(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173376
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】記録装置及び記録装置の乾燥方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B41J2/01 125
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091752
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】出口 恭介
(72)【発明者】
【氏名】小橋 庸平
(72)【発明者】
【氏名】中塚 祐太朗
(72)【発明者】
【氏名】高田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】新庄 健司
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA04
2C056EC03
2C056EC14
2C056EC40
2C056FA13
2C056HA44
2C056HA47
(57)【要約】
【課題】乾燥ムラを抑制しつつ効率的な乾燥動作を実行できる記録装置を提供する。
【解決手段】記録装置は、記録部と、総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、総断面積が第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体Sに向けて送風する第2送風部であって、第1送風部に対して記録媒体Sの搬送方向の下流側で隣接するように第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部と、第1送風部の複数の第1ノズル孔における第1風速が第2送風部の複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように第1送風部と第2送風部を制御する制御部を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、
総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、
総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部と、
を備え、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風部と前記第2送風部を制御する制御部を更に備えることを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記第1総断面積をDL、前記第2総断面積をDHとすると、1.2DH≦DL≦3.0DHを満たし、
前記制御部は、前記第1風速をVL、前記第2風速をVH、前記第1総風量をFL、前記第2総風量をFHとすると、1.2VL≦VH≦3.0VLと、FH:FL=2:3~3:2とを満たすように前記第1送風部と前記第2送風部を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記制御部は、FH:FL=1:1となるように前記第1送風部と前記第2送風部を制御することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記複数の第1ノズル孔の第1ノズル孔径は、前記複数の第2ノズル孔の第2ノズル孔径より大きいことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記第1ノズル孔径をRL、前記第2ノズル孔径をRHとすると、RH<RL≦2.4RHを満たすことを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1送風部に設けられる前記複数の第1ノズル孔の数をNL、前記第2送風部に設けられる前記複数の第2ノズル孔の数をNHとすると、0.8NH≦NL≦1.2NHを満たすことを特徴とする請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記複数の第1ノズル孔のノズル孔径が2.0mm以下であり、
前記第1送風部に設けられる前記複数の第1ノズル孔の数をNL、前記第2送風部に設けられる前記複数の第2ノズル孔の数をNHとすると、NH<NL≦4.5NHを満たすことを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項8】
前記第1送風部は、前記複数の第1ノズル孔が設けられた第1気流ダクトであり、
前記第2送風部は、前記複数の第2ノズル孔が設けられた第2気流ダクトであり、
前記第1気流ダクトの外装と前記第2気流ダクトの外装との前記搬送方向の距離は、50mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項9】
前記第1送風部は、前記複数の第1ノズル孔が設けられた送風面を有する第1気流ダクトであり、
前記第2送風部は、前記複数の第2ノズル孔が設けられた送風面を有する第2気流ダクトであり、
前記第1気流ダクトの送風面と記録媒体との間の距離、及び前記第2気流ダクトの送風面と記録媒体との間の距離が30mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項10】
前記複数の第1ノズル孔の第1ノズル孔をRL、前記複数の第1ノズル孔の前記第1送風部における前記搬送方向と直交する幅方向のピッチをXとすると、X=RL×Aで表され、
前記Aは、0.8≦A≦1.3を満たすことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項11】
前記複数の第2ノズル孔の前記搬送方向の配置間隔、及び前記幅方向の配置間隔は一定であることを特徴とする請求項10に記載の記録装置。
【請求項12】
前記第1送風部と前記第2送風部が設けられた空間内の空気を回収し、前記第1送風部と前記第2送風部に向けて空気を供給する空気循環部を更に備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項13】
前記空気循環部は、前記第1送風部に供給する空気を加熱するヒータと、前記第2送風部に供給する空気を加熱するヒータと、を含むことを特徴とする請求項12に記載の記録装置。
【請求項14】
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部とを備える記録装置によって記録媒体に向けて送風して記録媒体を乾燥させる記録装置の乾燥方法であって、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風部と前記第2送風部から記録媒体に向けて送風することを特徴とする記録装置の乾燥方法。
【請求項15】
前記第1総断面積をDL、前記第2総断面積をDHとすると、前記記録装置は1.2DH≦DL≦3.0DHを満たし、
前記第1風速をVL、前記第2風速をVH、前記第1総風量をFL、前記第2総風量をFHとすると、1.2VL≦VH≦3.0VLと、FH:FL=2:3~3:2とを満たすよう前記第1送風部と前記第2送風部から記録媒体に向けて送風することを特徴とする請求項14に記載の記録装置の乾燥方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
記録媒体に液体を付与して記録動作を行う記録装置として、記録媒体に対して風を吹き付けて乾燥定着させる乾燥部を有する記録装置が汎用されている。このような記録装置においては、液体が風で記録媒体上を流動すること(以下、送風流れという)や乾燥ムラを抑制することを目的として、乾燥部の風速や風量が制御される。例えば、液体の送風流れを抑制しつつ効率よく乾燥するため、まず低風速の風で乾燥を進め、後から高風速の風で乾燥を加速するように乾燥部は制御されうる。
【0003】
特許文献1には、風速に加えて、風を送るドライヤのノズルの先端面と記録媒体との距離を制御することで、送風流れを抑制しつつ効率よく乾燥動作を実行する構成が開示されている。上述の構成においては、ノズルの先端面と記録媒体との距離が、記録媒体の搬送方向の下流側に近づくにつれて段階的に小さくなるようにドライヤや記録媒体の搬送路が構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の構成においては、ノズルの先端面と記録媒体との距離が搬送方向で異なるため、ノズルと記録媒体との間の空間の圧力に搬送方向で差が生じる。すると、一方のドライヤから送風された空気が、他方のドライヤのノズルと記録媒体との間の空間に入り込んで気流を乱しうる。気流の乱れによりドライヤから記録媒体に向けて意図通りに送風されないと、乾燥工程において液体が均一に乾燥されず、乾燥ムラを生じるおそれがある。
【0006】
本発明は、上述の課題を鑑みてなされたものであり、液体が付与された記録媒体を適切に乾燥することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の目的を達成するため、本発明の記録装置は、
