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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173385
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車載電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241205BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091763
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森川 真人
(72)【発明者】
【氏名】市古 雅寛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 崇
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA01
5H770AA13
5H770AA21
5H770BA01
5H770CA01
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA02
5H770DA22
5H770DA24
5H770DA30
5H770DA41
5H770EA01
5H770HA02Y
5H770HA03Y
5H770HA07Z
5H770JA17Y
5H770LA02Y
5H770LB07
(57)【要約】
【課題】インバータに冗長性を持たせつつ、車両の走行状態に応じて、スイッチング損失、及び導通損失を抑制することができる車載電力変換装置を提供すること。
【解決手段】インバータ20は、電源PWから出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第1インバータ回路、及び前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第2インバータ回路と、を備える。第1インバータ回路は、車両の車室内に設けられた一以上の車室内給電口CN1に電力を供給する。第2インバータ回路は、車両の車室外に設けられた一以上の車室外給電口CN2に電力を供給する。制御部は、車両の走行状態に基づいて、車両が走行状態であると判定した場合、車室外給電口CN2のうち、少なくとも一つの車室外給電口CN2への電力の供給を停止、又は制限する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載され、電源から出力された電力を変換するインバータと、
前記インバータを制御する制御部と、を備え、
前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第1インバータ回路、及び前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第2インバータ回路と、を備え、
前記第1インバータ回路は、前記車両の車室内に設けられた一以上の車室内給電口に電力を供給して、
前記第2インバータ回路は、前記車両の車室外に設けられた一以上の車室外給電口に電力を供給して、
前記制御部は、前記車両の走行状態に基づいて、前記車両が走行状態であると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限する、
車載電力変換装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力供給の有無に更に基づいて、前記負荷への電力供給がないと判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限しつつ、前記負荷への電力供給があると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を継続する、
請求項1に記載の車載電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力の供給状態に更に基づいて、前記負荷に供給される電力の大きさに応じて、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限する、
請求項1に記載の車載電力変換装置。
【請求項4】
前記電源は、一つであり、
前記第1インバータ回路と、前記第2インバータ回路とは、前記電源に対して互いに並列に接続される、
請求項1に記載の車載電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車に搭載された直流電源から出力された直流電力をインバータにて交流電力に変換して、車室内給電口に供給する技術(例えば、特許文献1)や、車室外給電口に供給する技術(例えば、特許文献2)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-74666号公報
【特許文献2】特開2012-16197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1や特許文献2に開示の方法によって、車室内外に電力を給電する際に、共通のインバータを用いると、一方の給電口に短絡等が原因で過電流が発生した場合、インバータを停止して電力の供給を停止すると、他方の給電口への電力の供給も停止される。したがって、車両は、車室内給電口用と、車室外給電口用との二つのインバータを備えることが好ましい。一方で、車室外給電口から給電を受ける機器は、車両の走行中には給電の必要がない場合がある。この場合、車室外給電口用のインバータは、電力変換を必要としないにも関わらず、スイッチング損失や導通損失が生じてしまう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する車載電力変換装置は、車両に搭載され、電源から出力された電力を変換するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第1インバータ回路、及び前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第2インバータ回路と、を備え、前記第1インバータ回路は、前記車両の車室内に設けられた一以上の車室内給電口に電力を供給して、前記第2インバータ回路は、前記車両の車室外に設けられた一以上の車室外給電口に電力を供給して、前記制御部は、前記車両の走行状態に基づいて、前記車両が走行状態であると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限する、ことを特徴とする。
【0006】
かかる構成によれば、インバータに冗長性を持たせつつ、車両の走行状態に応じて、スイッチング損失、及び導通損失を抑制することができる。
