(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173386
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
H02M 7/48 20070101AFI20241205BHJP
【FI】
H02M7/48 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091764
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】岡部 和也
(72)【発明者】
【氏名】森川 真人
(72)【発明者】
【氏名】市古 雅寛
(72)【発明者】
【氏名】竹内 崇
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770CA01
5H770CA06
5H770DA01
5H770DA02
5H770DA24
5H770DA41
5H770HA03W
5H770HA06W
5H770HA06X
5H770JA17Y
5H770LA00W
5H770LA04W
5H770LA04X
5H770LA05X
5H770LB07
5H770LB09
(57)【要約】
【課題】インバータ回路に異常が発生した場合であっても、単相三線式交流電力の出力を停止しつつ、一部の単相二線式交流電力の出力を継続することができる電力変換装置を提供すること。
【解決手段】電力変換装置10は、インバータ20と、異常検出部と、単相三線式交流電力を供給する第1給電口CN1、及び単相二線式交流電力の第1相交流電力を供給する第2給電口CN2、及び単相二線式交流電力の第2相交流電力を供給する第3給電口CN3にインバータ20が出力する電力を分電する分電盤80と、インバータ20、及び分電盤80を制御する制御部100と、を備える。制御部100は、異常検出部の検出結果に基づいて、第1インバータ回路、及び第2インバータ回路のうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路を停止しつつ、第1切替器を未接続状態に切り替える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源から出力された電力を単相三線式交流電力、及び単相二線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した前記単相三線式交流電力を出力しつつ、前記第1端子と前記中性点端子との間から前記単相二線式交流電力の第1相交流電力を出力し、前記中性点端子と前記第2端子との間から前記単相二線式交流電力の第2相交流電力を出力するインバータと、
前記インバータの異常を検出する異常検出部と、
前記単相三線式交流電力を供給する第1給電口、前記第1相交流電力を供給する第2給電口、及び前記第2相交流電力を供給する第3給電口に前記インバータが出力する電力を分電する分電盤と、
前記インバータ、及び前記分電盤を制御する制御部と、を備え、
前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路と、を備え、
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせ、
前記第1インバータ回路の第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、
前記第2インバータ回路の第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、
前記第1インバータ回路の第2出力端子と、前記第2インバータ回路の第1出力端子とは、接続点において接続されており、
前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されており、
前記分電盤は、前記第1端子、及び前記第2端子と、前記第1給電口との接続状態を切り替える第1切替器と、前記第1端子、及び前記中性点端子と、前記第2給電口との接続状態を切り替える第2切替器と、前記中性点端子、及び第2端子と、前記第3給電口との接続状態とを切り替える第3切替器とを備え、
前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路を停止しつつ、前記第1切替器を未接続状態に切り替える、
電力変換装置。
【請求項2】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、
前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させる
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記絶縁型DC/DCコンバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させる
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、
前記異常検出部は、前記平滑コンデンサの両端に生じる電圧を検出する電圧検出部により実現され、
前記制御部は、前記電圧検出部の検出結果が所定の電圧値よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、
前記異常検出部は、前記平滑コンデンサ、及び/又は前記フルブリッジ型インバータ部を構成する素子の温度を検出する温度検出部により実現され、
前記制御部は、前記温度検出部の検出結果が所定の温度よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定する、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、
前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、
前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、
前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、
前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項8】
出力インダクタを更に備え、
前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられる、
請求項1に記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、直流電源から単相三線交流を生成する単相三線式インバータに関する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
図8は、従来技術の単相三線式インバータの一例を示す回路図である。
