(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173384
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241205BHJP
H02M 7/493 20070101ALI20241205BHJP
【FI】
H02M7/48 E
H02M7/493
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091762
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡部 和也
(72)【発明者】
【氏名】吉田 圭志
(72)【発明者】
【氏名】市古 雅寛
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770CA01
5H770CA06
5H770DA02
5H770DA22
5H770DA30
5H770DA41
(57)【要約】
【課題】自装置を小型化することができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置10は、インバータ20と、インバータ20を制御する制御部100と、を備え、インバータ20は、電源PWに対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bを備え、フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aと、第1端子t21とは接続されており、フルブリッジ型インバータ部60bの第2出力端子p22bと、第2端子t23とは接続されており、フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、フルブリッジ型インバータ部60bの第1出力端子p12bとは、接続点CPにおいて接続されており、接続点CPと、中性点端子t22とは、接続されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、
前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路を備え、
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、
前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは接続されており、
前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは接続されており、
前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、
前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている、
電力変換装置。
【請求項2】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、
前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、
前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、
前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、
前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項4】
出力インダクタを更に備え、
前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、いずれもインバータ方式のDC/DCコンバータであって、
前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一次側コイルと、二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記絶縁トランスの前記二次側コイルに接続された二次側回路と、を備え、
前記平滑コンデンサは、前記二次側回路の一対の出力端子の間に設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、
前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第1平滑コンデンサと、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第2平滑コンデンサと、前記第1平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第1フルブリッジ型インバータ部と、前記第2平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第2フルブリッジ型インバータ部と、出力インダクタと、を備え、
前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一つの一次側コイルと、第1二次側コイルと、第2二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記第1二次側コイルに接続された第1二次側回路と、前記第2二次側コイルに接続された第2二次側回路と、を備え、
前記第1平滑コンデンサは、前記第1二次側回路の一対の出力端子の間に設けられており、
前記第2平滑コンデンサは、前記第2二次側回路の一対の出力端子の間に設けられている、
前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、
前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、
前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、
前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている、
電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電源から単相三線交流を生成する単相三線式インバータに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図6は、従来技術の単相三線式インバータの一例を示す回路図である。
