(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173360
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】偏光フィルム、調光装置及び偏光フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20241205BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091728
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 賢一
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
【Fターム(参考)】
2H042AA04
2H042AA08
2H149AA00
2H149AB01
2H149BA01
2H149BB00
2H149EA10
2H149EA19
(57)【要約】
【課題】光の透過の状態の変化に関与しない余分な部分が発生するのを抑制しつつ、光の透過に関し、透過状態と遮蔽状態との中間の状態を作り出す。
【解決手段】偏光フィルム11のフィルム本体12は、それぞれ第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で第1方向に配列された3種類の単位領域を有する。各単位領域は、フィルム本体12の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有する。3種類の単位領域は、第1偏光軸PA1を有する第1単位領域A1と、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸PA2を有する第2単位領域A2と、第1単位領域A1及び第2単位領域A2の間に位置し、かつ中間偏光軸PA3を有する中間単位領域A3とからなる。中間偏光軸PA3は、第2偏光軸PA2の延びる方向が、第1偏光軸PA1の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し交差する方向へ延びている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光の透過量を調整する調光装置に用いられ、かつ骨格部分がフィルム本体により構成される偏光フィルムであり、
前記フィルム本体の厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、
前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、
前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、
前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、
前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びている偏光フィルム。
【請求項2】
前記中間単位領域は、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に複数設けられており、
複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸は、前記第1偏光軸の延びる方向に対し、互いに異なる角度で交差する方向へ延び、
複数の前記中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と前記第1偏光軸の延びる方向とがなす角度は、前記第1単位領域から前記第2単位領域側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少するように設定されている請求項1に記載の偏光フィルム。
【請求項3】
前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域のそれぞれの前記第1方向における寸法である単位幅は、互いに同一に設定されており、
前記第1偏光軸は前記第1方向へ延び、前記第2偏光軸は前記第2方向へ延び、
前記第1偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度、前記中間偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度、及び前記第2偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度は、互いに同一に設定されている請求項2に記載の偏光フィルム。
【請求項4】
前記第1方向における前記第2単位領域の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の前記中間単位領域が設けられ、
前記一方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸と、前記他方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸とは、前記第2単位領域において前記第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係を有している請求項3に記載の偏光フィルム。
【請求項5】
前記第1方向における前記第1単位領域の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の前記中間単位領域が設けられ、
前記一方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸と、前記他方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸とは、前記第1単位領域において前記第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係を有している請求項3又は4に記載の偏光フィルム。
【請求項6】
前記フィルム本体は、樹脂材料により形成されたフィルム基材を備え、
前記フィルム基材の前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域のそれぞれに対応する箇所には溝が形成され、前記溝に充填されたインクが硬化されることにより前記第1偏光軸、前記第2偏光軸及び前記中間単位領域が形成されている請求項1に記載の偏光フィルム。
【請求項7】
前記厚み方向における前記フィルム本体の両側に配置されて前記フィルム本体を保持する一対の固定フィルムをさらに備え、
前記一対の固定フィルムは、それぞれ樹脂材料により形成されている請求項6に記載の偏光フィルム。
【請求項8】
それぞれ骨格部分がフィルム本体により構成され、かつ前記フィルム本体の厚み方向に対向した状態で配置された2枚の偏光フィルムを備え、
前記フィルム本体の前記厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、
前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、
前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、
前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、
前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びており、
前記2枚の偏光フィルムの少なくとも一方が、前記第1方向へスライドされることにより、前記2枚の偏光フィルムの前記厚み方向における光の透過量が調整される調光装置。
