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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173344
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】収納箱およびシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/56 20060101AFI20241205BHJP
   B65D 5/52 20060101ALI20241205BHJP
   B65D 75/58 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D5/56 D
B65D5/52 H
B65D75/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091699
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(72)【発明者】
【氏名】近藤 知広
(72)【発明者】
【氏名】堀内 誉史
(72)【発明者】
【氏名】西原 佳佑
【テーマコード(参考)】
3E060
3E067
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060BC04
3E060CA02
3E060CA25
3E060CE04
3E060CE07
3E060CE15
3E060CE18
3E060CE19
3E060CE22
3E060CF05
3E060DA23
3E060EA20
3E067AA11
3E067AB01
3E067AB99
3E067AC01
3E067BA06A
3E067BB01A
3E067BB02A
3E067BB26A
3E067EB03
3E067EB17
3E067EE02
3E067EE15
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【課題】収納物が壁面に擦れることによる紙粉の発生を抑制することができる収納箱およびシートを提供する。
【解決手段】収納箱は、印刷装置における印刷に用いられる印刷カセットを収納するための紙製の収納箱であって、印刷カセットは、収容物を内部に収容するケースを備え、ケースには、収容物を外部に排出する排出部が形成され、第一方向と交差するように延び且つ第一方向において互いに並んで配置される第一壁および第二壁と、第一壁の周縁から第二壁の周縁まで延びる周壁とを有し、第一壁と第二壁と周壁とで囲まれた空間に印刷カセットが配置される箱本体を備え、箱本体は、空間内に印刷カセットを配置した場合に、第一壁、第二壁および周壁の各壁面のうち、少なくとも、印刷カセットの外面のうち排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面に、当該壁面を覆うコーティング部を有する。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置における印刷に用いられる印刷カセットを収納するための紙製の収納箱であって、
前記印刷カセットは、収容物を内部に収容するケースを備え、
前記ケースには、前記収容物を外部に排出する排出部が形成され、
第一方向と交差するように延び且つ前記第一方向において互いに並んで配置される第一壁および第二壁と、前記第一壁の周縁から前記第二壁の周縁まで延びる周壁とを有し、前記第一壁と前記第二壁と前記周壁とで囲まれた空間に前記印刷カセットが配置される箱本体を備え、
前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、少なくとも、前記印刷カセットの外面のうち前記排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面に、当該壁面を覆うコーティング部を有すること
を特徴とする収納箱。
【請求項2】
前記ケースの外面は、前記印刷カセットの前記印刷装置への装着に供する突起部を有し、
前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、前記ケースの外面のうち前記突起部が形成された第二外面に対向する第二壁面に、前記コーティング部を有すること
を特徴とする請求項1に記載の収納箱。
【請求項3】
前記突起部は、
前記排出部が形成された前記第一外面に形成された第一突起部と、
前記第一外面に交差する交差方向において前記第一外面とは反対側の外面である前記第二外面に形成された第二突起部と
を含み、
前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、前記ケースの前記排出部および前記第一突起部が形成された前記第一外面に対向する前記第一壁面と、前記ケースの前記第二突起部が形成された前記第二外面に対向する前記第二壁面とのそれぞれに、前記コーティング部を有すること
を特徴とする請求項2に記載の収納箱。
【請求項4】
前記箱本体は、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、前記第一壁面および前記第二壁面を除く他の壁面において、前記コーティング部を非形成とすること
を特徴とする請求項3に記載の収納箱。
【請求項5】
前記箱本体はシートを折り曲げ箱状に組み立てて構成されたものであり、
前記コーティング部は、前記シートの表裏二面のうち、前記シートを箱形態に組み立てた場合に前記空間側とは反対の外側を向く第一面に形成されており、
前記第一壁面および前記第二壁面は、前記シートを箱形態に組み立てる場合に前記空間内へ向けて折り曲げられた部分において、前記空間内へ向けて配置された前記シートの前記第一面であること
を特徴とする請求項4に記載の収納箱。
【請求項6】
前記第一壁面は、前記第二壁の前記空間内を向く側の壁面であり、
前記印刷カセットは、前記ケースの前記排出部が形成された前記第一外面を、前記第二壁の前記第一壁面に向けた状態で、前記空間内に配置されること
を特徴とする請求項5に記載の収納箱。
【請求項7】
前記周壁は、
前記第一方向に直交する第二方向に互いに並んで配置される第三壁および第四壁と、
前記第一方向および前記第二方向に直交する第三方向に互いに並んで配置される第五壁および第六壁と
を含み、
前記第二壁は、
前記第一方向のうち前記第一壁から前記第二壁に向かう第一特定方向における前記第四壁の縁である第一接続端に接続し、前記第二方向のうち前記第四壁から前記第三壁に向かう第二特定方向に延びる第一雄フラップによって構成される第一雄フラップ層と、
前記第一特定方向における前記第三壁の縁である第二接続端に接続し、前記第一特定方向に延びる第一ヘッダ片、および前記第一特定方向における前記第一ヘッダ片の縁から折り返されて前記第一特定方向とは反対向きの第三特定方向に延びる第二ヘッダ片を有するヘッダと、
前記第一特定方向における前記第五壁の縁である第三接続端に接続し、前記第三方向のうち前記第五壁から前記第六壁に向かう第四特定方向に延びる第一サイドフラップ、および前記第一特定方向における前記第六壁の縁である第四接続端に接続し、前記第四特定方向とは反対向きの第五特定方向に延びる第二サイドフラップの少なくとも一方によって構成される第一中間フラップ層と
を含み、
前記第一雄フラップ層および前記第一中間フラップ層が、前記第一特定方向に向かって、前記第一中間フラップ層、前記第一雄フラップ層の順に積層されることで構成され、
前記第二壁は更に、前記ヘッダ、前記第一サイドフラップおよび前記第二サイドフラップのいずれかの先端に接続しており、折り返されることによって、前記第一特定方向における前記周壁の縁によって形成され前記空間に繋がる開口部分に配置される第一折返し片を含み、
前記第二壁が構成される場合に、前記第一折返し片は、前記第二壁を構成する各層のうち、最も、前記第三特定方向側の層として構成され、前記第一面を前記空間内に向けた状態で配置されること
を特徴とする請求項6に記載の収納箱。
【請求項8】
前記第一折返し片は前記ヘッダの先端に接続して設けられ、周縁部分に、前記第二壁の開封時に指を掛ける指掛け部を有すること
を特徴とする請求項7に記載の収納箱。
【請求項9】
前記第一壁は、
前記第一方向のうち前記第二壁から前記第一壁に向かう第六特定方向における前記周壁の縁に接続し、折り曲げられることで、前記第一方向に積層されて前記第一壁を構成する複数のフラップと、
前記複数のフラップのうちの一のフラップの先端に接続しており、折り返されることによって、前記第六特定方向における前記周壁の縁によって形成され前記空間に繋がる開口部分に配置される第二折返し片と
を含み、
前記第一壁が構成される場合に、前記第二折返し片は、前記周壁または前記複数のフラップのいずれかに設けられる係合部に係合すること、若しくは前記複数のフラップのいずれかに糊付けされることによって、前記第一壁を構成する各層のうち、最も、前記第六特定方向とは反対向きの第一特定方向側の層として構成され、前記第一面を前記空間内に向けた状態で保持されること
を特徴とする請求項5に記載の収納箱。
【請求項10】
前記周壁は、
前記第一方向に直交する第二方向に互いに並んで配置される第三壁および第四壁と、
前記第一方向および前記第二方向に直交する第三方向に互いに並んで配置される第五壁および第六壁と
を含み、
前記第一壁を構成する前記複数のフラップは、
