(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173418
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】照明制御システム、調光盤、照明制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20241205BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20241205BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20241205BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/105
H05B47/19
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091829
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】廣渡 祐一郎
【テーマコード(参考)】
3K273
【Fターム(参考)】
3K273PA05
3K273QA29
3K273TA03
3K273TA15
3K273TA22
3K273TA28
3K273TA52
3K273TA54
3K273TA62
3K273UA02
3K273UA07
3K273UA17
3K273UA18
3K273UA22
3K273UA23
3K273UA24
3K273UA25
(57)【要約】
【課題】簡易な構成により複数の照明負荷を一括して制御しやすくすること。
【解決手段】照明制御システム100は、入力部11と、制御部12と、を備えている。入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷2を操作するための操作信号Sig1であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける。制御部12は、入力部11が受け付けた複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を複数の照明負荷2へ送信する。制御部12は、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する停止処理を実行する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける入力部と、
前記入力部が受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する制御部と、を備え、
前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応しており、
前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御され、
前記制御部は、前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する停止処理を実行する、
照明制御システム。
【請求項2】
前記トリガは、前記入力部にて前記複数の第1系統の操作信号のうちいずれかの第1系統の操作信号が途絶えることである、
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記トリガを受け付けた時点で第1条件を満たす場合、前記停止処理を実行せずに、前記1以上の第2系統の制御信号の出力を維持する、
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記トリガを受け付けた時点で第2条件を満たす場合、前記停止処理を実行せずに、所定のレベルでの出力を指示する制御内容を含む前記1以上の第2系統の制御信号の出力を維持する、
請求項2に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記トリガは、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統の出力を停止する操作入力を受け付けることである、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項6】
前記複数の照明負荷は、1つの空間に配置されており、
前記空間を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する区切り指定部を更に備え、
前記制御部は、前記区切り指定部で指定された区切り方に応じて、前記複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
筐体と、
前記筐体に設けられて、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける入力部と、
前記筐体に設けられて、前記入力部が受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する制御部と、を備え、
前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応しており、
前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御され、
前記制御部は、前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する停止処理を実行する、
調光盤。
【請求項8】
外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付け、
受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信し、
前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応しており、
前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御され、
前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する、
照明制御方法。
【請求項9】
1以上のプロセッサに、
請求項8に記載の前記照明制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明負荷を制御する照明制御システム、調光盤、照明制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、照明エリアに設置された複数台の照明負荷を一括制御する、又は照明エリアを分割した小エリアごとに照明負荷を制御する照明用通信システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易な構成により複数の照明負荷を一括して制御しやすい照明制御システム等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明制御システムは、入力部と、制御部と、を備える。前記入力部は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける。前記制御部は、前記入力部が受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する。前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御される。前記制御部は、前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する停止処理を実行する。
【0006】
