(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173377
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/42 20060101AFI20241205BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/86 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/49 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20241205BHJP
A61K 8/45 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
A61K8/42
A61Q5/06
A61K8/86
A61K8/49
A61K8/81
A61K8/45
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091753
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮太
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA122
4C083AB032
4C083AC181
4C083AC182
4C083AC302
4C083AC431
4C083AC432
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC552
4C083AC641
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC692
4C083AC711
4C083AC712
4C083AC852
4C083AD132
4C083AD452
4C083BB05
4C083BB07
4C083BB34
4C083BB35
4C083BB53
4C083CC36
4C083DD08
4C083DD23
4C083DD27
4C083DD47
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】泡質および起泡性が良好で、洗浄性に優れ、洗い流し時のきしみがなく、均染性に優れた染毛料組成物を提供する。
【解決手段】直接染料を含有し、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出して使用される染毛料組成物であって、(A)脂肪酸アルカノールアミド、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上、(C)両性界面活性剤、(D)アニオン性界面活性剤、(E)カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーから選ばれる1種以上を含有し、前記(A)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(B)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、前記(C)成分の含有量が1~15質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(E)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、pHが4~6.8の範囲であることを特徴とする染毛料組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直接染料を含有し、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出して使用される染毛料組成物であって、
(A)脂肪酸アルカノールアミド
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上
(C)両性界面活性剤
(D)アニオン性界面活性剤
(E)カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーから選ばれる1種以上
を含有し、前記(A)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(B)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、前記(C)成分の含有量が1~15質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(E)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、pHが4~6.8の範囲であることを特徴とする染毛料組成物。
【請求項2】
前記(A)成分が、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミドまたはヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の染毛料組成物。
【請求項3】
前記(C)成分が、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムまたは2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛料組成物に関する。さらに詳しくは、直接染料を含有し、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出して使用される染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーリング剤は、酸化染料を用いる酸化染毛剤等の永久染毛剤、毛髪を明るくする脱色剤、直接染料を用いる半永久染毛料、毛髪を一時的に着色する一時染毛料に大別される。これらのうち、酸化染料を含有する酸化染毛剤等の永久染毛剤は、優れた染毛効果を発揮できることから汎用されている一方で、一般的に酸化剤およびアルカリ剤を含有するため、毛髪や頭皮に対する負荷が大きいというデメリットがある。
