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特開2024-173361アンモニア漏洩検出装置及びアンモニア漏洩検出方法
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  • 特開-アンモニア漏洩検出装置及びアンモニア漏洩検出方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173361
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】アンモニア漏洩検出装置及びアンモニア漏洩検出方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 13/12 20060101AFI20241205BHJP
   B67D 9/00 20100101ALI20241205BHJP
【FI】
F17C13/12 301Z
B67D9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091730
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】592187534
【氏名又は名称】株式会社 堀場アドバンスドテクノ
(74)【代理人】
【識別番号】100121441
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 竜平
(74)【代理人】
【識別番号】100154704
【弁理士】
【氏名又は名称】齊藤 真大
(74)【代理人】
【識別番号】100206151
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 惇志
(74)【代理人】
【識別番号】100218187
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 治子
(74)【代理人】
【識別番号】100227673
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 光起
(72)【発明者】
【氏名】原田 隆裕
【テーマコード(参考)】
3E083
3E172
【Fターム(参考)】
3E083BB20
3E172AA02
3E172AA06
3E172AB20
3E172BA04
3E172BA06
3E172BD01
3E172DA47
3E172KA03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】実用的な船舶用アンモニア漏洩検出装置を提供する。
【解決手段】アンモニア燃料を収容する燃料タンクFと内燃機関Eとの間を接続し内部にアンモニア燃料を流通させる燃料供給管1の外側周面を取り囲むように配置されて、前記燃料供給管との間に密閉空間を形成する被覆管2であり、前記密閉空間に溶媒を導入する導入口2aと、前記導入口から導入された溶媒を前記密閉空間の外側に導出する導出口2bとが形成された被覆管と、前記導出口から前記密閉空間の外部に排出される前記溶媒中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計4とを備えることを特徴とする船舶用アンモニア漏洩検出装置100。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンモニア燃料を収容する燃料タンクと内燃機関との間を接続し内部にアンモニア燃料を流通させる燃料供給管の外側周面を取り囲むように配置されて、前記燃料供給管との間に密閉空間を形成する被覆管であり、前記密閉空間に溶媒を導入する導入口と、前記導入口から導入された溶媒を前記密閉空間の外側に導出する導出口とが形成された被覆管と、
前記導出口から前記密閉空間の外部に排出される前記溶媒中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計とを備えることを特徴とする船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項2】
前記アンモニア濃度計が、前記密閉空間内又は前記密閉空間の下流に設けられた排出流路上に設けられている、請求項1に記載の船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項3】
前記アンモニア濃度計として、前記導入口から前記密閉空間に導入される溶媒中のアンモニア濃度を測定する第1のアンモニア濃度計と、
前記導出口から前記密閉空間の外部に導出される溶媒中のアンモニア濃度を測定する第2のアンモニア濃度計と、
前記第1のアンモニア濃度計からの出力信号と前記第2のアンモニア濃度計による出力信号とに基づいて前記燃料供給管から漏洩するアンモニアの濃度を算出する算出部とを備える、請求項1に記載の船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項4】
前記アンモニア濃度計が、導電率計及びpH計のうちの何れか一種以上である、請求項1~3の何れか一項に記載の船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項5】
前記溶媒が液体であり、
前記密閉空間内が前記溶媒によって充填されている、請求項1に記載の船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項6】
前記アンモニア濃度計によって測定されるアンモニア濃度に基づいてアンモニアが漏洩しているかどうかを判断する判断部をさらに備え、
