(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173363
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】自動発払装置、マーク誤記入判定方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G07C 13/00 20060101AFI20241205BHJP
G06K 17/00 20060101ALI20241205BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G07C13/00 A
G06K17/00 032
G06K7/14 060
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091733
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉川 裕次
(72)【発明者】
【氏名】高野 豊
【テーマコード(参考)】
3E138
【Fターム(参考)】
3E138AA02
3E138CA02
3E138CB03
3E138GA01
3E138HA01
3E138KA04
(57)【要約】
【課題】利用者へのマークカードの正常な記入を促進させる。
【解決手段】自動発払装置10の制御部11は、マークカード6から画像データを取得し、画像データからマークカード6の記入欄に記入されたマークの黒のドットを抽出して、ドットの数と第1の閾値との比較によるマーク有無の検出を行い、ドットの数が第1の閾値未満の場合にマークなしを検出する。また、制御部11は、マークなしを検出した場合、ドットの数と、第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、ドットの数が第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出する。さらに、制御部11は、マーク誤記入ありと検出された記入欄に対し、ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定し、誤記入のマークp1、p2、p3の種別にもとづいて、ガイダンス画面の表示等によるマークカード記入の案内を行う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
マークカードをスキャンして画像データを取得し、
前記画像データから記入欄に記入されたマークのドットを抽出して、前記ドットの数と第1の閾値とを比較して、前記ドットの数が前記第1の閾値未満の場合にマークなしを検出し、
前記マークなしを検出した場合、前記ドットの数と、前記第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、前記ドットの数が前記第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出し、
前記マーク誤記入ありと検出された前記記入欄に対し、前記ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定し、前記マーク誤記入の種別にもとづいてマークカード記入の案内を行う制御部、
を有する自動発払装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記マーク誤記入の種別の判定として、
前記記入欄の縦方向に連続する前記ドットの数が所定数より少ない場合にマークの長さ不足と判定し、
前記記入欄の横方向に連続する前記ドットの数が所定数より少ない場合にマークの太さ不足と判定し、
前記記入欄に対して前記ドットの連続数が所定数より少ない場合にマークの濃さ不足と判定する、
請求項1記載の自動発払装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ドットの数と、前記第2の閾値とを比較し、前記ドットの数が前記第2の閾値未満の場合は、マーク検出範囲を所定倍率に拡大し、
拡大した範囲に対して前記ドットの数と、前記第2の閾値とを再度比較して、前記ドットの数が前記第2の閾値以上の場合は、前記マーク誤記入の種別の判定として、前記記入欄に対するマークの位置ずれと判定する、
請求項1記載の自動発払装置。
【請求項4】
前記制御部は、拡大した範囲に対して前記ドットの数と、前記第2の閾値とを比較して、前記ドットの数が前記第2の閾値未満の場合は、前記記入欄に対してマークの未記入と判定する、請求項3記載の自動発払装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記マーク誤記入があった場合、前記マーク誤記入の種別と、マーク正常記入とを対比させたガイダンス画面を表示する、
請求項1記載の自動発払装置。
【請求項6】
コンピュータが、
マークカードをスキャンして画像データを取得し、