前記第六特定方向における前記第三壁の縁である第五接続端に接続し、前記第二方向のうち前記第三壁から前記第四壁に向かう第三特定方向に延びる第二雄フラップによって構成される第二雄フラップ層と、
前記第六特定方向における前記第四壁の縁である第六接続端に接続し、前記第三特定方向とは反対向きの第二特定方向に延びる雌フラップによって構成される雌フラップ層と、
前記第六特定方向における前記第五壁の縁である第七接続端に接続し、前記第三方向のうち前記第五壁から前記第六壁に向かう第四特定方向に延びる第三サイドフラップ、および前記第六特定方向における前記第六壁の縁である第八接続端に接続し、前記第四特定方向とは反対向きの第五特定方向に延びる第四サイドフラップの少なくとも一方によって構成される第二中間フラップ層と
であり、
前記第一壁は、前記第二雄フラップ層、前記雌フラップ層および前記第二中間フラップ層が、前記第六特定方向に向かって、前記雌フラップ層、前記第二中間フラップ層、前記第二雄フラップ層の順に積層されることで構成され、
前記第二折返し片は、前記雌フラップの先端に接続し、折り返されることによって、前記第六特定方向における前記周壁の縁によって形成され前記空間に繋がる開口部分に配置されること
を特徴とする請求項9に記載の収納箱。
【請求項11】
前記周壁は、
前記第一方向に直交する第二方向に互いに並んで配置される第三壁および第四壁と、
前記第一方向および前記第二方向に直交する第三方向に互いに並んで配置される第五壁および第六壁と
を含み、
前記第一壁を構成する前記複数のフラップは、
前記第六特定方向における前記第三壁の縁である第五接続端に接続し、前記第二方向のうち前記第三壁から前記第四壁に向かう第三特定方向に延びる第三雄フラップによって構成される第三雄フラップ層と、
前記第六特定方向における前記第五壁の縁である第七接続端に接続し、前記第三方向のうち前記第五壁から前記第六壁に向かう第四特定方向に延びる第五サイドフラップ、および前記第六特定方向における前記第六壁の縁である第八接続端に接続し、前記第四特定方向とは反対向きの第五特定方向に延びる第六サイドフラップの少なくとも一方によって構成される第三中間フラップ層と
であり、
前記第一壁は、前記第三雄フラップ層および前記第三中間フラップ層が、前記第六特定方向に向かって、前記第三中間フラップ層、前記第三雄フラップ層の順に積層されることで構成され、
前記第二折返し片は、前記第五サイドフラップおよび前記第六サイドフラップの少なくともいずれか一方の先端に接続し、折り返されることによって、前記第六特定方向における前記周壁の縁によって形成され前記空間に繋がる開口部分に配置されること
を特徴とする請求項9に記載の収納箱。
【請求項12】
前記箱本体はシートを折り曲げ箱状に組み立てて構成されたものであり、
前記シートの表裏二面のうち、前記シートを箱形態に組み立てた場合に前記空間側とは反対の外側を向く第一面には、前記第一面に施される印刷内容を保護するコーティング処理が施され、
前記第一面とは反対側の第二面には、前記コーティング処理による前記コーティング部が形成されること
を特徴とする請求項4に記載の収納箱。
【請求項13】
内部に収容する収容物を外部に排出する排出部が形成されたケースを備え、印刷装置における印刷に用いられる印刷カセットを収納するための紙製の収納箱が、組み付けられることで形成されるように構成されるシートであって、
前記収納箱は、
第一方向と交差するように延び且つ前記第一方向において互いに並んで配置される第一壁および第二壁と、前記第一壁の周縁から前記第二壁の周縁まで延びる周壁とを有し、前記第一壁と前記第二壁と前記周壁とで囲まれた空間に前記印刷カセットが配置される箱本体を備え、
前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、少なくとも、前記印刷カセットの外面のうち前記排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面に、当該壁面を覆うコーティング部を有すること
を特徴とするシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納箱およびシートに関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、印刷に用いられるインクが充填され印刷装置に装着されるインクカートリッジを収納する収納箱が開示されている。インクカートリッジは包装袋に入れられて減圧包装された状態で収納箱に収納される。収納箱はインクカートリッジに限らず、例えば、印刷に用いられる被印刷媒体が収容された印刷カセットを収納するパッケージとしても利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-208785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)の観点から、包装袋を用いずに印刷カセットを収納箱に収納する試みが検討されている。しかしながら、印刷カセットの外面や突起物等が収納箱の壁面に擦れると、紙粉が生ずる場合がある。紙粉が付着した印刷カセットが印刷装置に装着されると、紙粉による印刷結果への影響が生ずる可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、収納物が壁面に擦れることによる紙粉の発生を抑制することができる収納箱およびシートを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、例えば以下の態様を開示する。
【0007】
本発明の第一態様によれば、印刷装置における印刷に用いられる印刷カセットを収納するための紙製の収納箱であって、前記印刷カセットは、収容物を内部に収容するケースを備え、前記ケースには、前記収容物を外部に排出する排出部が形成され、第一方向と交差するように延び且つ前記第一方向において互いに並んで配置される第一壁および第二壁と、前記第一壁の周縁から前記第二壁の周縁まで延びる周壁とを有し、前記第一壁と前記第二壁と前記周壁とで囲まれた空間に前記印刷カセットが配置される箱本体を備え、前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、少なくとも、前記印刷カセットの外面のうち前記排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面に、当該壁面を覆うコーティング部を有することを特徴とする収納箱が提供される。
【0008】
箱本体の空間内に印刷カセットが配置された場合に、空間を囲む壁面のうち、ケースにおいて排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面を覆うコーティング部は、排出部が壁面に直接接触しないように壁面を保護する。故に収納箱は紙粉の発生を抑制し、紙粉の付着による印刷品質の低下を防ぎ、印刷カセットの品質を担保することができる。
【0009】
本発明の第二態様によれば、内部に収容する収容物を外部に排出する排出部が形成されたケースを備え、印刷装置における印刷に用いられる印刷カセットを収納するための紙製の収納箱が、組み付けられることで形成されるように構成されるシートであって、前記収納箱は、第一方向と交差するように延び且つ前記第一方向において互いに並んで配置される第一壁および第二壁と、前記第一壁の周縁から前記第二壁の周縁まで延びる周壁とを有し、前記第一壁と前記第二壁と前記周壁とで囲まれた空間に前記印刷カセットが配置される箱本体を備え、前記箱本体は、前記空間内に前記印刷カセットを配置した場合に、前記第一壁、前記第二壁および前記周壁の各壁面のうち、少なくとも、前記印刷カセットの外面のうち前記排出部が形成された第一外面に対向する第一壁面に、当該壁面を覆うコーティング部を有することを特徴とするシートが提供される。故に第二態様は第一態様と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】収納箱1Aを右前上方から見た斜視図である。
図2】収納箱1Aを左後下方から見た斜視図である。
図3】収納箱1Aの平面図である。
図4】収納箱1Aの底面図である。
図5】台紙100Aを示す展開図である。
図6】収納箱1Aの底壁4を右後下方から見た斜視図である。
図7】底壁4を組み立てる前の収納箱1Aを右後下方から見た斜視図である。
図8図7の続きであり、底壁4を組み立てる途中の収納箱1Aを右後下方から見た斜視図である。
図9図8の続きであり、底壁4を組み立てる途中の収納箱1Aを右後下方から見た斜視図である。
図10】天壁5を組み立てる前の収納箱1Aを右前上方から見た斜視図である。
図11図9の続きであり、天壁5を組み立てる途中の収納箱1Aを右前上方から見た斜視図である。
図12】収納箱1Bを右前上方から見た斜視図である。
図13】台紙100Bを示す展開図である。
図14】底壁4を組み立てる前の収納箱1Cを左前下方から見た斜視図である。
図15】底壁4を組み立てる途中の収納箱1Cを左前下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態について、図面を参照して説明する。参照する図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明するために用いられる。すなわち、図面に記載されている構成等は、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。
【0012】