本発明の一態様に係る調光盤は、筐体と、入力部と、制御部と、を備える。前記入力部は、前記筐体に設けられて、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける。前記制御部は、前記筐体に設けられて、前記入力部が受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する。前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御される。前記制御部は、前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する停止処理を実行する。
【0007】
本発明の一態様に係る照明制御方法では、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷を操作するための操作信号であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号を受け付ける。前記照明制御方法では、受け付けた前記複数の第1系統の操作信号に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号を前記複数の照明負荷へ送信する。前記複数の第2系統の各々は、前記複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。前記複数の照明負荷の各々は、前記複数の第2系統の制御信号のうち、自身に付与された第2系統の制御信号に従って制御される。前記照明制御方法では、前記複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した前記1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する。
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、前記照明制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の照明制御システム等は、簡易な構成により複数の照明負荷を一括して制御しやすい、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、DMX信号を用いた照明制御の説明図である。
【
図3】
図3は、DMX信号が途切れた場合の制御の説明図である。
【
図4】
図4は、比較例の照明制御システムの概要を示す図である。
【
図5】
図5は、比較例の照明制御システムの動作の説明図である。
【
図6】
図6は、比較例の照明制御システムの他の構成の概要を示す図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示す図である。
【
図9】
図9は、実施の形態に係る照明制御システムの基本動作の説明図である。
【
図10】
図10は、実施の形態に係る照明制御システムのトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
【
図11】
図11は、実施の形態に係る照明制御システムの他の構成の概要を示す図である。
【
図12】
図12は、実施の形態に係る照明制御システムの他の構成における基本動作の説明図である。
【
図13】
図13は、実施の形態に係る照明制御システムの他の構成におけるトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
【
図14】
図14は、実施の形態に係る照明制御システムの動作例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施の形態の第1変形例に係る照明制御システムの概要を示す図である。
【
図16】
図16は、実施の形態の第1変形例に係る照明制御システムのトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
【
図17】
図17は、実施の形態の第2変形例に係る照明制御システムのトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
【
図18】
図18は、実施の形態の第3変形例に係る照明制御システムのトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(実施の形態)
[技術背景]
まず、実施の形態に係る照明制御システム等を発明するに至った技術背景について説明する。例えばテレビ局、コンサートホール、演劇場、又はホテル等の施設では、DMX(Digital Multiplex System)信号を用いた照明制御が行われている。DMX信号は、DMXプロトコルの通信信号であって、1対多の通信により、1つのコントローラ(操作器)で複数の照明を制御する際に用いられる。DMXプロトコルは、主に舞台照明又はスタジオの演出照明機器等の制御に使われる通信プロトコルである。
【0012】
図1は、DMX信号を用いた照明制御の説明図である。以下の説明では、照明制御システムが使用される環境において、3つの操作器3(
図1では1つ)と、6つの照明負荷2(
図1では3つ)と、が登場するが(
図4等参照)、3つの操作器3をそれぞれ「第1操作器31」、「第2操作器32」、及び「第3操作器33」と区別する場合もある。また、6つの照明負荷2をそれぞれ「照明負荷21」、「照明負荷22」、「照明負荷23」、「照明負荷24」、「照明負荷25」、及び「照明負荷26」と区別する場合もある。
【0013】
図1に示す例では、操作器3には、3つの照明負荷21,22,23がデイジーチェーン接続されている。そして、各照明負荷21,22,23は、操作器3から出力されるDMX信号を受信することにより、DMX信号に含まれるデータに従って調光制御等を行う。
【0014】
図2は、DMX信号の概要を示す図である。
図2に示すように、DMX信号は、データの開始を予告するブレーク信号(
図2における「Break」)と、ブレーク信号の終了を示すMAB(Mark After Break。
図2における「Mark」)と、最大512チャンネルのデータと、を含んでいる。1チャンネル分のデータは8ビットであって、「0」~「255」のいずれかの値(制御値)を指定することが可能である。
【0015】
各照明負荷21,22,23は、例えばディップスイッチ等のアドレスを設定するためのスイッチを備えている。そして、各照明負荷21,22,23では、スイッチを操作することにより、アドレスが設定される。
図1に示す例では、照明負荷21~23には、それぞれアドレス「1」~「3」(
図1における「adr:1」~「adr:3」)が設定されている。
【0016】
そして、各照明負荷21,22,23は、DMX信号を受信すると、自身に設定されたアドレスに対応するチャンネルにて指定されたデータに従って調光制御等を行う。例えば、照明負荷21は、DMX信号を受信すると、アドレス「1」に対応するチャンネル「CH1」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。照明負荷22,23も同様である。
【0017】
ここで、各照明負荷21,22,23は、DMX信号に含まれるデータに従った照明制御の他に、DMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行う場合がある。
図3は、DMX信号が途切れた場合の制御の説明図である。
図3に示すように、DMX信号は、所定の間隔を空けて連続して操作器3から出力されている。そして、例えば最後にDMX信号を受信してから所定時間(ここでは、1秒)が経過した時点t0においても次のDMX信号を受信しない場合、各照明負荷21,22,23は、DMX信号が途切れたと判定し、DMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行う。この場合の制御としては、例えば各照明負荷21,22,23を一括して手動操作モードに切り替える制御、各照明負荷21,22,23を一括して全点灯する制御、又は各照明負荷21,22,23を一括して消灯する制御等がある。
