものが、本発明の制御部に相当する。
【0065】
メイン制御部61は、コントロールボックス13に設けられている。メイン制御部61は、コンベヤ装置39、アーム駆動源38、操作パネル16、トレイストッパー35、ブリッジブレーカー36等の制御を行う。また、メイン制御部61は、トレイセンサ27、28、29からの信号を受信する。また、メイン制御部61は、複数のユニット制御部62と通信可能に接続されており、複数のユニット制御部62との間で信号の送受信を行う。
【0066】
複数のユニット制御部62は、複数の巻取ユニット11に個別に設けられたものであり、対応する巻取ユニット11の動作を制御する。また、ユニット制御部62は、第1モータ56、第2モータ57等の制御も行う。また、ユニット制御部62は、ユニット停止センサ21及びユニット内トレイセンサ53からの信号を受信する。
【0067】
<トレイ数に応じた開状態と閉状態との切り換え>
本実施形態では、複数の導入経路34aにおけるトレイTの数に応じて、各導入経路34aに設けられた第1ガイド51の開状態と閉状態との切り換えを行う。以下、この切り換えのための制御について説明する。
【0068】
本実施形態では、上記切り換えのために、図7に示すように、メイン制御部61と各ユニット制御部62との間で、信号の送受信を行う。詳細に説明すると、各ユニット制御部62は、対応する導入経路34a上のトレイTの数を示すトレイ数情報をメイン制御部61に送信する(S101)。
【0069】
ここで、本実施形態では、各導入経路34aに最大3つのトレイTを位置させることができるのに対応して、各ユニット制御部62は、導入経路34a上のトレイTの数に応じて、導入経路34aにトレイTが1つあることを示すフラグ、導入経路34aにトレイTが2つあることを示すフラグ、及び、導入経路34aにトレイTが3つあることを示すフラグの、3種類のフラグを記憶している。そして、導入経路34a上にトレイTがないときには、これら3種類のフラグがすべてオフとなる。また、導入経路34a上にトレイTがあるときには、これら3種類のフラグのうち、導入経路34a上のトレイTの数に対応する1つのフラグがオンとなり、残り2つのフラグがオフとなる。また、本実施形態では、例えば、各ユニット制御部62は、ユニット内トレイセンサ53によってトレイTが検出されたこと、及び、第2ガイド52によりトレイTが排出経路34bに排出されたことに基づいて、上記3種類のフラグのオンとオフを切り換える。ただし、ユニット停止センサ21によりユニット停止が発生していることが検出されている巻取ユニット11においては、導入経路34a上のトレイTの数に関係なく、導入経路34aにトレイTが3つあることを示すフラグ(トレイTの数が最大数であることを示すフラグ)がオンとなり、それ以外のフラグがオフとなる。そして、S101では、各ユニット制御部62は、トレイ数情報として、上記3種類のフラグのオンオフの情報を、メイン制御部61送信する。
【0070】
メイン制御部61は、複数のユニット制御部62から受信した上記フラグのオンオフの情報に基づいて複数の導入経路34aに共通の閾値Naを設定し(S102)、閾値Naの情報を複数のユニット制御部62に送信する(S103)。本実施形態では、S102において、メイン制御部61は、複数の導入経路34aのうちトレイTの数が最も少ない導入経路34a上のトレイTの数を閾値Naに設定する。
【0071】
また、各ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51が開状態であるか閉状態であるかを示す開閉状態の情報をメイン制御部61に送信する(S104)。また、メイン制御部61は、S101で受信した複数の巻取ユニット11についてのトレイ数情報が示すトレイTの数と、S103で設定した閾値Naと、S103で受信した複数の第1ガイド51の開閉状態の情報とに基づいて、各ユニット制御部62に、対応する導入経路34aが後述する第2導入経路に該当するか否かを示す情報を送信する(S105)。
【0072】
また、メイン制御部61及び複数のユニット制御部62は、上記S101~S105の処理を例えば一定時間ごとに繰り返し行う。
【0073】
また、本実施形態では、各ユニット制御部62が、図8のフローチャートに沿って処理を行うことによって、対応する第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換える。
【0074】
