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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173371
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】結束バンド及び結束バンド付き帳面
(51)【国際特許分類】
   B65D 63/12 20060101AFI20241205BHJP
   B42D 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65D63/12 Z
B42D15/00 301A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091741
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】516191733
【氏名又は名称】藤江産業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】500128767
【氏名又は名称】有限会社 エイト化成
(74)【代理人】
【識別番号】100165124
【弁理士】
【氏名又は名称】野中 一秀
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 康人
(72)【発明者】
【氏名】田端 洋介
【テーマコード(参考)】
3E085
【Fターム(参考)】
3E085AA04
3E085AA10
3E085AD01
3E085AD06
3E085BA03
3E085BD04
3E085BD10
3E085BE08
3E085BG10
(57)【要約】
【課題】簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能し、帳面に容易に着脱できる結束バンドを提供すること。
【解決手段】結束バンド1は、弾性変形可能な素材で形成されており、帯状のバンド部2と、バンド部2の両端から上方向に設けられる一対の軸体5,4と、軸体5,6の先端に設けられる係止片3,4と備え、係止片3,4は、バンド部2の長さ方向に設けられた第1係止片3A,4Aと、軸体の先端から、第1係止片が設けられた方向と逆方向に設けられた第2係止片3B,4Bと、を備え、結束バンド1は、帳面10の表紙に形成された円形の孔部に、第1係止片と第2係止片を弾性変形して通過させ、軸体が孔部に挿入されることで、帳面に取り付けられ、結束バンド1が取り付けられていない裏表紙にバンド部2を弾性変形させて巻き付け、結束バンド1が帳面10の手前端を閉じる方向に付勢することで帳面10を一時的に閉じた状態を維持する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表紙と裏表紙の間に複数の紙を配置して奥端を綴じ合わせて形成された帳面を一時的に閉じた状態を維持する結束バンドであって、
上記結束バンドは、弾性変形可能な素材で形成されており、
帯状のバンド部と、
上記バンド部の両端に、上記バンド部の長さ方向と直交する方向に設けられる一対の軸体と、
上記軸体の先端に設けられる係止片と、を備え、
上記係止片は、
上記軸体の先端から、上記バンド部の長さ方向に設けられた第1係止片と、
上記軸体の先端から、上記第1係止片が設けられた方向と逆方向に設けられた第2係止片と、を備え、
上記結束バンドは、上記帳面の表紙又は裏表紙に形成された円形の孔部に、上記第1係止片と上記第2係止片を弾性変形して通過させ、上記軸体が上記孔部に挿入されることで、上記帳面に取り付けられ、
上記結束バンドが取り付けられていない表紙又は裏表紙に上記バンド部を弾性変形させて巻き付け、上記結束バンドが上記帳面の手前端を閉じる方向に付勢することで上記帳面を一時的に閉じた状態を維持する、
ことを特徴とする結束バンド。
【請求項2】
請求項1記載の結束バンドにおいて、
上記軸体は円柱形状に形成される、ことを特徴とする結束バンド。
【請求項3】
請求項1又は2記載の結束バンドにおいて、
上記係止片を板形状に形成する、ことを特徴とする結束バンド。
【請求項4】
