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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173352
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シートモールディングコンパウンド
(51)【国際特許分類】
   C08J 5/24 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
C08J5/24 CFD
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091711
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000229656
【氏名又は名称】三菱ガス化学ネクスト株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】福本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 直久
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 崇之
【テーマコード(参考)】
4F072
【Fターム(参考)】
4F072AA02
4F072AA07
4F072AB09
4F072AB27
4F072AB29
4F072AD02
4F072AD05
4F072AD38
4F072AD43
4F072AE02
4F072AE11
4F072AF04
4F072AF19
4F072AF24
4F072AF26
4F072AG03
4F072AH06
4F072AH44
4F072AH49
4F072AJ22
4F072AL01
(57)【要約】
【課題】離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れるシートモールディングコンパウンドを提供する。
【解決手段】不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドであって、前記低収縮剤が重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンであり、前記充填材が炭酸カルシウムである、シートモールディングコンパウンド。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドであって、
前記低収縮剤が重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンであり、
前記充填材が炭酸カルシウムである、シートモールディングコンパウンド。
【請求項2】
前記低収縮剤の含有量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して5~15質量部である、請求項1に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項3】
前記不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位を含有し、該不飽和ジカルボン酸が、無水マレイン酸を含む、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項4】
前記不飽和ポリエステル樹脂が、ジオールを由来とする構成単位を含有し、該ジオールが、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項5】
前記低収縮剤の含有量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して6.5~11質量部である、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項6】
前記硬化剤が、パーオキサイド類である、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項7】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物が、更に重合性単量体を含有する、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項8】
前記増粘剤が、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項9】
前記繊維基材が、ガラス繊維からなる、請求項1又は2に記載のシートモールディングコンパウンド。
【請求項10】
前記重合性単量体が、スチレン系単量体を含有する、請求項7に記載のシートモールディングコンパウンド。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートモールディングコンパウンドに関する。
【背景技術】
【0002】
シートモールディングコンパウンドは、不飽和ポリエステル樹脂と、希釈剤としてビニル系単量体を含むペースト状の組成物にガラス繊維や有機繊維などの繊維基材を含浸させたシート状の成形材料である。シートモールディングコンパウンドを加圧加熱成形することで成形品を得ることができる。シートモールディングコンパウンドは、浴槽、貯水槽、浄化槽等の成形材料として用いられている。
たとえば、特許文献1には、透明感、高級感のある成形品を得ることを目的として、不飽和ポリエステル樹脂、重合性単量体、低収縮材、硬化材、増粘材及び充填材として水酸化アルミニウムを含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドにおいて、水酸化アルミニウムの平均粒径と含有量が特定範囲であるシートモールディングコンパウンドが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-139221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