図8に示すように、従来技術の単相三線式インバータX1は、絶縁型DC/DCコンバータ部X10と、平滑コンデンサC1,C2と、フルブリッジ型インバータ部X20と、出力インダクタL1~L3とを備える。絶縁型DC/DCコンバータ部X10は、電源PWから出力された直流電力を変換する。平滑コンデンサC1,C2は、絶縁型DC/DCコンバータ部X10により変換された直流電力を平滑化する。フルブリッジ型インバータ部X20は、スイッチング素子A1~A4を備えており、これらを適宜スイッチング制御することによって、交流電力を出力する。
【0005】
具体的には、スイッチング素子A1と、スイッチング素子A2との接続点には、単相三線式の第1線が接続されている。絶縁トランスの中性点と、平滑コンデンサC1と平滑コンデンサC2との接続点には、単相三線式の中性線としての第2線が接続されている。スイッチング素子A3と、スイッチング素子A4との接続点には、第3線が接続されている。出力インダクタL1~L3は、それぞれ第1線~第3線に設けられ、フルブリッジ型インバータ部X20が出力する交流電力を正弦波にする。
【0006】
従来技術の単相三線式インバータX1には、第2線を中性線として第1線と第3線との間に生じる交流電力を負荷に供給する第1給電口CN1、第1線と第2線との間に生じる交流電力を負荷に供給する第2給電口CN2、及び第2線と第3線との間に生じる交流電力を負荷に供給する第3給電口CN3が接続されている。ここで、
図8に示すように、フルブリッジ型インバータ部X20が備えるスイッチング素子の一部(この一例では、スイッチング素子A1)が短絡故障した場合、動作を止める必要が生じる。フルブリッジ型インバータ部X20が停止すると、当然ながら単相三線式インバータX1は、いずれの給電口からも交流電力を出力することができない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する電力変換装置は、電源から出力された電力を単相三線式交流電力、及び単相二線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した前記単相三線式交流電力を出力しつつ、前記第1端子と前記中性点端子との間から前記単相二線式交流電力の第1相交流電力を出力し、前記中性点端子と前記第2端子との間から前記単相二線式交流電力の第2相交流電力を出力するインバータと、前記インバータの異常を検出する異常検出部と、前記単相三線式交流電力を供給する第1給電口、前記第1相交流電力を供給する第2給電口、及び前記第2相交流電力を供給する第3給電口に前記インバータが出力する電力を分電する分電盤と、前記インバータ、及び前記分電盤を制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路と、を備え、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせ、前記第1インバータ回路の第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、前記第2インバータ回路の第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、前記第1インバータ回路の第2出力端子と、前記第2インバータ回路の第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されており、前記分電盤は、前記第1端子、及び前記第2端子と、前記第1給電口との接続状態を切り替える第1切替器と、前記第1端子、及び前記中性点端子と、前記第2給電口との接続状態を切り替える第2切替器と、前記中性点端子、及び第2端子と、前記第3給電口との接続状態とを切り替える第3切替器とを備え、前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路を停止しつつ、前記第1切替器を未接続状態に切り替える、ことを特徴とする。
【0008】
かかる構成によれば、電力変換装置は、インバータ回路に異常が発生した場合であっても、単相三線式交流電力の出力を停止しつつ、一部の単相二線式交流電力の出力を継続することができる。
【0009】
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させてもよい。
【0010】
かかる構成によれば、電力変換装置は、異常が検出されたインバータ回路から適切ではない単相二線式交流電力が出力されることを抑制することができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記絶縁型DC/DCコンバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させてもよい。
【0011】
かかる構成によれば、電力変換装置は、異常が検出されたインバータ回路が備える絶縁型DC/DCコンバータ部のスイッチング損失を抑制することができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記異常検出部は、前記平滑コンデンサの両端に生じる電圧を検出する電圧検出部により実現され、前記制御部は、前記電圧検出部の検出結果が所定の電圧値よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定してもよい。
【0012】
かかる構成によれば、電力変換装置は、電圧検出部の検出結果に基づいて、インバータ回路に異常が発生したか否かを判定することができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記異常検出部は、前記平滑コンデンサ、及び/又は前記フルブリッジ型インバータ部を構成する素子の温度を検出する温度検出部により実現され、前記制御部は、前記温度検出部の検出結果が所定の温度よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、電力変換装置は、温度検出部の検出結果に基づいて、インバータ回路に異常が発生したか否かを判定することができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられていてもよい。
【0014】
かかる構成によれば、電力変換装置は、電力変換装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられていてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、電力変換装置に還流する交流電力を正弦波にすることができる。
上記目的を達成する電力変換装置において、出力インダクタを更に備え、前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられていてもよい。
【0016】
かかる構成によれば、部品を共通化しつつ、電力変換装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、インバータ回路に異常が発生した場合であっても、単相三線式交流電力の出力を停止しつつ、一部の単相二線式交流電力の出力を継続することができる電力変換装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、電力変換装置10の構成の説明に用いられる図である。