【0003】
これに対して半永久染毛料は、塩基性染料や酸性染料、HC染料等の直接染料を含有した染毛料組成物であり、その一種として染毛性とトリートメント性を同時に示すカラートリートメントや染毛性と洗浄性を同時に示すカラーシャンプーなどがあり、毛髪や頭皮に対する負荷が小さいというメリットがある。この中でもカラーシャンプーは、洗浄剤として単に毛髪や頭皮の汚れを除去するという機能だけでなく、日常的な毛髪の洗浄を行いながら、塩基性染料やHC染料等の直接染料を毛髪に徐々に吸着させ、毛髪を染色するという利便性もある。
【0004】
近年のファッションカラーのトレンドにおいて、原色系のような派手な髪色からトーンが暗い色や灰系統色等のようなくすんだ髪色まで幅広く人気が高まりつつある中で、日常の洗髪を繰り返したことによる染毛色の褪色に対する補色にも関心が集まっており、この補色を行う手段としてカラーシャンプー等の染毛料組成物がよく使用されている。そして酸化染毛剤と比較して、酸化剤やアルカリ剤等を含有しないため毛髪および頭皮へのダメージを軽減することができ、多用できるというメリットからも、近年需要が増える傾向にある。特に、原色系のような派手な髪色や灰系統色のようなくすんだ髪色、青系統色等は褪色過程において、ブリーチ等で明るくした毛髪自体のメラニン色素由来の黄味が露呈されて色調が乱れやすいことから、カラーシャンプー等の染毛料組成物が補色のために使用される傾向に強い。
【0005】
また、シャンプーの仕様としては、液状の製剤を直接手に取り毛髪上で泡立てて塗布する仕様や、ノンエアゾールフォーマー容器より泡状に吐出して毛髪に塗布する仕様などがあるが、カラーシャンプーにおいても同様である。液状の製剤を直接手に取り毛髪上で泡立てて塗布する仕様は、泡立てるという行為に伴い毛髪に対して摩擦が生じ、少なからず物理的な負荷がかかる。一方で、ノンエアゾールフォーマー容器より泡状に吐出して毛髪に塗布する仕様は、泡立てるという行為が伴わないため摩擦レスとなり、塗布時の毛髪への物理的な負荷も軽減しつつ染色(補色)できるというメリットがあり、近年では需要が見受けられつつある。
【0006】
このようなカラーシャンプーとして特許文献1では、塩基性染料、HC染料または酸性染料を含有した染毛料組成物で、使用時に泡にして染色する染毛料組成物を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、特許文献1における染毛料組成物は、染色性にのみしか言及されておらず、シャンプーの機能として必要な、泡質、起泡性、洗浄性および洗い流し時のきしみ等の使用感に関しては検討されていない。また、カラーシャンプー等の染毛料組成物として重要な均染性においても課題が残っていた。
【0009】
したがって本発明は、泡質および起泡性が良好で、洗浄性に優れ、洗い流し時のきしみがなく、均染性に優れた染毛料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意検討した結果、
直接染料を含有し、ノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出して使用される染毛料組成物であって、
(A)脂肪酸アルカノールアミド
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上
(C)両性界面活性剤
(D)アニオン性界面活性剤
(E)カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーから選ばれる1種以上
を含有し、前記(A)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(B)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、前記(C)成分の含有量が1~15質量%であり、前記(D)成分の含有量が0.1~3質量%であり、前記(E)成分の含有量が0.1~2.5質量%であり、pHが4~6.8の範囲であることを特徴とする染毛料組成物
が、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、泡質および起泡性が良好で、洗浄性に優れ、洗い流し時のきしみがなく、均染性に優れた染毛料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において含有量を示す単位は、特に明記しない限り全て質量%である。
【0014】
本発明において泡質とは、泡のキメ細かさを意味する。
【0015】
本発明において洗浄性とは、頭皮の汚れを洗い落とす程度を意味する。
【0016】
本発明において均染性とは、染毛色の均一性(ムラのなさ)を意味する。
【0017】
本発明は、泡質および均染性の観点から、(A)脂肪酸アルカノールアミドを含有する。
【0018】
本発明で用いられる前記(A)成分としては、特に限定されないが、例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミド、パーム核油脂肪酸ジエタノールアミド、パーム核油脂肪酸モノエタノールアミド、ラウリン酸ジエタノールアミド、ラウリン酸ミリスチン酸ジエタノールアミド、ステアリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
【0019】
