(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017338
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回路遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
H01H 73/20 20060101AFI20240201BHJP
H02B 1/40 20060101ALI20240201BHJP
H02B 1/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H02B1/40 D
H02B1/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119899
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮川 紘平
(72)【発明者】
【氏名】中道 義也
(72)【発明者】
【氏名】大西 達也
【テーマコード(参考)】
5G016
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G016DC01
5G030XX20
5G030YY04
5G211AA11
5G211AA12
5G211BB09
5G211DD02
5G211DD05
5G211EE05
5G211EE06
5G211GG05
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】本開示の課題は、結線作業の作業性の向上を図ることである。
【解決手段】回路遮断器A1は、1次側の電線の導体と電気的に接続される端子ブロックB1を有する。端子ブロックB1は、第1端子板と、第2端子板60と、ばね部材と、ケース5と、接続導体61と、を備える。第2端子板60は、第1端子板と導通する。ばね部材は、導体に対して第1端子板に接する向きの接圧力を付与する。ケース5は、第1端子板、及びばね部材を収容する。接続導体61は、ケース5の外に配置される第2端子板60と第1端子板を電気的に接続する。接続導体61の少なくとも一部がケース5の外に導出される。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側の電線の導体と電気的に接続される端子ブロックと、
前記端子ブロックと2次側端子の間の電路に挿入された接点部と、
前記接点部を開閉する開閉機構部と、
を有し、
前記端子ブロックは、
前記電路と電気的に接続されている第1端子板と、
前記第1端子板と導通する第2端子板と、
前記導体に対して前記第1端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、
前記第1端子板、及び前記ばね部材を収容するケースと、
前記ケースの外に配置される前記第2端子板と前記第1端子板を電気的に接続する接続導体と、
備え、
前記接続導体の少なくとも一部が前記ケースの外に導出される、
回路遮断器。
【請求項2】
前記第2端子板は、前記ケースの一つの側面の法線方向から見て、前記ケースの輪郭の外にはみ出さない、
請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記端子ブロック、前記接点部、前記開閉機構部を収容する筐体を更に有する、
請求項1又は2記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記筐体は、複数の前記端子ブロックを収容する、
請求項3記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記複数の端子ブロックが備える複数の前記第2端子板が前記筐体の外に配置され、
前記複数の第2端子板は、前記筐体の一つの側面と平行に一列に並ぶように配置される、
請求項4記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記筐体は、前記複数の第2端子板の一部又は複数の前記接続導体をそれぞれ外部に引き出す複数の引出口を有し、
前記複数の引出口は、前記複数の第2端子板が一列に並ぶ方向から見て互いに重ならないように配置される、
請求項5記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記複数の端子ブロックのうち、単相3線式電路の中性極の導体と電気的に接続される1つの前記端子ブロックが有する前記第2端子板は、その他の複数の前記端子ブロックのそれぞれの前記第2端子板よりも、前記筐体の底面に対して最も離れた位置に配置される、
請求項5記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記端子ブロックは、
前記ばね部材を変形させる向きに移動することで前記接圧力を調整する調整部材と、
前記調整部材を固定する固定位置と前記調整部材を固定せずに移動可能とする非固定位置との間を移動可能である固定部材と、
を備え、
前記調整部材及び前記固定部材は前記ケースに収容され、
前記ケースは、
前記ケースの表面に設けられた挿入口から前記第1端子板が収容される収容空間まで前記導体を案内する案内路と、
前記ケースの表面に開口し、かつ、前記固定部材を移動可能に収容する収容部と、
を有し、
前記固定部材は、
前記ケースの外から押操作される操作部と、
前記操作部が押操作されることで移動し、前記固定部材が前記固定位置にあるときに前記調整部材を固定する固定部と、
を有する、
請求項1又は2記載の回路遮断器。
【請求項9】
請求項1又は2の回路遮断器と、
前記回路遮断器を収容するボックスと、
を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器及び分電盤に関し、より詳細には、1次送り回路を有する回路遮断器、及び当該回路遮断器を備える分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、住宅用分電盤においては、主幹ブレーカ(主開閉器ともいう。)の1次側(電源側)に1次送り回路が設けられる場合がある。1次送り回路は、例えば、集合住宅の各住戸に設置される住宅情報盤、火災感知器、電気錠などの特定の負荷機器に対して、過電流又は漏電などの異常発生によって主幹ブレーカがトリップした場合でも継続して給電するために設けられる。