図8のフローチャートについて詳細に説明すると、ユニット制御部62は、まず、対応する巻取ユニット11が運転停止中であるか否かを判断する(S201)。巻取ユニット11が運転停止中であるとは、例えば、巻取ユニット11の電源がオフになっていることである。当該巻取ユニット11が運転停止中である場合には(S201:YES)、ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51を閉状態にし(S205)、処理がS201に戻る。ここで、第1ガイド51を閉状態にするとは、第1ガイド51が開状態である場合に、第1モータ56を制御して第1ガイド51を回転させることによって第1ガイド51を開状態から閉状態に切り換え、第1ガイド51が閉状態である場合に第1ガイド51を閉状態に維持することである。
【0075】
対応する巻取ユニット11が運転停止中でない場合には(S201:NO)、ユニット制御部62は、導入経路34a上に最大数(本実施形態の場合3つ)のトレイTが位置していることを示すフラグがオンであるか否かを判断する(S202)。本実施形態の場合、導入経路34a上に最大数のトレイTが位置しているとき、及び、巻取ユニット11においてユニット停止が発生しているときに、導入経路34a上に最大数のトレイTが位置していることを示すフラグがオンとなる。導入経路34a上に3つのトレイTが位置していることを示すフラグがオンである場合には(S202:YES)、ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51を閉状態にし(S205)、処理がS201に戻る。
【0076】
導入経路34a上に最大数のトレイTが位置していることを示すフラグがオフである場合には(S202:NO)、ユニット制御部62は、トレイ数情報が示すトレイTの数Nが上述のS103で受信した閾値Na以下であるか否かを判断する(S203)。トレイ数情報が示すトレイTの数Nが閾値Na以下の場合には(S203:YES)、ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51を開状態にし(S206)、処理がS201に戻る。ここで、第1ガイド51を開状態にするとは、第1ガイド51が閉状態である場合に第1モータ56を制御して第1ガイド51を回転させることによって第1ガイド51を閉状態から開状態に切り換え、第1ガイド51が開状態である場合に第1ガイド51を開状態に維持することである。
【0077】
トレイ数情報が示すトレイTの数Nが閾値Naよりも大きい場合には(S203:NO)、ユニット制御部62は、上述のS106で受信した情報に基づいて、導入経路34aが第2導入経路に該当するか否かを判断する(S205)。ここで、トレイ数情報が示すトレイTの数Nと閾値Naとの関係で開状態にされる第1ガイド51が設けられる導入経路34aのうち、供給経路31の最も下流側の部分に接続された導入経路34aを第1導入経路とする。そして、第2導入経路とは、第1導入経路よりも供給経路31の下流側の部分に接続された導入経路34aのことである。
【0078】
導入経路34aが第2導入経路に該当しない場合には(S205:NO)、ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51を閉状態にし(S206)、処理がS201に戻る。導入経路34aが第2導入経路に該当する場合には(S205:YES)、ユニット制御部62は、対応する第1ガイド51を開状態にし(S207)、処理がS201に戻る。
【0079】
<開閉状態等に応じたトレイの送り出し>
本実施形態では、複数の第1ガイド51の開状態及び閉状態等に基づいてトレイストッパー35を制御して、送り出し経路32から供給経路31にトレイTを送り出す。本実施形態では、このトレイTの送り出しのために、メイン制御部61が、図9のフローチャートに沿って処理を行う。
【0080】
図9のフローチャートについて詳細に説明すると、メイン制御部61は、まず、送り出し数M1を設定する(S301)。具体的には、メイン制御部61は、例えば、送り出し数M1を開状態の第1ガイド51の数と同じ数に設定する。あるいは、メイン制御部61は、例えば、送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数よりも多い数に設定する。この場合、ユーザによる操作パネル16の操作によって、送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数に対してどれだけ多い数にするかを変更できるようにしてもよい。
【0081】
続いて、メイン制御部61は、トレイストッパー35を制御して、送り出し経路32から供給経路31へのトレイTの送り出しを開始させる(S302)。M1個のトレイTの送り出しが完了しておらず(S303:NO)、閉状態のいずれの第1ガイド51においても閉状態から開状態に切り換わっていない間は(S304:NO)、メイン制御部61は、トレイストッパー35を制御することによる送り出し経路32から供給経路31へのトレイTの送り出しを継続させる。
