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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173347
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】焼却システム及び焼却方法
(51)【国際特許分類】
   F23G 5/50 20060101AFI20241205BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20241205BHJP
   F23L 5/02 20060101ALI20241205BHJP
   F23L 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F23G5/50 H
F23G5/44 F
F23L5/02
F23L15/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091702
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】507214083
【氏名又は名称】メタウォーター株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】台場 信弘
【テーマコード(参考)】
3K023
3K062
3K065
【Fターム(参考)】
3K023HA06
3K023HA20
3K023QA11
3K023QB18
3K023QB20
3K023QC08
3K062AA11
3K062AB01
3K062BA02
3K062CB04
3K062DA08
3K062DB06
3K065AA11
3K065AB01
3K065AC02
3K065BA02
3K065BA04
3K065BA06
3K065GA03
3K065GA12
3K065GA22
3K065GA27
3K065GA41
3K065GA46
3K065GA53
(57)【要約】
【課題】焼却炉に対して燃焼用空気を適切に供給する焼却システム及び焼却方法を提供する。
【解決手段】被処理物を焼却する焼却炉と、焼却炉に供給される空気の少なくとも一部を圧縮して圧縮空気を生成するコンプレッサとコンプレッサを駆動するタービンとを有する過給機と、圧縮空気を含む空気を焼却炉から排出された排ガスにより昇温する熱交換器と、空気を送風する送風機と、送風機から供給された空気をコンプレッサに供給可能であり、送風機とコンプレッサとのうちの少なくともいずれかから供給された空気を熱交換器に供給可能であり、熱交換器により昇温された空気の少なくとも一部をタービンに供給可能であり、かつ、タービンから排出された空気を焼却炉に供給可能な供給部と、排ガスの熱エネルギー量に応じて、送風機からコンプレッサに送風する空気の送風量を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を焼却する焼却炉と、
前記焼却炉に供給される空気の少なくとも一部を圧縮して圧縮空気を生成するコンプレッサと前記コンプレッサを駆動するタービンとを有する過給機と、
前記圧縮空気を含む前記空気を前記焼却炉から排出された排ガスにより昇温する熱交換器と、
前記空気を送風する送風機と、
前記送風機から供給された前記空気を前記コンプレッサに供給可能であり、前記送風機と前記コンプレッサとのうちの少なくともいずれかから供給された前記空気を前記熱交換器に供給可能であり、前記熱交換器により昇温された前記空気の少なくとも一部を前記タービンに供給可能であり、かつ、前記タービンから排出された前記空気を前記焼却炉に供給可能な供給部と、
前記排ガスの熱エネルギー量に応じて、前記送風機から前記コンプレッサに送風する前記空気の送風量を制御する制御装置と、を備えた、焼却システム。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記熱交換器に供給される前記空気の供給量についての第1測定値を取得し、
取得した前記第1測定値と、前記熱交換器に供給される前記空気の供給量についての第1設定値との関係が所定の条件を満たすか否かに応じて、前記送風量を制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記第1測定値が前記第1設定値よりも第1閾値以上大きい場合、前記送風量を減少させる、請求項2に記載の焼却システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記第1測定値が前記第1設定値よりも第2閾値以上小さい場合、前記送風量を増加させる、請求項2に記載の焼却システム。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記過給機の回転数についての第2測定値を取得し、
取得した前記第2測定値と、前記過給機の回転数についての第2設定値との関係が所定の条件を満たすか否かに応じて、前記送風量を制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項6】
前記制御装置は、
前記供給部における空気供給を制御することにより、前記送風機から供給された前記空気を前記コンプレッサに供給し、前記コンプレッサにより圧縮された前記圧縮空気を前記熱交換器に供給し、前記熱交換器により昇温された前記圧縮空気を前記焼却炉に供給する第1制御と、前記送風機から供給された前記空気を、前記コンプレッサを迂回して前記熱交換器に供給し、前記熱交換器により昇温された前記空気を、前記タービンを迂回して前記焼却炉に供給する第2制御とを含む複数の制御を行い、
前記第2制御から前記第1制御に切り替える際に、前記送風機から前記コンプレッサを迂回して前記熱交換器に供給される前記空気と前記送風機から前記コンプレッサに供給される前記空気とを供給可能にし、前記排ガスの熱エネルギー量に応じて前記送風量を制御する、請求項1に記載の焼却システム。
【請求項7】
