(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173402
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】冷却制御装置、冷却制御方法、プログラム、及び焼却設備
(51)【国際特許分類】
F23G 5/50 20060101AFI20241205BHJP
F23G 5/30 20060101ALI20241205BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20241205BHJP
F27B 15/16 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F23G5/50 K
F23G5/50 E ZAB
F23G5/50 N
F23G5/30 G
F23G5/50 S
F27D17/00 104D
F27B15/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091796
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】523183714
【氏名又は名称】月島JFEアクアソリューション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】長沢 英和
(72)【発明者】
【氏名】河岸 正泰
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊樹
【テーマコード(参考)】
3K062
4K046
4K056
【Fターム(参考)】
3K062AA11
3K062AB01
3K062AC02
3K062BA02
3K062CA01
3K062CB08
3K062DA03
3K062DA08
3K062DB28
4K046HA13
4K046JD02
4K046KA06
4K046LA06
4K056AA19
4K056BA01
4K056BB01
4K056CA20
4K056DB05
4K056FA08
(57)【要約】
【課題】流動式焼却炉から排出された排ガスが流入する機器において排ガスの温度に起因する問題発生を防止することが可能な冷却制御装置、冷却制御方法、プログラム、及び焼却設備を提供する。
【解決手段】流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択部と、取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御部と、を備える冷却制御装置。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、
取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択部と、
取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御部と、
を備える冷却制御装置。
【請求項2】
前記制御対象選択部は、前記入口部の温度調整が必要であることを前記温度情報が示す場合、温度調整が必要な前記入口部の領域と対応する前記炉内の領域に対して前記冷却水を供給する前記水供給装置を、前記制御対象として選択する、
請求項1に記載の冷却制御装置。
【請求項3】
前記制御対象選択部は、前記入口部を分割した複数の領域において、前記温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域が存在する場合、前記入口部の温度調整が必要であると判定する、
請求項2に記載の冷却制御装置。
【請求項4】
前記制御対象選択部は、前記入口部を分割した複数の領域において、前記温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域に対応する炉内の領域に対して前記冷却水を供給する前記水供給装置を、前記制御対象として選択する、
請求項2又は請求項3に記載の冷却制御装置。
【請求項5】
前記制御対象選択部は、前記入口部を分割した複数の領域において、前記温度情報が示す温度が最高温度である領域と、前記温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、前記入口部の温度調整が必要であると判定する、
請求項2に記載の冷却制御装置。
【請求項6】
前記制御対象選択部は、前記入口部を分割した複数の領域において、前記温度情報が示す温度が最高温度である領域に対応する炉内の領域に対して前記冷却水を供給する前記水供給装置、及び前記温度情報が示す温度が最低温度である領域に対応する炉内の領域に対して前記冷却水を供給する前記水供給装置を、前記制御対象として選択する、
請求項2又は請求項5に記載の冷却制御装置。
【請求項7】
前記水供給装置が前記冷却水を供給する領域と、前記領域に前記冷却水が供給されたことで温度が変化する前記入口部の領域との対応関係を示す対応情報を記憶する記憶部、
をさらに備え、
前記制御対象選択部は、前記対応情報に基づき、温度調整が必要な前記入口部の領域と対応する前記炉内の領域を判定する、
請求項2に記載の冷却制御装置。
【請求項8】
前記流量制御部は、前記入口部を分割した複数の領域において前記温度情報が示す温度が所定の温度未満となるように、前記制御対象として選択された前記水供給装置から供給される前記冷却水の流量を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の冷却制御装置。
【請求項9】
前記流量制御部は、前記入口部を分割した複数の領域において前記温度情報が示す温度差が所定の温度差未満となるように、前記制御対象として選択された前記水供給装置から供給される前記冷却水の流量を制御する、
請求項1又は請求項2に記載の冷却制御装置。
【請求項10】
前記機器は、空気予熱器であり、
前記入口部は、前記空気予熱器の管板部である、
請求項1に記載の冷却制御装置。
【請求項11】
前記流動式焼却炉は、前記フリーボード部の下部及び中部の少なくともいずれか一方が高温域となるよう焼却可能な焼却炉である、
請求項1に記載の冷却制御装置。
【請求項12】
前記水供給装置は、前記流動式焼却炉のフリーボード部の天蓋部に設けられた装置である、
請求項1に記載の冷却制御装置。
【請求項13】
請求項1に記載の冷却制御装置を備える焼却設備。
【請求項14】
コンピュータが、
流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得過程と、
取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択過程と、
取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御過程と、
を含む冷却制御方法。
【請求項15】
コンピュータを、
流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、
取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択手段と、
取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御手段と、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却制御装置、冷却制御方法、プログラム、及び焼却設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、焼却炉を含む焼却設備では、焼却の際に地球温暖化に影響を与える温室効果ガスが排出されるため、その排出量の低減が求められている。例えば、流動式焼却炉では、焼却の際に排ガスが生じ、当該排ガスの中には温室効果ガスの一種である一酸化二窒素(N2O)が含まれている。このため、流動式焼却炉では、地球温暖化に配慮して、焼却の際に生じる排ガスに含まれる一酸化二窒素の排出量を低減することが求められている。流動式焼却炉では一酸化二窒素の排出量を低減するために、高温での焼却運転が行われる。炉を全体的に高温化する他に、例えば、加圧下での燃焼やフリーボード部に一部の燃焼空気を供給する燃焼ではフリーボード中部および下部に高温域を生成させる焼却運転方法がある。しかしながら、高温での焼却運転により、流動式焼却炉にて生じる排ガスが高温のまま空気予熱器などの機器に流入してしまう。これにより、排ガスが流入する機器において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が生じてしまう。
【0003】
そこで、流動式焼却炉の運転において、高温の排ガスが流入することで機器に問題が生じることを防ぐために、炉内温度や炉出口排ガス温度が許容温度以下になるように、水冷装置による冷却が行われている。
例えば、下記特許文献1には、流動式焼却炉のフリーボード部の上部に水冷ノズルを設け、流動式焼却炉の排ガスが流入する機器である空気予熱器の入口排ガス温度を測定し、測定した入口排ガス温度が所定温度になるように、フリーボード部の上部に設けた水冷ノズルを制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の技術では、フリーボード部の上部に設けられた水冷装置から噴霧された水がフリーボード部の下部まで垂れ落ちることがある。これにより、フリーボード部に局所的な低温域が生じる。当該低温域は、砂層及びフリーボード部の下部で生成した一酸化二窒素が、フリーボード部の中部や上部にある高温域にて分解されることを阻害する。このため、上記特許文献1の技術では、一酸化二窒素の排出量が増加するおそれがある。一方で、局所的な高温域も生じさせるため、排ガスに同伴している焼却灰の溶融による付着や閉塞が起こる場合もあった。また、局所的な低温域や高温域が発生することで、フリーボード部の温度が不均一になり、排ガスに温度ムラが生じてしまう。
流動式焼却炉から排出された排ガスが温度ムラの生じたまま他の機器へ流入すると、排ガスが流入した機器の管板部に温度差による熱割れ等の熱損傷などの問題が起こることがある。
【0006】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、流動式焼却炉から排出された排ガスが流入する機器において排ガスの温度に起因する問題発生を防止することが可能な冷却制御装置、冷却制御方法、プログラム、及び焼却設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る冷却制御装置は、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択部と、取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御部と、を備える。
【0008】
本発明の一態様に係る冷却制御方法は、コンピュータが、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得過程と、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択過程と、取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御過程と、を含む。
