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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017341
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】回路遮断器及び分電盤
(51)【国際特許分類】
   H01H 73/20 20060101AFI20240201BHJP
   H02B 1/40 20060101ALI20240201BHJP
   H02B 1/20 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
H01H73/20 B
H02B1/40 D
H02B1/20 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119902
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000005821
【氏名又は名称】パナソニックホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】毛 翔
(72)【発明者】
【氏名】宮川 紘平
(72)【発明者】
【氏名】中道 義也
【テーマコード(参考)】
5G016
5G030
5G211
【Fターム(参考)】
5G016DC01
5G030XX20
5G030YY04
5G211AA11
5G211AA12
5G211AA17
5G211BB09
5G211DD05
5G211EE07
5G211GG05
5G211GG10
(57)【要約】
【課題】外ケースが変形する可能性を低減できる回路遮断器及び分電盤を提供すること。
【解決手段】回路遮断器A1は、1次側の電線の導体と電気的に接続される端子ブロックB1と、端子ブロックB1と2次側の導体の間の電路に挿入された接点部と、接点部を開閉する開閉機構部と、外ケース7と、を有する。端子ブロックB1は、電路と電気的に接続されている端子板と、1次側の電線の導体に対して端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、内ケース5と、を備える。内ケース5は、端子板及びばね部材を収容する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側の電線の導体と電気的に接続される端子ブロックと、
前記端子ブロックと2次側の導体の間の電路に挿入された接点部と、
前記接点部を開閉する開閉機構部と、
前記端子ブロック、前記接点部、及び前記開閉機構部を収容する外ケースと、
を有し、
前記端子ブロックは、
前記電路と電気的に接続されている端子板と、
前記1次側の電線の導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与するばね部材と、
前記端子板及び前記ばね部材を収容する内ケースと、
を備える、
回路遮断器。
【請求項2】
前記内ケースは、前記内ケースを第1突き合わせ面で分割した第1筐体と第2筐体とを備え、
前記外ケースは、前記外ケースを第2突き合わせ面で分割した第3筐体と第4筐体とを備え、
前記第1突き合わせ面の法線方向と第2突き合わせ面の法線方向が交差する、
請求項1記載の回路遮断器。
【請求項3】
前記ばね部材が前記1次側の電線の導体に付与する前記接圧力の方向が前記第1突き合わせ面と平行である、
請求項2記載の回路遮断器。
【請求項4】
前記第1筐体及び前記第2筐体の一方には、前記第1筐体及び前記第2筐体の他方に設けられた被係合部とスナップイン結合する係合部が設けられている、
請求項2記載の回路遮断器。
【請求項5】
前記端子ブロックは、
前記ばね部材を変形させる向きに移動することで前記接圧力を調整する調整部材と、
前記調整部材を固定する固定位置と前記調整部材を固定せずに移動可能とする非固定位置との間を移動可能である固定部材と、を更に備える、
請求項1記載の回路遮断器。
【請求項6】
前記固定部材の少なくとも一部が露出する開口が前記外ケースに設けられている、
請求項5記載の回路遮断器。
【請求項7】
前記内ケースには、前記1次側の電線の導体を挿入するための電線挿入孔が設けられ、
前記内ケースには、前記電線挿入孔から前記内ケースの内部に前記1次側の電線が挿入された状態で、前記1次側の電線の挿入方向と交差する観察方向から前記1次側の電線を目視可能とする観察孔が設けられている、
請求項1記載の回路遮断器。
【請求項8】
前記観察孔の少なくとも一部が露出する窓孔が前記外ケースに設けられている、
請求項7記載の回路遮断器。
【請求項9】
請求項1~8のいずれかの回路遮断器と、
前記回路遮断器を収容するボックスと、
を備える、
分電盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、回路遮断器及び分電盤に関し、より詳細には、速結端子を有する回路遮断器、及び当該回路遮断器を備える分電盤に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電線接続用ねじ端子を備えた主幹用ブレーカ(以下、従来例という)と、電線接続用ねじ端子に接続されるねじ無し端子ユニットを開示する。
【0003】
ねじ無し端子ユニットは、主幹用ブレーカの電線接続用ねじ端子に接続されるねじ端子挿入バーと、ねじ端子挿入バーに電気的に接続されるねじ無し端子と、ねじ端子挿入バー及びねじ無し端子を外装する樹脂ケースとを有している。主幹用ブレーカの電線接続用ねじ端子にはねじ無し端子ユニットのねじ端子挿入バーが接続され、ねじ無し端子ユニットのねじ無し端子に電線が接続される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-201404号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来例の主幹用ブレーカでは、ねじ無し端子ユニットのねじ無し端子に電線が接続されるので、ねじ無し端子に電線を接続する際の接続不良を低減できる。しかしながら、ねじ無し端子ユニットは、主幹用ブレーカに外付けされる樹脂ケースの内部にねじ無し端子を収容しているので、ねじ無し端子が電線を保持するばね力が外装ユニットに加わった場合、外装ユニットにねじ無し端子から加わるばね力によって、外装ユニット(外ケース)の変形などが発生する可能性があった。