シートモールディングコンパウンドを用いて成形体を製造する際に、金型からの離型性が悪く、金型への貼りつきが生じ、連続成形時にトラブルが発生する場合があった。また、連続成形した際にシートモールディングコンパウンドから、いわゆる「ヤニ」と呼ばれる白色の綿状物が発生し、成形品に付着するという問題があった。これらのことから、従来のシートモールディングコンパウンドでは良好な成形品が得られにくく、良好な成形品を得るためには、成形のたびに金型清掃が必要となり、連続成形性が悪いという問題を有していた。
そこで、本発明の課題は、離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れるシートモールディングコンパウンドを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、不飽和ポリエステル樹脂等を含有する組成物を用いるシートモールディングコンパウンドに、特定分子量のポリスチレンを低収縮剤として用い、充填材として炭酸カルシウムを用いることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドであって、前記低収縮剤が重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンであり、前記充填材が炭酸カルシウムである、シートモールディングコンパウンド。
[2]前記低収縮剤の含有量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して5~15質量部である、上記[1]に記載のシートモールディングコンパウンド。
[3]前記不飽和ポリエステル樹脂が、不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位を含有し、該不飽和ジカルボン酸が、無水マレイン酸を含む、上記[1]又は[2]に記載のシートモールディングコンパウンド。
[4]前記不飽和ポリエステル樹脂が、ジオールを由来とする構成単位を含有し、該ジオールが、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つを含む、上記[1]~[3]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[5]前記低収縮剤の含有量が、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して6.5~11質量部である、上記[1]~[4]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[6]前記硬化剤が、パーオキサイド類である、上記[1]~[5]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[7]前記不飽和ポリエステル樹脂組成物が、更に重合性単量体を含有する、上記[1]~[6]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[8]前記増粘剤が、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]~[7]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[9]前記繊維基材が、ガラス繊維からなる、上記[1]~[8]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
[10]前記重合性単量体が、スチレン系単量体を含有する、上記[7]~[9]のいずれか1つに記載のシートモールディングコンパウンド。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れるシートモールディングコンパウンドを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[シートモールディングコンパウンド]
本発明のシートモールディングコンパウンドは、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるシートモールディングコンパウンドであって、前記低収縮剤が重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンであり、前記充填材が炭酸カルシウムである、シートモールディングコンパウンドである。
本発明のシートモールディングコンパウンドは、離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れる。
本発明のシートモールディングコンパウンドが、上記のような優れた効果を発揮することができる理由は定かではないが、次のように考えられる。
本発明のシートモールディングコンパウンドに低収縮剤として用いられる重量平均分子量が30万~50万である高分子量のポリスチレンは、より低分子量のポリスチレンに比べて、溶融粘度(高温での粘度)が高いため、成形時の流動が少ないと考えられる。成形時の流動が少ないことで成形品表面に浮き出る量が少なく、得られる成形品の離型性に影響せず、「ヤニ」発生の原因にもなりにくいと考えられる。そのため、本発明のシートモールディングコンパウンドは、離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるものと考えられる。
【0008】
<不飽和ポリエステル樹脂組成物>
本発明のシートモールディングコンパウンドを構成する不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物であり、組成物に含まれる低収縮剤が重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンであり、充填材が炭酸カルシウムである。
【0009】
(不飽和ポリエステル樹脂)