【0009】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータを、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置の中から、制御対象となる前記水供給装置を選択する制御対象選択手段と、取得された前記温度情報に基づき、前記制御対象として選択された前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御手段と、として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、流動式焼却炉から排出された排ガスが流入する機器において排ガスの温度に起因する問題発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る焼却設備の概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係る冷却水が供給される領域と、管板部の領域と、冷却制御装置における入出力関係の一例を示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る対応情報の一例を示す図である。
【
図4】第1の実施形態に係る焼却設備に対する熱流体解析によって得られる全体の温度分布の一例を示す図である。
【
図5】第1の実施形態に係る焼却設備に対する熱流体解析によって得られる管板部の温度分布の一例を示す図である。
【
図6】第1の実施形態に係る冷却制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図7】第1の実施形態に係る冷却制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【
図8】第1の実施形態の変形例に係る冷却制御装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【
図9】第2の実施形態に係る冷却水が供給される領域と、管板部の領域と、冷却制御装置における入出力関係の一例を示す図である。
【
図10】第2の実施形態に係る冷却制御装置の機能構成の一例を示す図である。
【
図11】第2の実施形態に係る冷却制御装置における処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。なお、図面には、必要に応じて相互に直交するX軸、Y軸、及びZ軸が示されている。各軸において、矢印が延びる方向を「正方向」、正方向と逆の方向を「負方向」と称する。
【0013】
<<1.第1の実施形態>>
図1から
図8を参照して、第1の実施形態について説明する。
【0014】
<1-1.焼却設備の概略構成>
図1から
図5を参照して、第1の実施形態に係る焼却設備の概略構成について説明する。
図1は、第1の実施形態に係る焼却設備の概略構成を示す図である。
図1に示す焼却設備1は、例えば生活排水などの下水処理を行う水処理プラントに設けられた設備である。水処理プラントでは、生活排水などの下水から汚泥が分離される。分離された汚泥は、さらに濃縮、脱水され脱水汚泥となる。焼却設備1は、例えば脱水汚泥を焼却対象として焼却する。
図1に示すように、焼却設備1は、流動式焼却炉10と、空気予熱器20と、冷却制御装置100とを備え、さらに、図示しない集塵装置と、図示しない排煙処理装置とを備える。空気予熱器20は、流動式焼却炉10から排出される排ガスが流入する機器の一例である。流動式焼却炉10と空気予熱器20は、ダクト30により接続されている。なお、集塵装置は、空気予熱器20から排出される排ガスが流入し、排ガス中の焼却灰を分離する装置である。排煙処理装置は、集塵装置から排出された排ガスが流入し、排ガス中の硫黄酸化物などを処理する装置である。
【0015】
(1)流動式焼却炉10
図1に示すように、流動式焼却炉10は、砂層部11と、フリーボード部12とを備える。流動式焼却炉10は、前段機器(例えば脱水機)から供給される焼却対象2(例えば脱水汚泥)を加圧下での燃焼やフリーボード部12に一部の燃焼空気を供給する燃焼によって焼却する。前段機器から供給された焼却対象2は、砂層部11にて燃焼される。砂層部11にて焼却対象2が燃焼すると、排ガス3が発生する。排ガス3は、フリーボード部12でさらに燃焼し、流動式焼却炉10から排出される。フリーボード部12は、流動式焼却炉10において砂層部11より上層の部分である。第1の実施形態では、流動式焼却炉10において砂層部11より上層の部分(即ちフリーボード部12)を三分割し、それぞれフリーボード部12の下部12A、中部12B、及び上部12Cとする。流動式焼却炉10から排出された排ガス3は、ダクト30を通って空気予熱器20へ流入する。
【0016】
流動式焼却炉10において焼却対象2を焼却することで発生する排ガス3には、一酸化二窒素(N2O)が含まれている。当該一酸化二窒素は、地球温暖化に影響を与える温室効果ガスであるため、その排出量の低減が求められている。そこで、流動式焼却炉10では、一酸化二窒素の排出量を低減するために、例えば高温焼却運転が行われる。従来、一般的な流動式焼却炉では、フリーボード部の上部を高温域とし、フリーボード部の上部にて一酸化二窒素の熱分解が行われていることが多い。このため、従来の方法でフリーボード部の上部へ冷却水を供給すると、一酸化二窒素の熱分解が最も行われる領域の温度を下げることになり、一酸化二窒素の低減が図れないことがある。よって、高温焼却運転では、フリーボード部12の下部12A及び中部12Bの少なくともいずれか一方を高温に維持することが重要である。そこで、第1の実施形態における流動式焼却炉10には、フリーボード部12の下部12A及び中部12Bの少なくともいずれか一方が高温域となるよう焼却可能な焼却炉が用いられる。例えば、加圧燃焼又はフリーボード部12に一部の燃焼空気を供給する燃焼(多層燃焼)が可能な流動式焼却炉10の場合、フリーボード部12の下部12A及び中部12Bの少なくともいずれか一方が高温域となる運転が可能である。高温焼却運転により、砂層部11やフリーボード部12の下部12Aで生じた一酸化二窒素は、フリーボード部12の下部12A又は中部12Bの高温域で分解される。これにより、フリーボード部12の上部12Cへ冷却水を供給しても一酸化二窒素の熱分解が最も行われるフリーボード部12の下部12A又は中部12Bの高温域の温度を下げるおそれが低くなるため、流動式焼却炉10内における一酸化二窒素の排出量低減が阻害されることを防止することができる。
高温焼却運転では、例えば、高温域が850度~950度程度となるように運転する。この場合、フリーボード部12の下部12A及び中部12Bの少なくともいずれか一方が最高温度となるように運転されるのが好ましい。
【0017】
一方で、高温焼却運転により、流動式焼却炉10にて生じる排ガス3の温度が高温となってしまう。排ガス3が高温のまま空気予熱器20などの機器へ流入すると、排ガス3が流入した機器において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が生じてしまう。
そこで、フリーボード部12の上部12Cには、排ガス3を冷却するための水スプレー40(水供給装置の一例)が設けられている。水スプレー40は、排ガス3に対して冷却水4を供給することで、排ガス3の温度を調整する。
図1に示すように、水スプレー40が設けられている位置は、フリーボード部12の天蓋部である。水スプレー40がフリーボード部12の側面部(例えば上部12Cの天蓋部以外の部分)に設けられると、供給される冷却水4の流量が少ない場合に炉の中央まで冷却水4が供給されないことがある。また、フリーボード部12の側面部から配管を延ばして炉の中央部に冷却水4を供給すると、水スプレー40のノズルが燃焼により焼けてしまうことを防止する冷却空気量が過大となる。よって、水スプレー40は、流動式焼却炉10のフリーボード部12の天蓋部に設けられることが好ましい。水スプレー40がフリーボード部12の天蓋部に設けられることで、供給される冷却水4の流量が少ない場合でも水スプレー40のノズルの燃焼焼けを防止する冷却空気量を過大に供給することなく炉の中央まで冷却水4を供給でき、排ガスを確実に冷却できる。また、冷却水4を多量に供給する必要がなく、フリーボード部12の下部12Aへ冷却水4が垂れ落ちるおそれも低くなり、低温域の発生を防止することができる。さらに高温焼却運転の場合でも、フリーボード部12の下部12A又は中部12Bの高温域が冷やされることを防止し、一酸化二窒素の増加を抑制することができる。
水スプレー40から供給される冷却水4の流量は、バルブ50によって調整される。バルブ50の制御は、冷却制御装置100によって行われる。冷却水4は、例えば水スプレー40から噴霧される場合もある。
排ガス3の温度は、水スプレー40から供給される冷却水の流量が多く調整されることによって下げられたり、逆に冷却水の流量が少なく調整されることによって上げられたりと調整される。このように、流動式焼却炉10は、フリーボード部12の上部12Cにて水スプレー40によって排ガス3の温度を調整することで、排ガス3において局所的に生じている高温部又は低温部を少なくし、排ガス3が流入した機器において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が発生することを防止することができる。
さらに、第1の実施形態では、必要な箇所を選択して冷却水4を供給する。これにより、フリーボード部12における急激な温度減少を抑制でき、一酸化二窒素の増加を抑制することができる。
【0018】
なお、例えばフリーボード部12の上部12Cに設けられた水スプレー40から多量の冷却水4を供給した場合、供給した冷却水4が、フリーボード部12の下部12Aへ垂れ落ちることがある。これにより、フリーボード部12の下部12Aに局所的な低温域が生じることがある。この低温域が、特に上下方向に伸びるように生じた場合には、フリーボード部12の下部12Aにて生じた一酸化二窒素がフリーボード部12の中部12B又は上部12Cにて分解されることを阻害することがある。これにより、一酸化二窒素の排出量が増加し、一酸化二窒素の排出量低減が阻害されてしまう。
一方で、局所的な低温域の発生は局所的な高温域を発生させることにもなり、排ガス3に同伴している焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題も発生し得る。また、フリーボード部12の温度が不均一となり、排ガス3に温度ムラが生じてしまう。温度ムラが生じたままの排ガス3が機器に流入すると、温度差により当該機器の入口部に熱割れなどの熱損傷が起こってしまう。
そこで、フリーボード部12の上部12Cには、複数の水スプレー40が設けられている。複数の水スプレー40から分散して冷却水4を供給することで、1本の水スプレー40から供給される冷却水4の流量を少なくすることができる。これにより、冷却水4が、フリーボード部12の下部12Aへ垂れ落ち及び低温域の発生を防止することができる。よって、低温域の発生に起因する一酸化二窒素の排出量低減の阻害や高温域の発生を防止することができる。さらに、局所的な低温域及び高温域によって排ガス3に温度差が生じることも防止でき、流動式焼却炉10から排出された排ガス3が流入する機器において排ガスの温度に起因する問題発生を防止することもできる。
【0019】
(2)空気予熱器20