図1および図2を参照し、収納箱1Aを説明する。以下では、図1の左上方、右下方、左下方、右上方、下方、および上方を、それぞれ、収納箱1Aの左方、右方、前方、後方、下方、および上方とする。なお、本実施形態において、例えば上下方向は、説明のために便宜的に使用され、鉛直方向に限定されない。
【0013】
収納箱1Aは、例えば図5に示す台紙100Aが組み付けられることで形成される。本実施形態の台紙100Aには、表(おもて)面にコーティング処理が施されたコーティング部が形成されている。台紙100Aの「表面」は、図5に示す台紙100Aのうち紙面手前を向く面である。収納箱1Aは、天壁5、底壁4および周壁6それぞれにおいてコーティング部が形成された表面が外方を向く向きに台紙100Aが折り曲げられて組み立てられる。「裏面」は、図5に示す台紙100Aのうち紙面奥を向く面である。収納箱1Aを組み立てた場合、裏面は箱内部の空間7を向く向きに台紙100Aが折り曲げられて組み立てられる。
紙に対するコーティング処理は、例えば、台紙100Aの表面にニスを塗布する処理、表面に光沢剤を塗布してプレスコートする処理、ラミネート、PP、PET等のフィルムを貼る処理、塩化ビニール樹脂を塗布する処理等が知られている。本実施形態においてはコーティング処理の種類については問わず、上記いずれの処理が台紙100Aに施されてもよい。なお、台紙100Aの構成および台紙100Aから収納箱1Aを組み立てる方法については後述する。
【0014】
収納箱1Aは箱本体2とヘッダ3とを備える。箱本体2は前後方向よりも左右方向に長く、且つ左右方向よりも上下方向に長い直方体状であり、テープカセット8Aを収納する。例えば箱本体2の前後方向の幅W21は、テープカセット8Aの前後方向の幅W81よりもわずかに大きい。箱本体2の前後方向、左右方向、および上下方向のそれぞれの長さの関係は、テープカセット8Aの前後方向、左右方向、および上下方向のそれぞれの長さの関係と同じである。
【0015】
箱本体2は底壁4と天壁5と周壁6とを有する。底壁4および天壁5は、それぞれ、上下方向に直交するように延び、且つ上下方向において互いに並ぶ。底壁4は箱本体2の下端に位置する。天壁5は箱本体2の上端に位置する。
【0016】
周壁6は底壁4の周縁40から天壁5の周縁50まで延びる。周壁6は四角筒状であり、前壁61と背壁62と左壁63と右壁64とを含む。前壁61および背壁62は、それぞれ、前後方向に直交するように延び、且つ前後方向において互いに並ぶ。前壁61は箱本体2の前端に位置する。背壁62は箱本体2の後端に位置する。左壁63および右壁64は、それぞれ、左右方向に直交するように延び、且つ左右方向において互いに並ぶ。左壁63は箱本体2の左端に位置する。右壁64は箱本体2の右端に位置する。
【0017】
前壁61の下端611、背壁62の下端621、左壁63の下端631、および右壁64の下端641は、底壁4の周縁40を構成する(図2参照)。前壁61の上端612、背壁62の上端622、左壁63の上端632、および右壁64の上端642は、天壁5の周縁50を構成する(図1参照)。
【0018】
箱本体2の内部には空間7が形成される。空間7は底壁4と天壁5と周壁6(前壁61、背壁62、左壁63、右壁64)とによって囲まれる。空間7には、テープカセット8Aが、後述の下壁85が上方から底壁4と向き合う状態で、配置される。
【0019】
ヘッダ3は箱本体2に設けられる。ヘッダ3は壁状であり、ヘッダ片31とヘッダ片32とを含む。ヘッダ片31は背壁62の上端622に接続し、背壁62の上端622から上方に延びる。図2は、背壁62の上端622を仮想線V0によって示す。ヘッダ片32はヘッダ片31の上端311から前方に折り返されて下方に延びる。ヘッダ片32の下端321は上下方向において天壁5の位置に位置し、後述の雌フラップ52(図3参照)に接続する。
【0020】
ヘッダ3には孔30が設けられる。孔30は正面視で二等辺三角形状であり、ヘッダ3の左右方向の中央に配置される。孔30はヘッダ片31、32を前後方向に貫通する。したがって、孔30はヘッダ3を前後方向に貫通する。例えば、収納箱1Aの流通市場において、収納箱1Aは、商品を吊り下げ陳列するための棒に孔30を介して挿入され、吊り下げ陳列されてもよい。
【0021】
図1図3図5を参照し、天壁5の詳細構造を説明する。天壁5は、雄フラップ51と雌フラップ52と左フラップ53と右フラップ54とを含む。雄フラップ51は、前壁61の上端612に接続し、雄本体部515と差込部55とを有する。雄本体部515は前壁61の上端612から後方に延びる。雄本体部515は前後方向よりも左右方向に長い長方形状である。雄本体部515の前後方向の長さは、前壁61と背壁62との間の前後方向の距離と略同じである。
【0022】
雄本体部515の後端511は、背壁62の前方近傍に位置し、左右方向に延びる。雄本体部515は開口縁512を含む。開口縁512は開口513を規定する。開口513は雄本体部515を上下方向に貫通する。開口縁512は環状に閉じられ、縁5121、5122を含む。縁5121は開口513に対して後方に配置される。縁5121は左右方向に延び、後方に膨らむ円弧状である。
【0023】
縁5122は縁5121の左端から前方に延び、右方に延び、後方に延びて縁5121の右端に接続する。縁5122は前壁61の上端612よりも後方に配置される。このため、天壁5のうち前壁61の上端612の近傍の領域は、左右方向において、開口513によって分断されることなく、連なる。
【0024】
雄本体部515には一対のミシン目516、517が設けられる。ミシン目516は縁5121の左端から雄本体部515の後端511まで、後方に向かうにつれて左方に向かって延びる。ミシン目517は縁5121の左端から雄本体部515の後端511まで、後方に向かうにつれて右方に向かって延びる。このため、一対のミシン目516、517は、後方に向かうにつれて互いに左右方向に離れるように延びる。
【0025】
以下では、雄本体部515のうち端5111、ミシン目516、517、および縁5121によって囲まれる領域を「開封領域R22」という。ユーザは、開封領域R22を箱本体2から分断することによって、収納箱1Aを天壁5側から開封することができる。
【0026】
差込部55は、雄本体部515に接続し、雄本体部515の後端511から下方に突出する。詳細には、差込部55は土台部57と返し部58とを含む。土台部57は差込部55のうち雄本体部515から下方に延びる部分である。土台部57は上下方向よりも左右方向に長い長方形状である。土台部57は雄本体部515の後端511のうち、ミシン目516,517の間の部分に接続する。返し部58は土台部57の下端に形成されるミシン目5722で後方に折り返され、上方に延びる。返し部58は前後方向において背壁62と土台部57との間に位置し、背壁62に接触する。
【0027】
雌フラップ52は背壁62の上端622にヘッダ3を介して接続し、ヘッダ片32の下端321(図5参照)から前方に延び、さらに折り返して後方に延びる。雌フラップ52は前後方向よりも左右方向に長い長方形状である。雌フラップ52は、折返し基部59と折返し先部60を有する。折返し基部59は略矩形状であり、ヘッダ片32の下端321に接続して前方に延びる。折返し基部59の大きさは、収納箱1Aを組み立てた場合の周壁6の上端612,622,632,642で囲まれた領域とほぼ同じ大きさである。折返し基部59の前端591は前後方向において前壁61の上端612の近傍に位置する。折返し先部60は略矩形状であり、折返し基部59の前端591に接続して後方に延びる。折返し先部60の左右方向の大きさは、折返し基部59の左右方向の大きさと同じであり、折返し先部60の前後方向の大きさは折返し基部59の左右方向の大きさよりも若干短い。折返し先部60は、折返し基部59の前端591において下方側から折り返した部分であり、天壁5を組み立てた状態で折返し基部59の下側、すなわち空間7側に位置する。折返し先部60の後端601は、前後方向において背壁62の上端622の前方に位置する。後端601は、平面視で後述する差込口521よりも前方に位置する。
【0028】
雌フラップ52には指掛け部522と差込口521(図5参照)とが設けられる。指掛け部522は、折返し基部59の前端591の中点の位置が円形状の中心となる位置に形成される。故に折返し先部60が折り返された状態の平面視において、指掛け部522は折返し基部59の前端591から後方へ向けて半円状に凹む形状である。
【0029】
図5に示すように、差込口521は前後方向よりも左右方向に長く、雌フラップ52を上下方向に貫通する。差込口521は、前壁61と背壁62との前後方向の中央よりも後方に位置し、背壁62の近傍に位置する。本実施形態では、差込口521は雌フラップ52の折返し基部59がヘッダ片32と接続する部位(折返し基部59の後端)に位置する。差込口521には差込部55が差し込まれる。
【0030】
左フラップ53は左壁63の上端632に接続し、左壁63の上端632から右方に延びる。右フラップ54は右壁64の上端642に接続し、右壁64の上端642から左方に延びる。左フラップ53および右フラップ54は、それぞれ、前後方向よりも左右方向に長い長方形状であり、互いに左右対称である。
【0031】
左フラップ53および右フラップ54のそれぞれの左右方向の長さは、左壁63と右壁64との左右方向の間の距離よりも小さく、且つ左壁63と右壁64との左右方向の間の距離の半分よりも大きい。したがって、左フラップ53の右端および右フラップ54の左端の一方は、他方の上に重なる。本実施形態では、左フラップ53が右フラップ54の上に重なる。