【請求項9】
光の透過量を調整する調光装置に用いられ、かつ骨格部分がフィルム本体により構成される偏光フィルムを製造する方法であり、
前記フィルム本体の厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、
前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、
前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、
前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、
前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びており、
前記偏光フィルムを、樹脂材料により形成されたフィルム基材を用いて製造する方法であって、
前記フィルム基材のうち、前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域に対応する箇所に、それぞれ溝を形成する溝形成工程と、
各溝にインクを充填するインク充填工程と、
各溝に充填された前記インクを硬化させることにより、前記第1偏光軸、前記第2偏光軸及び前記中間偏光軸を形成する硬化工程と
を備える偏光フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光フィルム、調光装置及び偏光フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
図11及び
図12に示すように、それぞれ骨格部分がフィルム本体52により構成され、かつフィルム本体52の厚み方向に対向した状態で配置された2枚の偏光フィルム51A,51Bを備える調光装置50が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、
図10に示すように、フィルム本体52の厚み方向(紙面に直交する方向)に対し直交する方向を第1方向とし、厚み方向及び第1方向に対し直交する方向を第2方向とする。
【0004】
フィルム本体52は、それぞれ第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で第1方向に交互に配列された2種類の単位領域を有する。
2種類の単位領域は、フィルム本体52の面に沿って延びる複数の第1偏光軸PA1を有する第1単位領域A1と、同じくフィルム本体52の面に沿って延びる複数の第2偏光軸PA2を有する第2単位領域A2とからなる。各第1偏光軸PA1は、上記第1方向及び第2方向の双方に対して交差している。各第2偏光軸PA2は、上記第1方向及び第2方向の双方に対して交差し、かつ第1偏光軸PA1とは反対側に交差している。各第2偏光軸PA2の延びる方向は、各第1偏光軸PA1の延びる方向に対し直交している。
【0005】
そして、
図11及び
図12に示すように、上記構成の調光装置50において、2枚の偏光フィルム51A,51Bの少なくとも一方が、第1方向へスライドされることにより、2枚の偏光フィルム51A,51Bの厚み方向における光の透過量が切り替えられる。
【0006】
図11は、偏光フィルム51Aの第1単位領域A1と、偏光フィルム51Bの第1単位領域A1とが重なり合った状態を示している。この状態では、偏光フィルム51Aの第2単位領域A2と、偏光フィルム51Bの第2単位領域A2とが重なり合っている。なお、
図11では、2枚の偏光フィルム51A,51Bが重なり合っていることを表現するために、2枚の偏光フィルム51A,51Bを第1方向において僅かにずらして図示している。
【0007】
図11の上記状態では、偏光フィルム51Bの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向と、偏光フィルム51Aの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向とが平行になる。また、偏光フィルム51Bの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向と、偏光フィルム51Aの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向とが平行になる。
【0008】
従って、偏光フィルム51Bに入射した光のうち、その偏光フィルム51Bを透過したものは、全て偏光フィルム51Aを透過する。
これに対し、
図12は、偏光フィルム51Bの第1単位領域A1と、偏光フィルム51Aの第2単位領域A2とが重なり合った状態を示している。この状態では、偏光フィルム51Bの第2単位領域A2と、偏光フィルム51Aの第1単位領域A1とが重なり合っている。この状態では、偏光フィルム51Bの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向と、偏光フィルム51Aの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向とが直交する。また、偏光フィルム51Bの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向と、偏光フィルム51Aの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向とが直交する。そのため、偏光フィルム51Bを透過した光の全てが、偏光フィルム51Aによって遮断(遮蔽)される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
ところが、上記従来の調光装置50では、2枚の偏光フィルム51A,51Bの少なくとも一方を第1方向へスライドさせることで、第1偏光軸PA1及び第2偏光軸PA2の第1方向における各位置を変えている。表現を変えると、上記スライドにより、各第1偏光軸PA1の延びる方向と各第2偏光軸PA2の延びる方向とが平行となる状態、又は直交する状態のいずれかの状態にしている。そのため、上記従来の調光装置50では、透過状態と遮断(遮蔽)状態とを切り替えることはできるものの、途中の透過状態(半透過状態)にすることができない。また、半透過状態のときに、光の透過度合いを徐々に変化させることができない。
【0011】
なお、2枚の偏光フィルム51A,51Bの少なくとも一方を回転させることで、2枚の偏光フィルム51A,51Bを相対回転させ、各第1偏光軸PA1の延びる方向と、各第2偏光軸PA2の延びる方向とがなす角度を変更することが可能である。調光装置を半透過状態にしたり、半透過状態における光の透過度合いを徐々に変化させたりすることが可能である。ただし、第1偏光軸PA1及び第2偏光軸PA2のうち、回転によって他方に対し交差しない部分が出てくる場合がある。従って、偏光フィルム51A,51Bに、光の透過の状態の変化に関与しない余分な部分が生ずるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するための偏光フィルム、調光装置及び偏光フィルムの製造方法の各態様を記載する。
[態様1]光の透過量を調整する調光装置に用いられ、かつ骨格部分がフィルム本体により構成される偏光フィルムであり、前記フィルム本体の厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びている偏光フィルム。
【0013】
[態様8]それぞれ骨格部分がフィルム本体により構成され、かつ前記フィルム本体の厚み方向に対向した状態で配置された2枚の偏光フィルムを備え、前記フィルム本体の前記厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びており、前記2枚の偏光フィルムの少なくとも一方が、前記第1方向へスライドされることにより、前記2枚の偏光フィルムの前記厚み方向における光の透過量が調整される調光装置。