空気予熱器20は、流動式焼却炉10において焼却対象2が燃焼され発生した排ガス3と、流動式焼却炉10に供給される流動用空気との間で熱交換を行い、流動用空気を加熱して高温に昇温する。空気予熱器20において流動用空気を加熱した排ガス3は、例えば集塵機(不図示)に供給されて排ガス3に含有されたダスト等が除塵される。
空気予熱器20の入口部には、入口部の温度を測定するための温度計60が設けられている。入口部は、例えば、空気予熱器20の管板部21である。温度計60は、流動式焼却炉10から排出される排ガスが流入する管板部21における温度を測定する。管板部21には、複数の温度計60が設けられている。これにより、測定された複数の温度から管板部21における温度ムラを検出することができる。管板部21の温度を示す情報(以下、「温度情報」とも称される)は、温度計60から冷却制御装置100へ送信される。
【0020】
(3)冷却制御装置100
冷却制御装置100は、流動式焼却炉10における冷却を制御する装置である。冷却制御装置100は、例えば、PC(Personal Computer)、1つ又は複数のサーバ(例えば、クラウドサーバ)などで構成される。
【0021】
冷却制御装置100は、水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御することで、流動式焼却炉10から排出される排ガス3(或いは炉内)の冷却を制御する。例えば、冷却制御装置100は、温度計60から送信される温度情報に基づき、複数の水スプレー40の中から制御対象となる水スプレー40を選択し、制御対象として選択した水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する。冷却制御装置100は、制御対象として選択した水スプレー40に対応するバルブ50へ制御信号を送信することで、冷却水4の流量を制御する。冷却制御装置100による制御は、例えば、PID(Proportional Integral Differential)制御によって行われる。
【0022】
冷却制御装置100は、温度情報より空気予熱器20の管板部21において温度調整が必要である場合に、温度調整が必要な管板部21の領域と対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40を制御対象として選択する。
冷却制御装置100は、例えば、管板部21の領域において最高温度が所定の温度以上である領域が存在するか否か、又は最高温度と最低温度との温度差が所定の温度差以上である領域が存在するか否かなどに基づき、温度調整が必要であるか否かを判定する。
温度調整が必要であると判定した場合、冷却制御装置100は、例えば、対応情報に基づき、制御対象を選択する。
【0023】
対応情報は、焼却設備1における各種の対応関係を示す情報である。各種の対応関係は、例えば、流動式焼却炉10における対応関係、空気予熱器20における対応関係、流動式焼却炉10と空気予熱器20における対応関係などである。流動式焼却炉10における対応関係は、例えば、冷却水4が供給される領域と、各領域に冷却水4を供給する水スプレー40と、各水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御するバルブ50との対応関係を示す。空気予熱器20における対応関係は、例えば、管板部21の領域と、管板部21の領域における温度を測定する温度計60との対応関係を示す。流動式焼却炉10と空気予熱器20における対応関係は、例えば、水スプレー40が冷却水4を供給する領域と、当該領域に冷却水4が供給されたことで温度が変化する管板部21の領域との対応関係を示す。
よって、冷却制御装置100は、対応情報に基づき、温度調整が必要な管板部21の領域と対応する炉内の領域を判定することができる。
【0024】
ここで、
図2を参照して、冷却水4が供給される領域と、管板部21の領域と、冷却制御装置100と入出力との対応関係について説明する。
図2は、第1の実施形態に係る冷却水4が供給される領域と、管板部21の領域と、冷却制御装置100における入出力関係の一例を示す図である。
図2に示す流動式焼却炉10及び空気予熱器20は、Y軸の正方向から見た図として示されている。なお、
図2では、説明の便宜上、ダクト30は省略されている。
【0025】
冷却水4が供給される領域は、フリーボード部12の上部12Cの領域である。
図2に示す領域13は、冷却水4が供給される領域であり、流動式焼却炉10の上下方向(Y軸方向)に対する断面領域として示されている。
図2に示す例では、領域13は、領域13A、領域13B、領域13C、及び領域13Dに4分割されている。
フリーボード部12の上部12Cには、領域13Aに冷却水4を供給する水スプレー40A、領域13Bに冷却水4を供給する水スプレー40B、領域13Cに冷却水4を供給する水スプレー40C、領域13Dに冷却水4を供給する水スプレー40Dが設けられている。
また、水スプレー40Aから供給される冷却水4の流量を制御するバルブ50A、水スプレー40Bから供給される冷却水4の流量を制御するバルブ50B、水スプレー40Cから供給される冷却水4の流量を制御するバルブ50C、水スプレー40Dから供給される冷却水4の流量を制御するバルブ50Dが設けられている。各バルブ50は、冷却水4の流量を制御するための制御信号を冷却制御装置100から受信可能に、冷却制御装置100と接続されている。
【0026】
また、
図2に示す領域22は、管板部21の領域であり、空気予熱器20の上下方向(Y軸方向)に対する断面領域として示されている。
図2に示す例では、領域22は、領域22A’、領域22B’、領域22C’、及び領域22D’に4分割されている。
空気予熱器20には、領域22A’の温度を測定する温度計60A’、領域22B’の温度を測定する温度計60B’、領域22C’の温度を測定する温度計60C’、領域22D’の温度を測定する温度計60D’が設けられている。各温度計60は、測定した管板部21の領域の温度を示す温度情報を冷却制御装置100へ送信可能に、冷却制御装置100と接続されている。
【0027】
冷却制御装置100は、温度計60A’~60D’から入力される温度情報に基づき、領域22A’~領域22D’のうち温度調整が必要な領域を判定する。温度調整が必要な領域が存在する場合、冷却制御装置100は、温度調整が必要であると判定した領域と対応する領域を、対応情報に基づき領域13A~13Dの中から判定する。判定後、冷却制御装置100は、水スプレー40A~40Dのうち、判定した領域に冷却水4を供給するよう設けられた水スプレー40を制御対象として選択する。選択後、冷却制御装置100は、バルブ50A~50Dのうち、選択した水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御するよう設けられたバルブ50に対して、制御信号を送信する。
【0028】
ここで、
図3を参照して、対応情報について説明する。
図3は、第1の実施形態に係る対応情報の一例を示す図である。
【0029】
図3には、流動式焼却炉10における対応関係の一例として、領域13Aには水スプレー40Aがバルブ50Aによって制御された流量で冷却水4を供給すること、領域13Bには水スプレー40Bがバルブ50Bによって制御された流量で冷却水4を供給すること、領域13Cには水スプレー40Cがバルブ50Cによって制御された流量で冷却水4を供給すること、領域13Dには水スプレー40Dがバルブ50Dによって制御された流量で冷却水4を供給することが示されている。
また、空気予熱器20における対応関係の一例として、温度計60A’が領域22A’の温度を測定すること、温度計60B’が領域22B’の温度を測定すること、温度計60C’が領域22C’の温度を測定すること、温度計60D’が領域22D’の温度を測定することが示されている。
さらに、流動式焼却炉10と空気予熱器20における対応関係の一例として、領域13Aに冷却水4が供給されると領域22B’の温度が変化すること、領域13Bに冷却水4が供給されると領域22D’の温度が変化すること、領域13Cに冷却水4が供給されると領域22A’の温度が変化すること、領域13Dに冷却水4が供給されると領域22C’の温度が変化することが示されている。
この対応情報は、予め焼却設備1に対する熱流体解析による解析結果に基づき用意される情報である。
【0030】
ここで、
図4及び
図5を参照して、焼却設備1に対する熱流体解析の一例について説明する。
【0031】
図4は、第1の実施形態に係る焼却設備1に対する熱流体解析によって得られる全体の温度分布の一例を示す図である。
図4には、
図1に示す焼却設備1をZ軸の負方向から見た図が示されている。
【0032】
図4に示すように、焼却設備1に対する熱流体解析により、流動式焼却炉10から排出された排ガス3がダクト30を通って空気予熱器20へ流入した際の焼却設備1全体の温度分布を解析結果として得ることができる。
図4に示す例より、流動式焼却炉10内の温度が約920℃であり、空気予熱器20の管板部21の温度が約850℃であることが分かる。
同様に、複数の水スプレー40から供給される冷却水4の流量を1本ずつ又は複数まとめて調整した場合における、焼却設備1全体の温度分布の変化をそれぞれ得ることもできる。
【0033】
図5は、第1の実施形態に係る焼却設備1に対する熱流体解析によって得られる管板部21の温度分布の一例を示す図である。
図5には、
図1に示す焼却設備1をY軸の正方向から見た図が示されている。
【0034】
図5に示すように、焼却設備1に対する熱流体解析により、流動式焼却炉10から排出された排ガス3がダクト30を通って空気予熱器20へ流入した際の管板部21の断面領域における温度分布を解析結果として得ることができる。
図5に示す例より、管板部21の断面領域の温度分布には約849℃から約854℃とムラがあり、最高温度と最低温度との温度差が約5度であることが分かる。
同様に、複数の水スプレー40から供給される冷却水4の流量を1本ずつ又は複数まとめて調整した場合における、管板部21の断面領域における温度分布の変化をそれぞれ得ることもできる。
【0035】
図4及び
図5に示す解析結果により、どのバルブ50によって、どの水スプレー40から供給される冷却水4の流量を調整し、フリーボード部12の上部12Cのどの領域に冷却水4を供給させると、管板部21のどの領域の温度が変化したかを、どの温度計60が示すかが分かる。これにより、
図3に示すような対応情報を用意することができる。
【0036】
<1-2.冷却制御装置の機能構成>
以上、第1の実施形態に係る焼却設備1の概略構成について説明した。続いて、
図6を参照して、第1の実施形態に係る冷却制御装置100の機能構成について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る冷却制御装置100の機能構成の一例を示す図である。
図6に示すように、冷却制御装置100は、通信部110と、記憶部120と、制御部130とを備える。
【0037】
(1)通信部110
通信部110は、各種情報を送受信する機能を有する。例えば、通信部110は、温度計60から温度情報を受信し、バルブ50へ制御信号を送信する。
【0038】
(2)記憶部120
記憶部120は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部120は、冷却制御装置100がハードウェアとして備える記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、又はこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