請求項1記載の結束バンドを備える帳面。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結束バンド及び結束バンド付き帳面に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート、手帳、日記帳、メモ帳、その他の帳面(以下、これらをまとめて「帳面」という。)は、表紙と裏表紙の間に複数の同型の紙を配置して綴じ合わせることによって製造されている。近年、帳面について、移動時に外力が働いて意図せずにページを開いてしまうのを防止すべく、帳面に結束バンドを巻き付けるものが知られている。一例を挙げると、手帳の表紙の裏面側に長方形の板状部材を配置し、該板状部材に伸縮可能なゴム製の幅広のバンド部材をハトメ金具によって固定するものが知られている(特許文献1)。この点、使用者がバンド部材を帳面に巻き付ける際は、バンド部材の固定部位に強い張力がかかるため、バンド部材の固定についてハトメ金具等の強固な固定方法を採用する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-214897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のものは、ゴム製のバンド部材がハトメ金具で固定されているので、バンド部材が切断した場合や着脱を繰り返し弾性力が低下した場合であっても、バンド部材のみを容易に交換することができないという問題があった。一方で、バンド部材の装着について係合等を利用した容易に着脱可能な仕様にすると、使用者がバンド部材を帳面に巻き付ける際、張力により帳面からバンド部材が外れるという問題が発生する。
【0005】
本発明者らは、結束バンド付き帳面を使用する際の使用者の動作、詳細には使用者がバンド部材を帳面に巻き付ける際、一方の手で帳面を閉じる方向に付勢しつつ、もう片方の手でバンド部材を帳面に巻き付ける動作を観察し、この動作時の張力に耐えうると共に容易に帳面から着脱可能な結束バンドの構造を見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
本発明はこのような事情の下になされたものであり、簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能し、帳面に容易に着脱できる結束バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る結束バンドは、表紙と裏表紙の間に複数の紙を配置して奥端を綴じ合わせて形成された帳面を一時的に閉じた状態を維持する結束バンドであって、上記結束バンドは、弾性変形可能な素材で形成されており、帯状のバンド部と、上記バンド部の両端に、上記バンド部の長さ方向と直交する方向に設けられる一対の軸体と、上記軸体の先端に設けられる係止片と、を備え、上記係止片は、上記軸体の先端から、上記バンド部の長さ方向に設けられた第1係止片と、上記軸体の先端から、上記第1係止片が設けられた方向と逆方向に設けられた第2係止片と、を備え、上記結束バンドは、上記帳面の表紙又は裏表紙に形成された円形の孔部に、上記第1係止片と上記第2係止片を弾性変形して通過させ、上記軸体が上記孔部に挿入されることで、上記帳面に取り付けられ、上記結束バンドが取り付けられていない表紙又は裏表紙に上記バンド部を弾性変形させて巻き付け、上記結束バンドが上記帳面の手前端を閉じる方向に付勢することで上記帳面を一時的に閉じた状態を維持する、ことを特徴とする(請求項1)。
【0008】
使用者がバンド部を帳面に巻き付ける際、一方の手で帳面を閉じる方向に付勢しつつ、もう片方の手でバンド部材を帳面に巻き付ける動作をする。帳面を閉じる方向に付勢した状態になると、上記のように構成される結束バンドの第1係止片及び第2係止片を備える係止片に対し、表紙の裏面と1ページの紙面の表面(又は裏表紙の裏面と最終ページの紙面の裏面)とで挟み込む力が働く。この挟み込む力により、係止片が弾性変形するのを防止し、使用者によるバンド部を引っ張る張力が加えられても、係止片が孔部から抜けるのを防止することができる。
【0009】
また、結束バンドが帳面を一時的に閉じた状態を維持している最中、結束バンドの元に戻ろうとする弾性力により、帳面は閉じる方向に付勢された状態であり、第1係止片及び第2係止片を備える係止片に対し、表紙の裏面と1ページの紙面の表面(又は裏表紙の裏面と最終ページの紙面の裏面)とで挟み込む力が働く。この挟み込む力により、係止片が弾性変形するのを防止し、結束バンドの元に戻ろうとする弾性力が加えられても、係止片が孔部から抜けるのを防止することができる。