被処理物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉に供給される空気の少なくとも一部を圧縮して圧縮空気を生成するコンプレッサと前記コンプレッサを駆動するタービンとを有する過給機と、前記圧縮空気を含む前記空気を前記焼却炉から排出された排ガスにより昇温する熱交換器と、前記空気を送風する送風機と、前記送風機から供給された前記空気を前記コンプレッサに供給可能であり、前記送風機と前記コンプレッサとのうちの少なくともいずれかから供給された前記空気を前記熱交換器に供給可能であり、前記熱交換器により昇温された前記空気の少なくとも一部を前記タービンに供給可能であり、かつ、前記タービンから排出された前記空気を前記焼却炉に供給可能な供給部と、を備えた焼却システムにおける焼却方法であって、
前記排ガスの熱エネルギー量に応じて、前記送風機から前記コンプレッサに送風する前記空気の送風量を制御する、焼却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、焼却システム及び焼却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理物(例えば、下水汚泥等の汚泥)を焼却する焼却炉では、例えば、熱交換器によって焼却炉から排出される高温の排ガスから廃熱を回収する。そして、焼却炉では、例えば、回収した廃熱により昇温された燃焼用空気(以下、単に空気とも呼ぶ)を用いることによって被焼却物を焼却する(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-227441号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような焼却炉を含む焼却システム(以下、単に焼却システムとも呼ぶ)には、例えば、焼却炉内に燃焼用空気を供給する過給機が設けられる場合がある。焼却システムでは、この場合、例えば、燃焼用空気を供給する送風機等の稼働に要する電力を抑制することが可能になり、被処理物の焼却に要するコストを抑制することが可能になる。
【0005】
ここで、上記のような焼却システムでは、例えば、焼却炉から排出される廃熱量が変化する場合であっても、焼却炉に対して燃焼用空気を適切に供給することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様における焼却システムは、被処理物を焼却する焼却炉と、前記焼却炉に供給される空気の少なくとも一部を圧縮して圧縮空気を生成するコンプレッサと前記コンプレッサを駆動するタービンとを有する過給機と、前記圧縮空気を含む前記空気を前記焼却炉から排出された排ガスにより昇温する熱交換器と、前記空気を送風する送風機と、前記送風機から供給された前記空気を前記コンプレッサに供給可能であり、前記送風機と前記コンプレッサとのうちの少なくともいずれかから供給された前記空気を前記熱交換器に供給可能であり、前記熱交換器により昇温された前記空気の少なくとも一部を前記タービンに供給可能であり、かつ、前記タービンから排出された前記空気を前記焼却炉に供給可能な供給部と、前記排ガスの熱エネルギー量に応じて、前記送風機から前記コンプレッサに送風する前記空気の送風量を制御する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様における焼却システム及び焼却方法によれば、焼却炉に対して燃焼用空気を適切に供給することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。
図2図2は、制御装置10のハードウエア構成を説明する図である。
図3図3は、制御装置10の機能について説明する図である。
図4図4は、供給制御について説明するフローチャート図である。
図5図5は、送風量制御について説明するフローチャート図である。
図6図6は、送風量制御について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。しかしながら、かかる説明は限定的な意味に解釈されるべきではなく、特許請求の範囲に記載の主題を限定するものではない。また、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することがなく様々な変更や置換や改変をすることができる。また、異なる実施の形態を適宜組み合わせることができる。
【0010】
[第1の実施の形態における焼却システム100]
初めに、第1の実施の形態における焼却システム100について説明を行う。図1は、第1の実施の形態における焼却システム100の構成例を説明する図である。なお、以下に示すライン(配管)や弁の配置位置や数は例示であり、これに限られるものではない。
【0011】
焼却システム100は、図1に示すように、例えば、焼却炉1と、過給機2と、予熱器3と、送風機B1とを有する。送風機B1は、焼却炉1等に燃焼用空気(酸素を含む気体)を送風する機能を有する機器である。以下、送風機B1がブロワB1であるものとして説明を行う。また、以下、焼却炉1において焼却される被処理物が汚泥であるものとして説明を行う。
【0012】
焼却炉1は、例えば、ラインL11を介して供給された汚泥(脱水ケーキ)を焼却する流動焼却炉であり、いわゆる流動層1aを有する。ラインL11は、例えば、焼却炉1の前段設備(例えば、汚泥乾燥機)と焼却炉1とを連結する配管である。以下、焼却炉1が流動焼却炉である場合について説明を行うがこれに限られない。具体的に、焼却炉1は、例えば、流動焼却炉以外の各種の焼却炉であってもよい。
【0013】
過給機2は、例えば、回転軸2cを介して接続されたコンプレッサ2a及びタービン2bを有する。
【0014】
具体的に、コンプレッサ2aは、例えば、ラインL41を介してブロワB1から供給された燃焼用空気、または、ラインL41の一部及びラインL42を介して供給された燃焼用空気(外気)を圧縮して圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を予熱器3に供給する。ラインL41は、例えば、ブロワB1の出口側(2次側)とコンプレッサ2aの入口側(1次側)とを連通する配管である。また、ラインL42は、例えば、コンプレッサ2aの入口側に連通し、燃焼用空気(外気)をコンプレッサ2aの入口側に供給可能な配管である。なお、ラインL42は、図1に示すように、例えば、ラインL41とラインL43との接続箇所(言い換えれば、ラインL41からラインL43が分岐する箇所)の上流側に連通するものであってよい。