【0006】
本開示の目的は、外ケースが変形する可能性を低減できる回路遮断器及び分電盤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様の回路遮断器は、端子ブロックと、接点部と、開閉機構部と、外ケースと、を有する。前記端子ブロックは、1次側の電線の導体と電気的に接続される。前記接点部は、前記端子ブロックと2次側の導体の間の電路に挿入される。前記開閉機構部は前記接点部を開閉する。前記外ケースは、前記端子ブロック、前記接点部、及び前記開閉機構部を収容する。前記端子ブロックは、端子板と、ばね部材と、内ケースと、を備える。前記端子板は前記電路と電気的に接続されている。前記ばね部材は、前記1次側の電線の導体に対して前記端子板に接する向きの接圧力を付与する。前記内ケースは、前記端子板及び前記ばね部材を収容する。
【0008】
本開示の一態様の分電盤は、前記回路遮断器と、前記回路遮断器を収容するボックスと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、外ケースが変形する可能性を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本開示の実施形態に係る回路遮断器の正面図である。
図2図2は、同上の回路遮断器の外観斜視図である。
図3図3は、同上の回路遮断器の要部の分解斜視図である。
図4図4は、同上の回路遮断器の回路ブロック図である。
図5図5は、同上の回路遮断器が有する端子ブロックの斜視図である。
図6図6は、同上の端子ブロックの分解斜視図である。
図7図7は、同上の端子ブロックにおける固定部材の斜視図である。
図8図8は、同上の端子ブロックの固定部材が固定位置に移動した状態の、第2筐体を外した正面図である。
図9図9は、同上の端子ブロックの固定部材が固定位置に移動した状態の、第2筐体を外した斜視図である。
図10図10は、同上の端子ブロックの固定部材が固定位置に移動した状態の要部の斜視図である。
図11図11は、同上の端子ブロックの固定部材が非固定位置に移動した状態の、第2筐体を外した正面図である。
図12図12は、同上の端子ブロックに電線を接続した状態の、第2筐体を外した正面図である。
図13図13は、同上の端子ブロックに電線を接続した状態の正面図である。
図14図14は、本開示の実施形態に係る分電盤の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態に係る回路遮断器及び分電盤について、図面を参照して詳細に説明する。ただし、下記の実施形態において説明する各図は模式的な図であり、各構成要素の大きさ及び厚さのそれぞれの比が必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。なお、以下の実施形態で説明する構成は本開示の一例にすぎない。本開示は、以下の実施形態に限定されず、本開示の効果を奏することができれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0012】
(1)概要
実施形態に係る回路遮断器A1は、端子ブロックB1と、接点部A11と、開閉機構部A12と、外ケース7と、を有する(図1図4参照)。
【0013】
端子ブロックB1は、1次側の電線W1の導体W10と電気的に接続される(図12及び図13参照)。接点部A11は、端子ブロックB1と2次側の導体(言い換えると、2次側端子A16)の間の電路A16に挿入される(図4参照)。開閉機構部A12は、接点部A11を開閉する。
【0014】
端子ブロックB1は、端子板(第1端子板1)と、ばね部材2と、内ケース5と、を備える(図6図8、及び図11参照)。
【0015】
第1端子板1は、電路A16と電気的に接続されている。
【0016】
ばね部材2は、導体W10に対して第1端子板1に接する向き(図8において矢印F1で示す向きであり、図8における上向き)の接圧力を付与する。
【0017】
内ケース5は、第1端子板1及びばね部材2を収容する。
【0018】
外ケース7は、端子ブロックB1、接点部A11、及び開閉機構部A12を収容する。
【0019】
なお、以下の説明では、図1図2及び図5に矢印で示す前後、上下、左右の各方向を回路遮断器A1及び端子ブロックB1の前後、上下、左右の各方向と定める。ただし、これらの方向は、回路遮断器A1及び端子ブロックB1の使用状態を限定するものではない。
【0020】
実施形態に係る回路遮断器A1は、例えば、住宅用分電盤(以下、住宅盤という。)の主開閉器(主幹ブレーカとも呼ばれる。)に用いられる。回路遮断器A1が主開閉器として用いられる場合、2次側の導体は、住宅盤に収容される複数の分岐開閉器に接続される。
【0021】
実施形態に係る回路遮断器A1によれば、端子ブロックB1が備えるばね部材2は、内ケース5に収容されている。そして、端子ブロックB1は、接点部A11及び開閉機構部A12と共に外ケース7に収容されている。ばね部材2に電線W1の導体W10を接続したときにばね部材2が変形することによって発生するばね力が内ケース5に加わる可能性があるが、外ケース7は、ばね部材2を収容した内ケース5を収容しているので、外ケース7にはばね部材2のばね力が加わる可能性を低減できる。したがって、外ケース7がばね部材2のばね力によって変形する可能性を低減できるという利点がある。
【0022】