【0010】
また、係止片の第1係止片と第2係止片は、軸体の先端から対向する方向にそれぞれ設けられているので、バンド部を引っ張る張力や弾性力により係止片が孔部から抜けるのを防止することができる。
【0011】
したがって、上記結束バンドによれば、バンド部を引っ張る張力に十分に耐えることができるので、簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能することができる。
【0012】
また、上記結束バンドは、帳面の表紙又は裏表紙(以下、特に区別しないときは、表紙等と記す。)に形成された円形の孔部に、第1係止片と第2係止片を弾性変形して通過させ、軸体を孔部に挿入する作業のみで、帳面に取り付けることができる。また、帳面に取り付けられた結束バンドは、第1係止片と第2係止片を弾性変形して孔部を通過させる作業のみで、帳面から取り外すことができる。
【0013】
また、軸体の高さを適宜調整すれば、装着予定の帳面の表紙等の厚さに合わせて、バンド部と表紙等の間に形成される間隙の幅を調整することができる。よって、軸体を設けることにより、バンド部と表紙等の間に生じる間隙を最小に調整することができるので、書き込み面に凸部や傾斜が発生し難く筆記性が低下するのを防止できると共に、バンド部と表紙等の擦れによる破損が生じるのを防止することができる。
【0014】
また、上記軸体は円柱形状に形成された方がよい(請求項2)。
【0015】
このように構成することによって、軸体と孔部が線接触又は面接触することができるので、張力を分散して受けることにより破損が生じるのを防止することができる。
【0016】
また、上記係止片を板形状に形成する方がよい(請求項3)。
【0017】
このように構成することによって、係止片が、表紙の裏面及び1ページの紙面の表面(又は裏表紙の裏面及び最終ページの紙面の裏面)に面接触することができるので、バンド部を引っ張る張力や弾性力により孔部から抜け難くなると共に、書き込み面に凸部や傾斜が発生し難く筆記性が低下するのを防止できる。
【0018】
また、本発明に係る帳面は、請求項1記載の結束バンドを備えることを特徴とする(請求項4)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の結束バンドによれば、上記のように構成されており、簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能し、帳面に容易に着脱できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】この発明に係る結束バンドを示す斜視図である。
図2】上記結束バンドの平面図(a),裏面図(b)及び(b)のX部拡大図(c)である。
図3】上記結束バンドの正面図(a)及び(a)のY部拡大図(b)である。
図4】上記結束バンドの表紙への装着手順を説明する概略拡大説明図(a),上記結束バンドを表紙に装着した状態を表す概略拡大説明図(b)である。
図5】上記結束バンドを帳面に装着した状態を表す説明図である。
図6】上記結束バンドで帳面を拘束した状態を表す説明図(表紙側)(a),上記結束バンドで帳面を拘束した状態を表す説明図(裏表紙側)(b)である。
図7】上記結束バンドで他の実施形態における帳面を拘束した状態を表す説明図(裏表紙側)である。
図8】上記結束バンドで他の実施形態における帳面に装着した状態を表す説明図(表紙側)である。
図9】他の実施形態における結束バンドの正面図(a)及び(a)のZ部拡大図(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る結束バンド1について説明する。
【0022】
(結束バンド1の説明)
図1,2,3を参照して、結束バンド1について説明する。図1には、結束バンド1の斜視図が示されている。図2(a),(b)には、結束バンド1の平面図(a),裏面図(b)が示されている。図3(a)には、結束バンド1の正面図が示されている。結束バンド1は、弾性変形可能な素材例えば熱可塑性エラストマーで一体成形されており、使用者の手指の力で伸ばしたり屈曲させたりすることができる。結束バンド1は、帳面10の手前端を閉じる方向に付勢することで帳面10を一時的に閉じた状態を維持するブックバンドとして機能し、バンド部2と、軸体5,6と、係止片3,4と、を主に備えている。なお、結束バンド1を説明するための方向について説明すると、図1に示すように、結束バンド1の長さ方向を左右方向と定義する。したがって、結束バンド1の長さ方向と直交する方向は上下方向である。