記憶部120は、例えば、対応情報を記憶する。
【0039】
(3)制御部130
制御部130は、冷却制御装置100の動作全般を制御する機能を有する。制御部130は、例えば、冷却制御装置100がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図6に示すように、制御部130は、温度情報取得部131と、制御対象選択部132と、流量制御部133とを備える。
【0040】
(3-1)温度情報取得部131
温度情報取得部131は、温度情報を取得する機能を有する。例えば、温度情報取得部131は、通信部110が温度計60から受信した温度情報を取得する。温度情報取得部131は、取得した温度情報を制御対象選択部132及び流量制御部133へ出力する。
【0041】
(3-2)制御対象選択部132
制御対象選択部132は、制御対象を選択する機能を有する。例えば、制御対象選択部132は、温度情報取得部131によって取得された温度情報に基づき、流動式焼却炉10のフリーボード部12の上部12Cに設けられた複数の水スプレー40の中から、制御対象となる水スプレー40を選択する。
【0042】
まず、制御対象選択部132は、温度情報に基づき、空気予熱器20の管板部21の温度調整が必要であるか否かを判定する。
管板部21の温度調整が必要であることを温度情報が示す場合、制御対象選択部132は、温度調整が必要な管板部21の領域と対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40を、制御対象として選択する。この時、制御対象選択部132は、記憶部120に記憶されている対応情報に基づき、温度調整が必要な管板部21の領域と対応する炉内の領域を判定し、判定した領域に冷却水4を供給するよう設けられた水スプレー40を制御対象として選択する。
一方で、管板部21の温度調整が必要であることを温度情報が示さない場合、制御対象選択部132は、管板部21の領域の温度調整は不要であるとして、制御対象を選択しない。
【0043】
ここで、管板部21の温度調整が必要であるか否かの判定について、具体的に説明する。例えば、制御対象選択部132は、管板部21を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域が存在するか否かを判定する。この判定における所定の温度は、例えば、空気予熱器20において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が発生し得る最低温度などである。
温度が所定の温度以上である領域が存在する場合、制御対象選択部132は、管板部21の当該領域について温度調整が必要であると判定する。
例えば、制御対象選択部132は、温度計60A’によって取得された温度情報が示す温度が最高温度であり、所定の温度以上である場合、領域22A’の温度調整が必要であると判定する。
また、制御対象選択部132は、温度計60B’によって取得された温度情報が示す温度が最高温度であり、所定の温度以上である場合、領域22B’の温度調整が必要であると判定する。
また、制御対象選択部132は、温度計60C’によって取得された温度情報が示す温度が最高温度であり、所定の温度以上である場合、領域22C’の温度調整が必要であると判定する。
また、制御対象選択部132は、温度計60D’によって取得された温度情報が示す温度が最高温度であり、所定の温度以上である場合、領域22D’の温度調整が必要であると判定する。
一方で、最高温度が所定の温度以上である領域が存在しない、即ちすべての領域の温度が所定の温度未満である場合、制御対象選択部132は、管板部21の当該領域について温度調整が必要でないと判定する。
【0044】
この判定により管板部21の温度調整が必要であると判定した場合、制御対象選択部132は、管板部21を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域に対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40を、制御対象として選択する。
例えば、制御対象選択部132は、領域22A’の温度調整が必要であると判定した場合、対応情報を参照して、領域22A’に対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、領域22A’には領域13Cと、水スプレー40Cと、バルブ50Cとが対応付けられている。このため、制御対象選択部132は、水スプレー40Cを制御対象として選択する。
また、制御対象選択部132は、領域22B’の温度調整が必要であると判定した場合、対応情報を参照して、領域22B’に対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、領域22B’には領域13Aと、水スプレー40Aと、バルブ50Aとが対応付けられている。このため、制御対象選択部132は、水スプレー40Aを制御対象として選択する。
また、制御対象選択部132は、領域22C’の温度調整が必要であると判定した場合、対応情報を参照して、領域22C’に対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、領域22C’には領域13Dと、水スプレー40Dと、バルブ50Dとが対応付けられている。このため、制御対象選択部132は、水スプレー40Dを制御対象として選択する。
また、制御対象選択部132は、領域22D’の温度調整が必要であると判定した場合、対応情報を参照して、領域22D’に対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、領域22D’には領域13Bと、水スプレー40Bと、バルブ50Bとが対応付けられている。このため、制御対象選択部132は、水スプレー40Bを制御対象として選択する。
【0045】
また、制御対象選択部132は、管板部21の複数の領域における温度差に基づき、管板部21の温度調整が必要であるか否かを判定してもよい。例えば、制御対象選択部132は、管板部21を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が最高温度である領域と、温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上であるか否かを判定する。この判定における所定の温度差は、例えば、管板部21に熱割れなどの熱損傷が起こりうる温度差の最低温度差などである。
温度差が所定の温度差以上である場合、制御対象選択部132は、管板部21の温度調整が必要であると判定する。例えば、制御対象選択部132は、温度計60A’によって取得された温度情報が示す温度が最高温度であり、温度計60C’によって取得された温度情報が示す温度が最低温度であり、温度差が所定の温度差以上である場合、領域22A’及び領域22C’の温度調整が必要であると判定する。最高温度である領域と最低温度である領域との組み合わせが他の組み合わせである場合も同様に、制御対象選択部132は、温度調整が必要である領域を判定する。
一方で、温度差が所定の温度差未満である場合、制御対象選択部132は、管板部21の温度調整が必要でないと判定する。
【0046】
この判定により管板部21の温度調整が必要であると判定した場合、制御対象選択部132は、管板部21を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が最高温度である領域に対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40、及び温度情報が示す温度が最低温度である領域に対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40を、制御対象として選択する。
例えば、制御対象選択部132は、領域22A’及び領域22C’の温度調整が必要であると判定した場合、対応情報を参照して、領域22A’に対応付けられている情報と領域22C’に対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、領域22A’には領域13Cと、水スプレー40Cと、バルブ50Cとが対応付けられ、領域22C’には領域13Dと、水スプレー40Dと、バルブ50Dとが対応付けられている。このため、制御対象選択部132は、水スプレー40Cと水スプレー40Dを制御対象として選択する。温度調整が必要である領域の組み合わせが他の組み合わせである場合も同様に、制御対象選択部132は、対応情報を参照して制御対象を選択する。
この時、制御対象選択部132は、最高温度である領域に対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40と温度情報が示す温度が最低温度である領域に対応する炉内の領域に対して冷却水4を供給する水スプレー40のうち、いずれか一方のみを制御対象として選択してもよい。
【0047】
なお、制御対象選択部132は、最高温度のみに基づく判定と、最高温度と最低温度の温度差に基づく判定は、組み合わせて行われてもよい。この場合、制御対象選択部132は、例えば、最高温度のみに基づく判定によって管板部21の領域について温度調整が必要でないと判定した場合に、最高温度と最低温度の温度差に基づく判定をさらに行う。
最高温度と最低温度の温度差に基づく判定によって管板部21の領域について温度調整が必要であると判定した場合、制御対象選択部132は、制御対象を選択する。一方で、最高温度と最低温度の温度差に基づく判定によって管板部21の領域について温度調整が必要でないと判定した場合、制御対象選択部132は、制御対象を選択しない。
【0048】
(3-3)流量制御部133
流量制御部133は、水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する機能を有する。例えば、流量制御部133は、温度情報取得部131によって取得された温度情報に基づき、制御対象として選択された水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する。
【0049】
流量制御部133は、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において温度情報が示す温度が所定の温度未満となるように、制御対象として選択された水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する。例えば、制御対象選択部132が、最高温度のみに基づく判定によって制御対象を選択したとする。この場合、流量制御部133は、管板部21の領域において最高温度である領域の温度が所定の温度未満となるように、当該領域に冷却水4を供給する水スプレー40の流量を制御するバルブ50に対して、制御信号を送信する。
【0050】
最高温度のみに基づく判定において、流量制御部133は、記憶部120に記憶された対応情報に基づき、制御対象選択部132によって選択された制御対象と対応するバルブ50を判定する。
