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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173340
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両制御装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 23/60 20230101AFI20241205BHJP
   G01B 11/02 20060101ALI20241205BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
H04N23/60 500
G01B11/02 H
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091695
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 祐生
【テーマコード(参考)】
2F065
5C122
5H181
【Fターム(参考)】
2F065AA24
2F065CC11
2F065FF01
2F065FF05
2F065FF09
2F065FF42
2F065JJ03
2F065JJ05
2F065JJ26
5C122DA14
5C122EA54
5C122FA18
5C122FB06
5C122FH10
5C122FH11
5C122FJ03
5C122FJ11
5C122HB01
5H181AA01
5H181CC04
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
(57)【要約】
【課題】車両のサイドミラーに搭載されたカメラの動きから、車両の周辺に存在する障害物を検出することができる車両用制御装置を提供する。
【解決手段】本発明に係る車両制御装置は、車両のサイドミラーに搭載され、下方に光軸を有するカメラの動きに基づいて、前記カメラが前記車両の周辺を撮像した複数の撮像画像を取得する画像取得部と、前記複数の撮像画像に含まれる障害物の視差情報から、前記車両と前記障害物の位置関係情報を算出する算出部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のサイドミラーに搭載され、下方に光軸を有するカメラの動きに基づいて、前記カメラが前記車両の周辺を撮像した複数の撮像画像を取得する画像取得部と、
前記複数の撮像画像に含まれる障害物の視差情報から、前記車両と前記障害物の位置関係情報を算出する算出部と、
を備える車両制御装置。
【請求項2】
前記視差情報は、前記サイドミラーが開いている状態における前記撮像画像に含まれる障害物と、前記サイドミラーが閉じている状態における前記撮像画像に含まれる障害物との位置関係に基づく情報である、
請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記視差情報と、前記サイドミラーの移動軌跡に基づいて、前記障害物の高さを算出する、
請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記位置関係情報は、前記車両のサイドドアの可動領域範囲と、前記障害物の位置との情報であり、
前記障害物が前記可動領域範囲に存在し、かつ、前記障害物の高さが前記サイドドアと干渉するかを判定する判定部と、を備える、
請求項3に記載の車両制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが車両を降車時に、車両のドアを開く際、車両周辺に存在する物標(障害物)との干渉を避けるため、車両に物標を検出するための検出センサ(一例として、カメラ等)を搭載し、車両周辺に存在する物標を検出し、監視している。
【0003】
例えば、カメラが撮像した撮像画像と、ドアに搭載された反射ミラーを用いて、反射ミラーに反射された光がカメラに入射し、入射する光による撮像画像から車両周辺に存在する物標を検出する技術が開示されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-183472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した例においては、物標を検出するために、車両のドアに反射ミラーを搭載する必要があり、更なる改善する余地がある。
【0006】