【
図2】
図2は、インバータ20、及び分電盤80の構成の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、制御部100の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、制御後の分電盤80の説明に用いられる図である。
【
図5】
図5は、インバータ21の構成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、インバータ22の説明に用いられる図である。
【
図7】
図7は、絶縁型DC/DCコンバータ部41の構成の他の例を示す図である。
【
図8】
図8は、従来技術の単相三線式インバータの説明に用いられる図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<実施形態>
以下、図面を参照して電力変換装置を具体化した実施形態について説明する。
[全体構成]
図1に示すように、電力変換装置10には、電力変換装置10に直流電力を供給する電源PWと、第1給電口CN1と、第2給電口CN2と、第3給電口CN3が接続されている。電源PWは、例えば車両のバッテリである。電力変換装置10は、車両のバッテリから商用交流を出力する装置であって、例えば、車載の機器であってもよいし、車両とは別体の持ち運び可能な機器であってもよい。第1給電口CN1は、電力変換装置10が出力する単相三線式交流電力が供給される給電口であって、例えば、単相三線用アウトレットにより実現される。第2給電口CN2,第3給電口CN3は、電力変換装置10が出力する単相二線式交流電力が供給される給電口であって、例えば、単相二線式用アウトレットにより実現される。
【0020】
電力変換装置10は、単相三線式の第1線LN1、第2線LN2、及び第3線LN3のうち、第1線LN1と、第2線LN2との間、及び第2線LN2と、第3線LN3との間のそれぞれに電圧が100Vの単相二線式交流電力を生じさせるものとする。また、電力変換装置10は、第1線LN1と、第3線LN3との間に電圧が200Vの単相三線式交流電力を生じさせる。以降の説明において、第1線LN1と、第2線LN2との間に生じる単相二線式交流電力を、「第1相交流電力」とも記載する。また、第2線LN2と、第3線LN3との間に生じる単相二線式交流電力を、「第2相交流電力」とも記載する。
【0021】
電力変換装置10は、インバータ20と、分電盤80と、制御部100とを備える。制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。また、これらの構成要素のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め電力変換装置10が備えるHDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリなどの非一過性の記憶媒体を備える記憶装置(不図示)に格納されていてもよい。記憶装置は、例えば、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてもよい。制御部100は、インバータ20が単相三線式交流電力を出力するように、インバータ20を適宜制御する。
【0022】
[インバータ20の構成]
図2に示すように、インバータ20は、例えば、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bと、第1端子t21と、中性点端子t22と、第2端子t23とを備える。第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとは、基本的には同様の構成を備える。以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成には、符号の末尾に「a」を付し、第2インバータ回路30bが備える構成には、符号の末尾に「b」を付して説明する。以下、第1インバータ回路30aの構成の詳細について説明する。第2インバータ回路30bの構成については、以下の第1インバータ回路30aの説明中の符号の末尾に付された「a」を「b」に読み替えればよい。また、以降の説明において、第1インバータ回路30aが備える構成と、第2インバータ回路30bが備える構成とを互いに区別しない場合は、符号の末尾の「a」、及び「b」を省略する。また、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bを互いに区別しない場合には、単にインバータ回路30と記載する。
【0023】
第1インバータ回路30aは、例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部40aと、平滑コンデンサ50aと、フルブリッジ型インバータ部60aと、出力インダクタ71aと、電圧検出部SNaと、温度検出部STaとを備える。
【0024】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11aと、スイッチング素子Q12aと、スイッチング素子Q13aと、スイッチング素子Q14aと、還流ダイオードD11aと、還流ダイオードD12aと、還流ダイオードD13aと、還流ダイオードD14aと、絶縁トランスTRaと、ダイオードD21aと、ダイオードD22aと、ダイオードD23aと、ダイオードD24aと、第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとを備える。絶縁トランスTRaは、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとを備える。絶縁トランスTRaにおいて、一次側コイルM1aと、二次側コイルM2aとは、絶縁されている。
【0025】
スイッチング素子Q11a~Q14aと、還流ダイオードD11a~D14aとは、例えば、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q11a~Q14aは、それぞれ、還流ダイオードD11a~D14aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q11aには、還流ダイオードD11aが接続されており、スイッチング素子Q12aには、還流ダイオードD12aが接続されており、スイッチング素子Q13aには、還流ダイオードD13aが接続されており、スイッチング素子Q14aには、還流ダイオードD14aが接続されている。還流ダイオードD11a~D14aのカソードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD11a~D14aのアノードは、対応するスイッチング素子Q11a~Q14aのエミッタに接続されている。
【0026】
