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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173355
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】作業車両
(51)【国際特許分類】
   A01D 31/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A01D31/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091718
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003834
【氏名又は名称】弁理士法人新大阪国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 真吾
(72)【発明者】
【氏名】黒瀬 英明
(72)【発明者】
【氏名】二宮 浩二
(72)【発明者】
【氏名】後田 達哉
(72)【発明者】
【氏名】川崎 優太
(72)【発明者】
【氏名】北川 智志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 大翔
【テーマコード(参考)】
2B072
【Fターム(参考)】
2B072AA10
2B072BA27
2B072BA30
2B072CA12
2B072DA02
(57)【要約】
【課題】 本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が二条式の人参収穫車両のような作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。しかしながら、従来の作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【解決手段】 二条式の人参収穫車両であって、内側掘取り搬送機構210の前端部は、外側掘取り搬送機構220の前端部と比べて後方へ位置し、横起こし装置310は、内側掘取り搬送機構210を基準として運転者用座席110と同じ側へ位置し、外側縦起こし装置322は、外側掘取り搬送機構220の外側へ位置し、内側縦起こし装置321の前端部は、内側掘取り搬送機構210と外側掘取り搬送機構220との間において、外側縦起こし装置322の前端部と比べて後方へ位置する人参収穫車両である。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右方向において並んだ内側植付け条(510)および外側植付け条(520)の作物を掘取って収穫する、二条式の作業車両であって、
内側植付け条(510)の作物を掘取って後ろ上方へ搬送する内側掘取り搬送機構(210)と、
外側植付け条(520)の作物を掘取って後ろ上方へ搬送する外側掘取り搬送機構(220)と、
掘取られる作物の横起こしを行う横起こし装置(310)と、
掘取られる作物の縦起こしを行う内側縦起こし装置(321)と、
掘取られる作物の縦起こしを行う外側縦起こし装置(322)と、
を備えており、
運転者用座席(110)は、内側掘取り搬送機構(210)を基準として外側掘取り搬送機構(220)の反対側へ位置し、
内側掘取り搬送機構(210)の前端部は、外側掘取り搬送機構(220)の前端部と比べて後方へ位置し、
横起こし装置(310)は、内側掘取り搬送機構(210)を基準として運転者用座席(110)と同じ側へ位置し、
外側縦起こし装置(322)は、外側掘取り搬送機構(220)の外側へ位置し、
内側縦起こし装置(321)の前端部は、内側掘取り搬送機構(210)と外側掘取り搬送機構(220)との間において、外側縦起こし装置(322)の前端部と比べて後方へ位置することを特徴とする作業車両。
【請求項2】
横起こし装置(310)は、内側掘取り搬送機構(210)へ取付けられており、
外側縦起こし装置(322)は、外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられており、
内側縦起こし装置(321)は、内側掘取り搬送機構(210)へ、または外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられていることを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
【請求項3】
運転者用座席(110)は、内側縦起こし装置(321)の前端部と比べて後方へ位置し、
内側植付け条(510)の作物の掘取り高さ、および外側植付け条(520)の作物の掘取り高さは、運転者用座席(110)における操作で個別的に調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の作業車両。
【請求項4】
内側掘取り搬送機構(210)および外側掘取り搬送機構(220)は、昇降可能であり、
内側植付け条(510)および外側植付け条(520)の作物の収穫の終了にともなって、車体旋回が行われるとき、外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後、内側掘取り搬送機構(210)の上昇は開始され、
横起こし装置(310)および内側縦起こし装置(321)の駆動は、外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後の所定の期間において継続されることを特徴とする請求項3に記載の作業車両。