図6に示すように、従来技術の単相三線式インバータX1は、絶縁型DC/DCコンバータ部X10と、平滑コンデンサC1,C2と、フルブリッジ型インバータ部X20と、出力インダクタL1~L3とを備える。絶縁型DC/DCコンバータ部X10は、電源PWから出力された直流電力を変換する。平滑コンデンサC1,C2は、絶縁型DC/DCコンバータ部X10により変換された直流電力を平滑化する。フルブリッジ型インバータ部X20は、スイッチング素子A1~A4を備えており、これらを適宜スイッチング制御することによって、交流電力を出力する。
【0005】
具体的には、スイッチング素子A1と、スイッチング素子A2との接続点には、単相三線式の第1線が接続されている。絶縁トランスの中性点と、平滑コンデンサC1と平滑コンデンサC2との接続点には、単相三線式の中性線としての第2線が接続されている。スイッチング素子A3と、スイッチング素子A4との接続点には、第3線が接続されている。出力インダクタL1~L3は、それぞれ第1線~第3線に設けられフルブリッジ型インバータ部X20が出力する交流電力を正弦波にする。
【0006】
従来技術の単相三線式インバータX1には、第1線と第2線との間に生じる交流電力、又は第2線と第3線との間に生じる交流電力を用いる機器、又は第2線を中性線として第1線と第3線との間に生じる交流電力を用いる機器が接続されている。ここで、
図6に示すように、従来技術の単相三線式インバータX1には、第1線と第2線との間に生じる交流電力を用いる機器Aが接続され、第2線と第3線との間に生じる交流電力を用いる機器が接続されていない場合がある。この場合、第1線と第2線との間の負荷と、第2線と第3線との間の負荷とで不均衡が大きくなることがある。具体的には、機器Aに電力を供給するため、フルブリッジ型インバータ部X20がスイッチング素子A1をスイッチングすることにより、平滑コンデンサC1が放電する方向に経路RT1の電流が流れる。また、経路RT1に電流が流れることにより、平滑コンデンサC2を充電する方向にも経路RT2の電流が流れる。これにより、平滑コンデンサC1は放電され、平滑コンデンサC2が充電される。このため、平滑コンデンサC1の両端に生じる電圧が小さくなり、平滑コンデンサC2の両端に生じる電圧が大きくなる。このため、第1線と第2線との間に生じる交流電力と、第2線と第3線との間に生じる交流電力とは、電圧に差が生じてしまう。
【0007】
この電圧の差による影響を抑制するため、平滑コンデンサC1、及び平滑コンデンサC2は、十分に大きい容量のコンデンサを用いることが求められる。したがって、従来技術の単相三線式インバータX1は、大容量のコンデンサを用いることで、小型化することが困難であった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する電力変換装置は、電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路を備え、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは接続されており、前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは接続されており、前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている、ことを特徴とする。
【0009】
かかる構成によれば、電力変換装置は、中性点を分離することで、第1インバータ回路が出力する交流電力によって、第2インバータ回路が備える平滑コンデンサが影響を受けず、第2インバータ回路が出力する交流電力によって、第1インバータ回路が備える平滑コンデンサが影響を受けないようにすることができる。したがって、電力変換装置は、平滑コンデンサを小型化することができ、自装置を小型化することができる。
【0010】
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられていてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、電力変換装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられていてもよい。
【0012】
かかる構成によれば、インダクタンス成分を均等化できノイズ低減が期待できる。電力変換装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、出力インダクタを更に備え、前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられていてもよい。
【0013】
かかる構成によれば、部品を共通化しつつ、インダクタンス成分を均等化できノイズ低減が期待できる。電力変換装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、いずれもインバータ方式のDC/DCコンバータであって、前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一次側コイルと、二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記絶縁トランスの前記二次側コイルに接続された二次側回路と、を備え、前記平滑コンデンサは、前記二次側回路の一対の出力端子の間に設けられていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、絶縁型DC/DCコンバータ部の一次側回路で、絶縁トランスに入力する交流を高周波化する事ができる。このため、絶縁トランスを小型化することができる。また、第1インバータ回路、及び第2インバータ回路において二次側コイルをそれぞれ備えることにより、中性点を分離することができる。したがって、電力変換装置は、平滑コンデンサを小型化することができ、自装置を小型化することができる。
【0015】
上記目的を達成する電力変換装置は、電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第1平滑コンデンサと、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第2平滑コンデンサと、前記第1平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第1フルブリッジ型インバータ部と、前記第2平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第2フルブリッジ型インバータ部と、出力インダクタと、を備え、前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一つの一次側コイルと、第1二次側コイルと、第2二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記第1二次側コイルに接続された第1二次側回路と、前記第2二次側コイルに接続された第2二次側回路と、を備え、前記第1平滑コンデンサは、前記第1二次側回路の一対の出力端子の間に設けられており、前記第2平滑コンデンサは、前記第2二次側回路の一対の出力端子の間に設けられている、前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている、ことを特徴とする。