【0003】
特許文献1には、1次送り回路用端子ユニット、及び当該1次送り回路用端子台ユニットを備えた住宅用分電盤(以下、住宅盤という。)が開示されている。特許文献1記載の住宅盤は、主開閉器(回路遮断器)と、主開閉器の2次側に接続される複数の分岐開閉器と、主開閉器の1次側に接続される1次送り回路用端子ユニットと、を備えている。
【0004】
主開閉器の1次側には3つのねじ端子が設けられている。1次送り回路用端子ユニットは、主開閉器の1次側の2つのねじ端子(中性極のねじ端子と電圧極のねじ端子)とそれぞれ一つずつ接続される接続端子を備えている。つまり、主開閉器の1次側のねじ端子に、1次側の電線の導体と1次送り回路用端子ユニットの接続端子が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1記載の従来例では、主開閉器(回路遮断器)の1次側端子がねじ端子であるので、1次側の電線の導体と1次送り回路用端子ユニットの接続端子を共締めしなければならない。そのため、主開閉器(回路遮断器)における結線作業の作業性の向上が望まれている。
【0007】
本開示の目的は、結線作業の作業性の向上を図ることができる回路遮断器及び分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る回路遮断器は、1次側の電線の導体と電気的に接続される端子ブロックと、前記端子ブロックと2次側端子の間の電路に挿入された接点部と、前記接点部を開閉する開閉機構部と、を有する。前記端子ブロックは、第1端子板と、第2端子板と、ばね部材と、ケースと、接続導体と、を備える。前記第1端子板は、前記電路と電気的に接続されている。前記第2端子板は、前記第1端子板と導通する。前記ばね部材は、前記導体に対して前記第1端子板に接する向きの接圧力を付与する。前記ケースは、前記第1端子板、及び前記ばね部材を収容する。前記接続導体は、前記ケースの外に配置される前記第2端子板と前記第1端子板を電気的に接続する。前記接続導体の少なくとも一部が前記ケースの外に導出される。
【0009】
本開示の一態様に係る分電盤は、前記回路遮断器と、前記回路遮断器を収容するボックスと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示の回路遮断器及び分電盤は、結線作業の作業性の向上を図ることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本開示の実施形態に係る回路遮断器の正面図である。
【
図2】
図2は、同上の回路遮断器の分解斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の回路遮断器の回路ブロック図である。
【
図4】
図4は、同上の回路遮断器が有する端子ブロックの斜視図である。
【
図5】
図5は、同上の端子ブロックのケースカバーを外した正面図である。
【
図6】
図6は、同上の端子ブロックにおける固定部材の斜視図である。
【
図7】
図7は、同上の端子ブロックの固定部材の固定部が調整部材を固定している状態のケースカバーを外した正面図である。
【
図8】
図8は、同上の端子ブロックの固定部材の固定部が調整部材を固定している状態のケースカバーを外した要部の斜視図である。
【
図9】
図9は、同上の端子ブロックの固定部材の固定部が調整部材を固定している状態のケースカバーを外した斜視図である。
【
図10】
図10は、同上の端子ブロックに電線を接続した状態のケースカバーを外した正面図である。
【
図11】
図11は、同上の回路遮断器の第2筐体を省略した斜視図である。
【
図12】
図12は、同上の回路遮断器の第1筐体を省略した分解斜視図である。
【
図13】
図13は、同上の回路遮断器の第1筐体を省略した断面図である。
【
図14】
図14は、本開示の実施形態に係る分電盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る回路遮断器及び分電盤について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0013】
(1)概要
実施形態に係る回路遮断器A1は、端子ブロックB1と、接点部A11と、開閉機構部A12と、を有する(
図1-
図3参照)。実施形態に係る回路遮断器A1は、例えば、住宅用分電盤(以下、住宅盤という。)の主開閉器(主幹ブレーカとも呼ばれる。)に用いられる。ただし、本開示は、回路遮断器だけでなく、開閉器及び断路器を含む開閉機器全般に適用可能である。
【0014】
端子ブロックB1は、1次側の電線W1の導体W10と電気的に接続される(
図10参照)。接点部A11は、端子ブロックB1と2次側端子A15の間の電路A16に挿入される(
図3参照)。開閉機構部A12は、接点部A11を開閉する。
【0015】
端子ブロックB1は、第1端子板1と、第2端子板60と、ばね部材2と、ケース5と、接続導体61と、を備える(
図4、
図5及び
図11参照)。
【0016】
第1端子板1は、電路A16と電気的に接続されている。第2端子板60は、第1端子板1と導通する。ばね部材2は、導体W10に対して第1端子板1に接する向きの接圧力を付与する。
【0017】
ケース5は、第1端子板1、及びばね部材2を収容する。接続導体61は、ケース5の外に配置される第2端子板60と第1端子板1を電気的に接続する。接続導体61の少なくとも一部がケース5の外に導出される。
【0018】
しかして、実施形態に係る回路遮断器A1は、接続導体61を介して第1端子板1と導通する第2端子板60によって1次送り回路を形成することができる。しかも、実施形態に係る回路遮断器A1は、導体W10と第1端子板1をばね部材2によって電気的に接続するので、従来例のように、1次側の電線W1の導体W10と1次送り回路用端子ユニットの接続端子をねじで共締めする必要がない。その結果、実施形態に係る回路遮断器A1は、結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0019】