前記判断部によりアンモニアが漏洩していると判断された場合に警告を発する報知部をさらに備える、請求項1に記載の船舶用アンモニア漏洩検出装置。
【請求項7】
アンモニア燃料を収容する燃料タンクと内燃機関との間を接続して内部にアンモニア燃料を流通させる燃料供給管と、前記燃料供給管の外側周面を取り囲むように配置された被覆管との間に形成された密閉空間の内部に、前記被覆管に形成された導入口及び導出口を介して溶媒を流通させ、
前記導出口から前記密閉空間の外部に排出される前記溶媒中のアンモニア濃度を測定することを特徴とする船舶用アンモニア漏洩検出方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、船舶の燃料として用いるアンモニアの漏洩を検出するアンモニア漏洩検出装置及びアンモニア漏洩検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
アンモニアは、カーボンフリーの燃料であり、またLMG等の液化天然ガスに比べて取り扱いやすいことから船舶の燃料としての使用が検討されている(特許文献1)。
【0003】
アンモニアが船内で漏洩すると人体への悪影響が懸念されるため、アンモニアを収容する燃料タンクから内燃機関までを接続する配管から船内及び船外にアンモニアが漏れ出さないようにする必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6859475号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
アンモニア漏洩に対する対策としては、配管からアンモニアが漏れ出た場合を想定して、内部にアンモニア燃料が流れる燃料供給管と、該燃料供給管の外側周面を覆うものであり、燃料供給管との間に密閉空間を形成する被覆管を設けて、アンモニアが直接船内や船外に漏れ出ないようにすることが考えられる。
【0006】
しかしながら、ようやく前述したような対策が考えられ始めているのが現状であり、燃料供給管からのアンモニアの漏出を検出することができる装置については未だ開発が進んでいない。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、実用的な船舶用アンモニア漏洩検出装置を提供することを主な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置は、アンモニア燃料を収容する燃料タンクと内燃機関との間を接続する配管であり内部にアンモニア燃料を流通させる燃料供給管の外側周面を取り囲むように配置されて、前記燃料供給管との間に密閉空間を形成する被覆管を備えるものである。前記被覆管には前記密閉空間に溶媒を導入する導入口と、前記導入口から導入された溶媒を前記密閉空間の外側に導出する導出口とが形成されており、本発明に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置は、前記導出口から排出される前記溶媒中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計を備えている。
【0008】
本発明の具体的な実施態様としては、前記溶媒が水を含有する液体であり、前記アンモニア濃度計として、前記導入口に導入される溶媒中のアンモニア濃度を測定する第1のアンモニア濃度計と前記導出口から導出される溶媒中のアンモニア濃度を測定する第2のアンモニア濃度計とを備え、前記第1のアンモニア濃度計による検出値と前記第2のアンモニア濃度計による検出値とに基づいて前記燃料供給管からのアンモニアの漏洩量を算出する算出部とを備えるものを挙げることができる。
【0009】
前記アンモニア濃度計としては、導電率計及びpH計のうちの何れか一種以上を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、実用的な船舶用アンモニア漏洩検出装置を提供することができる。
このような装置により、例えば、連続的にアンモニアの漏洩を監視し続けることによって、アンモニアが漏洩した際に、アンモニアが漏洩している燃料供給管の使用をすぐに停止するなどの適切な安全対策を講じることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置の全体模式図。
図2】本発明の他の実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置の全体模式図。
図3】本発明の他の実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置の全体模式図。
図4】本発明の他の実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置の全体模式図。
図5】本発明の他の実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置の全体模式図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0013】
<第1実施形態>
本実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置100は、例えば、図1に示すように、燃料タンクFから内燃機関Eまでの間を接続して、前記内燃機関Eにアンモニア燃料を供給するための燃料供給管1の外側周面を覆うように配置されて前記燃料供給管1の外面との間に密閉空間Sを形成する被覆管2を備えている。
【0014】
該被覆管2には前記密閉空間Sに溶媒を導入するための導入口2aと前記密閉空間Sから溶媒を導出する導出口2bとが形成されている。