【0014】
上記[態様1]及び[態様8]の構成によれば、調光装置では、2枚の偏光フィルムが、フィルム本体の厚み方向に対向した状態で配置される。[態様1]の構成を有する偏光フィルムは、この調光装置における偏光フィルムとして用いられる。
【0015】
一方の偏光フィルムの第1単位領域と、他方の偏光フィルムの中間単位領域とが重なり合う。すると、一方の偏光フィルムの第1単位領域において第1偏光軸の延びる方向と、他方の偏光フィルムの中間単位領域において中間偏光軸の延びる方向とが斜めに交差する。従って、調光装置の外部から一方の偏光フィルムに入射した光のうち、第1単位領域を透過したものの一部のみが、他方の偏光フィルムの中間単位領域を透過する。このときの光の透過量は、第1偏光軸の延びる方向と、中間偏光軸の延びる方向とがなす角度が小さいときには多く、同角度が大きくなるに従い少なくなる。
【0016】
このとき、一方の偏光フィルムの第2単位領域と、他方の偏光フィルムの中間単位領域とが重なり合う。すると、一方の偏光フィルムの第2単位領域において第2偏光軸の延びる方向と、他方の偏光フィルムの中間単位領域において中間偏光軸の延びる方向とが斜めに交差する。この場合には、調光装置の外部から一方の偏光フィルムに入射した光のうち、第2単位領域を透過したものの一部のみが、他方の偏光フィルムの中間単位領域を透過する。このときの光の透過量は、第2偏光軸の延びる方向と、中間偏光軸の延びる方向とがなす角度が小さいときには多く、同角度が大きくなるに従い少なくなる。
【0017】
また、このとき、一方の偏光フィルムの中間単位領域と、他方の偏光フィルムの中間単位領域とが重なり合う。すると、一方の偏光フィルムの中間単位領域において中間偏光軸の延びる方向と、他方の偏光フィルムの中間単位領域において中間偏光軸の延びる方向とが斜めに交差する。従って、調光装置の外部から一方の偏光フィルムに入射した光のうち、中間単位領域を透過したものの一部のみが、他方の偏光フィルムの中間単位領域を透過する。このときの光の透過量は、両中間偏光軸のそれぞれの延びる方向がなす角度が小さいときには多く、同角度が大きくなるに従い少なくなる。
【0018】
従って、調光装置の外部から一方の偏光フィルムに入射した光のうち、その偏光フィルムを通過したものの一部のみが、他方の偏光フィルムを透過する。調光装置は半透過状態となる。
【0019】
また、2枚の偏光フィルムの少なくとも一方が、第1方向へスライドされると、2枚の偏光フィルムが第1方向へ相対変位される。この相対変位により、一方の偏光フィルムの単位領域における偏光軸の延びる方向と、他方の偏光フィルムの単位領域における偏光軸の延びる方向とがなす角度が変更されると、上記半透過状態において、2枚の偏光フィルムを透過する光の量が変化する。
【0020】
[態様2]前記中間単位領域は、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に複数設けられており、複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸は、前記第1偏光軸の延びる方向に対し、互いに異なる角度で交差する方向へ延び、複数の前記中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と前記第1偏光軸の延びる方向とがなす角度は、前記第1単位領域から前記第2単位領域側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少するように設定されている[態様1]に記載の偏光フィルム。
【0021】
上記の構成によれば、2枚の偏光フィルムの少なくとも一方が、第1方向へスライドされて、2枚の偏光フィルムが第1方向へ相対変位される。すると、上記相対変位に伴って、一方の偏光フィルムにおける第1単位領域、複数の中間単位領域及び第2単位領域のそれぞれと、他方の偏光フィルムにおける第1単位領域、複数の中間単位領域及び第2単位領域のそれぞれとの位置関係が変化する。
【0022】
ここで、各偏光フィルムにおいて、複数の中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と第1偏光軸の延びる方向とがなす角度は、第1単位領域から第2単位領域側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少する。
【0023】
従って、上記スライドにより、2枚の偏光フィルムの一方における複数の中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と、他方における第1偏光軸の延びる方向とがなす角度とを、徐々に変化させることが可能である。また、2枚の偏光フィルムの一方における複数の中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と、他方における第2偏光軸の延びる方向とがなす角度についても同様に、徐々に変化させることが可能である。さらに、2枚の偏光フィルムの一方における複数の中間偏光軸のそれぞれが延びる方向と、他方における複数の中間偏光軸のそれぞれが延びる方向とがなす角度についても、徐々に変化させることが可能である。そのため、上記スライドにより、2枚の偏光フィルムを透過する光の量を徐々に増加、又は徐々に減少させることが可能である。
【0024】
[態様3]前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域のそれぞれの前記第1方向における寸法である単位幅は、互いに同一に設定されており、前記第1偏光軸は前記第1方向へ延び、前記第2偏光軸は前記第2方向へ延び、前記第1偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度、前記中間偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度、及び前記第2偏光軸の延びる方向と隣の前記中間偏光軸の延びる方向とがなす角度は、互いに同一に設定されている[態様2]に記載の偏光フィルム。
【0025】
上記の構成によれば、2枚の偏光フィルムの少なくとも一方が、単位幅ずつ第1方向へスライドされると、一方の偏光フィルムにおける単位領域と、他方の偏光フィルムにおける単位領域との位置関係が変化する。
【0026】
ここで、第1偏光軸の延びる方向と隣の中間偏光軸の延びる方向とがなす角度、隣り合う一対の中間偏光軸の延びる方向がなす角度、及び第2偏光軸の延びる方向と、隣の中間偏光軸の延びる方向とがなす角度は、互いに同一である。
【0027】
従って、2枚の偏光フィルムの一方における偏光軸の延びる方向と、他方における偏光軸の延びる方向とがなす角度は、重なり合う単位領域における偏光軸の組み合わせ毎に同一となる。そのため、2枚の偏光フィルムを透過する光の量を部位によらず均等にすることが可能である。
【0028】
[態様4]前記第1方向における前記第2単位領域の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の前記中間単位領域が設けられ、前記一方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸と、前記他方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸とは、前記第2単位領域において前記第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係を有している[態様3]に記載の偏光フィルム。
【0029】