本発明のシートモールディングコンパウンドを構成する不飽和ポリエステル樹脂組成物は、不飽和ポリエステル樹脂を含有する。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和結合を有するポリエステルであれば、特に制限はないが、飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位、不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位及びジオールを由来とする構成単位を含有することが好ましく、実質的に飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位、不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位及びジオールを由来とする構成単位からなることがより好ましい。
【0010】
飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位を与える飽和ジカルボン酸は、芳香族ジカルボン酸、脂環式ジカルボン酸及び脂肪族ジカルボン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、芳香族ジカルボン酸がより好ましい。
芳香族ジカルボン酸としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、4,4’-ビフェニルジカルボン酸等が挙げられ、原料の入手のし易さと得られる不飽和ポリエステルの性能とのバランスという観点から、好ましくはテレフタル酸、イソフタル酸及びフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくはテレフタル酸及びイソフタル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、更に好ましくはイソフタル酸である。前記芳香族ジカルボン酸を用いることにより機械的性能、耐水性、耐薬品性に優れる不飽和ポリエステル樹脂が得られる。
脂環式ジカルボン酸としては、1,3-シクロヘキサンジカルボン酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸、1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。
脂肪族ジカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、炭素数16~18のアルキル基で置換されたコハク酸、ダイマー酸等が挙げられる。
飽和ジカルボン酸は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0011】
不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位を与える不飽和ジカルボン酸としては、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、シトラコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられ、好ましくはマレイン酸、無水マレイン酸、及びフマル酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくはマレイン酸、及び無水マレイン酸からなる群より選ばれる少なくとも1つであり、更に好ましくは無水マレイン酸である。
不飽和ジカルボン酸は、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0012】
ジオールを由来とする構成単位を与えるジオールとしては、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、エーテル化ジフェノール、ポリアルキレングリコール等が挙げられ、好ましくは脂肪族ジオールである。
脂肪族ジオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール(1,2-プロパンジオール)、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,4-ブテンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2-エチル-2-メチルプロパン-1,3-ジオール、2-ブチル-2-エチルプロパン-1,3-ジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジメチル-1,5-ペンタンジオール、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロピル-3-ヒドロキシ-2,2-ジメチルプロパノエート、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等が挙げられ、好ましくは、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール(プロピレングリコール)、ジプロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール及び1,8-オクタンジオールからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、より好ましくは、ネオペンチルグリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも1つであり、更に好ましくはネオペンチルグリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールからなる群より選ばれる少なくとも2つであり、より更に好ましくはネオペンチルグリコール、プロピレングリコール及びジプロピレングリコールである。
脂肪族ジオールは、単独で用いても、二種以上を併用してもよく、二種以上を併用することが好ましい。
【0013】
脂環式ジオールとしては、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF等が挙げられる。
エーテル化ジフェノールとしては、ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物等が挙げられる。
ポリアルキレングリコールとしては、ポリエチレングリコール、ポリアルキレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