上記目的を達成する車載電力変換装置において、前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力供給の有無に更に基づいて、前記負荷への電力供給がないと判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限しつつ、前記負荷への電力供給があると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を継続してもよい。
【0007】
かかる構成によれば、車両が走行状態であっても、車室外給電口に電力を供給している場合には、その供給を継続することができる。
上記目的を達成する車載電力変換装置において、前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力の供給状態に更に基づいて、前記負荷に供給される電力の大きさに応じて、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限してもよい。
【0008】
かかる構成によれば、車両が走行状態であっても、車室外給電口に電力を供給している場合には、その供給を継続しつつ、かつ所定の電力以上の電力を供給しないようにすることができる。したがって、車両の走行に伴い、所定の電力以上を使用する機器の電気的故障を抑制することができる。
【0009】
上記目的を達成する車載電力変換装置において、前記電源は、一つであり、前記第1インバータ回路と、前記第2インバータ回路とは、前記電源に対して互いに並列に接続されてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、一つの電源により、インバータに冗長性を持たせつつ、車両の走行状態に応じて、スイッチング損失、及び導通損失を抑制することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、インバータに冗長性を持たせつつ、車両の走行状態に応じて、スイッチング損失、及び導通損失を抑制することができる車載電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、車両Mの全体構成の説明に用いられる図である。
図2図2は、車載電力変換装置10の構成の説明に用いられる図である。
図3図3は、インバータ20の構成の一例を示す図である。
図4図4は、制御部100の処理の一例を示すフローチャートである。
図5図5は、変形例の説明に用いられる図である。
図6図6は、変形例2の説明に用いられる図である。
図7図7は、インバータ21の構成の一例を示す図である。
図8図8は、車載電力変換装置11の構成の説明に用いられる図である。
図9図9は、インバータ22の構成の一例を示す図である。
図10図10は、インバータ23の構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<実施形態>
以下、図面を参照し車載電力変換装置を具体化した実施形態について説明する。
[全体構成]
図1に示すように、車両Mは、車載電力変換装置10と、電源PWと、一つ以上の車室内給電口CN1と、一つ以上の車室外給電口CN2とを備える。以下、車両Mがトラックであり、二つの車室内給電口CN1-1,CN1-2と、二つの車室外給電口CN2-1,CN2-2とを備えるものとする。以降の説明において、車室内給電口CN1-1,CN1-2を区別しない場合には、単に車室内給電口CN1と記載し、車室外給電口CN2-1,CN2-2を区別しない場合には、単に車室外給電口CN2と記載する。
【0014】
車室内給電口CN1は、例えば、センターコンソール、コンソールボックス内、又はインストルメントパネル等、車室内に設けられる単相二線式用アウトレットである。車室外給電口CN2は、例えば、荷台やトランクルーム等、車室外に設けられる単相二線式用アウトレットである。一般的に、トランクルームは、車室内であるが、本件では、走行中に使われる頻度が少ないアウトレットという事で、トランクルームに設けられるアウトレットを車室外給電口CN2の扱いとする。車室外給電口CN2は、例えば、降雨等によって濡れないように、ケースCSによって覆われている。なお、車室内給電口CN1、及び車室外給電口CN2が設けられる位置は一例であってこれに限られない。
【0015】
車載電力変換装置10は、車両Mに搭載され、電源PWから出力された直流電力を単相二線式交流電力に変換しつつ、車室内給電口CN1や車室外給電口CN2に接続された機器に供給する。
【0016】
図2に示すように、車載電力変換装置10には、第1線LN1、第2線LN2、第3線LN3、及び第4線LN4が接続されている。車載電力変換装置10は、第1線LN1、第2線LN2、第3線LN3、及び第4線LN4のうち、第1線LN1と、第2線LN2との間、及び第3線LN3と、第4線LN4との間のそれぞれに電圧が100Vの単相二線式交流電力を生じさせる。以降の説明において、第1線LN1と、第2線LN2との間に生じる単相二線式交流電力を、「第1相交流電力」とも記載する。また、第3線LN3と、第4線LN4との間に生じる単相二線式交流電力を、「第2相交流電力」とも記載する。車室内給電口CN1は、例えば、第1線LN1と第2線LN2とが接続されており、第1線LN1と第2線LN2との間に生じる第1相交流電力の供給を受ける。また、車室外給電口CN2は、例えば、第3線LN3と第4線LN4都が接続されており、第3線LN3と第4線LN4との間に生じる第2相交流電力の供給を受ける。
【0017】
第1線LN1には、電流センサSC1が設けられており、第3線LN3には、電流センサSC2が設けられている。第1線LN1と第2線LN2との間には、電圧センサSV1が設けられており、第3線LN3と第4線LN4との間には、電圧センサSV2が設けられている。電流センサSC1、及び電圧センサSV1は、車室内給電口CN1への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。電流センサSC2、及び電圧センサSV2は、車室外給電口CN2への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。
【0018】
車載電力変換装置10は、インバータ20と、制御部100とを備える。インバータ20の構成の詳細については、後述する。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め車載電力変換装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。記憶装置は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。制御部100は、インバータ20が単相二線式交流電力を出力するように、インバータ20を適宜制御する。制御部100の制御の詳細については、後述する。
【0019】
[インバータ20の構成]