【0016】
かかる構成によれば、上述した電力変換装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、自装置を小型化することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、電力変換装置10の構成の説明に用いられる図である。
【
図2】
図2は、インバータ20の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、インバータ21の構成の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、インバータ22の構成の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、インバータ23の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、従来技術の単相三線式インバータの説明に用いられる図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、図面を参照して電力変換装置を具体化した実施形態について説明する。
[全体構成]
図1に示すように、電力変換装置10には、電力変換装置10に直流電力を供給する電源PWと、電力変換装置10が供給する単相三線式交流電力の供給を受ける機器とが接続されている。電源PWは、例えば、車両のバッテリである。電力変換装置10は、車両のバッテリから商用交流を出力する装置であって、例えば、車載の機器であってもよいし、車両とは別体の持ち運び可能な機器であってもよい。電力変換装置10は、単相三線式の第1線LN1、第2線LN2、及び第3線LN3のうち、第1線LN1と、第2線LN2との間、及び第2線LN2と、第3線LN3との間のそれぞれに電圧が100Vの単相二線式交流電力を生じさせる。また、電力変換装置10は、第1線LN1と、第3線LN3との間に電圧が200Vの単相三線式交流電力を生じさせる。以降の説明において、第1線LN1と、第2線LN2との間に生じる単相二線式交流電力を、「第1相交流電力」とも記載する。また、第2線LN2と、第3線LN3との間に生じる単相二線式交流電力を、「第2相交流電力」とも記載する。
【0020】
この一例では、電力変換装置10から交流電力の供給を受ける機器が機器A~Cであるものとする。機器Aは、第1線LN1と、第2線LN2とに接続されつつ、第1相交流電力の供給を受ける。また、機器Bは、第2線LN2と、第3線LN3との間に接続されつつ、第2相交流電力の供給を受ける。機器Cは、第1線LN1~第3線LN3に接続されつつ、単相三線式交流電力の供給を受ける。
【0021】
電力変換装置10は、インバータ20と、制御部100とを備える。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め電力変換装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。記憶装置は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。制御部100は、インバータ20が単相二線式交流電力、及び単相三線式交流電力を出力するように、インバータ20を適宜制御する。
【0022】
[インバータ20の構成]
図2に示すように、インバータ20は、例えば、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bと、第1端子t21と、中性点端子t22と、第2端子t23とを備える。第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとは、基本的には同様の構成を備える。以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成には、符号の末尾に「a」を付し、第2インバータ回路30bが備える構成には、符号の末尾に「b」を付して説明する。以下、第1インバータ回路30aの構成の詳細について説明する。第2インバータ回路30bの構成については、以下の第1インバータ回路30aの説明中の符号の末尾に付された「a」を「b」に読み替えればよい。また、以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成と、第2インバータ回路30bが備える構成とを互いに区別しない場合は、符号の末尾の「a」、及び「b」を省略する。また、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bを互いに区別しない場合には、単にインバータ回路30と記載する。
【0023】
第1インバータ回路30aは、例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部40aと、平滑コンデンサ50aと、フルブリッジ型インバータ部60aと、出力インダクタ71aとを備える。
【0024】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11aと、スイッチング素子Q12aと、スイッチング素子Q13aと、スイッチング素子Q14aと、還流ダイオードD11aと、還流ダイオードD12aと、還流ダイオードD13aと、還流ダイオードD14aと、絶縁トランスTRaと、ダイオードD21aと、ダイオードD22aと、ダイオードD23aと、ダイオードD24aと、第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとを備える。絶縁トランスTRaは、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとを備える。絶縁トランスTRaにおいて、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとは、絶縁されている。
【0025】
