(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173396
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】画像生成装置、撮影システム及び画像生成方法
(51)【国際特許分類】
G06T 1/40 20060101AFI20241205BHJP
H04N 1/387 20060101ALI20241205BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20241205BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20241205BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20241205BHJP
【FI】
G06T1/40
H04N1/387 110
G06T1/00 340
G06T11/80 A
H04N23/60 500
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091785
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002897
【氏名又は名称】大日本印刷株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100144967
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 隆之
(72)【発明者】
【氏名】根岸 成郎
【テーマコード(参考)】
5B050
5B057
5C122
【Fターム(参考)】
5B050AA10
5B050BA06
5B050BA12
5B050CA01
5B050DA04
5B050EA19
5B050FA02
5B050FA03
5B050FA05
5B057CA08
5B057CA12
5B057CA16
5B057CB08
5B057CB12
5B057CB16
5B057CD20
5B057CE08
5B057DA17
5B057DB02
5B057DC40
5C122EA42
5C122FH11
5C122FH18
5C122GA01
5C122GA23
5C122GB05
5C122HA48
5C122HB01
(57)【要約】
【課題】撮影した人物画像から、合成対象画像のタッチに合わせたイラストを作成し、合成を行い、違和感を低減した合成画像を生成する。
【解決手段】画像生成装置は、ユーザを撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、前記撮影画像から人物画像を抽出する抽出部と、キャラクターを含むテンプレートデータを格納する記憶部と、前記人物画像を前記キャラクターの画風に変換する変換部と、変換された前記人物画像と前記テンプレートデータとを合成し、合成画像を生成する合成部と、を備える。前記変換部は、アニメから切り出されたキャラクター画像を用いて学習が行われた学習済みモデルに前記人物画像を入力し、前記学習済みモデルから出力された画風変換画像を取得する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、
前記撮影画像から人物画像を抽出する抽出部と、
キャラクターを含むテンプレートデータを格納する記憶部と、
前記人物画像を前記キャラクターの画風に変換する変換部と、
変換された前記人物画像と前記テンプレートデータとを合成し、合成画像を生成する合成部と、
を備え、
前記変換部は、アニメから切り出されたキャラクター画像を用いて学習が行われた学習済みモデルに前記人物画像を入力し、前記学習済みモデルから出力された画風変換画像を取得する、画像生成装置。
【請求項2】
前記変換部は、前記ユーザの顔及び衣服の画風変換を行う、請求項1に記載の画像生成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像生成装置と、
前記ユーザを撮影する撮影部と、
前記画像生成装置から前記合成画像を取得し、前記合成画像をダウンロードするウェブサイトのURLを示すURL情報を生成し、前記画像生成装置へ前記URL情報を送信するサーバ装置と、
前記合成画像及び前記URL情報を用紙にプリントして出力するプリンタと、
を備える撮影システム。
【請求項4】
ユーザを撮影し、撮影画像を生成する工程と、
前記撮影画像から人物画像を抽出する工程と、
前記人物画像を所定のキャラクターの画風に変換する工程と、
前記キャラクターを含むテンプレートデータと、画風が変換された前記人物画像とを合成し、合成画像を生成する工程と、
を備え、
アニメから切り出されたキャラクター画像を用いて学習が行われた学習済みモデルに前記人物画像を入力し、画風を変換する、画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成装置、撮影システム及び画像生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、利用者の写真を撮影して専用印画紙やシールなどの媒体にプリントして出力する画像プリント装置(例えばプリクラ(登録商標))がゲームセンタやイベント施設等に設置されている。従来の画像プリント装置は、撮影ボックス内でポーズをとった人物をカメラで撮影し、得られた画像から背景を削除して撮影された人物のみを抜き出す処理を施し、あらかじめ画像データとして準備している背景画像やマスコットなどのキャラクター画像と、抜き出した人物画像とを合成してプリント出力する。
【0003】