また、実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1と、実施形態に係る回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える。
【0020】
実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1を備えているので、結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0021】
(2)実施形態に係る回路遮断器の詳細
実施形態に係る回路遮断器A1(以下、回路遮断器A1と略す。)は、
図1-
図3に示すように、3つの端子ブロックB1と、3つの接点部A11と、開閉機構部A12と、を備える。また、回路遮断器A1は、引外し装置A14と、3つの端子ブロックB1、3つの接点部A11、開閉機構部A12、及び引外し装置A14を収容する筐体7を更に備える。しかして、回路遮断器A1は、3極の中性線欠相保護機能付の漏電遮断器であり、単相3線式の住宅盤における主開閉器として用いられる。ただし、回路遮断器A1は、3極未満又は4極以上の回路遮断器であってもよいし、中性線欠相保護機能及び漏電遮断機能の少なくとも一方を有しない回路遮断器であってもよい。
【0022】
接点部A11は、端子ブロックB1の第1端子板1と電気的に接続された固定接点と、2次側端子A15と電気的に接続された可動接点と、を有する(
図3参照)。可動接点は、固定接点に接触導通する閉極の状態と、固定接点に対して十分な絶縁距離をとって離れた開極の状態との間を移動可能である。
【0023】
開閉機構部A12は、操作ハンドルA17の操作に応じて可動接点を移動させることで接点部A11を開閉可能である。引外し装置A14は、過負荷電流、短絡電流、及び漏電電流などの異常な電流が電路A16に流れていることを検出すると、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。また、引外し装置A14は、中性線が欠相していることを検出した場合も、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。
【0024】
筐体7は、第1筐体71と第2筐体72を有する(
図2参照)。第1筐体71及び第2筐体72は、いずれも電気絶縁性を有する合成樹脂の成形体で形成されている。
【0025】
第1筐体71は、第1ボディ711と第1カバー712によって箱形に形成されている。第1ボディ711は、前面が開放された箱形に形成されている。第1カバー712は、後面が開放された箱形に形成されている。第1ボディ711の前面に第1カバー712が被せられ、ねじ止めなどの適宜の方法で第1ボディ711と第1カバー712が結合されて第1筐体71が構成される。なお、第1筐体71には3つの端子ブロックB1以外の構成要素(3つの接点部A11、開閉機構部A12、引外し装置A14、2次側端子A15、電路A16、操作ハンドルA17など)が収容される。ただし、操作ハンドルA17の一部は、第1筐体71の前面(第1カバー712の前面)から露出している(
図1及び
図2参照)。
【0026】
第2筐体72は、第2ボディ721と第2カバー722によって箱形に形成されている。第2ボディ721は、前面が開放された箱形に形成されている。第2ボディ721の前面には、3つの凹所7210が横並びに設けられている(
図2参照)。これら3つの凹所7210には、端子ブロックB1が一つずつ収められる。第2カバー722は、後面が開放された箱形に形成されている。また、第2カバー722の前面には、3つの窓7220が横並びに設けられている(
図2参照)。第2ボディ721の前面に第2カバー722が被せられ、ねじ止めなどの適宜の方法で第2ボディ721と第2カバー722が結合されて第2筐体72が構成される。なお、第2カバー722の前面に設けられた3つの窓7220から3つの端子ブロックB1の一部が露出する(
図1参照)。また、第2筐体72の側面には3つの引出口723が設けられている。これら3つの引出口723は、第2筐体72の前後方向に沿って階段状に配置される(
図2参照)。なお、これら3つの引出口723から3つの端子ブロックB1のそれぞれの第2端子板60(後述する)の一部が引き出される(
図1参照)。
【0027】
また、第2ボディ721には、合成樹脂製の支持台73が一体に形成されている(
図1及び
図2参照)。支持台73は、3つの支持部730と、長方形状の取付部731と、を有している。3つの支持部730は、それぞれ高さの異なる角柱状に形成されており、取付部731の前面から前方へ突出している。ただし、3つの支持部730は、高さの高い順番に階段状に並んでいる。これら3つの支持部730は、3つの端子ブロックB1のそれぞれの第2端子板60を一つずつ支持する(
図1及び
図2参照)。
【0028】
(2-1)端子ブロック
以下に説明する端子ブロックB1の構成は、3つの端子ブロックB1に共通する構成である。なお、以下の説明においては、
図4に矢印で示す前後、上下、左右の各方向を端子ブロックB1の前後、上下、左右の各方向と定める。ただし、これらの方向は、端子ブロックB1の使用状態を限定するものではない。
【0029】
端子ブロックB1は、第1端子板1と、ばね部材2と、調整部材3と、固定部材4と、ケース5と、を備える。端子ブロックB1は、送り端子ブロック6と、表示部材8と、を更に備える。
【0030】
(2-1-1)第1端子板
第1端子板1は、長方形状の接触片10と、接触片10の長手方向に沿った両辺から同じ向き(後向き)に突出する一対の側片11と、を有している。なお、接触片10と一対の側片11は、銅又は銅合金などの金属材料によって、一体かつ角とい状に形成されている(
図5参照)。
【0031】
また、接触片10の上端部分はV字状に折り曲げられている。さらに、接触片10の長手方向(上下方向)の中央における左右両端には、長方形の溝100が一つずつ設けられている(
図5参照)。
【0032】
(2-1-2)ばね部材