【0023】
図1,2,3,5を参照して、バンド部2について説明する。図1には、バンド部2の斜視図が示されている。図2(a),(b)には、バンド部2の平面図(a),裏面図(b)が示されている。図3(a)には、バンド部2の正面図が示されている。図5には、帳面10に結束バンド1が取り付けられた状態におけるバンド部2の平面図、及び、使用者がバンド部2を引っ張り弾性変形によりバンド部2が伸長した状態の想像図が示されている。バンド部2は、左右方向に長い帯状体であり、上述したように熱可塑性エラストマーで形成されている。バンド部2は、使用者が引っ張ると弾性変形により伸長することができる。バンド部2は、装着対象となる帳面の大きさに合わせて任意の幅、長さ、厚さで形成される。
【0024】
図1,2,3を参照して、軸体5について説明する。図1には、軸体5の斜視図が示されている。図2(b),(c)には、軸体5の裏面図(b),拡大裏面図(c)が示されている。図3(a),(b)には、軸体5の正面図(a),拡大正面図(b)が示されている。軸体5は、バンド部2の右側の端部から上方に設けられた柱体である。軸体5は、平面方向視右側の外周が円弧上の円柱形状に形成されている。軸体5は、上述したように熱可塑性エラストマーで形成されている。軸体5は、装着対象となる帳面10の表紙11の厚さに合わせて任意の高さで形成される。具体的には、軸体5の高さは、表紙11とバンド部2の間に生じる間隙を1mm以下にする高さに設定してある。
【0025】
図2,3を参照して、軸体6について説明する。図2(b)には、軸体6の裏面図が示されている。図3(a)には、軸体6の正面図が示されている。軸体6は、バンド部2の左側の端部から上方に設けられた柱体である。軸体6は、平面方向視左側の外周が円柱形状に形成されている。軸体6は、上述したように熱可塑性エラストマーで形成されている。軸体6は、装着対象となる帳面10の表紙11の厚さに合わせて任意の高さで形成される。具体的には、軸体6の高さは、表紙とバンド部2の間に生じる間隙を1mm以下にする高さに設定してある。
【0026】
図1,2,3,4を参照して、係止片3について説明する。図1には、係止片3の斜視図が示されている。図2(a),(b),(c)には、係止片3の平面図(a),裏面図(b),拡大裏面図(c)が示されている。図3(a),(b)には、係止片3の正面図(a),拡大正面図(b)が示されている。図4(a),(b)には、弾性変形した状態の係止片3の正面図(a),結束バンド1を表紙11に装着した状態における係止片3の正面図(b)が示されている。係止片3は、軸体5の上端(先端)に設けられた板状体である。係止片3は、軸体5の上端(先端)から右方向に設けられた第1係止片3Aと、軸体5の上端(先端)から第1係止片3Aが設けられた方向と逆方向である左方向に設けられた第2係止片3Bを備えている。第1係止片3Aは、右方向に頂角を配置した平面視略三角形状に形成された板状体である(特に図2(c)参照)。第2係止片3Bは、第1係止片3Aの左端から左方向に延設され、平面視において左側に開口したコ字状に形成された板状体である(特に図2(c)参照)。係止片3は、上述したように熱可塑性エラストマーで形成されており、図4(a)で示すように、使用者が摘まむと弾性変形により屈曲させることができる。
【0027】
図1,2,3を参照して、係止片4について説明する。図1には、係止片4の斜視図が示されている。図2(a),(b)には、係止片4の平面図(a),裏面図(b)が示されている。図3(a)には、係止片4の正面図が示されている。係止片4は、軸体6の上端(先端)に設けられた板状体である。係止片4は、軸体6の上端(先端)から左方向に設けられた第1係止片4Aと、軸体6の上端(先端)から第1係止片4Aが設けられた方向と逆方向である右方向に設けられた第2係止片4Bを備えている。第1係止片4Aは、左方向に頂角を配置した平面視略三角形状に形成された板状体である。第2係止片4Bは第1係止片4Aの右端から右方向に延設され、平面視において右側に開口したコ字状に形成された板状体である。係止片4は、上述したように熱可塑性エラストマーで形成されており、使用者が摘まむと弾性変形により屈曲させることができる。