ジオールは、単独で用いても、二種以上を併用してもよい。
【0014】
前記不飽和ポリエステル樹脂には、上記に説明した構成単位以外の他の構成単位を含んでもよい。他の構成単位を与える成分としては、モノカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、モノアルコール、3価以上の多価アルコール、及びヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
なお、前記カルボン酸成分(飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、モノカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸)として、その低級アルキルエステル及び無水物を用いてもよい。
【0015】
前記カルボン酸成分(飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、モノカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸)のカルボキシ基の合計と前記アルコール成分(2価アルコール、モノアルコール、3価以上の多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸)の水酸基の合計のモル比[カルボキシ基/水酸基]は、好ましくは0.9/1.1~1.1/0.9であり、より好ましくは0.95/1.05~1.05/0.95である。
前記カルボン酸成分(飽和ジカルボン酸、不飽和ジカルボン酸、モノカルボン酸、3価以上のポリカルボン酸、ヒドロキシカルボン酸)を由来とする構成単位中の飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位の比率(モル)は、カルボキシ基数換算で、好ましくは1~30モル%であり、より好ましくは2~25モル%であり、更に好ましくは3~20モル%であり、より更に好ましくは5~15モル%である。
前記カルボン酸成分を由来とする構成単位中の不飽和ジカルボン酸を由来とする構成単位の比率(モル)は、カルボキシ基数換算で、好ましくは70~99モル%であり、より好ましくは75~98モル%であり、更に好ましくは80~97モル%であり、より更に好ましくは85~95モル%である。
前記アルコール成分(ジオール、モノアルコール、3価以上の多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸)を由来とする構成単位中のジオールを由来とする構成単位の比率(モル)は、水酸基数換算で、好ましくは50~100モル%であり、より好ましくは60~100モル%であり、更に好ましくは80~100モル%であり、より更に好ましくは90~100モル%であり、前記アルコール成分を由来とする構成単位は、ジオールを由来とする構成単位のみからなっていてもよい。
【0016】
前記不飽和ポリエステル樹脂の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは8~40質量%であり、より好ましくは10~35質量%であり、更に好ましくは10~30質量%であり、より更に好ましくは15~25質量%である。
【0017】
(低収縮剤)
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、低収縮剤を含有し、前記低収縮剤は重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンである。
前記ポリスチレンは、スチレンの重合体であるが、本発明の効果を損なわない範囲で、スチレン以外のモノマーを共重合していてもよい。
前記ポリスチレンを構成するモノマー中のスチレンの含有量は、好ましくは90~100質量%であり、より好ましくは95~100質量%であり、更に好ましくは99~100質量%であり、より更に好ましくは100質量%であり、前記ポリスチレンを構成するモノマーはスチレンのみからなっていてもよい。
【0018】
前記ポリスチレンの重量平均分子量は、好ましくは35万~50万であり、より好ましくは35万~47万であり、更に好ましくは37万~45万である。前記重量平均分子量は、GPC法によって、測定されたポリスチレン換算分子量である。前記ポリスチレンの重量平均分子量が前記範囲であることによって、シートモールディングコンパウンドの硬化時の収縮を効果的に抑制でき、更には離型性も向上させ、「ヤニ」の発生も抑制することができる。なお、2種以上のポリスチレンを低収縮剤として用いる場合、その重量平均分子量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中に含有される割合で溶融混合したポリスチレンの重量平均分子量である。
【0019】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される低収縮剤は、前記ポリスチレンであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、ポリスチレン以外の低収縮剤を含有していてもよい。
低収縮剤中の重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンの含有量は、好ましくは90~100質量%であり、より好ましくは95~100質量%であり、更に好ましくは99~100質量%であり、より更に好ましくは100質量%であり、低収縮剤は重量平均分子量30万~50万であるポリスチレンのみからなることがより更に好ましい。
【0020】
前記低収縮剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂100質量部に対して、好ましくは5~15質量部であり、より好ましくは6~13質量部であり、更に好ましくは6.5~11質量部であり、より更に好ましくは6.5~9質量部である。前記低収縮剤の含有量が前記範囲であることによって、シートモールディングコンパウンドの硬化時の収縮を効果的に抑制でき、更には離型性も向上させ、「ヤニ」の発生も抑制することができる。