ばね部材2は、第1ばね21と、第2ばね22と、を有する。
【0033】
第1ばね21は、U字状の主部210と、主部210の一方の先端から他方の先端に向かって突出する弧状の接圧部211と、を有する。なお、主部210と接圧部211は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって一体に形成されている。
【0034】
接圧部211には角穴212が設けられている(
図9参照)。角穴212は、接圧部211における主部210寄りの部分を厚み方向に貫通している。また、角穴212には、主部210の他方の先端部分と第1端子板1の接触片10の上端部分が挿通される。しかして、第1ばね21は、外力が加えられていないとき、接圧部211における角穴212の後端縁に接触片10の上端部分が当たった状態に維持される(
図5参照)。以下、この状態をばね部材2の第1の状態と呼ぶことがある。
【0035】
第2ばね22は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)がU字状に曲げられてトング状に形成されている。第2ばね22は、第1ばね21の主部210の内側に収められる(
図5参照)。しかして、第2ばね22は、第1ばね21のばね力を補いつつばね部材2の耐久性の向上を図っている。
【0036】
(2-1-3)調整部材
調整部材3は、円柱状の本体30と、本体30の外周面に本体30と一体に形成されたねじ山31と、を有している(
図5参照)。また、本体30は、本体30の軸方向に沿った六角穴300を有している(
図4参照)。さらに、本体30の外周面の一部に、台形状の溝301が形成されている(
図5参照)。
【0037】
(2-1-4)固定部材
固定部材4は、操作部40と、固定部41と、一対のばね部42と、を有する(
図5及び
図6参照)。操作部40は、直方体状に形成されている。操作部40の背面における長手方向の両端からフランジ400がそれぞれ突出している(
図6参照)。
【0038】
一対のばね部42はそれぞれ、長方形状に形成されている。片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の一端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。もう片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の他端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。
【0039】
固定部41は、角柱状に形成されている。固定部41は、操作部40の背面から当該背面の法線方向に沿って突出している。なお、固定部41は、操作部40の背面の長手方向において一対のばね部42の間に位置している(
図6参照)。固定部41の先端面が弧状に湾曲しており、先端面に沿って湾曲する弧状の爪410が設けられている(
図6参照)。また、固定部41の側面には突部43が設けられている。突部43は、角柱状に形成されて固定部41の側面から固定部41の長手方向に沿って突出している。なお、突部43の一方の端面(操作部40に近い側の端面)は、固定部41の側面から離れるにつれて操作部40から離れる向きに傾斜する傾斜面となっている(
図6参照)。
【0040】
(2-1-5)表示部材
表示部材8は、円環状の表示部80と、台形状の脚部81と、を有する。脚部81は、表示部80の後面から表示部80の厚み方向(前後方向)に沿って突出している。なお、表示部80と脚部81は、合成樹脂の成形体として一体に形成されている。
【0041】
(2-1-6)送り端子ブロック
送り端子ブロック6は、第2端子板60と、接続導体61と、固定ねじ62と、を有する(
図1、
図2、
図11及び
図12参照)。
【0042】
第2端子板60は、4角形状の主片600と、主片600の側端面から突出する接続片601と、主片600の側端面(接続片601が突出する側端面と反対側の側端面)から突出する固定片602と、を有する(
図11参照)。ただし、主片600と接続片601と固定片602は、銅又は銅合金などの金属板が打ち抜き加工されることで一体に形成される。固定片602の先端部分には、固定片602を厚み方向に貫通する円形のねじ挿通穴が設けられている。このねじ挿通穴に固定ねじ62のねじ部が挿通される(
図11参照)。固定片602は、支持台73の支持部730の前面に載置されて固定ねじ62によって支持部730に固定される(
図1参照)。
【0043】
接続導体61は、可撓性を有する金属(例えば、銅又は銅合金)によって円柱状に形成されている。ただし、接続導体61は、合成樹脂のような電気絶縁性を有する絶縁体で被覆されても構わない。あるいは、接続導体61は、金属製の平角導体であっても構わない。
【0044】
接続導体61は、第1端子板1と第2端子板60を電気的に接続する。接続導体61の一端は、第1端子板1の接触片10の先端部分(V字状に折り曲げられた部位)とはんだ付け、溶接などの適宜の方法で電気的かつ機械的に接続される。また、接続導体61の他端は、第2端子板60の接続片601とはんだ付け、溶接などの適宜の方法で電気的かつ機械的に接続される。
【0045】
(2-1-7)ケース
ケース5は、左右の幅が前後の幅及び上下の高さよりも十分に短い箱状に形成されている(
図4参照)。ケース5は、ケース5を左右方向の中央で2分割したケースボディ5Aとケースカバー5Bを有する。ケース5は、ケースカバー5Bに設けられた複数の係合部をケースボディ5Aに設けられた被係合部に係合させて組み立てられる。
【0046】
ケース5内には、第1収容空間501、第2収容空間502、及び第3収容空間503が設けられる(
図5参照)。第1収容空間501は、第1端子板1を収容する。第1収容空間501は、ケース5内の上後方部分に設けられた案内路50によって、ケース5の上面に開口した挿入口500とつながっている。案内路50は、挿入口500から挿入される電線W1の導体W10を、第1端子板1の接触片10と一対の側片11に囲まれた空間に案内する。
【0047】
