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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173430
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   G09F 9/00 20060101AFI20241205BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
G09F9/00 304B
H05K7/20 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091842
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
【テーマコード(参考)】
5E322
5G435
【Fターム(参考)】
5E322AA02
5E322AA03
5E322AB11
5E322EA11
5E322FA04
5G435AA12
5G435BB04
5G435EE49
5G435GG44
(57)【要約】
【課題】表示装置の冷却性能を向上させる。
【解決手段】互いに離間する複数の発光素子2が設けられた第1主面1a、および、第1主面1aの反対側に位置する第2主面1bを有する基板1と、第3主面4a、および、第3主面4aの反対側に位置する第4主面4bを有する冷却部4と、第2主面1bと第3主面4aとの間に位置し、第2主面1bと第3主面4aとに接する放熱シート3と、第2主面1bに沿う方向において放熱シート3を挟む位置に配置され、基板1および冷却部4のそれぞれに接着された接続部5と、を備え、接続部5は、熱収縮性樹脂からなる、表示装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに離間する複数の発光素子が設けられた第1主面、および、前記第1主面の反対側に位置する第2主面を有する基板と、
第3主面、および、前記第3主面の反対側に位置する第4主面を有する冷却部と、
前記第2主面と前記第3主面との間に位置し、前記第2主面と前記第3主面とに接する放熱シートと、
前記第2主面に沿う方向において前記放熱シートを挟む位置に配置され、前記基板および前記冷却部のそれぞれに接着された接続部と、
を備え、
前記接続部は、熱収縮性樹脂からなる、表示装置。
【請求項2】
請求項1記載の表示装置において、
平面視において、前記接続部は、前記放熱シートの周囲を囲む環状構造を有している、表示装置。
【請求項3】
請求項1記載の表示装置において、
前記接続部は、前記第2主面と前記第3主面とのそれぞれに接している、表示装置。
【請求項4】
請求項1記載の表示装置において、
前記複数の発光素子は、表示部を構成し、
前記放熱シートおよび前記冷却部のそれぞれは、平面視において前記表示部と重なっている、表示装置。
【請求項5】
請求項1記載の表示装置において、
前記第3主面は、前記基板側に突出する突出部の上面と、平面視において前記突出部と隣り合う凹部の底面とを含み、
前記放熱シートは、前記突出部の前記上面に接着され、
前記接続部は、前記凹部の前記底面に接着されている、表示装置。
【請求項6】
請求項1記載の表示装置において、
前記複数の発光素子は、表示部を構成し、
前記接続部は、前記第1主面の端部であって、平面視において前記表示部を囲む領域を覆っている、表示装置。
【請求項7】
請求項1記載の表示装置において、
前記接続部は、前記第4主面の端部を覆っている、表示装置。
【請求項8】
請求項1記載の表示装置において、
前記第2主面に沿う方向において前記放熱シートを挟む位置に配置された前記接続部のそれぞれは、前記第4主面の一部または全体を覆う前記接続部と一体となっている、表示装置。
【請求項9】
請求項8記載の表示装置において、
前記第4主面の一部は、前記接続部から露出し、
前記冷却部は、空冷式の冷却機構を備えている、表示装置。
【請求項10】
請求項8記載の表示装置において、
平面視において、前記接続部は、前記放熱シートの周囲を囲む環状構造を有し、
前記接続部は、前記第4主面の全体を覆い、
前記冷却部は、水冷式の冷却機構を備えている、表示装置。
【請求項11】
請求項1記載の表示装置において、
前記放熱シートの表面のうち、前記第2主面と対向する面は、全て前記第2主面に接している、表示装置。
【請求項12】
請求項1記載の表示装置において、
前記複数の発光素子のそれぞれは、発光ダイオードである、表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却機構を備えた表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
透過率の高い回路基板上に微細な自発光素子(例えば発光ダイオード)を複数並べて構成される表示装置(例えばマイクロLEDディスプレイ)がある。このような表示装置は反射または拡散を用いないため光の損失が少なく、高輝度を実現できる。
【0003】
特許文献1(特開2003-124671号公報)には、ノート型パーソナルコンピュータのディスプレイケース内であってディスプレイの裏側に放熱パイプを配置し、放熱パイプ内を流れる冷却水によりディスプレイを冷却することが記載されている。