また、実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1と、実施形態に係る回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(図14参照)。
【0023】
実施形態に係る分電盤C1は、実施形態に係る回路遮断器A1を備えているので、外ケース7がばね部材2のばね力によって変形する可能性を低減できる。
【0024】
(2)実施形態に係る回路遮断器の詳細
実施形態に係る回路遮断器A1(以下、回路遮断器A1と略す。)は、図1図4に示すように、3つの端子ブロックB1と、3つの接点部A11と、開閉機構部A12と、を備え、引外し装置A14を更に備える。外ケース7は、3つの端子ブロックB1、3つの接点部A11、開閉機構部A12、及び引外し装置A14を収容する。回路遮断器A1は、3極の中性線欠相保護機能付の漏電遮断器であり、単相3線式の住宅盤における主開閉器として用いられる。ただし、回路遮断器A1は、3極未満又は4極以上の回路遮断器であってもよいし、中性線欠相保護機能及び漏電遮断機能の一方又は両方を有しない回路遮断器であってもよい。
【0025】
接点部A11は、端子ブロックB1の第1端子板1と電気的に接続された固定接点と、2次側端子A15と電気的に接続された可動接点と、を有する(図4参照)。なお、端子ブロックB1の第1端子板1に可動接点が設けられ、2次側端子A15に固定接点が設けられていてもよい。可動接点は、固定接点に接触導通する閉極の状態と、固定接点に対して十分な絶縁距離をとって離れた開極の状態との間を移動可能である。
【0026】
開閉機構部A12は、操作ハンドルA17の操作に応じて可動接点を移動させることで接点部A11を開閉可能である。引外し装置A14は、過負荷電流、短絡電流、及び漏電電流などの異常な電流が電路A16に流れていることを検出すると、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。また、引外し装置A14は、中性線が欠相していることを検出した場合も、開閉機構部A12を介して3つの接点部A11を強制的に開極させる。
【0027】
外ケース7は、外ケース7を第2突き合わせ面PL2で分割した第3筐体71と第4筐体72とを備える。より詳細には、外ケース7は、外ケース7の前面と平行な第2突き合わせ面PL2に沿って外ケース7を前後に二分割した第3筐体71と第4筐体72とを結合して構成される(図1図3参照)。ここにおいて、2つの面が「平行」であるとは、2つの面が完全に平行であることに限定されず、2つの面が数度程度の角度で交差している状態を含み得る。また、第2突き合わせ面PL2は1つの平面であることに限定されず、外ケース7の前面と平行な複数の平面が段々に連なったような突き合わせ面でもよい。
【0028】
第3筐体71及び第4筐体72は、いずれも電気絶縁性を有する合成樹脂の成形体で形成されている。第3筐体71は、前面が開放された箱形に形成されている。第4筐体72は、後面が開放された箱形に形成されている。第3筐体71の前面に第4筐体72が被せられ、ねじ止めなどの適宜の方法で第3筐体71と第4筐体72が結合されて外ケース7が構成される。
【0029】
上述のように、外ケース7を構成する第3筐体71及び第4筐体72には、3つの端子ブロックB1、3つの接点部A11、開閉機構部A12、引外し装置A14、2次側端子A15、電路A16、及び操作ハンドルA17等が収容される。第3筐体71の上部の前面には、3つの凹所711が横並びに設けられている(図3参照)。これら3つの凹所711には、端子ブロックB1が一つずつ収められる。第4筐体72の上部の前面には、3つの窓孔7220が横並びに設けられている(図1図3参照)。これら3つの窓孔7220から3つの端子ブロックB1の一部が露出する(図1及び図2参照)。また、第4筐体72の上面には3つの電線挿入孔722が設けられており、これら3つの電線挿入孔722から3つの端子部ブロックB1の一部が露出する。ここで、端子ブロックB1の内ケース5には、1次側の電線W1の導体W10を挿入するための電線挿入孔500が設けられており、3つの電線挿入孔722から3つの端子ブロックB1の電線挿入孔500が露出する。しかして、第4筐体72の電線挿入孔722に通した電線W1が端子ブロックB1の電線挿入孔500から端子ブロックB1の内部に挿入され、第1端子板1に接続される。また、第4筐体72の側面には引出口723(図3参照)が設けられており、引出口723から3つの端子ブロックB1のそれぞれの第2端子板60(後述する)の一部が引き出される(図2参照)。
【0030】
また、回路遮断器A1は、後述する送り端子ブロック6の第2端子板60を支持する合成樹脂製の支持台73を備えている(図1及び図2参照)。支持台73は、3つの支持部730と、長方形状の取付部731と、を有している。3つの支持部730は、それぞれ高さの異なる角柱状に形成されており、取付部731の前面から前方へ突出している。ただし、3つの支持部730は、高さの高い順番に階段状に並んでいる。これら3つの支持部730は、3つの端子ブロックB1のそれぞれの第2端子板60を一つずつ支持する(図1及び図2参照)。
【0031】
また、第3筐体71には、第4筐体72の側面に設けられた引出口723と嵌合する突壁712(図3参照)が設けられており、第3筐体71と第4筐体72とが結合された状態では、突壁712と引出口723との間に後述する第2端子板60の一部が保持される。
【0032】
ただし、各端子ブロックB1の第2端子板60(後述する送り端子ブロック6)及び支持台73は、回路遮断器A1に1次側送り端子を設ける場合に必要な構成要素である。したがって、回路遮断器A1に1次送り端子が不要な場合、各端子ブロックB1の送り端子ブロック6及び支持台73も不要である。
【0033】