【0032】
以下では、雄フラップ51によって構成される層を「雄フラップ層501」という。本実施形態では、平面視において、雄フラップ層501の外形は、雄本体部515の外形によって規定される。雌フラップ52によって構成される層を「雌フラップ層502」という。本実施形態では、平面視において、雌フラップ層502の外形は、折返し基部59の外形によって規定される。左フラップ53と右フラップ54とによって構成される層を「サイドフラップ層503」という。本実施形態では、平面視において、サイドフラップ層503の外形は、左フラップ53および右フラップ54の外形によって規定される。
【0033】
図3に示すように、天壁5では、雄フラップ層501、雌フラップ層502、およびサイドフラップ層503が、下方から上方に向かって雌フラップ層502、サイドフラップ層503、雄フラップ層501の順に並んで積層される。差込部55は、差込口521を介して雌フラップ52よりも内側に配置される。
【0034】
図2図4図6を照し、背壁62および底壁4の詳細構造を説明する。背壁62にはミシン目623が設けられる。ミシン目623は上方に膨らむ円弧状であり、背壁62の下部に位置する。ミシン目623の両端は、背壁62の下端621に位置する。以下では、背壁62のうちミシン目623と背壁62の下端621とによって囲まれる領域を「起点領域R11」という。ユーザは、収納箱1Aを底壁4側から開封する場合、起点領域R11を箱本体2内に押し込み、開封領域R12(後述)を箱本体2から分断するための起点とする。
【0035】
底壁4は、いわゆる地獄底であり、雄フラップ41と雌フラップ42と折返しフラップ49と左フラップ43と右フラップ44とを含む。雄フラップ41は背壁62の下端621に接続し、背壁62の下端621から前方に延びる。雄フラップ41は、雄本体部415、差込部416および頭部417を有する。雄本体部415は背壁62の下端621から前方に延びる部分であり、前方に向かうにつれて狭まる台形状である。雄本体部415の前後方向の長さは、箱本体2の前後方向の長さ(左壁63の下端631の長さ)の略半分と同じ長さ、もしくはそれよりも若干短い。
【0036】
差込部416は雄本体部415から前方に突出する部分であり、雄本体部415の延出先端部分における左右方向の長さを維持して前方に延びる。頭部417は差込部416からさらに前方に突出する部分であり、差込部416よりも左右方向に長く延びる。頭部417の左端部は差込部416の左縁よりも左方に突出し、頭部417の右端部は差込部416の右縁よりも右方に突出する。すなわち頭部417の左右方向の長さは、差込部416の左右方向の長さよりも長い。頭部417は差込部416を雌フラップ42の差込口426(後述)に差し込んだ状態で差込口426からの抜けを防止する機能を果たす部分である。
【0037】
雄フラップ41には一対のミシン目411、412が設けられる。ミシン目411は、ミシン目623の両端のうち左方の端から前方に向かうにつれて左方に向かって延びる。ミシン目412は、ミシン目623の両端のうち右方の端から前方に向かうにつれて右方に向かって延びる。以下では、雄フラップ41のうち一対のミシン目411、412、および背壁62の下端621によって囲まれる領域を「開封領域R12」という。ユーザは、開封領域R12を起点領域R11とともに箱本体2から分断することによって、収納箱1Aを底壁4側から開封することができる。
【0038】
雌フラップ42は前壁61の下端611に接続し、前壁61の下端611から後方に延びる。雌フラップ42は、雌本体部425および係合部428,429を有し、雌本体部425に差込口426および案内口427が形成される。雌本体部425は前壁61の下端611から後方に延びる部分であり、前後方向よりも左右方向に長い長方形状である。雌フラップ42の左右方向の長さは、箱本体2の左右方向の長さ(前壁61の下端611の長さ)よりも係合部428,429の左右方向の長さ分、短い。雌フラップ42の前後方向の長さは、箱本体2の前後方向の長さ(左壁63の下端631の長さ)と略同じ大きさである。係合部428,429は、雌フラップ42の前後方向の前端部で左右両側の側部にそれぞれ設けられる。係合部428,429は、側部が雌本体部425に接続する形態で前壁61の下端611から後方へ向けて延びる。係合部428,429の突出先端部分は雌本体部425の左右両側の縁から切り離され、上下方向に撓むことができる。係合部428,429を含めた雌フラップ42の大きさは、収納箱1Aを組み立てた場合の周壁6の下端611,621,631,641で囲まれた領域とほぼ同じ大きさである。
【0039】
雌フラップ42には差込口426が形成される。差込口426は左右方向に長い矩形状の開口であり、雌フラップ42を上下方向に貫通する。差込口426は、雌フラップ42の前後方向中央よりも後方側に形成される。差込口426の前側の開口縁は、底壁4における前後方向略中央もしくはそれよりも若干後側に位置する。底壁4の組み立てにおいて、差込口426には雄フラップ41の差込部416が挿通される。また、差込口426の左右両端部は、差込部416を挿通させた状態で雄フラップ41の頭部417を引っ掛けることにより、差込部416の抜けを防止する部分として機能する。
【0040】
案内口427は、差込口426の後方側に形成され、差込口426と繋がる。案内口427は差込口426よりも左右方向に長く延び、両端それぞれが円弧状に丸められており、雌フラップ42を上下方向に貫通する。すなわち差込口426と案内口427とは、収納箱1Aの組み立て前の雌フラップ42の略中央において厚み方向に貫通する一つの繋がった開口である。底壁4の組み立てにおいて、雄フラップ41の頭部417は、案内口427の左右両側の縁の間を挿通される。頭部417が案内口427を挿通した状態で、差込部416は、案内口427に繋がる差込口426に案内され、差込口426を挿通した状態となる。よって、案内口427の左右方向の長さは、頭部417の左右方向の長さ以上である。
【0041】
折返しフラップ49は雌フラップ42の後端421に接続して後方に延びる。折返しフラップ49は前後方向よりも左右方向に長い略矩形状である。折返しフラップ49の大きさは、雌フラップ42の雌本体部425の大きさと略同じである。折返しフラップ49の左右両側の縁において、前後方向の略中央よりも前側の位置には、それぞれ前後方向に延びる被係合部498,499が形成される。被係合部498,499はそれぞれ前方へ向けて突出する形状であり、突出先端部分が折返しフラップ49の左右両側の縁から切り離され、上下方向に撓むことができる。折返しフラップ49は雌フラップ42の後端421において上方側に折り返され、底壁4を組み立てた状態で雌フラップ42の上側、すなわち空間7側に位置する。被係合部498,499は、それぞれ雌フラップ42の係合部428,429と係合する。よって折返しフラップ49は、雌フラップ42の上側で、雌フラップ42に対してほぼ密着した状態に維持される。
【0042】
折返しフラップ49には切込部48が形成される。切込部48は折返しフラップ49を厚み方向に貫通し、折返しフラップ49の面に沿って延びる。切込部48は、折返しフラップ49の左端部と右端部とにおいてそれぞれ前後方向に延びる一対の第一切込部481,482と、第一切込部481,482それぞれの後端部を左右方向に接続する第二切込部483とを有する。すなわち切込部48は、折返しフラップ49の平面視において矩形の三方を切り込んだ形状である。底壁4の組み立てにおいて、切込部48は、雄フラップ41の頭部417が案内口427に挿入される場合に撓むことで、組み立てを容易に行えるようにする。
【0043】
左フラップ43は左壁63の下端631に接続し、左壁63の下端631から右方に延びる。右フラップ44は右壁64の下端641に接続し、右壁64の下端641から左方に延びる。左フラップ43は、左本体部435および左突出部436を有する。右フラップ44は、右本体部445および右突出部446を有する。左フラップ43および右フラップ44は、互いに左右対称形状である。
【0044】
左本体部435は、左壁63の下端631から右方に延びる略三角形状である。左本体部435の後側の縁は下端631の後端から右方に延び、前側の縁は下端631の前端から右斜め後方へ向けて延びる。左本体部435の前側の縁の右後端は、底壁4を組み立てた場合に、雌フラップ42の差込口426の左前角部近傍に配置される。
【0045】
左突出部436は左本体部435の延出先端部分から右方に突出する。左突出部436は左右方向よりも前後方向に長く延びる。左突出部436の前側の端部437は左本体部435の延出先端部分よりも若干、前方に突出する。左フラップ43の左右方向の長さは、箱本体2の左右方向の長さ(背壁62の下端621の長さ)の略半分と同じ長さ、もしくはそれよりも短い。
【0046】
右本体部445は、右壁64の下端641から左方に延びる略三角形状である。右本体部445の後側の縁は、下端641の後端から左方に延び、前側の縁は、下端641の前端から左斜め後方へ向けて延びる。右本体部445の前側の縁の左後端は、底壁4を組み立てた場合に、雌フラップ42の差込口426の右前角部近傍に配置される。
【0047】
右突出部446は右本体部445の延出先端部分から左方に突出する。右突出部446は左右方向よりも前後方向に長く延びる。右突出部446の前側の端部447は右本体部445の延出先端部分よりも若干、前方に突出する。右フラップ44の左右方向の長さは、箱本体2の左右方向の長さ(背壁62の下端621の長さ)の略半分と同じ長さ、もしくはそれよりも短い。