図3に示すように、インバータ20は、例えば、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bと、第1端子t21aと、第2端子t22aとを備える。第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとは、基本的には同様の構成を備える。以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成には、符号の末尾に「a」を付し、第2インバータ回路30bが備える構成には、符号の末尾に「b」を付して説明する。以下、第1インバータ回路30aの構成の詳細について説明する。第2インバータ回路30bの構成については、以下の第1インバータ回路30aの説明中の符号の末尾に付された「a」を「b」に読み替えればよい。また、以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成と、第2インバータ回路30bが備える構成とを互いに区別しない場合は、符号の末尾の「a」、及び「b」を省略する。また、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bを互いに区別しない場合には、単にインバータ回路30と記載する。
【0020】
第1インバータ回路30aは、例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部40aと、平滑コンデンサ50aと、フルブリッジ型インバータ部60aと、出力インダクタ71a,72aと、を備える。
【0021】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11aと、スイッチング素子Q12aと、スイッチング素子Q13aと、スイッチング素子Q14aと、還流ダイオードD11aと、還流ダイオードD12aと、還流ダイオードD13aと、還流ダイオードD14aと、絶縁トランスTRaと、ダイオードD21aと、ダイオードD22aと、ダイオードD23aと、ダイオードD24aと、第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとを備える。絶縁トランスTRaは、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとを備える。絶縁トランスTRaにおいて、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとは、絶縁されている。
【0022】
スイッチング素子Q11a~Q14aと、還流ダイオードD11a~D14aとは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q11a~Q14aは、それぞれ、還流ダイオードD11a~D14aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q11aには、還流ダイオードD11aが接続されており、スイッチング素子Q12aには、還流ダイオードD12aが接続されており、スイッチング素子Q13aには、還流ダイオードD13aが接続されており、スイッチング素子Q14aには、還流ダイオードD14aが接続されている。還流ダイオードD11a~D14aのカソードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD11a~D14aのアノードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのエミッタに接続されている。
【0023】
スイッチング素子Q11a,Q12aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの一端が接続されている。スイッチング素子Q13a,Q14aは、接続線を介して互いに接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの他端が接続されている。スイッチング素子Q11a,Q13aのコレクタは、電源PWの高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q12a,Q14aのエミッタは、電源PWの低圧側である負極端子に接続されている。これにより、スイッチング素子Q11a~Q14aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。
【0024】
ダイオードD21a,D23aのカソードは、第1出力端子p11aに接続されている。ダイオードD22a,D24aのアノードは、第2出力端子p21aに接続されている。ダイオードD21aのアノードと、ダイオードD22aのカソードと、二次側コイルM2aの一端とは、接続されている。ダイオードD23aのアノードと、ダイオードD24aのカソードと、二次側コイルM2aの他端とは、接続されている。これにより、ダイオードD21a~D24aは、ダイオードブリッジを構成することで、交流を直流に整流する。
【0025】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11a~Q14aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、電源PWが出力する直流電力を変換し、変換した直流電力を第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとの間に生じさせる。
【0026】
平滑コンデンサ50aは、一端が第1出力端子p11aに接続され、他端が第2出力端子p21aに接続されている。平滑コンデンサ50aは、絶縁型DC/DCコンバータ部40aが変換した直流電力を平滑する。
【0027】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21aと、スイッチング素子Q22aと、スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aと、還流ダイオードD31aと、還流ダイオードD32aと、還流ダイオードD33aと、還流ダイオードD34aと、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとを備える。
【0028】
スイッチング素子Q21a~Q24aと、還流ダイオードD31a~D34aとは、例えば、IGBT等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q21a~Q24aは、それぞれ、還流ダイオードD31a~D34aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q21aには、還流ダイオードD31aが接続されており、スイッチング素子Q22aには、還流ダイオードD32aが接続されており、スイッチング素子Q23aには、還流ダイオードD33aが接続されており、スイッチング素子Q24aには、還流ダイオードD34aが接続されている。還流ダイオードD31a~D34aのカソードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD31a~D34aのアノードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのエミッタに接続されている。
【0029】
