(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173428
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両充電システム、充電器及び充電器運転モード設定器
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241205BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20241205BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20241205BHJP
B60L 53/67 20190101ALI20241205BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20241205BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/02 J
H02J7/04 A
B60L53/67
B60L53/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091840
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000124591
【氏名又は名称】河村電器産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(72)【発明者】
【氏名】浅井 成実
(72)【発明者】
【氏名】馬渡 弘友希
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
5G503AA01
5G503BA04
5G503BB01
5G503CA01
5G503CC02
5G503EA08
5G503FA06
5G503GD03
5G503GD04
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC11
5H125AC24
5H125BE02
5H125DD02
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】充電制御装置が故障等の不具合によって充電器の動作を制御できなくなった場合に、簡易な手順で車両への充電を行うことができるようにする。
【解決手段】充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するインレット型の充電器運転モード設定器を備え、充電器は、充電制御装置からの制御に従って複数の充電器で複数の車両に同時に充電する連携運転モードの充電指示を充電制御装置から受信していない場合において、充電器運転モード設定器が車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、充電制御装置からの制御によらず単独で車両に充電する単独運転モードに設定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両を充電するための複数の充電器と、
複数の前記充電器の充電の動作を制御する充電制御装置と、
前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するインレット型の充電器運転モード設定器と、を備え、
前記充電器は、前記充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードの充電指示を前記充電制御装置から受信していない場合において、前記充電器運転モード設定器が前記車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、前記充電制御装置からの制御によらず単独で前記車両に充電する単独運転モードに設定する、
車両充電システム。
【請求項2】
前記充電器は、自己の運転モードが前記単独運転モードである場合において、前記充電制御装置から前記連携運転モードの充電指示を受信したときに、自己の運転モードを、前記単独運転モードから前記連携運転モードに切り替える、
請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項3】
前記充電器運転モード設定器は、前記充電器のコントロールパイロットに対して前記連携運転モードでは使用されない所定の信号を入力するモード設定回路を備え、
前記充電器は、自己のコントロールパイロットに入力される前記所定の信号を検出した場合に、自己の運転モードを前記単独運転モードに設定する、
請求項1に記載の車両充電システム。
【請求項4】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、
請求項3に記載の車両充電システム。
【請求項5】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、
請求項3に記載の車両充電システム。
【請求項6】
車両を充電するための複数の充電器の充電の動作を制御する充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードで前記車両に充電する前記充電器において、
前記連携運転モードの充電指示を前記充電制御装置から受信していない場合において、前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するインレット型の充電器運転モード設定器が前記車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、前記充電制御装置からの制御によらず単独で前記車両に充電する単独運転モードに設定する制御部、
を備える充電器。
【請求項7】
前記制御部は、自己の運転モードが前記単独運転モードである場合において、前記充電制御装置から前記連携運転モードの充電指示を受信したときに、自己の運転モードを、前記単独運転モードから前記連携運転モードに切り替える、
請求項6に記載の充電器。
【請求項8】