【0021】
(硬化剤)
硬化剤は、成形時に、均質な硬化物を速やかに得るために用いられる。これらの種類及び量は用途によって使い分ければよい。
硬化剤は、パーオキサイド類であることが好ましい。
パーオキサイド類は、ケトンパーオキサイド系、ジアシルパーオキサイド系、パーオキシエステル系、ハイドロパーオキサイド系及びジアルキルパーオキサイド系からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、パーオキシエステル系がより好ましい。
硬化剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.05~5質量%であり、より好ましくは0.1~4質量%であり、更に好ましくは0.2~2質量%であり、より更に好ましくは0.3~1質量%である。
【0022】
(増粘剤)
増粘剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物を高粘度にし、ゲル状にするために用いられる。これらの種類及び量は用途によって使い分ければよい。
増粘剤は、アルカリ土類金属の酸化物及びアルカリ土類金属の水酸化物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、アルカリ土類金属の酸化物がより好ましい。
アルカリ土類金属の酸化物としては、酸化マグネシウムが好ましい。
アルカリ土類金属の水酸化物としては、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムが好ましい。
増粘剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.2~5質量%であり、より好ましくは0.5~4質量%であり、更に好ましくは0.6~2質量%であり、より更に好ましくは1.0~1.5質量%である。
【0023】
(充填材)
本発明のシートモールディングコンパウンドにおいて、不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される充填材は、炭酸カルシウムである。
充填材として炭酸カルシウムを用いることで、成形性に優れるシートモールディングコンパウンドを得ることができる。
【0024】
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される充填材は、炭酸カルシウムであるが、本発明の効果を損なわない範囲で、炭酸カルシウム以外の充填材を含有していてもよい。
充填材中の炭酸カルシウムの含有量は、好ましくは90~100質量%であり、より好ましくは95~100質量%であり、更に好ましくは99~100質量%であり、より更に好ましくは100質量%であり、充填材は炭酸カルシウムのみからなることがより更に好ましい。
充填材の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは30~70質量%であり、より好ましくは40~70質量%であり、更に好ましくは45~65質量%であり、より更に好ましくは50~60質量%である。
【0025】
(重合性単量体)
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、好ましくは更に重合性単量体を含有する。
重合性単量体は、硬化前は希釈剤として不飽和ポリエステル樹脂組成物に流動性を持たせ、硬化後は架橋部分として、得られる成形品の強度や硬度を改善することができる。
重合性単量体は、スチレン系単量体、(メタ)アクリル酸系単量体及び酢酸ビニル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、スチレン系単量体及び(メタ)アクリル酸系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種がより好ましく、スチレン系単量体が更に好ましい。
スチレン系単量体としては、スチレン、ビニルトルエン及びα-メチルスチレンからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、スチレンがより好ましい。
(メタ)アクリル酸系単量体としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸、アクリル酸、ベンジル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アクリル(メタ)アクリレート、コハク酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、マレイン酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、フタル酸2-(メタ)アクロイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2-(メタ)アクリオイルオキシエチル、ペンタメチルピペリジル(メタ)アクリレート、テトラメチルピペリジル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
不飽和ポリエステル樹脂組成物が重合性単量体を含有する場合、重合性単量体の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは10~50質量%であり、より好ましくは12~40質量%であり、更に好ましくは14~35質量%であり、より更に好ましくは15~30質量%である。
【0026】
(その他の成分)
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物は、その他の成分として、重合禁止剤、離型剤、湿潤分散剤等を含有していてもよい。これらは、用途に応じて、不飽和ポリエステル樹脂の合成中に添加してもよいし、不飽和ポリエステル樹脂組成物の各成分を配合する際に混合してもよいし、使用直前に混合してもよい。
【0027】
重合禁止剤は、製造時のゲル化防止、成形時の可使時間確保、貯蔵安定性の向上のために配合される。好適に使用できる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール等の多価フェノール系重合禁止剤、パラベンゾキノン、トルキノン等のキノン系重合禁止剤が挙げられ、多価フェノール系重合禁止剤が好ましい。