【0015】
タービン2bは、例えば、予熱器3から供給された燃焼用空気(予熱器3によって昇温された高温空気)のエネルギー(熱エネルギー)を利用して回転軸2cを回転させる。そして、コンプレッサ2aは、例えば、回転軸2cの回転に伴って駆動することにより圧縮空気を生成し、生成した圧縮空気を予熱器3に供給する。
【0016】
予熱器3は、例えば、焼却炉1に供給される空気を昇温(加熱)する熱交換器であり、焼却炉1から排出された排ガスと焼却炉1に供給する燃焼用空気との間において熱交換を行う。
【0017】
具体的に、予熱器3は、例えば、ラインL21を介して焼却炉1から供給された排ガスを用いることによって、ラインL31を介して供給された燃焼用空気(例えば、コンプレッサ2aから供給された圧縮空気)を昇温し、ラインL32を介して昇温後の燃焼用空気をタービン2bに供給する。ラインL21は、例えば、焼却炉1の出口側と予熱器3における排ガスの入口側とを連通する配管である。また、ラインL31は、例えば、コンプレッサ2aの出口側と予熱器3における燃焼用空気の入口側とを連通する配管である。さらに、ラインL32は、例えば、予熱器3における燃焼用空気の出口側とタービン2bの入口側とを連通する配管である。
【0018】
そして、タービン2bは、例えば、ラインL33を介して昇温後の燃焼用空気を焼却炉1(例えば、焼却炉1における流動層1a)に供給する。ラインL33は、例えば、タービン2bの出口側と焼却炉1における燃焼用空気の入口側とを連通する配管である。
【0019】
また、ラインL41とラインL31との間には、例えば、ラインL43が設けられる。ラインL43は、例えば、ラインL41とラインL31とを連通する配管である。具体的に、ラインL43は、例えば、ラインL41におけるブロワB1の出口下流側とコンプレッサ2aの入口上流側との間の箇所と、ラインL31におけるコンプレッサ2aの出口下流側と予熱器3における燃焼用空気の入口上流側との間の箇所とを連通する配管である。そして、ラインL43は、例えば、ラインL41を介してブロワB1から供給された燃焼用空気、または、ラインL41の一部及びラインL42を介して供給された燃焼用空気(外気)を予熱器3に直接供給する。
【0020】
すなわち、ラインL43は、例えば、ラインL41を介してブロワB1から供給された燃焼用空気、または、ラインL41の一部及びラインL42を介して供給された燃焼用空気(外気)を、コンプレッサ2aを経由させることなく(言い換えれば、コンプレッサ2aを迂回して)予熱器3に直接供給する場合に用いられる配管である。
【0021】
さらに、ラインL32とラインL33との間には、例えば、ラインL51とバイパスL52とが設けられる。ラインL51とバイパス52とのそれぞれは、例えば、ラインL32における予熱器3における燃焼用空気の出口下流側とタービン2bの入口上流側との間の箇所と、ラインL33におけるタービン2bの出口下流側と焼却炉1における燃焼用空気の入口側との間の箇所とを連通する配管である。そして、ラインL51とバイパスL52とのそれぞれは、例えば、予熱器3から供給された燃焼用空気を焼却炉1に直接供給する。なお、図1に示す例において、バイパスL52は、ラインL51よりもタービン2bに近い箇所においてラインL32及びラインL33と連通しているが、これに限られない。具体的に、バイパスL52は、例えば、ラインL51よりもタービン2bに遠い箇所においてラインL32及びラインL33と連通してもよい。
【0022】
すなわち、ラインL51は、例えば、予熱器3から供給された燃焼用空気の少なくとも一部を、タービン2bを経由させることなく(言い換えれば、タービン2bを迂回して)焼却炉1に直接供給する場合に用いられる配管である。具体的に、焼却システム100では、例えば、ラインL51に設けられた弁V1(例えば、ダンパ)の開制御及び閉制御を行うことにより、予熱器3から供給された燃焼用空気の焼却炉1に対する供給量を調整する。なお、弁の開制御は、例えば、弁の開度を大きくする制御であり、弁の開度を100パーセント(完全開)にする制御を含む。また、弁の閉制御は、例えば、弁の開度を小さくする制御であり、弁の開度を0パーセント(完全閉)にする制御を含む。
【0023】
また、バイパスL52は、例えば、予熱器3から供給された燃焼用空気のタービン2bに対する供給量を調整する場合に用いられる配管である。具体的に、焼却システム100では、例えば、バイパスL52に設けられた弁V3の開制御及び閉制御を行うことにより、予熱器3から供給された燃焼用空気の一部がバイパスL52を経由するように制御し、予熱器3から供給された燃焼用空気のタービン2bに対する供給量を調整する。以下、バイパスL52を介して供給される燃焼用空気を迂回空気とも呼ぶ。
【0024】
また、バイパスL52に設けられた弁V3の容量は、例えば、ラインL51に設けられた弁V1やラインL43に設けられた弁V2の容量よりも小さいものであってよい。これにより、焼却システム100では、例えば、弁V1等の開度の調整に併せて弁V3の開度の調整を行うことで、タービン2bに対する燃焼用空気の供給量の調整を高精度に行うことが可能になる。
【0025】
供給部20は、例えば、ブロワB1から供給された燃焼用空気をコンプレッサ2aに供給可能であり、ブロワB1とコンプレッサ2aとのうちの少なくともいずれかから供給された燃焼用空気を予熱器3に供給可能であり、予熱器3により昇温された燃焼用空気の少なくとも一部をタービン2bに供給可能であり、さらに、タービン2bから排出された燃焼用空気を焼却炉1に供給可能である。また、供給部20は、例えば、予熱器3により昇温された燃焼用空気の一部を、タービン2bを迂回して焼却炉1に供給可能である。すなわち、供給部20は、図1に示すように、例えば、ラインL31、ラインL32、ラインL33、ラインL41、ラインL42、ラインL43、ラインL51、バイパスL52、弁V1、弁V2、弁V3、弁V4及び弁V5を含むものであってよい。