前記制御部は、前記連携運転モードでは使用されない所定の信号が自己の前記充電器のコントロールパイロットに入力されたことを検出した場合に、自己の運転モードを前記単独運転モードに設定する、
請求項6に記載の充電器。
【請求項9】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、
請求項8に記載の充電器。
【請求項10】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、
請求項8に記載の充電器。
【請求項11】
車両を充電するための複数の充電器の充電の動作を制御する充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードで前記車両に充電する前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するように構成された、インレット型の充電器運転モード設定器。
【請求項12】
前記充電器のコントロールパイロットに対して前記連携運転モードでは使用されない所定の信号を入力するモード設定回路を備える、
請求項11に記載の充電器運転モード設定器。
【請求項13】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、
請求項12に記載の充電器運転モード設定器。
【請求項14】
前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、
請求項12に記載の充電器運転モード設定器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両充電システム、充電器及び充電器運転モード設定器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、EV(Electric Vehicle)やPHEV(Plug-in Hybrid Electric Vehicle)等の複数の車両を同時に充電する車両充電システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載された車両充電システムは、各充電器の充電の動作を制御する充電制御装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した従来の車両充電システムでは、充電制御装置が故障等の不具合によって充電器の動作を制御できなくなった場合、充電制御装置が復旧するまで車両への充電を行うことができなかった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、その目的は、充電制御装置が故障等の不具合によって充電器の動作を制御できなくなった場合に、簡易な手順で車両への充電を行うことができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、車両を充電するための複数の充電器と、複数の前記充電器の充電の動作を制御する充電制御装置と、前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するインレット型の充電器運転モード設定器と、を備え、前記充電器は、前記充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードの充電指示を前記充電制御装置から受信していない場合において、前記充電器運転モード設定器が前記車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、前記充電制御装置からの制御によらず単独で前記車両に充電する単独運転モードに設定する、車両充電システムである。
本発明の一態様は、上記の車両充電システムにおいて、前記充電器は、自己の運転モードが前記単独運転モードである場合において、前記充電制御装置から前記連携運転モードの充電指示を受信したときに、自己の運転モードを、前記単独運転モードから前記連携運転モードに切り替える、車両充電システムである。
本発明の一態様は、上記の車両充電システムにおいて、前記充電器運転モード設定器は、前記充電器のコントロールパイロットに対して前記連携運転モードでは使用されない所定の信号を入力するモード設定回路を備え、前記充電器は、自己のコントロールパイロットに入力される前記所定の信号を検出した場合に、自己の運転モードを前記単独運転モードに設定する、車両充電システムである。
本発明の一態様は、上記の車両充電システムにおいて、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、車両充電システムである。
本発明の一態様は、上記の車両充電システムにおいて、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、車両充電システムである。
【0007】
本発明の一態様は、車両を充電するための複数の充電器の充電の動作を制御する充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードで前記車両に充電する前記充電器において、前記連携運転モードの充電指示を前記充電制御装置から受信していない場合において、前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するインレット型の充電器運転モード設定器が前記車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、前記充電制御装置からの制御によらず単独で前記車両に充電する単独運転モードに設定する制御部、を備える充電器である。
本発明の一態様は、上記の充電器において、前記制御部は、自己の運転モードが前記単独運転モードである場合において、前記充電制御装置から前記連携運転モードの充電指示を受信したときに、自己の運転モードを、前記単独運転モードから前記連携運転モードに切り替える、充電器である。
本発明の一態様は、上記の充電器において、前記制御部は、前記連携運転モードでは使用されない所定の信号が自己の前記充電器のコントロールパイロットに入力されたことを検出した場合に、自己の運転モードを前記単独運転モードに設定する、充電器である。