【0048】
以下説明において、雄フラップ41によって構成される層を「雄フラップ層401」という。本実施形態では、平面視において、雄フラップ層401の外形は、雄本体部415の外形によって規定される。雌フラップ42によって構成される層を「雌フラップ層402」という。本実施形態では、平面視において、雌フラップ層402の外形は、雌本体部425の外形によって規定される。左フラップ43と右フラップ44とによって構成される層を「サイドフラップ層403」という。本実施形態では、平面視において、サイドフラップ層403の外形は、左本体部435および右本体部445の外形によって規定される。
【0049】
底壁4において、雄フラップ層401、雌フラップ層402、およびサイドフラップ層403が、上方から下方に向かって雌フラップ層402、サイドフラップ層403、雄フラップ層401の順に並んで積層される。雄フラップ41の差込部416および頭部417は、差込口426を介して雌フラップ42の雌本体部425よりも上側、すなわち箱本体2の空間7内に配置される。
【0050】
図1を参照し、テープカセット8Aを説明する。テープカセット8Aはケース81と印刷テープ89とを備える。ケース81は前後方向よりも左右方向に長く、且つ左右方向よりも上下方向に長い直方体状である。印刷テープ89は長尺状であり、ケース81に収納される。印刷テープ89の幅方向(短手方向)は前後方向である。このため、テープカセット8Aの幅方向は前後方向となる。テープカセット8Aでは、印刷テープ89の幅方向の長さ(テープ幅)が大きくなると、ケース81の前後方向の幅W81が大きくなる。
【0051】
本実施形態では、ケース81は前壁82と後壁83と周壁84とを有する。前壁82および後壁83は、それぞれ、前後方向に直交するように延び、且つ前後方向において互いに並ぶ。前壁82はケース81の前端に位置する。後壁83はケース81の後端に位置する。
【0052】
周壁84は後壁83の周縁831から前壁82の周縁821まで延びる。周壁84は四角筒状であり、下壁85と上壁86とを含む。下壁85および上壁86は、それぞれ、上下方向に直交するように延び、且つ上下方向において互いに並ぶ。下壁85はケース81の下端に位置する。上壁86はケース81の上端に位置する。上壁86には、ケース81に収納された印刷テープ89をケース81の外に排出するための排出口88が設けられる。排出口88は上壁86よりも上方に突出する。また、上壁86および下壁85には、テープカセット8Aをプリンタ(図示略)に装着した場合に、装着部に設けられる爪(図示略)によって位置決めおよび保持がなされる突起部861,851がそれぞれ設けられる。突起部861は上壁86よりも上方に突出し、突起部851は下壁85よりも下方に突出する。
【0053】
テープカセット8Aは消耗品であり、プリンタによる印刷に使用される。例えば、テープカセット8Aは、プリンタに装着された状態で使用される。プリンタはケース81内から印刷テープ89を引き出しながら、印刷テープ89に画像を印刷する。プリンタは、画像が印刷された印刷テープ89を、排出口88を介してケース81の外に排出する。これにより、印刷テープ89に画像が印刷されたラベルが作成される。
【0054】
図5を参照し、台紙100Aを説明する。以下では、図5の左方、右方、下方、および上方を、それぞれ、台紙100AのXマイナス方向、Xプラス方向、Yマイナス方向、およびYプラス方向とする。図5では、仮想線V0、V1、V2、V3、V4、V5、V6、V7、V8、V9、V10、V11、V12、V13、V14、V15、V16は収納箱1Aの隣り合う各構成要素の境界を示す。例えば仮想線V0は背壁62とヘッダ片31との境界を示す。
【0055】
台紙100Aは所定形状に切断された1枚のシートであり、厚紙、薄紙、段ボール等である。台紙100Aは、底壁4、天壁5、周壁6、およびヘッダ3を含む。台紙100Aでは、Y方向の中央に周壁6が配置される。周壁6において、前壁61、背壁62、左壁63、および右壁64は、Xプラス方向からXマイナス方向に向かって右壁64、前壁61、左壁63、背壁62の順にそれぞれ連なって並ぶ。さらに、背壁62のXマイナス方向の隣りに、のり代65が連なる。
【0056】
底壁4は周壁6のYマイナス方向に配置される。詳細には、雄フラップ41は背壁62のYマイナス方向に配置され、背壁62と連なる。雌フラップ42は前壁61のYマイナス方向に配置され、前壁61と連なる。左フラップ43は左壁63のYマイナス方向に配置され、左壁63と連なる。右フラップ44は右壁64のYマイナス方向に配置され、右壁64と連なる。
【0057】
底壁4において、折返しフラップ49は雌フラップ42のYマイナス方向に配置され、雌フラップ42と連なる。第一切込部481は雌フラップ42のXマイナス方向の縁に近い側において、雌フラップ42の後端421から折返しフラップ49の前端491よりも後方に離れた位置にかけて、Y方向に沿って形成される。第一切込部482は雌フラップ42のXプラス方向の縁に近い側において、雌フラップ42の後端421から折返しフラップ49の前端491よりも後方に離れた位置にかけて、Y方向に沿って形成される。第二切込部483はX方向に延び、第一切込部481,482のそれぞれの端部同士を接続する。よって切込部48は折返しフラップ49の中央部分を、前端側を残して矩形状に切り離す。
【0058】
天壁5およびヘッダ3は周壁6のYプラス方向に配置される。詳細には、ヘッダ3において、ヘッダ片31は背壁62のYプラス方向に配置され、背壁62と連なる。ヘッダ片32はヘッダ片31のYプラス方向に配置され、ヘッダ片31と連なる。
【0059】
天壁5において、雌フラップ52はヘッダ片31のYプラス方向に配置され、ヘッダ片31と連なる。雄フラップ51は前壁61のYプラス方向に配置され、前壁61と連なる。左フラップ53は左壁63のYプラス方向に配置され、左壁63と連なる。右フラップ54は右壁64のYプラス方向に配置され、右壁64と連なる。
【0060】
図5図11を参照し、台紙100Aから収納箱1Aを組み立てる方法を説明する。台紙100Aにおいて互いに隣り合う一対の構成要素のそれぞれの裏面が互いに向き合う方向に、互いの境界に沿って台紙100Aを折ることを「山折り」という。台紙100Aにおいて互いに隣り合う一対の構成要素のそれぞれの表面が互いに向き合う方向に、互いの境界に沿って台紙100Aを折ることを「谷折り」という。例えば「仮想線V1に沿って台紙100Aを山折りする」とは、右壁64の裏面と前壁61の裏面とが互いに向き合う方向に、台紙100Aが仮想線V1に沿って折られることを意味する。本実施形態では、台紙100Aの表面には、仮想線V1~V16に沿って折り目筋が形成される。一方で、台紙100Aの裏面には、折り目筋が形成されない。
【0061】
図5に示すように、台紙100Aは仮想線V1、V2、V3、V4に沿って山折りされる。のり代65の表面が左壁63の裏面に貼り付けられる。これにより、図7に示すように、周壁6が四角筒状に形成される。この状態で、台紙100Aの表面は、各フラップも含め、四角筒状の外側を向く配置となり、裏面が内側、すなわち空間7内側を向く配置となる。
【0062】
台紙100Aは仮想線V15に沿って山折りされる。矢印S1に示すように、折返しフラップ49は後方に折り曲げられる。これにより、図8に示すように、折返しフラップ49が雌フラップ42の後側に配置される。折返しフラップ49の被係合部498,499は、それぞれ雌フラップ42の係合部428,429と係合する。これにより、折返しフラップ49における台紙100Aの裏面は、雌フラップ42における台紙100Aの裏面と密着した状態に維持される。折返しフラップ49における台紙100Aの表面は、後方を向く。
【0063】
台紙100Aは仮想線V5に沿って山折りされる。矢印S2に示すように、雌フラップ42および折返しフラップ49は後方に折り曲げられ、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域(言い換えると周壁6の周縁40によって形成され空間7に繋がる開口部分)に配置される。これにより、底壁4の最上層に、雌フラップ層402が配置される。折返しフラップ49は、コーティング部が形成された表面を空間7内に向け、雌フラップ層402を構成する雌フラップ42の上面に密着した状態で配置される。すなわち、折返しフラップ49においてコーティング部が形成された表面は、空間7内の下側の壁面を構成し、空間7内で上を向く配置となる。折返しフラップ49における表面に形成されたコーティング部には、空間7内に収容されるテープカセット8Aの下壁85の下面が接触する。
【0064】
台紙100Aは仮想線V6、V7に沿って山折りされる。左フラップ43は右方に折り曲げられ、右フラップ44は左方に折り曲げられて、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域に配置される。これにより、左フラップ43および右フラップ44は、サイドフラップ層403として、雌フラップ層402の下側に積層される。台紙100Aは仮想線V8に沿って山折りされる。雄フラップ41は前方に折り曲げられ、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域に配置される。これにより、雄フラップ41は、雄フラップ層401として、サイドフラップ層403の下側に積層され、底壁4の最下層に配置される。