前記画像データから記入欄に記入されたマークのドットを抽出して、前記ドットの数と第1の閾値とを比較して、前記ドットの数が前記第1の閾値未満の場合にマークなしを検出し、
前記マークなしを検出した場合、前記ドットの数と、前記第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、前記ドットの数が前記第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出し、
前記マーク誤記入ありと検出された前記記入欄に対し、前記ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定し、
前記マーク誤記入の種別にもとづいてマークカード記入の案内を行う、
マーク誤記入判定方法。
【請求項7】
コンピュータに、
マークカードをスキャンして画像データを取得し、
前記画像データから記入欄に記入されたマークのドットを抽出して、前記ドットの数と第1の閾値とを比較して、前記ドットの数が前記第1の閾値未満の場合にマークなしを検出し、
前記マークなしを検出した場合、前記ドットの数と、前記第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、前記ドットの数が前記第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出し、
前記マーク誤記入ありと検出された前記記入欄に対し、前記ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定し、
前記マーク誤記入の種別にもとづいてマークカード記入の案内を行う、
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動発払装置、マーク誤記入判定方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
競馬、競輪、競艇、オートレース等の公営競技場や場外投票券売場等には自動発払装置が設置されている。自動発払装置では、投票内容が記入されたマークカードの読取を行う場合、マークカード全体をイメージセンサで読み取り、二値化された画像(白黒のイメージ画像)からマークの記入箇所を検出することで投票内容を受け付けている。
【0003】
マークカードへのマークの記入は、所定の記入欄を利用者が塗りつぶすことで行われる。また、自動発払装置は、イメージ画像の検出範囲に、黒のドットの数が閾値以上あるかないかでマークの検出を行う。記入欄に対して正しくマークを記入しないと、ドットの数が閾値未満となってマーク記入なしと判定され、記入エラーとしてマークカードが返却される。
【0004】
関連技術としては、例えば、マークカードに記載された投票情報を読み取り、読み取った投票情報にもとづいてマークカードの誤記を検出し、誤記を検出した箇所に強調表示印刷をする技術が提案されている。(特許文献1)。また、マークシートのマーク欄から黒のドット数の割合の値を示すヒストグラムを作成し、ヒストグラム中で閾値以上である領域を特定して、マーク欄の縦横の座標の認識を行う技術が提案されている。(特許文献2)。さらに、マークシートに記入誤りがあると判定された場合、記入誤りを訂正するガイダンスを操作表示部に表示する技術が提案されている(特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2016-118839号公報
【特許文献2】特開2004-272607号公報
【特許文献3】特開平07-239959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来では、マーク誤記入の種別(例えば、マークの線が規定よりも細い、短い等)の判定が行われておらず、ドット数が閾値未満の場合はすべてマーク記入なしと同様に判定されている。このため、マーク誤記入の種別にかかわらず、単に記入エラーとしてマークカードの返却が行われるので、返却されたカードを記入した本人が見直しても、記入エラーとなった理由を容易に判断できない。
【0007】
1つの側面では、本発明は、マーク誤記入の種別を判定して利用者へのマークカードの正常な記入を促進させることを可能にした自動発払装置、マーク誤記入判定方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、自動発払装置が提供される。自動発払装置は、マークカードをスキャンして画像データを取得し、画像データから記入欄に記入されたマークのドットを抽出して、ドットの数と第1の閾値とを比較して、ドットの数が第1の閾値未満の場合にマークなしを検出し、マークなしを検出した場合、ドットの数と、第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、ドットの数が第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出し、マーク誤記入ありと検出された記入欄に対し、ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定し、マーク誤記入の種別にもとづいてマークカード記入の案内を行う制御部を有する。