【0026】
そして、予熱器3から排出された排ガスは、例えば、白煙防止空気予熱器、スクラバ及び洗煙処理塔等を有する排ガス処理設備(図示せず)に供給される。
【0027】
具体的に、排ガス処理設備を構成する白煙防止空気予熱器は、排ガス用の熱交換器であり、例えば、焼却炉1から排出された排ガスの熱エネルギーを用いることによって、吸引した外気を昇温して白煙防止空気を生成する設備である。白煙防止空気は、煙突から放出される排ガス中の水蒸気が白煙として見えることを防止するために用いられる加熱空気である。
【0028】
また、排ガス処理設備を構成するスクラバは、白煙防止空気予熱器の後段に設置され、白煙防止空気予熱器から出力された排ガスの不純物を除去する設備である。
【0029】
さらに、排ガス処理設備を構成する排煙処理塔は、塔の下部から排ガスを導入し、上部から散水される洗煙水と接触させることによって排ガス中のSO等の成分を除去する設備である。
【0030】
[第1の実施の形態における制御装置10]
次に、第1の実施の形態における制御装置10の構成について説明を行う。図2は、制御装置10のハードウエア構成を説明する図である。また、図3は、制御装置10の機能について説明する図である。
【0031】
焼却システム100は、図2に示すように、例えば、焼却炉1に対する燃焼用空気の供給制御(以下、単に供給制御とも呼ぶ)を実行する制御装置10を有する。供給制御には、例えば、弁V1、弁V2、弁V3、弁V4及びV5の開制御及び閉制御が含まれる。また、供給制御には、例えば、ブロワB1からの燃焼用空気の送風量を調整する制御(以下、単に送風量制御とも呼ぶ)が含まれる。具体的に、制御装置10は、図3に示すように、供給制御として、例えば、ラインL31、ラインL32、ラインL33及びラインL41等に設けられた各種測定器(例えば、温度計、圧力計及び流量計等)からの測定値や回転軸2cの回転数を測定する回転数測定器からの測定値に基づいて、弁V1、弁V2、弁V3、弁V4、弁V5及びブロワB1等を制御する。
【0032】
制御装置10は、図2に示すように、例えば、電子回路を有する電子機器である。具体的に、制御装置10は、例えば、プロセッサであるCPU101と、メモリ102と、通信装置103と、記憶媒体104とを有するコンピュータ装置である。各部は、例えば、バス105を介して互いに接続される。
【0033】
記憶媒体104は、例えば、供給制御を行うためのプログラム110を記憶するプログラム格納領域(図示しない)を有する。また、記憶媒体104は、例えば、供給制御を行う際に用いられる情報を記憶する情報格納領域130を有する。なお、記憶媒体104は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)であってよい。
【0034】
CPU101は、例えば、記憶媒体104からメモリ102にロードされたプログラム110を実行することによって供給制御を行う。
【0035】
通信装置103は、例えば、インターネット等のネットワーク(図示せず)を介して作業者が必要な情報の入力等を行う操作端末(図示せず)とアクセスを行う。
【0036】
なお、制御装置10は、例えば、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)を有するものであってもよい。そして、供給制御は、例えば、FPGAやASICにおいて実行されるものであってもよい。
【0037】
[供給制御の具体例]
次に、供給制御の具体例について説明を行う。図4は、供給制御について説明するフローチャート図である。
【0038】
制御装置10は、図4に示すように、例えば、予熱器3において排ガスから回収される廃熱量に応じて、焼却炉1に対する燃焼用空気の供給を制御する。言い換えれば、制御装置10は、例えば、ラインL32を介して予熱器3からタービン2bに対して供給される燃焼用空気(高温空気)の熱エネルギーに応じて、焼却炉1に対する燃焼用空気の供給を制御する。
【0039】
具体的に、制御装置10は、図4に示すように、例えば、供給制御を実行する時間(以下、単に制御実行時間とも呼ぶ)になるまで待機する(図4のステップS10のNO)。ここでの制御実行時間は、例えば、数秒から数十秒ごと等の定期的な時間であってよい。
【0040】
そして、制御実行時間になった場合(図4のステップS10のYES)、制御装置10は、例えば、ラインL32を介して予熱器3からタービン2bに対して供給される燃焼用空気の熱エネルギー量が過給機2を運転させるためのエネルギーとして十分であるか否かを判定する(図4のステップS11)。
【0041】
具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL31、ラインL32、ラインL33及びラインL41に設けられた各種測定器によって測定された各測定値から、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が過給機2を運転させるためのエネルギーとして十分であるか否かを判定する。さらに具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL41に設けられた圧力計が測定した圧力(コンプレッサ2aの入口側の圧力)や、バイパスL52に設けられた流量計が測定した燃焼用空気の流量や、ラインL32に設けられた温度計が測定した燃焼用空気の温度から、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が過給機2を運転させるためのエネルギーとして十分であるか否かを判定する。
【0042】