スイッチング素子Q11a,Q12aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの一端が接続されている。スイッチング素子Q13a,Q14aは、接続線を介して互いに接続されている。接続線には、一次側コイルM1aの他端が接続されている。スイッチング素子Q11a,Q13aのコレクタは、電源PWの高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q12a,Q14aのエミッタは、電源PWの低圧側である負極端子に接続されている。これにより、スイッチング素子Q11a~Q14aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。
【0027】
ダイオードD21a,D23aのカソードは、第1出力端子p11aに接続されている。ダイオードD22a,D24aのアノードは、第2出力端子p21aに接続されている。ダイオードD21aのアノードと、ダイオードD22aのカソードと、二次側コイルM2aの一端とは、接続されている。ダイオードD23aのアノードと、ダイオードD24aのカソードと、二次側コイルM2aの他端とは、接続されている。これにより、ダイオードD21a~D24aは、ダイオードブリッジを構成することで、交流を直流に整流する。
【0028】
絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、スイッチング素子Q11a~Q14aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、絶縁型DC/DCコンバータ部40aは、電源PWが出力する直流電力を変換し、変換した直流電力を第1出力端子p11aと、第2出力端子p21aとの間に生じさせる。
【0029】
平滑コンデンサ50aは、一端が第1出力端子p11aに接続され、他端が第2出力端子p21aに接続されている。平滑コンデンサ50aは、絶縁型DC/DCコンバータ部40aが変換した直流電力を平滑する。電圧検出部SNaは、平滑コンデンサ50aの両端に生じる電圧を検出し、検出結果を示す情報を制御部100に出力する。実施形態において、電圧検出部SNは、「異常検出部」の一例である。
【0030】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21aと、スイッチング素子Q22aと、スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aと、還流ダイオードD31aと、還流ダイオードD32aと、還流ダイオードD33aと、還流ダイオードD34aと、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとを備える。
【0031】
スイッチング素子Q21a~Q24aと、還流ダイオードD31a~D34aとは、例えば、IGBT等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q21a~Q24aは、それぞれ、還流ダイオードD31a~D34aが接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q21aには、還流ダイオードD31aが接続されており、スイッチング素子Q22aには、還流ダイオードD32aが接続されており、スイッチング素子Q23aには、還流ダイオードD33aが接続されており、スイッチング素子Q24aには、還流ダイオードD34aが接続されている。還流ダイオードD31a~D34aのカソードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのコレクタに接続されており、還流ダイオードD31a~D34aのアノードは、対応するスイッチング素子Q21a~Q24aのエミッタに接続されている。
【0032】
スイッチング素子Q21a,Q22aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q23a,Q24aは、接続線を介して互いに直列に接続されている。スイッチング素子Q21a,Q23aのコレクタは、第1出力端子p11aと、平滑コンデンサ50aの一端とに接続されている。スイッチング素子Q22a,Q24aのエミッタは、第2出力端子p21aと、平滑コンデンサ50aの他端とに接続されている。
【0033】
スイッチング素子Q21aとスイッチング素子Q22aとを接続する接続線には、フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aが接続されている。スイッチング素子Q23aと、スイッチング素子Q24aとを接続する接続線には、フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aが接続されている。これにより、スイッチング素子Q21a~Q24aは、フルブリッジ型のインバータを構成する。温度検出部STaは、平滑コンデンサ50a、及び/又はフルブリッジ型インバータ部60aを構成する素子の温度を検出し、検出結果を示す温度情報を制御部100に出力する。温度検出部STaは、例えば、サーミスタである。温度検出部STaは、例えば、平滑コンデンサ50aの温度を検出可能な位置、及び/又はスイッチング素子Q21a~Q24aのそれぞれの温度を検出可能な位置に設けられる。温度を検出可能な位置とは、平滑コンデンサ50aの表面や、スイッチング素子Q21a~Q24aの表面である。実施形態において、温度検出部STは、「異常検出部」の一例である。
【0034】
フルブリッジ型インバータ部60aは、スイッチング素子Q21a~Q24aが制御部100の制御に基づいて、適宜スイッチング制御される。これにより、フルブリッジ型インバータ部60aは、平滑コンデンサ50aの両端に生じる直流電力を変換し、変換した交流電力を第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に生じさせる。
【0035】
フルブリッジ型インバータ部60aの第1出力端子p12aと、出力インダクタ71aの一端とは、接続されており、出力インダクタ71aの他端と、第1端子t21とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60aの第2出力端子p22aと、フルブリッジ型インバータ部60bの第1出力端子p12bとは、接続点CPにおいて接続されている。接続点CPと、中性点端子t22とは、接続されている。フルブリッジ型インバータ部60bの第2出力端子p22bと、出力インダクタ71bの一端とは、接続されており、出力インダクタ71bの他端と、第2端子t23とは、接続されている。第1端子t21は、第1線LN1に接続されており、中性点端子t22は、第2線LN2に接続されており、第2端子t23は、第3線LN3に接続されている。つまり、第2線LN2は、中性線である。これにより、出力インダクタ71a,71bは、フルブリッジ型インバータ部60a,60bが出力する交流電力を正弦波にする。
【0036】