上記の構成によれば、一方側の複数の中間単位領域のそれぞれにおける中間偏光軸と、他方側の複数の中間単位領域のそれぞれにおける中間偏光軸とは、第2単位領域において第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係にある。そのため、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸によって、偏光フィルム全体の中間偏光軸を構成することが可能となる。また、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸によって、上記[態様3]に記載の作用及び効果を得ることが可能である。
【0030】
[態様5]前記第1方向における前記第1単位領域の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の前記中間単位領域が設けられ、前記一方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸と、前記他方側の複数の前記中間単位領域のそれぞれにおける前記中間偏光軸とは、前記第1単位領域において前記第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係を有している[態様3]又は[態様4]に記載の偏光フィルム。
【0031】
上記の構成によれば、一方側の複数の中間単位領域のそれぞれにおける中間偏光軸と、他方側の複数の中間単位領域のそれぞれにおける中間偏光軸とは、第1単位領域において第2方向へ延びる仮想線を対称軸として線対称の関係にある。そのため、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸によって、偏光フィルム全体の中間偏光軸を構成することが可能となる。また、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸によって、上記[態様3]に記載の作用及び効果を得ることが可能である。
【0032】
[態様6]前記フィルム本体は、樹脂材料により形成されたフィルム基材を備え、前記フィルム基材の前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域のそれぞれに対応する箇所には溝が形成され、前記溝に充填されたインクが硬化されることにより前記第1偏光軸、前記第2偏光軸及び前記中間単位領域が形成されている[態様1]に記載の偏光フィルム。
【0033】
上記フィルム本体としては、上記の構成によるように、溝が形成されたフィルム基材と、上記溝に形成されたインクが硬化されることにより形成された第1偏光軸、第2偏光軸及び中間偏光軸を備えるものを用いることが可能である。
【0034】
[態様7]前記厚み方向における前記フィルム本体の両側に配置されて前記フィルム本体を保持する一対の固定フィルムをさらに備え、前記一対の固定フィルムは、それぞれ樹脂材料により形成されている[態様6]に記載の偏光フィルム。
【0035】
上記の構成によれば、偏光フィルムにおける一対の固定フィルムは、フィルム本体を厚み方向における両側から挟み込む。一対の固定フィルムは、フィルム本体の収縮等の変形を規制し、偏光軸の変形を規制する。また、樹脂材料によって形成された一対の固定フィルムは、割れにくく、取り扱い性に優れる。
【0036】
[態様9]光の透過量を調整する調光装置に用いられ、かつ骨格部分がフィルム本体により構成される偏光フィルムを製造する方法であり、前記フィルム本体の厚み方向に対し直交する方向を第1方向とし、前記厚み方向及び前記第1方向に対し直交する方向を第2方向とした場合、前記フィルム本体は、それぞれ前記第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で前記第1方向に配列された3種類の単位領域を有し、前記3種類の前記単位領域は、前記フィルム本体の面に沿って延びる複数の偏光軸をそれぞれ有し、前記3種類の前記単位領域は、第1偏光軸を有する第1単位領域と、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸を有する第2単位領域と、前記第1単位領域及び前記第2単位領域の間に位置し、かつ中間偏光軸を有する中間単位領域とからなり、前記中間偏光軸は、前記第2偏光軸の延びる方向が、前記第1偏光軸の延びる方向に対しなす角度よりも小さな角度で、前記第1偏光軸の延びる方向に対し交差する方向へ延びており、前記偏光フィルムを、樹脂材料により形成されたフィルム基材を用いて製造する方法であって、前記フィルム基材のうち、前記第1単位領域、前記第2単位領域及び前記中間単位領域に対応する箇所に、それぞれ溝を形成する溝形成工程と、各溝にインクを充填するインク充填工程と、各溝に充填された前記インクを硬化させることにより、前記第1偏光軸、前記第2偏光軸及び前記中間偏光軸を形成する硬化工程とを備える偏光フィルムの製造方法。
【0037】
上記の方法によれば、溝形成工程では、樹脂材料により形成されたフィルム基材のうち、第1単位領域、第2単位領域及び中間単位領域に対応する箇所に、それぞれ溝が形成される。
【0038】
インク充填工程では、フィルム基材に形成された各溝にインクが充填される。
硬化工程では、各溝に充填されたインクが硬化される。この硬化により、第1偏光軸、第2偏光軸及び中間偏光軸が、溝に埋まり、かつ一部が露出した状態で形成される。このようにして、第1偏光軸及び第2偏光軸に加え、それらの偏光軸の延びる方向とは異なる方向へ延びる中間偏光軸を備えるフィルム本体を製造することが可能である。
【発明の効果】
【0039】
本発明によれば、光の透過の状態の変化に関与しない余分な部分が発生するのを抑制しつつ、光の透過に関し、透過状態と遮蔽状態との中間の状態を作り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【
図1】一実施形態の調光装置に用いられる2枚の偏光フィルムを、固定フィルムを省略して示す部分模式図である。
【
図2】
図1における一方の偏光フィルムの部分断面図である。
【
図3】上記実施形態におけるフィルム本体の部分正面図である。
【
図4】同じく、上記実施形態におけるフィルム本体の部分正面図である。
【
図5】(A)~(D)は、2枚の偏光フィルムをスライドにより相対変位させた場合に、一方の偏光フィルムにおける偏光軸と、他方の偏光フィルムにおける偏光軸との対応関係を説明する模式図である。
【
図6】上記実施形態における偏光フィルムの製造方法を示す図であり、金型を用いてフィルム基材に溝を形成する前の状態を示す部分断面図である。
【
図7】上記実施形態における偏光フィルムの製造方法を示す図であり、金型によりフィルム基材に溝を形成する途中の状態を示す部分断面図である。
【
図8】上記実施形態における偏光フィルムの製造方法を示す図であり、溝の形成されたフィルム基材から金型を離間させた状態を示す部分断面図である。
【
図9】上記実施形態における偏光フィルムの製造方法を示す図であり、溝にインクを充填する途中の状態を示す部分断面図である。
【
図10】従来の偏光フィルムにおけるフィルム本体を示す図であり、単位領域と偏光軸との対応関係を示す模式図である。
【
図11】従来の調光装置の透過状態を示す部分模式図である。
【
図12】従来の調光装置の遮断(遮蔽)状態を示す部分模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、偏光フィルム、調光装置及び偏光フィルムの製造方法の一実施形態について、
図1~
図9を参照して説明する。
<偏光フィルム11>
図1及び