スイッチング素子Q21a,Q22aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q23a,Q24aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q21a,Q23aのコレクタは、第1出力端子p11aと、平滑コンデンサ50aの一端とに接続されている。スイッチング素子Q22a,Q24aのエミッタは、第2出力端子p21aと、平滑コンデンサ50aの他端とに接続されている。
【0030】
スイッチング素子Q21aとスイッチング素子Q22aとを接続する接続線には、フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aが接続されている。スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aとを接続する接続線には、フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aが接続されている。これにより、スイッチング素子Q21a~Q24aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。
【0031】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21a~Q24aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、フルブリッジ型インバータ部60aは、平滑コンデンサ50aの両端に生じる直流電力を変換し、変換した交流電力を第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に生じさせる。
【0032】
フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aと、出力インダクタ71aの一端とは、接続されており、出力インダクタ71aの他端と、第1端子t21aとは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、出力インダクタ72aの一端とは接続されており、出力インダクタ72aの他端と、第2端子t22aとは、接続されている。
【0033】
第1端子t21aは、第1線LN1に接続されており、第2端子t22aは、第2線LN2に接続されている。これにより、出力インダクタ71a,72aは、フルブリッジ型インバータ部60aが出力する交流電力を正弦波にする。また、第1端子t21bは、第3線LN3に接続されており、第2端子t22bは、第4線LN4に接続されている。これにより、出力インダクタ71b,72bは、フルブリッジ型インバータ部60bが出力する交流電力を正弦波にする。また、フルブリッジ型インバータ部60aは、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に、第1相交流電力を生じさせるともいえる。フルブリッジ型インバータ部60bは、第1出力端子p12bと、第2出力端子p22bとの間に、第2相交流電力を生じさせるともいえる。
【0034】
[制御部100の制御について]
以下、制御部100の制御の詳細について説明する。制御部100は、車両Mの走行状態に基づいて、車両Mが走行状態であると判定した場合、車室外給電口CN2のうち、少なくとも一つの車室外給電口CN2への電力の供給を停止、又は制限する。以下、制御部100は、車両Mが走行状態であると判定した場合、全ての車室外給電口CN2への電力の供給を停止する場合について説明する。
【0035】
図4に示すように、制御部100は、走行状態情報を取得する(ステップS100)。制御部100は、例えば、車両Mが備える速度センサの検出結果を示す情報を、走行状態情報として取得する。制御部100は、取得した走行状態情報に基づいて、車両Mが走行状態であるか否かを判定する(ステップS102)。制御部100は、例えば、走行状態情報が、車両Mの速度が所定の速度以上であることを示す場合、車両Mが走行状態であると判定し、車両Mの速度が所定の速度未満であることを示す場合、車両Mが停車状態であると判定する。所定の速度とは、例えば、数[km/h]程度の速度である。
【0036】
制御部100は、車両Mが走行状態ではないと判定した場合、車室外給電口CN2への電力の供給の停止を行わず、処理を終了する。制御部100は、車両Mが走行状態であると判定した場合、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する(ステップS104)。制御部100は、例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部40bが備えるスイッチング素子Q11b~Q14bのスイッチング制御を停止することにより、車室外給電口CN2への電力供給を停止する。
【0037】
[実施形態の作用]
車載電力変換装置10において、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとは、独立して動作しているため、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとのうち、一方を停止させても、他方の電力供給が継続される。
【0038】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
車載電力変換装置10は、車両Mに搭載され、電源PWから出力された電力を変換するインバータ20と、インバータ20を制御する制御部100と、を備える。インバータ20は、電源PWから出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第1インバータ回路30a、及び電源PWから出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第2インバータ回路30bと、を備える。第1インバータ回路30aは、車両Mの車室内に設けられた一以上の車室内給電口CN1に電力を供給する。第2インバータ回路30bは、車両Mの車室外に設けられた一以上の車室外給電口CN2に電力を供給する。制御部100は、車両Mの走行状態に基づいて、車両Mが走行状態であると判定した場合、車室外給電口CN2のうち、少なくとも一つの車室外給電口CN2への電力の供給を停止する。
【0039】
かかる構成によれば、第1相交流電力を供給する第1インバータ回路30aと、第2相交流電力を供給する第2インバータ回路30bとの2つのインバータ回路を備えることでインバータ20に冗長性を持たせることができる。したがって、車載電力変換装置10は、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとのうち、第2インバータ回路30bを停止させても、他方の電力供給が継続することができる。また、車載電力変換装置10は、車両Mの走行状態に応じて、絶縁型DC/DCコンバータ部40bを停止させることにより、スイッチング素子Q11b~Q14bのスイッチング制御にかかるスイッチング損失を抑制することができる。
【0040】