なお、外ケース7には、外ケース7をそれぞれ前後方向に貫通する複数の貫通孔74が設けられている(図1参照)。作業者は、複数の貫通孔74にそれぞれ通した固定ねじを、ボックスC10の底面に配置された取付板にネジ込むことによって、回路遮断器A1の外ケース7を取付板に固定することができる。なお、外ケース7の後面には、DINレール等の取り付けレールに取り付けるための取付部材が設けられていてもよく、作業者は、外ケース7を取付レールの所望の位置に取り付けることができる。
【0034】
(2-1)端子ブロック
以下に説明する端子ブロックB1の構成は、3つの端子ブロックB1に共通する構成である。
【0035】
端子ブロックB1は、上述のように、第1端子板1と、ばね部材2と、内ケース5と、を備える。端子ブロックB1は、調整部材3と、固定部材4と、送り端子ブロック6と、表示部材8と、を更に備える。
【0036】
(2-1-1)第1端子板
第1端子板1は、長方形状の接触片10と、接触片10の長手方向に沿った両辺から同じ向き(後向き)に突出する一対の側片11と、を有している。なお、接触片10と一対の側片11は、銅又は銅合金などの金属材料によって、一体かつ角とい状に形成されている(図6及び図11参照)。
【0037】
また、接触片10の上端部分はV字状に折り曲げられている。さらに、接触片10の長手方向(上下方向)の中央における左右両端には、長方形の溝100が一つずつ設けられている(図11参照)。
【0038】
(2-1-2)ばね部材
ばね部材2は、第1ばね21と、第2ばね22と、を有する。
【0039】
第1ばね21は、U字状の主部210と、主部210の一方の先端から他方の先端に向かって突出する弧状の接圧部211と、を有する。なお、主部210と接圧部211は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)によって一体に形成されている。
【0040】
接圧部211には角穴212が設けられている(図6及び図9参照)。角穴212は、接圧部211における主部210寄りの部分を厚み方向に貫通している。また、角穴212には、主部210の他方の先端部分と第1端子板1の接触片10の上端部分が挿通される。しかして、第1ばね21は、外力が加えられていないとき、接圧部211における角穴212の後端縁に接触片10の上端部分が当たった状態に維持される(図8参照)。以下、この状態をばね部材2の第1の状態と呼ぶことがある。
【0041】
第2ばね22は、帯状の金属板(例えば、ステンレス鋼板)がU字状に曲げられてトング状に形成されている。第2ばね22は、第1ばね21の主部210の内側に収められる(図6及び図8参照)。しかして、第2ばね22は、第1ばね21のばね力を補いつつばね部材2の耐久性の向上を図っている。
【0042】
(2-1-3)調整部材
調整部材3は、ばね部材2を変形させる向き(図8における下向き)に移動することで接圧力を調整する。
【0043】
調整部材3は、円柱状の本体30と、本体30の外周面に本体30と一体に形成されたねじ山31と、を有している(図6及び図8参照)。また、本体30は、本体30の軸方向に沿った六角穴300を有している(図10参照)。さらに、本体30の外周面の一部に、台形状の溝301が形成されている(図8参照)。
【0044】
(2-1-4)固定部材
固定部材4は、調整部材3を固定する固定位置(図8図10参照)と、調整部材3を固定せずに移動可能とする非固定位置(図11参照)との間を移動可能である。より詳細には、調整部材3がばね部材2を変形させる向きに移動した状態で、固定部材4が固定位置に移動して調整部材3を固定する。すなわち、固定部材4が固定位置に移動した状態では、調整部材3がばね部材2を変形させる向きに移動した状態が保持される。
【0045】
固定部材4は、操作部40と、固定部41と、一対のばね部42と、を有する(図6図8参照)。操作部40は、直方体状に形成されている。操作部40の背面における長手方向の両端からフランジ400がそれぞれ突出している(図6及び図7参照)。
【0046】
一対のばね部42はそれぞれ、長方形状に形成されている。片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の一端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。もう片方のばね部42は、操作部40の背面における短手方向の他端から、操作部40の背面に対して略45度の角度に突出している。
【0047】
固定部41は、角柱状に形成されている。固定部41は、操作部40の背面から当該背面の法線方向に沿って突出している。なお、固定部41は、操作部40の背面の長手方向において一対のばね部42の間に位置している(図7参照)。固定部41の先端面が弧状に湾曲しており、先端面に沿って湾曲する弧状の爪410が設けられている(図7参照)。また、固定部41の側面には突部43が設けられている。突部43は、角柱状に形成されて固定部41の側面から固定部41の長手方向に沿って突出している。なお、突部43の一方の端面(操作部40に近い側の端面)は、固定部41の側面から離れるにつれて操作部40から離れる向きに傾斜する傾斜面となっている(図7参照)。
【0048】
固定部材4の操作部40は、内ケース5の外から押操作される。固定部41は、操作部40が押操作されることで移動し、固定部材4が固定位置にあるときに調整部材3を固定する。操作部40の少なくとも一部は、固定部材4が固定位置にいないときに収容部51の開口510から内ケース5の外に突出する。また、端子ブロックB1が外ケース7に収容された状態では、固定部材4の操作部40は、外ケース7の窓孔7220から露出する。すなわち、固定部材4の少なくとも一部が露出する開口(窓孔7220)が外ケース7に設けられており、本実施形態では開口(窓孔7220)から固定部材4の操作部40が露出している。
【0049】
(2-1-5)表示部材
表示部材8は、円環状の表示部80と、台形状の脚部81と、を有する。脚部81は、表示部80の後面から表示部80の厚み方向(前後方向)に沿って突出している。なお、表示部80と脚部81は、合成樹脂の成形体として一体に形成されている。