第2収容空間502は、ばね部材2を収容する。第2収容空間502には、ばね部材2を支持するばね支持部53が設けられている。ばね支持部53は、左右方向から見て、円柱の周面から長方形の板状の部分が突出する形状に形成されている(
図5参照)。ばね支持部53は、第1ばね21の主部210及び第2ばね22の内側に配置されることによってばね部材2を支持する。
【0048】
第3収容空間503は、調整部材3と表示部材8を収容する。第3収容空間503は、ケース5の前面に開口部5030を有して円筒状に形成されている。また、第3収容空間503の内周面には、調整部材3のねじ山31とはまり合うねじ溝504が形成されている(
図7参照)。さらに、第3収容空間503の前端部分に、表示部材8の表示部80を回転可能に保持する保持溝505が形成されている(
図5参照)。表示部材8は、表示部80の周縁部分を保持溝505に挿入し、かつ、調整部材3の本体30に設けられた溝301に脚部81を挿入するようにして第3収容空間503に収容される。
【0049】
第3収容空間503に収容された調整部材3は、ケース5の外から左回り(反時計回り)に回転させられると、第3収容空間503から第2収容空間502に向かって移動する。このとき、表示部材8は、溝301に挿入された脚部81を介して調整部材3とともに回転するが、表示部80が保持溝505に回転可能に保持されているので、第3収容空間503から第2収容空間502へは移動しない。つまり、ケース5の開口部5030から視認される表示部80の回転角は、調整部材3の前後方向の移動量(第3収容空間503と第2収容空間502の間を移動する量)に比例する。したがって、表示部80は、その回転角によって調整部材3の前後方向の位置を表示することができる。
【0050】
ケース5は、固定部材4を収容する収容部51を更に有している(
図5参照)。ケース5の前面には収容部51の開口510が設けられている。また、収容部51は、第3収容空間503とつながっている。収容部51は、操作部40を開口510からケース5の外に突出させ、固定部41の先端(下端)を第3収容空間503に臨ませるように固定部材4を移動可能に収容する(
図5参照)。なお、固定部材4の一対のばね部42は、収容部51の内壁と接触している。したがって、固定部材4は、操作部40を開口510から突出させる向きの力を一対のばね部42から受けている。ただし、ケース5は規制部52を有しており、操作部40を開口510からケース5の外に突出させる向きの固定部材4の移動を規制部52によって規制している。なお、規制部52は、収容部51において固定部材4の突部43が移動可能に収容される空間の内壁で構成される。つまり、規制部52は、固定部材4の突部43が内壁に当たることにより、固定部材4の移動を規制する(
図5参照)。
【0051】
また、ケース5の上面における挿入口500の前方に2つの収容凹部54が設けられている(
図4参照)。これら2つの収容凹部54は、ケース5を左右方向に貫通する溝状に形成されている。それぞれの収容凹部54は、送り端子ブロック6の接続導体61を収容可能である(
図2参照)。
【0052】
さらに、ケース5の左側面(ケースカバー5Bの側面)には、接続導体61が挿通される挿通穴55が設けられている(
図4及び
図11参照)。ただし、
図4においては接続導体61の図示を省略している。
【0053】
(2-2)端子ブロックに対する結線作業の手順
次に、端子ブロックB1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0054】
まず、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう向き(以下、第1の向きD1という。)に移動する(
図5参照)。調整部材3は、第1の向きD1に移動しながらばね部材2をたわませる。
【0055】
作業者は、調整部材3と連動して回転する表示部80が所定の位置(以下、ロック位置という。)に達したら、操作部40を押操作して固定部材4をケース5内に進入する向きに移動させる。なお、操作部40が押操作されておらず、固定部材4が調整部材3から最も離れているときの固定部材4の位置を非固定位置と呼ぶ(
図5参照)。
【0056】
作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けた調整部材3が時計回りに回転しながら第1の向きD1と反対の向き(以下、第2の向きD2という。)に移動する。そして、第2の向きD2に移動した調整部材3の本体30に固定部41の爪410が引っ掛かる(
図8参照)。その結果、調整部材3が固定部材4によって固定される(
図7参照)。ここで、固定部材4が調整部材3を固定しているときの固定部材4の位置を固定位置と呼ぶ(
図7参照)。そして、固定部材4が固定位置にあるとき、ばね部材2の第1ばね21が調整部材3に押されてたわんでいるため、第1ばね21の角穴212がケース5の案内路50とつながる(
図9参照)。
【0057】
作業者は、電線W1の導体W10をケース5の挿入口500から案内路50に挿入する。ここで、案内路50からケース5の表面(前面)に通じるスリット56が設けられている(
図9参照)。作業者は、スリット56を通して電線W1の絶縁体W11が見えるまで挿入口500に電線W1を差し込めばよい。このとき、電線W1の導体W10は、第1端子板1の内部に到達している(
図10参照)。
【0058】
続いて、作業者は、工具を使って調整部材3を反時計回りに回転させる。そうすると、調整部材3が第1の向きD1に移動し、固定部41の爪410が本体30から外れる。固定部材4は、固定部41の爪410が調整部材3の本体30から外れると、一対のばね部42のばね力によって固定位置から非固定位置に移動する。そして、作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けて調整部材3が時計回りに回転しながら第2の向きD2に移動する。そして、第1ばね21の接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たり、ばね部材2のばね力(第1ばね21のばね力と第2ばね22のばね力の合成力)によって導体W10が第1端子板1の接触片10に押し当てられる(