例えば、流量制御部133は、制御対象選択部132によって水スプレー40Cが制御対象として選択された場合、対応情報を参照して、水スプレー40Cに対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、水スプレー40Cにはバルブ50Cが対応付けられている。このため、流量制御部133は、制御対象である水スプレー40Cに対応するバルブ50がバルブ50Cであると判定する。制御対象が水スプレー40C以外の制御対象である場合も同様に、流量制御部133は、対応情報を参照して制御対象に対応するバルブ50を判定する。
【0051】
また、流量制御部133は、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において温度情報が示す温度差が所定の温度差未満となるように、制御対象として選択された水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する。例えば、制御対象選択部132が、最高温度と最低温度の温度差に基づく判定によって制御対象を選択したとする。この場合、流量制御部133は、管板部21の領域において最高温度である領域と最低温度である領域の温度差が所定の温度差未満となるように、必要な領域に冷却水4を供給する水スプレー40の流量を制御するバルブ50に対して、制御信号を送信する。
【0052】
最高温度と最低温度の温度差に基づく判定において、流量制御部133は、記憶部120に記憶された対応情報に基づき、制御対象選択部132によって選択された制御対象と対応するバルブ50を判定する。
例えば、流量制御部133は、制御対象選択部132によって水スプレー40C及び水スプレー40Dが制御対象として選択された場合、対応情報を参照して、水スプレー40Cに対応付けられている情報と水スプレー40Dに対応付けられている情報を確認する。
図3に示す対応情報の場合、水スプレー40Cにはバルブ50Cが対応付けられ、水スプレー40Dにはバルブ50Dが対応付けられている。
このため、流量制御部133は、制御対象である水スプレー40Cに対応するバルブ50がバルブ50Cであり、水スプレー40Dに対応するバルブ50がバルブ50Dであると判定する。制御対象が水スプレー40C及び水スプレー40D以外の組み合わせの制御対象である場合も同様に、流量制御部133は、対応情報を参照して制御対象に対応するバルブ50を判定する。
【0053】
なお、流量制御部133は、制御対象選択部132による最高温度と最低温度の温度差に基づく判定において、いずれか一方の温度に対応する水スプレー40のみが制御対象として選択された場合には、選択された水スプレー40に対応するバルブ50のみに制御信号を送信する。
【0054】
<1-3.処理の流れ>
以上、第1の実施形態に係る冷却制御装置100の機能構成について説明した。続いて、
図7を参照して、第1の実施形態に係る処理の流れについて説明する。
図7は、第1の実施形態に係る冷却制御装置100における処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0055】
図7に示すように、まず、冷却制御装置100の温度情報取得部131は、空気予熱器20の管板部21に設けられた複数の温度計60によって測定される温度情報を取得する(ステップS101)。
【0056】
次いで、冷却制御装置100の制御対象選択部132は、温度情報取得部131によって取得された温度情報に基づき、空気予熱器20の管板部21の温度調整が必要であるか否かを判定する。
まず、制御対象選択部132は、管板部21を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域が存在するか否かを判定する(ステップS102)。温度が所定の温度以上である領域が存在する場合(ステップS102/YES)、制御対象選択部132は、管板部21の当該領域について温度調整が必要であると判定し、処理をステップS104へ進める。一方で、温度が所定の温度以上である領域が存在しない場合(ステップS102/NO)、制御対象選択部132は、処理をステップS103へ進める。
【0057】
処理がステップS103へ進んだ場合、制御対象選択部132は、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において、温度情報が示す温度が最高温度である領域と、温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上であるか否かを判定する(ステップS103)。温度差が所定の温度差以上である領域が存在する場合(ステップS103/YES)、制御対象選択部132は、管板部21の当該領域について温度調整が必要であると判定し、処理をステップS104へ進める。一方で、温度差が所定の温度差以上である領域が存在しない場合(ステップS103/NO)、制御対象選択部132は、管板部21の各領域の温度調整が必要でないと判定し、処理をステップS101へ戻す。
【0058】
処理がステップS104へ進んだ場合、制御対象選択部132は、制御対象を選択する(ステップS104)。この時、制御対象選択部132は、ステップS102又はステップS103における判定の結果、及び記憶部120に記憶されている対応情報に基づき、制御対象を選択する。
例えば、ステップS102において管板部21の温度調整が必要であると判定した場合、制御対象選択部132は、対応情報が示す対応関係に基づき、管板部21において温度情報が示す温度が所定の温度以上である領域に対応する水スプレー40を、制御対象として選択する。
また、ステップS103において管板部21の温度調整が必要であると判定した場合、制御対象選択部132は、対応情報が示す対応関係に基づき、管板部21において温度情報が示す温度が最高温度である領域と最低温度である領域に対応する水スプレー40を、制御対象として選択する。
【0059】
次いで、冷却制御装置100の流量制御部133は、制御対象選択部132によって選択された制御対象である水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する(ステップS105)。この時、流量制御部133は、記憶部120に記憶されている対応情報に基づき、制御対象に対応するバルブ50を判定し、当該バルブ50へ制御信号を送信する。また、流量制御部133は、温度情報取得部131によって取得された温度情報に基づき、制御後の温度が所定の温度未満、又は制御後の温度差が所定の温度差未満となるように、バルブ50の制御量を決定する。
【0060】
ステップS105の後、冷却制御装置100は、処理をステップS101へ戻し、ステップS103にてNOとなるまで、ステップS101~S105の処理を繰り返す。
【0061】
以上説明したように、第1の実施形態に係る冷却制御装置100は、流動式焼却炉10から排出される排ガス3が流入する空気予熱器20(機器)の管板部21(入口部)における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部131と、取得された温度情報に基づき、流動式焼却炉10のフリーボード部12の上部12Cに設けられた複数の水スプレー40(水供給装置)の中から、制御対象となる水スプレー40を選択する制御対象選択部132と、取得された温度情報に基づき、制御対象として選択された水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する流量制御部133と、を備える。
【0062】
かかる構成により、流動式焼却炉10では、フリーボード部12の上部12Cにて水スプレー40によって排ガス3の温度が調整される。これにより、排ガス3において局所的に生じている高温部又は低温部が少なくなり、空気予熱器20において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が発生することを防止することができる。
また、流動式焼却炉10では、複数の水スプレー40から分散して冷却水4が供給されるため、1本の水スプレー40から供給される冷却水4の流量が少なくなり、冷却水4がフリーボード部12の下部12Aへ垂れ落ちること及び低温域の発生が防止される。これにより、流動式焼却炉10において低温域の発生に起因して一酸化二窒素の排出量低減が阻害されることや高温域が発生すること、流動式焼却炉10における局所的な低温域及び高温域の発生によって排ガス3に温度差が生じること、及び流動式焼却炉10から排出された排ガス3が流入する空気予熱器20において排ガスの温度に起因する問題が発生することなどを防止することができる。
【0063】
よって、第1の実施形態に係る冷却制御装置100は、流動式焼却炉10から排出された排ガス3が流入する空気予熱器20(機器)において排ガス3の温度に起因する問題発生を防止することを可能とする。
【0064】
<1-4.変形例>
以上、第1の実施形態について説明した。続いて、上述した第1の実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で第1の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで第1の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、第1の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、第1の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0065】
上述した第1の実施形態では、冷却制御装置100の記憶部120に対応情報が記憶されており、対応情報に基づき制御対象選択部132によって選択された制御対象について、流量制御部133が流量を制御する例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、冷却制御装置100は、対応情報を用いずに選択された制御対象について、流量制御部133が流量を制御可能な構成であってもよい。
【0066】
ここで、
図8を参照して、この場合における冷却制御装置100Aのハードウェア構成について説明する。
図8は、第1の実施形態の変形例に係る冷却制御装置100Aのハードウェア構成の一例を示す図である。
【0067】
図8に示すように、冷却制御装置100Aは、TIC(Temperature Indication Controller)101及びFIC(Flow Indication Controller)102を備える。TIC101には、温度計60A’~60D’によって測定された温度情報が入力される。TIC101とFIC102は、結線されている。例えば、TIC101とFIC102は、管板部21の領域について温度調整が必要であると判定された際に、当該領域に対応するバルブ50に対して制御信号を送信可能に結線される。
図8では、例えば、温度計60A’によって取得された温度情報より領域22A’の温度調整が必要であると判定された場合に、領域13Cに冷却水4を供給する水スプレー40Cに対応するバルブ50Cに対して制御信号を送信するよう結線されている。
また、温度計60B’によって取得された温度情報より領域22B’の温度調整が必要であると判定された場合に、領域13Aに冷却水4を供給する水スプレー40Aに対応するバルブ50Aに対して制御信号を送信するよう結線されている。
また、温度計60C’によって取得された温度情報より領域22C’の温度調整が必要であると判定された場合に、領域13Dに冷却水4を供給する水スプレー40Dに対応するバルブ50Dに対して制御信号を送信するよう結線されている。