また、フルブリッジ型インバータ部60aは、第1出力端子p12aと、第2出力端子p22aとの間に、第1相交流電力を生じさせるともいえる。また、フルブリッジ型インバータ部60bは、第1出力端子p12bと、第2出力端子p22bとの間に、第2相交流電力を生じさせるともいえる。制御部100は、フルブリッジ型インバータ部60a,60bを制御して、第1相交流電力と第2相交流電力との位相を操作することにより、第1線LN1~第3線LN3に単相三線式交流を出力する。なお、フルブリッジ型インバータ部60aの制御信号とフルブリッジ型インバータ部60bの制御信号とは、独立している。
【0037】
[分電盤80の構成]
分電盤80は、例えば、第1切替器SW1と、第2切替器SW2と、第3切替器SW3とを備える。第1切替器SW1、第2切替器SW2、及び第3切替器SW3は、制御部100の制御に基づいて開閉することで、接続状態を切り替える。
【0038】
第1切替器SW1は、第1給電口CN1と、インバータ20との接続状態を切り替える。第2切替器SW2は、第2給電口CN2と、第1インバータ回路30aとの接続状態を切り替える。第3切替器SW3は、第3給電口CN3と、第2インバータ回路30bとの接続状態を切り替える。
【0039】
第1切替器SW1、第2切替器SW2、及び第3切替器SW3は、例えば、二極単投型のスイッチにより実現される。第1切替器SW1の一方の接点は、第1線LN1に設けられており、第1端子t21と、第1給電口CN1との接続状態を切り替える。第1切替器SW1の他方の接点は、第3線LN3設けられており、第2端子t23と第1給電口CN1との接続状態を切り替える。第2切替器SW2の一方の接点は、第1線LN1に設けられており、第1端子t21と、第2給電口CN2との接続状態を切り替える。第2切替器SW2の他方の接点は、第2線LN2に設けられており、中性点端子t22と、第2給電口CN2との接続状態を切り替える。第3切替器SW3の一方の接点は、第2線LN2に設けられており、中性点端子t22と、第3給電口CN3との接続状態を切り替える。第3切替器SW3の他方の接点は、第3線LN3に設けられており、第2端子t23と、第3給電口CN3との接続状態を切り替える。
【0040】
[制御部100の処理]
図3に示すように、まず、制御部100は、異常検出部から検出結果を示す情報を取得する(ステップS100)。具体的には、制御部100は、電圧検出部SNaから平滑コンデンサ50aの両端に生じる電圧の値を示す情報を取得しつつ、電圧検出部SNbから平滑コンデンサ50bの両端に生じる電圧の値を示す情報を取得する。制御部100は、検出結果を示す情報に基づいて、第1インバータ回路30a、又は第2インバータ回路30bに異常が検出されたか否かを判定する(ステップS102)。制御部100は、例えば、検出結果が所定の電圧未満の値を示す場合、インバータ回路30に異常が検出されたと判定する。
【0041】
制御部100は、インバータ回路30に異常が検出されたと判定しない場合、処理を終了する。制御部100は、インバータ回路30に異常が検出されたと判定した場合、異常が検出されたと判定したインバータ回路30を停止する(ステップS104)。制御部100は、例えば、異常が検出されたと判定したインバータ回路30が備えるフルブリッジ型インバータ部60のスイッチング素子Q21~Q24のスイッチング制御を停止することにより、当該インバータ回路30による単相二線式交流電力の供給を停止する。
【0042】
次に、制御部100は、第1切替器SW1を開状態に制御しつつ、異常が検出されたと判定したインバータ回路30と、第1給電口CN1とを未接続状態に切り替える(ステップS106)。次に、制御部100は、第2給電口CN2と第3給電口CN3とのうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路30に対応する第2切替器SW2、又は第3切替器SW3を開状態に制御することによって、インバータ20と第2給電口CN2、又は第3給電口CN3とを未接続状態に切り替える(ステップS108)。
【0043】
図4に示す一例では、電力変換装置10には、第1インバータ回路30aが備えるフルブリッジ型インバータ部60aのスイッチング素子Q21aに短絡故障が発生している。制御部100は、例えば、第1インバータ回路30aに異常が検出されたと判定し、ステップS106,S108において第1切替器SW1と、第2切替器SW2とを開状態に制御し、第1給電口CN1、及び第2給電口CN2と、第1インバータ回路30aとを未接続状態にする。同様に、制御部100は、スイッチング素子Q21bに短絡故障が発生した場合には、第2インバータ回路30bに異常が検出されたと判定し、第1切替器SW1と、第3切替器SW3とを開状態に制御し、第1給電口CN1、及び第3給電口CN3と、第2インバータ回路30bとを未接続状態にする。
【0044】
[実施形態の作用]
電力変換装置10は、第1切替器SW1を開状態に制御しつつ、インバータ20と、第1給電口CN1とを未接続状態に切り替えることで、異常が検出されていないインバータ回路30からの単相二線式交流電力のみが第1給電口CN1に供給されることを抑制する。また、電力変換装置10は、異常が検出されたと判定されていないインバータ回路30に接続されている、第2給電口CN2に対応した第2切替器SW2、又は第3給電口CN3に対応した第3切替器SW3を閉状態に制御したままにする。これにより、電力変換装置10は、異常が検出されていないインバータ回路30からのみ単相二線式交流電力の供給を受ける、第2給電口CN2、又は第3給電口CN3に対して、単相二線式交流電力の供給を継続する。
【0045】
[実施形態の効果]
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)電力変換装置10は、インバータ20と、異常検出部としての電圧検出部SNと、分電盤80と、制御部100とを備える。インバータ20は、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとを備える。分電盤80は、第1切替器SW1と、第2切替器SW2と、第3切替器SW3とを備える。第1切替器SW1は、制御部100の制御に基づいて、第1端子t21、及び第2端子t23と、第1給電口CN1との接続状態を切り替える。第2切替器SW2は、制御部100の制御に基づいて、第1端子t21、及び中性点端子t22と、第2給電口CN2との接続状態を切り替える。第3切替器SW3は、制御部100の制御に基づいて、中性点端子t22、及び第2端子t23と、第3給電口CN3との接続状態とを切り替える。制御部100は、異常検出部としての電圧検出部SNの検出結果に基づいて、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bのうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路30を停止しつつ、第1切替器SW1を未接続状態に切り替える。
【0046】