【0018】
ところで、全ての照明負荷ではなく、一部の照明負荷に対してのみDMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行いたい場合がある。以下、この場合について、比較例の照明制御システムを用いて説明する。
【0019】
図4は、比較例の照明制御システムの概要を示す図である。
図4に示す例では、比較例の照明制御システムは、比較例の調光盤200に搭載されている。比較例の調光盤200には、3つの操作器3(第1操作器31、第2操作器32、及び第3操作器33)が接続されている。また、比較例の調光盤200には、6つの照明負荷2(照明負荷21~26)がデイジーチェーン接続されている。なお、各照明負荷2及び各操作器3は、いずれも後述する実施の形態に係る照明制御システム100(
図7参照)でも用いられるため、実施の形態にて詳細を説明する。
【0020】
図4に示す例では、6つの照明負荷21~26は、1つの空間A1が有する3つのエリアに配置されている。具体的には、6つの照明負荷21~26のうち、照明負荷21,22は「A部屋」である第1エリアA11に、照明負荷23,24は「B部屋」である第2エリアA12に、照明負荷25,26は「C部屋」である第3エリアA13に配置されている。また、
図4に示す例では、6つの照明負荷21~26には、それぞれアドレス「1」~「6」(
図4における「adr:1」~「adr:6」)が設定されている。
【0021】
また、
図4に示す例では、第1操作器31は、「A部屋」である第1エリアA11の照明を制御するための操作器であり、照明負荷21,22の制御内容を含むDMX信号である操作信号Sig1を出力する。第2操作器32は、「B部屋」である第2エリアA12の照明を制御するための操作器であり、照明負荷23,24の制御内容を含むDMX信号である操作信号Sig1を出力する。第3操作器33は、「C部屋」である第3エリアA13の照明を制御するための操作器であり、照明負荷25,26の制御内容を含むDMX信号である操作信号Sig1を出力する。
【0022】
そして、比較例の調光盤200は、複数の操作器3からそれぞれ出力される複数の操作信号Sig1を受信すると、複数の操作信号Sig1を1つのDMX信号Sig10に変換し、変換したDMX信号Sig10を各照明負荷21~26に送信する。
【0023】
図5は、比較例の照明制御システム(比較例の調光盤200)の動作の説明図である。
図5においては、「第1操作器からの出力」、「第2操作器からの出力」、及び「第3操作器からの出力」は、それぞれ第1操作器31から出力される操作信号Sig1、第2操作器32から出力される操作信号Sig1、及び第3操作器33から出力される操作信号Sig1を表している。また、「調光盤からの出力」は、比較例の調光盤200から出力されるDMX信号Sig10を表している。また、
図5において「CH」はチャンネルを、「Lv」は照明負荷2の光出力のレベル(つまり、調光レベル)を表している。
【0024】
図5に示す例では、比較例の調光盤200は、第1操作器31から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH1」、「CH2」の制御内容と、第2操作器32から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH3」、「CH4」の制御内容と、第3操作器33から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH5」、「CH6」の制御内容と、を含むDMX信号Sig10を出力する。
【0025】
したがって、「A部屋」に配置された照明負荷21,22は、それぞれ受信したDMX信号Sig10のうちチャンネル「CH1」、「CH2」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「A部屋」に配置された照明負荷21,22は、第1操作器31により調光制御されることになる。また、「B部屋」に配置された照明負荷23,24は、それぞれ受信したDMX信号Sig10のうちチャンネル「CH3」、「CH4」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「B部屋」に配置された照明負荷23,24は、第2操作器32により調光制御されることになる。また、「C部屋」に配置された照明負荷25,26は、それぞれ受信したDMX信号Sig10のうちチャンネル「CH5」、「CH6」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「C部屋」に配置された照明負荷25,26は、第3操作器33により調光制御されることになる。
【0026】
このように、比較例の照明制御システム(比較例の調光盤200)は、1つのDMX信号Sig10を出力することにより、各照明負荷21~26をエリアごとに調光制御することが可能である。しかしながら、比較例の照明制御システムでは、一部のエリアの照明負荷2に対してのみDMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行いたい場合でも、DMX信号Sig10の出力を停止することしかできない。このため、比較例の照明制御システムでは、全てのエリアの照明負荷2に対してDMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行ってしまう、という課題がある。
【0027】
なお、比較例の照明制御システムにおいても、例えば
図6に示す構成であれば、上記の課題を解消し得る。
図6は、比較例の照明制御システムの他の構成の概要を示す図である。
図6に示す例では、比較例の調光盤200は、各エリアA11~A13に対して、リレー回路41~43を介してDMX信号Sig10を出力している。具体的には、「A部屋」である第1エリアA11の照明負荷21,22に対しては、リレー回路41を介してDMX信号Sig10を出力している。また、「B部屋」である第2エリアA12の照明負荷23,24に対しては、リレー回路42を介してDMX信号Sig10を出力している。また、「C部屋」である第3エリアA13の照明負荷25,26に対しては、リレー回路43を介してDMX信号Sig10を出力している。
【0028】
図6に示す例では、例えばリレー回路41を制御することにより、比較例の調光盤200と第1エリアA11との間の電路を開放すれば、第1エリアA11の照明負荷21,22に対してのみDMX信号Sig10が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能である。しかしながら、
図6に示す構成では、エリアごとにリレー回路を準備しなければならず、構成が複雑になりがちである、という別の課題がある。
【0029】
以上を鑑み、発明者は本発明を創作するに至った。
【0030】
以下、実施の形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序等は、一例であり、本発明を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0031】
なお、各図は模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付し、重複する説明は省略又は簡略化される場合がある。
【0032】
[構成]
まず、実施の形態に係る照明制御システムの構成について説明する。照明制御システムは、比較例の照明制御システムと同様に、例えばテレビ局、コンサートホール、演劇場、又はホテル等の1以上の空間で照明の演出が行われる施設に設置されるシステムである。1以上の空間は、例えばスタジオ、ホール、舞台、又は宴会場等である。もちろん、照明制御システムが設置される施設は、テレビ局、コンサートホール、及び演劇場以外の施設であってもよい。