人物画像とアニメのキャラクター画像とを合成する場合、実写(人物画像)とアニメ絵(キャラクター画像)とが混在するため、合成画像に違和感を持つことがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、撮影した人物画像から、合成対象画像のタッチに合わせたイラストを作成し、合成を行い、違和感を低減した合成画像を生成する、画像生成装置、撮影システム及び画像生成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像生成装置は、ユーザを撮影した撮影画像を取得する画像取得部と、前記撮影画像から人物画像を抽出する抽出部と、キャラクターを含むテンプレートデータを格納する記憶部と、前記人物画像を前記キャラクターの画風に変換する変換部と、変換された前記人物画像と前記テンプレートデータとを合成し、合成画像を生成する合成部と、を備え、前記変換部は、アニメから切り出されたキャラクター画像を用いて学習が行われた学習済みモデルに前記人物画像を入力し、前記学習済みモデルから出力された画風変換画像を取得するものである。
【0007】
本発明の撮影システムは、上記画像生成装置と、前記ユーザを撮影する撮影部と、前記画像生成装置から前記合成画像を取得し、前記合成画像をダウンロードするウェブサイトのURLを示すURL情報を生成し、前記画像生成装置へ前記URL情報を送信するサーバ装置と、前記合成画像及び前記URL情報を用紙にプリントして出力するプリンタと、を備えるものである。
【0008】
本発明の画像生成方法は、ユーザを撮影し、撮影画像を生成する工程と、前記撮影画像から人物画像を抽出する工程と、前記人物画像を所定のキャラクターの画風に変換する工程と、前記キャラクターを含むテンプレートデータと、画風が変換された前記人物画像とを合成し、合成画像を生成する工程と、を備え、アニメから切り出されたキャラクター画像を用いて学習が行われた学習済みモデルに前記人物画像を入力し、画風を変換するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、撮影した人物画像から、合成対象画像のタッチに合わせたイラストを作成し、合成を行い、違和感を低減した合成画像を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る撮影システムの概略構成図である。
【
図4】同実施形態に係る画像生成方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
【0012】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る撮影システムは、撮影装置1及びサーバ装置2を備える。撮影装置1は、アニメのキャラクター等を含むテンプレートデータを保存する。ここで、アニメとは、映像作品に限定されず、漫画等の絵を含む創作物をいう。撮影装置1は、ユーザを撮影し、撮影画像から人物(ユーザ)を抽出し、抽出した人物画像をアニメ画像風に変換(イラスト化)する。撮影装置1は、テンプレートデータのアニメと同じ画風となるように人物画像の変換を行う。
【0013】
撮影装置1は、変換後の人物画像をテンプレートデータと合成し、合成画像を生成する。撮影装置1は、合成画像をサーバ装置2へ送信し、サーバ装置2から合成画像をダウンロードするためのウェブサイトのURLを受信する。
【0014】
撮影装置1は、合成画像及びURL情報を用紙にプリントして出力する。ユーザは、スマートフォンやPC等を用いてダウンロードサイトにアクセスし、合成画像のデータをダウンロードすることができる。
【0015】
ユーザを撮影し、撮影画像から抽出した人物画像を、テンプレートデータのテーマとなっているアニメ調に変換するため、変換後のイラスト化された人物画像は、テンプレート内のキャラクターと馴染みが良く、違和感がほとんどない合成画像が得られる。
【0016】
図2に示すように、撮影装置1は、演算制御装置10、撮影部11、タッチパネル12、照明部13、課金部14、プリンタ15及び通信部16を備える。撮影装置1は、オープンタイプでもよいし、背面パネルやカーテン等を有するボックスタイプでもよい。背面パネルは、クロマキー合成に適した緑色や青色であることが好ましい。
【0017】
撮影部11は、例えばデジタルカメラである。
【0018】
タッチパネル12は、操作ボタンを表示してユーザからの指示受付部として機能すると共に、ライブビュー画面等を表示する表示部として機能する。
【0019】
照明部13は、定常光を発光する照明手段であり、例えば拡散板と複数のLED電球を有する。照明部13の位置は特に限定されないが、
図1の例では、上部と、左下及び右下に設けられている。
【0020】
課金部14は、例えば紙幣受入口、硬貨投入口、釣銭出金口等を有し、所定の料金の支払いを受け付ける。
【0021】
プリンタ15は、昇華型又はインクジェット型などの高解像度カラープリンタである。
【0022】
通信部16は、インターネット等を介して、サーバ装置2との通信を行う。
【0023】
図3に示すように、演算制御装置10は、例えばCPU、記憶部M等を備えたコンピュータにより構成されている。記憶部Mは、例えばRAM、ROM、ハードディスク等を有する。記憶部Mに格納された画像生成プログラムが実行されることで、画像取得部101、抽出部102、変換部103、合成部104、プリント制御部105等の機能が実現される。各部の処理については後述する。
【0024】
記憶部Mには、学習器110及びテンプレートデータ112が記憶される。
【0025】
テンプレートデータ112は、アニメのキャラクターを含む画像データである。複数種類のテンプレートデータ112を準備し、合成対象のテンプレートをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0026】