その結果、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が過給機2を運転させるためのエネルギーとして十分であると判定した場合(図4のステップS12における廃熱量大)、制御装置10は、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給を行うことなく過給機2を運転させる制御(以下、自立運転制御とも呼ぶ)を行う(図4のステップS13)。なお、制御装置10は、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が予め定められた閾値以上である場合に、自立運転制御を開始するものであってよい。
【0043】
すなわち、制御装置10は、この場合、例えば、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給を行わない場合であっても、過給機2の運転に必要な熱エネルギーをタービン2bに供給することが可能であると判定する。そのため、制御装置10は、この場合、自立運転制御の実行を選択する。
【0044】
具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL42に設けられた弁V4の開制御及びラインL41におけるラインL43との分岐点の下流側(コンプレッサ2aの入口側)に設けられた弁V5の開制御を行うことにより、コンプレッサ2aに対して燃焼用空気(外気)を供給する。また、制御装置10は、例えば、ラインL51に設けられた弁V1及びラインL43に設けられた弁V2が開いている場合、これらの弁の閉制御を行う。
【0045】
なお、制御装置10は、この場合、例えば、バイパスL52に設けられた弁V3の開度を適宜調整することによって、タービン2bに対する燃焼用空気の供給量を調整するものであってよい。具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL31等に設けられた各種測定器によって測定された各測定値から、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が増加傾向にあると判定した場合、弁V3の開度を大きくすることによってタービン2bに対する燃焼用空気(高温空気)の供給量を減少させるものであってよい。また、制御装置10は、例えば、ラインL31等に設けられた各種測定器によって測定された各測定値から、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が減少傾向にあると判定した場合、弁V3の開度を小さくすることによってタービン2bに対する燃焼用空気(高温空気)の供給量を増加させるものであってよい。
【0046】
これにより、制御装置10は、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量を適切な量に調整することが可能になる。
【0047】
図4に戻り、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が過給機2を運転させるためのエネルギーとして十分でないと判定した場合であっても、ブロワB1を用いてコンプレッサ2aに燃焼用空気を供給することによって、過給機2を運転させるための十分なエネルギーを供給可能であると判定した場合(図4のステップS12における廃熱量中)、制御装置10は、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給を行うことによって過給機2を運転させる制御(以下、アシスト運転制御または第1制御とも呼ぶ)を行う(図4のステップS14)。なお、制御装置10は、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が予め定められた閾値以上である場合に、アシスト運転制御を開始するものであってよい。
【0048】
すなわち、制御装置10は、この場合、例えば、ブロワB1からコンプレッサ2aに対して燃焼用空気の供給を行わなければ、過給機2の運転に必要なエネルギーをタービン2bに供給することができないと判定する。そのため、制御装置10は、この場合、アシスト運転制御の実行を選択する。
【0049】
具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL41に設けられた弁V5が閉じられている場合、弁V5の開制御を行う。そして、制御装置10は、例えば、ブロワB1の起動を行うことにより、ブロワB1からコンプレッサ2aに対して燃焼用空気の供給を行う。また、制御装置10は、例えば、ラインL51に設けられた弁V1及びラインL43に設けられた弁V2が開いている場合、これらの弁の閉制御を行う。
【0050】
なお、制御装置10は、この場合、自立運転制御の場合と同様に、例えば、バイパスL52に設けられた弁V3の開度を適宜調整することによって、タービン2bに対する燃焼用空気の供給量を調整するものであってよい。
【0051】
図4に戻り、例えば、ブロワB1を用いてタービン2bに供給される燃焼用空気のエネルギーを増加させる場合であっても、過給機2を運転させるための十分なエネルギーを供給できないと判定した場合(図4のステップS12における廃熱量小)、制御装置10は、過給機2の運転を停止するとともに、ブロワB1から予熱器3に対して燃焼用空気を直接供給する制御(以下、オフライン運転制御または第2制御とも呼ぶ)を行う(図4のステップS15)。なお、制御装置10は、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギー量が予め定められた閾値未満である場合に、オフライン運転制御を行うものであってよい。
【0052】
すなわち、制御装置10は、この場合、例えば、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する空気の供給を行う場合であっても、過給機2の運転に必要なエネルギーをタービン2bに供給することができないと判定する。そのため、制御装置10は、この場合、オフライン運転制御の実行を選択する。
【0053】
具体的に、制御装置10は、例えば、ラインL51に設けられた弁V1及びラインL43に設けられた弁V2の開制御を行うことにより、ブロワB1から予熱器3に対して燃焼用空気を直接供給する。また、制御装置10は、例えば、ラインL42に設けられた弁V4及びラインL41に設けられた弁V5が開いている場合、これらの弁の閉制御を行う。