【0050】
(2-1-6)送り端子ブロック
送り端子ブロック6は、第2端子板60と、固定ねじ62と、を有する(図1及び図2参照)。
【0051】
第2端子板60は、4角形状の主片600と、主片600の側端面から突出する接続片601と、主片600の側端面(接続片601が突出する側端面と反対側の側端面)から突出する固定片602と、を有する(図1参照)。ただし、主片600と接続片601と固定片602は、銅又は銅合金などの金属板が打ち抜き加工されることで一体に形成される。固定片602の先端部分には、固定片602を厚み方向に貫通する円形のねじ挿通穴が設けられている。このねじ挿通穴に固定ねじ62のねじ部が挿通される。固定片602は、支持台73の支持部730の前面に載置されて固定ねじ62によって支持部730に固定される(図1参照)。
【0052】
第2端子板60は、可撓性を有する金属(例えば、銅又は銅合金)によって円柱状に形成された接続導体(図示せず)を介して第1端子板1に電気的に接続される。接続導体の一端は、第1端子板1の接触片10とはんだ付け、溶接などの適宜の方法で電気的かつ機械的に接続される。また、接続導体の他端は、第2端子板60の接続片601とはんだ付け、溶接などの適宜の方法で電気的かつ機械的に接続される。なお、接続導体は、合成樹脂のような電気絶縁性を有する絶縁体で被覆されても構わない。
【0053】
(2-1-7)内ケース
内ケース5は、左右の幅が前後の幅及び上下の高さよりも十分に短い箱状に形成されている(図3及び図5参照)。内ケース5は、内ケース5を第1突き合わせ面PL1で分割した第1筐体5Aと第2筐体5Bとを備える。より詳細には、内ケース5は、内ケース5を左右方向の中央を通る第1突き合わせ面PL1(図2参照)で2分割した第1筐体5Aと第2筐体5Bを有する。なお、第1突き合わせ面PL1は、ケース5の前面に開口する開口部5030の中央を通るのが好ましいが、ケース5の左右方向の中央位置からずれていてもよい。また、本実施形態では、第1突き合わせ面PL1の法線方向と第2突き合わせ面PL2の法線方向が交差している。また、ばね部材2が1次側の電線W1の導体W10に付与する接圧力の方向(図8に矢印F1で示す向き)は、第1突き合わせ面PL1と平行である。
【0054】
内ケース5は、第2筐体5Bに設けられた複数の係合部57(図6参照)を第1筐体5Aに設けられた複数の被係合部58(図6参照)にスナップイン結合させて組み立てられる。係合部57は、先端に爪が設けられた引掛フックである。被係合部58は、係合部57の先端の爪が引っ掛かる段部が設けられた係合孔である。第1筐体5Aと第2筐体5Bとを第1突き合わせ面PL1で付き合わせると、複数の係合部57が複数の被係合部58にそれぞれスナップイン結合することで、第1筐体5Aと第2筐体5Bとが結合される。
【0055】
なお、図6では、第2筐体5Bに、第1筐体5Aの3箇所の被係合部58に結合する3つの係合部57が設けられているが、係合部57及び被係合部58の数は適宜変更が可能である。また、第1筐体5Aに、第2筐体5Bに設けられた複数の被係合部58とそれぞれ結合する複数の係合部57が設けられてもよい。すなわち、第1筐体5A及び第2筐体5Bの一方に、第1筐体5A及び第2筐体5Bの他方に設けられた被係合部58とスナップイン結合する係合部57が設けられていればよく、工具を必要とせずに第1筐体5A及び第2筐体5Bを組み立てることができる。
【0056】
内ケース5内には、第1収容空間501、第2収容空間502、及び第3収容空間503が設けられている(図8参照)。第1収容空間501は、第1端子板1を収容する。第1収容空間501は、内ケース5内の上後方部分に設けられた案内路50によって、内ケース5の上面に開口した電線挿入孔500とつながっている。案内路50は、電線挿入孔500から挿入される電線W1の導体W10を、第1端子板1の接触片10と一対の側片11に囲まれた空間に案内する。
【0057】
第2収容空間502は、ばね部材2を収容する。第2収容空間502には、ばね部材2を支持するばね支持部53が設けられている(図11参照)。ばね支持部53は、左右方向から見て、円柱の周面から長方形の板状の部分が突出する形状に形成されている。ばね支持部53は、第1ばね21の主部210及び第2ばね22の内側に配置されることによってばね部材2を支持する。
【0058】
第3収容空間503は、調整部材3と表示部材8を収容する。第3収容空間503は、内ケース5の前面に開口部5030を有して円筒状に形成されている。また、第3収容空間503の内周面には、調整部材3のねじ山31とはまり合うねじ溝504が形成されている(図8及び図9参照)。さらに、第3収容空間503の前端部分に、表示部材8の表示部80を回転可能に保持する保持溝505が形成されている(図6及び図10参照)。表示部材8は、表示部80の周縁部分を保持溝505に挿入し、かつ、調整部材3の本体30に設けられた溝301に脚部81を挿入するようにして第3収容空間503に収容される。
【0059】
第3収容空間503に収容された調整部材3は、内ケース5の外から左回り(反時計回り)に回転させられると、第3収容空間503から第2収容空間502に向かって移動する。このとき、表示部材8は、溝301に挿入された脚部81を介して調整部材3とともに回転するが、表示部80が保持溝505に回転可能に保持されているので、第3収容空間503から第2収容空間502へは移動しない。つまり、内ケース5の開口部5030から視認される表示部80の回転角は、調整部材3の前後方向の移動量(第3収容空間503と第2収容空間502の間を移動する量)に比例する。したがって、表示部80は、その回転角によって調整部材3の前後方向の位置を表示することができる。
【0060】