[変形例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以降の変形例の説明において、上述した実施形態と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
〇上述した実施形態では、制御部100が、車両Mの走行状態に基づいて、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する場合について説明した。以下、制御部100が、車室外給電口CN2に接続された負荷への電力供給の有無に基づいて、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する場合について説明する。
【0042】
図5に示す一例では、図4に示すステップS102と、ステップS104との間に、ステップS200~S202の処理を実行する。制御部100は、車両Mが走行状態であると判定された場合、電力供給状態情報を取得する(ステップS200)。制御部100は、例えば、電流センサSC1,SC2、及び電圧センサSV1,SV2が出力した検出結果を示す情報を、電力供給状態情報として取得する。
【0043】
制御部100は、取得した電力供給状態情報に基づいて、車室外給電口CN2に接続された負荷に対する第2インバータ回路30bの電力供給の有無を判定する(ステップS202)。制御部100は、例えば、電力供給状態情報が、車室外給電口CN2に接続された負荷に電力供給があることを示す場合、第2インバータ回路30bの電力供給があると判定する。また、制御部100は、電力供給状態情報が、車室外給電口CN2に接続された負荷に電力供給がないことを示す場合、第2インバータ回路30bの電力供給がないと判定する。
【0044】
制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給があると判定した場合、車室外給電口CN2への電力の供給の停止、又は制限を行わず、処理を終了する。これにより、制御部100は、車両Mが走行中であっても、車室外給電口CN2に接続された負荷への電力の供給を継続する。制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給がないと判定した場合、処理をステップS104にすすめることで、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する。
【0045】
変形例において、制御部100は、車室外給電口CN2に接続された負荷への電力供給の有無に更に基づいて、負荷への電力供給があると判定した場合、車室外給電口CN2への電力の供給を継続する。ここで、車室外給電口CN2に接続された負荷には、車両Mが走行中であっても、電力の供給が継続されたほうが好ましい場合がある。例えば、電力の供給が継続されたほうが好ましい場合とは、例えば、第2インバータ回路30bの出力する第2相交流電力によって負荷が充電されている場合等である。かかる構成によれば、車載電力変換装置10は、車両Mが走行状態であっても、車室外給電口CN2に電力を供給している場合には、その供給を継続することができる。
【0046】
〇以下、制御部100が、車室外給電口CN2に接続された負荷への電力の供給状態に基づいて、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する場合について説明する。
図6に示す一例では、図5に示すステップS202と、ステップS104との間に、ステップS300~S302の処理を実行する。制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給があると判定した場合、電力供給状態情報に基づいて、第2インバータ回路30bの電力供給が所定の電力以上の電力供給であるか否かを判定する(ステップS300)。所定の電力とは、例えば、数[W]~数十[W]程度の電力である。制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給が所定の電力以上の電力供給であると判定した場合、第2インバータ回路30bの電力供給を所定の電力に制限する(ステップS302)。制御部100は、例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部40bのスイッチング素子Q11b~Q14bのONデューティを下げることで、電力供給を所定の電力に制限する。制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給が所定の電力未満の電力供給であると判定した場合、車室外給電口CN2への電力の供給の停止を行わず、処理を終了する。
【0047】
これにより、制御部100は、車室外給電口CN2に接続された負荷への電力の供給状態に基づいて、負荷に供給される電力の大きさに応じて、車室外給電口CN2への電力の供給を制限する。具体的には、制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給が所定の電力未満である場合車室外給電口CN2への電力の供給を継続する。また、制御部100は、第2インバータ回路30bの電力供給が所定の電力以上である場合、車室外給電口CN2が出力する電力を、所定の電力に制限する。
【0048】
上述したように、車室外給電口CN2に接続された負荷には、車両Mが走行中であっても、電力の供給が継続されたほうが好ましい場合がある。一方で、走行中は、車両の駆動エネルギーを動力に優先的に配分しつつ、車室外給電口CN2に接続された負荷に対して電力の供給を制限したい場合もある。かかる構成によれば、車両Mが走行状態であっても、車室外給電口CN2に電力を供給している場合には、その供給を継続しつつ、かつ所定の電力以上の電力を供給しないようにすることができる。
【0049】
なお、制御部100は、電力供給状態情報が示す値が、所定の電力以上であるか否かに基づいて、第2インバータ回路30bの電力供給を所定の電力に制限する処理に代えて(或いは、加えて)、電力供給状態情報が示す電力の大きさに応じて、第2インバータ回路30bが供給する電力の大きさを決定してもよい。この場合、制御部100は、電力供給状態情報が示す電力の大きさが大きい程、第2インバータ回路30bの電力供給を制限するものであってもよい。
【0050】
〇車載電力変換装置10は、一つの電源PWから出力された電力を変換する構成に代えて、第1インバータ回路31aと、第2インバータ回路31bとのそれぞれに対応する電源PW1と、電源PW2とから出力された電力を変換するものであってもよい。この場合、車載電力変換装置10は、インバータ20に代えて、インバータ21を備える。
【0051】