【0054】
このように、制御装置10は、自立運転制御、アシスト運転制御及びオフライン運転制御のそれぞれを随時切り替えることによって、例えば、焼却炉1から排出される排ガスの廃熱量が変化する場合であっても、焼却炉1に対する燃焼用空気の供給を安定的に行うことが可能になる。
【0055】
ここで、制御装置10は、オフライン運転制御の実行中において、例えば、焼却炉1から排出される排ガスの廃熱量が増加し、ラインL32を介して予熱器3から供給される熱エネルギーの量が予め定められた閾値よりも大きくなった場合、タービン2bに対して供給される熱エネルギーの量を徐々に増加させる制御を行う。
【0056】
すなわち、制御装置10は、例えば、焼却炉1から排出される排ガスの廃熱量の増加に伴って、オフライン運転制御からアシスト運転制御への移行を徐々に進める。具体的に、制御装置10は、この場合、例えば、ラインL51に設けられた弁V1の開度を徐々に小さくすることにより、タービン2bを迂回して焼却炉1に供給される燃焼用空気の量を徐々に減少させるとともに、タービン2bを経由して焼却炉1に供給される燃焼用空気の量を徐々に増加させる。そして、制御装置10は、例えば、タービン2bに対して供給される熱エネルギーの量を徐々に増加させることにより、過給機2(回転軸2c)の回転速度を徐々に増速させる。
【0057】
しかしながら、焼却システム100では、例えば、タービン2bに供給される燃焼用空気の量が徐々に増加するように制御を行う場合であっても、タービン2bに供給される熱エネルギーの量の変動により、過給機2の回転速度の増速ペースが変動し、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量が変動する場合がある。そのため、焼却システム100では、例えば、焼却炉1に供給される燃焼用空気の量が変動する場合がある。
【0058】
具体的に、焼却システム100では、例えば、タービン2bに供給される熱エネルギーの量が一時的に増加することにより、過給機2の回転速度の増速ペースが一時的に上昇し、コンプレッサ2aが吸引する燃焼用空気の量が一時的に増加する場合がある。また、焼却システム100では、例えば、タービン2bに供給される熱エネルギーの量が一時的に減少することにより、過給機2の回転速度の増速ペースが一時的に低下し、コンプレッサ2aが吸引する燃焼用空気の量が一時的に減少する場合がある。
【0059】
この点、制御装置10は、例えば、バイパスL52に設けられた弁V3の開度を調整することによって、タービン2bに供給される熱エネルギーの量を調整し、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能である。
【0060】
しかしながら、弁V3の開度調整による燃焼用空気の供給制御では、例えば、焼却炉1から排出される排ガスの廃熱量が大きくなるほど、タービン2bに供給される熱エネルギーの量の調整が困難になる。そのため、弁V3の開度調整による燃焼用空気の供給制御では、例えば、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することができない場合がある。
【0061】
そこで、本実施の形態における制御装置10は、例えば、焼却炉1から排出される排ガスの廃熱量に応じて、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量制御を行う。
【0062】
具体的に、本実施の形態における制御装置10は、例えば、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量(コンプレッサ3aの出口側における燃焼用空気の流量)についての測定値(PV値:Process Variable)を取得する。そして、制御装置10は、例えば、取得した測定値と、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての設定値(SV値:Set point Variable)との関係が予め定められた条件(以下、所定の条件とも呼ぶ)を満たすか否かに応じて、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を制御する。以下、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての測定値を単に測定値または第1測定値とも呼ぶ。また、以下、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての設定値を単に設定値または第1設定値とも呼ぶ。
【0063】
さらに具体的に、本実施の形態における制御装置10は、例えば、測定値が設定値よりも閾値(以下、第1閾値とも呼ぶ)以上大きい場合、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を減少させる。一方、制御装置10は、例えば、測定値が設定値よりも他の閾値(以下、第2閾値とも呼ぶ)以上小さい場合、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を増加させる。なお、第2閾値は、例えば、第1閾値と異なる値であってもよいし、第1閾値と同じ値であってもよい。
【0064】
すなわち、本実施の形態における制御装置10は、例えば、予熱器3に対する燃焼用空気の実際の供給量(測定値)が予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての目標値(設定値)から乖離していると判定した場合、ブロワB1からコンプレッサ2aに供給する燃焼用空気の量を調整し、焼却炉1に対する燃焼用空気の供給量の変動を抑制する。
【0065】