そして、船舶用アンモニア漏洩検出装置100は、前記導入口2a及び導出口2bを経由して前記密閉空間S内に溶媒を流通させる溶媒流通機構3と前記導出口2bから導出される溶媒中のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計4とをさらに備えている。
【0015】
前記被覆管2は、円筒状の燃料供給管1の外側周面を被覆するように設けられたものであり、その内径が燃料供給管1の外径よりも大きい、例えば、円筒状の管である。燃料供給管1と被覆管2との間の密閉空間Sは、この密閉空間Sを燃料供給管1の長さ方向(軸方向)に垂直な面で切った断面が、例えば、ドーナツ状になるように形成されている。被覆管2は燃料供給管1の長さ方向において燃料供給管1の少なくとも一部を被覆していればよく、全部を被覆していても良い。
【0016】
前記溶媒は、燃料供給管1から密閉空間Sへ漏出したアンモニアを輸送できるものであればよく、特に限定されない。前記溶媒はアンモニアと化学反応を起こさないものであることが好ましく、毒性がなく取り扱い安いものであることがより好ましい。具体的には、アンモニアを溶解することができる水等を含む液体を広く使用することができる。
【0017】
前記溶媒流通機構3は、例えば、前記導入口2aに接続されて前記密閉空間Sに溶媒を供給する溶媒供給流路31と、前記導出口2bに接続されて前記密閉空間Sから溶媒を外部に排出する排出流路32と、前記溶媒供給流路31又は前記排出流路32を流れる溶媒の流れを制御する制御機器33と、前記制御機器33の動作を制御する流通制御部(不図示)とを備えるものである。
【0018】
アンモニア濃度計4は、アンモニア濃度を測定できるものであれば良いが、前記溶媒が液体の場合には、アンモニアが溶媒に溶解することによる導電率の変化からアンモニア濃度を測定可能な導電率計や、アンモニアが溶媒に溶解することによるpHの変化からアンモニア濃度を測定可能なpH計等を用いることが好ましい。
アンモニア濃度計4は、前記排出流路32を流れる溶媒に接触するように前記排出流路32上に設けられている。
なお、溶媒が液体である場合には被覆管2内の密閉空間Sが溶媒によって隙間なく充填されていることが好ましい。密閉空間Sが溶媒で満たされていることにより、船舶が大きく揺れた場合であっても溶媒中に気泡が発生しにくく、気泡の発生によるアンモニア濃度測定への悪影響を抑制することができるからである。
【0019】
<第1実施形態による効果>
このように構成した船舶用アンモニア漏洩検出装置100によれば、アンモニア燃料を内燃機関Eに供給する燃料供給管1からのアンモニアの漏洩を監視することができる。
また、前述した被覆管2を複数設けて、各被覆管2に対してそれぞれアンモニア濃度計4を設けるようにすれば、燃料供給管1のどの位置からアンモニアが漏洩しているのかについても検出することができる。
アンモニア濃度計4を、前記排出流路32を流れる溶媒に接触するように配置しているので、連続的にアンモニア濃度を測定して、リアルタイムでアンモニア漏洩を検出することが可能である。
【0020】
アンモニアが漏洩しているかどうかを判断する方法としては、例えば、アンモニア濃度計4から出力されるアンモニア濃度が予め設定された閾値を超えた場合にアンモニアが漏洩したことを判断する判断部(不図示)を備えるものとしても良い。
アンモニアの漏洩が検出された場合には、アンモニア濃度の測定結果やアンモニアが漏洩していることを表示部(不図示)に表示したり、音や光などを発することによって船内又は船外の人員にアンモニアが漏洩した旨の警告を発する報知部(不図示)をさらに備えるものとしても良い。また、前記報知部は、人員に警告を発するのみならず、船内又は船外の関連装置に対してアンモニアが漏洩した旨の警告(警告信号)を送信する機能を担うものとしても良い。
【0021】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置100は、図2に示すように、前述した第1実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置100が備えるアンモニア濃度計4を、例えば、前記導出口2bから前記被覆管2の内部に挿入する等により、アンモニア濃度計4を前記被覆管2の内部に設けて、前記導出口2bから排出流路32に排出される溶媒中のアンモニア濃度を測定するものとしても良い。
【0022】
<第3実施形態>
本実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置100は、図3に示すように、前記密閉空間Sに流通させる溶媒を水又は水を含む水溶液とし、導出口2bから排出された溶媒を排出流路32によって溶媒タンク7に導き、この溶媒タンク7から溶媒供給流路31によって導入口2aに溶媒を還流させるものである。このように溶媒を還流させるものとすれば、船舶に積載しておく溶媒の量を減らすことができる。この実施形態の場合には、導出口2bから排出流路32を経由して溶媒タンク7に一度排出された後の溶媒を溶媒タンク7から導入口2aへと導く溶媒供給流路31上にアンモニア濃度計を設けて、導入口2aから密閉空間Sに導入される前の溶媒のアンモニア濃度を測定するように構成しても良い。
【0023】
<第4実施形態>
本実施形態に係る船舶用アンモニア漏洩検出装置100は、図4に示すように、第3実施形態で説明した構成に加えて、導出口2bから排出流路32を介して溶媒タンク7に流れこむ前の溶媒のアンモニア濃度を排出流路32上で測定するアンモニア濃度計4をさらに備えている。すなわち、導入口2aから密閉空間Sへ溶媒供給流路31を介して導入される溶媒のアンモニア濃度と、導出口2bから密閉空間Sの外へ排出される溶媒のアンモニア濃度を両方とも連続して測定できるように構成している。このような構成により、導入口2aにおけるアンモニア濃度と導出口2bにおけるアンモニア濃度とをリアルタイムで経時的に比較して簡単にアンモニアの漏洩を検出することができる。