図2に示すように、光の透過量を調整する調光装置10は、互いに同一の構成を有する2枚の偏光フィルム11を備えている。各偏光フィルム11の骨格部分は、矩形状をなすフィルム本体12によって構成されている。各偏光フィルム11は、さらに、フィルム本体12の厚み方向におけるフィルム本体12の両側に配置されて、フィルム本体12を保持する一対の固定フィルム17を備えている。
図1では、紙面に直交する方向が厚み方向となる。各固定フィルム17は、樹脂材料によって形成されている。各固定フィルム17は、例えばトリアセチルセルロース製のフィルム、いわゆるTACフィルムであることが好ましい。各固定フィルム17は、フィルム本体12に貼り付けられている。なお、
図1では、固定フィルム17の図示が省略されている。また、
図2では、調光装置10に用いられる2枚の偏光フィルム11のうち、一方のみが図示されている。
【0042】
調光装置10では、上記2枚の偏光フィルム11が、上記厚み方向に対向した状態で、より詳しくは互いに重なり合った状態で配置されている。2枚の偏光フィルム11を区別する必要がある場合には、
図1において、手前側に配置される偏光フィルム11を「偏光フィルム11A」といい、奥側に配置される偏光フィルム11を「偏光フィルム11B」というものとする。
【0043】
ここで、フィルム本体12の上記厚み方向に対し直交する方向を第1方向とする。また、厚み方向及び第1方向に対し直交する方向を第2方向とする。
フィルム本体12は、それぞれ第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で第1方向に配列された3種類の単位領域を複数ずつ有している。
【0044】
[単位領域]
3種類の単位領域は、第1方向に一定間隔毎に配置された複数の第1単位領域A1と、第1方向に一定間隔毎に配置された複数の第2単位領域A2と、隣り合う第1単位領域A1及び第2単位領域A2の間に配置された複数の中間単位領域A3とからなる。
図1では、第2単位領域A2は1つのみ図示されている。第2単位領域A2は、互いに隣り合う2つの第1単位領域A1間の中央部に位置している。
【0045】
図1及び
図3に示すように、各第1単位領域A1は、フィルム本体12の面に沿って延びる複数の第1偏光軸PA1を有している。
図1及び
図4に示すように、各第2単位領域A2は、フィルム本体12の面に沿って延びる複数の第2偏光軸PA2を有している。各中間単位領域A3は、フィルム本体12の面に沿って延びる複数の中間偏光軸PA3を有している。
【0046】
なお、3種類の単位領域(第1単位領域A1、第2単位領域A2、中間偏光軸PA3)を区別する必要がない場合には、単に単位領域というものとする。
図1、
図3及び
図4に示すように、第1単位領域A1、第2単位領域A2及び中間単位領域A3のそれぞれの第1方向における寸法を「単位幅W」というものとする。各第1単位領域A1の単位幅Wと、各第2単位領域A2の単位幅Wと、各中間単位領域A3の単位幅Wとは、互いに同一に設定されている。
【0047】
[偏光軸]
各第1偏光軸PA1は、互いに平行に離間した状態で第1方向へ延びている。各第2偏光軸PA2は、互いに平行に離間した状態で第1偏光軸PA1の延びる方向に対し直交する方向、本実施形態では第2方向へ延びている。各中間偏光軸PA3は、互いに平行に離間した状態で、第2偏光軸PA2の延びる方向が、第1偏光軸PA1の延びる方向に対しなす角度(90°)よりも小さな角度で、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し交差する方向へ延びている。上記角度は、第1単位領域A1から第2単位領域A2側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少するように設定されている。
【0048】
複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と、第2偏光軸PA2の延びる方向とがなす角度は、第2単位領域A2から第1単位領域A1側へ遠ざかるに従い、徐々に減少、又は徐々に増加するように設定されている。
【0049】
本実施形態では、次の3種類の角度θ1,θ2,θ3は、互いに同一の値に設定されている。
・第1偏光軸PA1の延びる方向と隣の中間偏光軸PA3の延びる方向とがなす角度θ1(
図3参照)。
【0050】
・第2偏光軸PA2の延びる方向と隣の中間偏光軸PA3の延びる方向とがなす角度θ2(
図4参照)。
・中間偏光軸PA3の延びる方向と隣の中間偏光軸PA3の延びる方向とがなす角度θ3(
図3、
図4参照)。
【0051】
なお、3種類の偏光軸(第1偏光軸PA1、第2偏光軸PA2、中間偏光軸PA3)を区別する必要がない場合には、単に偏光軸というものとする。
ここで、
図1、
図3及び
図4に示すように、各第1単位領域A1において第2方向へ延びる仮想線を仮想線L1といい、各第2単位領域A2において第2方向へ延びる仮想線を仮想線L2というものとする。
【0052】
第1方向における第2単位領域A2の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の中間単位領域A3が設けられている。一方側の複数の中間単位領域A3に関し、第1方向における全体の寸法は、10mm程度に設定されている。一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、上記仮想線L2を対称軸として、第1方向に線対称の関係を有している。従って、他方側の複数の中間単位領域A3に関し、第1方向における全体の寸法は、10mm程度である。
【0053】
第1方向における第1単位領域A1の一方側と他方側とには、それぞれ複数かつ同数の中間単位領域A3が設けられている。一方側の複数の中間単位領域A3に関し、第1方向における全体の寸法は、10mm程度に設定されている。一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、上記仮想線L1を対称軸として、第1方向に線対称の関係を有している。従って、他方側の複数の中間単位領域A3に関し、第1方向における全体の寸法は、10mm程度である。
【0054】
[フィルム本体12]
図2及び
図9に示すように、フィルム本体12は、フィルム基材13、第1偏光軸PA1、第2偏光軸PA2及び中間偏光軸PA3を備えている。フィルム基材13は、樹脂材料により形成されている。フィルム基材13の上記第1単位領域A1に対応する箇所には、互いに平行な状態で直線状に延びるスリット状の複数の溝14が形成されている。そして、各溝14に充填されたインク15が硬化されることにより、上記第1偏光軸PA1が形成されている。
【0055】
また、フィルム基材13の上記第2単位領域A2に対応する箇所には、互いに平行な状態で直線状に延びるスリット状の複数の溝14が形成されている。そして、各溝14に充填されたインク15が硬化されることにより、上記第2偏光軸PA2が形成されている。
【0056】
さらに、フィルム基材13の上記中間単位領域A3に対応する箇所には、互いに平行な状態で直線状に延びるスリット状の複数の溝14が形成されている。そして、各溝14に充填されたインク15が硬化されることにより、上記中間偏光軸PA3が形成されている。
【0057】
図1に示すように、調光装置10では、偏光フィルム11A及び偏光フィルム11Bの少なくとも一方(本実施形態では偏光フィルム11A)が、第1方向へのスライド可能に構成されている。そして、上記偏光フィルム11Aが第1方向へスライドされることにより、すなわち、偏光フィルム11A,11Bが第1方向へ相対変位されることにより、2枚の偏光フィルム11A,11Bを上記厚み方向に透過する光の量(透過量)が調整される。
【0058】
<偏光フィルム11の製造方法>
ところで、上記偏光フィルム11の製造に際しては、フィルム本体12が、例えばワイヤーグリッド工法によって作成される。この工法では、次の溝形成工程、インク充填工程及び硬化工程が順に行われる。