【0065】
この状態で、図9に示すように、雄フラップ41が外側から内側に向けて押し込まれる。雄フラップ41が押し込まれると、左フラップ43および右フラップ44が雄フラップ41に押されて、外側から内側に向けて押し込まれる。さらに、雌フラップ42が、雄フラップ41、左フラップ43および右フラップ44に押されて、外側から内側に向けて押し込まれる。雄フラップ41、雌フラップ42、左フラップ43および右フラップ44は、それぞれ、周壁6の下端611,621,631,641から斜めに空間7内へ向けて傾斜した状態となる。
【0066】
雄フラップ41の頭部417は、雌フラップ42の案内口427に到達し、案内口427を挿通される。次いで差込部416が案内口427に挿通され、雄フラップ41の押し込みが緩められることで、差込部416は差込口426に案内される。このとき、空間7内へ斜めに傾斜する雄フラップ41の頭部417が折返しフラップ49に接触するが、切込部48に切り離された中央部分が雌フラップ42の後端421側ほど大きく撓むことで、差込部416の差込口426への移動は制限されない。
【0067】
図6に示すように、雄フラップ41、左フラップ43および右フラップ44が、それぞれ、差込口426を介して雌フラップ42に引っかかり、地獄底形態の底壁4が形成される。また、雄フラップ41の押し込みが解除されるので、折返しフラップ49は、台紙100Aにおける表面を空間7内へ向けた状態で、雌フラップ42との間に頭部417および差込部416を挟み、雌フラップ42と密着した状態になる。
【0068】
図10に示すように、底壁4が形成された時点では、箱本体2は上方に開口する。この状態で、下壁85が上方から底壁4の裏面と向き合うように、箱本体2の上方から空間7にテープカセット8Aが収納される。折返しフラップ49は底壁4の最上層の雌フラップ層402において雌フラップ42の上面に密着し、折返しフラップ49においてコーティング部が形成された表面を空間7内に向けた状態で配置されている。テープカセット8Aは空間7内で折返しフラップ49における台紙100Aの表面に載置される。テープカセット8Aの下壁85には、突起部851が設けられている。突起部851は下壁85よりも下方に突出するので、折返しフラップ49の表面に形成されたコーティング部に接触する。突起部851は、収納箱1Aへの収納後の持ち運び等によって空間7内で振られると、コーティング部と擦れ合う。台紙100Aの表面はコーティング部が形成されたことによって摩擦による摩耗から十分に保護されているので、擦れによる紙粉等の発生を抑制することができる。
【0069】
折返しフラップ49は、収納箱1Aを組み立てた場合の周壁6の周縁40による空間7への開口部分とほぼ同じ大きさである。よって折返しフラップ49は、テープカセット8Aの重量を支え、雄フラップ41、左フラップ43、右フラップ44および雌フラップ42にかかるテープカセット8Aの重量を低減することで、地獄底形態の底抜けを防止する。
【0070】
台紙100Aは仮想線V16に沿って山折りされる。矢印S3に示すように、雌フラップ52の折返し先部60は前方に折り曲げられる。これにより、折返し先部60は折返し基部59の前側に配置される。円形開口状の指掛け部522は、上下方向の中央で折り返されることにより、折返し基部59の前端591から図10の向きで下方に凹む半円形状になる。図11に示すように、折返し先部60における台紙100Aの裏面は、折返し基部59における台紙100Aの裏面を向く。また、折返し先部60における台紙100Aの表面は、前方を向く。
【0071】
台紙100Aは仮想線V10に沿って谷折りされる。矢印S4に示すように、折返し先部60と折返し基部59は、後方へ向けて折り曲げられる。これにより、折返し先部60における台紙100Aの表面は、上方を向く。さらに、台紙100Aは仮想線V9に沿って谷折りされる。矢印S5に示すように、ヘッダ片32はヘッダ片31の前側に配置され、ヘッダ3が形成される。また、折返し先部60と折返し基部59は、折返し先部60が下側に位置する状態で、周壁6の上端612,622,632,642に囲まれた領域(言い換えると周壁6の周縁50によって形成され空間7に繋がる開口部分)に配置される。これにより、天壁5の最下層に、雌フラップ層502が配置される。折返し先部60は、コーティング部が形成された表面を空間7内に向け、折返し基部59の下面側に配置される。すなわち、折返し先部60においてコーティング部が形成された表面は、空間7内の上側の壁面を構成し、空間7内で下を向く配置となる。折返し先部60における表面に形成されたコーティング部には、空間7内に収容されるテープカセット8Aの上壁86の上面が接触する。
【0072】
台紙100Aは仮想線V11、V12に沿って山折りされる。これにより、天壁5において雌フラップ層502の上に左フラップ43と右フラップ54とから構成されるサイドフラップ層503が積層される。なお、サイドフラップ層503において、左フラップ43と右フラップ54の積層順は任意である。台紙100Aは仮想線V13に沿って山折りされ、ミシン目5722に沿って谷折りされる。これにより差込部55が形成される。
【0073】
台紙100Aは仮想線V14に沿って山折りされる。差込部55が差込口521を介して雌フラップ52よりも内側に差し込まれる。これにより、サイドフラップ層503の上に雄フラップ層501が積層され、図1に示す天壁5が形成される。以上により、収納箱1Aの組み立てが完了する。
【0074】
テープカセット8Aの上壁86には、突起部861と排出口88が設けられている。突起部861と排出口88は、いずれも上壁86よりも上方に突出するので、折返し先部60の表面に形成されたコーティング部に接触する。突起部861および排出口88は、収納箱1Aへのテープカセット8A収納後の持ち運び等によって空間7内で振られると、折返し先部60表面のコーティング部と擦れ合う。台紙100Aの表面はコーティング部が形成されたことによって摩擦による摩耗から十分に保護されているので、擦れによる紙粉等の発生を抑制することができる。
【0075】
図12図13を参照し、収納箱1Bおよび台紙100Bを説明する。以下では、収納箱1B、台紙100Bのうち、収納箱1A、台紙100Aと異なる点を主に説明する。なお、収納箱1B、台紙100Bについて、収納箱1A、台紙100Aと同様の形状または機能を有する構成に同じ符号を付しており、説明を省略または簡略化する。
【0076】
収納箱1Bには、テープカセット8Aに代えて、テープカセット8Bが収納される。テープカセット8Bのケース81の前後方向の幅W82は、図1に示すテープカセット8Aのケース81の前後方向の幅W81よりも小さい。この場合、収納箱1Bの箱本体2の前後方向の幅W22は、収納箱1Aの箱本体2の前後方向の幅W21よりも小さい。すなわち、収納箱1Bは、左右方向の長さについては収納箱1Aと同じであり、前後方向の長さが収納箱1Aよりも短いだけである。よって、台紙100Bを用いて収納箱1Bを組み立てれば、収納箱1Aと同様に、テープカセット8Bの突起部861,851および排出口88が形成された上壁86および下壁85のそれぞれに対し、コーティング部が形成された折返しフラップ49の表面と、折返し先部60の表面とを空間7内でそれぞれ向ける配置にすることができる。
【0077】
以上説明した実施形態において、収納箱1Aの主な作用効果を説明する。台紙100Aについても、台紙100Aから収納箱1Aが形成されることで、収納箱1Aと同様の作用効果がいえる。
【0078】
箱本体2の空間7内にテープカセット8Aが配置された場合に、空間7を囲む壁面のうち、ケース81において排出口88が形成された上壁86の上面に対向する折返し先部60の表面を覆うコーティング部は、排出口88が台紙100Aに直接接触しないように台紙100Aを保護する。故に収納箱1Aは排出口88と台紙100Aとの直接の擦れによる紙粉の発生を抑制し、紙粉の付着による印刷品質の低下を防ぎ、テープカセット8Aの品質を担保することができる。
【0079】
箱本体2の空間7内にテープカセット8Aが配置された場合に、空間7を囲む壁面のうち、ケース81において突起部851が形成された下壁85の下面に対向する折返しフラップ49の表面を覆うコーティング部は、突起部851が壁面に直接接触しないように壁面を保護する。故に収納箱1Aは紙粉の発生を抑制し、紙粉の付着による印刷品質の低下を防ぎ、テープカセット8Aの品質を担保することができる。
【0080】
箱本体2の空間7内にテープカセット8Aが配置された場合に、コーティング部は、空間7を囲む壁面のうち、ケース81において排出口88および突起部861が形成された上壁86の上面に対向する折返し先部60の表面と、ケース81において突起部851が形成された下壁85の下面に対向する折返しフラップ49の表面とのそれぞれを覆う。コーティング部は、排出口88、突起部861および突起部851が壁面に直接接触しないように壁面を保護する。故に収納箱1Aは紙粉の発生を抑制し、紙粉の付着による印刷品質の低下を防ぎ、テープカセット8Aの品質を担保することができる。
【0081】
収納箱1Aは、箱本体2の空間7を囲む壁面のうち、テープカセットのケース81の排出口88および突起部861が接触する可能性のある折返し先部60の表面と、突起部851が接触する可能性のある折返しフラップ49の表面には、コーティングを形成している。一方、周壁6の空間7側の壁面は、突起部851,861および排出口88に接触しない。ゆえにこれらの壁面には、台紙100Aの裏面が向けられており、台紙100Aの裏面には、コーティング部が形成されていない。このように、突起部851,861および排出口88が接触する可能性のない壁面にはコーティング部を非形成とすることで、コーティング材の使用量を抑えることができる。