【0009】
また、上記課題を解決するために、コンピュータが上記自動発払装置と同様の制御を行うマーク誤記入判定方法が提供される。
さらに、上記課題を解決するために、コンピュータに上記自動発払装置と同様の制御を実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
1側面によれば、利用者へのマークカードの正常な記入を促進させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】自動発払装置の一例を説明するための図である。
【
図3】自動発払装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図4】マークカードの記入欄の一例を示す図である。
【
図5】マークカードの正常記入の一例を示す図である。
【
図6】マークカードの誤記入の一例を示す図である。
【
図7】マーク判定の処理から判定結果にもとづく処理が行われるまでの動作の一例を示すフローチャートである。
【
図8】場名の記入欄に対するマーク判定の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図9】自動発払装置のガイダンス画面の一例を説明するための図である。
【
図10】自動発払装置のガイダンス画面の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお、本明細書および図面において実質的に同一の機能を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する場合がある。
【0013】
図1は自動発払装置の一例を説明するための図である。自動発払装置10は、マークカード6に記入された投票内容にもとづいて、公営競技等の投票を処理する装置である。自動発払装置10は制御部11を備える。制御部11の機能は、自動発払装置10が備える図示しないプロセッサが、所定のプログラムを実行することによって実現することができる。
【0014】
〔ステップS1〕制御部11は、マークカード6をスキャンして二値化された画像データ(白黒の画像データ)を取得する。
〔ステップS2〕制御部11は、画像データからマークカード6の記入欄に記入されたマークの黒のドットを抽出して、ドットの数と第1の閾値との比較によるマーク有無の検出を行い、ドットの数が第1の閾値未満の場合にマークなしを検出する。
【0015】
〔ステップS3〕制御部11は、マークなしを検出した場合、ドットの数と、第1の閾値を低減させた第2の閾値とを比較し、ドットの数が第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出する。
【0016】
〔ステップS4〕制御部11は、マーク誤記入ありと検出された記入欄に対し、ドットの状態にもとづいてマーク誤記入の種別を判定する。マーク誤記入の種別としては、正常記入のマークp0に対して、マークの長さ不足(マークが短い)である誤記入のマークp1、マークの太さ不足(マークが細い)である誤記入のマークp2、マークの濃さ不足(マークの色が薄い:
図1ではマークの色が薄いことを斜線で示している)である誤記入のマークp3などがある。
【0017】
〔ステップS5〕制御部11は、誤記入のマークp1、p2、p3の種別にもとづいて、ガイダンス画面の表示等によるマークカード記入の案内を行う。
このように、自動発払装置10は、マークカードの画像データから第1の閾値にもとづいてマークなしを検出した場合、第1の閾値を低減させた第2の閾値を設定し、ドットの数が第2の閾値以上の場合にマーク誤記入ありと検出する。
【0018】
そして、マーク誤記入ありと検出された記入欄に対し、ドットの状態から判定したマーク誤記入の種別にもとづいて、利用者に向けてマークカード記入の案内を行う。これにより、マーク誤記入の種別を判定して利用者へのマークカードの正常な記入を促進させることが可能になる。
【0019】
<システム構成>
図2は投票システムの構成の一例を示す図である。投票システム100は、自動発払装置10と、ホストコンピュータ30とがネットワークN1を介して接続する構成を有する。なお、投票システム100は、複数の自動発払装置10や複数のホストコンピュータ30を備えることができる。投票システム100は、競馬、競輪、競艇、オートレース等の公営競技の投票を処理するシステムである。以下の説明において、公営競技の一例として競馬を挙げて説明するが、その他の公営競技であってもよい。
【0020】
自動発払装置10は、利用者から現金とマークカードを受け付け、投票券を販売する装置である。また、自動発払装置10は、マークカードを投入される代わりにタッチパネル27を介して投票内容の入力を受け付けることで、投票券を販売することもできる。
【0021】