かかる構成によれば、電力変換装置10は、インバータ回路30に異常が発生した場合に、第1給電口CN1に対して単相三線式交流電力の出力を停止することができる。また、電力変換装置10は、異常が検出されたと判定されていないインバータ回路30に、対応する第2給電口CN2、又は第3給電口CN3に対して単相二線式交流電力の出力を継続させることができる。また、電力変換装置10は、単に異常が発生したインバータ回路30を停止させるだけではなく、第1切替器SW1を未接続状態に切り替えている。このため、電力変換装置10は、異常が検出されたと判定されていないインバータ回路30に対応する第1端子t21、又は第2端子t23と、第1給電口CN1との接続を遮断する。したがって、電力変換装置10は、異常が検出されたと判定されていないインバータ回路30から第1給電口CN1への単相二線交流の電力供給も停止させることで、第1給電口CN1に接続される機器に対して不要・不適切な電力供給を防ぐこともできる。また、電力変換装置10は、電圧検出部SNの検出結果に基づいて、インバータ回路30に異常が発生したか否かを判定することができる。
【0047】
(2)電力変換装置10は、第1インバータ回路30aは、電源PWから出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部40aと、絶縁型DC/DCコンバータ部40aが出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサ50aと、平滑コンデンサ50aの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子p12aと第2出力端子p22aとの間に単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部60aと、を備える。第2インバータ回路30bは、電源PWから出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部40bと、絶縁型DC/DCコンバータ部40bが出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサ50bと、平滑コンデンサ50bの両端に生じる直流電力を変換することで、第1出力端子p12bと第2出力端子p22bとの間に単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部60bと、を備える。電力変換装置10は、異常検出部の検出結果に基づいて、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bのうち、異常が検出されたインバータ回路30が備えるフルブリッジ型インバータ部60を停止させることによって、異常が検出されたインバータ回路30を停止させる。
【0048】
かかる構成によれば、電力変換装置10は、異常が検出されたインバータ回路30から適切ではない単相二線式交流電力が出力されることを抑制することができる。
[変形例]
実施形態は、以下のように変更して実施することができる。実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。以降の変形例の説明において、上述した実施形態と同様の構成には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0049】
○制御部100は、ステップS104の処理において、異常が検出されたと判定したインバータ回路30が備える絶縁型DC/DCコンバータ部40を更に停止させてもよい。具体的には、制御部100は、例えば、異常が検出されたと判定したインバータ回路30が備える絶縁型DC/DCコンバータ部40のスイッチング素子Q11~Q14のスイッチング制御を更に停止する。かかる構成によれば、電力変換装置10は、異常が検出されたインバータ回路30が備える絶縁型DC/DCコンバータ部40のスイッチング損失を抑制することができる。
【0050】
○なお、制御部100は、電圧検出部SNの検出結果に代えて、温度検出部STの検出結果に基づいて、インバータ回路30に異常が発生したか否かを判定してもよい。この場合、制御部100は、ステップS100の処理において、温度検出部STaから平滑コンデンサ50a、及び/又はフルブリッジ型インバータ部60aを構成する素子の温度の値を示す情報を取得する。また、制御部100は、ステップS100の処理において、温度検出部STbから平滑コンデンサ50b、及び/又はフルブリッジ型インバータ部60bを構成する素子の温度の値を示す情報を取得する。制御部100は、ステップS102の処理において、温度検出部STの検出結果が所定の温度以上の値を示す場合、インバータ回路30に異常が検出されたと判定する。かかる構成によれば、電力変換装置10は、温度検出部STの検出結果に基づいて、インバータ回路30に異常が発生したか否かを判定することができる。
【0051】
○温度検出部STは、平滑コンデンサ50やフルブリッジ型インバータ部60を構成する素子の温度を直接検出するものに限られない。温度検出部STは、例えば、平滑コンデンサ50やフルブリッジ型インバータ部60を構成する素子の放熱経路の温度や、冷却のための冷媒の下流温度を測定し、間接的に温度を推定して検出結果としてもよい。
【0052】
○上述した実施形態のフルブリッジ型インバータ部60a,60bは、第2出力端子p22a、及び第1出力端子p12b側に出力インダクタを備えていてもよい。
図5に示すように、変形例のインバータ21は、第1インバータ回路30aに代えて、第1インバータ回路31aを備え、第2インバータ回路30bに代えて、第2インバータ回路31bを備える。第1インバータ回路31aは、第1インバータ回路30aが備える構成に加えて、出力インダクタ72aを備える。また、第2インバータ回路31bは、第2インバータ回路30bが備える構成に加えて、出力インダクタ72bを備える。第1インバータ回路31aにかかる出力インダクタ72a以外の構成、及び接続は、上述した第1インバータ回路30aと同様であるため、説明を省略する。また、第2インバータ回路31bにかかる出力インダクタ72b以外の構成、及び接続は、上述した第2インバータ回路30bと同様であるため、説明を省略する。
【0053】
変形例において、第2出力端子p22aと、出力インダクタ72aの一端とが接続され、出力インダクタ72aの他端と、接続点CPとが接続されている。また、第1出力端子p12bと、出力インダクタ72bの一端とが接続され、出力インダクタ72bの他端と、接続点CPとが接続されている。かかる構成によれば、電力変換装置10は、自装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
【0054】
また、実施形態のフルブリッジ型インバータ部60a,60bは、第2出力端子p22a、及び第1出力端子p12a側の共通する部分に出力インダクタを備えていてもよい。
図6に示すように、変形例のインバータ22は、インバータ20が備える構成に加えて、出力インダクタ73を備える。インバータ22にかかる出力インダクタ73以外の構成、及び接続は、上述したインバータ20と同様であるため、説明を省略する。出力インダクタ73の一端は、接続点CPに接続され、他端は、中性点端子t22に接続されている。かかる構成によれば、電力変換装置10は、自装置が生成する交流電力を正弦波にすることができる。