【0082】
M1個のトレイTの送り出しが完了するまでに(S303:NO)、いずれかの第1ガイド51において閉状態から開状態に切り換わったときには(S304:YES)、メイン制御部61は、送り出し数M1を補正し(S305)、S303に戻る。具体的には、メイン制御部61は、閉状態から開状態に切り換わった第1ガイド51の数だけ送り出し数M1を大きくする。M1個のトレイTの送り出しが完了するまでに(S303:NO)、いずれかの第1ガイド51において閉状態から開状態に切り換わる場合とは、例えば、M1個のトレイTの送り出しが完了するまでに、いずれかの巻取ユニット11において給糸ボビンSからの糸の解舒が完了し、トレイTが排出経路34bに排出されて、この巻取ユニット11に対応する導入経路34aについてのトレイ数情報が示すトレイTの数Nが閾値Na以下になった場合である。
【0083】
M1個のトレイTの送り出しが完了したときに(S303:YES)、メイン制御部61は、送り出し数M2を設定する(S306)。具体的には、メイン制御部61は、複数の導入経路34a上のトレイTの数の合計が少ない(複数の導入経路34aへ導入可能なトレイTの数の合計が多い)ときほど、送り出し数M2を大きい数に設定する。
【0084】
M2個のトレイTの送り出しが完了するまでは(S307:NO)、メイン制御部61は、トレイストッパー35を制御することによる送り出し経路32から供給経路31へのトレイTの送り出しを継続させる。
【0085】
M2個のトレイの送り出しが完了したときに(S307:YES)、メイン制御部61は、トレイストッパー35を制御して、送り出し経路32から供給経路31へのトレイTの送り出しを停止させる(S308)。そして、メイン制御部61は、閾値Naが変更されるまで待機し(S309:NO)、閾値Naが変更されたときに(S309:YES)、さらにディレイ時間が経過するまで待機する(S310:NO)。そして、ディレイ時間が経過したときに(S310:YES)、処理がS301に戻り、閾値Naが変更された後の開状態の第1ガイド51の数に基づいて送り出し数M1が設定される。
【0086】
<効果>
本実施形態では、各導入経路34aに設けられた第1ガイド51の開状態及び閉状態を適切に切り換えることによって、例えば、トレイTがない導入経路34a、トレイTの数が少ない導入経路34aに優先的にトレイを導入させるなどして、複数の巻取ユニット11に適切にトレイTを供給することができる。
【0087】
一方で、本実施形態の場合、閉状態の第1ガイド51が設けられた導入経路34aにはトレイTが導入されない。そのため、例えば特許文献1と同様に、単に、複数の巻取ユニット11からトレイが排出されるペースと、ボビン処理装置12からトレイTが送出されるペースとの差に応じたペースで、送り出し経路32から供給経路31にトレイTが送り出されるようにすると、どの導入経路34aにも導入されずに供給経路31から送り出し経路32に戻されるトレイTの数が多くなってしまう虞がある。
【0088】
これに対して、本実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じて送り出し数M1を決定し、M1個のトレイTをトレイストッパー35に送り出させる。これにより、どの導入経路34aにも導入されないトレイTの数を抑えることができる。
【0089】
また、本実施形態では、送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数と同じ数に決定する。この場合には、どの導入経路34aにも導入されないトレイTの数を抑える効果を高くすることができる。
【0090】
あるいは、本実施形態では、送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数と同じ数よりも多い数に決定する。この場合には、どの導入経路34aにも導入されないトレイTの数を極力抑えつつも、M1個のトレイTを送り出している途中で、別の第1ガイド51が閉状態から開状態に切り換わった場合のトレイTの供給の遅れを生じにくくすることができる。
【0091】
また、本実施形態では、トレイストッパー35による開状態の第1ガイド51の数に応じて決定した数(M1個)のトレイTの送り出しが完了したときに、複数の導入経路34a上のトレイTの数に応じて決定した数(M2個)のトレイTをさらに送り出させてから、トレイストッパー35にトレイTの送り出しを停止させる。