具体的に、制御装置10は、例えば、測定値が設定値よりも第1閾値以上大きいと判定した場合、ブロワB1の周波数を一度に数Hz程度下げることにより、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を減少させる。また、制御装置10は、例えば、測定値が設定値よりも第2閾値以上小さいと判定した場合、ブロワB1の周波数を一度に数Hz程度上げることにより、ブロワB1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を増加させる。
【0066】
これにより、本実施の形態における制御装置10は、例えば、オフライン運転制御からアシスト運転制御に移行する場合において、過給機2の回転速度の変動を抑制することが可能になり、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。そのため、制御装置10は、例えば、焼却炉1に供給される燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。
【0067】
なお、制御装置10は、例えば、オフライン運転制御からアシスト運転制御に移行する場合において、ラインL41に設けられた弁V5が閉じられている場合、この弁の開制御を行ってから送風量制御を行う。すなわち、制御装置10は、例えば、ラインL43に設けられた弁V2とラインL41に設けられた弁V5とが開かれている状態において送風量制御を行う。
【0068】
[送風量制御の具体例]
次に、供給制御のうちの送風量制御の具体例について説明を行う。図5は、送風量制御について説明するフローチャート図である。また、図6は、送風量制御について説明する図である。
【0069】
制御装置10は、図5に示すように、例えば、送風量制御を実行する時間(以下、単に制御実行時間とも呼ぶ)になるまで待機する(図5のステップS20のNO)。ここでの制御実行時間は、例えば、数秒から数十秒ごと等の定期的な時間であってよい。
【0070】
そして、制御実行時間になった場合(図5のステップS20のYES)、制御装置10は、例えば、予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての測定値を取得する(図5のステップS21)。具体的に、制御装置10は、図6に示すように、例えば、予熱器3の入口側(ラインL31及びラインL43の合流点の下流側)に設けられた流量計Fによって測定された測定値を取得する。
【0071】
さらに、制御装置10は、この場合、例えば、取得した測定値と、予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての設定値とを比較する(図5のステップS21)。なお、予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての設定値は、例えば、メモリ102や情報格納領域130に予め記憶されている値であってよい。
【0072】
その結果、測定値が設定値以上であると判定した場合(図5のステップS21のYES)、制御装置10は、例えば、測定値と設定値との差が第1閾値以上であるか否かを判定する(図5のステップS22)。
【0073】
そして、測定値と設定値との差が第1閾値以上であると判定した場合(図5のステップS22のYES)、制御装置10は、例えば、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を減少させる制御を行う(図5のステップS23)。
【0074】
具体的に、制御装置10は、この場合、例えば、予め定められた所定時間内における燃焼用空気の供給量の減少量が予め定められた所定量以上になるように制御を行う。さらに具体的に、制御装置10は、この場合、例えば、ブロワB1の周波数を一度に数Hz程度下げる制御を行う。
【0075】
すなわち、制御装置10は、例えば、コンプレッサ2aから予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての測定値が増加しており、かつ、設定値から乖離していると判定した場合、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を減少させる制御を行う。
【0076】
一方、測定値と設定値との差が第1閾値以上でないと判定した場合(図5のステップS22のNO)、制御装置10は、例えば、図5のステップS23を行わない。
【0077】
すなわち、制御装置10は、この場合、例えば、コンプレッサ2aから予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての測定値が設定値から大きく乖離していないと判定し、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を減少させる制御を行わない。
【0078】
また、図5のステップS21において、測定値が設定値以上でないと判定した場合(図5のステップS21のNO)、制御装置10は、例えば、測定値と設定値との差が第2閾値以上であるか否かを判定する(図5のステップS24)。
【0079】
そして、測定値と設定値との差が第2閾値以上であると判定した場合(図5のステップS24のYES)、制御装置10は、例えば、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を増加させる制御を行う(図5のステップS25)。
【0080】
具体的に、制御装置10は、この場合、例えば、予め定められた所定時間内における燃焼用空気の供給量の増加量が予め定められた所定量以上になるように制御を行う。さらに具体的に、制御装置10は、この場合、例えば、ブロワB1の周波数を一度に数Hz程度上げる制御を行う。
【0081】
すなわち、制御装置10は、例えば、コンプレッサ2aから予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての測定値が減少しており、かつ、設定値から大きく乖離していると判定した場合、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を増加させる制御を行う。
【0082】
一方、測定値と設定値との差が第2閾値以上でないと判定した場合(図5のステップS24のNO)、制御装置10は、例えば、図5のステップS25を行わない。