【0059】
図6に示すように、溝形成工程では、樹脂材料により平板状に形成されたフィルム基材13が用いられる。フィルム基材13のうち、第1単位領域A1、第2単位領域A2及び中間単位領域A3に対応する箇所に、それぞれ直線状に延びるスリット状の溝14が形成される。
【0060】
より詳しくは、フィルム基材13に対向する面に、それぞれ直線状をなす複数の突条22が形成された金型21が用いられる。この金型21では、複数の突条22は、互いに平行に離間した状態で形成されている。
【0061】
上記フィルム基材13は、加熱されて軟化される。このフィルム基材13に対し、
図7に示すように、金型21が接近されて、複数の突条22が押し付けられる。この押し付けにより、金型21の凹凸形状がフィルム基材13に賦形(転写)される。フィルム基材13において、突条22によって押し付けられた箇所が凹む。
【0062】
そして、
図8に示すように、金型21がフィルム基材13から離間させられる。すると、フィルム基材13の上記第1単位領域A1、第2単位領域A2及び中間単位領域A3に対応する箇所には、互いに平行な状態で直線状に延びるスリット状の複数の溝14が形成される。
【0063】
図9に示すように、インク充填工程では、フィルム基材13上にインク15が塗布される。スキージ23が、フィルム基材13のインク15の塗布された面に沿って移動される。このスキージ23の移動により、インク15が各溝14に充填される。
【0064】
硬化工程では、上記のように溝14にインク15が充填されたフィルム基材13が、図示しないオーブンで焼成される。溝14内のインク15が硬化される。フィルム基材13において、第1単位領域A1に相当する箇所に、複数の第1偏光軸PA1が形成される。また、フィルム基材13において、第2単位領域A2に相当する箇所に、複数の第2偏光軸PA2が形成される。フィルム基材13において、中間単位領域A3に相当する箇所に、複数の中間偏光軸PA3が形成される。
【0065】
このようにして形成されたフィルム本体12に対しては、
図2に示すように、フィルム本体12の厚み方向における両側から固定フィルム17が貼り合わされる。すると、フィルム本体12を一対の固定フィルム17によって挟み込んだ、偏光フィルム11が得られる。
【0066】
次に、上記のように構成された本実施形態の作用について説明する。
調光装置10では、
図1に示すように、2枚の偏光フィルム11A,11Bが、フィルム本体12の厚み方向に対向した状態で配置される。
【0067】
偏光フィルム11Bにおける単位領域に対し、偏光フィルム11Aにおけるいずれの単位領域が重なり合うかで、2枚の偏光フィルム11A,11Bにおける光の透過の程度が決定される。重なり合う単位領域は、偏光フィルム11Aが第1方向へスライドされること、表現を変えると、2枚の偏光フィルム11A,11Bが第1方向へ相対変位されることにより変更される。上記相対変位に伴い、偏光フィルム11Bの単位領域における偏光軸の延びる方向と、偏光フィルム11Aの単位領域における偏光軸の延びる方向とがなす角度が変化する。上記角度が小さいと、重なり合った単位領域を透過する光の量が多い。上記角度が増大するに従い、透過する光の量が少なくなる。
【0068】
<透過状態>
図5(A)に示すように、2枚の偏光フィルム11A,11Bにおいて、第1単位領域A1同士が重なり合い、第2単位領域A2同士が重なり合い、中間単位領域A3同士が重なり合う。
【0069】
偏光フィルム11Aにおいて第1偏光軸PA1の延びる方向と、偏光フィルム11Bにおいて第1偏光軸PA1の延びる方向とが平行な状態になる。偏光フィルム11Aにおいて第2偏光軸PA2の延びる方向と、偏光フィルム11Bにおいて第2偏光軸PA2の延びる方向とが平行な状態になる。偏光フィルム11Aにおいて中間偏光軸PA3の延びる方向と、偏光フィルム11Bにおいて中間偏光軸PA3の延びる方向とが平行な状態になる。
【0070】
従って、調光装置10の外部から偏光フィルム11Bに入射した光のうち、その偏光フィルム11Bを透過したものの全てが、偏光フィルム11Aを透過する。調光装置10は透過状態となる。
【0071】
<遮蔽状態>
これに対し、
図5(D)に示すように、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1と、偏光フィルム11Aの第2単位領域A2とが重なり合う。すると、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向と、偏光フィルム11Aの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向とは、直交した状態となる。従って、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、第1単位領域A1を透過したものの全てが、偏光フィルム11Aの第2単位領域A2によって遮蔽される。
【0072】
このときには、偏光フィルム11Bの第2単位領域A2と、偏光フィルム11Aの第1単位領域A1とが重なり合う。偏光フィルム11Bの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向と、偏光フィルム11Aの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向とが直交した状態となる。この場合には、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、第2単位領域A2を透過したものの全てが、偏光フィルム11Aの第1単位領域A1によって遮蔽される。
【0073】
また、このときには、偏光フィルム11Bの中間単位領域A3と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とが重なり合う。偏光フィルム11Bの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向とは、直交した状態となる。この場合には、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、中間単位領域A3を通過したものの全てが、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3によって遮蔽される。
【0074】
従って、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、その偏光フィルム11Bを通過したものの全てが、偏光フィルム11Aによって遮蔽される。そのため、調光装置10は遮蔽状態となる。
【0075】
<半透過状態>
図5(B)及び
図5(C)に示すように、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とが重なり合う。すると、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1において第1偏光軸PA1の延びる方向と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向とは、斜めに交差した状態となる。従って、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、第1単位領域A1を透過したものの一部のみが、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3を透過する。このときの光の透過量は、第1偏光軸PA1の延びる方向と、中間偏光軸PA3の延びる方向とがなす角度が小さいときには多く(
図5(B)参照)、同角度が大きくなるに従い少なくなる(