また、温度計60D’によって取得された温度情報より領域22D’の温度調整が必要であると判定された場合に、領域13Bに冷却水4を供給する水スプレー40Bに対応するバルブ50Bに対して制御信号を送信するよう結線されている。
これにより、制御対象選択部132は、対応情報を用いることなく、温度調整が必要であると判定された管板部21の領域に対応するバルブ50に対して制御信号を送信することができる。
【0068】
また、上述した第1の実施形態では、管板部21の断面領域を複数に分割した領域ごとに温度計60が設けられる例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、温度計60は、管板部21の領域において最高温度となる領域及び最低温度となる領域のみに設けられてもよい。管板部21の領域において最高温度となる領域及び最低温度となる領域は、焼却設備1に対する熱流体解析による解析結果に基づき、あらかじめ検出することが可能である。
【0069】
また、上述した第1の実施形態では、フリーボード部12の上部12Cの断面領域の分割数、水スプレー40の数、バルブ50の数、管板部21の断面領域の分割数、及び温度計60の数がそれぞれ4である例について説明したが、かかる例に限定されない。各数は、流動式焼却炉10の大きさや空気予熱器20の大きさに応じて、任意の数が設定されてもよい。例えば、フリーボード部12の上部12Cの断面領域及び管板部21の断面領域がそれぞれ6つに分割され、水スプレー40、バルブ50、及び温度計60がそれぞれ6つずつ設けられてもよい。
【0070】
<<2.第2の実施形態>>
以上、第1の実施形態について説明した。続いて、
図9から
図11を参照して、第2の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態では、1つの冷却制御装置が、温度計から送信される温度情報に基づき、複数の水スプレーの中から制御対象となる水スプレーを選択し、制御対象として選択した水スプレーから炉内へ供給される冷却水の流量を制御する例(即ち冷却制御装置とバルブが1:多の関係)について説明したが、かかる例に限定されない。第2の実施形態では、バルブの数に応じた冷却制御装置(即ち複数の冷却制御装置)が用意され、1つの冷却制御装置が1つのバルブを制御する例(即ち冷却制御装置とバルブが1:1の関係)について説明する。
なお、以下では、第1の実施形態と重複する説明は適宜省略される。
【0071】
<2-1.焼却設備の概略構成>
第2の実施形態に係る焼却設備の概略構成は、上述した第1の実施形態にて
図1を参照して説明した焼却設備1の概略構成と同様であるため、その説明を省略する。
以下では、第2の実施形態に係る焼却設備及び焼却設備に含まれる各構成について、第1の実施形態に係る焼却設備1及び焼却設備1に含まれる各構成と同じ符号を用いるものとする。なお、冷却制御装置については、符号100Bを用いるものとする。
【0072】
ここで、
図9を参照して、第2の実施形態に係る冷却水4が供給される領域と、管板部21の領域と、冷却制御装置100Bと入出力との対応関係について説明する。
図9は、第2の実施形態に係る冷却水4が供給される領域と、管板部21の領域と、冷却制御装置100Bにおける入出力関係の一例を示す図である。
図9に示す例では、第1の実施形態にて
図2を参照して説明した例と比較し、冷却制御装置100Bが複数ある点が異なる。
図9に示す例では、一例として、4つの冷却制御装置100B-1~100B-4が設けられている。これに伴い、冷却制御装置100Bにおける入出力関係は、第1の実施形態の冷却制御装置100における入出力関係と異なっている。
温度計60A’~60D’は、冷却制御装置100B-1~100B-4の各々に対して測定した管板部21の領域の温度情報を送信可能に、冷却制御装置100B-1~100B-4と接続されている。即ち、冷却制御装置100B-1~100B-4の各々は、全ての温度計60A’~60D’から温度情報を受信する。
また、各バルブ50は、冷却制御装置100B-1~100B-4のうち、対応する1つの冷却制御装置から冷却水4の流量を制御するための制御信号を受信可能に、1つの冷却制御装置と接続されている。即ち、冷却制御装置100B-1~100B-4の各々は、自装置と接続されたバルブ50にのみ制御信号を送信する。
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1はバルブ50Dと接続され、冷却制御装置100B-2はバルブ50Aと接続され、冷却制御装置100B-3はバルブ50Cと接続され、冷却制御装置100B-4はバルブ50Bと接続されている。
【0073】
冷却制御装置100B-1~100B-4の各々は、温度計60A’~60D’から入力される温度情報に基づき、領域22A’~領域22D’のうち自装置と対応する領域の温度調整が必要であるか否かを判定する。
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1は領域22C’、冷却制御装置100B-2は領域22B’、冷却制御装置100B-3は領域22A’、冷却制御装置100B-4は領域22D’についてそれぞれ判定するものとする。冷却制御装置100B-1~100B-4は、例えば自装置が領域22A’~領域22D’のうちどの領域と対応するかを示す領域対応情報をそれぞれ有し、当該領域対応情報に基づき自装置と対応する領域を認識する。
冷却制御装置100B-1~100B-4のうち、自装置と対応する領域の温度調整が必要であると判定した冷却制御装置は、自装置と接続されているバルブ50に対して、制御信号を送信する。
【0074】
なお、冷却制御装置100B-1~100B-4の各々と領域22A’~領域22D’との対応関係、及び冷却制御装置100B-1~100B-4の各々とバルブ50A~バルブ50Dとの接続関係は、焼却設備1に対する熱流体解析による解析結果に基づき予め設定される。当該熱流体解析により、流動式焼却炉10における領域13A~13Dのうち、どの領域に対して冷却水4を供給すると、空気予熱器20の領域22A’~22D’のうち、どの領域の温度が変化するかを把握することができる。
図9に示す例では、一例として、領域13Aに冷却水を供給すると領域22B’の温度が変化し、領域13Bに冷却水を供給すると領域22D’の温度が変化し、領域13Cに冷却水を供給すると領域22A’の温度が変化し、領域13Dに冷却水を供給すると領域22C’の温度が変化するものとする。
これより、
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1は領域22C’の温度を調整するためにバルブ50Dと接続され、冷却制御装置100B-2は領域22B’の温度を調整するためにバルブ50Aと接続され、冷却制御装置100B-3は領域22A’の温度を調整するためにバルブ50Cと接続され、冷却制御装置100B-4は領域22D’の温度を調整するためにバルブ50Bと接続されている。
【0075】
<2-2.冷却制御装置の機能構成>
以上、第2の実施形態に係る焼却設備1の概略構成について説明した。続いて、
図10を参照して、第2の実施形態に係る冷却制御装置100Bの機能構成について説明する。
図10は、第2の実施形態に係る冷却制御装置100Bの機能構成の一例を示す図である。
図10に示すように、冷却制御装置100Bは、通信部110Bと、記憶部120Bと、制御部130Bとを備える。
【0076】
(1)通信部110B
通信部110Bは、各種情報を送受信する機能を有する。例えば、通信部110Bは、温度計60A’~60D’の全てから温度情報を受信し、バルブ50A~バルブ50Dのうち自装置に接続されているバルブ50へ制御信号を送信する。
【0077】
(2)記憶部120B
記憶部120Bは、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部120Bは、例えば領域対応情報を記憶する。
【0078】
(3)制御部130B
制御部130Bは、冷却制御装置100Bの動作全般を制御する機能を有する。
図10に示すように、制御部130Bは、温度情報取得部131Bと、制御要否判定部134と、流量制御部133Bとを備える。
【0079】
(3-1)温度情報取得部131B
温度情報取得部131Bは、温度情報を取得する機能を有する。例えば、温度情報取得部131Bは、通信部110Bが温度計60A’~60D’から受信した温度情報を取得する。温度情報取得部131Bは、取得した温度情報を制御要否判定部134及び流量制御部133Bへ出力する。
【0080】
(3-2)制御要否判定部134
制御要否判定部134は、制御の要否を判定する機能を有する。例えば、制御要否判定部134は、温度情報取得部131Bによって取得された温度情報に基づき、管板部21において自装置と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する。
【0081】
制御要否判定部134は、管板部21を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度以上であるか否かを判定する。所定の温度以上である場合、制御要否判定部134は、制御が必要であると判定する。
例えば
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1の制御要否判定部134は、温度計60C’から取得した温度情報が示す領域22C’の温度が所定の温度以上である場合、領域22C’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-2の制御要否判定部134は、温度計60B’から取得した温度情報が示す領域22B’の温度が所定の温度以上である場合、領域22B’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-3の制御要否判定部134は、温度計60A’から取得した温度情報が示す領域22A’の温度が所定の温度以上である場合、領域22A’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-4の制御要否判定部134は、温度計60D’から取得した温度情報が示す領域22D’の温度が所定の温度以上である場合、領域22D’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
一方で、制御要否判定部134は、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度未満である場合、制御が不要であると判定する。
【0082】
また、制御要否判定部134は、管板部21の複数の領域における温度差に基づき、管板部21の温度調整が必要であるか否かを判定してもよい。例えば、制御要否判定部134は、管板部21を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上であるか否かを判定する。温度差が所定の温度差以上である場合、制御要否判定部134は、制御が必要であると判定する。
例えば