本発明の目的は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、車両のサイドミラーに搭載されたカメラの動きから、車両の周辺に存在する物標を検出することができる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る車両制御装置は、車両のサイドミラーに搭載され、下方に光軸を有するカメラの動きに基づいて、カメラが車両の周辺を撮像した複数の撮像画像を取得する画像取得部と、複数の撮像画像に含まれる物標の視差情報から、車両と物標の位置関係情報を算出する算出部と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、車両制御装置は、例えば、カメラの動きに対応した複数の撮像画像から、撮像画像に含まれる物標を抽出し、検出した物標から物標の視差を算出する。そのため、車両制御装置は、車両のサイドミラーに搭載されたカメラの動きに基づいて、車両の周辺に存在する障害物を検出することができる。
【0009】
また、視差情報は、サイドミラーが開いている状態における撮像画像に含まれる物標と、サイドミラーが閉じている状態における撮像画像に含まれる物標との位置関係に基づく情報であっても良い。これにより、例えば、車両制御装置は、サイドミラーの開閉前後で撮像された撮像画像に含まれる物標を比較することで、サイドカメラを疑似的なステレオカメラとして、利用することができる。
【0010】
さらに、算出部は、視差情報と、サイドミラーの移動軌跡に基づいて、物標の高さを算出しても良い。また、位置関係情報は、車両のサイドドアの可動領域範囲と、物標の位置との情報であり、車両制御装置は、物標が可動領域範囲に存在し、かつ、物標の高さがサイドドアと干渉するかを判定する判定部と、を備えても良い。これにより、例えば、車両制御装置は、ユーザが車両を降車し、サイドドアを開ける際に、サイドドアの周辺の物標と干渉するかを判定することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、車両のサイドミラーに搭載されたカメラの動きに基づいて、車両周辺に存在する障害物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態に係る車両の電気的構成を含む車両制御システムの一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態に係る車両のECUの機能的なブロック構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、サイドミラーの動きを説明するための模式図である。
図4図4は、実施形態に係るサイドカメラが撮像する撮像画像を説明するための模式図である。
図5図5は、実施形態に係るサイドカメラが撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。
図6図6は、実施形態に係るサイドカメラが撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。
図7図7は、障害物の視差情報を説明するための模式図である。
図8図8は、障害物の視差情報を説明するための模式図である。
図9図9は、実施形態に係る車両のECUの動作の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下では、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ詳細に説明する。また、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの及びいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更及び組み合わせを行うことができる。
【0014】
(車両の電気的構成)
図1は、実施形態に係る車両の電気的構成を含む車両制御システムの一例を示す図である。図1を参照しながら、本実施形態に係る車両の電気的構成を含む車両制御システムについて説明する。
【0015】
図1に示すように、実施形態の車両100は、ECU(Electronic Control Unit)10、イグニッションスイッチ21、ドアカーテシスイッチ22、電動格納ミラーモータ23、スピーカ24、フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34を備える。
【0016】
ECU10は、ボディECU11及びカメラECU12を有する。ECU10は、車両制御装置の一例である。各ECUは、マイコン(マイクロコントローラユニット)を備えており、当該マイコンは、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリと、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリを内蔵している。