【0033】
図7は、実施の形態に係る照明制御システムの概要を示すブロック図である。
図8は、実施の形態に係る照明制御システム100の概要を示す図である。
図7に示すように、照明制御システム100は、調光盤1の筐体10に搭載されている。調光盤1は、イーサネット(登録商標)で通信するための通信プロトコルに従って複数の操作器3と通信可能に構成されている。調光盤1には、複数の照明負荷2が接続されている。実施の形態では、
図8に示すように、調光盤1には、複数の照明負荷2がデイジーチェーン接続されている。また、これらの照明負荷2は全て同じ仕様又は種類でなくてもよく、互いに異なる仕様又は種類の照明負荷2が混在していてもよい。
【0034】
なお、
図7及び
図8では図示を省略しているが、調光盤1、複数の照明負荷2、及び複数の操作器3の各々には、電源装置から電力が供給される。
【0035】
操作器3は、例えば設置型又は可搬型の調光操作卓である。なお、操作器3は、例えば照明負荷2を制御するためのアプリケーションがインストールされたスマートフォン、タブレット型端末、又はパーソナルコンピュータ等であってもよい。操作器3は、ユーザから照明負荷2を制御するための操作を受け付ける。操作器3は、例えば照明負荷2の調光、照明負荷2の調色、又は照明負荷2の照明範囲の変更等を行う操作を受け付ける。操作器3は、例えば各種フェーダ及び各種ボタン等で構成される。フェーダは、例えば、照明負荷2を調光するための操作を受け付けるスライダである。なお、操作器3は、タッチパネル等で構成されていてもよい。
【0036】
実施の形態では、各操作器3は、例えばケーブルを介して調光盤1が有するポートに接続されている。各操作器3は、ユーザからの操作を受け付けると、ユーザからの操作に応じた照明負荷2の制御データを含む制御信号を、操作信号Sig1としてケーブルを介して調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。
【0037】
ここで、各操作器3は、DMX信号をイーサネット(登録商標)で通信するためのイーサネット(登録商標)プロトコルの操作信号Sig1を、調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。イーサネット(登録商標)プロトコルは、512チャネルのDMX信号のデータパケットを1系統(ユニバース)の制御信号として、複数系統の制御信号をマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信することができる通信プロトコルである。イーサネット(登録商標)プロトコルとしては、例えばマルチキャスト送信方式を採用するsACN(streaming Architecture for Control Networks)プロトコル、又はブロードキャスト送信方式を採用するArt-Netプロトコル等がある。
【0038】
操作信号Sig1は、送信元の操作器3を識別するための識別情報を有する。操作信号Sig1には、系統ごとにID(IDentification)番号であるユニバース番号が付与されており、ユニバース番号を識別情報として用いている。ユニバース番号は、例えばユーザが操作器3を操作することにより、操作信号Sig1に対して適宜設定することが可能である。実施の形態では、操作信号Sig1に付与された系統を「第1系統」と称する。
【0039】
実施の形態では、
図8に示すように、第1操作器31が出力する操作信号Sig1には、第1系統である「系統:1」が付与されており、第2操作器32が出力する操作信号Sig1には、第1系統である「系統:2」が付与されており、第3操作器33が出力する操作信号Sig1には、第1系統である「系統:3」が付与されている。
【0040】
照明負荷2は、例えば、スタジオ、ホール又は舞台等において用いられるホリゾントライト、ダウンライト、スポットライト、又はフラッドライト等である。照明負荷2は、例えば、光源としてLED(Light Emitting Diode)等の半導体発光素子、有機EL(Electro Luminescence)、蛍光灯、又は白熱灯等を有する。照明負荷2は、光の照射方向を変更するためのモータ等を有していてもよい。照明負荷2は、例えば、設置されるスタジオ等の空間の床又は天井等の任意の場所に配置される。また、照明負荷2は、天井に設置されたバトン等の懸架器具に吊り下げられてもよい。
【0041】
実施の形態では、
図8に示すように、1つの空間A1に複数の照明負荷2が配置されている。空間A1は、例えば大部屋であって、アコーディオン式のカーテン又は可動式の間仕切り壁等により、1以上のエリアに区切ることが可能である。すなわち、間仕切り壁等を用いない場合、空間A1は1つのエリアとして利用可能であり、間仕切り壁等を用いる場合、空間A1は複数のエリアとして利用可能である。
図8に示す例では、1つの空間A1は、「A部屋」である第1エリアA11と、「B部屋」である第2エリアA12と、「C部屋」である第3エリアA13と、に区切られている。
【0042】
ここで、各照明負荷2には、系統ごとにユニバース番号が付与されており、ユニバース番号を識別情報として用いている。ユニバース番号は、例えばユーザが照明負荷2に備え付けのスイッチ等を操作することにより、照明負荷2に対して適宜設定することが可能である。そして、各照明負荷2は、調光盤1から出力される、自身に付与された系統(ユニバース番号)の制御信号Sig2を受信することにより、制御信号Sig2に含まれるデータに従って調光制御等を行う。具体的には、各照明負荷2は、制御信号Sig2を受信すると、自身に設定されたアドレスに対応するチャンネルにて指定されたデータに従って調光制御等を行う。制御信号Sig2は、系統が付与されたDMX信号である。実施の形態では、照明負荷2に付与された系統を「第2系統」と称する。
【0043】
実施の形態では、
図8に示すように、照明負荷21~26には、それぞれアドレス「1」~「6」(
図8における「adr:1」~「adr:6」)が設定されている。また、第1エリアA11に配置された照明負荷21,22には第2系統である「系統:10」が付与されており、第2エリアA12に配置された照明負荷23,24には第2系統である「系統:11」が付与されており、第3エリアA13に配置された照明負荷25,26には第2系統である「系統:12」が付与されている。
【0044】
調光盤1(照明制御システム100)は、入力部11と、制御部12と、区切り指定部13と、を備えている。
【0045】
入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、照明負荷2を操作するための操作信号Sig1を受け付けるための通信インタフェースである。実施の形態では、入力部11は、各操作器3からの操作信号Sig1を受け付けるように構成されている。これにより、入力部11は、互いに異なる複数の第1系統(ユニバース番号)の操作信号Sig1を受け付ける。既に述べたように、実施の形態では、第1操作器31から出力される操作信号Sig1には第1系統である「系統:1」、第2操作器32から出力される操作信号Sig1には第1系統である「系統:2」、第3操作器33から出力される操作信号Sig1には第1系統である「系統:3」がそれぞれ付与されている。したがって、実施の形態では、入力部11は、3つの第1系統の操作信号Sig1を受け付けている。
【0046】