【0082】
台紙100Aの表面に文字や画像等を印刷してコーティング部で保護し、その表面を外面側にして台紙100Aを箱形態に組み立てることで、収納箱1Aは、化粧箱の外観を形成できる。そして、台紙100Aの一部を空間7内に折り曲げ、空間7内でテープカセット8Aのケース81の排出口88、突起部861、突起部851が接触しうる折返し先部60の表面および折返しフラップ49の表面として、コーティング部が形成された表面が配置されるように構成する。この構成により、収納箱1Aは、コーティング部を表面にのみ形成することで生産コストを抑えた台紙100Aを用い、紙粉の発生を抑制することができる。
【0083】
テープカセット8Aは、排出口88を収納箱1Aの天壁5側へ向けた状態で収納箱1Aの空間7内に配置される。このため、仮に収納箱1Aが底壁4側を下にして落下した場合、ケース81の内部と外部とを繋ぐ排出口88の破損を抑制することができ、ケース81内の被印刷媒体の品質を担保することができる。
【0084】
天壁5にヘッダ3を設けた場合、折返し先部60は、ヘッダ3に接続する折返し基部59に設ける。このように構成することで、折返し先部60のコーティング部が形成された表面を空間7内に向けて配置できるので、紙粉の発生を抑制することができる。
【0085】
収納箱1Aを組み立てる場合、天壁5は、サイドフラップ層503よりも先に、ヘッダ3から折り返して形成される。折返し先部60は、ヘッダ片32の下端321に接続される折返し基部59の前端591に接続されている。よって折返し先部60は、表面を確実に、空間7内へ向けて配置することができる。そして、折返し先部60は周縁部分に指掛け部522を有する。このため、天壁5を開いて収納箱1Aを開放する場合、指掛け部522に指を掛けて折返し先部60を引き起こすことで、ユーザは収納箱1Aを容易に開放でき、テープカセット8Aを取り出しやすい。
【0086】
底壁4において、折返しフラップ49を糊付けまたは雌フラップ42に設けた係合部428,429と係合することによって、折返しフラップ49が底壁4から浮き上がらないように保持できるので、収納箱1Aは、折返しフラップ49のコーティング部が形成された表面を、確実に、空間7内に向けて配置できる。よって収納箱1Aは、テープカセット8Aを空間7内に配置した場合に、確実に表面をテープカセット8Aに接触させることができ、紙粉の発生を抑制することができる。
【0087】
底壁4は、雄フラップ層401、雌フラップ層402およびサイドフラップ層403(左フラップ43および右フラップ44)を積層して組み立てられる、いわゆる地獄底の形態で構成される。折返しフラップ49は、雌フラップ42の後端421に接続するので、底壁4の最上層に配置され、空間7内に配置されるテープカセット8Aの重量を支えることができる。よって収納箱1Aは、底壁4がテープカセット8Aの重量によって開放することなく、且つテープカセット8Aの下壁85の下面との接触による紙粉の発生を抑制することができる。
【0088】
なお、上記実施形態において、印刷テープ89が本発明の「収容物」に相当する。排出口88が本発明の「排出部」に相当する。テープカセット8Aが本発明の「印刷カセット」に相当する。収納箱1A、1Bの上下方向が本発明の「第一方向」に相当する。底壁4が本発明の「第一壁」に相当する。天壁5が本発明の「第二壁」に相当する。テープカセット8Aの上壁86の上面が本発明の「第一外面」に相当する。折返し先部60の台紙100Aにおける表面が本発明の「第一壁面」に相当する。
【0089】
テープカセット8Aの下壁85の下面が本発明の「第二外面」に相当する。折返しフラップ49の台紙100Aにおける表面が本発明の「第二壁面」に相当する。突起部861が本発明の「第一突起部」に相当する。テープカセット8Aの上下方向が本発明の「交差方向」に相当する。突起部851が本発明の「第二突起部」に相当する。台紙100Aが本発明の「シート」に相当する。台紙100Aの表(おもて)面が本発明の「第一面」に相当する。収納箱1A、1Bの前後方向が本発明の「第二方向」に相当する。背壁62が本発明の「第三壁」に相当する。前壁61が本発明の「第四壁」に相当する。収納箱1A、1Bの左右方向が本発明の「第三方向」に相当する。左壁63が本発明の「第五壁」に相当する。右壁64が本発明の「第六壁」に相当する。収納箱1A、1Bの上方が本発明の「第一特定方向」に相当する。前壁61の上端612が本発明の「第一接続端」に相当する。収納箱1A、1Bの後方が本発明の「第二特定方向」に相当する。雄フラップ51が本発明の「第一雄フラップ」に相当する。雄フラップ層501が本発明の「第一雄フラップ層」に相当する。背壁62の上端622が本発明の「第二接続端」に相当する。ヘッダ片31が本発明の「第一ヘッダ片」に相当する。収納箱1A、1Bの下方が本発明の「第三特定方向」に相当する。ヘッダ片32が本発明の「第二ヘッダ片」に相当する。左壁63の上端632が本発明の「第三接続端」に相当する。収納箱1A、1Bの右方が本発明の「第四特定方向」に相当する。左フラップ53が本発明の「第一サイドフラップ」に相当する。右壁64の上端642が本発明の「第四接続端」に相当する。収納箱1A、1Bの左方が本発明の「第五特定方向」に相当する。右フラップ54が本発明の「第二サイドフラップ」に相当する。サイドフラップ層503が本発明の「第一中間フラップ層」に相当する。雌フラップ52が本発明の「第一折返し片」に相当する。ヘッダ片32の下端321が本発明の「ヘッダの先端」に相当する。
【0090】
収納箱1A、1Bの下方が本発明の「第六特定方向」に相当する。折返しフラップ49が本発明の「第二折返し片」に相当する。背壁62の下端621が本発明の「第五接続端」に相当する。雄フラップ41が本発明の「第二雄フラップ」に相当する。雄フラップ層401が本発明の「第二雄フラップ層」に相当する。前壁61の下端611が本発明の「第六接続端」に相当する。雌フラップ42が本発明の「雌フラップ」に相当する。雌フラップ層402が本発明の「雌フラップ層」に相当する。左壁63の下端631が本発明の「第七接続端」に相当する。左フラップ43が本発明の「第三サイドフラップ」に相当する。右壁64の下端641が本発明の「第八接続端」に相当する。右フラップ44が本発明の「第四サイドフラップ」に相当する。サイドフラップ層403が本発明の「第二中間フラップ層」に相当する。雌フラップ42の後端421が本発明の「雌フラップの先端」に相当する。
【0091】
本発明は上記実施形態から変更されてもよい。以下説明する各種変形例は、矛盾が生じない限り、互いに組み合わされてもよく、収納箱1A、1Bのいずれに適用されてもよい。
【0092】
図14図15を参照し、変形例の収納箱1Cについて説明する。収納箱1Cの底壁4は、雄フラップ71によって構成される雄フラップ層701と、左フラップ73および右フラップ74によって構成されるサイドフラップ層703とを積層して組み立てられる、いわゆるキャラメル箱の形態で構成される。図14に示すように、雄フラップ71は背壁62の下端621に接続し、底壁4の構成時には下端621から前方に延びる。雄フラップ71の大きさは、周壁6の周縁40(周壁6の下端611,621,631,641)によって形成され空間7に繋がる開口部分の大きさと略同じである。雄フラップ71の先端711には差込部712が設けられる。差込部712は雄フラップ71の先端711に沿って左右方向に延びる。差込部712は、下端611,621,631,641による開口部分を閉塞する場合にサイドフラップ層703と前壁61との間に差し込んで雄フラップ71を固定するための部分である。
【0093】
左フラップ73は左壁63の下端631に接続し、底壁4の構成時には下端631から右方に延びる。左フラップ73の大きさは、下端611,621,631,641による開口部分の大きさと略同じである。左フラップ73の先端731には、前後方向の略中央において半円状に凹む指掛け部732が形成されている。右フラップ74は右壁64の下端641に接続し、底壁4の構成時には下端641から左方に延びる。右フラップ74の大きさは、下端611,621,631,641による開口部分の大きさと略同じである。右フラップ74の先端741には、折返しフラップ79が設けられている。折返しフラップ79は左フラップ73と略同じ大きさで、先端791の両角部分が面取りされている。右フラップ74と折返しフラップ79の双方にかかる部分で、右フラップ74の先端741の中点の位置を中心に、円形状の指掛け部792が形成されている。指掛け部792は右フラップ74と折返しフラップ79の厚み方向に貫通する。
【0094】
収納箱1Cを台紙(図示略)から組み立てる場合、周壁6を四角筒状に形成する。この状態で、コーティング部が形成された台紙の表面は、四角筒状の外側を向く配置となる。台紙は仮想線V18に沿って山折りされる。矢印S6に示すように、折返しフラップ79は左方に折り曲げられる。これにより、図15に示すように、折返しフラップ79が右フラップ74の左側に配置される。折返しフラップ79における台紙の表面は、左方を向く。
【0095】