【請求項5】
内側縦起こし装置(321)は、外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられていることを特徴とする請求項4に記載の作業車両。
【請求項6】
外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後の所定の期間において、外側縦起こし装置(322)の駆動が停止されても、内側縦起こし装置(321)の駆動は継続されることを特徴とする請求項5に記載の作業車両。
【請求項7】
内側縦起こし装置(321)は、掘取られる作物の縦起こしを行うための棒部材であることを特徴とする請求項6に記載の作業車両。
【請求項8】
内側掘取り搬送機構(210)および外側掘取り搬送機構(220)は、平面視において部分的に重なり、側面視において上下の二段に分かれるように配置されていることを特徴とする請求項1から7のいずれかに記載の作業車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二条式の人参収穫車両のような作業車両に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジン、および、エンジンの出力回転によって駆動される左側走行体および右側走行体を備えた自走式の走行台車と、走行台車に搭載された左側収穫ユニットおよび右側収穫ユニットとを有しており、左側収穫ユニットは、走行台車の前方左側に配置された左側切断刃、および、左側切断刃によって切断された結球野菜を走行台車の後方に向けて搬送する左側コンベアを備えており、右側収穫ユニットは、走行台車の前方右側に配置された右側切断刃、および、右側切断刃によって切断された結球野菜を走行台車の後方に向けて搬送する右側コンベアを備えており、更に、左側走行体に伝達される回転を、左側コンベアに、所定の速比で伝達する左側回転伝達路と、右側走行体に伝達される回転を、右側コンベアに、所定の速比で伝達する右側回転伝達路とを有している結球野菜収穫機のような作業車両が、知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-148819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、本発明者は、作業車両ユーザーのさまざまなニーズを考慮し、便利な機能が二条式の人参収穫車両のような作業車両へつぎつぎと実装される趨勢はますます加速すると考えている。
【0005】
しかしながら、従来の作業車両については、便利な機能を利用するときの使い勝手が必ずしもよくないことに本発明者は気付いた。
【0006】
より具体的には、たとえば、作物植付け位置ずれおよび作物個体サイズの差異に応じた掘取り高さ調節などを容易に行うことができる、きめ細かい多条掘取り収穫作業の実現が要望されていることに本発明者は気付いた。
【0007】
本発明は、上述された従来の課題を考慮し、使い勝手を向上することができる作業車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、左右方向において並んだ内側植付け条(510)および外側植付け条(520)の作物を掘取って収穫する、二条式の作業車両であって、
内側植付け条(510)の作物を掘取って後ろ上方へ搬送する内側掘取り搬送機構(210)と、
外側植付け条(520)の作物を掘取って後ろ上方へ搬送する外側掘取り搬送機構(220)と、
掘取られる作物の横起こしを行う横起こし装置(310)と、
掘取られる作物の縦起こしを行う内側縦起こし装置(321)と、
掘取られる作物の縦起こしを行う外側縦起こし装置(322)と、
を備えており、
運転者用座席(110)は、内側掘取り搬送機構(210)を基準として外側掘取り搬送機構(220)の反対側へ位置し、
内側掘取り搬送機構(210)の前端部は、外側掘取り搬送機構(220)の前端部と比べて後方へ位置し、
横起こし装置(310)は、内側掘取り搬送機構(210)を基準として運転者用座席(110)と同じ側へ位置し、
外側縦起こし装置(322)は、外側掘取り搬送機構(220)の外側へ位置し、
内側縦起こし装置(321)の前端部は、内側掘取り搬送機構(210)と外側掘取り搬送機構(220)との間において、外側縦起こし装置(322)の前端部と比べて後方へ位置することを特徴とする作業車両である。
【0009】
第2の本発明は、横起こし装置(310)は、内側掘取り搬送機構(210)へ取付けられており、
外側縦起こし装置(322)は、外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられており、
内側縦起こし装置(321)は、内側掘取り搬送機構(210)へ、または外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられていることを特徴とする第1の本発明の作業車両である。
【0010】
第3の本発明は、運転者用座席(110)は、内側縦起こし装置(321)の前端部と比べて後方へ位置し、
内側植付け条(510)の作物の掘取り高さ、および外側植付け条(520)の作物の掘取り高さは、運転者用座席(110)における操作で個別的に調節可能であることを特徴とする第2の本発明の作業車両である。
【0011】
第4の本発明は、内側掘取り搬送機構(210)および外側掘取り搬送機構(220)は、昇降可能であり、