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、
総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、
総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部と、
を備え、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風
部と前記第2送風部を制御する制御部を更に備えることを特徴とする。
また、上述の目的を達成するため、本発明の記録装置の乾燥方法は、
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部とを備える記録装置によって記録媒体に向けて送風して記録媒体を乾燥させる記録装置の乾燥方法であって、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風部と前記第2送風部から記録媒体に向けて送風することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、液体が付与された記録媒体を適切に乾燥できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態に係る記録装置の内部構成を示す概略断面図である。
【
図2】第1実施形態に係る記録部のシート搬送部筐体の斜視図である。
【
図3】第1実施形態に係る記録ヘッド昇降機構の斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る制御部のブロック図である。
【
図5】第1実施形態に係る乾燥部の構成を示す断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る第2気流空間の構成を示す概略平面図である。
【
図7】第1実施形態に係る乾燥部の内部気流を示す概略断面図である。
【
図8】第1実施形態に係るノズル孔の配置構成例を示す図である。
【
図9】第1実施形態に係るノズル孔の配置構成例を示す図である。
【
図10】第1実施形態に係るノズル孔の配置構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を参照して、この発明を実施するための形態を、実施例に基づいて例示的に詳しく説明する。なお、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものである。すなわち、この発明の範囲を以下の実施の形態に限定する趣旨のものではない。
【0011】
[第1実施形態]
<記録装置>
まず、本発明の第1実施形態に係る記録装置1の構成について説明する。記録装置1は、ロール状に巻かれた連続シートであるシートSを記録媒体として使用する高速ラインプリンタである。以下、
図1の記録装置1の上下方向を鉛直方向(Z方向)、左右方向を長手方向(X方向)、紙面の奥行方向を幅方向(Y方向)と定義して説明する。幅方向は、記録媒体の搬送方向と直交する記録媒体の幅方向である。
【0012】
図1は記録装置1の内部構成を示す概略断面図である。第1実施形態の記録装置1内部には、巻出ロール部2、第一ダンサー部3、第一主搬送部4、蛇行矯正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ部9の各ユニットが設けられている。記録装置1内部には更に、乾燥部40、冷却部50、第二スキャナ部10、第二主搬送部11、第二ダンサー部12、巻取ロール部13、メンテナンス部14の各ユニットが設けら
れている。シートSは、図中の実線で示したシート搬送経路に沿って搬送され、各ユニットで処理がなされる。
【0013】
本願発明の送風流れ抑制効果は、記録媒体が非吸収媒体である場合に特に効果的である。記録媒体が非吸収媒体である場合、記録媒体上に付与された液体組成物に対して送風乾燥を行う際に送風流れが特に課題になりやすいためである。このような記録媒体が用いられる場合、始めに低風速の風で液体組成物の送風流れが起きないように乾燥を進め、後から高風速の送風で乾燥を加速するという構成が、送風流れの抑制のために特に好適である。非吸収媒体としては、例えばPET、PVC、PE、PP等が挙げられるが、特にこれらに制限されるものではない。
【0014】
巻出ロール部2は、ロール状に巻かれた連続シートを保持して供給するためのユニットである。巻出ロール部2は、巻出ロールを収納し、巻出ロールからシートSを引き出して供給する構成となっている。なお、収納可能なロールは1つであることに限定はされず、巻出ロール部2は、2つ、あるいは3つ以上を収納し、択一的にシートSを引き出して供給する構成であっても良い。
【0015】
第一ダンサー部3は、巻出ロール部2と第一主搬送部4との間で一定の張力をシートSに付与するためのユニットである。第一ダンサー部3では、不図示の張力付与手段により、シートSに張力が付与される。
【0016】
第一主搬送部4は、シートSの搬送経路に沿って以下順で配置された、蛇行矯正部5、搬送検出部6、マークセンサ部7、記録部8、第一スキャナ部9、乾燥部40、冷却部50、第二スキャナ部10に、シートSを送り込む。また、第一主搬送部4は、第二主搬送部11との間でシートSに張力を付与するためのユニットである。第一主搬送部4は、不図示のモータを駆動することにより回転し、シートSの張力搬送を行う。
【0017】
シートSの搬送経路は、各ユニット又はユニット間に設けられたガイドローラ等により構成され、シートSは複数のガイドローラにガイドされながら搬送経路に沿って搬送される。また、搬送経路は、複数のローラの周面と互いに隣接するローラの接線とをつないで形成される経路であり、シートSが記録装置1内を通過するおおよその経路である。
【0018】
蛇行矯正部5は、シートSの張力搬送時に、シートの幅方向の蛇行矯正するためのユニットである。蛇行矯正部5は、蛇行矯正ローラ5aと、シートSの蛇行を検知する不図示の蛇行検知センサを備える。蛇行矯正ローラ5aは、不図示のモータにより、シートSの傾きを変更可能であり、蛇行検知センサの測定をもとに、シートSの蛇行矯正を行う。このとき、蛇行矯正ローラ5aにシートSが巻き付くことで、蛇行矯正の機能を高めることができる。
【0019】
搬送検出部6は、第一主搬送部4と第二主搬送部11の間で張力搬送をする際に、張力を検出するためのユニットである。また、搬送検出部6は、記録部8の画像形成タイミングを制御するため、シートSの速度を検出するためのユニットである。
【0020】
マークセンサ部7は、記録部8の画像形成タイミングを制御するため、予めシートSに印字されたマークを検出するためのユニットである。
【0021】
記録部8は、搬送されるシートSに対して上方から記録ヘッド22によりシートS上に液体組成物を付与して画像を形成するシート処理部である。記録部8における搬送経路は、上方に凸となる円弧形状に配置されたガイドローラ23によって形成されており、シートSに一定の張力が付与されることにより、記録ヘッド22とのクリアランスが確保され
る。
【0022】
記録装置1の内部には、複数の記録ヘッド22が、シートSの搬送方向に沿って並べられている。第1実施形態では、記録装置1は記録ヘッド22として、W(ホワイト)インク及び反応液に対応したライン型記録ヘッドを有する。なお、色種・色数及び記録ヘッド22の数は
図1に示される構成に限定されない。インクジェット方式は、発熱素子を用いた方式、ピエゾ素子を用いた方式、静電素子を用いた方式、MEMS素子を用いた方式等を採用することができる。インクは、不図示のインクタンクからそれぞれインクチューブを介して記録ヘッド22に供給される。また、第1実施形態では、インクジェットヘッドを用いてシートS上にインクと反応液からなる液体組成物を付与する構成としているが、記録部8でシート上に液体組成物を付与する方法はこれに限られない。
【0023】
また、記録部8は、記録ヘッド22の位置決めを行うための位置決め部材811を複数備える搬送部筐体81を有する。
図2は、記録部8の搬送部筐体81の詳細を示す斜視図である。位置決め部材811は、シートSの幅方向においてシートSを挟むように一つの記録ヘッド22に対応してそれぞれ手前側に一つ、奥側に二つずつ設けられている。また、記録ヘッド22には、位置決め部材811に対応する被位置決め部221a、221b、221cが設けられる。
【0024】
記録ヘッド22は、シートSの記録面に対向して配置され、シートSに対して接近及び離間可能に構成されている。
図3は、記録ヘッド22の昇降機構を示す図である。記録ヘッド22は、シートSの幅方向に突出する支持軸27を有する。記録ヘッド22は、保持部26によって支持軸27が軸支されて保持部26と一体的に上下に昇降する。保持部26は、内部に備えている不図示の駆動機構により記録ヘッド昇降用フレーム28内に備えられた昇降用のレール29に沿って上下に昇降動作を行う。
【0025】
第一スキャナ部9は、印刷中に記録部8でシートSに形成された画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、印刷を補正させるためのユニットである。
【0026】