また、自動発払装置10は、投票内容やチャージ金額等の記録を照合できるICカードを利用して、キャッシュレスで投票を行うこともできる装置であってもよい。さらに、自動発払装置10は、的中投票券を受け付け、的中した金額の払い戻しを行う装置である。
【0022】
自動発払装置10は、マークカード出入口21と、硬貨出入口22と、券/レシート排出口23と、紙幣出入口24と、集計カード読取部25と、的中券挿入口26と、タッチパネル27と、ディスプレイ28とを備える。なお、自動発払装置10は、会員カード読取部を備えるが、記載を省略する。
【0023】
マークカード出入口21は、利用者が投票したい内容を記入したマークカードの投入口である。なお、マークカード出入口21は、マークカードのマークに誤記(マークミス)がある場合には、マークカードを返却するための排出口となる。
【0024】
硬貨出入口22は、硬貨の投入口であり、返却する硬貨または釣銭の排出口でもある。券/レシート排出口23は、発券された投票券、レシートの排出口である。なお、レシートは、会員カードを利用してキャッシュレスで投票を行った場合に、投票券の発行ではなく購入の控えとして発行されるものである。紙幣出入口24は、紙幣の投入口であり、返却する紙幣の排出口でもある。
【0025】
集計カード読取部25は、挿入される集計カードを受け付け、集計カードから金額(集計カード内にチャージされた金額)を含む情報を読み取る。集計カードは、会員カードとは異なり、利用者の会員登録および口座登録が不要なカードであり、現金をチャージすることが可能なカードである。
【0026】
集計カードは接触型カードであり、集計カード読取部25が挿入口から挿入された集計カードに記憶された情報を読み取る。なお、集計カードは、非接触型のカードであってもよい。また、集計カード読取部25は、接触型カードの読み取り機能だけでなく、非接触型カードの読み取り機能を備えることができる。
【0027】
的中券挿入口26は、利用者が的中した投票券(的中券)を投入する挿入口である。自動発払装置10は、的中券挿入口26から挿入された的中券に印刷された情報を読み取り、ホストコンピュータ30から取得した各種情報(レース情報、オッズ情報)にもとづき払戻金額を算出し、払戻金額を利用者に払い戻す。
【0028】
ディスプレイ28は、タッチパネル27の下層に配置されており、操作案内、レース案内、マークカードの投票等の情報を表示する。タッチパネル27は、透過型のタッチパネルであり、各種の入力や投票内容の修正等の際に操作される。ディスプレイ28により表示された情報は、タッチパネル27を透過して、利用者から視認可能である。利用者は、ディスプレイ28によって表示された情報を見ながら、タッチパネル27に対するタッチ操作を行うことができる。
【0029】
ホストコンピュータ30は、システム全体を管理する管理装置であり、自動発払装置10とネットワークN1を介して通信を行う。ホストコンピュータ30は、自動発払装置10に対し、投票券の発券や投票券の払い戻し等を管理するとともに、オッズの計算等を行う。また、ホストコンピュータ30は、自動発払装置10からマークカードに格納された情報を受け取り、投票に必要な処理を行う。また、ホストコンピュータ30は、自動発払装置10に対し、各場の出走情報やレース情報を送信する。
【0030】
ネットワークN1は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク、あるいは、それらが混在するネットワークである。ネットワークN1は、有線ネットワークだけでなく、無線ネットワーク等も含む。
【0031】
<ハードウェア構成>
図3は自動発払装置のハードウェア構成の一例を示す図である。自動発払装置10は、制御部11、ディスプレイ28、タッチパネル27、紙幣還流ユニット112、硬貨還流ユニット113、券/レシート印刷ユニット114、可搬型記録ユニット115、マークカード読取ユニット116、集計カード読取ユニット117、および的中券読取ユニット118を備える。
【0032】
制御部11は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス107を介してRAM(Random Access Memory)102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、またはPLD(Programmable Logic Device)であってもよい。またプロセッサ101は、CPU、MPU、DSP、ASIC、PLDのうちの2以上の要素の組み合せであってもよい。
【0033】
RAM102は、自動発払装置10の主記憶装置として使用される。RAM102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、RAM102には、プロセッサ101による処理に必要な各種データが格納される。
【0034】
バス107に接続されている周辺機器としては、HDD(Hard Disk Drive)103、通信インタフェース104、グラフィック処理ユニット105および入出力インタフェース106がある。