内側植付け条(510)および外側植付け条(520)の作物の収穫の終了にともなって、車体旋回が行われるとき、外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後、内側掘取り搬送機構(210)の上昇は開始され、
横起こし装置(310)および内側縦起こし装置(321)の駆動は、外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後の所定の期間において継続されることを特徴とする第3の本発明の作業車両である。
【0012】
第5の本発明は、内側縦起こし装置(321)は、外側掘取り搬送機構(220)へ取付けられていることを特徴とする第4の本発明の作業車両である。
【0013】
第6の本発明は、外側掘取り搬送機構(220)の上昇が開始された後の所定の期間において、外側縦起こし装置(322)の駆動が停止されても、内側縦起こし装置(321)の駆動は継続されることを特徴とする第5の本発明の作業車両である。
【0014】
第7の本発明は、内側縦起こし装置(321)は、掘取られる作物の縦起こしを行うための棒部材であることを特徴とする第6の本発明の作業車両である。
【0015】
第8の本発明は、内側掘取り搬送機構(210)および外側掘取り搬送機構(220)は、平面視において部分的に重なり、側面視において上下の二段に分かれるように配置されていることを特徴とする第1から第7のいずれかの本発明の作業車両である。
【発明の効果】
【0016】
第1の本発明により、使い勝手を向上することが可能である。
【0017】
第2の本発明により、第1の本発明の効果に加えて、構成を簡素化することが可能である。
【0018】
第3の本発明により、第2の本発明の効果に加えて、利便性を向上することが可能である。
【0019】
第4の本発明により、第3の本発明の効果に加えて、作業者の負担を軽減することが可能である。
【0020】
第5の本発明により、第4の本発明の効果に加えて、構成をさらに簡素化することが可能である。
【0021】
第6の本発明により、第5の本発明の効果に加えて、作業者の負担をさらに軽減することが可能である。
【0022】
第7の本発明により、第6の本発明の効果に加えて、利便性をさらに向上することが可能である。
【0023】
第8の本発明により、第1から第7のいずれかの本発明の効果に加えて、使い勝手をさらに向上することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明における実施の形態の人参収穫車両の左側面図
図2】本発明における実施の形態の人参収穫車両の平面図
図3】本発明における実施の形態の人参収穫車両の右側面図
図4】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の左側面図(その一)
図5】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の平面図(その一)
図6】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の右側面図(その一)
図7】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の左側面図(その二)
図8】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の平面図(その二)
図9】本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の右側面図(その二)
図10】本発明における実施の形態の第二変形例の人参収穫車両の説明図(その一)
図11】本発明における実施の形態の第二変形例の人参収穫車両の説明図(その二)
図12】本発明における実施の形態の第二変形例の人参収穫車両の説明図(その三)
図13】本発明における実施の形態の第二変形例の人参収穫車両の説明図(その四)
図14】本発明における実施の形態の第三変形例の人参収穫車両の説明図(その一)
図15】本発明における実施の形態の第三変形例の人参収穫車両の説明図(その二)
図16】本発明における実施の形態の第三変形例の人参収穫車両の説明図(その三)
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面を参照しながら、本発明における実施の形態について詳細に説明する。
【0026】
以下同様であるが、いくつかの構成要素は図面において示されていないこともあり、透視的にまたは省略的に示されていることもある。
【0027】
本発明における実施の形態の人参収穫車両の動作などについて説明しながら、本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法についても説明する。
【0028】
本発明における実施の形態の人参収穫車両および本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両は本発明における二条式の作業車両の具体的な例であり、本発明における実施の形態の人参および本発明における実施の形態の第一変形例の人参は本発明における作物の具体的な例である。
【0029】
(1)はじめに、図1から3を主として参照しながら、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作について具体的に説明する。
【0030】