内ケース5は、固定部材4を収容する収容部51を更に有している(図6及び図8参照)。内ケース5の前面には収容部51の開口510が設けられている。また、収容部51は、第3収容空間503とつながっている。収容部51は、操作部40を開口510から内ケース5の外に突出させ、固定部41の先端(下端)を第3収容空間503に臨ませるように固定部材4を移動可能に収容する(図6及び図8参照)。なお、固定部材4の一対のばね部42は、収容部51の内壁と接触している。したがって、固定部材4は、操作部40を開口510から突出させる向きの力を一対のばね部42から受けている。ただし、内ケース5は規制部52(図11参照)を有しており、操作部40を開口510から内ケース5の外に突出させる向きの固定部材4の移動を規制部52によって規制している。なお、規制部52は、収容部51において固定部材4の突部43が移動可能に収容される空間の内壁で構成される。つまり、規制部52は、固定部材4の突部43が内壁に当たることにより、固定部材4の移動を規制する。
【0061】
また、内ケース5の上面における電線挿入孔500の前方に2つの収容凹部54が設けられている(図3及び図5参照)。これら2つの収容凹部54は、内ケース5を左右方向に貫通する溝状に形成されている。それぞれの収容凹部54は、送り端子ブロック6の接続導体を収容可能である。
【0062】
さらに、内ケース5の左側面(第2筐体5Bの側面)には、接続導体が挿通される挿通穴55が設けられている(図5参照)。
【0063】
また、内ケース5の前面には、案内路50につながる観察孔56(図5及び図8参照)が設けられている。外ケース7には、観察孔56の少なくとも一部(本実施形態では、観察孔56の全体)が露出する窓孔7220が設けられている。図12に示すように、観察孔56は、電線挿入孔500から内ケース5の内部に1次側の電線W1が挿入された状態で、1次側の電線W1の挿入方向(矢印DR1の方向)と交差する観察方向(矢印DR2の方向)から1次側の電線(W1)を目視可能とする。ここにおいて、観察孔56は、絶縁体W11が規定量だけ剥かれた電線W1が電線挿入孔500に挿入され、電線W1の導体W10が第1端子板1に対して所定の位置まで差し込まれた状態で、絶縁体W11の先端部分が見える位置に設けられている。
【0064】
(2-2)端子ブロックに対する結線作業の手順
次に、端子ブロックB1に対して電線W1を接続する作業(結線作業)の手順を説明する。
【0065】
まず、作業者は、六角レンチなどの工具を使用して調整部材3を反時計回りに回転させる。調整部材3は、反時計回りに回転することで第3収容空間503から第2収容空間502に向かう向き(以下、第1の向きD1という。)に移動する(図11参照)。調整部材3は、第1の向きD1に移動しながらばね部材2をたわませる。
【0066】
作業者は、調整部材3と連動して回転する表示部80が所定の位置(以下、ロック位置という。)に達したら、操作部40を押操作して固定部材4を内ケース5内に進入する向きに移動させる。なお、操作部40が押操作されておらず、固定部材4が調整部材3から最も離れているときの固定部材4の位置を非固定位置と呼ぶ(図11参照)。
【0067】
作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けた調整部材3が時計回りに回転しながら第1の向きD1と反対の向き(以下、第2の向きD2という。)に移動する。そして、第2の向きD2に移動した調整部材3の本体30に固定部41の爪410が引っ掛かる(図8図10参照)。その結果、調整部材3が固定部材4によって固定される(図8参照)。ここで、固定部材4が調整部材3を固定しているときの固定部材4の位置を固定位置と呼ぶ(図8参照)。そして、固定部材4が固定位置にあるとき、ばね部材2の第1ばね21が調整部材3に押されてたわんでいるため、第1ばね21の角穴212が内ケース5の案内路50とつながる(図9参照)。このとき、電線W1の導体W10をばね部材2と第1端子板1との間に挿入可能な状態となる。
【0068】
作業者は、電線W1の導体W10を内ケース5の電線挿入孔500から案内路50に挿入する。このとき、作業者は、観察孔56を通して電線W1の絶縁体W11が見えるまで電線挿入孔500に電線W1を差し込めばよい。図13に示すように観察孔56を通して絶縁体W11が目視できれば、電線W1の導体W10は第1端子板1の内部に到達しているので、電線W1を確実に第1端子板1に接続することができる(図12参照)。
【0069】
続いて、作業者は、工具を使って調整部材3を反時計回りに回転させる。そうすると、調整部材3が第1の向きD1に移動し、固定部41の爪410が本体30から外れる。固定部材4は、固定部41の爪410が調整部材3の本体30から外れると、一対のばね部42のばね力によって固定位置から非固定位置に移動する。そして、作業者が工具による調整部材3の反時計回りの回転を停止すると、ばね部材2のばね力を受けて調整部材3が時計回りに回転しながら第2の向きD2に移動する。そして、第1ばね21の接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たり、ばね部材2のばね力(第1ばね21のばね力と第2ばね22のばね力の合成力)によって導体W10が第1端子板1の接触片10に押し当てられる(図12参照)。その結果、電線W1の導体W10と第1端子板1が電気的かつ機械的に接続されるとともに、接圧部211の角穴212の縁が導体W10に当たることによって、電線W1が抜け止めされる。
【0070】
以上の手順で端子ブロックB1に対する電線W1の結線作業が完了する。
【0071】
(2-3)実施形態に係る回路遮断器の利点
上述のように回路遮断器A1において、端子ブロックB1が備えるばね部材2は、内ケース5に収容されており、端子ブロックB1は、接点部A11及び開閉機構部A12と共に外ケース7に収容されている。ばね部材2に電線W1の導体W10を接続したときにばね部材2が変形することによって発生するばね力が内ケース5に加わる可能性があるが、外ケース7は、ばね部材2を収容した内ケース5を収容しているので、外ケース7にばね部材2のばね力が加わる可能性を低減できる。したがって、外ケース7がばね部材2のばね力によって変形する可能性を低減できるという利点がある。