図10参照)。その結果、電線W1の導体W10と第1端子板1が電気的かつ機械的に接続されるとともに、接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たることによって、電線W1が抜け止めされる。
【0059】
以上の手順で端子ブロックB1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0060】
(2-3)第2筐体の詳細な説明
次に、回路遮断器A1において、3つの端子ブロックB1を収容する第2筐体72の詳細な構成について、
図11-
図13を参照して説明する。なお、以下の説明においては、
図12に矢印で示す前後、上下、及び左右の各方向を回路遮断器A1及び第2筐体72の前後、上下、及び左右の各方向と定義する。
【0061】
既に説明したように、3つの端子ブロックB1は、それぞれが有する送り端子ブロック6を除いて共通の構成を有している。
【0062】
第2筐体72の左右方向の中央に配置される端子ブロックB1は、単相3線式電路の中性極の電路A16と中性極の電線W1の電気的接続を担当する。第2筐体72の左右両端に配置される2つの端子ブロックB1は、単相3線式電路の2つの電圧極の電路A16と2つの電圧極の電線W1の電気的接続を担当する。
【0063】
左端の端子ブロックB1が有する送り端子ブロック6(以下、左端の送り端子ブロック6と呼ぶ。)の接続導体61は、中央の端子ブロックB1が有する送り端子ブロック6(以下、中央の送り端子ブロック6と呼ぶ。)及び右端の端子ブロックB1が有する送り端子ブロック6(以下、右端の送り端子ブロック6と呼ぶ。)の接続導体61よりも短い。
【0064】
左端の送り端子ブロック6の第2端子板60は、主片600の右側面の上端から接続片601が突出し、主片600の左側面の下端から固定片602が突出している(
図11及び
図12参照)。中央の送り端子ブロック6の第2端子板60は、主片600の右側面の下端から接続片601が突出し、主片600の左側面の上端から固定片602が突出している(
図11及び
図12参照)。右端の送り端子ブロック6の第2端子板60は、主片600の右側面の上下方向の中央から接続片601が突出し、主片600の左側面の上下方向の中央から固定片602が突出している(
図11及び
図12参照)。
【0065】
3つの第2端子板60は、中央の送り端子ブロック6の第2端子板60、右端の送り端子ブロック6の第2端子板60、左端の送り端子ブロック6の第2端子板60の順番で前から後ろに並べられる。そして、中央の送り端子ブロック6における第2端子板60の固定片602は、支持台73の最も前の支持部730に固定ねじ62で固定される。左端の送り端子ブロック6における第2端子板60の固定片602は、支持台73の最後尾の支持部730に固定ねじ62で固定される。右端の送り端子ブロック6における第2端子板60の固定片602は、支持台73の真ん中の支持部730に固定ねじ62で固定される。
【0066】
第2筐体72の第2ボディ721の左側壁は、上から下に向かって前方へ突出する階段状に形成されている(
図12及び
図13参照)。第2筐体72の第2カバー722の左側壁は、上から下に向かって前方に切り欠かれた階段状に形成されている(
図12及び
図13参照)。そして、第2ボディ721と第2カバー722が結合されて第2カバー722の左側壁と第2ボディ721の左側壁が突き合わされると、第2筐体72の左側壁に3つの引出口723が形成される(
図13参照)。これら3つの引出口723のうちで最も上に位置する引出口723が最も後方に位置し、最も下に位置する引出口723が最も前方に位置する。そして、残り1つの引出口723が上下方向及び前後方向において2つの引出口723の間に位置している。そして、最も上(最も後ろ)に位置する引出口723から、左端の送り端子ブロック6における第2端子板60の接続片601が引き出される。また、最も下(最も前)に位置する引出口723から、中央の送り端子ブロック6における第2端子板60の接続片601が引き出される。さらに、上下及び前後の中央に位置する引出口723から、右端の送り端子ブロック6における第2端子板60の接続片601が引き出される。ただし、3つの第2端子板60において、それぞれの接続片601が設けられている位置が上下方向にずれている。そのため、第2筐体72を前方から見たとき、3つの第2端子板60の主片600が重なり合っている(
図1参照)。
【0067】
(2-4)実施形態に係る回路遮断器の利点
上述のように回路遮断器A1において、送り端子ブロック6の第2端子板60が端子ブロックB1のケース5の外に配置され、第2端子板60を第1端子板1と電気的に接続する接続導体61の一部もケース5の外に導出される(
図11参照)。しかも、端子ブロックB1は、ねじを使わずに第1端子板1と電線W1の導体W10を電気的に接続するように構成される。したがって、回路遮断器A1は、従来例のように、1次側の電線W1の導体W10と1次送り回路用端子ユニットの接続端子をねじで共締めする必要がないので、結線作業の作業性の向上を図ることができる。なお、端子ブロックB1では、固定部材4によって調整部材3を固定してばね部材2の接圧力を調整している。そのため、回路遮断器A1は、案内路50に挿入する電線W1(導体W10)でばね部材2を撓ませる場合と比較して、第1端子板1に電線W1の導体W10を接続する結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0068】
また、3つの送り端子ブロック6の第2端子板60は、それぞれのケース5の一つの側面(左側面)の法線方向(左右方向)から見て、ケース5の輪郭の外にはみ出さない(
図12参照)。そのため、回路遮断器A1は、後述するように分電盤C1のボックスC10に収容された状態でも3つの第2端子板60が回路遮断器A1の前面よりも前に出ることがなく、ボックスC10に容易に収容可能である。
【0069】