スイッチング素子Q11a~Q14aと、還流ダイオードD11a~D14aとは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q11a~Q14aは、それぞれ、還流ダイオードD11a~D14aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q11aには、還流ダイオードD11aが接続されており、スイッチング素子Q12aには、還流ダイオードD12aが接続されており、スイッチング素子Q13aには、還流ダイオードD13aが接続されており、スイッチング素子Q14aには、還流ダイオードD14aが接続されている。還流ダイオードD11a~D14aのカソードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD11a~D14aのアノードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのエミッタに接続されている。
【0026】
スイッチング素子Q11a,Q12aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの一端が接続されている。スイッチング素子Q13a,Q14aは、接続線を介して互いに接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの他端が接続されている。スイッチング素子Q11a,Q13aのコレクタは、電源PWの高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q12a,Q14aのエミッタは、電源PWの低圧側である負極端子に接続されている。これにより、スイッチング素子Q11a~Q14aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。
【0027】
ダイオードD21a,D23aのカソードは、第1出力端子p11aに接続されている。ダイオードD22a,D24aのアノードは、第2出力端子p21aに接続されている。ダイオードD21aのアノードと、ダイオードD22aのカソードと、二次側コイルM2aの一端とは、接続されている。ダイオードD23aのアノードと、ダイオードD24aのカソードと、二次側コイルM2aの他端とは、接続されている。これにより、ダイオードD21a~D24aは、ダイオードブリッジを構成することで、交流を直流に整流する。
【0028】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11a~Q14aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、電源PWが出力する直流電力を変換し、変換した直流電力を第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとの間に生じさせる。ここで、スイッチング素子Q11a~Q14aは、「絶縁トランスTRaの一次側コイルM1aに接続された一次側回路」の一例である。また、ダイオードD21a~D24aは、「絶縁トランスTRaの二次側コイルM2aに接続された二次側回路」の一例である。また、第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとは、「二次側回路の一対の出力端子」の一例である。
【0029】
平滑コンデンサ50aは、一端が第1出力端子p11aに接続され、他端が第2出力端子p21aに接続されている。平滑コンデンサ50aは、絶縁型DC/DCコンバータ部40aが変換した直流電力を平滑する。
【0030】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21aと、スイッチング素子Q22aと、スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aと、還流ダイオードD31aと、還流ダイオードD32aと、還流ダイオードD33aと、還流ダイオードD34aと、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとを備える。
【0031】
スイッチング素子Q21a~Q24aと、還流ダイオードD31a~D34aとは、例えば、IGBT等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q21a~Q24aは、それぞれ、還流ダイオードD31a~D34aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q21aには、還流ダイオードD31aが接続されており、スイッチング素子Q22aには、還流ダイオードD32aが接続されており、スイッチング素子Q23aには、還流ダイオードD33aが接続されており、スイッチング素子Q24aには、還流ダイオードD34aが接続されている。還流ダイオードD31a~D34aのカソードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD31a~D34aのアノードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのエミッタに接続されている。
【0032】
スイッチング素子Q21a,Q22aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q23a,Q24aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q21a,Q23aのコレクタは、第1出力端子p11aと、平滑コンデンサ50aの一端とに接続されている。スイッチング素子Q22a,Q24aのエミッタは、第2出力端子p21aと、平滑コンデンサ50aの他端とに接続されている。
【0033】
スイッチング素子Q21aとスイッチング素子Q22aとを接続する接続線には、第1出力端子p12aが接続されている。スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aとを接続する接続線には、第2出力端子p22aが接続されている。これにより、スイッチング素子Q21a~Q24aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。
【0034】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21a~Q24aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、フルブリッジ型インバータ部60aは、平滑コンデンサ50aの両端に生じる直流電力を変換し、変換した交流電力を第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に生じさせる。