図5(C)参照)。
【0076】
このときには、偏光フィルム11Bの第2単位領域A2と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とが重なり合う。偏光フィルム11Bの第2単位領域A2において第2偏光軸PA2の延びる方向と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向とが斜めに交差した状態となる。この場合には、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、第2単位領域A2を透過したものの一部のみが、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3を透過する。このときの光の透過量は、第2偏光軸PA2の延びる方向と、中間偏光軸PA3の延びる方向とがなす角度が小さいときには多く、同角度が大きくなるに従い少なくなる。
【0077】
また、このときには、偏光フィルム11Bの中間単位領域A3と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とが重なり合う。偏光フィルム11Bの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3において中間偏光軸PA3の延びる方向とが斜めに交差した状態となる。従って、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、中間単位領域A3を透過したものの一部のみが、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3を透過する。このときの光の透過量は、両中間偏光軸PA3のそれぞれの延びる方向がなす角度が小さいときには多く、同角度が大きくなるに従い少なくなる。
【0078】
従って、偏光フィルム11Bに入射した光のうち、その偏光フィルム11Bを通過したものの一部のみが、偏光フィルム11Aを透過する。そのため、調光装置10は半透過状態となる。
【0079】
また、偏光フィルム11Aが第1方向へスライドされて、2枚の偏光フィルム11A,11Bが第1方向へ相対変位される。この相対変位により、偏光フィルム11Bの単位領域における偏光軸の延びる方向と、偏光フィルム11Aの単位領域における偏光軸の延びる方向とがなす角度が変更される。すると、上記半透過状態において、2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量が変化する。
【0080】
ここで、各偏光フィルム11A,11Bでは、複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と第1偏光軸PA1の延びる方向とがなす角度は、第1単位領域A1から第2単位領域A2側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少する。
【0081】
従って、上記スライドにより、偏光フィルム11A,11Bの一方における複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と、他方における第1偏光軸PA1の延びる方向とがなす角度が徐々に変化する。偏光フィルム11A,11Bの一方における複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と、他方における第2偏光軸PA2の延びる方向とがなす角度についても同様に、徐々に変化する。さらに、偏光フィルム11A,11Bの一方における複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と、他方における複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向とがなす角度についても、徐々に変化する。その結果、上記スライドにより、2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量が徐々に増加、又は徐々に減少する。
【0082】
また、偏光フィルム11Aが、単位幅Wずつ第1方向へスライドされると、偏光フィルム11Bにおける単位領域と、偏光フィルム11Aにおける単位領域との位置関係が変化する。
【0083】
ここで、本実施形態では上述したように、角度θ1,θ2,θ3が、互いに同一に設定されている。このことから、2枚の偏光フィルム11A,11Bの一方における偏光軸の延びる方向と、他方における偏光軸の延びる方向とがなす角度は、重なり合う単位領域における偏光軸の組み合わせ毎に同一となる。そのため、2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量が部位によらず均等になる。
【0084】
図1に示すように、第1方向における第2単位領域A2の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、仮想線L2を対称軸として線対称の関係にある。
【0085】
同様に、第1方向における第1単位領域A1の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、仮想線L1を対称軸として線対称の関係にある。
【0086】
そのため、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸PA3によって、偏光フィルム11A,11B全体の中間偏光軸PA3が構成される。
ところで、各偏光フィルム11では、
図2に示すように一対の固定フィルム17が、フィルム本体12の収縮等の変形を規制する。また、樹脂材料によって形成された一対の固定フィルム17は、ガラス等によって形成された場合に比べ、衝撃に強い。
【0087】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)本実施形態では、
図1に示すように、偏光フィルム11A,11Bのフィルム本体12は、それぞれ第2方向へ延び、かつ互いに隣接した状態で第1方向に配列された第1単位領域A1、第2単位領域A2及び中間単位領域A3を有する。中間単位領域A3は、第1単位領域A1及び第2単位領域A2の間に位置する。第2単位領域A2は、第1単位領域A1の第1偏光軸PA1の延びる方向に対し交差する方向へ延びる第2偏光軸PA2を有する。中間単位領域A3が有する中間偏光軸PA3は、第2偏光軸PA2の延びる方向が、第1偏光軸PA1の延びる方向に対しなす角度(90°)よりも小さな角度で、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し交差する方向へ延びている。
【0088】
また、調光装置10では、フィルム本体12の厚み方向に対向した状態で配置された2枚の偏光フィルム11A,11Bのうち、偏光フィルム11Aを第1方向へスライドさせる。
【0089】
そのため、
図5(A)に示すように、2枚の偏光フィルム11A,11Bにおいて、第1単位領域A1同士を重ね合わせ、第2単位領域A2同士を重ね合わせ、中間単位領域A3同士を重ね合わせる。こうすることで、重ね合わされた単位領域の偏光軸の延びる方向を平行にし、調光装置10を透過状態にすることができる。
【0090】
また、
図5(D)に示すように、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1と、偏光フィルム11Aの第2単位領域A2とを重ね合わせる。偏光フィルム11Bの第2単位領域A2と、偏光フィルム11Aの第1単位領域A1とを重ね合わせる。偏光フィルム11Bの中間単位領域A3と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とを重ね合わせる。こうすることで、重ね合わされた単位領域の偏光軸の延びる方向を直交させ、調光装置10を遮蔽状態にすることができる。