ここに、図1は本発明における実施の形態の人参収穫車両の左側面図であり、図2は本発明における実施の形態の人参収穫車両の平面図であり、図3は本発明における実施の形態の人参収穫車両の右側面図である。
【0031】
本発明における実施の形態の人参収穫車両は、左右方向において並んだ内側植付け条510および外側植付け条520の人参を掘取って収穫する、二条式の人参収穫車両である。
【0032】
挟持掘取り搬送装置1000においては、それぞれ、掘取りベルト装置、タッピングベルト装置および排葉ベルト装置とも呼ばれることがある、掘取り部1100、タッピング部1200および排葉部1300が植付け条本数に応じて並列的に配置されている。
【0033】
内側掘取り搬送機構210は内側植付け条510の人参を掘取って後ろ上方へ搬送する機構であり、外側掘取り搬送機構220は外側植付け条520の人参を掘取って後ろ上方へ搬送する機構である。横起こし装置310は掘取られる人参の横起こしを行う装置であり、内側縦起こし装置321は掘取られる人参の縦起こしを行う装置であり、外側縦起こし装置322も掘取られる人参の縦起こしを行う装置である。
【0034】
内側縦起こし装置321は掘取りが行われている二本の植付け条である、内側植付け条510と外側植付け条520との間に配置されており、外側縦起こし装置322は掘取りが行われていないつぎの植付け条と隣接するように配置されている。
【0035】
運転者用座席110は、内側掘取り搬送機構210を基準として外側掘取り搬送機構220の反対側へ位置する。内側掘取り搬送機構210の前端部は、外側掘取り搬送機構220の前端部と比べて後方へ位置する。横起こし装置310は、内側掘取り搬送機構210を基準として運転者用座席110と同じ側へ位置する。
【0036】
横起こし装置310は掘取りが既に行われている植付け条と隣接するように配置されており、運転者用座席110からの上述された茎葉縦起こし作用部の視認性が損なわれることなく、横方向において倒伏している茎葉の引起こしを容易に行うことができる。
【0037】
外側縦起こし装置322は、外側掘取り搬送機構220の外側へ位置する。内側縦起こし装置321の前端部は、内側掘取り搬送機構210と外側掘取り搬送機構220との間において、外側縦起こし装置322の前端部と比べて後方へ位置する。
【0038】
内側縦起こし装置321および外側縦起こし装置322は、車体前側で前後方向においておよそ30センチメートルのずらし距離dでずらされるように配置されており、運転者用座席110からの茎葉縦起こし作用部の視認性が向上する。
【0039】
かくして、運転者用座席110からの距離が大きい外側掘取り搬送機構220の刈取りを内側掘取り搬送機構210の刈取りより早く行うことにより、良好な茎葉縦起こし作用部の視認性が保証されるので、作物植付け位置ずれおよび作物個体サイズの差異に運転者の目視できめ細かく対処することができる多条掘取り収穫作業がコンパクトな構成で実現される。
【0040】
横起こし装置310は、内側掘取り搬送機構210へ取付けられている。外側縦起こし装置322は、外側掘取り搬送機構220へ取付けられている。
【0041】
内側縦起こし装置321は、外側掘取り搬送機構220へ取付けられている。
【0042】
なお、内側縦起こし装置321は、内側掘取り搬送機構210へ取付けられていてもよい。
【0043】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220は、平面視において部分的に重なり、側面視において上下の二段に分かれるように配置されている。
【0044】
側面視における上下の二段の間の空間が挟持掘取り搬送装置1000の中央部近傍において視認され、いわゆる多条掘りに好適なレイアウトが採用されており、複数の植付け条での独立的な掘取りをまとめて行うことができる。
【0045】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220の振動ソイラー1110は、人参掘取り位置に応じて、車体前側で前後方向においてずらされるように装着されている。
【0046】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220の振動ソイラー1110はいわゆる片側L字形状のソイラーであり、つぎの植付け条のような隣接する植付け条の人参はソイラー接触で傷つけられにくく、十分な土塊破砕のために必要であるソイラー本数は小さく抑えられる。
【0047】
圃場へ向かって排出される茎葉が排葉口1311で重なりにくいように、車体外側に位置する外側掘取り搬送機構220における排葉部1300の排葉ベルトは、車体内側に位置する内側掘取り搬送機構210における排葉部1300の排葉ベルトと比べて、車体後側へ向かって延長されている。
【0048】
防風板ユニット1600の車体外側の部分も、車体外側に位置する排葉部1300の排葉ベルト延長にともない、車体後側へ向かって延長されている。
【0049】
排葉シューター1310の幅は、このような排葉ベルト延長にともなって拡張されている。
【0050】
上述された排葉ベルト延長にともなう排葉シューター1310の幅の拡張を無理なく行うために、車体外側に位置する排葉シューター1310は植付け条本数に応じて独立的に構成されている。
【0051】
(2)つぎに、図4から9を主として参照しながら、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作についてより具体的に説明する。
【0052】