【0035】
フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aと、出力インダクタ71aの一端とは、接続されており、出力インダクタ71aの他端と、第1端子t21とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、フルブリッジ型インバータ部60bの第1出力端子p12bとは、接続点CPにおいて接続されている。接続点CPと、中性点端子t22とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60bの第2出力端子p22bと、出力インダクタ71bの一端とは、接続されており、出力インダクタ71bの他端と、第2端子t23とは、接続されている。第1端子t21は、第1線LN1に接続されており、中性点端子t22は、第2線LN2に接続されており、第2端子t23は、第3線LN3に接続されている。つまり、第2線LN2は、中性線である。これにより、出力インダクタ71a,71bは、フルブリッジ型インバータ部60a,60bが出力する交流電力を正弦波にする。
【0036】
また、フルブリッジ型インバータ部60aは、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に、第1相交流電力を生じさせるともいえる。また、フルブリッジ型インバータ部60bは、第1出力端子p12bと、第2出力端子p22bとの間に、第2相交流電力を生じさせるともいえる。制御部100は、フルブリッジ型インバータ部60a,60bを制御して、第1相交流電力と第2相交流電力との位相を操作することにより、第1線LN1~第3線LN3に単相三線式交流を出力する。なお、フルブリッジ型インバータ部60aへの制御信号と、フルブリッジ型インバータ部60bへの制御信号とは、独立している。
【0037】
[実施形態の作用]
(1)電力変換装置10において、フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、フルブリッジ型インバータ部60bの第1出力端子p12bとは、接続点CPにおいて接続されている。接続点CPと、中性点端子t22とは、接続されている。これにより、第1相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60aと、第2相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60bとにおいて、中性点が分離される。
【0038】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電力変換装置10は、第1相交流電力を供給する機器のみ、又は第2相交流電力を供給する機器のみが電力変換装置10に接続されている場合など、第1相交流電力と第2相交流電力との間で負荷の不均衡が大きくなっても、平滑コンデンサ50aと、平滑コンデンサ50bとの間で電圧の差が生じにくくなる。したがって、電力変換装置10は、平滑コンデンサ50aと、平滑コンデンサ50bとの電圧差を補償するように十分に大きい容量のコンデンサを用いる必要がなくなる。このため、電力変換装置10は、自装置を小型化することができる。
【0039】
(2)出力インダクタ71aは、第1インバータ回路30aの第1出力端子p12aと、第1端子t21との間に設けられている。出力インダクタ71bは、第2インバータ回路30bの第2出力端子p22bと、第2端子t23との間に設けられている。かかる構成によれば、出力インダクタ71は、電力変換装置10が生成する第1相交流電力、及び第2相交流電力を正弦波にすることができる。
【0040】
(3)絶縁型DC/DCコンバータ部40a,40bは、いずれもインバータ方式のDC/DCコンバータである。絶縁型DC/DCコンバータ部40は、一次側コイルM1と、二次側コイルM2とを含む絶縁トランスTRと、絶縁トランスTRの一次側コイルM1に接続された一次側回路としてのスイッチング素子Q11~Q14と、絶縁トランスTRの二次側コイルM2に接続された二次側回路としてのダイオードD21~D24とを備える。平滑コンデンサ50は、二次側回路の一対の出力端子である第1出力端子p11と、第2出力端子p21との間に設けられる。
【0041】
かかる構成によれば、電力変換装置10は、絶縁型DC/DCコンバータ部40の一次側回路で絶縁トランスTRに入力する交流を高周波化することができる。このため、絶縁トランスTRを小型化することができる。また、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとにおいて二次側コイルM2をそれぞれ備えることにより、中性点を分離することができる。したがって、電力変換装置10は、平滑コンデンサ50を小型化することができ、自装置を小型化することができる。また、電力変換装置10は、一方のフルブリッジ型インバータ部60に異常な電圧電流が発生しても、二次側回路のダイオードD21~D24や絶縁トランスTRにより、他方のフルブリッジ型インバータ部60に影響するのを防ぐことができ、他方の単相二線交流の出力を継続できる。
【0042】
[変形例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。なお、以降の変形例の説明において、上述した実施形態と同様の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0043】
〇上述した実施形態のフルブリッジ型インバータ部60a,60bは、第2出力端子p22a、及び第1出力端子p12b側に出力インダクタを備えていてもよい。
図3に示すように、変形例のインバータ21は、第1インバータ回路30aに代えて、第1インバータ回路31aを備え、第2インバータ回路30bに代えて、第2インバータ回路31bを備える。第1インバータ回路31aは、第1インバータ回路30aが備える構成に加えて、出力インダクタ72aを備える。また、第2インバータ回路31bは、第2インバータ回路30bが備える構成に加えて、出力インダクタ72bを備える。第1インバータ回路31aにかかる出力インダクタ72a以外の構成、及び接続は、上述した第1インバータ回路30aと同様であるため、説明を省略する。また、第2インバータ回路31bにかかる出力インダクタ72b以外の構成、及び接続は、上述した第2インバータ回路30bと同様であるため、説明を省略する。