台紙は仮想線V7に沿って山折りされる。矢印S7に示すように、右フラップ74および折返しフラップ79は左方に折り曲げられ、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域(言い換えると周壁6の周縁40によって形成され空間7に繋がる開口部分)に配置される。これにより、底壁4の最上層に、サイドフラップ層703を構成する左フラップ73および右フラップ74のうちの右フラップ74が配置される。折返しフラップ79は、コーティング部が形成された表面を空間7内に向け、右フラップ74の上面側に配置される。すなわち、折返しフラップ79においてコーティング部が形成された表面は空間7内の下側の壁面を構成し、空間7内で上を向く配置となる。折返しフラップ79における表面に形成されたコーティング部には、空間7内に収容されるテープカセット8Aの下壁85の下面が接触する。
【0096】
台紙は仮想線V8に沿って山折りされる。左フラップ73は右方に折り曲げられて、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域において右フラップ74と重なり、右フラップ74とともにサイドフラップ層703を構成する。サイドフラップ層703は折返しフラップ79の下側に配置される。台紙は仮想線V17に沿って山折りされる。差込部712は前方に折り曲げられる。台紙は仮想線V6に沿って山折りされる。雄フラップ71は前方に折り曲げられ、周壁6の下端611,621,631,641に囲まれた領域に配置される。これにより、雄フラップ71は、雄フラップ層701として、サイドフラップ層703の下側に積層され、底壁4の最下層に配置される。差込部712は、サイドフラップ層703と前壁61の間に差し込まれ、下端611,621,631,641に囲まれた領域が閉塞される。キャラメル箱形態の底壁4が構成される。収納箱1Cへのテープカセット8Aの収納と天壁5の構成による収納箱1Cの組み立ては本実施形態と同様であるので説明を省略する。このように、キャラメル箱形態の収納箱1Cは、底壁4が簡易な形態で開閉でき、且つテープカセット8Aの下壁85の下面との接触による紙粉の発生を抑制することができる。なお、折返しフラップ79は、左フラップ73の先端731に設けてもよい。指掛け部792,732はなくてもよい。
【0097】
なお、上記変形例においては、雄フラップ71が本発明の「第三雄フラップ」に相当する。雄フラップ層701が本発明の「第三雄フラップ層」に相当する。左フラップ73が本発明の「第五サイドフラップ」に相当する。右フラップ74が本発明の「第六サイドフラップ」に相当する。サイドフラップ層703が本発明の「第三中間フラップ層」に相当する。
【0098】
突起部261,251は突起物に限らず、凹凸形状をなすものや凸凹を有する面でもよいし、収容物の角部分やエッジをなす部分など、擦れて紙粉を発生させ得る形状等であってもよい。突起部261,251は、それぞれ上壁86,下壁85に形成されているが、どちらか一方に形成されてもよいし、上壁86,下壁85以外の周壁84や前壁82、後壁83に形成されてもよい。排出口88も上壁86に限らず、他の壁面に設けられてもよい。排出口88と突起部261は上壁86に設けられているが、それぞれ異なる壁面に設けられてもよい。この場合、排出口88が設けられた壁面に対向する収納箱1Aの壁面と、突起部861が設けられた壁面に対向する収納箱1Aの壁面とのそれぞれにコーティング部が形成されてもよい。
【0099】
コーティング部は台紙100Aの表面に形成されるとしたが、裏面に形成されてもよいし、表面と裏面の両方に形成されてもよい。表裏二面のそれぞれにコーティング処理が施された台紙を折り曲げて形成すれば、収納箱は、空間7内に配置されるテープカセット8Aをコーティング部によって取り囲むことができ、紙粉の発生を抑制することができる。また、台紙において折返しフラップ等を作成せずに済むので、材料費を低減できる。また、台紙100Aの表裏二面に対して同じ形態のコーティング処理を施すことで、異なる形態のコーティング処理を施した場合と比べ、生産コストを低減することができる。
【0100】
また、コーティング部は、台紙100Aのうち、特定の部分の外面に形成されてもよい。例えば、台紙100Aにおいて、折返しフラップ49と折返し先部60が設けられた部分にのみ、コーティング部を形成してもよい。また、台紙100Aにおいて部分的に、例えば雌フラップ42や折返し基部59の裏面にコーティング部を設けた場合、折返しフラップ49や折返し先部60は設けなくてもよい。
【0101】
折返しフラップ49に形成した切込部48の形状は適宜変更可能である。本実施形態のように、一方向を残し三方向を直線状に切り込んだ矩形状に形成してもよいし、角を面取りした形状、曲線状、U字状、V字状など、切込部48として様々な形状を適用することができる。また、切込部48は、一対の第一切込部481,482が形成され第二切込部483のない構成、第一切込部481および第二切込部483が形成され第一切込部482が無い構成、またはその逆の構成であってもよい。
【0102】
係合部428,429および被係合部498,499の形状や大きさ、位置関係は適宜変更可能である。例えば、係合部428,429と被係合部498,499は、突部と、突部を折り曲げて差し込む切込部であってもよい。また、被係合部498,499を、左壁63,右壁64の下端部に突状に設け、下端611,621,631,641に囲まれた領域に折返しフラップ49を配置したら引っ掛かることでユーザが手で係合させずとも係合される構成としてもよい。係合部428,429および被係合部498,499はなくてもよい。また、係合部428,429と被係合部498,499との組み合わせは、どちらか一組だけでもよいし、もしくは三組以上あってもよい。
【0103】
折返しフラップ49は雌フラップ42の後端421に設けたが、左フラップ43の右端または右フラップ44の左端に設けてもよい。また、切込部48のない折返しフラップ49を設けてもよい。
【0104】
他の変形例を説明する。箱本体2の上下方向、左右方向、および前後方向のそれぞれの長さ関係は、上記実施形態に限定されない。例えば、箱本体2の前後方向の長さは、箱本体2の左右方向の長さよりも大きくてもよい。
【0105】
上記実施形態において、台紙100Aは、組み付けられることで収納箱1Aが形成されるように構成されれば、上記実施形態の形状に限定されない。折り曲げられることができ、且つ折り曲げられた状態を維持できるシートであれば、台紙100Aに代えてプラスチックシート等が用いられてもよい。
【0106】
上記実施形態において、空間7にはテープカセット8Aに代えて他の収納物が収納されてもよい。他の収納物は例えば、印刷に使用される消耗品であり、インクタンク、インクカートリッジ、またはインクリボンカセットである。他の収納物は印刷以外に使用される消耗品であってもよい。他の収納物は消耗品でなくてもよく、食品等であってもよい。
【0107】
上記実施形態では、テープカセット8Aは下壁85が底壁4と向き合う状態で空間7に配置される。これに対し、テープカセット8Aは下壁85とは異なる壁、例えば上壁86が底壁4と向き合う状態で空間7に配置されてもよい。
【0108】
上記実施形態において、周壁6は、例えば左壁63および右壁64を省略してもよい。すなわち、前壁61の左端と背壁62の左端とが互いに直接接続し、前壁61の右端と背壁62の右端とが互いに直接接続してもよい。この場合、例えば前壁61が前方に膨らむように湾曲し、背壁62が後方に膨らむように湾曲するとよい。周壁6は前壁61、背壁62、左壁63、および右壁64に加えて1または複数の壁をさらに備えてもよい。
【0109】
上記実施形態では、雌フラップ52はヘッダ3を介して背壁62の上端622に接続する。これに対し、雌フラップ52は背壁62の上端622に直接接続してもよい。この場合、ヘッダ3は省略されてもよいし、左壁63の上端632または右壁64の上端642に接続してもよい。
【0110】
上記実施形態では、ヘッダ3はヘッダ片31、32を有する。これに対し、ヘッダ3はヘッダ片31およびヘッダ片32のいずれか一方によって構成されてもよい。孔30の個数および形状は上記実施形態に限定されない。ヘッダ3には孔30が設けられなくてもよい。
【0111】
上記実施形態において、左フラップ43および右フラップ44の一方または両方は省略されてもよい。すなわち、サイドフラップ層403は左フラップ43および右フラップ44の一方によって構成されてもよいし、省略されてもよい。また、左フラップ43の右端および右フラップ44の左端は上下方向において互い重なる配置となってもよい。
【符号の説明】
【0112】
1A,1B,1C 収納箱
2 箱本体
3 ヘッダ
4 底壁
5 天壁
6 周壁
7 空間
8A,8B テープカセット
31,32 ヘッダ片
40 周縁
41,51,71 雄フラップ
42,52 雌フラップ
43,53,73 左フラップ
44,54,74 右フラップ
48 切込部
49 折返しフラップ
50 周縁
55 差込部
60 折返し先部
61 前壁
62 背壁
63 左壁
64 右壁
79 折返しフラップ
81 ケース
85 下壁
86 上壁
88 排出口
89 印刷テープ
100A,100B 台紙
321,611,621,631,641 下端
401,501,701 雄フラップ層
402,502 雌フラップ層
403,503,703 サイドフラップ層
421 後端
428,429 係合部
522 指掛け部
612,622,632,642 上端
731,741 先端
851,861 突起部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15