【0055】
○電力変換装置10は、電力変換装置10の回路配線の寄生インダクタンスや電力変換装置10に接続されている機器が有するインダクタンスにより、電力変換装置10が出力する交流電力を正弦波にできれば、出力インダクタ71a,71b,72a,72b,73の一部、又は全部を備えていなくてもよい。電力変換装置10は、負荷に対して、商用交流のような正弦波ではなく、疑似正弦波や、矩形波の出力する装置である場合には、出力インダクタ71a,71b,72a,72b,73を備えていなくてもよい。
【0056】
○電力変換装置10は、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとの間で、中性点を分離できれば、絶縁型DC/DCコンバータ部40a,40b以外の構成により実現された絶縁型DC/DCコンバータ部を備えていてもよい。例えば、絶縁型DC/DCコンバータ部は、スイッチング素子Q11a~Q14a,Q11b~Q14bによるフルブリッジ構成に代えて、ハーフブリッジとコンデンサとの構成により実現されてもよい。
【0057】
○電力変換装置10は、
図3におけるステップS108を省略してもよい。電力変換装置10は、異常が発生したインバータ回路30を停止させることにより、異常が発生したインバータ回路30に対応する第2給電口CN2、又は第3給電口CN3の一方に電力供給を停止する。
【0058】
○電力変換装置10に接続されている第1給電口CN1、第2給電口CN2、及び第3給電口CN3は、一つに限られず、それぞれが複数接続されていてもよい。
○第1切替器SW1は、第1線LN11、第2線LN21、及び第3線LN31の各線に接点を有する三極単投型スイッチであってもよく、各線に切替スイッチが設けられている構造でもよい。
【0059】
○上述した実施形態では、インバータ20において、第1インバータ回路30aと、第2インバータ回路30bとが、それぞれ一次側回路を備える場合について説明したが、これに限られない。以下、インバータ23が、一次側回路共通の絶縁型DC/DCコンバータ部41を備える場合について説明する。
【0060】
図7に示すように、インバータ23は、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bに変えて、インバータ回路32を備える。インバータ回路32は、絶縁型DC/DCコンバータ部41と、平滑コンデンサ50aと、平滑コンデンサ50bと、フルブリッジ型インバータ部60aと、フルブリッジ型インバータ部60bと、出力インダクタ71aと、出力インダクタ71bと、第1端子t21と、中性点端子t22と、第2端子t23とを備える。インバータ回路32が備える構成のうち、第1インバータ回路30a、及び第2インバータ回路30bが備える構成と同様のものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
【0061】
絶縁型DC/DCコンバータ部41は、スイッチング素子Q31と、スイッチング素子Q32と、スイッチング素子Q33と、スイッチング素子Q34と、還流ダイオードD41と、還流ダイオードD42と、還流ダイオードD43と、還流ダイオードD44と、絶縁トランスTRcと、ダイオードD21a~ダイオードD24aと、ダイオードD21b~ダイオードD24bと、第1出力端子p11a,p11bと、第2出力端子p21a,p21bとを備える。絶縁トランスTRcは、一次側コイルM3と、第1二次側コイルM4と、第2二次側コイルM5とを備える。絶縁トランスTRcにおいて、一次側コイルM3と、第1二次側コイルM4、及び第2二次側コイルM5とは、絶縁されている。
【0062】
スイッチング素子Q31~Q34と、還流ダイオードD41~D44とは、例えば、IGBT等のパワースイッチング素子により実現される。スイッチング素子Q31~Q34は、それぞれ、還流ダイオードD41~D44が接続されている。詳しくは、スイッチング素子Q31には、還流ダイオードD41が接続されており、スイッチング素子Q32には、還流ダイオードD42が接続されており、スイッチング素子Q33には、還流ダイオードD43が接続されており、スイッチング素子Q34には、還流ダイオードD44が接続されている。還流ダイオードD41~D44のカソードは、対応するスイッチング素子Q31~Q34のコレクタに接続されており、還流ダイオードD41~D44のアノードは、対応するスイッチング素子Q31~Q34のエミッタに接続されている。
【0063】
スイッチング素子Q31,Q32は、接続線を介して互いに直列に接続されている。接続線には、一次側コイルM3の一端が接続されている。スイッチング素子Q33,Q34は、接続線を介して互いに接続されている。接続線には、一次側コイルM3の他端が接続されている。スイッチング素子Q31,Q33のコレクタは、電源PWの高圧側である正極端子に接続されている。スイッチング素子Q32,Q34のエミッタは、電源PWの低圧側である負極端子に接続されている。これにより、スイッチング素子Q31~Q34は、フルブリッジを構成する。
【0064】
ダイオードD21aのアノードと、ダイオードD22aのカソードと、第1二次側コイルM4の一端とは、接続されている。ダイオードD23aのアノードと、ダイオードD24aのカソードと、第1二次側コイルM4の他端とは、接続されている。ダイオードD21bのアノードと、ダイオードD22bのカソードと、第2二次側コイルM5の一端とは、接続されている。ダイオードD23bのアノードと、ダイオードD24bのカソードと、第2二次側コイルM5の他端とは、接続されている。
【0065】
かかる構成によれば、インバータ23は、インバータ20に比して、絶縁型DC/DCコンバータ部41の一次側回路の部品点数を少なくしつつ、第1相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60aと、第2相交流電力を生成するフルブリッジ型インバータ部60bとにおいて、中性点を分離することができる。したがって、電力変換装置10は、自装置を小型化することができる。
【0066】
○スイッチング素子Q11a~Q14a、スイッチング素子Q21a~Q24a、及びスイッチング素子Q31~Q34は、IGBTに限られず、任意であり、例えば、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)でもよい。
【0067】
○なお、第1線LN1と第2線LN2との間、及び第2線LN2と第3線LN3との間に生じる電圧が合致していれば、100V以外の電力を生成するものであってもよい。
○上述した構成、及び接続を有していれば、第1出力端子p11a,p11b,p12a,p12b、第2出力端子p21a,p21b,p22a,p22b、第1端子t21、中性点端子t22、及び第2端子t23を用いずに接続されていてもよい。
【0068】
上記実施形態及び変更例から把握できる技術的思想について記載する。