【0028】
(帳面10の説明)
図5,6を参照して、帳面10について説明する。図5,6(a)には、帳面10の表紙11側から見た図が示されている。図6(b)には、帳面10の裏表紙12側から見た図が示されている。帳面10は、厚手の表紙11と厚手の裏表紙12の間に複数の同型の紙を配置して奥端を綴じ合わせ手前端が開閉可能に構成されている例えば手帳である。なお、帳面10を説明するための方向について説明すると、図4に示すように、表紙11を正面として左側が奥端、右側が手前端、上側が上端、下側が下端とする。
【0029】
帳面10の表紙11には、図5,6(a)に示すように、手前端側かつ手前端から同じ距離の上下位置に合計二か所の円形の孔部13,14が形成されている。孔部13,14の直径は、図4で示すように、係止片3,4の左右方向の長さより小さく、弾性変形により屈曲された係止片3,4が通過可能及び軸体5,6が遊嵌可能な長さで形成されている。
【0030】
(帳面10への結束バンド1の脱着の説明)
図4,5を参照して、帳面10への結束バンド1の装着について説明する。図4(a)には、結束バンド1の係止片3を弾性変形した状態で、帳面10の表紙11に形成された孔部13を通過させる態様が示されている。図4(b)には、孔部13を通過させた後に係止片3の弾性変形を解除した後の態様が示されている。図5には、結束バンド1を帳面10に装着した状態の表紙側の図が示されている。まず、使用者は、図4(a)に示すように、結束バンド1の係止片3を構成する第1係止片3A及び第2係止片3Bを挟持して弾性変形する。次いで、係止片3を弾性変形した状態で、帳面10の表紙11に形成された孔部13を通過させる。次いで、図4(b)に示すように、結束バンド1の軸体5を孔部13に挿入した状態で係止片3の弾性変形を解除する。次いで、係止片3の取り付けと同様の手順で、係止片4を孔部14に取り付ける(図示せず。)。以上で、帳面10への結束バンド1の装着は完了である。
【0031】
帳面から結束バンド1を取り外す際は、係止片3,4を弾性変形して孔部13,14を通過させれば、帳面10から取り外す取りことができる。このように、本発明にかかる結束バンド1は、容易に帳面10に着脱することができる。
【0032】
(結束バンド1による帳面10の手前端の拘束の説明)
図5,6を参照して、結束バンド1による帳面10の手前端の拘束について説明する。図5には、結束バンド1を帳面10に装着した状態の表紙11側の図、及び、使用者がバンド部2を引っ張り弾性変形によりバンド部2が伸長した状態の想像図が示されている。
図6(a)には、結束バンド1により手前端が拘束された帳面10の表紙11側から見た図が示されている。図6(b)には、結束バンド1により手前端が拘束された帳面10の裏表紙12側から見た図が示されている。まず、使用者は、一方の手で帳面10を持ち、他方の手でバンド部2を摘まむ。次いで、バンド部2を引っ張り弾性変形によりバンド部2を伸長し、バンド部2を帳面10の裏表紙12、上端及び下端に巻き付ける(図5参照)。バンド部2を弾性変形させて帳面10の裏表紙12、上端及び下端に巻き付ければ、結束バンド1が弾性力により帳面10の手前端を閉じる方向に付勢するので、帳面10を一時的に閉じた状態を維持することができる。以上で、結束バンド1による帳面10の手前端の拘束は完了である。
【0033】
使用者がバンド部2を帳面10に巻き付ける際、一方の手で帳面10を閉じる方向に付勢しつつ、もう片方の手でバンド部2を帳面10に巻き付ける動作をする。帳面10を閉じる方向に付勢した状態になると、第1係止片3A,4A及び第2係止片3B,4Bを備える係止片3,4に対し、表紙11の裏面と1ページの紙面の表面とで挟み込む力が働く。この挟み込む力により、係止片3,4が弾性変形するのを防止し、使用者によるバンド部2を引っ張る張力が加えられても、係止片3,4が孔部13,14から抜けるのを防止することができる。
【0034】
また、結束バンド1が帳面10を閉じた状態を維持している最中、結束バンド1の元に戻ろうとする弾性力により、帳面10は閉じる方向に付勢された状態であり、第1係止片3A,4A及び第2係止片3B,4Bを備える係止片3,4に対し、表紙11の裏面と1ページの紙面の表面とで挟み込む力が働く。この挟み込む力により、係止片3,4が弾性変形するのを防止し、結束バンド1の元に戻ろうとする弾性力が加えられても、係止片3,4が孔部13,14から抜けるのを防止することができる。