【0044】
変形例において、第2出力端子p22aと、出力インダクタ72aの一端とが接続され、出力インダクタ72aの他端と、接続点CPとが接続されている。また、第1出力端子p12bと、出力インダクタ72bの一端とが接続され、出力インダクタ72bの他端と、接続点CPとが接続されている。かかる構成によれば、電力変換装置10は、自装置が生成する交流電力を正弦波にできる。
【0045】
また、実施形態のフルブリッジ型インバータ部60a,60bは、第2出力端子p22a、及び第1出力端子p12b側の共通する部分に出力インダクタを備えていてもよい。
図4に示すように、変形例のインバータ22は、インバータ20が備える構成に加えて、出力インダクタ73を備える。インバータ22にかかる出力インダクタ73以外の構成、及び接続は、上述したインバータ20と同様であるため、説明を省略する。出力インダクタ73の一端は、接続点CPに接続され、他端は、中性点端子t22に接続されている。かかる構成によれば、電力変換装置10は、自装置が生成する交流電力を正弦波にできる。
【0046】
〇上述した実施形態では、インバータ20において、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとが、それぞれ一次側回路を備える場合について説明したが、これに限られない。以下、インバータ23が、一次側回路共通の絶縁型DC/DCコンバータ部41を備える場合について説明する。
【0047】
図5に示すように、インバータ23は、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bに変えて、インバータ回路32を備える。インバータ回路32は、絶縁型DC/DCコンバータ部41と、平滑コンデンサ50aと、平滑コンデンサ50bと、フルブリッジ型インバータ部60aと、フルブリッジ型インバータ部60bと、出力インダクタ71aと、出力インダクタ71bと、第1端子t21と、中性点端子t22と、第2端子t23とを備える。インバータ回路32が備える構成のうち、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bが備える構成と同様のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
絶縁型DC/DCコンバータ部41は、スイッチング素子Q31と、スイッチング素子Q32と、スイッチング素子Q33と、スイッチング素子Q34と、還流ダイオードD41と、還流ダイオードD42と、還流ダイオードD43と、還流ダイオードD44と、絶縁トランスTRcと、ダイオードD21a~ダイオードD24aと、ダイオードD21b~ダイオードD24bと、第1出力端子p11a,p11bと、第2出力端子p21a,p21bとを備える。絶縁トランスTRcは、一次側コイルM3と、第1二次側コイルM4と、第2二次側コイルM5とを備える。絶縁トランスTRcにおいて、一次側コイルM3と、第1二次側コイルM4、及び第2二次側コイルM5とは、絶縁されている。
【0049】
スイッチング素子Q31~Q34と、還流ダイオードD41~D44とは、例えば、IGBT等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q31~Q34は、それぞれ、還流ダイオードD41~D44が接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q31には、還流ダイオードD41が接続されており、スイッチング素子Q32には、還流ダイオードD42が接続されており、スイッチング素子Q33には、還流ダイオードD43が接続されており、スイッチング素子Q34には、還流ダイオードD44が接続されている。還流ダイオードD41~D44のカソードは、対応するスイッチング素子Q31~Q34のコレクタに接続されており、還流ダイオードD41~D44のアノードは、対応するスイッチング素子Q31~Q34のエミッタに接続されている。
【0050】
スイッチング素子Q31,Q32は、接続線を介して互いに直列に接続されている。接続線には、一次側コイルM3の一端が接続されている。スイッチング素子Q33,Q34は、接続線を介して互いに接続されている。接続線には、一次側コイルM3の他端が接続されている。スイッチング素子Q31,Q33のコレクタは、電源PWの高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q32,Q34のエミッタは、電源PWの低圧側である負極端子に接続されている。これにより、スイッチング素子Q31~Q34は、フルブリッジを構成する。
【0051】
ダイオードD21aのアノードと、ダイオードD22aのカソードと、第1二次側コイルM4の一端とは、接続されている。ダイオードD23aのアノードと、ダイオードD24aのカソードと、第1二次側コイルM4の他端とは、接続されている。ダイオードD21bのアノードと、ダイオードD22bのカソードと、第2二次側コイルM5の一端とは、接続されている。ダイオードD23bのアノードと、ダイオードD24bのカソードと、第2二次側コイルM5の他端とは、接続されている。
【0052】
かかる構成によれば、インバータ23は、インバータ20に比して、絶縁型DC/DCコンバータ部41の一次側回路の部品点数を少なくしつつ、第1相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60aと、第2相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60bとにおいて、中性点を分離することができる。したがって、電力変換装置10は、自装置を小型化することができる。
【0053】
なお、インバータ23は、出力インダクタ72a,72bや、出力インダクタ73を備えていてもよい。その場合、出力インダクタ72a,72b、及び出力インダクタ73の接続は、インバータ21,22における接続と同様であるため、説明を省略する。
【0054】
〇電力変換装置10は、電力変換装置10の回路配線の寄生インダクタンスや電力変換装置10に接続されている機器が有するインダクタンスにより、電力変換装置10が出力する交流電力を正弦波にできれば、出力インダクタ71a,71b,72a,72b,73の一部、又は全部を備えていなくてもよい。また、電力変換装置10は、負荷に対して、商用交流のような正弦波ではなく、疑似正弦波や、矩形波を出力する装置である場合には、出力インダクタ71a,71b,72a,72b,73を備えていなくてもよい。
【0055】