[態様1]電力変換装置であって、電源から出力された電力を単相三線式交流電力、及び単相二線式交流電力に変換しつつ、第1端子と、第2端子と、中性点端子とから変換した前記単相三線式交流電力を出力しつつ、前記第1端子と前記中性点端子との間から前記単相二線式交流電力の第1相交流電力を出力し、前記中性点端子と前記第2端子との間から前記単相二線式交流電力の第2相交流電力を出力するインバータと、前記インバータの異常を検出する異常検出部と、前記単相三線式交流電力を供給する第1給電口、前記第1相交流電力を供給する第2給電口、及び前記第2相交流電力を供給する第3給電口に前記インバータが出力する電力を分電する分電盤と、前記インバータ、及び前記分電盤を制御する制御部と、を備え、前記インバータは、前記電源に対して互いに並列に接続されている第1インバータ回路、及び第2インバータ回路と、を備え、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換することで、第1出力端子と第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせ、前記第1インバータ回路の第1出力端子と、前記第1端子とは、接続されており、前記第2インバータ回路の第2出力端子と、前記第2端子とは、接続されており、前記第1インバータ回路の第2出力端子と、前記第2インバータ回路の第1出力端子とは、接続点において接続されており、前記接続点と、前記中性点端子とは、接続されており、前記分電盤は、前記第1端子、及び前記第2端子と、前記第1給電口との接続状態を切り替える第1切替器と、前記第1端子、及び前記中性点端子と、前記第2給電口との接続状態を切り替える第2切替器と、前記中性点端子、及び第2端子と、前記第3給電口との接続状態とを切り替える第3切替器とを備え、前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたと判定したインバータ回路を停止しつつ、前記第1切替器を未接続状態に切り替える。
【0069】
[態様2]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、
前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記フルブリッジ型インバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させる、[態様1]に記載の電力変換装置。
【0070】
[態様3]前記制御部は、前記異常検出部の検出結果に基づいて、前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路のうち、異常が検出されたインバータ回路が備える前記絶縁型DC/DCコンバータ部を停止させることによって、前記異常が検出されたインバータ回路を停止させる、[態様2]に記載の電力変換装置。
【0071】
[態様4]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記異常検出部は、前記平滑コンデンサの両端に生じる電圧を検出する電圧検出部により実現され、前記制御部は、前記電圧検出部の検出結果が所定の電圧値よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定する、[態様1]から[態様3]のうちいずれか一つに記載の電力変換装置。
【0072】
[態様5]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、前記電源から出力された電力を変換する絶縁型DC/DCコンバータ部と、前記絶縁型DC/DCコンバータ部が出力する直流電力を平滑する平滑コンデンサと、前記平滑コンデンサの両端に生じる直流電力を変換することで、前記第1出力端子と前記第2出力端子との間に前記単相二線式交流電力を生じさせるフルブリッジ型インバータ部と、をそれぞれ備え、前記異常検出部は、前記平滑コンデンサ、及び/又は前記フルブリッジ型インバータ部を構成する素子の温度を検出する温度検出部により実現され、前記制御部は、前記温度検出部の検出結果が所定の温度よりも高いことを示す場合、異常が検出されたと判定する、[態様1]から[態様4]のうちいずれか一つに記載の電力変換装置。
【0073】
[態様6]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第1出力端子と、前記第1端子との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第2出力端子と、前記第2端子との間に設けられる、[態様1]から[態様5]のうちいずれか一つに記載の電力変換装置。
【0074】
[態様7]前記第1インバータ回路、及び前記第2インバータ回路は、出力インダクタをそれぞれ備え、前記第1インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第1インバータ回路の前記第2出力端子と前記接続点との間に設けられており、前記第2インバータ回路が備える前記出力インダクタは、前記第2インバータ回路の前記第1出力端子と前記接続点との間とに設けられる、[態様1]から[態様6]のうちいずれか一つに記載の電力変換装置。
【0075】
[態様8]出力インダクタを更に備え、前記出力インダクタは、前記接続点と、前記中性点端子との間に設けられる、[態様1]から[態様7]のうちいずれか一つに記載の電力変換装置。
【符号の説明】
【0076】
CN1…第1給電口、CN2…第2給電口、CN3…第3給電口、CP…接続点、D11a,D12a,D13a,D14a,D31a,D32a,D33a,D34a,D11b,D12b,D13b,D14b,D31b,D32b,D33b,D34b…還流ダイオード、D21a,D22a,D23a,D24a,D21b,D22b,D23b,D24b…ダイオード、LN1…第1線、LN2…第2線、LN3…第3線、M1a,M3…一次側コイル、M2a,M4,M5…二次側コイル、p11a,p11b,p12a,p12b…第1出力端子、p21a,p21b,p22a,p22b…第2出力端子、PW…電源、Q11a,Q12a,Q13a,Q14a,Q21a,Q22a,Q23a,Q24a,Q11b,Q12b,Q13b,Q14b,Q21b,Q22b,Q23b,Q24b,Q31,Q32,Q33,Q34…スイッチング素子、SN,SNa,SNb…電圧検出部、ST,STa,STb…温度検出部、SW1…第1切替器、SW2…第2切替器、SW3…第3切替器、t21…第1端子、t22…中性点端子、t23…第2端子、TRa,TRb,TRc…絶縁トランス、10…電力変換装置、20,21,22,23…インバータ、30a,31a…第1インバータ回路、30b,31b…第2インバータ回路、30…インバータ回路、40,40a,40b,41…絶縁型DC/DCコンバータ部、50,50a,50b…平滑コンデンサ、60,60a,60b…フルブリッジ型インバータ部、71a,71b,72a,72b,73…出力インダクタ、80…分電盤、100…制御部。