本発明の一態様は、上記の充電器において、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、充電器である。
本発明の一態様は、上記の充電器において、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、充電器である。
【0008】
本発明の一態様は、車両を充電するための複数の充電器の充電の動作を制御する充電制御装置からの制御に従って複数の前記充電器で複数の前記車両に同時に充電する連携運転モードで前記車両に充電する前記充電器の充電ケーブルの車両用充電コネクタに嵌合するように構成された、インレット型の充電器運転モード設定器である。
本発明の一態様は、上記の充電器運転モード設定器において、前記充電器のコントロールパイロットに対して前記連携運転モードでは使用されない所定の信号を入力するモード設定回路を備える、充電器運転モード設定器である。
本発明の一態様は、上記の充電器運転モード設定器において、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号電圧を有する、充電器運転モード設定器である。
本発明の一態様は、上記の充電器運転モード設定器において、前記所定の信号は、前記連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する、充電器運転モード設定器である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、充電制御装置が故障等の不具合によって充電器の動作を制御できなくなった場合に、簡易な手順で車両への充電を行うことができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る車両充電システムの構成例を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態に係る充電器の構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る充電器の構成例を示すブロック図である。
【
図4】一実施形態に係る充電器の運転モード切替方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【
図5】一実施形態に係る充電器運転モード設定器の構成例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る充電器運転モード設定器の構成例を示す図である。
【
図7】一実施形態に係る充電器運転モード設定器の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態について説明する。
図1は、一実施形態に係る車両充電システムの構成例を示すブロック図である。
図1において、車両充電システム1は、充電器2(2-1~2-n(nは、n>0の整数))と、充電制御装置3と、充電器運転モード設定器100とを備える。
図1には、さらに、スマートメータ(電力量計)10と、スマートメータ10と充電制御装置3とを接続する通信線L2と、商用電源11から高圧で受電した電力を低圧電力に変換する変圧器9と、電気自動車EV等の車両4(4-1~4-n)と、充電器2(2-1~2-n)と車両4(4-1~4-n)とを接続する充電ケーブルL1(L1-1~L1-n)とが示されている。なお、スマートメータ10と充電制御装置3とはパルスセンサやWi-Fi(登録商標)等の無線により通信してもよい。
【0012】
充電器2-1~充電器2-nは、車両4-1~車両4-nからそれぞれ延びた充電ケーブルL1-1~充電ケーブルL1-nが接続される。充電器2-1~充電器2-nは、それぞれ車両4-1~車両4-nを充電する。充電器2-1~充電器2-nの各々は、充電制御装置3からの制御信号を受けて、充電電流を増減する回路(図示せず)を備えている。
【0013】
充電制御装置3は、スマートメータ10から受電電力情報を取得し、取得した受電電力情報に基づいて、充電の動作を制御する制御信号を充電器2-1~充電器2-nに出力する。受電電力情報とは、系統からの受電電力を示す。系統からの受電電力は、商用電源11を介して供給される。スマートメータ10は、当該受電電力を計測する。充電制御装置3は、受電電力情報に基づいて、系統からの受電電力が基準値を超えないよう車両の充電を制御する。
【0014】
充電制御装置3と充電器2-1~充電器2-nとは、無線又は有線により通信する。
【0015】
以下、特に区別しないときは、充電器2-1~充電器2-nを充電器2と称し、車両4-1~車両4-nを車両4と称し、充電ケーブルL1-1~充電ケーブルL1-nを充電ケーブルL1と称する。
【0016】
充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタが車両4のインレットに接続されることによって、充電器2から車両4に充電することができるようになる。
【0017】
充電制御装置3は、複数の充電器2で複数の車両4に同時に充電する連携運転モードの制御を行う。充電器2は、充電制御装置3からの制御に従って、連携運転モードの充電の動作を行う。
【0018】
充電制御装置3の各機能は、充電制御装置3がCPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。なお、充電制御装置3として、汎用のコンピュータ装置を使用して構成してもよく、又は、専用のハードウェア装置として構成してもよい。また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0019】
充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合するインレット型である。したがって、充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合することにより、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続する。充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続することにより、充電器2に電気的に接続される。