本発明で用いられる前記(A)成分のうち、泡質を向上させる観点から、好ましくはヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミドまたはヤシ油脂肪酸モノエタノールアミドから選ばれる一種以上、より好ましくはヤシ油脂肪酸ジエタノールアミドまたはヤシ油脂肪酸N-メチルエタノールアミドから選ばれる1種以上がよい。
【0020】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.1~2%、さらに好ましくは0.5~1.5%がよい。前記(A)成分の含有量が0.1%未満の場合、泡質および均染性が悪くなる。前記(A)成分の含有量が3%を超える場合、洗い流し時のきしみが生じる。
【0021】
本発明は、泡質および均染性の観点から、(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油またはポリオキシエチレンアルキルエーテルから選ばれる1種以上を含有する。なお、以下に示すポリオキシエチレン(以下、POEという)アルキルエーテルの括弧内の数字は、エチレンオキサイドの付加モル数を示す。
【0022】
前記(B)成分は、前記(A)成分と組み合わせることで、より高い泡質を実現する。
【0023】
本発明で用いられる前記ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油の具体例としては、特に限定されないが、例えば、POE(5)硬化ヒマシ油、POE(10)硬化ヒマシ油、POE(20)硬化ヒマシ油、POE(30)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(50)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(80)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0024】
本発明で用いられる前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの具体例としては、特に限定されないが、例えば、POE(5)デシルエーテル、POE(6)デシルエーテル、POE(2)ラウリルエーテル、POE(3)ラウリルエーテル、POE(4)ラウリルエーテル、POE(5)ラウリルエーテル、POE(7)ラウリルエーテル、POE(8)ラウリルエーテル、POE(9)ラウリルエーテル、POE(12)ラウリルエーテル、POE(15)ラウリルエーテル、POE(19)ラウリルエーテル、POE(21)ラウリルエーテル、POE(25)ラウリルエーテル、POE(30)ラウリルエーテル、POE(40)ラウリルエーテル、POE(3)トリデシルエーテル、POE(5)トリデシルエーテル、POE(7)トリデシルエーテル、POE(8)トリデシルエーテル、POE(9)トリデシルエーテル、POE(10)トリデシルエーテル、POE(12)トリデシルエーテル、POE(15)トリデシルエーテル、POE(20)トリデシルエーテル、POE(2)セチルエーテル、POE(5)セチルエーテル、POE(6)セチルエーテル、POE(7)セチルエーテル、POE(8)セチルエーテル、POE(10)セチルエーテル、POE(13)セチルエーテル、POE(15)セチルエーテル、POE(20)セチルエーテル、POE(23)セチルエーテル、POE(25)セチルエーテル、POE(30)セチルエーテル、POE(40)セチルエーテル、POE(150)セチルエーテル、POE(2)ステアリルエーテル、POE(3)ステアリルエーテル、POE(4)ステアリルエーテル、POE(5)ステアリルエーテル、POE(7)ステアリルエーテル、POE(10)ステアリルエーテル、POE(11)ステアリルエーテル、POE(15)ステアリルエーテル、POE(20)ステアリルエーテル、POE(30)ステアリルエーテル、POE(40)ステアリルエーテル、POE(50)ステアリルエーテル、POE(100)ステアリルエーテル、POE(8)イソステアリルエーテル、POE(12)イソステアリルエーテル、POE(16)イソステアリルエーテル、POE(2)オレイルエーテル、POE(5)オレイルエーテル、POE(7)オレイルエーテル、POE(9)オレイルエーテル、POE(10)オレイルエーテル、POE(15)オレイルエーテル、POE(20)オレイルエーテル、POE(50)オレイルエーテル、POE(5)ベヘニルエーテル、POE(10)ベヘニルエーテル、POE(20)ベヘニルエーテル、POE(30)ベヘニルエーテル等が挙げられる。
【0025】
本発明で用いられる前記(B)成分のうち、泡質および均染性を向上させる観点から、好ましくはPOE(20)硬化ヒマシ油、POE(40)硬化ヒマシ油またはPOE(40)ステアリルエーテルから選ばれる一種以上、より好ましくはPOE(20)硬化ヒマシ油またはPOE(40)硬化ヒマシ油から選ばれる1種以上、さらに好ましくはPOE(40)硬化ヒマシ油がよい。
【0026】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、好ましくは0.1~2.5%、より好ましくは0.1~2%、さらに好ましくは0.2~1.5%がよい。前記(B)成分の含有量が0.1%未満の場合、泡質および均染性が悪くなる。前記(B)成分の含有量が2.5%を超える場合、洗い流し時のきしみが生じる。
【0027】
本発明は、泡質、起泡性、洗浄性および均染性の観点から、(C)両性界面活性剤を含有する。
【0028】
本発明で用いられる前記(C)成分としては、特に限定されないが、例えば、アミノ酸型両性界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有する。
【0029】