〇電力変換装置10は、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとの間で、中性点を分離できれば、絶縁型DC/DCコンバータ部40a,40b以外の構成により実現された絶縁型DC/DCコンバータ部を備えていてもよい。例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部は、スイッチング素子Q11~Q14によるフルブリッジ構成に代えて、ハーフブリッジとコンデンサとの構成により実現されてもよい。
【0056】
○スイッチング素子Q11~Q14、スイッチング素子Q21~Q24、及びスイッチング素子Q31~Q34は、IGBTに限られず、任意であり、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)でもよい。
【0057】
〇なお、第1線LN1と第2線LN2との間、及び第2線LN2と第3線LN3との間に生じる電力が合致していれば、100V以外の電力を生成するものであってもよい。
〇上述した構成、及び接続を有していれば、第1出力端子p11a,p11b,p12a,p12b、第2出力端子p21a,p21b,p22a,p22b、第1端子t21、中性点端子t22、及び第2端子t23を用いずに接続されていてもよい。
【0058】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[態様1]電力変換装置であって、電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路を備え、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは接続されており、前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは接続されており、前記第1インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2インバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている。
【0059】
[態様2]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられる、[態様1]に記載の電力変換装置。
【0060】
[態様3]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられる、[態様1]、又は[態様2]に記載の電力変換装置。
【0061】
[態様4]出力インダクタを更に備え、前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられる、[態様1]から[態様3]のうち、いずれか一つに記載の電力変換装置。
【0062】
[態様5]前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、いずれもインバータ方式のDC/DCコンバータであって、前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一次側コイルと、二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記絶縁トランスの前記二次側コイルに接続された二次側回路と、を備え、前記平滑コンデンサは、前記二次側回路の一対の出力端子の間に設けられる、[態様1]から[態様4]のうち、いずれか一つに記載の電力変換装置。
【0063】
[態様6]電力変換装置であって、電源から出力された電力を単相三線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した単相三線式交流電力を出力するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第1平滑コンデンサと、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する第2平滑コンデンサと、前記第1平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第1フルブリッジ型インバータ部と、前記第2平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に単相二線式交流電力を生じさせる第2フルブリッジ型インバータ部と、出力インダクタと、を備え、前記絶縁型DC/DCコンバータ部は、一つの一次側コイルと、第1二次側コイルと、第2二次側コイルとを含む絶縁トランスと、前記絶縁トランスの前記一次側コイルに接続された一次側回路と、前記第1二次側コイルに接続された第1二次側回路と、前記第2二次側コイルに接続された第2二次側回路と、を備え、前記第1平滑コンデンサは、前記第1二次側回路の一対の出力端子の間に設けられており、前記第2平滑コンデンサは、前記第2二次側回路の一対の出力端子の間に設けられている、前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、前記第1フルブリッジ型インバータ部の前記第2出力端子と、前記第2フルブリッジ型インバータ部の前記第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されている。
【符号の説明】
【0064】
CP…接続点、D11a,D12a,D13a,D14a…還流ダイオード、D21a,D21b,D22a,D22b,D23a,D23b,D24a,D24b…ダイオード、D31a,D32a,D33a,D34a,D41,D42,D43,D44…還流ダイオード、L1,L2,L3…出力インダクタ、LN1…第1線、LN2…第2線、LN3…第3線、M1,M1a,M3…一次側コイル、M2,M2a,M4,M5…二次側コイル、p11,p11a,p11b,p12a,p12b…第1出力端子、p21,p21a,p21b,p22a,p22b…第2出力端子、PW…電源、Q11a,Q12a,Q13a,Q14a,Q21a,Q22a,Q23a,Q24a,Q31,Q32,Q33,Q34…スイッチング素子、t21…第1端子、t22…中性点端子、t23…第2端子、TR,TRa,TRc…絶縁トランス、10…電力変換装置、20,21,22,23…インバータ、30a,31a…第1インバータ回路、30b,31b…第2インバータ回路、32…インバータ回路、40,40a,40b,41…絶縁型DC/DCコンバータ部、50,50a,50b…平滑コンデンサ、60a,60b…フルブリッジ型インバータ部、71a,71b,72a,72b,73…出力インダクタ、100…制御部。