【0020】
充電器2は、連携運転モードの充電指示を充電制御装置3から受信していない場合において、充電器運転モード設定器100が自己の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続されたことを検出したときに、自己の運転モードを、充電制御装置3からの制御によらず単独で車両4に充電する単独運転モードに設定する。充電器2は、単独運転モードにおいて、充電制御装置3からの制御によらずに、単独で車両4に充電する動作を行う。これにより、充電制御装置3が故障等の不具合によって充電器2の動作を制御できなくなった場合には、充電器運転モード設定器100を充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続するという簡易な手順で、充電器2が単独で車両4への充電を行うことができる。
【0021】
図2は、本実施形態に係る充電器の構成例を示すブロック図である。
図2において、充電器2は、通信部22、制御部24、記憶部25、計測部26及び出力部28を備える。また、
図2では、充電器2に充電ケーブルL1を介して接続される車両4が示されている。
【0022】
通信部22は、通信モジュールによって実現される。通信部22は、外部の通信装置と通信する。通信部22は、充電制御装置3と通信する。通信部22は、充電制御装置3が送信した制御信号を受信し、車両4に供給している充電の電流値情報を送信する。
【0023】
計測部26は、車両4に供給している電流値を計測する。
出力部28は、充電ケーブルL1により車両4へ充電電流を出力することによって車両4を充電する。
制御部24は、通信部22が充電制御装置3から受信した制御信号を取得し、取得した制御信号に示される充電電流の指示値に基づいて出力部28に充電電流を出力させることによって車両4を充電させる。制御部24は、計測部26から車両4に供給している電流値を取得し、通信部22から充電制御装置3に送信する。
【0024】
制御部24には、車両4との間のコントロールパイロット(Control Pilot)CPが出力部28を介して接続される。コントロールパイロットCPは、充電ケーブルL1に含まれる信号線である。コントロールパイロットCPは、充電ケーブルL1により、出力部28と車両4との間で接続される。コントロールパイロットCPは、充電器2と車両4との間で制御情報を伝送するために使用される。制御部24は、コントロールパイロットCPにより、車両4との間で充電に関する制御情報を送受する。
【0025】
記憶部25は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。
【0026】
充電器2の各機能は、充電器2がCPU及びメモリ等のコンピュータハードウェアを備え、CPUがメモリに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。また、これらの機能部のうち一部又は全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。
【0027】
図3は
図2と同様に充電器の構成例を示すブロック図であり、
図3では、充電器2に充電ケーブルL1を介して接続される充電器運転モード設定器100が示されている。
【0028】
制御部24には、充電器運転モード設定器100との間のコントロールパイロットCPが出力部28を介して接続される。コントロールパイロットCPは、充電ケーブルL1に含まれる信号線である。コントロールパイロットCPは、充電ケーブルL1により、出力部28と充電器運転モード設定器100との間で接続される。
【0029】
次に
図4を参照して本実施形態に係る充電器2の運転モードの切り替えの動作を説明する。
図4は、本実施形態に係る充電器の運転モード切替方法の手順の一例を示すフローチャートである。
【0030】
充電器2の制御部24は、充電器2の電源オンやリセット等により
図4の処理を開始する。
【0031】
(ステップS1) 制御部24は、自己の充電器2の運転モードを、初期値である連携運転モードに設定する。連携運転モードでは、充電器2は、充電制御装置3からの制御に従って車両4への充電を行う。連携運転モードは、複数の充電器2で複数の車両4に同時に充電する運転モードである。
【0032】
(ステップS2) 制御部24は、充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信しているか否かを判定する。充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信している場合は、ステップS2を繰り返す。一方、充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信していないと判定した場合は、ステップS3に進む。
【0033】
(ステップS3) 制御部24は、充電器運転モード設定器100が自己の充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続されているか否かを判定する。制御部24は、コントロールパイロットCPにより、充電器運転モード設定器100が自己の充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続されていることを検出する。
【0034】
(ステップS4) 充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続されていることが検出された場合は、ステップS5に進む。一方、充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続されていることが検出されない場合は、ステップS2に戻る。
【0035】