【0072】
また、回路遮断器A1では、第1筐体5Aと第2筐体5Bとの結合面である第1突き合わせ面PL1の法線方向と、第3筐体71と第4筐体72との結合面である第2突き合わせ面PL2の法線方向が交差している。これにより、第1突き合わせ面PL1の法線方向と第2突き合わせ面PL2の法線方向が平行になっている場合に比べて、全体の強度を高めることができる。
【0073】
また、ばね部材2が電線W1の導体W10に付与する接圧力の方向が第1突き合わせ面PL1と平行になっており、ばね部材2のばね力が、第1筐体5Aと第2筐体5Bとを分離する方向に作用しないので、第1筐体5Aと第2筐体5Bとを結合する作業がやりやすく、また第1筐体5Aと第2筐体5Bとが外れにくくなる。また、外ケース7は、ばね部材2を収容した内ケース5を収容しているので、第2突き合わせ面PL2が接圧力の方向と交差していても、第3筐体71及び第4筐体72に接圧力が加わりにくく、第3筐体71と第4筐体72とが外れにくくなる。また、第3筐体71又は第4筐体72を第2突き合わせ面PL2と平行な面に対して固定ねじ等で固定することができるという利点もある。
【0074】
また、第1筐体5A及び第2筐体5Bは、係合部57を被係合部58とスナップイン結合することによって組み立てられるので、工具を用いることなく第1筐体5Aと第2筐体5Bとを結合する作業を容易に行うことができる。
【0075】
また、端子ブロックB1が調整部材3と固定部材4とを備えており、調整部材3がばね部材2を変形させる向きに移動した状態で、固定部材3が調整部材4を固定することで、端子ブロックB1に1次側の電線W1の導体W10を接続する作業を容易に行うことができる。
【0076】
また、回路遮断器A1では、固定部材4の少なくとも一部が露出する開口(窓孔7220)が外ケース7に設けられているので、外ケース7の外部から固定部材4を操作することができ、操作性が向上するという利点がある。
【0077】
また、回路遮断器A1の内ケース5には、電線挿入孔500から1次側の電線W1が挿入された状態で、1次側の電線W1の挿入方向と交差する観察方向から1次側の電線W1を目視可能とする観察孔56が設けられている。したがって、作業者は観察孔56を通して1次側の電線W1の接続状態を目視で確認しながら、電線W1の接続作業を行うことができ、電気的接続の信頼性が向上するという利点がある。また、観察孔56にテスタのテスタ棒を差し込んで容易に検電を行うことができるという利点もある。
【0078】
また、観察孔56の少なくとも一部が露出する窓孔7220が外ケース7に設けられているので、作業者は、外ケース7の外部から観察孔56を通して1次側の電線W1の接続状態を目視で確認することができる。
【0079】
(3)実施形態に係る分電盤の詳細
実施形態に係る分電盤C1(以下、分電盤C1と略す。)は、主幹ブレーカとして使用される回路遮断器A1と、回路遮断器A1を収容するボックスC10と、を備える(図14参照)。なお、分電盤C1は住宅盤を例示するが、住宅盤以外の分電盤、例えば、事務所、店舗、工場などで使用されるキャビネット型の分電盤であっても構わない。
【0080】
ボックスC10は、合成樹脂によって前面が開放された長方形の箱状に形成されている。なお、ボックスC10は合成樹脂製に限定されず、金属製でもよい。ボックスC10は、屋内の造営材、例えば、住宅内の壁に取り付けられる。なお、図示は省略しているが、ボックスC10の前面は、ボックスC10に取り付けられるドアによって開閉可能に塞がれる。
【0081】
回路遮断器A1は、ボックスC10内の左右方向の中央から左寄りの位置に収容される。ボックスC10内において、回路遮断器A1の右側のスペースに3つの母線及び複数の分岐ブレーカ(分岐開閉器)が収容される。ただし、図14においては母線及び分岐ブレーカの図示を省略している。
【0082】
3つの母線は、それぞれ銅又は銅合金によって長方形の板状に形成された導電バーで構成されている。3つの母線は、ボックスC10内における上下方向の中央に、ボックスC10の奥行き方向に沿って等間隔に並べて配置される。なお、3つの母線は、回路遮断器A1の3つの2次側端子A15と一つずつ電気的に接続される。
【0083】
複数の分岐ブレーカは、3つの母線の上方と下方に配置され、3つの母線のうちのいずれか2つの母線に電気的に接続される。
【0084】
また、ボックスC10内において、回路遮断器A1の左側のスペースに、1次送り回路用のブレーカが収容される場合がある。1次送り回路用のブレーカは、例えば、漏電ブレーカであって、回路遮断器A1の3つの第2端子板60のいずれか2つの第2端子板60と電気的に接続される。1次送り回路は、例えば、平成17年総務省令第40号に規定されている共同住宅用受信機への給電に使用される。
【0085】
しかして、分電盤C1は、回路遮断器A1を備えているので、回路遮断器A1の1次側の端子(3つの端子ブロックB1)に電線W1を接続する際の接続作業における作業性の向上を図ることができる。
【0086】
(まとめ)
以上説明した実施形態等から、以下の態様が開示されている。
【0087】
本開示の第1の態様に係る回路遮断器(A1)は、端子ブロック(B1)と、接点部(A11)と、開閉機構部(A12)と、外ケース(7)と、を有する。端子ブロック(B1)は、1次側の電線(W1)の導体(W10)と電気的に接続される。接点部(A11)は、端子ブロック(B1)と2次側の導体の間の電路(A16)に挿入される。開閉機構部(A12)は接点部(A11)を開閉する。外ケース(7)は、端子ブロック(B1)、接点部(A11)、及び開閉機構部(A12)を収容する。端子ブロック(B1)は、端子板(第1端子板1)と、ばね部材(2)と、内ケース(5)と、を備える。端子板は、電路(A16)と電気的に接続されている。ばね部材(2)は、1次側の電線(W1)の導体(W10)に対して端子板に接する向きの接圧力を付与する。内ケース(5)は、端子板及びばね部材(2)を収容する。