学習器110は、各ユニット(ニューロン)に関する重み及びバイアスなどの各パラメータ、並びに、入力データに対して処理を行うための処理実行プログラムである。記憶部Mに学習器110が記憶されるとは、学習器110に関する各種パラメータ(学習処理によって調整済みの演算パラメータ)と処理実行プログラムが記憶部Mに記憶されることを意味する。
【0027】
この学習器110は、現実世界の写真が入力されると、テンプレートデータ112となっているアニメの画風に変換(イラスト化)する学習済みモデルである。学習用の入力画像データには、テンプレートデータ112となっているアニメの製作者から提供された複数の画像データが用いられる。アニメから複数の人物を自動的に切り出し、学習に用いてもよい。あるいはまた、テンプレートデータ112から切り出したキャラクター画像を学習に用いてもよい。機械学習のアルゴリズムは、例えば、ボルツマンマシン、Encoder-Decoder、GAN、VAE(Variational Autoencoder)、Style Transfer等の公知のものを用いることができる。
【0028】
このような学習器110に人物写真を入力すると、輪郭や髪形、鼻筋、目や口などの各種パーツの大きさや形状など、そのほとんどが元の人物写真に沿っており、髪や肌、目の色、質感などはアニメ画像のスタイルに変換された画像が出力される。つまり、テンプレートデータ112となっているアニメの作者が、その人物の似顔絵を描いたかのような画像を出力できる。
【0029】
次に、演算制御装置10の各部の処理を、
図4に示す画像生成方法のフローチャートに沿って説明する。
【0030】
ユーザが撮影装置1のタッチパネル12を操作して所望のキャラクター(テンプレート)を選択し、課金部14に所定の料金の貨幣を投入すると、撮影部11がユーザを撮影する(ステップS1)。
【0031】
画像取得部101が撮影部11から撮影画像を取得する。抽出部102が、撮影画像から人物画像を抽出する(ステップS2)。例えば、クロマキー合成により、背景と同じ色成分(緑や青)の画素を除去して、人物領域のみを切り出す。
【0032】
変換部103が、学習器110を用いて、ステップS2で抽出された人物画像をイラスト化する(ステップS3)。人物画像を学習器110に入力すると、テンプレートデータのアニメと同じ画風に変換されたイラストが出力される。
【0033】
合成部104が、ユーザが選択したテンプレートデータ112と、ステップS3でイラスト化された人物画像とを合成し、合成画像を生成する(ステップS4)。
【0034】
合成画像が通信部16を介してサーバ装置2へ送信される。通信部16は、サーバ装置2から合成画像をダウンロードするウェブサイトのURL情報を受信する。URL情報は、URLそのもの、URLを示す二次元コードの少なくともいずれか一方を含む。
【0035】
プリント制御部105が、ステップS4で生成された合成画像と、サーバ装置2から受信したURL情報とを含むプリントデータを生成し、プリンタ15からプリント出力させる(ステップS5)。
【0036】
ユーザは、自分の容姿がテンプレートデータのアニメ調にイラスト化された画像と、テンプレートデータのキャラクターとが合成された合成画像のプリント物を入手することができる。また、プリント物に印字されたURL情報を用いてダウンロードサイトにアクセスし、合成画像の画像データを入手することができる。
【0037】
このように、本実施形態によれば、ユーザを撮影した画像を、合成対象のテンプレートのタッチに合わせてイラスト化してからテンプレートと合成するため、違和感を低減した合成画像を生成することができる。
【0038】
学習器110は、入力された人物画像の顔のみイラスト化してもよいし、ユーザが着ている衣服もあわせてイラスト化してもよい。
【0039】
上記実施形態では、背景やキャラクターを含むテンプレートを事前に選択する例について説明したが、ユーザを撮影した人物画像をイラスト化する際に、合成する背景やキャラクターをあわせて生成してもよい。
【0040】
撮影部11が撮影を複数回行い、複数の人物画像をイラスト化し、それぞれ異なるテンプレートと合成してGIFアニメを作成してもよい。この場合、プリンタ15は、ユーザが選択したコマ画像をプリント出力してもよいし、全てのコマ画像をプリント出力してもよい。サーバ装置2は、GIFアニメのダウンロードサイトのURLを撮影装置1へ送信する。
【0041】
上記実施形態では、撮影したユーザをアニメ風に変換(イラスト化)する例について説明したが、実写映画の雰囲気に合わせた変換を行ってもよい。例えば、実写映画から抽出した人物画像を用いて学習処理を行う。学習処理によってトレーニングされた学習済みモデル(学習器)は、ユーザを撮影した画像が入力されると、ユーザを実写映画の登場人物のように変換した画像を出力する。
【0042】
合成画像作成の料金の支払い手段は現金に限定されず、交通系電子マネー・IC決済、二次元コード決済、オンライン決済などであってもよい。
【0043】
上記実施形態では、撮影画像から人物画像を抽出する処理、人物画像をアニメ画像風に変換(イラスト化)する処理、変換後の人物画像をテンプレートデータと合成する処理を撮影装置1で行う例について説明したが、少なくともいずれか1つの処理をサーバ装置2で行うようにしてもよい。
【0044】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
【符号の説明】
【0045】
1 撮影装置
2 サーバ装置
10 演算制御装置
11 撮影部
12 タッチパネル
13 照明部
14 課金部
15 プリンタ
16 通信部