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1の制御要否判定部134は、温度計60C’から取得した温度情報が示す領域22C’の温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、領域22C’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-2の制御要否判定部134は、温度計60B’から取得した温度情報が示す領域22B’の温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、領域22B’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-3の制御要否判定部134は、温度計60A’から取得した温度情報が示す領域22A’の温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、領域22A’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
冷却制御装置100B-4の制御要否判定部134は、温度計60D’から取得した温度情報が示す領域22D’の温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、領域22D’について温度調整のための制御が必要であると判定する。
一方で、制御要否判定部134は、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が最高温度であるが、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差未満である場合、制御が不要であると判定する。
【0083】
なお、制御要否判定部134は、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度未満であり制御が不要であると判定した場合であっても、他の領域との温度差に基づく判定によって制御が必要であると判定してもよい。
【0084】
(3-3)流量制御部133B
流量制御部133Bは、水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する機能を有する。例えば、流量制御部133は、制御要否判定部134によって制御が必要であると判定された場合、温度情報取得部131によって取得された温度情報に基づき、自装置と接続されている水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する。
【0085】
制御要否判定部134によって自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度以上であることにより、制御が必要であると判定されたとする。この場合、流量制御部133Bは、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において、自装置に対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度未満となるように、自装置と接続されている水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する。具体的に、流量制御部133Bは、自装置に対応する領域の温度が所定の温度未満となるように、自装置に接続されている水スプレー40の流量を制御するバルブ50に対して、制御信号を送信する。
例えば
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22C’について制御が必要であると判定された場合、領域22C’の温度が所定の温度未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Dに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-2の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22B’について制御が必要であると判定された場合、領域22B’の温度が所定の温度未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Aに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-3の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22A’について制御が必要であると判定された場合、領域22A’の温度が所定の温度未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Cに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-4の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22D’について制御が必要であると判定された場合、領域22D’の温度が所定の温度未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Bに対して制御信号を送信する。
【0086】
制御要否判定部134によって自装置と対応する領域と他の領域との温度差が所定の温度差以上であることにより、制御が必要であると判定されたとする。この場合、流量制御部133Bは、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において、自装置に対応する領域の温度情報が示す最高温度と、他の温度情報が示す最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置と接続されている水スプレー40から供給される冷却水4の流量を制御する。具体的に、流量制御部133Bは、温度差が所定の温度差未満となるように、自装置に接続されている水スプレー40の流量を制御するバルブ50に対して、制御信号を送信する。
例えば
図9に示す例では、冷却制御装置100B-1の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22C’について制御が必要であると判定された場合、領域22C’の温度と最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Dに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-2の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22B’について制御が必要であると判定された場合、領域22B’の温度と最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Aに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-3の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22A’について制御が必要であると判定された場合、領域22A’の温度と最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Cに対して制御信号を送信する。
冷却制御装置100B-4の流量制御部133Bは、制御要否判定部134によって領域22D’について制御が必要であると判定された場合、領域22D’の温度と最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置に接続されているバルブ50Bに対して制御信号を送信する。
【0087】
<2-3.処理の流れ>
以上、第2の実施形態に係る冷却制御装置100Bの機能構成について説明した。続いて、
図11を参照して、第2の実施形態に係る処理の流れについて説明する。
図11は、第2の実施形態に係る冷却制御装置100Bにおける処理の流れの一例を示すフローチャート図である。
【0088】
図11に示すように、まず、冷却制御装置100Bの温度情報取得部131Bは、空気予熱器20の管板部21に設けられた複数の温度計60によって測定される温度情報を取得する(ステップS201)。
【0089】
次いで、冷却制御装置100Bの制御要否判定部134は、温度情報取得部131Bによって取得された温度情報に基づき、管板部21において自装置(冷却制御装置100B)と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する。
まず、制御要否判定部134は、管板部21を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が所定の温度以上であるか否かを判定する(ステップS202)。温度が所定の温度以上である場合(ステップS202/YES)、制御要否判定部134は、制御が必要であると判定し、処理をステップS204へ進める。一方、温度が所定の温度未満である場合(ステップS202/NO)、制御要否判定部134は、処理をステップS203へ進める。
【0090】
処理がステップS203へ進んだ場合、制御要否判定部134は、管板部21の断面領域を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の温度情報が示す温度が最高温度であり、他の温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上であるか否かを判定する(ステップS203)。温度差が所定の温度差以上である場合(ステップS203/YES)、制御要否判定部134は、制御が必要であると判定し、処理をステップS204へ進める。一方で、温度差が所定の温度差未満である場合(ステップS203/NO)、制御要否判定部134は、制御が不要であると判定し、処理をステップS201へ戻す。
【0091】
処理がステップS204へ進んだ場合、冷却制御装置100Bの流量制御部133Bは、自装置と接続されている水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する(ステップS204)。この時、流量制御部133Bは、温度情報取得部131Bによって取得された温度情報に基づき、制御後の温度が所定の温度未満、又は制御後の温度差が所定の温度差未満となるように、バルブ50の制御量を決定する。
【0092】
ステップS204の後、冷却制御装置100Bは、処理をステップS201へ戻し、ステップS203にてNOとなるまで、ステップS201~S204の処理を繰り返す。
【0093】
以上説明したように、第2の実施形態に係る冷却制御装置100B(100B-1~100B-4)は、流動式焼却炉10から排出される排ガス3が流入する空気予熱器20(機器)の管板部21(入口部)における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部131Bと、取得された温度情報に基づき、管板部21において冷却制御装置100B(自装置)と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する制御要否判定部134と、制御が必要であると判定された場合、取得された温度情報に基づき、流動式焼却炉10のフリーボード部12の上部12Cに設けられた複数の水スプレー40(水供給装置)のうち、冷却制御装置100Bと接続されている水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する流量制御部133Bと、を備える。
【0094】