乾燥部40は、記録部8でシートS上に付与された液体組成物に含まれる液体分を減少させ、シートSとインクとの定着性を高めるユニットである。乾燥部40は、記録されたシートSに対して送風して、付与されたインクを乾燥させる。乾燥部40の内部では通過するシートSに対して少なくともインク付与面側から風を付与してシートSのインク付与面を乾燥させる。なお、乾燥方式は風を付与する方式の他に、電磁波(紫外線や赤外線など)をシートS表面に照射する方式や、発熱体の接触による伝導伝熱方式を組み合わせて構成してもよい。
【0027】
巻付きガイドローラ31は、乾燥部40の風の記録部8への影響を遮断する必要があるため、記録部8の搬送下流のシートSのインク付与面とは反対側となる面を一定の巻き付け角で巻き付けるローラである。第1実施形態では、巻付きガイドローラ31は第一スキャナ部9と乾燥部40の間に2つ配置され、シートSは装置上下で略平行に折り返されており、乾燥部40は、記録部8の装置下方に配置される。
【0028】
第1実施形態では巻付きガイドローラ31により、乾燥部40の風が記録部8に影響を及ぼさないようにシートSの搬送経路は設計されている。一方、記録媒体上に付与するインクの量が多い場合は、シートSの折り返し部でインクが流れてしまうことを防ぐために、シートSを折り返さずに搬送経路を設計することが好ましい。この場合、別途記録部8と乾燥部40の間に、乾燥部40の風の記録部8への影響を遮断できる何らかの機構(隔壁等)が設置されていると好適である。
【0029】
冷却部50は、乾燥部40で定着されたシートSを冷却し、軟化したインクを固化させると共に、記録装置の下流工程におけるシートSの温度変化量を抑制させる。冷却部50の内部では通過するシートSに対して少なくともインク付与面側からシートSよりも低い温度の風を付与してシートSのインク付与面を冷却させる。なお、冷却方式は風を付与する方式に限らず、放熱部材の接触による伝導伝熱方式や、それらを組み合わせて構成してもよい。
【0030】
第二スキャナ部10は、印刷前に記録部8でシートSに形成されたテスト画像を読み取り、画像のズレや濃度を検出して、本印刷の補正をさせるためのユニットである。
【0031】
第二主搬送部11は、第一主搬送部4とシートSに張力を付与しながらシートSを搬送し、シートSの張力を調整するユニットである。第二主搬送部11は、不図示のモータで駆動することにより回転し、不図示の張力制御部より搬送検出部6により検出された張力値に応じて、駆動連結されたトルクを制御できるクラッチ(不図示)によってシートSの張力が調整される。なお、シートSの張力を調整する追加の構成として、搬送検出部6によって第二主搬送部11の速度を制御する構成が付加されても良い。この場合、記録装置1は、張力制御方法として、クラッチから伝達されるトルク値を制御するトルク制御方法と、第二主搬送部11のローラ速度を制御する速度制御方法の2方式を有する。これらの張力制御方式は、目的に応じて切替え、又は、双方同時に使用することができる。
【0032】
第二ダンサー部12は、第二主搬送部11と巻取ロール部13の間で一定のシート張力を付与するためのユニットである。第二ダンサー部12は、不図示の張力付与手段により、シート張力が付与される。
【0033】
巻取ロール部13は、記録処理されたシートSを巻き芯に巻き取るためのユニットである。回収可能なロールは1つであることに限定はされず、巻取ロール部13は、2つ、あるいは3つ以上の巻き芯を有し、択一的に切り替えてシートSを回収する構成であってもよい。なお、記録後の加工処理内容によっては、巻き芯に巻き取る構成ではなく、カッターを用いて連続シートを裁断し、裁断したシートSを積載する構成としてもよい。
【0034】
制御部21は、記録装置全体の各部の制御を司るユニットである。
図4は、制御部21のブロック図を示す。制御部21は、CPU211、記憶装置212、各種制御部を備えたコントローラ213、外部インターフェース214、及びユーザが入出力を行なう操作部215を有する。記録装置1の動作は、コントローラまたはコントローラに外部インターフェースを介して接続されるホストコンピュータ等のホスト装置25からの指令に基づいて制御される。
【0035】
メンテナンス部14は記録ヘッド22の吐出性能を回復する機構を備えたユニットである。そのような機構としては、例えば、記録ヘッド22のインク吐出面を保護するキャップ機構、インク吐出面をワイピングするワイパ機構、インク吐出面から記録ヘッド22内のインクを負圧吸引する吸引機構を挙げることが出来る。また、メンテナンス部には不図示の駆動機構とレールを備えており、レールに沿って水平方向に往復移動可能となっており、記録ヘッドのメンテナンスの際に記録ヘッド直下に移動し、メンテナンス動作しない時は記録ヘッド直下から退避した位置に移動する。
【0036】
<乾燥部40の構成>
次に、乾燥部40の気流付与構成について、更に詳しく説明する。
図5は、乾燥部40をシートSの幅方向(Y方向)に見たときの乾燥部40の内部構造を示す概略断面図である。乾燥部40は筐体401を有する。筐体401には、搬送されるシートSに接する位置にシート支持ローラ411が配置されたシート支持部410が設けられている。乾燥部
40において、シートSは記録装置1の長手方向(X方向)に搬送される。シート支持部410は、シート支持ローラ411によりシートSのZ方向への変位を制限する。
【0037】
第1実施形態において、シート支持部410に対向し搬送されるシートSに対し-Z方向(下方)に間隔を空けて、第1気流空間420、第2気流空間430、第3気流空間440が設けられている。X方向において、第1気流空間420、第2気流空間430、第3気流空間440は、シートSの搬送方向の上流側から下流側に向けて順に並んでいる。なお、気流空間とは、隔壁によって他の空間と隔てられている空間を指す。第1実施形態において、気流空間は乾燥部40に3つ設けられているが、気流空間の数に限定はない。
【0038】
第2気流空間430内には、3つの気流ダクト431a、431b、431cが設けられている。第2気流空間430は、搬送されるシートSに沿って、シートSの搬送方向の上流側から気流ダクト431a、気流ダクト431b、気流ダクト431cの順で配設されている。各気流ダクト431は複数のノズル孔601(
図6参照)が設けられた送風面を有しており、送風面はシートSのインク付与面と対向し、シートSと略平行になるように配設されている。
【0039】
第1実施形態においては、3つの気流ダクト431a、431b、431cは同一の気流空間内に設けられ、夫々がシートSに向けて送風する。各気流ダクト431a、431b、431cは、風速等を互いに独立して制御可能に構成された送風部である。
【0040】
<第2気流空間430の構成>
次に
図6を参照して、第2気流空間430の構成を説明する。
図6は、第2気流空間430を-Z方向(下方)から+Z方向(上方)に見たときの第2気流空間430と、第2気流空間430に接続される空気循環加熱部408との内部構成を示す図である。第2気流空間430は、第2筐体405及びその内側に格納された複数の気流ダクト431(431a~431c)で構成されている。また、第2筐体405には、気流ダクト431に空気を送る接続経路の他(不図示)、循環排気口434、換気口435、排気口436、吸気ファン437、排気ファン438が設けられている。
【0041】
第2気流空間430の外部には、送風機432とヒータ433を搭載した空気循環加熱部408が設けられている。送風機432は、循環排気口434から第2気流空間430内の空気を空気循環加熱部408にF21方向に取り込む。取り込まれた空気は、送風機432からF22方向に吹き出され、ヒータ433を通過し加熱される。そして、加熱された空気は気流ダクト431に送り込まれる。加熱された空気の温度は、不図示の空気温度検出部によって検出される。検出される温度に基づき、所定の目標温度に応じてヒータ433の加熱を制御する。ヒータ433は、各気流ダクト431に対応して設けられている。具体的には、気流ダクト431aに送り込まれる空気を加熱するヒータ433a、気流ダクト431bに送り込まれる空気を加熱するヒータ433b、気流ダクト431cに送り込まれる空気を加熱するヒータ433cが空気循環加熱部408に設けられている。
【0042】
第1実施形態において、ヒータ433を通過した空気の温度は、60~150℃の範囲で制御される。加熱された空気はF22方向に流れ、気流ダクト431からシートSに吹き付けられる。気流ダクト431には、小径(例えば、1.5~5mm)の丸穴が規則的に複数空けられている。このような構成により、乾燥部で40では丸穴からシートSに対して均一に空気が吹き出される。なお、気流ダクト431の穴形状は丸穴に限らず、直線状のスリット穴や、楕円形状等の他それらを組み合わせて構成してもよい。
【0043】
第2気流空間430の内部でシートS上のインクの液分が蒸発すると、第2気流空間430の蒸気圧が上昇する。第2気流空間430内の蒸気圧が過度に上昇すると、所望の蒸
発量が得られなくなり乾燥不良が発生する。そのため、第2筐体405に設けられた吸気ファン437と排気ファン438により、記録装置1の外部から空気を取り込み換気している。
【0044】