【0035】
HDD103は、内蔵したディスクに対して、磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。HDD103は、自動発払装置10の補助記憶装置として使用される。HDD103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、補助記憶装置としては、フラッシュメモリ等の半導体記憶装置を使用することもできる。
【0036】
通信インタフェース104は、ネットワークN1に接続されている。通信インタフェース104は、ネットワークN1を介して、ホストコンピュータ30等の機器との間でデータの送受信を行う。
【0037】
グラフィック処理ユニット105には、ディスプレイ28が接続されている。グラフィック処理ユニット105は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をディスプレイ28に表示させる。ディスプレイ28としては、CRT(Cathode Ray Tube)を用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0038】
入出力インタフェース106には、タッチパネル27、紙幣還流ユニット112、硬貨還流ユニット113、券/レシート印刷ユニット114、可搬型記録ユニット115、マークカード読取ユニット116、集計カード読取ユニット117および的中券読取ユニット118が接続されている。また、入出力インタフェース106は、可搬型記録ユニット115に対する情報の書き込みおよび読み出しが可能な可搬型記録媒体インタフェースと接続可能になっている。
【0039】
入出力インタフェース106は、タッチパネル27、紙幣還流ユニット112、硬貨還流ユニット113、券/レシート印刷ユニット114、可搬型記録ユニット115、マークカード読取ユニット116、および集計カード読取ユニット117から送られてくる信号を、バス107を介してプロセッサ101に送信する。また、入出力インタフェース106は、プロセッサ101から送られてくる制御信号を、バス107を介して対応するユニットへ送信する。
【0040】
紙幣還流ユニット112は、紙幣の受け入れ、紙幣の真贋の鑑別、紙幣の収納、紙幣の返却、釣札の排出を行う。硬貨還流ユニット113は、硬貨の受け入れ、硬貨の真贋の鑑別、硬貨の収納、硬貨の返却、釣銭の排出を行う。券/レシート印刷ユニット114は、投票内容にもとづき、投票券、レシートを印刷し発行する。
【0041】
マークカード読取ユニット116は、マークカードから投票内容を読み取るユニットである。また、マークカード読取ユニット116は、マークカードの受け入れ、マークカードの排出を行う。集計カード読取ユニット117は、集計カードから残金等を含む情報を読み取るユニットである。的中券読取ユニット118は、的中券の受け入れ、的中券の読み取りを行う。
【0042】
以上のようなハードウェア構成によって、自動発払装置10の処理機能を実現できる。自動発払装置10は、例えば、読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、本発明の処理機能を実現する。自動発払装置10に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。
【0043】
例えば、自動発払装置10に実行させるプログラムをHDD103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、HDD103内のプログラムの少なくとも一部をRAM102にロードし、プログラムを実行する。また自動発払装置10に実行させるプログラムを、光ディスク、メモリ装置、メモリカード等の可搬型記録ユニット115に記録しておくこともできる。
【0044】
可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、HDD103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。
【0045】
<マークカードの記入欄>
図4はマークカードの記入欄の一例を示す図である。マークカード記入前の状態を示している。マークカード6は、マークシート方式で記入するカードである。なお、マークカード6について、公営競技として競馬の例を用いて説明する。
【0046】
競馬の場合、投票対象は出走馬(以下、単に馬と記載)であり、それぞれの馬には、投票対象の番号として馬番号が設定されている。また、1または複数の馬に対し「枠」が割り当てられており、利用者は馬番号または枠番号を用いて投票を行う。マークカード6は、馬番号等の投票に必要な事項をマークし、投票するために用いられる。
【0047】
マークカード6は、前日発売610、場名611、レース番号612、式別613、組番(馬番、枠番)・金額・単位を記入する欄620、630の項目を含む。各項目は、投票券の購入に応じたマークが記入される。