【0017】
各ECUは、バスラインを介して、互いに通信可能となるように接続されている。バスラインは、例えば、イーサネット(登録商標)やGVIF(Gigabit Video InterFace)(登録商標)等の通信プロトコルに基づく通信を実現する。なお、イーサネット(登録商標)やGVIF(登録商標)に限定されるものではなく、その他の通信プロトコルが適用されてもよい。
【0018】
ボディECU11は、イグニッションスイッチ21、ドアカーテシスイッチ22、電動格納ミラーモータ23及びスピーカ24と、例えば、CAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークで接続されている。これにより、ボディECU11は、後述するように、例えば、イグニッションスイッチ21、ドアカーテシスイッチ22、電動格納ミラーモータ23及びスピーカ24からの信号を送受信することができる。
【0019】
カメラECU12は、フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34と、例えば、HDMI(登録商標)(High-Definition Multimedia Interface)ケーブル等のディスプレイケーブルで接続されている。これにより、例えば、フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34が撮影した画像等をデジタル信号に変換して伝送することができる。
【0020】
イグニッションスイッチ21は、エンジンもしくはモータ並びに電気系統を始動させるスイッチである。イグニッションスイッチ21は、エンジンキーによりキーシリンダが回転され、または、ボタンが押下されること等により作動する。イグニッションスイッチ21は、スイッチ操作が行われるとエンジン等を始動させるための制御信号を出力する。ドアカーテシスイッチ22は、車両100のフロントサイドドアの開閉を検出するスイッチである。
【0021】
ドアカーテシスイッチ22は、例えば、車両100に乗車するユーザにより操作される。ドアカーテシスイッチ22は、スイッチ操作が行われるとドアカーテシの開閉をさせるための制御信号を出力する。ドアカーテシスイッチ22は、例えば、オン状態であるときは、フロントサイドドアを開ける、もしくは開いている状態である。また、ドアカーテシスイッチ22は、例えば、オフ状態であるときは、フロントサイドドアを閉めている状態である。
【0022】
電動格納ミラーモータ23は、サイドミラーが取付けられたミラーハウジング内に備えるモータである。電動格納ミラーモータ23は、例えば、モータの駆動力を利用して、ミラーハウジングを車両100のボディ(車体)側のミラーベースに対して相対回転させ、サイドミラーを開閉するようにしている。電動格納ミラーモータ23は、例えば、イグニッションスイッチ21がオンしたタイミングで、サイドミラーを開くように駆動する。電動格納ミラーモータ23は、例えば、イグニッションスイッチ21がオフしたタイミングで、サイドミラーを閉じるように駆動する。
【0023】
スピーカ24は、車両100の車室内に設置された、音及び音声を出力する音響装置である。イグニッションスイッチ21、ドアカーテシスイッチ22、電動格納ミラーモータ23及びスピーカ24は、ボディECU11と通信可能に接続されている。
【0024】
フロントカメラ31、例えば、フロントバンパ等の車両100の前部に設けられ、車両100の前方画像を撮影する。第1サイドカメラ32は、運転席から見て、例えば、右側のサイドミラーの車両100の右側部に設けられ、車両100の右側方画像を撮影する。第2サイドカメラ33は、運転席から見て、例えば、左側のサイドミラー等の車両100の左側部に設けられ、車両100の左側方画像を撮影する。第1サイドカメラ32及び第2サイドカメラ33を総称して、サイドカメラともいう。バックカメラ34は、例えば、リヤバンパ等の車両100の後部に設けられ、車両100の後方画像を撮影する。フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34は、カメラECU12と通信可能に接続されている。
【0025】
これらのフロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34が撮影した周辺画像は、例えば、駐車または出車の際に、車両100の周辺監視に用いられる。このため、死角を極力減らすことを目的として、これらのフロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34には、例えば、魚眼レンズ等の広角レンズが用いられる。フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34は、例えば、単眼カメラであり、下方に光軸を有するカメラである。フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34は、単にカメラともいう。
【0026】
なお、図1に示した車両100の電気的構成は一例を示すものであり、図1に示した構成要素を全て含む必要はなく、または、その他の構成要素を含むものとしてもよい。また、図1に示される各種ECUは、それぞれ独立したハードウェアとなっていることに限られず、いずれかを集約されたECUとして構成されてもよい。例えば、ボディECU11とカメラECU12とが集約された1つのECUとして構成され、当該ECUが、ボディECU11及びカメラECU12のそれぞれの機能を有するものとしてもよい。
【0027】
(車両のECUの機能的なブロック構成)
次に、図2を用いて、本実施形態に係る車両100のECU10の機能的なブロック構成について説明する。図2は、実施形態に係る車両100のECU10の機能的なブロック構成の一例を示すブロック図である。
【0028】
図2に示すように、ボディECU11は、信号受信部111、ミラー格納制御部112及び出力部113を備える。また、カメラECU12は、画像取得部121、抽出部122、第1判定部123、算出部124及び第2判定部125を備える。
【0029】
信号受信部111は、イグニッションスイッチ21が出力するエンジンを始動させるための制御信号を受信する。また、信号受信部111は、イグニッションスイッチ21がし出力するエンジンを停止するための制御信号を受信する。さらに、信号受信部111は、ドアカーテシスイッチ22が出力するドアカーテシを開けるための制御信号(オン状態)を受信する。また、信号受信部111は、ドアカーテシスイッチ22が出力するドアカーテシを閉じるための制御信号(オフ状態)を受信する。
【0030】
ミラー格納制御部112は、信号受信部111が受信した制御信号に基づいて、サイドミラーを開閉するように電動格納ミラーモータ23を制御する。ここで、ミラー格納制御部112が電動格納ミラーモータ23を制御する内容について図3を用いて説明する。
【0031】
図3は、サイドミラーの動きを説明するための模式図である。図3には、車両100のサイドドア20、サイドミラー30、第1サイドカメラ32、サイドミラー30の移動軌跡M1を示す。移動軌跡M1は、矢印方向を正の向きとする。なお、図3は、車両100の上面から見た模式図である。なお、サイドミラー30は、右側のサイドミラーとする。
【0032】
例えば、ミラー格納制御部112は、信号受信部111が受信したエンジンを始動させるための制御信号に基づいて、サイドミラー30を開くために、移動軌跡M1の負の方向へ作動するように、電動格納ミラーモータ23を制御する。また、ミラー格納制御部112は、信号受信部111が受信したエンジンを停止させるための制御信号に基づいて、サイドミラー30を閉じるために、移動軌跡M1の正の方向へ作動するように、電動格納ミラーモータ23を制御する。
【0033】
図2に戻る。出力部113は、スピーカ24が出力する出力信号を出力する。例えば、出力部113は、後述する第2判定部125が判定した判定結果に基づいて、スピーカ24が出力する出力信号を出力する。出力部113が出力信号を出力するタイミングについて後述する。
【0034】
画像取得部121は、サイドカメラが撮像した撮像画像を取得する。具体的には、画像取得部121は、車両100のサイドミラー30に搭載され、下方に光軸を有するカメラの動きに基づいて、カメラが車両100の周辺を撮像した複数の撮像画像を取得する。ここで、画像取得部121が取得する撮像画像について、図4図5及び図6を用いて説明する。
【0035】
図4は、実施形態に係るサイドカメラが撮像する撮像画像を説明するための模式図である。図5及び図6は、実施形態に係るサイドカメラが撮像した撮像画像の一例を示す模式図である。なお、説明の便宜上、本実施形態について、車両100の周辺は、車両100の進行方向に対して、車両100の右側である形態について説明するが、これに限定されない。例えば、車両100の周辺は、車両100の進行方向に対して、車両100の左側であっても良い。
【0036】