【0035】
また、第1係止片3A,4Aと第2係止片3B,4Bは、軸体5,6の先端から対向する方向にそれぞれ設けられているので、バンド部2を引っ張る張力や弾性力により係止片3,4が孔部13,14から抜けるのを防止することができる。
【0036】
したがって、結束バンド1によれば、バンド部2を引っ張る張力や弾性力に十分に耐えることができので、簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能することができる。
【0037】
バンド部2を弾性変形させて帳面10に巻き付ける際、軸体5,6の高さを適宜調整してあるので、バンド部2と表紙11の間に生じる間隙を最小にすることで、書き込み面に凸部や傾斜が発生し難く筆記性が低下するのを防止できると共に、バンド部2と表紙11の擦れによる破損が生じるのを防止することができる。
【0038】
バンド部2を弾性変形させて帳面10に巻き付ける際、軸体5,6を円柱形状に形成し、軸体5,6と帳面10の孔部13,14が線又は面接触することができるので、張力を分散して受けることにより破損が生じるのを防止することができる。
【0039】
また、第1係止片3A,4A及び第2係止片3B,4Bを板形状に形成することによって、係止片3,4が、表紙11の裏面及び1ページの紙面の表面と面接触することができるので、バンド部2を引っ張る張力や弾性力により孔部13,14から抜け難くなると共に、書き込み面に凸部や傾斜が発生し難く筆記性が低下するのを防止できる。
【0040】
このように本発明の結束バンド1によれば、簡素な構造にも関わらずブックバンドとして機能し、帳面10に容易に着脱することができる。
(他の実施形態の説明)
【0041】
上述した実施形態では、図6で示すように、バンド部2を帳面10の裏表紙12、上端及び下端に巻き付けたが、裏表紙12に巻き付ければよい。例えば図7で示すように、帳面10Aの裏表紙12Aに爪15を形成して、バンド部2を引っかけてもよい。このように構成しても、結束バンド1が帳面10Aの手前端を閉じる方向に付勢することができる。
【0042】
上述した実施形態では、図5で示すように、帳面10の表紙11の手前端側かつ手前端から同じ距離の上下位置に合計二か所の孔部13,14が形成したが、必ずしもこの位置に形成しなくてもよい。例えば図8で示すように、帳面10Bの表紙11Bの下端側かつ下端から同じ距離の左右位置に合計二か所の孔部16,17を形成してもよい。このように構成しても、バンド部2を帳面10Bの裏表紙12、奥端及び手前端に巻き付けることで、結束バンド1が帳面10Bの手前端を閉じる方向に付勢することができる。
【0043】
上述した実施形態では、図2で示すように、係止片3,4について、第1係止片3A,4Aを平面視略三角形状の板状体、第2係止片3B,4Bをコ字状の板状体に形成したが、係止片3,4の形状は任意であり、例えば図9で示すような形状で形成してもよい。図9(a),(b)には、係止片7,8の裏面図(a),係止片7の拡大裏面図(c)が示されている。係止片7,8は、軸体5,6の上端に設けられた第1係止片7A,8Aと、軸体5,6の上端から第1係止片7A,8Aが設けられた方向と逆方向に設けられた第2係止片7B,8Bを備えている。第1係止片7A,8Aは、平面視略四角形状に形成された板状体である。第2係止片7B,8Bは、第1係止片7A,8Aの端から延設され、平面視略四角形状に形成された板状体である。上記のように係止片7,8を形成した結束バンド1Aであっても、上述した結束バンド1と同様の手順で帳面10へ脱着することができると共に帳面10の手前端を閉じる方向に付勢することができる。
【0044】
本発明は上記の実施形態及び実施例の例示に限定されるものでなく、特許請求の範囲の技術的範囲には、発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々、設計変更した形態が含まれる。
【符号の説明】
【0045】
1,1A 結束バンド
2 バンド部
3,4,7,8 係止片
3A,4A,7A,8A 第1係止片
4B,4B,7B,8B 第2係止片
5,6 軸体
10,10A,10B 帳面
11,11B 表紙
12,12A 裏表紙
13,14,16,17 孔部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9