【0092】
例えば、トレイTがない導入経路34a又はトレイTの数が少ない導入経路34aに設けられた第1ガイド51が開状態となっており、トレイTの導入は可能であるがトレイTの数がある程度多い導入経路34aに設けられた第1ガイド51が閉状態となっていることがある。この場合、開状態の第1ガイド51の数に応じたトレイTが送り出され、これらのトレイTが開状態の第1ガイド51が設けられた導入経路34aに導入された後には、閾値Naが変更される。その結果、それまで閉状態となっていたトレイTの導入は可能であるがトレイTの数がある程度多い導入経路34aの第1ガイド51が開状態に切り換えられ、当該第1ガイド51が設けられた導入経路34aへのトレイTの導入が可能となることがある。
【0093】
そこで、本実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了したときに、複数の導入経路34a上のトレイの数に応じた数(M2個)のトレイTをさらに送り出させてから、トレイストッパー35にトレイTの送り出しを停止させる。これにより、例えば、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了した後に、閾値Naが変更されていずれかの第1ガイド51が開状態となった場合に、この第1ガイド51が設けられた導入経路34aに導入するためのトレイTを送り出すことができる。これにより、複数の導入経路34aへより効率よくトレイTを導入させることができる。
【0094】
また、本実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じて決定した数(M1個)のトレイTの送り出しが完了する前に、いずれかの第1ガイド51において開状態と閉状態とが切り換わったときに、開状態の第1ガイド51の変化に応じて、送り出し数M1を補正する。これにより、適切な数のトレイTを送り出すことができる。
【0095】
また、本実施形態では、複数の導入経路34aの各々におけるトレイTの数に応じて、各第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換える。そのため、例えば、トレイTがない導入経路34a、トレイTの数が少ない導入経路34aに優先的にトレイTを導入させるなど、複数の巻取ユニット11に適切にトレイを供給することができる。
【0096】
また、本実施形態では、複数の導入経路34aについての複数のトレイ数情報に基づいて共通の閾値Naを設定する。そして、各導入経路34aに設けられた第1ガイド51の開状態と閉状態とを、当該導入経路34aについてのトレイ数情報が示すトレイTの数と上記閾値Naとの関係に基づいて切り換える。これにより、簡単な処理で、複数の導入経路34aの各々におけるトレイTの数に応じて、各第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換えることができる。
【0097】
また、本実施形態では、閾値Naが変更されると複数の第1ガイド51の開状態及び閉状態に変化が生じる。これに対して、本実施形態では、閾値Naの変更よりも後の所定タイミングにおける開状態の第1ガイド51の数に応じた数のトレイTを送り出させる。これにより、適切な数のトレイTを送り出すことができる。
【0098】
また、本実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了した後、複数の導入経路34a上のトレイの数に応じた数(M2個)のトレイTをさらに送り出させてから閾値Naを変更する。この場合、送り出されたM2個のトレイTの少なくとも一部は、閾値Naの変更により開状態となった第1ガイド51が設けられた導入経路34aに導入されることがある。そこで、本実施形態では、閾値Naの変更後、所定のディレイ時間が経過したタイミングにおける開状態の第1ガイド51の数に応じた数のトレイTを送り出させる。すなわち、上記所定タイミングを、閾値Naの変更後、所定のディレイ時間が経過したタイミングとしている。これにより、複数の導入経路34a上のトレイTの数に応じて送り出されたトレイTが導入経路34aに導入された場合に、その後に送り出すトレイTの数をその分少なくして、送り出すトレイTの数をより適切なものにすることができる。
【0099】
(変形例)
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態には限られず、特許請求の範囲に記載の限りにおいて様々な変更が可能である。
【0100】