図4には、車両100のサイドドア20、サイドミラー30、第1サイドカメラ32、サイドミラー30が開いている状態における第1サイドカメラ32の撮像領域321、サイドミラー30が閉じている状態における第1サイドカメラ32の撮像領域322、車両100の周辺に存在する第1障害物323及び第2障害物324、サイドミラー30の移動軌跡M1を示す。第1障害物323及び第2障害物324は、物標の一例である。以下、障害物を物標ともいう。また、なお、図4は、車両100の側面から見た模式図であり、図3に示すサイドミラー30の動きに対応している。
【0037】
図5には、撮像領域321に対応する第1撮像画像71を示す。図6には、撮像領域322に対応する第2撮像画像72を示す。第1撮像画像71及び第2撮像画像72には、車両100のサイドドア20、車両100の周辺に存在する第1障害物323及び第2障害物324を示す。また、図5には、サイドドア20の可動領域を示す可動領域範囲T1を示す。なお、可動領域範囲T1は、開閉軌跡ともいう。
【0038】
例えば、画像取得部121は、図5に示すように、サイドミラー30が開いている状態において第1サイドカメラ32が撮像した第1撮像画像71を取得する。また、例えば、画像取得部121は、図6に示すように、サイドミラー30が閉じている状態において第1サイドカメラ32が撮像した第2撮像画像72を取得する。
【0039】
図2に戻る。抽出部122は、画像取得部121が取得した撮像画像から車両100の周辺に存在する障害物を抽出する。例えば、抽出部122は、図5及び図6に示す第1撮像画像71及び第2撮像画像72から、既知のエッジ検出処理や2値化処理等を利用した画像認識を用いて、車両100の周辺に存在する第1障害物323及び第2障害物324を抽出する。
【0040】
図2に戻る。第1判定部123は、抽出部122が抽出した障害物がサイドドア20の可動領域範囲内に存在するかを判定する。サイドドア20の可動領域範囲T1は、例えば、カメラECU12の記憶回路に記憶されている。なお、カメラECU12の記憶回路は、フロントカメラ31、第1サイドカメラ32、第2サイドカメラ33及びバックカメラ34の地上からの高さ方向に関する位置情報も記憶する。可動領域範囲T1は、サイドドア20と、第1サイドカメラ32の位置が予め決められた位置に存在するため、カメラECU12は、サイドドア20と、第1サイドカメラ32の位置から可動領域範囲T1を算出することができる。
【0041】
例えば、図5に示すように、第1判定部123は、抽出部122が第1撮像画像71から抽出した第1障害物323は、サイドドア20の可動領域範囲T1に存在するため、車両100の周辺に障害物があると判定する。例えば、図5に示すように、第1判定部123は、抽出部122が第2撮像画像72から抽出した第2障害物324は、サイドドア20の可動領域範囲T1に存在しないため、車両100の周辺に障害物がしないと判定する。
【0042】
算出部124は、サイドカメラの動きに基づいて、サイドカメラが撮像した撮像画像に含まれる障害物の視差情報を算出する。障害物の視差情報は撮像画像上における障害物の移動軌跡から算出する。ここで、障害物の視差情報について、図7及び図8を用いて説明する。図7及び図8は、障害物の視差情報を説明するための模式図である。
【0043】
図7には、第1サイドカメラ32、第1サイドカメラ32の撮像領域321及び撮像領域322、車両100の周辺に存在する第1障害物323及び第2障害物324、第1サイドカメラ32の移動軌跡M1を示す。図8には、第1撮像画像71に含まれる第1障害物323及び第2障害物324、第2撮像画像72に含まれる第1障害物323及び第2障害物324、第1サイドカメラ32の移動軌跡M1、第1障害物323の移動軌跡M2、第2障害物324の移動軌跡M3を示す。
【0044】
例えば、図7に示すように、第1サイドカメラ32が移動軌跡M1のように移動すると、第1障害物323及び第2障害物324は、図8に示すような移動軌跡M2及び移動軌跡M3となる。具体的には、図8に示す第1サイドカメラ32の移動軌跡M1のように左から右に移動すると、第1障害物323は、移動軌跡M2のように右から左に移動し、第2障害物324は、移動軌跡M3のように右から左に移動する。また、第1サイドカメラ32の位置を基準とすると、第1障害物323は第2障害物324より第1サイドカメラ32が近い。そのため、移動軌跡M2は、移動軌跡M3と比較して、移動量が大きい。
【0045】
つまり、障害物の視差情報は、サイドミラー30が開いている状態における撮像画像に含まれる障害物と、サイドミラー30が閉じている状態における撮像画像に含まれる障害物との位置関係に基づく情報である。算出部124は、サイドカメラの動きに基づいて、障害物の視差情報を算出することで、カメラECU12は、サイドカメラを疑似的なステレオカメラとして、利用することができる。