(ステップS5) 制御部24は、自己の充電器2の運転モードを、連携運転モードから単独運転モードに切り替える。単独運転モードでは、充電器2は、充電制御装置3からの制御によらず、単独で車両4への充電を行う。単独運転モードは、充電器2が単独で車両4に充電する運転モードである。
【0036】
なお、充電器2において、ランプや液晶パネル等によって、現在の運転モードを報知してもよい。例えば、単独運転モードを示す表示ランプを充電器2に設けてもよい。
【0037】
(ステップS6) 制御部24は、充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信しているか否かを判定する。充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信している場合は、ステップS7に進む。一方、充電制御装置3から連携運転モードの充電指示を受信していないと判定した場合は、ステップS6を繰り返す。
【0038】
(ステップS7) 制御部24は、自己の充電器2の運転モードを、単独運転モードから連携運転モードに切り替える。
【0039】
(ステップS8) 処理終了の場合は
図4の処理を終了する。一方、処理継続の場合はステップS2に戻る。
【0040】
次に
図5-
図7を参照して本実施形態に係る充電器運転モード設定器100の構成例を説明する。
図5-
図7は、本実施形態に係る充電器運転モード設定器の構成例を示す図である。
【0041】
(充電器運転モード設定器の例1)
図5を参照して本実施形態に係る充電器運転モード設定器100の例1を説明する。
図5は、本実施形態に係る充電器運転モード設定器の例1を示す図である。
図5において、充電器運転モード設定器100は、インレット型であり、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合する。充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合することにより、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続し、充電器2に電気的に接続される。充電ケーブルL1は、充電器2から充電電流を車両4に供給する電源線ACと、グランド線と、コントロールパイロットCPとを有する。
【0042】
充電器運転モード設定器100は、モード設定回路として、コントロールパイロットCPに接続されるダイオード111と、ダイオード111に直列接続される抵抗112とを備える。ダイオード111のアノードは、コントロールパイロットCPに接続される。抵抗112は、一端がダイオード111のカソードに接続され、もう一端がグランド線に接続される。充電器運転モード設定器100において、電源線ACはオープンである。
【0043】
抵抗112の抵抗値は、コントロールパイロットCPに接続される車両4における充電器2の規格の範囲外の値である。例えば、充電器2の規格の範囲が270オーム(Ω)から2.74キロオーム(kΩ)である場合に、抵抗112の抵抗値は120Ωである。
【0044】
充電器2の制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧を検出する。充電器運転モード設定器100の抵抗112の抵抗値が120Ωである場合において、充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1に接続されたときは、制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧が充電器2の規格の範囲外であることを検出する。これにより、制御部24は、充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1に接続されていることを検出する。
【0045】
したがって、制御部24は、連携運転モードの充電指示を充電制御装置3から受信していない場合において、コントロールパイロットCPの信号電圧が充電器2の規格の範囲外であることを検出したときに、自己の充電器2の運転モードを単独運転モードに設定する。
【0046】
なお、制御部24は、連携運転モードの充電指示を充電制御装置3から受信していない場合において、コントロールパイロットCPの信号電圧が充電器2の規格の範囲外であることを一定期間継続して検出したときに、自己の充電器2の運転モードを単独運転モードに設定してもよい。これにより、ノイズ等の外乱による誤動作を防ぐ効果が得られる。
【0047】
(充電器運転モード設定器の例2)
図6を参照して本実施形態に係る充電器運転モード設定器100の例2を説明する。
図6は、本実施形態に係る充電器運転モード設定器の例2を示す図である。
図6において、充電器運転モード設定器100は、インレット型であり、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合する。充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合することにより、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続し、充電器2に電気的に接続される。充電ケーブルL1は、充電器2から充電電流を車両4に供給する電源線ACと、グランド線と、コントロールパイロットCPとを有する。
【0048】
充電器運転モード設定器100は、モード設定回路として、コントロールパイロットCPに接続されるダイオード111と、ダイオード111に直列接続されるスイッチ113及び抵抗112とを備える。ダイオード111のアノードは、コントロールパイロットCPに接続される。スイッチ113は、一端がダイオード111のカソードに接続され、もう一端が抵抗112に接続される。抵抗112は、一端がスイッチ113に接続され、もう一端がグランド線に接続される。充電器運転モード設定器100において、電源線ACはオープンである。
【0049】