上述の実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了した後、複数の導入経路34a上のトレイの数に応じた数(M2個)のトレイTを送り出してから閾値Naを変更し、閾値Naの変更後所定のディレイ時間が経過したタイミングでの開状態の第1ガイド51の数に応じて次のトレイTの送り出しにおける送り出し数M1を設定する。すなわち、上述の所定タイミングを、閾値Naの変更後所定のディレイ時間が経過したタイミングとする。しかしながら、これには限られない。
【0101】
例えば、上記所定タイミングを、閾値Naの変更の直後のタイミングとしてもよい。あるいは、例えば、ユーザによる操作パネル16の操作によって、上記所定タイミングを変更することができるようにしてもよい。
【0102】
また、上述の実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了する前に、いずれかの第1ガイド51において閉状態から開状態に切り換わったきに、閉状態から開状態に切り換わった第1ガイド51の数に応じて送り出し数M1を補正したが、これには限られない。開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了する前に、いずれかの第1ガイド51において閉状態から開状態に切り換わっても、送り出し数M1を補正しないようにしてもよい。
【0103】
また、上述の実施形態では、開状態の第1ガイド51の数に応じた数(M1個)のトレイTの送り出しが完了したときに、複数の導入経路34a上のトレイの数に応じた数(M2個)のトレイTをさらに送り出させてから、トレイストッパー35にトレイTの送り出しを停止させたが、これには限られない。
【0104】
変形例1では、トレイストッパー35により送り出し経路32から供給経路31にトレイTを送り出すために、メイン制御部61が、図10のフローチャートに沿って処理を行う。図10のフローチャートについて説明すると、メイン制御部61は、上述の実施形態で説明したのと同様、S301~S305の処理を実行する。そして、メイン制御部61は、S303において、M1個のトレイTの送り出しが完了したと判断したときに(S305:YES)、上述の実施形態と同様のS308~S310の処理を実行する。すなわち、変形例1では、M1個のトレイTの送り出しが完了したと判断したときに、トレイストッパー35に、トレイTの送り出しを停止させる。
【0105】
変形例1では、M1個のトレイTの送り出しが完了したと判断したときに、トレイストッパー35に、トレイTの送り出しを停止させることにより、送り出し経路32から供給経路31への過剰にトレイTが送り出されないようにして、どの導入経路34aにも導入されないトレイTの数を抑えることができる。
【0106】
また、上述の実施形態では、送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数と同じ数、あるいは、開状態の第1ガイド51の数よりも多い数に設定したが、これには限られない。送り出し数M1を、開状態の第1ガイド51の数と同じ数よりも少ない数に設定してもよい。
【0107】
また、各第1ガイド51の開状態と閉状態との切り換えの制御は、上述の実施形態のものには限られない。
【0108】
例えば、メンテナンス状態で停止したり、何らかの不具合が発生して自動運転が継続できず停止したりするユニット停止が発生している巻取ユニット11に対応する第1ガイド51についても、トレイ数情報が示すトレイTの数Nの値と閾値Naとの関係に基づいて開状態と閉状態とを切り換えてもよい。あるいは、運転停止中の巻取ユニット11に対応する第1ガイド51についても、トレイ数情報が示すトレイTの数と閾値Naとの関係に基づいて開状態と閉状態とを切り換えてもよい。あるいは、例えば、第2導入経路に対応する第1ガイド51を、トレイ数情報が示すトレイTの数Nと閾値Naとの関係に基づいて閉状態としてもよい。
【0109】
あるい、例えば、導入経路34a上に位置させることのできる最大の数のトレイTが位置している状態で、導入経路34aの最も上流側のトレイTの縁が、導入経路34aの供給経路31との接続部分に位置するようになっていてもよい。この場合には、供給経路31を搬送されるトレイTが、導入経路34aの供給経路31との接続部分に位置するトレイTの縁に案内されることによって、導入経路34aとの接続部分を通過して、供給経路31を下流に搬送される。そのため、この場合には、導入経路34a上のトレイTの数が、位置させることのできる最大数であっても、当該導入経路34aに設けられた第1ガイド51を開状態にすることがあってもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、閾値Naを、トレイTの数が最も少ない導入経路34aに設けられた第1ガイド51が開状態となり、それ以外の第1ガイド51が閉状態となるような値に設定したが、これには限られない。