【0046】
また、算出部124は、複数の撮像画像に含まれる障害物の視差情報から、車両100と障害物の位置関係情報を算出する。位置関係情報は、車両100のサイドドア20の可動領域範囲T1と、障害物の位置との情報である。具体的には、算出部124は、算出した障害物の視差情報と、第1サイドカメラ32の移動軌跡M1とに基づいて、撮像画像に含まれる障害物の位置及び高さを算出する。例えば、算出部124は、サイドカメラが平行移動した際に撮像した少なくとも2つの撮像画像の移動軌跡に基づいて、撮像画像に含まれる障害物の位置及び高さを算出する。
【0047】
例えば、図4に示すように、第1サイドカメラ32の地面からの高さH1は、予めカメラECU12の記憶回路に記憶されている。そのため、算出部124は、第1サイドカメラ32の地面からの高さH1と、第1サイドカメラ32の移動軌跡M1と、第1障害物323の移動軌跡M2と、に基づいて、第1障害物323の地面からの高さH2を算出する。また、算出部124は、第1サイドカメラ32の地面からの高さH1と、第1サイドカメラ32の移動軌跡M1と、第2障害物324の移動軌跡M3と、に基づいて、第2障害物324の地面からの高さH3を算出する。
【0048】
図2に戻る。第2判定部125は、障害物がサイドドア20の可動領域範囲T1に存在し、かつ、障害物の高さがサイドドア20と干渉するかを判定する。また、第2判定部125は、障害物がサイドドア20の開閉軌跡内かつ干渉する高さであるかかつドアカーテシスイッチ22がオンの状態であるかを判定する。
【0049】
例えば、第2判定部125は、障害物がサイドドア20の開閉軌跡内である、かつ、障害物が干渉する高さである、かつ、ドアカーテシスイッチ22がオンの状態であると判定すると、出力部113に対して、スピーカ24が出力信号を出力するように制御を行う。また、例えば、第2判定部125は、障害物がサイドドア20の開閉軌跡外に存在する状態であり、もしくは、障害物が干渉する高さではない状態であり、または、ドアカーテシスイッチ22がオフの状態である、のうち、少なくとも1つの状態であると判定すると、出力部113に対して、スピーカ24が出力信号を出力しないように制御を行う。
【0050】
(車両のECUの動作の流れ)
図9は、実施形態に係る車両100のECU10の動作の流れの一例を示すフローチャートである。図9を参照しながら、本実施形態に係る車両100のECU10の動作の流れについて説明する。また、本処理は、車両100がイグニッションオンの状態からイグニッションオフの状態へ移行した際にECU10は本処理を開始するものとする。
【0051】
画像取得部121は、サイドミラー30が開いた状態において第1サイドカメラ32が撮像した第1撮像画像71を取得する(ステップS91)。続いて、ミラー格納制御部112は、サイドミラー30を閉じる(格納する)ために、移動軌跡M1の正の方向へ作動するように、電動格納ミラーモータ23を制御する(ステップS92)。続いて、画像取得部121は、サイドミラー30が閉じた状態において第1サイドカメラ32が撮像した第2撮像画像72を取得する(ステップS93)。
【0052】
続いて、抽出部122は、画像取得部121が取得した撮像画像から車両100の周辺に存在する障害物を抽出する(ステップS94)。続いて、第1判定部123は、抽出部122が抽出した障害物がサイドドア20の開閉領域内に存在するかを判定する(ステップS95)。続いて、算出部124は、障害物の視差と、サイドカメラの移動量と、に基づいて、障害物の高さを算出する(ステップS96)。続いて、第2判定部125は、障害物がサイドドア20の開閉軌跡内かつ干渉する高さであるかかつドアカーテシスイッチ22がオンの状態であるかを判定する(ステップS97)。
【0053】
ここで、第2判定部125が、障害物がサイドドア20の開閉軌跡内である、かつ、障害物が干渉する高さである、かつ、ドアカーテシスイッチ22がオンの状態であると判定する場合、出力部113に対して、スピーカ24が出力信号を出力するように制御を行う(ステップS97:Yes)。その後、ECU10は、ステップS98へ進む。
【0054】
他方で、第2判定部125は、障害物がサイドドア20の開閉軌跡外に存在する状態であり、もしくは、障害物が干渉する高さではない状態であり、または、ドアカーテシスイッチ22がオフの状態である、のうち、少なくとも1つの状態であると判定する場合、出力部113に対して、スピーカ24が出力信号を出力しないように制御を行う(ステップS97:No)。その後、ECU10は、本処理を終了する。