ここに、図4は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の左側面図(その一)であり、図5は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の平面図(その一)であり、図6は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の右側面図(その一)であり、図7は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の左側面図(その二)であり、図8は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の平面図(その二)であり、図9は本発明における実施の形態の第一変形例の人参収穫車両の右側面図(その二)である。
【0053】
内側縦起こし装置321は、掘取られる人参の縦起こしを行うための棒部材である。
【0054】
内側縦起こし装置321は、外側縦起こし装置322と異なり、棒部材であることにより、運転者用座席110からの茎葉縦起こし作用部の視認性がさらに向上する。
【0055】
運転者用座席110は、内側縦起こし装置321の前端部と比べて後方へ位置する。内側植付け条510の人参の掘取り高さ、および外側植付け条520の人参の掘取り高さは、運転者用座席110における操作で個別的に調節可能である。
【0056】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220に関して、掘取り部1100の下端部高さである掘取り高さが共通の掘取り高さH1で互いに一致させられることにより、掘取り高さ調節にともなう運転者の負担が軽減される態様が考えられる。
【0057】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220に関して、掘取り高さが必ずしも互いに一致させられず、内側植付け条510および外側植付け条520の各々の掘取り高さ調節が各々にふさわしい掘取り高さで独立的に行われる態様も考えられる。
【0058】
内側植付け条510の掘取り高さをフィンガー操作で調節するための内側掘取り高さ操作レバー1410、および外側植付け条520の掘取り高さをフィンガー操作で調節するための外側掘取り高さ操作レバー1420をHST(Hydro Static Transmission)レバーである主変速レバー1400へ設けることにより、上述された独立的な掘取り高さ調節を実現することができる。
【0059】
かくして、多条掘取り収穫作業において重要である掘取り高さ調節の操作性が、向上する。
【0060】
内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220は、昇降可能である。内側植付け条510および外側植付け条520の人参の収穫の終了にともなって、車体旋回が行われるとき、外側掘取り搬送機構220の上昇が開始された後、内側掘取り搬送機構210の上昇は開始される。
【0061】
つまり、シリンダー押上げ動作などで掘取り部1100を上昇させるためのパワーステアリングレバー1500のレバー操作が行われたとき、前端部が前方へ位置する外側掘取り搬送機構220の掘取りは内側掘取り搬送機構210の掘取りより早く終了するので、外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100の上昇動作は内側掘取り搬送機構210に関する掘取り部1100の上昇動作より早く行われる(図7および9参照)。
【0062】
かくして、運転者用座席110の手前側の内側掘取り搬送機構210が先に上昇させられるのではなく、奥側の外側掘取り搬送機構220が先に上昇させられるので、掘取り部1100の視認性は常に良好であり、茎葉縦起こし作用部などが死角へ隠れて見えなくなる恐れはない。
【0063】
横起こし装置310および内側縦起こし装置321の駆動は、外側掘取り搬送機構220の上昇が開始された後の所定の期間において継続される。
【0064】
圃場端部などにおける車体旋回にともない、パワーステアリングレバー1500のレバー操作が行われたとき、内側掘取り搬送機構210および外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100の上昇動作は原則的に一斉に行われる態様も考えられる。
【0065】
このようなパワーステアリングレバー1500のレバー操作が行われているときでも、掘取り部1100の上昇動作にかかわらず、内側掘取り高さ操作レバー1410および外側掘取り高さ操作レバー1420による掘取り高さ調節を行うことができる。
【0066】
外側掘取り搬送機構220の上昇が開始された後の所定の期間において、外側縦起こし装置322の駆動が停止されても、内側縦起こし装置321の駆動は継続される。
【0067】
外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100の上昇動作が内側掘取り搬送機構210に関する掘取り部1100の上昇動作より早く行われる態様においても、内側縦起こし装置321は外側掘取り搬送機構220へ取付けられているので、終了が遅い内側掘取り搬送機構210の掘取りをアシストするために、外側縦起こし装置322がオフされた後、外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100の上昇高さがあらかじめ定められた上昇高さH2に達するまで、外側掘取り搬送機構220の振動ソイラー1110および内側縦起こし装置321はオフされず、内側掘取り搬送機構210の振動ソイラー1110および横起こし装置310はその後にオフされる。