入力部11と各操作器3との間のネットワークには、例えばLAN(Local Area Network)等が用いられる。ネットワークに用いられるLANは、有線LANであってもよいし、無線LANであってもよい。ネットワークに有線LANが用いられる場合、有線LANは、例えばLANケーブル及びスイッチングハブ等で構成される。なお、通信距離が比較的長い場合には、LANケーブルの代わりに光ファイバケーブルが用いられてもよい。なお、入力部11と各操作器3との通信には、例えば国の電波利用の割り当てに沿った周波数を利用した特定小電力無線、ZigBee(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、又はWi-Fi(登録商標)等の無線用の通信方式が用いられてもよい。
【0047】
制御部12は、例えばマイクロコンピュータ等であって、プロセッサ及びメモリを備えている。制御部12は、メモリに記憶されているプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。制御部12は、入力部11が受け付けた複数の第1系統の操作信号Sig1に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。複数の第2系統の各々は、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応する。なお、第1系統と第2系統との対応関係は、後述する区切り指定部13により適宜設定することが可能である。
図8に示す例では、第1系統である「系統:1」は第2系統である「系統:10」に対応し、第1系統である「系統:2」は第2系統である「系統:11」に対応し、第1系統である「系統:3」は第2系統である「系統:12」に対応している。
【0048】
実施の形態では、制御部12は、イーサネット(登録商標)プロトコルの通信信号と、DMXプロトコルの通信信号とを双方向にプロトコル変換する。制御部12は、各操作器3からの複数の第1系統の操作信号Sig1を入力部11が受け付けた場合、当該複数の第1系統の操作信号Sig1からDMX信号である制御信号Sig2を生成し、生成した制御信号Sig2を第2系統ごとに各照明負荷2に送信する。
【0049】
図9は、実施の形態に係る照明制御システム100の基本動作の説明図である。
図9においては、「第1操作器からの出力」、「第2操作器からの出力」、及び「第3操作器からの出力」は、それぞれ第1操作器31から出力される操作信号Sig1、第2操作器32から出力される操作信号Sig1、及び第3操作器33から出力される操作信号Sig1を表している。また、「調光盤からの出力」は、調光盤1(照明制御システム100)から出力される制御信号Sig2を表している。また、
図9において「CH」はチャンネルを、「Lv」は照明負荷2の光出力のレベル(つまり、調光レベル)を表している。上記説明は、以降に登場する
図10,12,13,16,17,18においても同様である。
【0050】
図8及び
図9に示す例では、制御部12は、第1操作器31から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH1」、「CH2」の制御内容と、第2操作器32から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH3」、「CH4」の制御内容と、第3操作器33から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH5」、「CH6」の制御内容と、を含む制御信号Sig2を生成する。そして、制御部12は、第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2、第2系統である「系統:11」の制御信号Sig2、及び第2系統である「系統:12」の制御信号Sig2を順に送信することを繰り返す。
【0051】
そして、「A部屋」に配置された照明負荷21,22は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2を受信すると、受信した制御信号Sig2のうちチャンネル「CH1」、「CH2」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「A部屋」に配置された照明負荷21,22は、第1操作器31により調光制御されることになる。また、「B部屋」に配置された照明負荷23,24は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統である「系統:11」の制御信号Sig2を受信すると、受信した制御信号Sig2のうちチャンネル「CH3」、「CH4」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「B部屋」に配置された照明負荷23,24は、第2操作器32により調光制御されることになる。また、「C部屋」に配置された照明負荷25,26は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統である「系統:12」の制御信号Sig2を受信すると、受信した制御信号Sig2のうちチャンネル「CH5」、「CH6」にて指定されたデータに従って調光制御を行う。このため、「C部屋」に配置された照明負荷25,26は、第3操作器33により調光制御されることになる。
【0052】
また、制御部12は、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行する。実施の形態では、トリガは、入力部11にて複数の第1系統の操作信号Sig1のうちいずれかの第1系統の操作信号Sig1が途絶えることである。言い換えれば、トリガは、複数の操作器3のうちのいずれかの操作器3からの操作信号Sig1が途絶えることである。
【0053】
図10は、実施の形態に係る照明制御システム100のトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
図10に示す例では、第1操作器31からの操作信号Sig1、つまり第1系統である「系統:1」の操作信号Sig1の出力が停止されている。これにより、入力部11にて「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えることになる。したがって、制御部12は、「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えることをトリガとして、当該第1系統に対応する第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2の出力を停止する。
【0054】
このため、「系統:10」に対応する照明負荷21,22のみが、制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことになる。一方、「系統:11」の制御信号Sig2及び「系統:12」の制御信号Sig2の出力は維持されるため、「系統:11」に対応する照明負荷23,24は、「系統:11」の制御信号Sig2に基づいて制御され、「系統:12」に対応する照明負荷25,26は、「系統:12」の制御信号Sig2に基づいて制御される。
【0055】
区切り指定部13は、空間A1を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する。区切り指定部13は、例えば調光盤1に備え付けのスイッチ等をユーザが操作することにより、空間A1の区切り方を切り替えることが可能である。また、区切り指定部13は、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末を用いてユーザが遠隔操作することにより、空間A1の区切り方を切り替えることが可能であってもよい。
【0056】
実施の形態では、区切り指定部13で指定された区切り方に応じて、
図8に示す例では、区切り指定部13は、空間A1を第1エリアA11、第2エリアA12、及び第3エリアA13の3つのエリアに区切っている。
【0057】