前記アミノ酸型両性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ウンデシルヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインナトリウム、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシエトキシエチル-N’-カルボキシエチルエチレンジアミン二ナトリウム、N-ヤシ油脂肪酸アシル-N’-カルボキシメトキシエチル-N’-カルボキシメチルエチレンジアミン二ナトリウム、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、パーム油脂肪酸アシル-N-カルボキシエチル-N-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノジプロピオン酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸トリエタノールアミン等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0030】
前記ベタイン型両性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ヤシ油アルキルベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ミリスチルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ステアリルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、パーム油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルベタイン、リシノレイン酸アミドプロピルベタイン、ステアリルジヒドロキシエチルベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0031】
本発明で用いられる前記(C)成分のうち、好ましくはラウリン酸アミドプロピルベタイン、N-ラウロイル-N’-カルボキシメチル-N’-ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウムまたは2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタインから選ばれる1種以上がよい。
【0032】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、好ましくは1~15%、より好ましくは2~12%、さらに好ましくは4~10%がよい。前記(C)成分の含有量が1%未満の場合、泡質、起泡性および洗浄性が十分に得られず、均染性が悪くなる。前記(C)成分の含有量が15%を超える場合、洗い流し時のきしみが生じる。
【0033】
本発明は、起泡性の観点から、(D)アニオン性界面活性剤を含有する。
【0034】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、硫酸塩型アニオン性界面活性剤、N-アシルメチルアラニン型アニオン性界面活性剤が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも1種以上を含有する。
【0035】
前記硫酸塩型アニオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩等が挙げられる。
【0036】
前記アルキル硫酸塩の具体例としては、特に限定されないが、例えば、ラウリル硫酸塩、ミリスチル硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0037】
前記POEアルキルエーテル硫酸塩の具体例としては、特に限定されないが、例えば、POE(3)アルキル(12,13)エーテル硫酸、POEラウリルエーテル硫酸、POEミリスチル硫酸、POEセチルエーテル硫酸、およびこれらの塩(ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0038】
前記N-アシルメチルアラニン型アニオン性界面活性剤の具体例としては、特に限定されないが、例えば、N-ラウロイルメチル-β-アラニン、N-ヤシ油脂肪酸メチルアラニン、N-ミリストイルメチルアラニン、N-ステアロイルメチルアラニン、N-パルミトイルメチルアラニン、およびこれらの塩( ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)等が挙げられる。
【0039】
本発明で用いられる前記(D)成分のうち、好ましくはN-ラウロイルメチル-β-アラニンまたはPOE(3)アルキル(12,13)エーテル硫酸、およびこれらの塩( ナトリウム塩、カリウム塩、トリエタノールアミン塩等)から選ばれる1種以上がよい。
【0040】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、好ましくは0.1~3%、より好ましくは0.1~2%、さらに好ましくは0.2~1.5%がよい。前記(D)成分の含有量が0.1%未満の場合、泡質が悪くなり、起泡性が十分に得られず、均染性が悪くなる。前記(D)成分の含有量が3%を超える場合、洗い流し時のきしみが生じる。
【0041】
本発明は、洗い流し時のきしみの観点から、(E)カチオン性ポリマーまたは両性ポリマーから選ばれる1種以上を含有する。
【0042】
前記カチオン性ポリマーの具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、ポリ塩化ジメチルジメチレンピロリジニウム、アクリル酸・塩化ジメチルアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]ヒドロキシエチルセルロース、塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)プロピル]グァーガム等が挙げられる。