かかる構成により、流動式焼却炉10では、フリーボード部12の上部12Cにて水スプレー40によって排ガス3の温度が調整される。これにより、排ガス3において局所的に生じている高温部又は低温部が少なくなり、空気予熱器20において熱損傷や焼却灰の溶融による付着や閉塞などの問題が発生することを防止することができる。
また、流動式焼却炉10では、複数の水スプレー40から分散して冷却水4が供給されるため、1本の水スプレー40から供給される冷却水4の流量が少なくなり、冷却水4がフリーボード部12の下部12Aへ垂れ落ちること及び低温域の発生が防止される。これにより、流動式焼却炉10において低温域の発生に起因して一酸化二窒素の排出量低減が阻害されることや高温域が発生すること、流動式焼却炉10における局所的な低温域及び高温域の発生によって排ガス3に温度差が生じること、及び流動式焼却炉10から排出された排ガス3が流入する空気予熱器20において排ガスの温度に起因する問題が発生することなどを防止することができる。
【0095】
よって、第2の実施形態に係る冷却制御装置100Bは、流動式焼却炉10から排出された排ガス3が流入する空気予熱器20(機器)において排ガス3の温度に起因する問題発生を防止することを可能とする。
【0096】
<2-4.変形例>
以上、第2の実施形態について説明した。続いて、上述した第2の実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で第2の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで第2の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、第2の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、第2の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0097】
上述した第2の実施形態では、冷却制御装置100Bの流量制御部133Bは、自装置に接続されているバルブ50を制御する際に、他の冷却制御装置100Bによって制御されているバルブ50の水スプレー40から供給される冷却水4の水量と、各水スプレー40から流動式焼却炉10の炉内へ供給される冷却水4の総供給水量とを考慮した制御を行ってもよい。例えば、流量制御部133Bは、各水スプレー40から実際に供給されている冷却水4の水量の総供給水量が予め設定された総供給水量を超えないように、各水スプレー40から供給される冷却水4の水量を制御する。
この場合、複数の冷却制御装置100Bは、自装置が制御する水スプレー40から供給される冷却水4の水量を他の冷却制御装置100Bと共有するために、互いに通信可能に接続される。また、各冷却制御装置100Bの記憶部120Bには、予め設定された総供給水量を示す情報が記憶される。
流量制御部133Bは、自装置が制御する水スプレー40から供給される冷却水4の水量と、他の冷却制御装置100Bが制御する水スプレー40から供給される冷却水4の水量とから算出される総供給水量に基づき、自装置と接続されている水スプレー40から炉内へ供給される冷却水4の流量を制御する。具体的に、まず、各冷却制御装置100Bの流量制御部133Bは、自装置が制御する水スプレー40から供給される冷却水4の水量を示す情報と、他の冷却制御装置100Bが制御する水スプレー40から供給される冷却水4の水量とを示す情報を取得する。取得後、流量制御部133Bは、取得した各情報が示す水量から総供給水量を算出する。算出後、流量制御部133Bは、算出した総供給水量と記憶部120に記憶されている情報が示す総供給水量とを比較する。そして、流量制御部133Bは、実際の総供給水量が予め設定された総供給水量を超えないように、各水スプレー40から供給される冷却水4の水量(流量)を調整するため、各バルブ50に対して制御信号を送信する。
【0098】
また、上述した第2の実施形態では、管板部21の断面領域を複数に分割した領域ごとに温度計60が設けられる例について説明したが、かかる例に限定されない。例えば、温度計60は、管板部21の領域において最高温度となる領域及び最低温度となる領域のみに設けられてもよい。管板部21の領域において最高温度となる領域及び最低温度となる領域は、焼却設備1に対する熱流体解析による解析結果に基づき、あらかじめ検出することが可能である。
【0099】
また、上述した第2の実施形態では、フリーボード部12の上部12Cの断面領域の分割数、水スプレー40の数、バルブ50の数、管板部21の断面領域の分割数、及び温度計60の数がそれぞれ4である例について説明したが、かかる例に限定されない。各数は、流動式焼却炉10の大きさや空気予熱器20の大きさに応じて、任意の数が設定されてもよい。例えば、フリーボード部12の上部12Cの断面領域及び管板部21の断面領域がそれぞれ6つに分割され、水スプレー40、バルブ50、及び温度計60がそれぞれ6つずつ設けられてもよい。
【0100】
<2-5.付記>
以下、第2の実施形態の態様に関する付記を記載する。
(1)第2の実施形態に係る一態様は、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得部と、取得された前記温度情報に基づき、前記入口部において自装置と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する制御要否判定部と、前記制御が必要であると判定された場合、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置のうち、自装置と接続されている前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御部と、を備える冷却制御装置である。
【0101】
(2)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記制御要否判定部は、前記入口部を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の前記温度情報が示す温度が所定の温度以上である場合、前記制御が必要であると判定してもよい。
【0102】
(3)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記制御要否判定部は、前記入口部を分割した複数の領域において、自装置と対応する領域の前記温度情報が示す温度が最高温度であり、他の前記温度情報が示す温度が最低温度である領域との温度差が所定の温度差以上である場合、前記制御が必要であると判定してもよい。
【0103】
(4)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)又は上記(2)に記載の冷却制御装置であって、前記流量制御部は、前記入口部を分割した複数の領域において、自装置に対応する領域の前記温度情報が示す温度が所定の温度未満となるように、自装置と接続されている前記水供給装置から供給される前記冷却水の流量を制御してもよい。
【0104】
(5)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)又は上記(3)に記載の冷却制御装置であって、前記流量制御部は、前記入口部を分割した複数の領域において、自装置に対応する領域の前記温度情報が示す最高温度と、他の温度情報が示す最低温度との温度差が所定の温度差未満となるように、自装置と接続されている前記水供給装置から供給される前記冷却水の流量を制御してもよい。
【0105】
(6)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記流量制御部は、自装置が制御する前記水供給装置から供給される前記冷却水の水量と、他の冷却制御装置が制御する前記水供給装置から供給される冷却水の水量とから算出される総供給水量に基づき、自装置と接続されている前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御してもよい。
【0106】
(7)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記機器は、空気予熱器であり、前記入口部は、前記空気予熱器の管板部であってもよい。
【0107】
(8)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記流動式焼却炉は、前記フリーボード部の下部及び中部の少なくともいずれか一方が高温域となるよう焼却可能な焼却炉であってもよい。
【0108】
(9)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置であって、前記水供給装置は、前記流動式焼却炉のフリーボード部の天蓋部に設けられた装置であってもよい。
【0109】
(10)第2の実施形態に係る一態様は、上記(1)に記載の冷却制御装置を備える焼却設備であってもよい。
【0110】
(11)第2の実施形態に係る一態様は、コンピュータが、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得過程と、取得された前記温度情報に基づき、前記入口部において自装置と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する制御要否判定過程と、前記制御が必要であると判定された場合、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置のうち、自装置と接続されている前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御過程と、を含む冷却制御方法である。
【0111】
(12)第2の実施形態に係る一態様は、コンピュータを、流動式焼却炉から排出される排ガスが流入する機器の入口部における温度を示す温度情報を取得する温度情報取得手段と、取得された前記温度情報に基づき、前記入口部において自装置と対応する領域における温度を調整するための制御が必要であるか否かを判定する制御要否判定手段と、前記制御が必要であると判定された場合、取得された前記温度情報に基づき、前記流動式焼却炉のフリーボード部の上部に設けられた複数の水供給装置のうち、自装置と接続されている前記水供給装置から炉内へ供給される冷却水の流量を制御する流量制御手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0112】
以上、実施形態について説明した。
なお、上述した実施形態における冷却制御装置100の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0113】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0114】
1…焼却設備、2…焼却対象、3…排ガス、4…冷却水、10…流動式焼却炉、11…砂層部、12…フリーボード部、12A…下部、12B…中部、12C…上部、20…空気予熱器、21…管板部、30…ダクト、40(40A~40D)…水スプレー、50(50A~50D)…バルブ、60(60A’~60D’)…温度計、100,100A,100B(100B-1~100B-4)…冷却制御装置、110,110B…通信部、120,120B…記憶部、130,130B…制御部、131,131B…温度情報取得部、132…制御対象選択部、133,133B…流量制御部、134…制御要否判定部