吸気ファン437は、記録装置1に設けられた開口部(不図示)からF23方向に外部空気を取り込み、換気口435を通じ、第2気流空間430内に吸気する。排気ファン438は、第2気流空間430から排気口436を通じてF24方向に空気を排気する。排気された空気は、乾燥部40外に排出される。このように、空間内の吸気用のファンと排気用のファンがそれぞれ個別に設けられることにより、空間内の気圧や換気量を安定して維持することが可能になる。
【0045】
なお、第1実施形態においては吸気ファン437と排気ファン438によって換気を行っているが、本発明の適用にあたってはこのような構成に限定されない。例えば、いずれか一方のファンで換気を実施する構成であってもよい。また、換気手段は空気循環加熱部408に設けられてもよい。
【0046】
また、第2気流空間430は、シートSに気流を吹き付ける任意の乾燥形態が適用可能である。例えば、気流ダクト431及び空気循環加熱部408は、上述の構成に限らず任意の設置数や送風手段、加熱手段などにより実現してもよい。加えて、輻射加熱ヒータによる乾燥方式との併用や組み合わせも可能である。また、第1実施形態はヒータ433によって熱風が循環する形態となっているが、ヒータ433を搭載せず常温の風を循環する構成であってもよい。
【0047】
<第2気流空間の気流作用>
次に
図7を参照して、第2気流空間内部の気流作用について説明する。
図7は、乾燥部40をシートSの幅方向(Y方向)に見たときの乾燥部40の内部気流を示す概略断面図である。
【0048】
第2気流空間430には、上述の通り3つの気流ダクト431a~431cが搭載されている。気流ダクト431はシートSに対してF25方向(+Z方向)に風を吹き付け、シートS上のインク乾燥を促進する。乾燥部40において、記録部8で液体組成物としてインクが付与されたインク付与面が下方を向いて搬送されており、気流ダクト431の送風面からシートSのインク付与面に向けて温風が吹き付けられる。
【0049】
気流ダクト431からシートSに吹き付けられた空気のうちの一定量は、気流ダクト431aと気流ダクト431bの間、及び気流ダクト431bと気流ダクト431cの間をF26方向(-Z方向)に流れる。シートSの搬送方向(X方向)に隣接する気流ダクト431同士の間に流れた空気は、空気循環加熱部408により取り込まれて再利用される。
【0050】
第2気流空間430内に設けられる気流ダクト431の風速Vは、夫々の気流ダクト431について独立して制御可能に構成されている。また、気流ダクト431におけるノズル孔径Rやノズル孔総断面積Dは、夫々の気流ダクト431で個別に設定可能である。そして、気流ダクト431の総風量Fは、その気流ダクト431の風速Vとノズル孔総断面積Dによって定まる。なお、気流ダクト431の風速Vとは、気流ダクト431のノズル孔における風速を指す。また、気流ダクト431のノズル孔総断面積Dとは、各気流ダクト431における複数のノズル孔の断面積の合計値を指す。また、気流ダクト431の総風量Fとは、その気流ダクト431の全てのノズル孔から送風される単位時間当たりの気体が流れる量(気体の総流量)を指す。これらの用語については、以下の説明でも同様の意味で用いられる。
【0051】
第1実施形態においては、夫々の気流ダクト431の総風量Fの比が所定範囲内となるように、気流ダクト431のノズル孔総断面積Dが設定され、風速Vが制御される。具体的には、一方の気流ダクト431の風速Vを他方の気流ダクト431の風速Vより大きくする場合、一方の気流ダクト431のノズル孔総断面積Dは他方のノズル孔総断面積Dより小さく設定される。
【0052】
第1実施形態における気流ダクト431のノズル孔構成と気流制御について、より具体的に説明する。第2気流空間430内でシートSの搬送方向に隣接する気流ダクト431を第1気流ダクト(第1送風部)と第2気流ダクト(第2送風部)とする。そして、第1気流ダクトの風速を第1風速VL、第1気流ダクトの第1ノズル孔のノズル孔総断面積を第1総断面積DL、第1気流ダクトの総風量を第1総風量FLとする。同様に、第2気流ダクトの風速を第2風速VH、第2気流ダクトの第2ノズル孔のノズル孔総断面積を第2総断面積DH、第2気流ダクトの総風量を第2総風量FHとする。このとき、第1実施形態においては、気流ダクト431aと気流ダクト431b、又は気流ダクト431bと気流ダクト431cについて、下記(1)~(3)式を満たすようにノズル設計と送風制御がなされる。
(1)1.2VL≦VH≦3.0VL
(2)1.2DH≦DL≦4.5DH
(3)FH:FL=2:3~3:2
【0053】
上述の(1)式を満たすように構成された記録装置1が得られる効果について説明する。例えば、VH<1.2VLであり、(1)式を満たさない構成の場合、2つの気流ダクト431に十分な風速差がつかない。このような構成では、搬送方向の上流側と下流側で同程度の風速により乾燥動作が行われるため、液体組成物の送風流れを抑制しつつ効率的に乾燥を進めることが困難である。
【0054】
また、例えば、3.0VL<VHであり、(1)式を満たさない構成の場合、2つの気流ダクト431の風速差が過大である。このような構成では、風速Vが低い側の第1気流ダクトで第1風速VLが過度に低くなり乾燥効率の悪化をまねくおそれがある。また、このような構成では、風速Vが高い側の第2気流ダクトで第2風速VHが過度に高くなり、液体組成物の送風流れをまねくおそれがある。
【0055】
一方、第1実施形態においては、互いに隣接する気流ダクト431のうち、シートSの搬送方向の上流側に位置する気流ダクト431の風速Vは、(1)式を満たすように下流側に位置する気流ダクト431の風速Vと同等未満に設定される。例えば、第2気流空間430内で搬送方向の最上流に位置する気流ダクト431aの風速Vに対して気流ダクト431bの風速Vを高くしつつ、気流ダクト431cの風速Vやノズル構成を気流ダクト431bと同様に設定してもよい。また、例えば、第2気流空間430内で搬送方向の中間に位置する気流ダクト431bの風速Vに対して気流ダクト431cの風速Vを高くしつつ、気流ダクト431aの風速Vやノズル構成を気流ダクト431bと同様に設定してもよい。
【0056】
上述のように各気流ダクト431a~431cが構成されることで、搬送方向の上流側では低速の風がシートSに吹き付けられ、搬送方向の下流側では高速の風がシートSに吹き付けられる。このように、第1実施形態においては、シートS上の液体組成物の乾燥が比較的進行していない状態では低速の風が吹き付けられるため、液体組成物の送風流れが生じることが抑制される。そして、液体組成物の乾燥が進行した状態では高速の風が吹き付けられるため、乾燥動作の効率性が向上する。
【0057】
次に、上述の(2)式を満たすように構成された記録装置1が得られる効果について説明する。例えば、DL<1.2DHであり、(2)式を満たさない構成の場合、第1総断面積DLと第2総断面積DHとの間に十分な風速差をもうけることが困難となる。したがって、このような構成では、搬送方向の上流側と下流側で同程度の風速により乾燥動作が行われるため、液体組成物の送風流れを抑制しつつ効率的に乾燥を進めることが困難である。
【0058】
また、例えば、4.5DH<DLであり、(2)式を満たさない構成の場合、風速が低い側の第1気流ダクトの第1総断面積DLが過度に大きくなりうる。したがって、このような構成では、第1気流ダクトから送風された空気がシートSと第1気流ダクトの間の空間から排出されづらくなり、乾燥効率が悪化するおそれがある。
【0059】
一方、第1実施形態においては、互いに隣接する気流ダクト431の夫々のノズル孔総断面積Dは、(2)式を満たすように設定される。このような構成によれば、各気流ダクト431の風速を適切に設定して、液体組成物の送風流れの抑制と乾燥動作の効率化を図ると共に、ノズル孔総断面積Dが過度に大きくなることを防ぎ乾燥効率の悪化を抑制できる。
【0060】
次に、上述の(3)式を満たすように構成された記録装置1が得られる効果について説明する。第1実施形態においては、上述の(3)を満たすように各気流ダクト431a~431cのノズル構成が設定され、風速Vが制御される。具体的には、第1実施形態においては、互いに隣接する2つの気流ダクト431の総風量Fの差分が大きくなることを防ぐように、2つの気流ダクト431の総風量Fの比が所定範囲内となるように制御される。このような構成により、一方の気流ダクト431から放出された気流が、他方の気流ダクト431から放出された気流に影響を及ぼすことを抑制して、気流の乱れ(クロスフロー)による乾燥ムラの発生を抑制できる。
【0061】
上述の構成による乾燥ムラの抑制効果についてより詳細に説明する。例えば、FL:FH≠2:3~3:2であり、(3)式を満たさない構成の場合、いずれかの気流ダクト431の総風量Fが他の気流ダクト431と比較して大きく異なる。搬送方向に隣接して配設される2つの気流ダクト431の総風量Fの差が大きい場合、総風量Fが大きい気流ダクト431から送風された空気は、総風量Fが小さい気流ダクト431とシートSの間に流れ込みうる。特に夫々の気流ダクト431の総風量Fの差が大きいほど、一方の気流ダクト431から他方の気流ダクト431とシートSの間に向けて
図7のF27方向に流れ込む風量は大きくなる。このように、一方の気流ダクト431から他方の気流ダクト431とシートSの間に多量の空気が流れ込むと、他方の気流ダクト431とシートSの間でクロスフローが生じて、シートS上の液体組成物が均一に乾燥されずに乾燥ムラを招く。