【0043】
前記両性ポリマーの具体例としては、特に限定されないが、例えば、アクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体、アクリル酸・アクリル酸メチル・塩化メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウム共重合体、アクリル酸・アクリルアミド・メタクリルアミドプロピルトリモニウムクロリド共重合体等が挙げられる。
【0044】
本発明で用いられる前記(E)成分のうち、洗い流し時のきしみ抑制の観点から、好ましくは塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体、塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリルアミド共重合体またはアクリルアミド・アクリル酸・塩化ジメチルジアリルアンモニウム共重合体から選ばれる少なくとも1種以上、より好ましくは塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体がよい。
【0045】
本発明で用いられる前記(E)成分の含有量は、好ましくは0.1~2.5%、より好ましくは0.3~2%、さらに好ましくは0.5~1.5%がよい。前記(E)成分の含有量が0.1%未満の場合、洗い流し時のきしみが生じる。前記(E)成分の含有量が2.5%を超える場合、泡質が悪くなり、起泡性が十分に得られず、均染性が悪くなる。
【0046】
本発明における染毛料組成物は、任意の直接染料の1種または2種以上を任意の割合で組み合わせることにより、多様なカラーバリエーションが調製可能となる。前記直接染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、塩基性染料、HC染料、酸性染料等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種以上を含有する。
【0047】
前記塩基性染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、赤色213号、赤色214号、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青26、塩基性青41、塩基性青75、塩基性青77、塩基性青99、塩基性青124、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性緑1、塩基性緑4、塩基性橙1、塩基性橙2、塩基性橙31、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤51、塩基性赤76、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫10、塩基性紫16、塩基性黄11、塩基性黄28、塩基性黄57、塩基性黄87等が挙げられる。
【0048】
前記HC染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC青6、HC青9、HC青11、HC青12、HC青13、HC青15、HC青16、HC橙1、HC橙2、HC橙3、HC赤1、HC赤3、HC赤8、HC赤11、HC赤13、HC紫1、HC紫2、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄6、HC黄11、HC黄14、HC黄15等が挙げられる。
【0049】
前記酸性染料の具体例としては、特に限定されないが、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色102号、赤色106号、赤色201号、赤色227号、赤色231号、赤色232号、赤色401号、赤色502号、赤色503号、赤色504号、赤色506号、黄色4号、黄色5号、黄色202号(1)、黄色202号(2)、黄色402号、黄色406号、黄色407号、橙色205号、橙色207号、橙色402号、緑色3号、緑色204号、緑色205号、緑色401号、緑色402号、紫色401号、青色1号、青色2号、青色202号、青色203号、青色205号、褐色201号、黒色401号、アシッドブルー1、アシッドブルー3、アシッドブルー62、アシッドブラック52、アシッドブラウン13、アシッドグリーン50、アシッドオレンジ6、アシッドレッド14、アシッドレッド35、アシッドレッド73、アシッドレッド184等が挙げられる。
【0050】
本発明で用いられる前記直接染料のうち、好ましくは塩基性染料またはHC染料から選ばれる1種以上がよい。
【0051】
本発明における染毛料組成物の20℃条件下におけるpHは、泡質、起泡性、洗浄性、洗い流し時のきしみおよび均染性の観点から、好ましくはpH4~6.8であり、より好ましくはpH4~6.5、さらに好ましくはpH4.5~6がよい。pHが4未満の場合、泡質が悪くなり、起泡性および洗浄性が十分に得られず、均染性が悪くなる。pHが6.8を超える場合、洗い流し時のきしみが生じる。
【0052】
本発明における染毛料組成物の20℃条件下におけるpHは、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間放置した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所製)にて原液のpHを測定し得られるものである。
【0053】