図7に示すように、インバータ21は、第1インバータ回路31aと、第2インバータ回路31bとを備える。第1インバータ回路31aにおいて、スイッチング素子Q11a,Q13aのコレクタは、電源PW1の高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q12a,Q14aのエミッタは、電源PW1の低圧側である負極端子に接続されている。また、第2インバータ回路31bにおいて、スイッチング素子Q11b,Q13bのコレクタは、電源PW2の高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q12b,Q14bのエミッタは、電源PW2の低圧側である負極端子に接続されている。インバータ21における他の構成、及び接続は、上述したインバータ20と同様であるため、説明を省略する。かかる構成によれば、第1インバータ回路31aと、第2インバータ回路31bとで、独立の電源PWで電力変換を行うことができる。これにより、インバータ21は、一方の電源PWが異常で停止しても、他方の電源PWによって電力変換できるため冗長性が高まる。
【0052】
〇上述した実施形態では、制御部100が、絶縁型DC/DCコンバータ部40bが備えるスイッチング素子Q11b~Q14bのスイッチング制御を停止することにより、車室外給電口CN2への電力供給を停止する場合について説明した。変形例では、分電盤80を用いて、車室外給電口CN2への電力供給を停止する場合について説明する。
【0053】
図8に示すように、変形例の車載電力変換装置11は、インバータ22と、分電盤80と、制御部100とを備える。インバータ22は、第1端子t1、第2端子t2、及び第3端子t3を備える。第1端子t1、第2端子t2、及び第3端子t3は、それぞれ第1線LN11、第2線LN21、及び第3線LN31を介して分電盤80に接続されている。この一例において、車載電力変換装置11は、単相三線式交流電力と、単相二線式交流電力とを出力する。具体的には、インバータ22は、単相三線式の第1線LN11、第2線LN21、及び第3線LN31のうち、第1線LN11と、第2線LN21との間、及び第2線LN21と、第3線LN31との間のそれぞれに電圧が100Vの単相二線式交流電力を生じさせるものとする。また、インバータ22は、第2線LN21を単相三線式の中性線としつつ、第1線LN11と、第3線LN31との間に電圧が200Vの単相三線式交流電力を生じさせる。
【0054】
分電盤80は、例えば、第1切替器SW1と、第2切替器SW2と、第3切替器SW3と、第4切替器SW4とを備える。第1切替器SW1、第2切替器SW2、第3切替器SW3、及び第4切替器SW4は、制御部100の制御に基づいて開閉することで、接続状態を切り替える。第1切替器SW1は、車室内給電口CN1と、インバータ22との接続状態を切り替える。第2切替器SW2は、車室外給電口CN2-1と、インバータ22との接続状態を切り替える。第3切替器SW3は、車室外給電口CN2-2と、インバータ22との接続状態を切り替える。第4切替器SW4は、単相三線式給電口CN3と、インバータ22との接続状態を切り替える。以下、単相三線式給電口CN3は、車室内給電口CN1と同様に車室内に設けられるものとする。
【0055】
第1切替器SW1~第4切替器SW4は、例えば、二極単投型のスイッチにより実現される。第1切替器SW1の一方の接点は、第1線LN11に設けられており、第1端子t1と、車室内給電口CN1との接続状態を切り替える。第1切替器SW1の他方の接点は、第2線LN21に設けられており、第2端子t2と、車室内給電口CN1との接続状態を切り替える。第2切替器SW2の一方の接点は、第2線LN21に設けられており、第2端子t2と、車室外給電口CN2-1との接続状態を切り替える。第2切替器SW2の他方の接点は、第3線LN31に設けられており、第3端子t3と、車室外給電口CN2-1との接続状態を切り替える。第3切替器SW3の一方の接点は、第2線LN21に設けられており、第2端子t2と、車室外給電口CN2-2との接続状態を切り替える。第3切替器SW3の他方の接点は、第3線LN31に設けられており、第3端子t3と、車室外給電口CN2-2との接続状態を切り替える。第4切替器SW4の一方の接点は、第1線LN11に設けられており、第1端子t1と、単相三線式給電口CN3との接続状態を切り替える。第4切替器SW4の他方の接点は、第3線LN31に設けられており、第3端子t3と、単相三線式給電口CN3との接続状態を切り替える。
【0056】
第1切替器SW1と車室内給電口CN1との間において、第1線LN11には、電流センサSC11が設けられており、第1線LN11と第2線LN21との間には、電圧センサSV11が設けられている。電流センサSC11と、電圧センサSV11とは、車室内給電口CN1への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。第2切替器SW2と車室外給電口CN2-1との間において、第2線LN21には、電流センサSC12が設けられており、第2線LN21と第3線LN31との間には、電圧センサSV12が設けられている。電流センサSC12と、電圧センサSV12とは、車室外給電口CN2-1への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。第3切替器SW3と車室外給電口CN2-2との間において、第2線LN21には、電流センサSC13が設けられており、第2線LN21と第3線LN31との間には、電圧センサSV13が設けられている。電流センサSC13と、電圧センサSV13とは、車室外給電口CN2-2への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。第4切替器SW4と単相三線式給電口CN3との間において、第1線LN11には、電流センサSC14が設けられており、第3線LN31には、電流センサSC15が設けられている。また、第1線LN11と第2線LN21との間には、電圧センサSV14が設けられており、第2線LN21と第3線LN31との間には、電圧センサSV15が設けられている。電流センサSC14,SC15と、電圧センサSV14,SV15とは、単相三線式給電口CN3への電力供給状態を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。
【0057】
図9に示すように、インバータ22は、インバータ20、及びインバータ21が備える第1端子t21、及び第2端子t22に代えて、第1端子t1と、第2端子t2と、第3端子t3とを備える。フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aと、出力インダクタ71aの一端とは、接続されている。出力インダクタ71aの他端と、第1端子t1とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、出力インダクタ72aの一端とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60bの第2出力端子p22bと、出力インダクタ71bの一端とは、接続されている。出力インダクタ71bの他端と、第3端子t3とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60bの第1出力端子p12bと、出力インダクタ72bの一端とは、接続されている。出力インダクタ72aの他端と、出力インダクタ72bの他端とは、接続点CPにおいて接続されている。接続点CPと、第2端子t2とは、接続されている。第1端子t1は、第1線LN11に接続されており、第2端子t2は、第2線LN21に接続されており、第3端子t3は、第3線LN31に接続されている。つまり、第2線LN21は、単相三線式における中性線である。制御部100は、フルブリッジ型インバータ部60a,60bを制御して、第1相交流電力と第2相交流電力の位相を操作することにより、第1線LN11~第3線LN31に単相三線式交流を出力する。なお、フルブリッジ型インバータ部60aへの制御信号と、フルブリッジ型インバータ部60bへの制御信号とは、独立している。