【0111】
例えば、トレイTの数が最も少ない導入経路34aの数が少ないときに、閾値Naを、トレイTの数が2番目に少ない導入経路34aについてのトレイTの数に設定してもよい。この場合には、各導入経路34aについてのトレイ数情報が示すトレイTの数と閾値Naとの関係により、トレイTの数が最も少ない導入経路34aに設けられた第1ガイド51と、トレイTの数が2番目に少ない導入経路34aに設けられた第1ガイド51とが開状態となり、それ以外の第1ガイド51が閉状態となる。
【0112】
また、複数の導入経路34aにおけるトレイTの数のみに基づいて閾値Naを設定することにも限られない。例えば、複数の導入経路34aにおけるトレイTの数と、複数の導入経路34aにおいて巻取位置に位置しているトレイTに支持されている給糸ボビンSの残糸量とに基づいて閾値Naを設定してもよい。なお、この場合には、例えば、各巻取ユニット11に巻取位置に位置するトレイTに支持された給糸ボビンSの残糸量を検出するセンサを設け、このセンサからメイン制御部61に上記残糸量の情報を送信するようにすればよい。
【0113】
また、上述の実施形態では、トレイ数情報が、上記3種類のフラグのオンオフの情報であったが、これには限られない。例えば、各ユニット制御部62が、導入経路34a上のトレイTの数を示すパラメータの値を記憶しており、トレイ数情報が記憶している当該パラメータの値の情報であってもよい。この場合、このパラメータを、導入経路34a上のトレイTの数が多いほど値が大きくなるパラメータとし、パラメータの値が閾値Na以下の導入経路34aに設けられた第1ガイド51を開状態とし、パラメータの値が閾値Naよりも大きい導入経路34aに設けられた第1ガイド51を閉状態としてもよい。あるいは、例えば、このパラメータを、導入経路34a上のトレイTの数が多いほど値が小さくなるパラメータとし、パラメータの値が閾値Na以上の導入経路34aに設けられた第1ガイド51を開状態とし、パラメータの値が閾値Na未満の導入経路34aに設けられた第1ガイド51を閉状態としてもよい。
【0114】
また、上述の実施形態では、複数の導入経路34aについての複数のトレイ数情報を取得し、これら複数のトレイ数情報に基づいて1つの閾値Naを設定し、各導入経路34aについてのトレイ数情報が示すトレイTの数Nと閾値Naとの関係に基づいて、各導入経路34aに設けられた第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換えたが、これには限られない。トレイ数情報が示すトレイTの数Nと閾値Naとの関係とは別の基準に基づいて、複数の導入経路34aの各々におけるトレイTの数に応じて、各第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換えてもよい。例えば、メイン制御部61が、上記複数のトレイ数情報に基づいて、複数のユニット制御部62に、導入経路34a上のトレイTの数が一番少ない巻取ユニット11の情報を送信してもよい。そして、複数のユニット制御部62が、この情報に基づいて、導入経路34a上のトレイTの数が一番少ない巻取ユニット11に優先的にトレイTが供給されるように第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換えてもよい。
【0115】
さらには、複数の第1ガイド51の開状態及び閉状態を、複数の導入経路34aの各々におけるトレイTの数とは別の基準に基づいて切り換えてもよい。また、メイン制御部61が、自動的に複数の第1ガイド51の開状態及び閉状態を切り換えることにも限られない。例えば、メイン制御部61は、オペレータによる操作パネル16の操作に応じて各第1ガイド51の開状態と閉状態とを切り換えてもよい。
【0116】
上述の実施形態では、切欠き51bが形成された板状の第1ガイド51が、供給経路31から導入経路34aへのトレイTの導入を許容する開状態と、供給経路31から導入経路34aへのトレイTの導入を遮断する閉状態とに切り換え可能な開閉機構を構成していたが、開閉機構をこれとは別の構成としてもよい。
【0117】
また、自動ワインダにおいてトレイTが搬送される経路の構成は、上述の実施形態のものには限られない。
【0118】
例えば、変形例2では、図11に示すように、自動ワインダ100が、上述の実施形態の自動ワインダ1と同様の構成に加えて、合流経路101と、第4トレイセンサ102と、第5トレイセンサ103と、トレイストッパー104とを備えている。