【0068】
上述された上昇高さH2は、およそ300ミリメートルであり、外側掘取り搬送機構220の振動ソイラー1110が外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100の上昇動作にともなって圃場表面から抜出るような高さとしてあらかじめ定められる。
【0069】
圃場の植付け条本数が奇数である場合は、外側掘取り搬送機構220に関する掘取り部1100は上昇された状態が維持されながら、内側掘取り搬送機構210で最後の植付け条の人参が掘取られて収穫される態様も考えられる(図7および9参照)。
【0070】
圃場の植付け条本数が奇数であるこのような場合は、外側掘取り搬送機構220において、掘取り部1100の上昇動作が行われた後、人参搬送動作の終了にともなう茎葉切断部オフが行われるのみならず、掘取り部1100、タッピング部1200および排葉部1300が自動的にオフされる。
【0071】
タッピング部1200へ設けられたタッピング部人参センサー1710による人参検知状態がオフ状態になった後、掘取り部1100がオフされる態様も考えられる。
【0072】
排葉部1300へ設けられた排葉部人参センサー1720による人参検知状態がオフ状態になった後、上述された茎葉切断部オフが行われるのみならず、タッピング部1200および排葉部1300がオフされる態様も考えられる。
【0073】
(3)つぎに、図10から16を主として参照しながら、本発明における実施の形態の人参収穫車両の構成および動作についてさらにより具体的に説明する。
【0074】
ここに、図10から13は本発明における実施の形態の第二変形例の人参収穫車両の説明図(その一から四)であり、図14から16は本発明における実施の形態の第三変形例の人参収穫車両の説明図(その一から三)である。
【0075】
掘取りが終了した畝の終端での旋回が始まって掘取り部1100が上昇されると、掘取り部1100の掘取りクラッチが掘取りクラッチレバーの操作なく自動的にオフされて掘取り部1100の動作が停止されることにより、不要な電力消費が低減される(図10から13参照)。
【0076】
より具体的には、旋回が始まって掘取りクラッチがオフされると、掘取り部1100のモーター2002のローター軸部へ設けられたソレノイド駆動の第一クラッチ2003が掘取りクラッチのオフと連動してオフされる構成が採用される。
【0077】
掘取りクラッチがオフされても、モーター2002のローター回転は継続される。
【0078】
掘取りクラッチがオフされると、モーター2002のローター軸部へ設けられた第二クラッチ2004がオンされてモーター2002はエンジンプーリ機構2005と繋がることにより、旋回が行われているとき、掘取りのために必要とされないモーター2002が補助的なジェネレーターとして機能することにより、モーター2002のローター回転は、エンジン2006の回転で発電を行うジェネレーター2007により充電されるバッテリである、エネルギーストア2008および走行エネルギーストア2019の充電のために利用される。
【0079】
旋回が終わって掘取り部1100が下降されると、掘取り部1100の掘取りクラッチは自動的にオンされ、第二クラッチ2004はオフされて第一クラッチ2003は再びオンされるので、モーター2002のローター軸がエンジンプーリ機構2005から離れて掘取り部1100と繋がることにより、掘取り部1100の動作が再開される。
【0080】
掘取り部1100の動作が旋回にともなって停止されるとき、人参を搬送するための挟持搬送部の動作は掘取り部1100の動作停止と独立的に継続される、または掘取り部1100の動作停止と連動して停止される。
【0081】
第二クラッチ2004がオンされてモーター2002がエンジンプーリ機構2005と繋がるとき、モーター2002の回転はエンジン2006の回転と同調させられる。
【0082】
より具体的には、モーター2002の回転がエンジン2006の回転と同調させられるとき、エンジン2006の回転数がモニターされ、モーター2002の回転数がモニターされたエンジン2006の回転数と一致するように、モーター2002の回転は制御される。たとえば、第二クラッチ2004がオフされて第一クラッチ2003が再びオンされるとき、モーター2002のローター軸が動作が停止されている掘取り部1100とスムーズなクラッチ連結で繋がるように、モーター2002の回転数は通常の回転数のおよそ1/2から1/3へ降下させられる。
【0083】
下降された掘取り部1100の動作をスムーズに再開させるために、超音波センサー2018で測定された掘取り部1100の圃場表面からの距離があらかじめ定められた掘取り部駆動再開距離δより小さくなると、掘取り部1100の駆動が接地に先立って再開される。
【0084】
掘取り部1100が上昇される、畝の終端での旋回が隣接する畝への移動のためのUターンである場合は、掘取り部1100の動作が単に停止され、モーター2002は休止されて上述されたエネルギーストア2008などの充電は行われない。たとえば、10メートルを超える枕地移動がこのような畝の終端での旋回の後に行われる場合は、エネルギーストア2008などの充電が行われる。
【0085】