【0024】
また、このような構成であれば、それぞれのアンモニア濃度計4においてそれぞれアンモニア濃度を算出しなくても、前述した2か所にそれぞれ配置されたアンモニア濃度計4の出力信号の差等の相関関係を検出するだけでアンモニアが漏出しているか否かを検出することができる。アンモニア濃度計4として、導電率計やpH計のような安価でメンテナンスが簡単な測定装置を用いることが好ましい。より簡単な構成とするためには、同一種類のアンモニア濃度計4を2つ備えるものとし、前述した2か所の検出場所におけるこれら同一種類のアンモニア濃度計4からの出力信号の相関関係を検出するものとすることが好ましい。この場合には、様々な濃度のアンモニアを含有する溶媒を用いて、これら2か所で測定した場合の各アンモニア濃度計における出力信号の相関関係式等を予め求めておけばよい。
【0025】
前述した2か所におけるアンモニア濃度計4の出力信号に基づいて、これらの相関関係を算出する算出部(不図示)をさらに備えるものとしても良い。また、算出部によって算出された相関関係に基づいてアンモニアの漏洩が発生したか否かを判断部(不図示)が判断するものとしても良い。さらに前述した相関関係式等を記憶する記憶部(不図示)を備えるものとしても良い。
【0026】
導出口2bから排出された溶媒のアンモニア濃度を測定するアンモニア濃度計4の下流側に切換え弁8を設けて、溶媒が流れる流路を前述した溶媒タンク7に向かう排出流路32と排出流路32から導入口2aに向かう溶媒供給流路31上に配置されたアンモニア濃度計4に向かう溶媒供給流路31との間で切り替え可能に構成するものとしても良い。このような構成により、溶媒中にアンモニアの漏洩がある場合にのみ、その溶媒を溶媒タンク7へ送り込むなどの操作が可能となる。
【0027】
さらに排出流路32上の前記アンモニア濃度計4と切換え弁8との間にアンモニアを吸着して除去するアンモニア除去部9を備えるものとしても良い。
前記アンモニア除去部9は、溶媒からアンモニアを除去できるものであれば良く、第2実施形態において説明したようなアンモニア回収タンク5とアンモニア中和機構6とを備えるものであっても良いし、イオン交換樹脂等であっても良い。できるだけ省スペース化するためには、前記アンモニア除去部9がイオン交換樹脂を備えるものであることが好ましい。このような構成によれば燃料供給管1からアンモニアが漏洩して溶媒中にアンモニアが含まれる場合であっても、溶媒を再生して使用することができるので、船舶に積載しておく溶媒の量をさらに減らすことができる。
【0028】
<第5実施形態>
第4実施形態で説明したアンモニア除去部9として、例えば、アンモニアを吸着可能なイオン交換樹脂等のアンモニア吸着能が飽和してしまう性質のものを使用する場合には、例えば図5に示すように、アンモニア除去部9に複数のイオン交換樹脂を並列につなげて配置し、アンモニア吸着量を確保するものとしても良い。これら並列に設けられた流路には、これら流路のうちいずれのイオン交換樹脂に溶媒を流すかを選択することができる開閉弁10等を設けるものとしても良い。
【0029】
また、図5に示すように、複数の被覆管2を直列に接続して、これらの被覆管2のうち上流側の被覆管への導入口2aに導入される溶媒のアンモニア濃度を測定できる位置及び下流側の被覆管2の導出口2bから導出される溶媒のアンモニア濃度を測定できる位置にアンモニア濃度計4を配置すればよい。図5を用いてより具体的に説明すると、例えば、接続流路34によって直列に接続されている複数の被覆管2のうち、一番上流側の被覆管2の導入口2aに接続されている溶媒供給流路31上と一番下流側の被覆管2の導出口2bに接続されている排出流路32上にそれぞれアンモニア濃度計4を設けるものとしても良い。
このようにすれば、使用するアンモニア濃度計4の数を減らして、部品交換やメンテナンスの手間をできるだけ減らすことが可能である。
【0030】
さらに、この実施形態のように液体の溶媒を用いる場合には、図5に示すように、被覆管2の下に被覆管2から漏出する溶媒を受け止めるための溶媒受け部11をさらに備えるものとして、より安全性を高めるものとしても良い。前記溶媒受け部11に漏液センサを設けて、被覆管2から外部への溶媒の漏出を検知できるものとすることもできる。
【0031】
本発明は前記実施形態に限られるものではない。
例えば、前記導出口の下流であって前記排出流路の上流にこれらに接続されるように設けられたアンモニア回収タンク5をさらに備えるものとしてもよい。
このように構成した船舶用アンモニア漏洩検出装置によれば、燃料供給管1から溶媒中にアンモニアが漏洩した場合であっても、アンモニア回収タンクにおいて一旦アンモニアを回収することができる。
アンモニアを回収した後の回収液をより安全に外部に排出するために、前記アンモニア回収タンクの下流に設けられた排出流路32上にアンモニア濃度計4をさらに備えるものとしても良い。
前述した各実施形態や変形実施形態の一部又は全部を適宜組み合わせてもよく、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0032】
100・・・船舶用アンモニア漏洩検出装置
F ・・・燃料タンク
E ・・・内燃機関
1 ・・・燃料供給管
2 ・・・被覆管
S ・・・密閉空間
2a ・・・導入口
2b ・・・導出口
3 ・・・溶媒流通機構
31 ・・・溶媒供給流路
32 ・・・排出流路
4 ・・・アンモニア濃度計
7 ・・・溶媒タンク
8 ・・・切換え弁
9 ・・・アンモニア除去部
10 ・・・開閉弁
11 ・・・溶媒受け部

図1
図2
図3
図4
図5