【0119】
合流経路101は左右方向に沿って延びており、右端部が送り出し経路32の、供給経路31の左端部との接続部分よりも右側の部分に接続されている。合流経路101の左端部はボビン処理装置12に接続されている。そして、変形例1では、送り出し経路32及び合流経路101にボビン処理装置12からトレイTが送られる。また、ボビン処理装置12から合流経路101に送られたトレイTが送り出し経路32に送られる。
【0120】
第4トレイセンサ102は、送り出し経路32の、合流経路101との接続部分と、ブリッジブレーカー36との間の部分に設けられており、送り出し経路32を搬送されるトレイTを検出する。第5トレイセンサ103は、合流経路101の送り出し経路32近傍の部分に設けられており、ボビン処理装置12から合流経路101に送られてきたトレイTを検出する。
【0121】
トレイストッパー104は、送り出し経路32の、合流経路101との接続部分と、第4トレイセンサ102との間の部分に設けられている。トレイストッパー104は、トレイストッパー35と同様の構造を有するものであり、ボビン処理装置12及び供給経路31から送られてきたトレイTを右側に送り出す。より詳細には、トレイストッパー104は、第4トレイセンサ102によりトレイTが検出されたときに、第5トレイセンサ103によりトレイTが検出されていなければ、直ちにトレイTを送り出す。一方、トレイストッパー104は、第4トレイセンサ102によりトレイTが検出されたとき、さらに第6トレイセンサ103によりトレイTが検出されている場合には、第5トレイセンサ103によりトレイTが検出されなくなった後、所定時間が経過したときにトレイTを送り出す。
【0122】
また、例えば、変形例3では、図11に示すように、自動ワインダ110が、上述の実施形態の自動ワインダ1と同様の、複数の巻取ユニット11と、複数の個別経路34とを備えている。また、自動ワインダ110は、第1供給経路111a及び第2供給経路111bと、第1送り出し経路112a及び第2送り出し経路112bと、第1回収経路113a及び第2回収経路113bと、合流経路114とを備えている。
【0123】
第1供給経路111aは、複数の個別経路34のうち右側の約半分の個別経路34にわたって左右方向に延び、これらの個別経路34(導入経路34a)の後端部が第1供給経路111aに接続されている。第2供給経路111bは、第1供給経路111aの左側に位置し、複数の個別経路34のうち左側の約半分の個別経路34にわたって左右方向に延び、これらの個別経路34(導入経路34a)の後端部が第2供給経路111bに接続されている。
【0124】
第1送り出し経路112aは、第1供給経路111aの後方に位置し、左右方向に延び、左右方向の両端部が、第1供給経路111aの両端部に接続されている。これにより、第1供給経路111aの左端部まで搬送されたトレイTは、第1送り出し経路112aに送られる。
【0125】
合流経路114は、第1送り出し経路112aの後方において、左右方向に延びている。合流経路114の右端部は、第1送り出し経路112aの右端部に接続されている。また、合流経路114は、第2供給経路111bの後方の位置まで左側に延びており、合流経路114の左端部がボビン処理装置12に接続されている。これにより、ボビン処理装置12から合流経路114にトレイTが送られ、このトレイTが、第1送り出し経路112aの右端部を経て、第1供給経路111aに送られる。
【0126】
また、自動ワインダ110は、第1送り出し経路112aの右端部近傍まで搬送されてきたトレイTを検出する第1トレイセンサ121を有する。また、自動ワインダ110は、第1トレイストッパー122を有する。第1トレイストッパー122は、第1送り出し経路112aの、合流経路114との接続部分よりも左側の部分に設けられている。第1トレイストッパー122は、トレイストッパー35と同様の構造を有し、第1送り出し経路112aの右端部近傍まで搬送されてきたトレイTを第1供給経路111aの右端部に向けて送り出す。また、自動ワインダ110は、ボビン処理装置12から合流経路114の右端部近傍まで送られてきたトレイTを検出する第2トレイセンサ123を有する。
【0127】
変形例3においても、上述の実施形態で説明したのと同様に送り出し数M1、M2を設定して、第1トレイストッパー122により、第1送り出し経路112aから第1供給経路111aに向けてトレイTを送り出す。ただし、変形例2の場合には、第1供給経路111aに接続された上述の右側の約半分の導入経路34aに設けられた第1ガイド51のうち開状態の第1ガイド51の数に基づいて送り出し数M1を設定する。また、第1供給経路111aに接続された上述の右側の約半分の導入経路34aにおけるトレイTの数の合計に基づいて送り出し数M2を設定する。