第一クラッチ2003をオフして第二クラッチ2004をオンすることにより行われる、上述されたモーター2002の発電は、掘取り部1100の上昇位置および掘取りクラッチオフからの経過時間などに基づいて開始される。たとえば、このようなモーター2002の発電への切替えは、掘取り部1100の上昇開始からの経過時間がおよそ10秒である切替えタイミングで自動的に行われる。
【0086】
モーター2002の発電への切替えが行われる切替えタイミングは、ユーザー設定に応じて変更可能である。
【0087】
このような発電への切替え機能は、運転者用座席110における中央のグリーンランプ2017のプッシュ操作などによる発電切替えスイッチオフで無効化される。
【0088】
モーター2002の発電が行われているとき、オペレーターへの報知が上述されたグリーンランプ2017の点灯により行われる。
【0089】
掘取り部1100の圃場表面からの距離があらかじめ定められた掘取り部駆動再開距離δより小さくなると、モーター2002の休止状態または発電状態が解除され、掘取り部1100の駆動が接地に先立って再開される。
【0090】
掘取り後部フレーム2009の後方の排葉シューター1310の下端部の前方へ配置されている、掘取り部1100、タッピング部1200および排葉部1300の駆動は、横起こし装置310、内側縦起こし装置321および外側縦起こし装置322、残葉クリーナー2016ならびに振動ソイラー1110の駆動のためのモーター2002、補助者用座席2010の前方へ設けられた搬送コンベアー2011の駆動のための搬送コンベアーモーター2012、ジェネレーター2007および走行駆動のためのスタータージェネレーター2013と異なる挟持掘取り搬送モーター2014を利用することにより行われる(図14から16参照)。
【0091】
掘取り部1100、タッピング部1200および排葉部1300の搬送駆動速の車速に対する速比は、速比変更ダイヤル2015のユーザー操作に応じて変更可能である。
【0092】
速比変更ダイヤル2015は、車速変更に利用される主変速レバー1400へ設けられている。
【0093】
速比変更ダイヤル2015のユーザー操作により、人参または土塊の詰まりを解消するための逆転駆動を行うこともできる。
【0094】
なお、本発明に関連した発明のプログラムは、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、コンピュータと協働して動作するプログラムである。
【0095】
また、本発明に関連した発明の記録媒体は、上述された本発明に関連した発明の作業車両動作制御方法の全部または一部のステップ(または工程、動作および作用など)の全部または一部の動作をコンピュータに実行させるためのプログラムを記録した記録媒体であり、読取られたプログラムがコンピュータと協働して利用されるコンピュータ読取り可能な記録媒体である。
【0096】
なお、上述された「一部のステップ(または工程、動作および作用など)」は、それらの複数のステップの内の一つまたはいくつかのステップを意味する。
【0097】
また、上述された「ステップ(または工程、動作および作用など)の動作」は、上述されたステップの全部または一部の動作を意味する。
【0098】
また、本発明に関連した発明のプログラムの一利用形態は、インターネット、光、電波または音波などのような伝送媒体の中を伝送され、コンピュータにより読取られ、コンピュータと協働して動作するという形態であってもよい。
【0099】
また、記録媒体としては、ROM(Read Only Memory)などが含まれる。
【0100】
また、コンピュータは、CPU(Central Processing Unit)などのような純然たるハードウェアに限らず、ファームウェア、OS(Operating System)、そしてさらに周辺機器を含んでもよい。
【0101】
なお、上述されたように、本発明の構成は、ソフトウェア的に実現されてもよいし、ハードウェア的に実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明における作業車両は、使い勝手を向上することができ、二条式の人参収穫車両のような作業車両に利用する目的に有用である。
【符号の説明】
【0103】
110 運転者用座席
210 内側掘取り搬送機構
220 外側掘取り搬送機構
310 横起こし装置
321 内側縦起こし装置
322 外側縦起こし装置
510 内側植付け条
520 外側植付け条
1000 挟持掘取り搬送装置
1100 掘取り部
1110 振動ソイラー
1200 タッピング部
1300 排葉部
1310 排葉シューター
1311 排葉口
1400 主変速レバー
1410 内側掘取り高さ操作レバー
1420 外側掘取り高さ操作レバー
1500 パワーステアリングレバー
1600 防風板ユニット
1710 タッピング部人参センサー
1720 排葉部人参センサー
2001 掘取りクラッチレバー
2002 モーター
2003 第一クラッチ
2004 第二クラッチ
2005 エンジンプーリ機構
2006 エンジン
2007 ジェネレーター
2008 エネルギーストア
2009 掘取り後部フレーム
2010 補助者用座席
2011 搬送コンベアー
2012 搬送コンベアーモーター
2013 スタータージェネレーター
2014 挟持掘取り搬送モーター
2015 速比変更ダイヤル
2016 残葉クリーナー
2017 グリーンランプ
2018 超音波センサー
2019 走行エネルギーストア
H1 掘取り高さ
H2 上昇高さ
d ずらし距離
δ 掘取り部駆動再開距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16