本発明の染毛料組成物は前記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、油性成分、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分および前記(D)成分以外の界面活性剤、前記(E)成分以外の高分子化合物、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料等から選ばれる少なくとも1種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものではない。
【0054】
本発明の染毛料組成物の剤型は、特に限定されないが、例えば、液状等の剤型でノンエアゾールフォーマー容器に収容し、泡状に吐出して使用される。すなわち、ノンエアゾールフォーマー容器に収容して、ノンエアゾールフォーマー型染毛料組成物製品とすることができる。また、本発明の染毛料組成物は、パウチ容器、ポリ容器などの詰め替え用容器に収容した製品とし、前記詰め替え用容器からノンエアゾールフォーマー容器に移し替えて使用する形態とすることもできる。
【0055】
本発明の染毛料組成物を泡状に吐出するノンエアゾールフォーマー容器としては、染毛料組成物と空気を混合して泡状にする種類のノンエアゾールフォーマー容器が挙げられ、具体例としては、特に限定されないが、例えば、ノズル部分を押すことにより泡を吐出できるポンプフォーマー型や、ボトルをスクイズすることにより泡を吐出できるスクイズフォーマー型等が挙げられる。
【0056】
本発明の染毛料組成物を泡状に吐出するノンエアゾールフォーマー容器のうち、一定量の泡を吐出可能という観点から、好ましくはポンプフォーマー型がよい。
【0057】
本発明の染毛料組成物を泡状に吐出するノンエアゾールフォーマー容器としては、特に限定されないが、容器からの吐出しやすさの観点から、好ましくは吐出孔内部に100~200メッシュの2枚以上の多孔質膜を有する型、より好ましくは100メッシュと200メッシュの2枚の多孔質膜を有する型がよい。
【0058】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は、特に限定されないが、容器からの吐出しやすさの観点から、好ましくは10~1,000mPa・sがよい。
【0059】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間静置した後に、B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、500mPa・s未満の場合はM2号ローターを用いて回転速度60rpmで1分間、500mPa・s以上1,000mPa・s未満の場合はM3号ローターを用いて回転速度60rpmで1分間回転させた後に測定したものである。
【0060】
本発明に用いられる染毛料組成物は、異なる色調同士を任意の割合で混合することにより、染毛色を用時調整可能である。
【実施例0061】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。なお、各表に記載の含有量を表す数値の単位は、特に指定のない限り質量%である。
【0062】
本明細書に示す評価試験において、「泡質」、「起泡性」、「洗浄性」、「洗い流し時のきしみ」および「均染性」について下記の方法で評価した。なお、各実施例、各比較例に係る染毛料組成物を充填したポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器は、大和製罐株式会社製(300mL PE ボトル、F5Mポンプフォーマー #200/100)を用いた。
【0063】
「泡質」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物をポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に充填し、5g吐出させたときのそれぞれの泡質を、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、泡のキメ細かさに満足であると評価した。
〇:15人中9人以上11人以下が、泡のキメ細かさに満足であると評価した。
△:15人中6人以上8人以下が、泡のキメ細かさに満足であると評価した。
×:15人中5人以下が、泡のキメ細かさに満足であると評価した。
【0064】
「起泡性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物をポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に充填し、5g吐出して、それぞれ40℃のぬるま湯で適度に濡らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N;毛髪の長さを25cmにカット)に塗布し、起泡性を、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、泡立ちが良好で塗布時に泡が手から垂れ落ちないと評価した。
〇:15人中8人以上11人以下が、泡立ちが良好で塗布時に泡が手から垂れ落ちないと評価した。
×:15人中7人以下が、泡立ちが良好で塗布時に泡が手から垂れ落ちないと評価した。
【0065】
「洗浄性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物をポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に充填し、5g吐出して、それぞれ40℃のぬるま湯で適度に濡らした専門のパネラーの頭髪にて、1分間両手で揉み込んで馴染ませた。5分間放置した後、40℃のぬるま湯で十分洗い流し、タオルドライ後にドライヤーを用いて頭髪を乾燥させ、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、洗浄性に満足であると評価した。