【0083】
すなわち、制御装置10は、この場合、例えば、コンプレッサ2aから予熱器3に対する燃焼用空気の供給量についての測定値が設定値から大きく乖離していないと判定し、ブロワB1からコンプレッサ2aに対する燃焼用空気の供給量を増加させる制御を行わない。
【0084】
これにより、制御装置10は、例えば、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。そのため、制御装置10は、例えば、焼却炉1に供給される燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。
【0085】
なお、制御装置10は、例えば、上記の送風量制御を、バイパスL52に設けられた弁V3の開度調整と併せて行うものであってもよい。
【0086】
このように、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、被処理物を焼却する焼却炉1と、焼却炉1に供給される燃焼用空気の少なくとも一部を圧縮して圧縮空気を生成するコンプレッサ2aとコンプレッサ2aを駆動するタービン2bとを有する過給機2と、圧縮空気を含む燃焼用空気を焼却炉1から排出された排ガスにより昇温する予熱器3と、燃焼用空気を送風する送風機B1と、送風機B1から供給された燃焼用空気をコンプレッサ2aに供給可能であり、送風機B1とコンプレッサ2aとのうちの少なくともいずれかから供給された燃焼用空気を予熱器3に供給可能であり、予熱器3により昇温された燃焼用空気の少なくとも一部をタービン2bに供給可能であり、かつ、タービン2bから排出された燃焼用空気を焼却炉1に供給可能な供給部20と、排ガスの熱エネルギー量に応じて、送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を制御する制御装置10と、を備える。
【0087】
具体的に、制御装置10は、例えば、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての第1測定値を取得し、取得した第1測定値と、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての第1設定値との関係が所定の条件を満たすか否かに応じて、送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を制御する。
【0088】
さらに具体的に、制御装置10は、例えば、第1測定値が第1設定値よりも第1閾値以上大きい場合、送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を減少させる。また、制御装置10は、例えば、第1測定値が第1設定値よりも第2閾値以上小さい場合、送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を増加させる。
【0089】
また、制御装置10は、例えば、供給部20における空気供給を制御することにより、送風機B1から供給された燃焼用空気をコンプレッサ2aに供給し、コンプレッサ2aにより圧縮された圧縮空気を予熱器3に供給し、予熱器3により昇温された圧縮空気を焼却炉1に供給するアシスト運転制御と、送風機B1から供給された燃焼用空気を、コンプレッサ2aを迂回して予熱器3に供給し、予熱器3により昇温された燃焼用空気を、タービン2bを迂回して焼却炉1に供給するオフライン運転制御とを含む複数の制御を行う。そして、制御装置10は、例えば、オフライン運転制御からアシスト運転制御に切り替える際に、送風機B1からコンプレッサ2aを迂回して予熱器3に供給される燃焼用空気と送風機B1からコンプレッサ2aに供給される燃焼用空気とを供給可能にし、排ガスの熱エネルギー量に応じて送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を制御する。
【0090】
これにより、本実施の形態における焼却システム100では、例えば、オフライン運転制御からアシスト運転制御に移行する場合において、過給機2の回転速度の変動を抑制することが可能になり、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。
【0091】
なお、上記の例では、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての測定値に応じて送風量制御を行う場合について説明を行ったが、これに限られない。
【0092】
具体的に、制御装置10は、例えば、回転軸2cの回転数を測定する回転数測定器から、過給機2の回転数についての測定値(以下、第2測定値とも呼ぶ)を取得するものであってもよい。そして、制御装置10は、例えば、取得した第2測定値と、過給機2の回転数についての設定値(以下、第2設定値とも呼ぶ)との関係が所定の条件を満たすか否かに応じて、送風機B1からコンプレッサ2aに送風する燃焼用空気の送風量を制御するものであってもよい。
【0093】
これにより、本実施の形態における焼却システム100は、例えば、予熱器3に供給される燃焼用空気の供給量についての測定値を参照する場合と同様に、過給機2の回転速度の変動を抑制することが可能になり、コンプレッサ2aの出口側における燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。そのため、本実施の形態における制御装置10では、この場合においても、例えば、焼却炉1に供給される燃焼用空気の量の変動を抑制することが可能になる。
【符号の説明】
【0094】
1:焼却炉 1a:流動層
2:過給機 2a:コンプレッサ
2b:タービン 2c:回転軸
3:予熱器 10:制御装置
20:供給部 100:焼却システム
B1:ブロワ F:流量計
L11:ライン L21:ライン
L31:ライン L32:ライン
L33:ライン L41:ライン
L42:ライン L43:ライン
L51:ライン L52:バイパス
V1:弁 V2:弁
V3:弁 V4:弁
V5:弁
図1
図2
図3
図4
図5
図6