そして、実施の形態では、制御部12は、区切り指定部13で指定された区切り方に応じて、複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。具体的には、制御部12は、区切り指定部13で指定された区切り方に応じて、第1系統と第2系統との対応関係を決定する。
図8に示す例では、既に述べたように、第1系統である「系統:1」は第2系統である「系統:10」に対応し、第1系統である「系統:2」は第2系統である「系統:11」に対応し、第1系統である「系統:3」は第2系統である「系統:12」に対応している。このため、制御部12は、第1操作器31から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH1」、「CH2」の制御内容と、第2操作器32から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH3」、「CH4」の制御内容と、第3操作器33から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH5」、「CH6」の制御内容と、を含む制御信号Sig2を生成する。
【0058】
ここで、例えば
図11に示すように、「A部屋」と「B部屋」とを1つの部屋(
図11における「A+B部屋」)として利用する、と仮定する。そして、「A+B部屋」の照明(照明負荷21~24)を第1操作器31で操作する、と仮定する。
図11は、実施の形態に係る照明制御システム100の他の構成の概要を示す図である。この場合、区切り指定部13は、空間A1を第1エリアA11及び第2エリアA12(
図11における「第4エリアA14」)と、第3エリアA13との2つのエリアに区切ることになる。また、この場合、制御部12は、第1系統である「系統:1」が第2系統である「系統:10」及び「系統:11」に対応し、第1系統である「系統:3」が第2系統である「系統:12」に対応するように、第1系統と第2系統との対応関係を決定する。
【0059】
図12は、実施の形態に係る照明制御システム100の他の構成における基本動作の説明図である。上記の場合、制御部12は、
図12に示すように、第1操作器31から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH1」、「CH2」、「CH3」、「CH4」の制御内容と、第3操作器33から出力される操作信号Sig1のうちのチャンネル「CH5」、「CH6」の制御内容と、を含む制御信号Sig2を生成する。このため、「A部屋」及び「B部屋」に配置された照明負荷21~24は、第1操作器31により調光制御されることになる。また、「C部屋」に配置された照明負荷25,26は、第3操作器33により調光制御されることになる。
【0060】
また、上記の場合における制御部12の停止処理について、
図13を用いて説明する。
図13は、実施の形態に係る照明制御システム100の他の構成におけるトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
図13に示す例では、第1操作器31からの操作信号Sig1、つまり第1系統である「系統:1」の操作信号Sig1の出力が停止されている。これにより、入力部11にて「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えることになる。したがって、制御部12は、「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えることをトリガとして、当該第1系統に対応する第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2及び「系統:11」の制御信号Sig2の出力を停止する。
【0061】
このため、「系統:10」及び「系統:11」に対応する照明負荷21~24のみが、制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことになる。一方、「系統:12」の制御信号Sig2の出力は維持されるため、「系統:12」に対応する照明負荷25,26は、「系統:12」の制御信号Sig2に基づいて制御される。
【0062】
[動作]
以下、実施の形態に係る調光盤1(照明制御システム100)の動作について、
図14を用いて説明する。
図14は、実施の形態に係る照明制御システム100の動作例を示すフローチャートである。
図14においては、区切り指定部13の動作については省略している。
【0063】
まず、ユーザからの操作を受け付けることで、各操作器3が操作信号Sig1を調光盤1へマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信する。すると、調光盤1の入力部11は、複数の第1系統の操作信号Sig1を受け付ける(S101)。次に、調光盤1の制御部12は、入力部11が受け付けた複数の第1系統の操作信号Sig1に基づいて制御信号Sig2を生成し、複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する(S102)。
【0064】
そして、制御部12は、トリガを受け付けた場合(S103:Yes)、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行する(S104)。一方、制御部12は、トリガを受け付けていない場合(S103:No)、停止処理を実行しない。
【0065】
[利点]
以下、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)の利点について、比較例の照明制御システム(比較例の調光盤200)との比較を交えて説明する。[技術背景]にて既に述べたように、比較例の照明制御システムでは、一部のエリアの照明負荷2に対してのみDMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行いたい場合でも、全てのエリアの照明負荷2に対してDMX信号が途切れたことをトリガとした制御を行ってしまう、という課題がある。また、比較例の照明制御システムでは、上記の課題を解決しようとすると、エリアごとにリレー回路を準備しなければならず、構成が複雑になりがちである、という別の課題が生じる。
【0066】
これに対して、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)では、制御部12は、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行することが可能である。このため、実施の形態に係る照明制御システム100は、一部のエリアの照明負荷2に対してのみ制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能である。また、実施の形態に係る照明制御システム100は、エリアごとにリレー回路を準備しなくとも、上記の停止処理を実行することが可能である。
【0067】
上述のように、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)は、一部のエリアの照明負荷2に対してのみ制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能であり、簡易な構成により複数の照明負荷2を一括して制御しやすい、という利点がある。
【0068】
[変形例]
以上、実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。以下、実施の形態の変形例について列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせてもよい。
【0069】
<第1変形例>
図15は、実施の形態の第1変形例に係る照明制御システム100(調光盤1)の概要を示す図である。第1変形例では、調光盤1にスイッチ5が接続されている。以下、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)と共通する点については、説明を省略する。