【0062】
一方、第1実施形態の構成によれば、搬送方向に隣接して配設される夫々の気流ダクト431の総風量Fの比が所定範囲内となるように制御される。このような構成によれば、気流ダクト431とシートSの間の空間に別の気流ダクト431から放出された空気がF27方向に激しく流れ込むことを抑制できるため、気流ダクト431からシートSに向かう気流の乱れの発生が抑制される。ひいては、液体組成物の送風流れと乾燥効率の悪化を抑制しつつ、乾燥ムラを抑制できる。
【0063】
上述のように2つの気流ダクト431の風速に差を設ける場合、各気流ダクトの431ノズル孔径に差を設けることで、各気流ダクト431の総風量を同程度に調整しやすくなる。例えば、風速が低い方の気流ダクト431のノズル孔径Rを、風速が高い方の気流ダクト431のノズル孔径Rより大きくすることで、各気流ダクト431の総風量Fが同程度に近づけやすくなる。
【0064】
風速が低い第1気流ダクトの第1ノズル孔径をRL、風速が高い第2気流ダクトの第2ノズル孔径をRHとすると、下記(4)式を満たすようにノズル設計がされると好適である。
(4)RH<RL≦2.4RH
【0065】
また、2つの気流ダクト431の風速Vに差を設けつつ、各気流ダクト431の総風量Fを同程度に調整するため、各気流ダクト431に設けられるノズル孔の数を各気流ダクト431で異なる値に設定してもよい。気流ダクト431のノズル孔数Nは増えれば増えるほど、送風面におけるノズル孔の密度が高くなるため、気流ダクト431から放出される空気が、シートSと気流ダクト431の間の空間から排出されづらくなる。すると、燃費効率が悪化するため、各気流ダクト431のノズル孔数Nに大きく差を設けて、一方の気流ダクト431のノズル孔数Nを過度に多くすることは好ましくない。そこで、風速が低い第1気流ダクトの第1ノズル孔数をNL、風速が高い第2気流ダクトの第2ノズル孔数をNHとすると、下記(5)式を満たすようにノズル設計がされると好適である。
(5)0.8NH≦NL≦1.2NH
【0066】
以上より、クロスフローの発生抑制のため、第1実施形態では各気流ダクト431の総風量Fの比が所定範囲内になるように、気流ダクト431の風速Vやノズル孔総断面積D、ノズル孔径R、ノズル孔数Nが設定される。このとき、特に上述の(3)の関係式がFH:FL=1:1となるように各値が設定されて、各気流ダクト431の総風量Fが同程度になると、クロスフローの発生抑制に最も効果的である。
【0067】
また、第2気流空間430のように複数の気流ダクト431が配置される気流空間においては、気流ダクト431の送風面とシートSがなるべく水平となるように構成されていることが好ましい。このような構成によれば、クロスフローを制御しやすいためである。
【0068】
<ノズル孔配置構成>
次に
図8、
図9、
図10を参照して、気流ダクト431のノズル孔の配置構成例について説明する。
図8は、搬送方向の上流側に配置され、風速が低く設定される第1気流ダクトの第1ノズル孔の第1配置構成例を示す図である。
図9は、搬送方向の上流側に配置され、風速が低く設定される第1気流ダクトの第1ノズル孔の第2配置構成例を示す図である。
図10は、搬送方向の下流側に配置され、風速が高く設定される第2気流ダクトの第2ノズル孔の配置構成例を示す図である。
図8~10には、ノズル孔の配置間隔を示すための罫線が描かれている。
【0069】
図8の上部には、第1気流ダクトの送風面に垂直な方向から複数の第1ノズル孔451を見たときの第1ノズル孔451の第1配置構成例が示されている。
図8の下部には、第1配置構成例の第1ノズル孔451をシートSの搬送方向に投影したときの各第1ノズル孔451の位置関係を示す。
図8に示されるように、複数の第1ノズル孔451はシートSの搬送方向の下流側に向かうにつれて、シートSの幅方向に徐々にずれて配置される。すなわち、第1ノズル孔451を搬送方向に投影したとき、搬送方向で互いに隣接する第1ノズル孔451が幅方向でも互いに隣接する。第1気流ダクトにはこのようなノズル孔列が送風面に複数形成されており、シートSの幅方向においてシートS全域を覆うように第1ノズル孔451が配置されている。
【0070】
第1実施形態において、第1ノズル孔451のシートSの幅方向のピッチをXとすると、X=RL×Aと表すことができる(RLは第1ノズル孔径)。
図8には、A=1.0の状態のノズル配置構成例が示されている。印字ムラの抑制のため、下記(6)式を満たすようにノズル設計がされると好適である。
(6)0.8≦A≦1.3
【0071】
図8では、第1ノズル孔451の第1配置構成例として、搬送方向に沿って徐々にノズル孔位置がずらされている構成を示したが、本発明の適用にあたってノズル孔位置のずらしかたはこの限りではない。例えば、
図9に示される第2配置構成例のように、上述の(6)式を満たすように、複数の第1ノズル孔451を順不同にずらしてもよい。
【0072】
図9の上部には、第1気流ダクトの送風面に垂直な方向から複数の第1ノズル孔451を見たときの第1ノズル孔451の第2配置構成例が示されている。
図9の下部には、第2配置構成例の第1ノズル孔451をシートSの搬送方向に投影したときの各第1ノズル孔451の位置関係を示す。このような配置構成においては、第1ノズル孔451を搬送方向に投影したとき、搬送方向で互いに隣接する第1ノズル孔451は必ずしも幅方向で互いに隣接しない。このような構成であっても、上述の(6)式を満たすように、且つシートSの幅方向においてシートS全域を覆うように第1ノズル孔451が配置されることで、印字ムラを抑制できる。
【0073】
例えば、1.3<Aであり、(6)式を満たさない構成の場合、ピッチXが大きくなり、シートSの幅方向の第1ノズル孔451の間隔が大きくなる。過大なピッチXで第1ノズル孔451が配置されると、隣接する第1ノズル孔451の間などの空間に風が弱い領域が発生し、シートS上の風の当たる履歴と温度差によって印字ムラが生じうる。特に、風速が低く制御される搬送方向上流側に配置される第1気流ダクトにおいては、過大なピッチXによる印字ムラは顕著になりうる。
【0074】
また、例えば、A<0.8であり、(6)式を満たさない構成の場合、ピッチXが小さくなり、シートSの幅方向の第1ノズル孔451の間隔が小さくなる。過小なピッチXで第1ノズル孔451が配置されると、シートS上の風の当たる履歴が重なることによって、印字ムラが生じうる。
【0075】
一方、第1実施形態においては、気流ダクト431a又は気流ダクト431bのように、他の気流ダクト431に対して搬送方向の上流側に配置される気流ダクト431について、(6)式を満たすようにノズル孔が配置される。このような構成により、シートS幅方向の風の重なりを最適化し、ノズル孔の配置構成を起因とする印字ムラを抑制できる。つまり、上述のようにノズル孔の配置することで、風と温度の影響による印字ムラを抑制することができる。
【0076】
図10には、第2気流ダクトの送風面に垂直な方向から複数の第2ノズル孔452を見たときの第2ノズル孔452の配置構成例が示されている。搬送方向の下流側に配置される第2気流ダクトの第2ノズル孔452は、乾燥効率向上のため、
図10に示されるように搬送方向及び幅方向で等間隔に設けられることが好ましい。また、第1実施形態においては、搬送方向下流側に配置される気流ダクト431の第2ノズル孔452の幅方向のピッチXは、搬送方向上流側に配置される気流ダクト431の第2ノズル孔452の幅方向のピッチXより大きく設定されている。
【0077】
例えば、第2気流ダクトの第2ノズル孔452の配置間隔(ピッチ)が一定でない場合、印字膜の乾燥速度が不均一になりやすく、シートS上の印字膜全体が乾燥するまでに時間がかかり、乾燥効率が悪化するおそれがある。特に、風速が高く制御される搬送方向下流側に配置される気流ダクト431においては、印字膜の乾燥速度が著しく不均一となり、乾燥効率が大きく悪化するおそれがある。
【0078】
一方、第1実施形態においては、気流ダクト431b又は気流ダクト431cのように
、他の気流ダクト431に対して搬送方向の下流側に配置される気流ダクト431においては、上述のように間隔一定で第2ノズル孔452が配置される。このような構成により、乾燥効率の悪化を抑制できる。
【0079】
以上より、本願発明によれば、(1)~(3)式を満たすように第2気流空間430が構成されることで、液体組成物の送風流れや乾燥効率の悪化を抑制しつつ、クロスフローによる乾燥ムラを抑制できる。また、これらの効果を得るために、併せて(4)、(5)式を満たすように各気流ダクト431を構成することも好適である。更に、(6)式を満たすようにノズル孔を配置して気流ダクト431aや気流ダクト431bを構成することで、印字ムラを抑制できる。
【0080】
本願発明は、シートSの搬送方向で互いに隣接する2つの気流ダクト431の最外装間距離が50mm以下であるとき、特に30mm以下であるときに、より好適に効果を発揮する。2つの気流ダクト間距離が小さいほど、一方の気流ダクト431から放出された空気が、他方の気流ダクト431とシートSの間の気流に影響を及ぼす程度が大きくなりやすいためである。すなわち、本願発明は気流ダクト431とシートSの間の空間に、別の気流ダクト431から放出された空気が激しく流れ込みやすい構成に特に好適である。