充電器2の制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧を検出する。スイッチ113が開閉することによって、コントロールパイロットCPの信号電圧が変化する。このスイッチ113の開閉で変化するコントロールパイロットCPの信号電圧によって、シリアル信号又はPWM(Pulse Width Modulation)信号として情報の伝達を行う。制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧を検出し、検出した信号電圧から所定のシリアル信号又はPWM信号を検出する。当該所定のシリアル信号又はPWM信号は、連携運転モードでは使用されない信号パターンを有する。これにより、制御部24は、充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1に接続されていることを検出する。また、所定のシリアル信号又はPWM信号が示す情報として、例えば充電電流値等の充電器2への設定情報を、充電器運転モード設定器100から制御部24へ送ってもよい。
【0050】
なお、スイッチ113の開閉の制御は、固定されてもよいし、マイクロプロセッサー等を用いて変更可能にされてもよい。
【0051】
(充電器運転モード設定器の例3)
図7を参照して本実施形態に係る充電器運転モード設定器100の例3を説明する。
図7は、本実施形態に係る充電器運転モード設定器の例3を示す図である。
図7において、充電器運転モード設定器100は、インレット型であり、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合する。充電器運転モード設定器100は、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに嵌合することにより、充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続し、充電器2に電気的に接続される。充電ケーブルL1は、充電器2から充電電流を車両4に供給する電源線ACと、グランド線と、コントロールパイロットCPとを有する。
【0052】
充電器運転モード設定器100は、モード設定回路として、コントロールパイロットCPに接続されるダイオード111と、ダイオード111に直列接続されるスイッチ114と、スイッチ114によって選択的にダイオード111に直列接続される抵抗112-1,112-2,112-3とを備える。ダイオード111のアノードは、コントロールパイロットCPに接続される。スイッチ114は、一端がダイオード111のカソードに接続され、もう一端が選択的に抵抗112-1,112-2,112-3のいずれかに接続される。抵抗112-1,112-2,112-3は、一端がスイッチ114に接続され、もう一端がグランド線に接続される。抵抗112-1,112-2,112-3の各抵抗値は、コントロールパイロットCPに接続される車両4における充電器2の規格の範囲外の値である。充電器運転モード設定器100において、電源線ACはオープンである。
【0053】
充電器2の制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧を検出する。スイッチ114が抵抗112-1,112-2,112-3のいずれかを選択することによって、コントロールパイロットCPの信号電圧が選択された抵抗の抵抗値に応じた信号電圧に変化する。このスイッチ114の抵抗の選択で変化するコントロールパイロットCPの信号電圧によって、情報の伝達を行う。制御部24は、コントロールパイロットCPの信号電圧を検出し、検出した信号電圧から所定の情報を検出する。これにより、制御部24は、充電器運転モード設定器100が充電器2の充電ケーブルL1に接続されていることを検出する。また、所定の情報として、例えば充電電流値等の充電器2への設定情報を、充電器運転モード設定器100から制御部24へ送ってもよい。
【0054】
なお、スイッチ114の抵抗の選択の制御は、固定されてもよいし、マイクロプロセッサー等を用いて変更可能にされてもよい。
【0055】
以上が本実施形態に係る充電器運転モード設定器100の構成例の説明である。
【0056】
本実施形態によれば、充電制御装置3が故障等の不具合によって充電器2の動作を制御できなくなった場合には、充電器運転モード設定器100を充電器2の充電ケーブルL1の車両用充電コネクタに接続するという簡易な手順で、充電器2が単独で車両4への充電を行うことができる。
【0057】
また、充電制御装置3が復旧した場合には、自動的に、単独運転モードから連携運転モードに切り替わるので、充電器2に対して復旧作業を行う手間がかからない。
【0058】
なお、単独運転モードにおいて、充電器2は、車両4へ供給する充電電流の最大値を、連携運転モードよりも所定の割合だけ少なくしてもよい。これは、複数の充電器2によって同時に単独運転モードで複数の車両4へ充電する場合に、系統からの受電電力が基準値を超えないようにするためである。
【0059】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0060】
また、上述した各装置の機能を実現するためのコンピュータプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行するようにしてもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、DVD(Digital Versatile Disc)等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0061】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0062】
1…車両充電システム、2(2-1~2-n)…充電器、3…充電制御装置、100…充電器運転モード設定器、4(4-1~4-n)…車両、L1(L1-1~L1-n)…充電ケーブル、9…変圧器、10…スマートメータ、11…商用電源、22…通信部、24…制御部、25…記憶部、26…計測部、28…出力部、CP…コントロールパイロット、111…ダイオード、112,112-1,112-2,112-3…抵抗、113,114…スイッチ