【0088】
この態様によれば、端子ブロック(B1)が備えるばね部材(2)は、内ケース(5)に収容されている。そして、端子ブロック(B1)は、接点部(A11)及び開閉機構部(A12)と共に外ケース(7)に収容されている。ばね部材(2)に電線(W1)の導体(W10)を接続したときにばね部材(2)が変形することによって発生するばね力が内ケース(5)に加わる可能性があるが、外ケース(7)は、ばね部材(2)を収容した内ケース(5)を収容しているので、外ケース(7)にばね部材(2)のばね力が加わる可能性を低減できる。したがって、外ケース(7)がばね部材(2)のばね力によって変形する可能性を低減できるという利点がある。
【0089】
第2の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1の態様において、内ケース(5)は、内ケース(5)を第1突き合わせ面(PL1)で分割した第1筐体(5A)と第2筐体(5B)とを備える。外ケース(7)は、外ケース(7)を第2突き合わせ面(PL2)で分割した第3筐体(71)と第4筐体(72)とを備える。第1突き合わせ面(PL1)の法線方向と第2突き合わせ面(PL2)の法線方向が交差する。
【0090】
この態様によれば、第1突き合わせ面(PL1)の法線方向と第2突き合わせ面(PL2)の法線方向が交差しているので、第1突き合わせ面(PL1)の法線方向と第2突き合わせ面(PL2)の法線方向が平行になっている場合に比べて、全体の強度を高めることができる。
【0091】
第3の態様に係る回路遮断器(A1)では、第2の態様において、ばね部材(2)が1次側の電線(W1)の導体(W10)に付与する接圧力の方向が第1突き合わせ面(PL1)と平行である。
【0092】
この態様によれば、ばね部材(2)のばね力が、第1筐体(5A)と第2筐体(5B)とを分離する方向に作用しないので、第1筐体(5A)と第2筐体(5B)とが外れにくくなる。また、外ケース(7)は、ばね部材(2)を収容した内ケース(5)を収容しているので、第2突き合わせ面(PL2)が接圧力の方向と交差していても、第3筐体(71)と第4筐体(72)とが外れにくくなるという利点がある。
【0093】
第4の態様に係る回路遮断器(A1)では、第2又は第3の態様において、第1筐体(5A)及び第2筐体(5B)の一方には、第1筐体(5A)及び第2筐体(5B)の他方に設けられた被係合部(58)とスナップイン結合する係合部(57)が設けられている。
【0094】
この態様によれば、工具を用いることなく第1筐体(5A)と第2筐体(5B)とを結合する作業を行うことができる。
【0095】
第5の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1~第4のいずれの態様において、端子ブロック(B1)は、調整部材(3)と、固定部材(4)と、を更に備える。調整部材(3)は、ばね部材(2)を変形させる向きに移動することで接圧力を調整する。固定部材(4)は、調整部材(3)を固定する固定位置と、調整部材(3)を固定せずに移動可能とする非固定位置との間を移動可能である。
【0096】
この態様によれば、調整部材(3)がばね部材(2)を変形させる向きに移動した状態で、調整部材(3)を固定部材(4)が固定することで、端子ブロック(B1)に1次側の電線(W1)の導体(W10)を接続する作業を容易に行うことができる。
【0097】
第6の態様に係る回路遮断器(A1)では、第5の態様において、固定部材(4)の少なくとも一部が露出する開口(7220)が外ケース(7)に設けられている。
【0098】
この態様によれば、外ケース(7)の外部から固定部材(4)を操作することができる。
【0099】
第7の態様に係る回路遮断器(A1)では、第1~第6のいずれの態様において、内ケース(5)には、1次側の電線(W1)の導体(W10)を挿入するための電線挿入孔(500)が設けられている。内ケース(5)には観察孔(56)が設けられている。観察孔(56)は、電線挿入孔(500)から内ケース(5)の内部に1次側の電線(W1)が挿入された状態で、1次側の電線(W1)の挿入方向(DR1)と交差する観察方向(DR2)から1次側の電線(W1)を目視可能とする。
【0100】
この態様によれば、作業者は観察孔(56)を通して1次側の電線(W1)の接続状態を目視で確認しながら、電線(W1)の接続作業を行うことができる。
【0101】
第8の態様に係る回路遮断器(A1)では、第7の態様において、外ケース(7)には、観察孔(56)の少なくとも一部が露出する窓孔(7220)が設けられている。
【0102】
この態様によれば、作業者は、外ケース(7)の外部から観察孔(56)を通して1次側の電線(W1)の接続状態を目視で確認することができる。
【0103】
第9の態様に係る分電盤(C1)は、第1-第8のいずれかの態様に係る回路遮断器(A1)と、回路遮断器(A1)を収容するボックス(C10)と、を備える。
【0104】
この態様によれば、回路遮断器(A1)が有する外ケース(7)が変形する可能性を低減できる。
【0105】
第2~第8の態様に係る構成については、回路遮断器(A1)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0106】
1 第1端子板
2 ばね部材
3 調整部材
4 固定部材
5 内ケース
5A 第1筐体
5B 第2筐体
7 外ケース
56 観察孔
57 係合部
58 被係合部
71 第3筐体
72 第4筐体
500 電線挿入孔
7220 窓孔(開口)
A1 回路遮断器
A11 接点部
A12 開閉機構部
A16 電路
B1 端子ブロック
C1 分電盤
C10 ボックス
DR1 挿入方向
DR2 観察方向
PL1 第1突き合わせ面
PL2 第2突き合わせ面
W1 電線
W10 導体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14