重合禁止剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.0001~0.01質量%であり、より好ましくは0.0005~0.005質量%である。
【0028】
離型剤は、成形品の離型性を向上させ、成形性をより高めるために配合される。離型剤としては、脂肪酸、脂肪酸金属塩、ポリオレフィンワックス、石油系ワックス及び動物・植物系ワックスからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、脂肪酸金属塩がより好ましい。
脂肪酸としては、ステアリン酸、パルチミン酸などが挙げられ、脂肪酸金属塩としてはステアリン酸の金属塩、パルチミン酸の金属塩が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックスが挙げられる。
石油系ワックスとしては、パラフィンワックス等が挙げられる。
動物・植物系ワックスとしてはカルナバワックス、モンタンワックス等が挙げられる。離型剤は、単独で使用しても2種以上併用してもよい。離型剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.5~5質量%であり、より好ましくは1~3質量%である。
【0029】
湿潤分散剤は、不飽和ポリエステル樹脂組成物の粘度を調整するために配合される。
湿潤分散剤としては、変性ポリウレタン、リン酸エステル、リン酸ポリエステルなどが挙げられる。湿潤分散剤は、単独で使用しても2種以上併用してもよい。湿潤分散剤の含有量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物中、好ましくは0.1~1質量%であり、より好ましくは0.2~0.6質量%である。
【0030】
(不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法)
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物の製造方法は特に制限はないが、以下に示す方法によって製造することが好ましい。
不飽和ポリエステル樹脂組成物に含有される不飽和ポリエステル樹脂は、前記で説明したカルボン酸成分とアルコール成分を反応させることによって得ることができる。次に示すように2段階のエステル化反応を行うことが好ましい。
最初に不飽和結合を有さない飽和カルボン酸と、アルコール成分を反応させる(第一段階目のエステル化反応)。
その際にはエステル化触媒を用いてもよい。エステル化触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、チタン、スズ、亜鉛、アルミニウムおよびマンガンより選ばれる少なくとも一種の金属化合物が挙げられる。エステル化触媒の添加量は、飽和カルボン酸成分に対して、好ましくは0.01~1.5モル%である。
反応温度は、好ましくは150~280℃であり、より好ましくは160~250℃である。
十分にエステル化反応が進行したことは、反応混合物の酸価や縮合水(低級アルキルエステルを原料とする場合にはアルコール)の発生量で判断することができる。
【0031】
次に、不飽和ジカルボン酸を添加し、反応させる(第二段階目のエステル化反応)。
この反応によって、ポリエステルに不飽和結合が導入される。
なお、不飽和結合の反応を抑制するために、必要に応じて、重合禁止剤を添加してもよい。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、トルハイドロキノン、トリメチルハイドロキノン、ターシャリブチルカテコール等の多価フェノール系重合禁止剤、パラベンゾキノン、トルキノン等のキノン系重合禁止剤が挙げられる。重合禁止剤の添加量は、カルボン酸成分とアルコール成分の総量100質量部に対して、好ましくは0.002~1.0質量部であり、より好ましくは0.005~0.3質量部である。
反応温度は、好ましくは150~280℃であり、より好ましくは160~250℃である。
反応の終点は、反応混合物の酸価や縮合水(低級アルキルエステルを原料とする場合にはアルコール)の発生量、得られるポリエステルの粘度等で判断することができる。
【0032】
前記の方法で得られた不飽和ポリエステル樹脂に、低収縮剤、硬化剤、増粘剤、充填材、重合性単量体及びその他の成分を混合する。
前記不飽和ポリエステル樹脂は、室温においては固形であるため、最初に希釈剤である重合性単量体と混合し、均一な液体とすることが好ましい。
以上のようにして不飽和ポリエステル樹脂組成物を得ることができる。
【0033】
<繊維基材>
本発明のシートモールディングコンパウンドに含まれる繊維基材は、ガラス繊維からなる基材が好ましい。
繊維基材の形態は、ロービング、クロス、マット、織物、チョップドロービング、チョップドストランド等が挙げられ、チョップドロービング及びチョップドストランドからなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。繊維基材は、単独で用いてもよく、二種類以上を適宜混合して用いてもよい。
繊維基材の含有量は、シートモールディングコンパウンド中、好ましくは20~50質量%であり、より好ましくは25~50質量%であり、更に好ましくは25~45質量%であり、より更に好ましくは30~40質量%である。
【0034】
<シートモールディングコンパウンドの製造方法>
本発明のシートモールディングコンパウンドは、前記のとおり、不飽和ポリエステル樹脂、低収縮剤、硬化剤、増粘剤及び充填材を含有する不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させてなるものであれば、その製造方法は特に制限はないが、以下に示す方法によって製造することが好ましい。
前記不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させて、シート状のコンパウンドを得て、両面をフィルムで覆うことで取り扱い性を良好にする。