【0055】
ステップS98において、出力部113は、スピーカ24が出力する出力信号としてブザーを出力する(ステップS98)。ステップS98が終了すると、ECU10は、本処理を終了する。
【0056】
(本実施形態の効果)
以上のように、本実施形態に係る車両100のECU10では、車両100のサイドミラー30に搭載され、下方に光軸を有するカメラの動きに基づいて、カメラが車両100の周辺を撮像した複数の撮像画像を取得し、複数の撮像画像に含まれる物標の視差情報から、車両100と物標の位置関係情報を算出する。
【0057】
これにより、ECU10は、例えば、カメラの動きに対応した複数の撮像画像から、撮像画像に含まれる物標を抽出し、検出した物標から物標の視差を算出する。そのため、ECU10は、車両100のサイドミラー30に搭載されたカメラの動きに基づいて、車両100の周辺に存在する障害物を検出することができる。
【0058】
また、視差情報は、サイドミラー30が開いている状態における撮像画像に含まれる物標と、サイドミラー30が閉じている状態における撮像画像に含まれる物標との位置関係に基づく情報であっても良い。これにより、例えば、ECU10は、サイドミラー30の開閉前後で撮像された撮像画像に含まれる物標を比較することで、サイドカメラを疑似的なステレオカメラとして、利用することができる。
【0059】
さらに、ECU10は、視差情報と、サイドミラー30の移動軌跡に基づいて、物標の高さを算出する。また、位置関係情報は、車両100のサイドドア20の可動領域範囲T1と、物標の位置との情報であり、ECU10は、物標が可動領域範囲T1に存在し、かつ、物標の高さがサイドドア20と干渉するかを判定する。これにより、例えば、ECU10は、ユーザが車両100を降車し、サイドドア20を開ける際に、サイドドア20の周辺の物標と干渉するかを判定することができる。
【0060】
(変形例1)
第1サイドカメラ32及び第2サイドカメラ33は、イグニッションスイッチ21がオン状態、または、オフ状態において、車両100の側方を撮像したがこれに限定されない。例えば、サイドカメラは、車両100が動作中において、随時、車両100の側方を撮像しても良い。
【0061】
(変形例2)
例えば、ボディECU11は、カメラECU12が備える機能を備えても良い。また、例えば、カメラECU12は、ボディECU11が備える機能を備えても良い。さらに、例えば、カメラECU12は、スピーカ24と接続しても良い。
【0062】
(変形例3)
また、例えば、ミラー格納制御部112は、イグニッションスイッチ21がオン状態、または、オフ状態において、電動格納ミラーモータ23を制御して、サイドミラー30を開閉するようにしているがこれに限定されない。例えば、ユーザにより、車両100が備えるシフトレバーがパーキングに操作された場合、ユーザは車両100を降車する意思がある。そのため、ミラー格納制御部112は、シフトレバーがパーキングに操作されたタイミングで、電動格納ミラーモータ23を制御して、サイドミラー30を閉じるようにしても良い。
【0063】
また、同様に、ユーザが車両100に備えるシートベルト脱着センサを用いて、ミラー格納制御部112は、ユーザがシートベルトを外したタイミングで電動格納ミラーモータ23を制御して、サイドミラー30を閉じるようにしても良い。
【0064】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、上述した実施の形態は、例として提示したものであり、本発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能である。また、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。また、この実施の形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0065】
10 ECU(車両制御装置)
11 ボディECU(車両制御装置)
12 カメラECU(車両制御装置)
20 サイドドア
21 イグニッションスイッチ
22 ドアカーテシスイッチ
23 電動格納ミラーモータ
24 スピーカ
30 サイドミラー
31 フロントカメラ
32 第1サイドカメラ
33 第2サイドカメラ
34 バックカメラ
100 車両
111 信号受信部
112 ミラー格納制御部
113 出力部
121 画像取得部
122 抽出部
123 第1判定部
124 算出部
125 第2判定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9