【0058】
上述した構成により、車室外給電口CN2-1,CN2-2は、第2インバータ回路30bから単相二線式交流電力の供給を受ける。
この場合、制御部100は、ステップS104において、スイッチング素子Q11b~Q14bのスイッチング制御を停止する構成に変えて、第2切替器SW2、及び第3切替器SW3を開状態に切り替えることで、車室外給電口CN2への電力の供給を停止する。かかる構成によれば、車載電力変換装置11は、車両Mの走行状態や負荷への電力供給の有無に基づいて、分電盤80が備える切替器により接続状態を切り替えることで、車室外給電口CN2への電力の供給を停止することができる。
【0059】
〇制御部100は、ステップS104において車室外給電口CN2への電力の供給を停止する構成に代えて、車室外給電口CN2への電力の供給をこれまでに比して省電力となるように、出力する電力を制限するものであってもよい。
【0060】
〇制御部100は、ステップS302において第2インバータ回路30bの電力供給を所定の電力に制限する構成に代えて、車室外給電口CN2への電力の供給を停止するものであってもよい。
【0061】
○実施形態では、第1インバータ回路30aに車室内給電口CN1が接続されており、第2インバータ回路30bに車室外給電口CN2が接続されている場合について説明したが、これに限られない。第1インバータ回路30aに車室外給電口CN2が接続され、第2インバータ回路30bに車室内給電口CN1が接続されてもよい。この場合、制御部100は、ステップS104において、絶縁型DC/DCコンバータ部40aが備えるスイッチング素子Q11a~Q14aのスイッチング制御を停止することにより、車室外給電口CN2への電力供給を停止する。また、制御部100は、ステップS302において、第1インバータ回路30aの電力供給を所定の電力に制限する。
【0062】
〇単相三線式給電口CN3は、車室内給電口CN1と同様に車室内に設けられる場合について説明したが、これに限られない。単相三線式給電口CN3は、車室外給電口CN2と同様に車室外に設けられていてもよい。この場合、制御部100は、ステップS104、S200~S202、及びS300~S302について、車室外給電口CN2について実行した処理と同様の処理を、単相三線式給電口CN3についても実行する。
【0063】
○上述では、車載電力変換装置10が、車室外給電口CN2を複数備えている場合について説明したが、これに限られない。車載電力変換装置10は、車室外給電口CN2を一つ備えるものであってもよい。図8において、車載電力変換装置10は、単相三線式給電口CN3のみを備えるものであってもよい。この場合、単相三線式給電口CN3は、車室外に設けられるものとする。また、車載電力変換装置10は、車室内給電口CN1、及び単相三線式給電口CN3をそれぞれ複数備えていてもよい。
【0064】
○走行状況情報としては、速度センサの検出結果に限らず、車両のシフト信号であってもよい。この場合、P(パーキング)やN(ニュートラル)の場合に車両Mが停止状態であると判断し、それ以外の場合に走行状態であると判定してもよい。また、速度とシフト信号のP(パーキング)とN(ニュートラル)を合わせて停止状態、走行状態を判断してもよいし、速度が所定以下で且つP(パーキング)、N(ニュートラル)の場合停車と判断。速度が所定以上で且つP(パーキング)、N(ニュートラル)以外の場合に走行と判断してもよい。
【0065】
図8では車室内給電口CN1や単相三線式給電口CN3が、分電盤80を介してインバータ22に接続されていたが、これに限られない。車室内給電口CN1や単相三線式給電口CN3は、分電盤80を介さずにインバータ22の各端子t1~t3に直接接続されていてもよい。この場合、車室内給電口CN1や単相三線式給電口CN3への配線長を短くすることができる。
【0066】
〇制御部100は、車室外給電口CN2が複数存在する場合、複数の車室外給電口CN2のうち、一部の車室外給電口CN2に対して電力の供給を停止、又は制限してもよい。例えば、車室外給電口CN2のうち、車室外給電口CN2-1は、上述した電力供給の停止、又は制限が行われず、車室外給電口CN2-2に対してのみ、上述した電力供給の停止、又は制限がされることがあらかじめ決められていてもよい。この場合、車室外給電口CN2-1,CN2-2とで電力供給源のインバータ回路30が同一の場合には、分電盤80を用いて、車室外給電口CN2-1,CN2-2の接続状態をそれぞれ切り替える。
【0067】
〇制御部100は、車室外給電口CN2への電力供給を停止する際に、フルブリッジ型インバータ部60bが備えるスイッチング素子Q21b~Q24bのスイッチング制御を更に停止してもよい。この場合、車載電力変換装置10,11は、スイッチング素子Q21b~Q24bのスイッチング制御にかかるスイッチング損失、及び導通損失を更に抑制することができる。
【0068】
〇上述では、制御部100が絶縁型DC/DCコンバータ部40bのスイッチング素子Q11b~Q14bのONデューティを下げることで、電力供給を所定の電力に制限する場合について説明したが、これに限られない。制御部100は、例えば、フルブリッジ型インバータ部60bのスイッチング素子Q21b~Q24bのONデューティを下げることで、電力供給を所定の電力に制限してもよい。
【0069】
図6のステップS300において、所定の電力以上の電力供給があった場合、ステップS302にて電力供給を制限したが、これに限られない。図6のステップS300において、所定の電力以上の電力供給があった場合、ステップS302にて、電力供給を停止させてもよい。
【0070】
図8に示すような分電盤80、及び第1切替器SW1~第4切替器SW4を有する車載電力変換装置11が、図9に示すインバータ22を備える場合について説明したが、これに限られない。車載電力変換装置11は、図9に示すインバータ22に代えて、図3に示すインバータ20や、図7に示すインバータ21を備えていてもよい。この場合、車載電力変換装置11は、単相三線式交流を出力しなくてもよく、分電盤80内で第2線LN2と第3線LN3を接続して接続点CPを作って単相三線式交流を出力するようにしてもよい。
【0071】
〇電流センサSC11~SC15、及び電圧センサSV11~SC15は、第1切替器SW1~第4切替器SW4とインバータ22との間に設けられていてもよい。