【0070】
スイッチ5は、例えば施設の管理室等の壁に設置された埋め込み型のスイッチであって、ユーザ(ここでは、管理人)による操作入力を受け付けるように構成されている。第1変形例では、スイッチ5は、第1系統である「系統:1」の出力、「系統:2」の出力、及び「系統:3」の出力のいずれかを停止するための操作入力を受け付けるように構成されている。
【0071】
そして、照明制御システム100は、スイッチ5にて上記の操作入力を受け付けると、当該操作入力が指定する第1系統に対応する1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行する。つまり、第1変形例では、トリガは、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統の出力を停止する操作入力を受け付けることである。
【0072】
図16は、実施の形態の第1変形例に係る照明制御システム100のトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。
図16に示す例では、スイッチ5は、「系統:1」の出力を停止するための操作入力を受け付けている。このため、制御部12は、第1系統である「系統:1」の出力を停止する操作入力を受け付けることをトリガとして、当該第1系統に対応する第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2の出力を停止する。このため、「系統:10」に対応する照明負荷21,22のみが、制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことになる。
【0073】
上述のように、第1変形例では、操作器3からの操作信号Sig1の出力を維持しつつ、一時的に制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能である、という利点がある。
【0074】
<第2変形例>
図17は、実施の形態の第2変形例に係る照明制御システム100(調光盤1)のトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。第2変形例では、制御部12は、トリガを受け付けた時点で第1条件を満たす場合、停止処理を実行せずに、1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を維持する。以下、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)と共通する点については、説明を省略する。
【0075】
第1条件は、例えば調光盤1に備え付けの特定のスイッチ等をユーザが操作することによる、トリガの無視を指示する操作入力を受け付けることである。なお、操作入力は、調光盤1に備え付けの特定のスイッチ等に限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末にて行われてもよい。
【0076】
図17に示す例では、第1操作器31からの操作信号Sig1、つまり第1系統である「系統:1」の操作信号Sig1の出力が停止されているが、制御部12は、ユーザによるトリガの無視を指示する操作入力を受け付けている。このため、制御部12は、「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えるというトリガが発生した時点で第1条件が満たされているため、当該第1系統に対応する第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2の出力を停止せずに維持する。
【0077】
上述のように、第2変形例では、例えば配線トラブル等により意図せずに操作信号Sig1が途切れた場合でも、当該操作信号Sig1に対応する照明負荷2が点灯し続けるので、不意に照明負荷2が消灯するのを防ぐことができる、という利点がある。
【0078】
<第3変形例>
図18は、実施の形態の第3変形例に係る照明制御システム100(調光盤1)のトリガを受け付けた場合の動作の説明図である。第3変形例では、制御部12は、トリガを受け付けた時点で第2条件を満たす場合、停止処理を実行せずに、所定のレベルでの出力を指示する制御内容を含む1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を維持する。以下、実施の形態に係る照明制御システム100(調光盤1)と共通する点については、説明を省略する。
【0079】
第2条件は、例えば調光盤1に備え付けの特定のスイッチ等をユーザが操作することによる、任意の照明負荷2の光出力のレベル(つまり、調光レベル)を指示する操作入力を受け付けることである。なお、操作入力は、調光盤1に備え付けの特定のスイッチ等に限らず、例えばスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の情報端末にて行われてもよい。
【0080】
図18に示す例では、第1操作器31からの操作信号Sig1、つまり第1系統である「系統:1」の操作信号Sig1の出力が停止されているが、制御部12は、ユーザによる照明負荷21,22の光出力のレベルを指示する操作入力を受け付けている。このため、制御部12は、「系統:1」の操作信号Sig1が途絶えるというトリガが発生した時点で第2条件が満たされているため、当該第1系統に対応する第2系統である「系統:10」の制御信号Sig2の出力を停止せずに維持する。さらに、制御部12は、照明負荷21,22の光出力のレベルが指示されているので、制御信号Sig2における照明負荷21,22に対応する「CH1」、「CH2」の制御内容を変更する。
【0081】
上述のように、第3変形例では、例えばユーザが操作器3の電源を切るだけで、当該操作器3により制御される照明負荷2を所定のレベルで点灯させることができる、という利点がある。このため、例えばイベントの終了時に、ユーザが操作器3の電源を切るだけで、イベント会場から客が退出できる程度の照明の明るさを確保しやすい。
【0082】
<その他の変形例>
上記実施の形態では、照明制御システム100は区切り指定部13を備えているが、区切り指定部13を備えていなくてもよい。
【0083】
また、上記実施の形態では、入力部11は、操作器3からの操作信号を受け付けているが、これに限られない。例えば、入力部11は、調光盤1とは別の調光盤から中継される操作信号を受け付けてもよい。つまり、入力部11は、調光盤1とは別の機器等からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される操作信号を受け付けるように構成されていればよい。
【0084】
また、上記実施の形態では、照明制御システム100は、調光盤1という1つの装置により実現されているが、これに限られない。例えば、照明制御システム100は、複数の装置により実現されてもよい。照明制御システム100が複数の装置によって実現される場合、照明制御システム100が備える構成要素は、複数の装置にどのように振り分けられてもよい。
【0085】
また、上記実施の形態において、制御部等の構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU(Central Processing Unit)又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0086】
また、制御部等の構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、制御部等の構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0087】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【0088】