【0091】
図5(B),(C)に示すように、偏光フィルム11Bの第1単位領域A1と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とを重ね合わせる。偏光フィルム11Bの第2単位領域A2と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とを重ね合わせる。偏光フィルム11Bの中間単位領域A3と、偏光フィルム11Aの中間単位領域A3とを重ね合わせる。こうすることで、重ね合わされた単位領域の偏光軸の延びる方向を斜めに交差させ、調光装置10を半透過状態にすることができる。
【0092】
また、偏光フィルム11Aを第1方向へ10mm程度スライドさせることで、透過状態から遮蔽状態に、又は遮蔽状態から透過状態に切り替えることができる。そのため、例えば、スライドを手動で行う場合には、使い勝手がよい。
【0093】
さらに、偏光フィルム11Aの第1方向へのスライドにより、偏光フィルム11Bの単位領域における偏光軸の延びる方向と、偏光フィルム11Aの単位領域における偏光軸の延びる方向とがなす角度を変更できる。従って、上記半透過状態において、2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量を変化させることができる。
【0094】
また、2枚の偏光フィルム11A,11Bの少なくとも一方を回転させなくてもすむので、光の透過の状態の変化に関与しない余分な部分が発生するのを抑制できる。
(2)本実施形態では、
図1に示すように、各偏光フィルム11A,11Bにおいて、複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3が、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し、互いに異なる角度で交差する方向へ延びる。複数の中間偏光軸PA3のそれぞれが延びる方向と、第1偏光軸PA1の延びる方向とがなす角度が、第1単位領域A1から第2単位領域A2側へ遠ざかるに従い、徐々に増加、又は徐々に減少する。
【0095】
そのため、偏光フィルム11Aのスライドにより、2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量を徐々に増加、又は徐々に減少させることができる。
(3)本実施形態では、
図3及び
図4に示すように、各偏光フィルム11A,11Bにおいて、第1単位領域A1、第2単位領域A2及び中間単位領域A3のそれぞれの単位幅Wが、互いに同一に設定される。第1偏光軸PA1が第1方向へ延び、第2偏光軸PA2が第2方向へ延びる。偏光軸の延びる方向と隣の偏光軸の延びる方向とがなす角度θ1,θ2,θ3が、互いに同一に設定される。
【0096】
そのため、2枚の偏光フィルム11A,11Bの一方における偏光軸の延びる方向と、他方における偏光軸の延びる方向とがなす角度を、重なり合う単位領域における偏光軸の組み合わせ毎に同一にできる。2枚の偏光フィルム11A,11Bを透過する光の量を部位によらず均等にすることができる。
【0097】
(4)第1方向における第2単位領域A2の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とが、仮想線L2を対称軸として線対称の関係を有している。
【0098】
そのため、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸PA3によって、偏光フィルム11A,11B全体の中間偏光軸PA3を構成することができる。また、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸PA3によって、上記(3)の効果を得ることができる。
【0099】
(5)第1方向における第1単位領域A1の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とが、仮想線L1を対称軸として線対称の関係を有している。
【0100】
そのため、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸PA3によって、偏光フィルム11A,11B全体の中間偏光軸PA3を構成することができる。また、傾斜角度について少ない種類の中間偏光軸PA3によって、上記(3)の効果を得ることができる。
【0101】
(6)本実施形態では、
図2に示すように、フィルム本体12をその厚み方向における両側から一対の固定フィルム17によって挟み込んでいる。そのため、フィルム本体12の収縮等の変形を、両固定フィルム17によって規制し、偏光軸の変形を規制することができる。また、両固定フィルム17は樹脂材料によって形成されているため、割れにくく、取り扱い性に優れる。
【0102】
なお、上記実施形態は、これを以下のように変更した変更例として実施することもできる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0103】
・固定フィルム17は、トリアセチルセルロース製のフィルム、所謂TACフィルムに限定されず、TAC代替材料として周知のフィルムを採用することもできる。
・2枚の偏光フィルム11A,11Bの第1方向への相対変位は、同偏光フィルム11A,11Bの少なくとも一方が、第1方向へスライドされることによりなされればよい。従って、上記実施形態のように、偏光フィルム11Aのみがスライドの対象とされてもよいし、偏光フィルム11Bのみがスライドの対象とされてもよい。また、両方の偏光フィルム11A,11Bがスライドの対象とされてもよい。
【0104】
・第1方向における第2単位領域A2の一方側に設けられる中間単位領域A3の数と、他方側に設けられる中間単位領域A3の数とが異なってもよい。
また、第1方向における第1単位領域A1の一方側に設けられる中間単位領域A3の数と、他方側に設けられる中間単位領域A3の数とが異なってもよい。
【0105】
・第1方向における第2単位領域A2の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、線対称の関係を有していなくてもよい。
【0106】
・第1方向における第1単位領域A1の一方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3と、他方側の複数の中間単位領域A3のそれぞれにおける中間偏光軸PA3とは、線対称の関係を有していなくてもよい。
【0107】
・第1単位領域A1及び第2単位領域A2の間に設けられる中間単位領域A3の数が、上記実施形態とは異なる数に変更されてもよい。最小値は「1」である。
・第1単位領域A1の単位幅W、第2単位領域A2の単位幅W、及び中間単位領域A3の単位幅Wのうちの1つ又は2つが他と異なっていてもよい。
【0108】
・第2偏光軸PA2は、第1偏光軸PA1の延びる方向に対し、直交する方向に代えて、斜めに交差(傾斜)する方向へ延びてもよい。
・各偏光フィルム11A,11Bにおいて、偏光軸の延びる方向と、隣の偏光軸の延びる方向とがなす角度θ1,θ2,θ3の1つ又は2つが、他と異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0109】
10…調光装置
11,11A,11B…偏光フィルム
12…フィルム本体
13…フィルム基材
14…溝
15…インク
17…固定フィルム
A1…第1単位領域
A2…第2単位領域
A3…中間単位領域
L1,L2…仮想線
PA1…第1偏光軸
PA2…第2偏光軸
PA3…中間偏光軸
W…単位幅
θ1,θ2,θ3…角度