【0048】
なお、マークカード6には、様々な種類があり、マークカード6に表示された文字や図形、マークカード6の色、マークカード6に付されたバーコードなどによって区別される。マークカード6は、カードの種類ごとに、項目、マークを記入すべき座標、項目ごとのマーク箇所を含む領域、強調表示の印刷や非強調表示の印刷をする座標(カード座標)等が定まり、これらの情報は自動発払装置10のHDD103等に格納される。
【0049】
前日発売610は、前日や前々日から投票券を購入する場合にマークする項目である。場名611は、投票対象のレースが行われる場を示す項目であり、1箇所マークする。場名611のA、B、C、D、E、F、G、H、I、Jそれぞれは、例えば、中山、東京、京都、阪神、福島、新潟、中京、小倉、札幌、函館である。レース番号612は、投票対象のレースの番号を示す項目であり、1箇所マークする。
【0050】
式別613は、投票の式別(賭式の種別)を示す項目であり、1箇所マークする。組番(馬番、枠番)・金額・単位を記入する欄620、630は、1着・1頭目621、631と、2着・2頭目622、632と、3着・3頭目623、633と、金額624、634と、単位625、635と、取消626、636との項目を含む。なお、欄620または欄630で、1点の投票内容となる。
【0051】
1着・1頭目621、631と、2着・2頭目622、632と、3着・3頭目623、633とは、式別613で「枠連」をマークした場合は、枠番号を1箇所マークする項目である。式別613で「枠連」以外をマークした場合は、馬番号を1箇所マークする項目である。
【0052】
金額624、634と単位625、635とは、投票券を購入したい金額をマークする項目である。例えば、1500円の投票券を購入する場合、金額624、634で「10」と「5」をマークし、単位625、635で「百円」をマークする。金額624、634は、複数箇所マークできる項目である。単位625、635は、1箇所マークする項目である。
【0053】
取消626、636は、その行に記入されたものは全て無効とする場合にマークする項目である。たとえば、取消626をマークした場合、組番(馬番、枠番)・金額・単位を記入する欄620に含まれる項目でマークミスをしていても、取り消し処理が行われるため、マークミスか否かの判定はされない。また、取消626をマークした場合、組番(馬番、枠番)・金額・単位を記入する欄620に含まれる項目に記載した内容の投票券は発行されない。
【0054】
<マークカードの正常記入および誤記入>
図5はマークカードの正常記入の一例を示す図である。マークカード6の記入として、場名611にはBの“東京”、レース番号612には“1”、式別613には“馬連”、1ベット目の1着・1頭目621には“1”、2着・2頭目622には“2”、金額624には“1”、単位625には“百円”がマークされている。
図5の例では、各記入欄の形が正しく塗りつぶされており、マークカード6に対してマークが正常に記入されている。
【0055】
図6はマークカードの誤記入の一例を示す図である。マークカード6の記入として、場名611にはBの“東京”、レース番号612には“1”、式別613には“馬連”、1ベット目の1着・1頭目621には“1”、2着・2頭目622には“2”、金額624には“1”、単位625には“百円”がマークされている。さらに、2ベット目の1着・1頭目631には“3”、2着・2頭目632には“4”、金額634には“1”、単位635には“百円”がマークされている。
【0056】
ただし、
図6に示す記入例において、1ベット目の2着・2頭目622の“2”、2ベット目の1着・1頭目631の“3”、金額634の“1”および単位635の“百円”は、マーク誤記入である。
【0057】
具体的には、記入欄に対して、1ベット目の2着・2頭目622の“2”はマークが規定より短くなっている。2ベット目の1着・1頭目631の“3”はマークが規定より細くなっている。また、金額634の“1”は、マークが記入欄の記入位置よりずれている。単位635の“百円”は、マークの色が薄くなっている(
図6ではマークの色が薄いことを斜線で示している)。このように、各記入欄の形に対して正しく塗りつぶされていない場合、マーク誤記入となる。
【0058】
<フローチャート>
図7はマーク判定の処理から判定結果にもとづく処理が行われるまでの動作の一例を示すフローチャートである。
【0059】
〔ステップS11〕利用者によってマークカード6が自動発払装置10に挿入される。
〔ステップS12〕自動発払装置10の制御部11は、挿入されたマークカード6をイメージセンサで読み取り、二値化された画像(白黒のイメージ画像)を取得する。
【0060】
〔ステップS13〕制御部11は、マークカード6のすべてのマーク記入欄に対してマーク有無の検出を行う。この場合、制御部11は、マークの黒ドット数と第1の閾値とを比較し、黒ドット数が第1の閾値以上の場合はマークありと判定し、黒ドット数が第1の閾値未満の場合はマークなしと判定する。