〇:15人中9人以上11人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
△:15人中6人以上8人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
×:15人中5人以下が、洗浄性に満足であると評価した。
【0066】
「洗い流し時のきしみ」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物をポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に充填し、5g吐出して、それぞれ40℃のぬるま湯で適度に濡らしたウィッグ(人毛黒毛100%、ビューラックス社製、型番:クイーン・カットNo.775N;毛髪の長さを25cmにカット)に塗布し、1分間両手で揉み込み、40℃のぬるま湯で洗い流した時のきしみを、下記の基準で専門のパネラー15名が官能にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が、きしみがなく良好であると評価した。
〇:15人中9人以上11人以下が、きしみがなく良好であると評価した。
△:15人中6人以上8人以下が、きしみがなく良好であると評価した。
×:15人中5人以下が、きしみがなく良好であると評価した。
【0067】
「均染性」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物をポンプフォーマー型ノンエアゾールフォーマー容器に充填し、0.5g吐出して、それぞれ40℃のぬるま湯で十分洗浄した明るさ13レベル相当(NPO法人日本ヘアカラー協会が制定した、毛髪の明度を4~15の12段階に分けたレベルスケール)の毛束(品番:BR-2-A、株式会社ビューラックス製;10cm、1g)に対し塗布し、1分間手で馴染ませた。5分間放置した後、40℃のぬるま湯で十分洗い流し、タオルドライ後にドライヤーを用いて毛束を乾燥させ評価用毛束とし、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:ムラがなく均一に染色されていると評価した。
〇:ムラがほぼなく染色されていると評価した。
×:非常にムラに染色されていると評価した。
【0068】
【0069】
【0070】
【0071】
【0072】
【0073】
【0074】
【0075】
表1~表7に示す実施例1から実施例54において、「泡質」、「起泡性」、「洗浄性」、「洗い流し時のきしみ」および「均染性」に関してそれぞれ良好な結果が得られた。
【0076】
以下に当該組成物の処方例を挙げる。以下の実施例55、実施例56に示す染毛料組成物より、「泡質」、「起泡性」、「洗浄性」、「洗い流し時のきしみ」および「均染性」に関してそれぞれ良好な結果が得られた。
【0077】
<実施例55>
(染毛料組成物)
成分 含有量(%)
(A)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.000
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.500
(C)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 6.000
(D)ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム 0.600
(E)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 0.820
(E)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.050
塩基性紫2 0.003
HC青16 0.021
1,3-ブチレングリコール 2.000
パラオキシ安息香酸メチル 0.300
エデト酸二ナトリウム 0.300
クエン酸 0.210
香料 0.400
加水分解シルク(※1) 0.001
アルガニアスピノサ核油 0.001
ホホバ油 0.001
アボカド油 0.001
精製水 87.792
合計 100.000
粘度(20℃) 21mPa・s
pH(20℃) 5.0
【0078】
<実施例56>
(染毛料組成物)
成分 含有量(%)
(A)ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド 1.000
(B)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.) 0.500
(C)ラウリン酸アミドプロピルベタイン 6.000
(D)ラウロイルメチル-β-アラニンナトリウム 0.600
(E)塩化ジメチルジアリルアンモニウム・アクリル酸共重合体液 0.820
(E)塩化O-[2-ヒドロキシ-3-(トリメチルアンモニオ)
プロピル]ヒドロキシエチルセルロース 0.050
塩基性青75 0.021
塩基性紫2 0.008
塩基性茶16 0.020
1,3-ブチレングリコール 2.000
パラオキシ安息香酸メチル 0.300
エデト酸二ナトリウム 0.300
クエン酸 0.210
香料 0.400
加水分解シルク(※1) 0.001
アルガニアスピノサ核油 0.001
ホホバ油 0.001
アボカド油 0.001
精製水 87.767
合計 100.000
粘度(20℃) 22mPa・s
pH(20℃) 5.0
※1:Promois SILK-1000(株式会社成和化成製)
本発明によればノンエアゾールフォーマー容器から泡状に吐出して使用される染毛料組成物に関して、泡質および起泡性が良好で、洗浄性に優れ、洗い流し時のきしみがなく、均染性に優れた染毛料組成物を提供する。