【0081】
また、本願発明は、各気流ダクト431の送風面とシートSとの距離が30mm以下であるとき、特に15mm以下であるときに、より好適に効果を発揮する。気流ダクト431の送風面とシートSとの距離が近いほど、一方の気流ダクト431から放出された空気が、他方の気流ダクト431とシートSの間の気流に影響を及ぼす程度が大きくなりやすいためである。
【0082】
<構成例>
次に、本願発明の第1実施形態に係る具体的な構成例について、例示的に説明する。以下、構成例として、液体組成物の送風流れの抑制効果と乾燥ムラの抑制効果を得るためのノズル孔パターン及び風速Vの組み合わせを複数示す。以下、夫々の構成例の気流ダクト431a~431cにおけるノズル孔のパターンイメージ、風速V、単位面積当たりのノズル孔総断面積d、単位面積当たりの総風量f、ノズル孔径R、単位面積当たりのノズル孔数nが表に示される。単位面積当たりのノズル孔総断面積dは、気流ダクト431のノズル孔総断面積Dを送風面の面積で割った値である。単位面積当たりの総風量fは、気流ダクト431の総風量Fを送風面の面積で割った値である。単位面積当たりのノズル孔数nは、気流ダクト431のノズル孔数Nを送風面の面積で割った値である。なお、以下の構成例において、各気流ダクト431の送風面の面積は同等である。
【0083】
第1構成例を表1に示す。第1構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第1構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0084】
【0085】
表1に示されるように、構成例1において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=3.0DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、RL=1.8RHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHはFL=1.0FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0086】
第2構成例を表2に示す。第2構成例では、気流ダクト431bが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431cが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431aが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第2構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0087】
【0088】
表2に示されるように、構成例2において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=3.0DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、RL=1.8RHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHはFL=1.0FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0089】
第3構成例を表3に示す。第3構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第3構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0090】
【0091】
表3に示されるように、構成例3において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=1.2VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=1.3DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、RL=1.2RHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHは、FL=1.1FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0092】
第4構成例を表4に示す。第4構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第4構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0093】
【0094】
表4に示されるように、構成例4において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=4.4DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、RL=2.1RHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHは、FL=1.48FHの関係を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0095】
第5構成例を表5に示す。第5構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第5構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0096】
【0097】
表5に示されるように、構成例5において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=1.2VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=1.7DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、RL=1.3RHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHは、FL=1.42FHの関係を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0098】
第6構成例を表6に示す。第6構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第6構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0099】
【0100】
表6に示されるように、構成例6において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=2.0DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、RL=1.4RHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=1.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHは、FL=0.66FHの関係を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0101】
第7構成例を表7に示す。第7構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第7構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0102】
【0103】
表7に示されるように、構成例7は、構成例1に対して気流ダクト431aのノズルパターンを変化させた構成である。構成例7の気流ダクト431aにおいては、A=1.0であり、シートSの幅方向のピッチX=ノズル孔径×1.0として、複数のノズル孔が配置される。また、気流ダクト431b、431cにおいて、ノズル孔のシートSの搬送方向の間隔とシートSの幅方向の間隔は一定である。このような構成によれば、乾燥ムラと、ノズル孔の配置構成を起因とする印字ムラとを抑制しつつ、乾燥効率を向上できる。なお、本発明の適用にあたっては、気流ダクト431aのみを上述の通り構成してもよく、気流ダクト431b、431cのみを上述の通り構成してもよい。また、気流ダクト431bを気流ダクト431aと同様のノズル孔配置構成としてもよい。
【0104】
第8構成例を表8に示す。第8構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第8構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0105】
【0106】
表8に示されるように、構成例8は、構成例7に対して気流ダクト431aのノズルパターンを変化させた構成である。構成例8の気流ダクト431aにおいては、A=0.8であり、シートSの幅方向のピッチX=ノズル孔径×0.8として、複数のノズル孔が配置される。また、気流ダクト431b、431cにおいて、ノズル孔はシートSの搬送方向の間隔とシートSの幅方向の間隔は一定である。このような構成によれば、乾燥ムラと、ノズル孔の配置構成を起因とする印字ムラとを抑制しつつ、乾燥効率を向上できる。