【0061】
〔ステップS14〕制御部11は、マークカード6の場名611のマーク判定を行う。
〔ステップS15〕制御部11は、マークカード6のレース番号612のマーク判定を行う。
【0062】
〔ステップS16〕制御部11は、マークカード6の式別613のマーク判定を行う。
〔ステップS17〕制御部11は、マークカード6の組番・金額・単位を記入する欄620、630のマーク判定を行う。
【0063】
〔ステップS18〕制御部11は、マークカード6のすべての記入欄でマークが正常記入か否かを判定する。すべての記入欄でマークが正常記入されていると判定した場合はステップS22の処理に進み、すべての記入欄でマークが正常記入されていないと判定した場合はステップS19の処理に進む。
【0064】
〔ステップS19〕制御部11は、マーク誤記入の欄があるか否かを判定する。マーク誤記入の欄がある場合はステップS20の処理に進み、マーク誤記入の欄がない場合はステップS21の処理に進む。
【0065】
〔ステップS20〕制御部11は、マーク誤記入エラーを通知するためのガイダンス画面をディスプレイ28に表示する。また、マークカード6の返却を行う。
〔ステップS21〕制御部11は、マークカード6の記入すべき箇所に記入がない未記入エラー、または所定のマーク数を超えて複数マークされた複数マークエラーであることを通知するためのエラーメッセージをディスプレイ28に表示する。また、マークカード6の返却を行う。
【0066】
〔ステップS22〕制御部11は、マークカード6に記入された投票内容を受け付けてマークカード6を収納する。
図8は場名の記入欄に対するマーク判定の動作の一例を示すフローチャートである。
【0067】
〔ステップS14a〕制御部11は、マークカード6の場名611の記載欄にマークが1つあるか否かを判定する。マークが1つあると判定した場合はステップS14bの処理に進み、マークが検出できなかった場合はステップS14cの処理に進む。さらに、2つ以上のマークを検出した場合はステップS14kの処理に進む。
【0068】
〔ステップS14b〕制御部11は、場名611の記載欄はマーク正常記入と判定する。
図7のステップS15の処理に進む。
〔ステップS14c〕制御部11は、第1の閾値を所定値まで低減させた第2の閾値を設定する。例えば、第2の閾値を第1の閾値の1/2の値まで低減する。そして、制御部11は、場名611の各マークカード記入箇所に対して、黒ドット数と第2の閾値とを比較してマーク有無の検出を行う。
【0069】
〔ステップS14d〕制御部11は、マークありかなしかを判定する。黒ドット数が第2の閾値以上の場合はマークありと判定され、黒ドット数が第2の閾値未満の場合はマークなしと判定される。マークありの場合はステップS14eの処理に進み、マークなしの場合はステップS14fの処理に進む。
【0070】
〔ステップS14e〕制御部11は、マーク誤記入の種別解析を行う。この場合、制御部11は、マークカード記入欄の縦方向に連続する黒ドットの数と所定数とを比較して、縦方向に連続する黒ドットの数が所定数より少ない場合にマークの長さ不足と判定する。また、制御部11は、マークカード記入欄の横方向に連続する黒ドットの数と所定数とを比較して、横方向に連続する黒ドットの数が所定数より少ない場合にマークの太さ不足と判定する。さらに、制御部11は、マークカード記入欄に対して黒ドット数が連続していない場合にマークの色が薄いと判定する。
【0071】
〔ステップS14f〕制御部11は、マーク検出範囲を所定倍率に拡大する。例えば、マーク検出範囲を1.5倍に拡大する。そして、制御部11は、拡大した範囲において、黒ドット数と第2の閾値とを比較してマーク有無の検出を再度行う。
【0072】
〔ステップS14g〕制御部11は、マークありか否かを判定する。黒ドット数が第2の閾値以上の場合はマークありと判定され、黒ドット数が第2の閾値未満の場合はマークなしと判定される。マークありの場合はステップS14hの処理に進み、マークなしの場合はステップS14jの処理に進む。
【0073】
〔ステップS14h〕制御部11は、マーク誤記入の種別解析を行う。制御部11は、拡大した範囲にマークありを検出した場合、マークカード記入の位置ずれと判定する。
〔ステップS14i〕制御部11は、マーク誤記入エラーと判定する。
図7のステップS15の処理に進む。
【0074】
〔ステップS14j〕制御部11は、マークカード6の記入すべき箇所に記入がない未記入エラーと判定する。
図7のステップS15の処理に進む。
〔ステップS14k〕制御部11は、所定のマーク数を超えて複数マークされた複数マークエラーと判定する。
図7のステップS15の処理に進む。
【0075】
なお、上記では、場名611に対するマーク判定処理を示したが、場名611に対するマーク判定処理と同様な処理が、レース番号612、式別613、組番・金額・単位を記入する欄620、630に対しても以降行われる。
【0076】