【0128】
また、変形例3では、M1個のトレイTの送り出しが完了するまでに、第2トレイセンサ123によりトレイTが検出されたときに、検出されたトレイTの数だけ送り出し数M1を減少させる。また、変形例2では、M2個のトレイTの送り出しが完了するまでに、第2トレイセンサ123によりトレイTが検出されたときに、検出されたトレイTの数だけ送り出し数M2を減少させる。また、第1トレイストッパー122は、第2トレイセンサ123によりトレイTが検出されていないタイミングで、トレイTを送り出す。
【0129】
第2送り出し経路112bは、前後方向における第2供給経路111bと合流経路114との間に位置し、左右方向に延び、左右方向の両端部が、第2供給経路111bの両端部に接続されている。第2供給経路111bの左端部まで搬送されたトレイTは、第2送り出し経路112bに送られる。また、第2送り出し経路112bの左端部は、ボビン処理装置12に接続されている。これにより、ボビン処理装置12から第2送り出し経路112bにトレイTが送られる。
【0130】
また、自動ワインダ110は、ボビン処理装置12から第2送り出し経路112bに送られてきたトレイTを検出するための第3トレイセンサ124を有する。また、自動ワインダ110は、第2供給経路111bの左端部まで搬送されてきたトレイTを検出するための第4トレイセンサ125を有する。また、第2送り出し経路112bの左端部の第2供給経路111bとの接続部分には、ブリッジブレーカー126が設けられている。ブリッジブレーカー126は、ブリッジブレーカー36と同様のものである。
【0131】
また、自動ワインダ110は、第2送り出し経路112bの右端部近傍まで搬送されてきたトレイTを検出する第5トレイセンサ127を有する。また、自動ワインダ110は、第2送り出し経路112bの右端部近傍まで搬送されてきたトレイTを第2供給経路111bの右端部に向けて送り出す第2トレイストッパー128を有する。
【0132】
第2トレイストッパー128は、トレイストッパー35と同様の構造を有する。そして、変形例3においても、上述の実施形態で説明したのと同様に送り出し数M1、M2を設定して、第2トレイストッパー128により、第2送り出し経路112bから第2供給経路111bに向けてトレイTを送り出す。ただし、変形例2の場合には、第2供給経路111bに接続された上述の左側の約半分の導入経路34aに設けられた第1ガイド51のうち開状態の第1ガイド51の数に基づいて送り出し数M1を設定する。また、第2供給経路111bに接続された上述の左側の約半分の導入経路34aにおけるトレイTの数の合計に基づいて送り出し数M2を設定する。
【0133】
第1回収経路113aは、上述の右側の約半分の個別経路34の前方に位置し、これらの個別経路34にわたって左右方向に延び、これらの個別経路34(排出経路34b)の前端部が第1回収経路113aと接続されている。第2回収経路113bは、上述の左側の約半分の個別経路34の前方に位置し、これらの個別経路34にわたって左右方向に延び、これらの個別経路34(排出経路34b)の前端部が第2回収経路113bと接続されている。第2回収経路113bの左端部は、ボビン処理装置12に接続されている。また、第1回収経路113aは、第2回収経路113bの前方を通って左側に延び、第1回収経路113aの左端部がボビン処理装置12に接続されている。これにより、複数の個別経路34から回収経路113a、113bに送られたトレイTが、ボビン処理装置12に戻される。
【0134】
また、上述の実施形態では、自動ワインダ1が、トレイストッパー35によるトレイTの送り出し等の制御を行うメイン制御部61とは別に、複数の巻取ユニット11に対して個別に設けられており、巻取ユニット11、第1モータ56、第2モータ等の制御を行う複数のユニット制御部62とを備えていたが、これには限られない。例えば、自動ワインダがメイン制御部のみを備え、メイン制御部が、トレイストッパー35によるトレイTの送り出し、複数の巻取ユニット11、複数の第1モータ56、複数の第2モータ57等の制御を全て行ってもよい。
【符号の説明】
【0135】
1:自動ワインダ
11:巻取ユニット
31:供給経路
32:送り出し経路
34a:導入経路
41a:第1ガイド
61:メイン制御部
62:個別制御部
111a、111b:供給経路
112a、112b:送り出し経路
T:トレイ
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