【0107】
第9構成例を表9に示す。第9構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第9構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0108】
【0109】
表9に示されるように、構成例9は、構成例7に対して気流ダクト431aのノズルパターンを変化させた構成である。構成例9の気流ダクト431aにおいては、A=1.3であり、シートSの幅方向のピッチX=ノズル孔径×1.3として、複数のノズル孔が配置される。また、気流ダクト431b、431cにおいて、ノズル孔はシートSの搬送方向の間隔とシートSの幅方向の間隔は一定である。このような構成によれば、乾燥ムラと、ノズル孔の配置構成を起因とする印字ムラとを抑制しつつ、乾燥効率を向上できる。
【0110】
<乾燥部40の制御>
次に、制御部21によって実施される乾燥部40の制御手順を説明する。ホスト装置25から制御部21に対して、記録データが送信されると、記録装置1による記録の準備動作が開始される。
【0111】
制御部21は記録条件に基づき、乾燥部40の駆動テーブル値を決定する。記録媒体の種類や記録濃度、ユーザ指定値に基づき、駆動テーブルの条件が決定される。条件に応じて、各気流ダクト431の気流温度や、送風源の駆動DUTYが指定される。DUTYは、送風源の駆動パルス・デューティ・サイクルを意図し、停止0%~全速回転100%の間で駆動信号を出す。なお、第1実施形態では、送風源の駆動DUTYにより各気流ダクト431の風量調整を行うよう構成されているが、風量調整はこの手段に限定されない。例えば、各気流ダクト内に不図示のノズル内圧力検出手段を設け、ノズル内の圧力値を目標値とし、検出される圧力値に基づき送風源をフィードバック制御して風量調整する構成であってもよい。
【0112】
第2気流空間430においては、記録媒体の搬送方向に対して隣接し、風速が異なる2つの気流ダクト431について、夫々の気流ダクト431の総風量が同等となるように、気流ダクト431の駆動DUTYが制御される。
【0113】
より具体的には、風速が低い第1気流ダクトの第1風速VLと、風速が高い第2気流ダクトの第2風速VHについて、1.2VL≦VH≦3.0VLを満たすように各気流ダクト431の駆動DUTYは制御される。同時に、第1気流ダクトの第1総風量FL、第2
気流ダクトの第2総風量FHについて、FH:FL=2:3~3:2を満たすように、各気流ダクト431の駆動DUTYは制御される。
【0114】
以上に述べた構成と動作により、乾燥部40において、液体組成物の送風流れや乾燥効率の悪化を抑制すると共に、クロスフロー及びノズル配列によるムラの発生を抑えて乾燥工程を良好に保つことができる。
【0115】
[第2実施形態]
次に、本発明に係る第2実施形態について説明する。第2実施形態は、気流ダクト431のノズル孔数の設定方法が第1実施形態と異なる。以下、第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、第2実施形態の特徴的な構成についてのみ説明する。
【0116】
第1実施形態においては、シートSの搬送方向に隣接する2つの気流ダクト431の風速Vに差を設けた上で、総風量Fを同程度にするために、夫々の気流ダクト431のノズル孔の径や数に差をつけていた。しかしながら、風速が異なる2つの気流ダクト431の総風量を同程度にするためには、ノズル孔径Rを同等にした上で、ノズル孔数Nに大きく差を設けてもよい。以下、第2実施形態として、複数の気流ダクト431のノズル孔径Rが互いに同一で、第1実施形態と比較してノズル孔数Nに大きく差を設けた構成について説明する。
【0117】
第2実施形態においては、風速が低い第1気流ダクトの第1ノズル孔のノズル孔数NLと、風速が高い第2気流ダクトの第2ノズル孔のノズル孔数NHについて、下記(7)式を満たすようにノズル設計がされると好適である。
(7)NH<NL≦4.5NH
【0118】
このような構成は、全ての気流ダクト431のノズル孔径Rが小さく(例えば2.0mm以下)、ノズル孔数Nを増やしても送風面におけるノズル孔の密度が高くなりづらい構成に特に好適である。ノズル孔の密度が過度に高い場合、シートSと気流ダクト431の間の空間から空気が排出されづらくなり、燃費効率が悪化するおそれがあるためである。
【0119】
第1実施形態の説明で記載された(1)~(3)式に加えて、上述の(6)式を満たすように気流ダクト431を構成及び制御することで、夫々の気流ダクト431の総風量Fを同程度に制御することができる。ひいては、第2実施形態の構成によれば、液体組成物の送風流れと乾燥効率の悪化を抑制しつつ、乾燥ムラを抑制できる。
【0120】
次に、本願発明の第2実施形態に係る具体的な構成例について、例示的に説明する。以下、構成例として、液体組成物の送風流れの抑制効果と乾燥ムラの抑制効果を得るためのノズル孔パターン及び風速Vの組み合わせを複数示す。なお、以下の構成例において、各気流ダクト431の送風面の面積は同等である。
【0121】
第10構成例を表10に示す。第10構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第10構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0122】
【0123】
表10に示されるように、構成例10において、気流ダクト431aの第1風速VLと気流ダクト431bの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431aの第1総断面積DLと気流ダクト431bの第2総断面積DHは、DL=3.0DHの関係を有する。また、気流ダクト431aのノズル孔径RLと気流ダクト431bのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431aのノズル孔数NLと気流ダクト431bのノズル孔数NHは、NL=3.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHはFL=1.0FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0124】
第11構成例を表11に示す。第11構成例では、気流ダクト431bが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431cが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431aが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第11構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0125】
【0126】
表11に示されるように、構成例11において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=3.0DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=3.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHはFL=1.0FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0127】
第12構成例を表12に示す。第12構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第12構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0128】
【0129】
表12に示されるように、構成例12において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=1.2VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=1.1DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=1.2NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHはFL=1.0FHとなり、第1総風量FLと第2総風量FHが略同等となるため乾燥ムラを効果的に抑制できる。
【0130】
第13構成例を表13に示す。第13構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第13構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0131】
【0132】
表13に示されるように、構成例13において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=4.5DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=4.5NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHは、FL=1.49FHの関係性を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0133】