図8において、第4切替器SW4は、第1線LN11、第2線LN21、及び第3線LN31の各線に接点を有する三極単投型スイッチであってもよく、各線に切り替えスイッチが設けられている構造でもよい。
【0072】
〇車載電力変換装置10,11は、車載電力変換装置10,11の回路配線の寄生インダクタンスや車載電力変換装置10に接続されている機器が有するインダクタンスにより、車載電力変換装置10,11が出力する交流電力を正弦波にできれば、出力インダクタ71a,71b,72a,72bの一部、又は全部を備えていなくてもよい。
【0073】
〇車載電力変換装置10,11は、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとの間で、絶縁型DC/DCコンバータ部40a,40b以外の構成の絶縁型DC/DCコンバータ部を備えていてもよい。例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部は、スイッチング素子Q11a~Q14a,Q11b~Q14bによるフルブリッジ構成に代えて、ハーフブリッジとコンデンサとの構成により実現されてもよい。
【0074】
○スイッチング素子Q11a~Q14a、スイッチング素子Q21a~Q24a、及びスイッチング素子Q31~Q34は、IGBTに限られず、任意であり、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)でもよい。
【0075】
〇車載電力変換装置10,11は、100V以外の電力を生成するものであってもよい。また、各インバータ回路30が生成する交流電源の電圧は、一致していなくてもよい。例えば、第1線LN1と第2線LN2の間を100V、第3線LN3と第4線LN4を200Vの電力を生成するものであってもよい。
【0076】
○車載電力変換装置10,11は、インバータ20やインバータ21に代えて、インバータ22を備えていてもよい。
図10に示すように、インバータ23は、一つの絶縁型DC/DCコンバータ部40のみ、及び一つの平滑コンデンサ50のみを備える。以下、インバータ23が、絶縁型DC/DCコンバータ部40aを備えつつ、かつ平滑コンデンサ50aを備えるものであって、絶縁型DC/DCコンバータ部40b、及び平滑コンデンサ50bを備えないものとする。この場合、スイッチング素子Q21b,Q23bのコレクタは、第1出力端子p11aと、平滑コンデンサ50aの一端とに接続されている。スイッチング素子Q22b,Q24bのエミッタは、第2出力端子p21aと、平滑コンデンサ50aの他端とに接続されている。これにより、絶縁型DC/DCコンバータ部40a,40b、及び平滑コンデンサ50a,50bを共通化しつつ、フルブリッジ型インバータ部60a,60bが並列に接続され、出力が2系統になる。かかる構成によれば、車載電力変換装置10,11は、絶縁型DC/DCコンバータ部40と平滑コンデンサ50とを共通化することでコスト削減が実現できる。
【0077】
〇上述した構成、及び接続を有していれば、車載電力変換装置10,11は、第1出力端子p11a,p11b,p12a,p12b、第2出力端子p21a,p21b,p22a,p22b、第1端子t21a,t21b、第2端子t22a,t22b、第1端子t1、第2端子t2、及び第3端子t3を用いずに接続されていてもよい。
【0078】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[態様1]車載電力変換装置であって、車両に搭載され、電源から出力された電力を変換するインバータと、前記インバータを制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第1インバータ回路、及び前記電源から出力された電力を変換しつつ単相二線式交流電力を出力する第2インバータ回路と、を備え、前記第1インバータ回路は、前記車両の車室内に設けられた一以上の車室内給電口に電力を供給して、前記第2インバータ回路は、前記車両の車室外に設けられた一以上の車室外給電口に電力を供給して、前記制御部は、前記車両の走行状態に基づいて、前記車両が走行状態であると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限する。
【0079】
[態様2]前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力供給の有無に更に基づいて、前記負荷への電力供給がないと判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限しつつ、前記負荷への電力供給があると判定した場合、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を継続する、[態様1]に記載の車載電力変換装置。
【0080】
[態様3]前記制御部は、前記車室外給電口に接続された負荷への電力の供給状態に更に基づいて、前記負荷に供給される電力の大きさに応じて、前記車室外給電口のうち、少なくとも一つの前記車室外給電口への電力の供給を停止、又は制限する、[態様1]、又は[態様2]に記載の車載電力変換装置。
【0081】
[態様4]前記電源は、一つであり、前記第1インバータ回路と、前記第2インバータ回路とは、前記電源に対して互いに並列に接続される、[態様1]から[態様3]のうち、いずれか一つに記載の車載電力変換装置。
【符号の説明】
【0082】
CN1,CN1-1,CN1-2…車室内給電口、CN2,CN2-1,CN2-2…車室外給電口、CN3…単相三線式給電口、CP…接続点、D11a,D12a,D13a,D14a,D31a,D32a,D33a,D34a,D11b,D12b,D13b,D14b,D31b,D32b,D33b,D34b…還流ダイオード、D21a,D22a,D23a,D24a,D21b,D22b,D23b,D24b…ダイオード、LN1,LN11…第1線、LN2,LN21…第2線、LN3,LN31…第3線、LN4…第4線、M…車両、M1a…一次側コイル、M2a…二次側コイル、p11a,p11b,p12a,p12b…第1出力端子、p21a,p21b,p22a,p22b…第2出力端子、PW,PW1,PW2…電源、Q11a,Q12a,Q13a,Q14a,Q21a,Q22a,Q23a,Q24a,Q11b,Q12b,Q13b,Q14b,Q21b,Q22b,Q23b,Q24b…スイッチング素子、SW1…第1切替器、SW2…第2切替器、SW3…第3切替器、SW4…第4切替器、t1,t21,t21a,t21b…第1端子、t2,t22,t22a,t22b…第2端子、t3…第3端子、TRa…絶縁トランス、10,11…車載電力変換装置、20,21,22,23…インバータ、30…インバータ回路、30a,31a…第1インバータ回路、30b,31b…第2インバータ回路、40a,40b…絶縁型DC/DCコンバータ部、50a,50b…平滑コンデンサ、60a,60b…フルブリッジ型インバータ部、71a,71b,72a,72b…出力インダクタ、80…分電盤、100…制御部。
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