(まとめ)
以上説明したように、第1の態様に係る照明制御システム100は、入力部11と、制御部12と、を備えている。入力部11は、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷2を操作するための操作信号Sig1であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号Sig1を受け付ける。制御部12は、入力部11が受け付けた複数の第1系統の操作信号Sig1に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。複数の第2系統の各々は、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。複数の照明負荷2の各々は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統の制御信号Sig2に従って制御される。制御部12は、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行する。
【0089】
このような照明制御システム100によれば、一部のエリアの照明負荷2に対してのみ制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能であり、簡易な構成により複数の照明負荷2を一括して制御しやすい、という利点がある。
【0090】
また、例えば、第2の態様に係る照明制御システム100では、第1の態様において、トリガは、入力部11にて複数の第1系統の操作信号Sig1のうちいずれかの第1系統の操作信号Sig1が途絶えることである。
【0091】
このような照明制御システム100によれば、例えばユーザが操作器3を操作して操作信号Sig1の出力を停止させることで、当該操作器3により制御される照明負荷2に対してのみ、制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能である、という利点がある。
【0092】
また、例えば、第3の態様に係る照明制御システム100では、第2の態様において、制御部12は、トリガを受け付けた時点で第1条件を満たす場合、停止処理を実行せずに、1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を維持する。
【0093】
このような照明制御システム100によれば、例えば配線トラブル等により意図せずに操作信号Sig1が途切れた場合でも、当該操作信号Sig1に対応する照明負荷2が点灯し続けるので、不意に照明負荷2が消灯するのを防ぐことができる、という利点がある。
【0094】
また、例えば、第4の態様に係る照明制御システム100では、第2の態様において、制御部12は、トリガを受け付けた時点で第2条件を満たす場合、停止処理を実行せずに、所定のレベルでの出力を指示する制御内容を含む1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を維持する。
【0095】
このような照明制御システム100によれば、例えばユーザが操作器3の電源を切るだけで、当該操作器3により制御される照明負荷2を所定のレベルで点灯させることができる、という利点がある。このため、例えばイベントの終了時に、ユーザが操作器3の電源を切るだけで、イベント会場から客が退出できる程度の照明の明るさを確保しやすい。
【0096】
また、例えば、第5の態様に係る照明制御システム100では、第1~第4のいずれか1つの態様において、トリガは、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統の出力を停止する操作入力を受け付けることである。
【0097】
このような照明制御システム100では、例えば操作器3からの操作信号Sig1の出力を維持しつつ、一時的に制御信号Sig2(DMX信号)が途切れたことをトリガとした制御を行うことが可能である、という利点がある。
【0098】
また、例えば、第6の態様に係る照明制御システム100では、第1~第5のいずれか1つの態様において、複数の照明負荷2は、1つの空間A1に配置されている。照明制御システム100は、空間A1を1以上のエリアに区切る区切り方を指定する区切り指定部13を更に備える。制御部12は、区切り指定部13で指定された区切り方に応じて、複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。
【0099】
このような照明制御システム100によれば、空間A1に配置された全ての照明負荷2を操作したり、複数のエリアごとに照明負荷2を分けて操作したりすることができるので、空間A1を有効に利用しやすい、という利点がある。
【0100】
また、例えば、第7の態様に係る調光盤1は、筐体10と、入力部11と、制御部12と、を備えている。入力部11は、筐体10に設けられて、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷2を操作するための操作信号Sig1であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号Sig1を受け付ける。制御部12は、筐体10に設けられて、入力部11が受け付けた複数の第1系統の操作信号Sig1に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。複数の第2系統の各々は、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。複数の照明負荷2の各々は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統の制御信号Sig2に従って制御される。制御部12は、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号Sig2の出力を停止する停止処理を実行する。
【0101】
このような調光盤1によれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0102】
また、例えば、第8の態様に係る照明制御方法では、外部からマルチキャスト送信又はブロードキャスト送信される、複数の照明負荷2を操作するための操作信号Sig1であって、互いに異なる複数の第1系統の操作信号Sig1を受け付ける。また、照明制御方法では、受け付けた複数の第1系統の操作信号Sig1に基づいて、互いに異なる複数の第2系統の制御信号Sig2を複数の照明負荷2へ送信する。複数の第2系統の各々は、複数の第1系統のうちのいずれかの第1系統に対応している。複数の照明負荷2の各々は、複数の第2系統の制御信号Sig2のうち、自身に付与された第2系統の制御信号Sig2に従って制御される。照明制御方法では、複数の第2系統のうちのいずれか1以上の第2系統の出力を停止するトリガを受け付けた場合、当該トリガに対応した1以上の第2系統の制御信号の出力を停止する。
【0103】
このような照明制御方法によれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【0104】
また、例えば、第9の態様に係るプログラムは、1以上のプロセッサに、第8の態様に係る照明制御方法を実行させる。
【0105】
このようなプログラムによれば、上記の照明制御システム100と同様の効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0106】
1 調光盤
10 筐体
11 入力部
12 制御部
13 区切り指定部
2、21、22、23、24、25、26 照明負荷
3 操作器
100 照明制御システム
A1 空間
Sig1 操作信号
Sig2 制御信号