さらに、回路遮断器A1は、3つの端子ブロックB1、3つの接点部A11、開閉機構部A12などを収容する筐体7を有している。そのため、回路遮断器A1は、端子ブロックB1のケース5内に接点部A11、開閉機構部A12などを収容する場合に比べて、組立て作業の作業性の向上を図ることができる。しかも、筐体7(第2筐体72)に3つの端子ブロックB1が収容されるので、回路遮断器A1は、組立て作業の作業性の更なる向上を図ることができる。
【0070】
また、回路遮断器A1は、3つの端子ブロックB1が備える3つの第2端子板60を、筐体7の外において、筐体7の一つの側面(左側面)と平行に一列に並ぶように配置している(
図1参照)。そのため、回路遮断器A1は、3つの第2端子板60で構成される1次送り回路に対して、漏電ブレーカなどの内器を容易に接続することができる。
【0071】
ところで、筐体7(第2筐体72)には、3つの第2端子板60の接続片601が引き出される3つの引出口723が設けられている(
図13参照)。これら3つの引出口723は、3つの第2端子板60が一列に並ぶ方向(前後方向)から見て互いに重ならないように配置される。そのため、2つの部品(第2ボディ721と第2カバー722)を前後方向に結合して筐体7(第2筐体72)を組み立てることができる。その結果、回路遮断器A1は、筐体7の組立て作業における作業性の向上を図ることができる。
【0072】
ここで、3つの端子ブロックB1のうち、単相3線式電路の中性極の導体と電気的に接続される1つの端子ブロックB1が有する第2端子板60は、その他の2つの端子ブロックB1のそれぞれの第2端子板60よりも、筐体7の底面(後面)に対して最も離れた位置に配置される(
図11参照)。つまり、回路遮断器A1の1次送り回路は、中性極の第2端子板60と、電圧極の2つの第2端子板60と、を有しており、中性極の第2端子板60が、2つの電圧極の2つの第2端子板60の前方に配置されている。このような第2端子板60の配置は、後述するように回路遮断器A1の2次側端子A15と電気的に接続される母線(導電バー)の配置と共通である。そのため、回路遮断器A1は、2次側の母線(導電バー)に接続可能なブレーカなどの内器を1次送り回路と容易に接続することができる。
【0073】
(3)実施形態に係る分電盤の詳細
実施形態に係る分電盤C1(以下、分電盤C1と略す。)は、主幹ブレーカとして使用される回路遮断器A1と、回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(
図14参照)。なお、分電盤C1は住宅盤を例示するが、住宅盤以外の分電盤、例えば、事務所、店舗、工場などで使用されるキャビネット型の分電盤であっても構わない。
【0074】
ボックスC10は、合成樹脂によって前面が開放された長方形の箱状に形成されている。ボックスC10は、屋内の造営材、例えば、住宅内の壁に取り付けられる。なお、図示は省略しているが、ボックスC10の前面は、ボックスC10に取り付けられるドアによって開閉可能に塞がれる。
【0075】
回路遮断器A1は、ボックスC10内の左右方向の中央から左寄りの位置に収容される。ボックスC10内において、回路遮断器A1の右側のスペースに3つの母線及び複数の分岐ブレーカ(分岐開閉器)が収容される。ただし、
図14においては母線及び分岐ブレーカの図示を省略している。
【0076】
3つの母線は、それぞれ銅又は銅合金によって長方形の板状に形成された導電バーで構成されている。3つの母線は、ボックスC10内における上下方向の中央に、ボックスC10の奥行き方向に沿って等間隔に並べて配置される。なお、3つの母線は、回路遮断器A1の3つの2次側端子A15と一つずつ電気的に接続される。
【0077】
複数の分岐ブレーカは、3つの母線の上方と下方に配置され、3つの母線のうちのいずれか2つの母線に電気的に接続される。
【0078】
また、ボックスC10内において、回路遮断器A1の左側のスペースに、1次送り回路用の内器(例えば、ブレーカなど)が収容される。1次送り回路用のブレーカは、例えば、漏電ブレーカであって、回路遮断器A1の3つの第2端子板60のいずれか2つの第2端子板60と電気的に接続される。1次送り回路は、例えば、平成17年総務省令第40号に規定されている共同住宅用受信機への給電に使用される。
【0079】
しかして、分電盤C1は、回路遮断器A1を備えているので、1次側の電線W1の導体W10と1次送り回路用端子ユニットの接続端子をねじで共締めする必要がなく、結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0080】
(4)まとめ
本開示の第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、1次側の電線(W1)の導体(W10)と電気的に接続される端子ブロック(B1)と、端子ブロック(B1)と2次側端子(A15)の間の電路(A16)に挿入された接点部(A11)と、接点部(A11)を開閉する開閉機構部(A12)と、を有する。端子ブロック(B1)は、第1端子板(1)と、第2端子板(60)と、ばね部材(2)と、ケース(5)と、接続導体(61)と、を備える。第1端子板(1)は、電路(A16)と電気的に接続されている。第2端子板(60)は、第1端子板(1)と導通する。ばね部材(2)は、導体(W10)に対して第1端子板(1)に接する向きの接圧力を付与する。ケース(5)は、第1端子板(1)、及びばね部材(2)を収容する。接続導体(61)は、ケース(5)の外に配置される第2端子板(60)と第1端子板(1)を電気的に接続する。接続導体(61)の少なくとも一部がケース(5)の外に導出される。
【0081】
第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、第2端子板(60)をケース(5)の外に配置し、第2端子板(60)を第1端子板(1)と電気的に接続する接続導体(61)の一部をケース(5)の外に導出している。しかも、第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、ねじを使わずに第1端子板(1)と電線(W1)の導体(W10)を電気的に接続している。その結果、第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、従来例のように1次側の電線の導体と1次送り回路用端子ユニットの接続端子をねじで共締めする必要がないので、結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0082】