具体的には、2枚のフィルムに不飽和ポリエステル樹脂組成物を塗布し、不飽和ポリエステル樹脂組成物上に繊維基材を散布し、2枚のフィルムの不飽和ポリエステル樹脂組成物側を貼り合わせ、積層したフィルムを両側から加圧することで不飽和ポリエステル樹脂組成物を繊維基材に含浸させる。その後、熟成させ、半固形状のコンパウンドを中間層とする積層したシート状物が得られる。
成形時には、上記シート状物を裁断して、金型にチャージして、加圧加熱し、硬化させて成形品を得る。
本発明のシートモールディングコンパウンドは、上記の構成を有することから、成形品を得る際にも離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができる。そのため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れる。
【実施例0035】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における測定及び評価は以下の方法で行った。
【0036】
<ヤニ発生量の評価(成形性評価)>
実施例及び比較例で得られたシートモールディングコンパウンドを加熱温度145℃、保圧時間10分の成形条件にて、連続で高さ約1cmの凹凸と直径約3cmの貫通孔を複数個有する成形品(縦約30cm×横約10cm×厚さ約5cm)を製造した。連続で成形を行った際にシートモールディングコンパウンドから発生した白色の綿状物(ヤニ)の有無を目視で観察して、次の基準で評価した。ヤニが発生した後、引き続き成形を行うためには金型の清掃が必要となり、ヤニの発生が少ないほど、成形性に優れる。
(評価基準)
〇:連続で10回成形を行ってもヤニが発生しない。
△:連続で2~9回成形を行うとヤニが発生し、成形品の外観が不良となる。
×:1回目の成形から多量のヤニが発生し、成形性が不良である。
【0037】
<脱型性の評価(成形性評価、離型性評価)>
実施例及び比較例で得られたシートモールディングコンパウンドを加熱温度145℃、保圧時間10分の成形条件にて、成形品を製造した。成形品を金型から脱型する際の脱型のしやすさを次の基準で評価した。脱型する際に、道具(ヘラ)を必要とせず、脱型できるものは離型性に優れ、成形性に優れる。
(評価基準)
〇:脱型する際に、道具(ヘラ)を必要とせず脱型できる。
△:脱型する際に、道具(ヘラ)を使用すれば脱型できる。
×:脱型する際に、道具(ヘラ)を使用しても脱型できない。
【0038】
製造例1(不飽和ポリエステル樹脂の製造)
実施例及び比較例で用いる不飽和ポリエステル樹脂は次のように製造した。
撹拌機、還流冷却器、窒素導入管、温度計を備えた反応容器に、ジプロピレングリコール150質量部、ネオペンチルグリコール280質量部、イソフタル酸90質量部を仕込んだ。次に窒素雰囲気下で撹拌しながら、170℃~215℃で内容物の酸価が9mgKOH/g(測定方法:JIS K 6901:2021)以下になるまで反応を行った。その後、120℃まで冷却し、プロピレングリコール135質量部、無水マレイン酸465質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.05質量部を添加した。その後昇温し、窒素雰囲気下170~210℃で反応させた。内容物の酸価が30mgKOH/g以下になるまで反応を行い、不飽和ポリエステル樹脂を得た。
【0039】
実施例1(シートモールディングコンパウンドの製造)
不飽和ポリエステル樹脂組成物を次のように製造した。
製造例1で得られた不飽和ポリエステル樹脂60.0質量部、反応性希釈剤としてスチレン60.0質量部、低収縮剤として重量平均分子量40万のポリスチレン5.3質量部、硬化剤としてt-ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート(製品名:パーブチルI、日油株式会社製)1.5質量部、増粘剤として酸化マグネシウム含有ペースト(製品名:マグミクロンMD-4AM-2、御国色素株式会社製)3.5質量部、無機充填材として炭酸カルシウム(製品名:NS#200、日東粉化工業株式会社製)165.0質量部、重合禁止剤としてハイドロキノン0.004質量部、内部離型剤としてステアリン酸亜鉛6.0質量部、湿潤分散剤として変性ポリウレタン溶液0.60質量部とリン酸エステル0.60質量部を撹拌して混合し、更にスタティックミキサーにて混合して、不飽和ポリエステル樹脂組成物を得た。
【0040】
次に、シートモールディングコンパウンドを製造した。
上記のようにして得られた不飽和ポリエステル樹脂組成物を、上下に配置されたポリプロピレン製延伸キャリアフィルムにドクターブレードを用いて均一な厚さ(約1mm)となるように塗布した。下に配置されたフィルムに塗布された不飽和ポリエステル樹脂組成物の上に、ガラス繊維チョップ(TEX4800番相当のガラスロービングを約2.5cmの長さにカットしたもの)を均一に散布した。ガラス繊維チョップの量は、不飽和ポリエステル樹脂組成物303質量部に対して165質量部とした。上下の不飽和ポリエステル樹脂組成物でガラス繊維チョップを挟むように貼り合わせ、次いで全体に圧力を加えガラス繊維チョップに不飽和ポリエステル樹脂組成物を含浸させた後、35~45℃で24時間保管して、シートモールディングコンパウンドを得た。
【0041】
実施例2及び比較例1~3(シートモールディングコンパウンドの製造)
実施例1において、不飽和ポリエステル樹脂組成物の原料を表1に示す種類と量に変更した以外は、実施例1と同様にして、シートモールディングコンパウンドを得た。
なお、表1中、低収縮剤である「スチレンブタジエン共重合物」は、製品名:タフプレンA、旭化成株式会社製であり、硬化剤である「パーブチルZ」は、t-ブチルパーオキシベンゾエート(製品名:パーブチルZ、日油株式会社製)である。
【0042】
【表1】
【0043】
表1より、実施例のシートモールディングコンパウンドは、連続して成形した際にも、いわゆる「ヤニ」の発生が少なく、脱型性にも優れるため、成形性に優れることがわかる。これらのことから、本発明のシートモールディングコンパウンドは、離型性に優れ、「ヤニ」の発生を抑制することができるため、作業性に優れ、良好な成形品が得られ、連続成形性にも優れる。