<ガイダンス画面>
図9、
図10は自動発払装置のガイダンス画面の一例を説明するための図である。制御部11は、マーク誤記入の種別を判定すると、ガイダンス画面4をディスプレイ28に表示して、マーク誤記入の種別にもとづいてマークカード記入の案内を行う。
【0077】
図9において、ガイダンス画面4には、「マークカードで読み取りにくい箇所があります。」のキャプション41、「確認する場合は確認キーを押してください。」のキャプション42および「不要の場合は返却キーを押してください。」のキャプション43が表示される。また、ガイダンス画面4には、返却ボタンb1および確認ボタンb2が表示される。
【0078】
利用者がマークカード6を返却したい場合には返却ボタンb1が押下される。利用者がマークカード6のマーク誤記入を確認したい場合には確認ボタンb2が押下される。なお、画面表示と同時に、例えば、「マークカードの記入で読み取れない箇所があります。確認する場合は確認キーを、不要の場合は返却キーを押してください」等の音声案内が自動発払装置10から行われる。
【0079】
図10において、ガイダンス画面4aは、
図9のガイダンス画面の確認ボタンb2の押下後の画面であり、マーク誤記入の例として、マークが短かかった場合のガイダンス表示を示している。
【0080】
ガイダンス画面4aには、「マークカード記入で短いと思われる箇所があります。」のキャプション44、マーク誤記入があったマークカード6、ガイダンス45、「よろしければ返却ボタンを押してください。」のキャプション46および返却ボタンb1が表示される。
【0081】
画面中のガイダンス45には、マークが短くなっているマーク誤記入と、マーク正常記入とが対比されて示され、さらにマーク誤記入がマークカード6のどこの場所かがわかるように表示されている。なお、画面表示と同時に、例えば、「マークカード記入が短いと思われます。もう少し長めに記入して頂ければと思います。よろしければ、返却キーを押して下さい。」等の音声案内も行われる。
【0082】
以上説明したように、本発明によれば、マークカードの記入に不慣れな利用者への教育、記入ミスが多い利用者の記入方法改善を促すことができる。また、記入ミスの減少による投票時間の短縮により、投票締め切りにより購入できないケースや、投票待ち行列の発生を低減することができる。さらに、記入ミスによるマークカードの廃却処理を減らすことで、紙の資源浪費を削減することができる。
【0083】
なお、上記では、公営競技に使用される自動発払装置に対して、本発明のマーク誤記入判定の制御を行う構成としたが、マークカードを使用してマークカードの内容を読み取るその他の装置に対しても本発明を適用することが可能である。
【0084】
上記で説明した本発明の自動発払装置10の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。この場合、自動発払装置10が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。
【0085】
処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録しておくことができる。コンピュータで読み取り可能な記録媒体としては、磁気記憶部、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリ等がある。磁気記憶部には、ハードディスク装置(HDD)、フレキシブルディスク(FD)、磁気テープ等がある。光ディスクには、CD-ROM(Compact Disc Read only memory)/RW(Rewritable)等がある。光磁気記録媒体には、MO(Magneto Optical disk)等がある。
【0086】
プログラムを流通させる場合、例えば、そのプログラムが記録されたCD-ROM等の可搬型記録媒体が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶部に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0087】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記録媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0088】
また、コンピュータは、ネットワークを介して接続されたサーバコンピュータからプログラムが転送される毎に、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。また、上記の処理機能の少なくとも一部を、DSP、ASIC、PLD等の電子回路で実現することもできる。
【0089】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0090】
10 自動発払装置
11 制御部
6 マークカード
p0 正常記入のマーク
p1、p2、p3 誤記入のマーク