第14構成例を表14に示す。第14構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第14構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0134】
【0135】
表14に示されるように、構成例14において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=1.2VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=1.7DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=1.7NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHは、FL=0.58FHの関係性を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0136】
第15構成例を表15に示す。第15構成例では、気流ダクト431aが第1気流ダクトとして風速Vが低く設定され、気流ダクト431bが第2気流ダクトとして風速Vが高く設定され、気流ダクト431cが気流ダクト431bと同様に構成される。すなわち、第15構成例はシートS上の液体組成物の送風流れを抑制しつつ、乾燥動作の効率化を図ることができる構成である。
【0137】
【0138】
表15に示されるように、構成例15において、気流ダクト431bの第1風速VLと気流ダクト431cの第2風速VHは、VH=3.0VLの関係を有する。また、気流ダクト431bの第1総断面積DLと気流ダクト431cの第2総断面積DHは、DL=2.1DHの関係を有する。また、気流ダクト431bのノズル孔径RLと気流ダクト431cのノズル孔径RHは、2.0mmで同一である。また、気流ダクト431bのノズル孔数NLと気流ダクト431cのノズル孔数NHは、NL=2.0NHの関係を有する。各パラメータが上述の通り設定されることで、気流ダクト431bの第1総風量FLと気流ダクト431cの第2総風量FHは、FL=0.68FHの関係性を有する。このような構成においても、気流ダクト431aの第1総風量FLと気流ダクト431bの第2総風量FHとの比が所定範囲内となるため、上述の(3)式を満たさない構成と比較して、乾燥ムラの抑制効果を得ることができる。
【0139】
[その他の実施形態]
なお、上述の記録装置1の構成や乾燥部40の制御方法はあくまで本発明の一例であり、本発明は上述した実施形態のみに限定されるものではない。また、上述の各実施形態の構成は、必ずしもすべてが本発明の適用にあたって必要とは限られない。
【0140】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0141】
本実施形態の開示は、以下の構成及び方法を含む。
(構成1)
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、
総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、
総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記
第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部と、
を備え、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風部と前記第2送風部を制御する制御部を更に備えることを特徴とする記録装置。
(構成2)
前記第1総断面積をDL、前記第2総断面積をDHとすると、1.2DH≦DL≦3.0DHを満たし、
前記制御部は、前記第1風速をVL、前記第2風速をVH、前記第1総風量をFL、前記第2総風量をFHとすると、1.2VL≦VH≦3.0VLと、FH:FL=2:3~3:2とを満たすように前記第1送風部と前記第2送風部を制御することを特徴とする構成1に記載の記録装置。
(構成3)
前記制御部は、FH:FL=1:1となるように前記第1送風部と前記第2送風部を制御することを特徴とする構成2に記載の記録装置。
(構成4)
前記複数の第1ノズル孔の第1ノズル孔径は、前記複数の第2ノズル孔の第2ノズル孔径より大きいことを特徴とする構成2又は3に記載の記録装置。
(構成5)
前記第1ノズル孔径をRL、前記第2ノズル孔径をRHとすると、RH<RL≦2.4RHを満たすことを特徴とする構成4に記載の記録装置。
(構成6)
前記第1送風部に設けられる前記複数の第1ノズル孔の数をNL、前記第2送風部に設けられる前記複数の第2ノズル孔の数をNHとすると、0.8NH≦NL≦1.2NHを満たすことを特徴とする構成5に記載の記録装置。
(構成7)
前記複数の第1ノズル孔のノズル孔径が2.0mm以下であり、
前記第1送風部に設けられる前記複数の第1ノズル孔の数をNL、前記第2送風部に設けられる前記複数の第2ノズル孔の数をNHとすると、NH<NL≦4.5NHを満たすことを特徴とする構成2又は3に記載の記録装置。
(構成8)
前記第1送風部は、前記複数の第1ノズル孔が設けられた第1気流ダクトであり、
前記第2送風部は、前記複数の第2ノズル孔が設けられた第2気流ダクトであり、
前記第1気流ダクトの外装と前記第2気流ダクトの外装との前記搬送方向の距離は、50mm以下であることを特徴とする構成1~7のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成9)
前記第1送風部は、前記複数の第1ノズル孔が設けられた送風面を有する第1気流ダクトであり、
前記第2送風部は、前記複数の第2ノズル孔が設けられた送風面を有する第2気流ダクトであり、
前記第1気流ダクトの送風面と記録媒体との間の距離、及び前記第2気流ダクトの送風面と記録媒体との間の距離が30mm以下であることを特徴とする構成1~8のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成10)
前記複数の第1ノズル孔の第1ノズル孔をRL、前記複数の第1ノズル孔の前記第1送風部における前記搬送方向と直交する幅方向のピッチをXとすると、X=RL×Aで表され、
前記Aは、0.8≦A≦1.3を満たすことを特徴とする構成1~9のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成11)
前記複数の第2ノズル孔の前記搬送方向の配置間隔、及び前記幅方向の配置間隔は一定であることを特徴とする構成10に記載の記録装置。
(構成12)
前記第1送風部と前記第2送風部が設けられた空間内の空気を回収し、前記第1送風部と前記第2送風部に向けて空気を供給する空気循環部を更に備えることを特徴とする構成1~11のいずれか一の構成に記載の記録装置。
(構成13)
前記空気循環部は、前記第1送風部に供給する空気を加熱するヒータと、前記第2送風部に供給する空気を加熱するヒータと、を含むことを特徴とする構成12に記載の記録装置。
(方法1)
記録媒体上に液体組成物を付与して画像を記録する記録部と、総断面積が第1総断面積である複数の第1ノズル孔を有し、前記複数の第1ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第1送風部と、総断面積が前記第1総断面積より小さい第2総断面積である複数の第2ノズル孔を有し、前記複数の第2ノズル孔を通じて記録媒体に向けて送風する第2送風部であって、前記第1送風部に対して記録媒体の搬送方向の下流側で隣接するように前記第1送風部と同一空間内に設けられる第2送風部とを備える記録装置によって記録媒体に向けて送風して記録媒体を乾燥させる記録装置の乾燥方法であって、
前記第1送風部の前記複数の第1ノズル孔における第1風速が前記第2送風部の前記複数の第2ノズル孔における第2風速より小さく、且つ前記複数の第1ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第1総風量と前記複数の第2ノズル孔から送風される単位時間当たりの総風量である第2総風量との比が所定範囲内となるように前記第1送風部と前記第2送風部から記録媒体に向けて送風することを特徴とする記録装置の乾燥方法。
(方法2)
前記第1総断面積をDL、前記第2総断面積をDHとすると、前記記録装置は1.2DH≦DL≦3.0DHを満たし、
前記第1風速をVL、前記第2風速をVH、前記第1総風量をFL、前記第2総風量をFHとすると、1.2VL≦VH≦3.0VLと、FH:FL=2:3~3:2とを満たすよう前記第1送風部と前記第2送風部から記録媒体に向けて送風することを特徴とする方法1に記載の記録装置の乾燥方法。
【符号の説明】
【0142】
1…記録装置、8…記録部、21…制御部、431…気流ダクト(送風部)、451…第1ノズル孔、452…第2ノズル孔、DL…第1総断面積、DH…第2総断面積、FL…第1総風量、FH…第2総風量、VL…第1風速、VH…第2風速