本開示の第2の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1の態様との組合せにより実現され得る。第2の態様に係る回路遮断器(A1)において、第2端子板(60)は、ケース(5)の一つの側面の法線方向から見て、ケース(5)の輪郭の外にはみ出さないことが好ましい。
【0083】
第2の態様に係る回路遮断器(A1)は、分電盤(C1)のボックス(C10)などに容易に収容可能となる。
【0084】
本開示の第3の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1又は第2の態様との組合せにより実現され得る。第3の態様に係る回路遮断器(A1)は、端子ブロック(B1)、接点部(A11)、開閉機構部(A12)を収容する筐体(7)を更に有することが好ましい。
【0085】
第3の態様に係る回路遮断器(A1)は、端子ブロック(B1)のケース(5)内に接点部(A11)、開閉機構部(A12)を収容する場合に比べて、組立て作業の作業性の向上を図ることができる。
【0086】
本開示の第4の態様に係る回路遮断器(A1)は、第3の態様との組合せにより実現され得る。第4の態様に係る回路遮断器(A1)において、筐体(7)は、複数の端子ブロック(B1)を収容することが好ましい。
【0087】
第4の態様に係る回路遮断器(A1)は、組立て作業の作業性の更なる向上を図ることができる。
【0088】
本開示の第5の態様に係る回路遮断器(A1)は、第4の態様との組合せにより実現され得る。第5の態様に係る回路遮断器(A1)において、複数の端子ブロック(B1)が備える複数の第2端子板(60)が筐体(7)の外に配置されることが好ましい。複数の第2端子板(60)は、筐体(7)の一つの側面と平行に一列に並ぶように配置されることが好ましい。
【0089】
第5の態様に係る回路遮断器(A1)は、分岐開閉器などの内器を、1次送り回路を構成する複数の第2端子板(60)に容易に接続することができる。
【0090】
本開示の第6の態様に係る回路遮断器(A1)は、第5の態様との組合せにより実現され得る。第6の態様に係る回路遮断器(A1)において、筐体(7)は、複数の第2端子板(60)の一部又は複数の接続導体(61)をそれぞれ外部に引き出す複数の引出口(723)を有することが好ましい。複数の引出口(723)は、複数の第2端子板(60)が一列に並ぶ方向から見て互いに重ならないように配置されることが好ましい。
【0091】
第6の態様に係る回路遮断器(A1)は、筐体(7)の組立て作業における作業性の向上を図ることができる。
【0092】
本開示の第7の態様に係る回路遮断器(A1)は、第5又は第6の態様との組合せにより実現され得る。第7の態様に係る回路遮断器(A1)において、複数の端子ブロック(B1)のうち、単相3線式電路の中性極の導体と電気的に接続される1つの端子ブロック(B1)が有する第2端子板(60)は、その他の複数の端子ブロック(B1)のそれぞれの第2端子板(60)よりも、筐体(7)の底面に対して最も離れた位置に配置されることが好ましい。
【0093】
第7の態様に係る回路遮断器(A1)は、分岐ブレーカなどの内器を1次送り回路と容易に接続することができる。
【0094】
本開示の第8の態様に係る回路遮断器(A1)は、第1-第7のいずれかの態様との組合せにより実現され得る。第8の態様に係る回路遮断器(A1)において、端子ブロック(B1)は、調整部材(3)と、固定部材(4)と、を備えることが好ましい。調整部材(3)は、ばね部材(2)を変形させる向きに移動することで接圧力を調整することが好ましい。固定部材(4)は、調整部材(3)を固定する固定位置と調整部材(3)を固定せずに移動可能とする非固定位置との間を移動可能であることが好ましい。調整部材(3)及び固定部材(4)はケース(5)に収容されることが好ましい。ケース(5)は、案内路(50)と、収容部(51)と、を有することが好ましい。案内路(50)は、ケース(5)の表面に設けられた挿入口(500)から第1端子板(1)が収容される収容空間(第1収容空間501)まで導体(W10)を案内することが好ましい。収容部(51)は、ケース(5)の表面に開口し、かつ、固定部材(4)を移動可能に収容することが好ましい。固定部材(4)は、操作部(40)と、固定部(41)と、を有することが好ましい。操作部(40)は、ケース(5)の外から押操作されることが好ましい。固定部(41)は、操作部(40)が押操作されることで移動し、固定部材(4)が固定位置にあるときに調整部材(3)を固定することが好ましい。
【0095】
第8の態様に係る回路遮断器(A1)は、固定部材(4)によって調整部材(3)を固定してばね部材(2)の接圧力を調整することにより、第1端子板(1)に電線(W1)の導体(W10)を接続する結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【0096】
本開示の第9の態様に係る分電盤(C1)は、第1-第8のいずれかの態様に係る回路遮断器(A1)と、回路遮断器(A1)を収容するボックス(C10)と、を備える。
【0097】
第9の態様に係る分電盤(C1)は、従来例のように1次側の電線の導体と1次送り回路用端子ユニットの接続端子をねじで共締めする必要がなく、結線作業の作業性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0098】
A1 回路遮断器
A11 接点部
A12 開閉機構部
A15 2次側端子
A16 電路
B1 端子ブロック
C1 分電盤
C10 ボックス
D1 第1の向き
D2 第2の向き
W1 電線
W10 導体
1 第1端子板(端子板)
2 ばね部材
3 調整部材
4 固定部材
5 ケース
7 筐体
40 操作部
41 固定部
50 案内路
51 収容部
60 第2端子板
61 接続導体
500 挿入口
501 第1収容空間(収容空間)
723 引出口