【0004】
特許文献2(特開2016-119362号公報)には、透明有機ELパネルの裏面に金属細線を格子状に形成して、当該金属細線を透明な放熱シートで被うことが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003-124671号公報
【特許文献2】特開2016-119362号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板上に自発光素子が配列された表示装置において高輝度の表示を行う場合、素子自身および基板回路の発熱が問題になる場合がある。すなわち、素子の温度上昇による発光効率の低下、または、高温による素子若しくは回路へのダメージ発生などが起こり得る。
【0007】
温度上昇を防ぐ対策として、ヒートシンクなどを用いて発熱部を冷却する方法がある。しかし、表示装置の表面に素子が露出している場合などにおいて、表示パネルと冷却機構とを重ねてそれらを表側と裏側から押圧して密着することは、当該素子の損壊の原因となるため困難である。
【0008】
本発明の目的は、表示装置の性能を向上させることにある。
【0009】
その他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される実施の形態のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
【0011】
一実施の形態である表示装置は、互いに離間する複数の発光素子が設けられた第1主面、および、前記第1主面の反対側に位置する第2主面を有する基板と、第3主面、および、前記第3主面の反対側に位置する第4主面を有する冷却部と、前記第2主面と前記第3主面との間に位置し、前記第2主面と前記第3主面とに接する放熱シートと、前記第2主面に沿う方向において前記放熱シートを挟む位置に配置され、前記基板および前記冷却部のそれぞれに接着された接続部と、を備え、前記接続部は、熱収縮性樹脂からなるものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1に係る表示装置を示す断面図である。
図2】実施の形態1に係る表示装置を示す平面図である。
図3】実施の形態1に係る表示装置を示す斜視図である。
図4】実施の形態1に係る表示装置を構成する冷却部を示す断面図である。
図5図4のA-A線における断面図である。
図6】実施の形態1に係る表示装置の製造方法を示す断面図である。
図7図6に続く表示装置の製造方法を示す断面図である。
図8】実施の形態1の変形例1に係る表示装置を示す断面図である。
図9】実施の形態1の変形例2に係る表示装置を示す断面図である。
図10】実施の形態1の変形例3に係る表示装置を示す平面図である。
図11】実施の形態2に係る表示装置を示す断面図である。
図12】実施の形態2に係る表示装置を示す斜視図である。
図13】実施の形態2に係る表示装置を示す斜視図である。
図14】実施の形態2に係る表示装置の変形例を示す断面図である。
図15】比較例に係る表示装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0014】
本願でいう平面形状とは、平面視における対象物の形状を指す。ここでいう平面視とは、対象物の特に大きい面である主面に対し垂直な方向から対象物を見る場合の位置関係である。
【0015】
(実施の形態1)
<表示装置の構成>
図1図5を参照して、本実施の形態に係る表示装置について説明する。
【0016】
図1は、本実施の形態に係る表示装置を示す断面図である。図1に示すように、本実施の形態の表示装置は、基板1と、基板1上に複数並んで設けられた発光素子2と、基板1の下面に放熱シート3を介して貼り付けられた冷却部4と、基板1の下面と冷却部4の上面とに接着された接続部5とを備えている。
【0017】
基板1は、第1主面1aと、第1主面1aの反対側の第2主面1bとを備えている。また、冷却部4は、第3主面4aと、第3主面4aの反対側の第4主面4bとを備えている。基板1は、例えばガラスからなるガラス基板(透明基板、アレイ基板)であり、第1主面1a上には、トランジスタ(TFT(Thin Film Transistor、薄膜トランジスタ))と、配線および絶縁膜を含む配線層と、それらの上の発光素子2とが設けられている。つまり、第1主面1aには、互いに離間する複数の発光素子2が設けられている。基板1は、各画素を駆動するための駆動回路基板であり、バックプレーンまたはアクティブマトリクス基板とも呼ばれる。ここでは、複数の発光素子2を備えた基板1を表示パネルと呼ぶ場合がある。
【0018】
複数の発光素子2は、例えば赤色に発光する発光素子、緑色に発光する発光素子、および、青色に発光する発光素子を含んでいる。赤、緑、青の発光素子はまとまって配置されており、1つの画素を構成している。言い換えれば、1つの画素は3種類の色の発光素子により構成されている。第1主面1a上には、このような画素がX方向およびY方向において行列状に複数並んでいる。つまり、複数の発光素子2は、基板1の第1主面1aおよび第2主面1bに沿って並んでいる。基板1の第1主面1a上には、複数の発光素子2が並ぶ、発光素子実装部(表示部)2aが存在している。複数の発光素子2のそれぞれは第1主面1a上に突出するように配置されており、いずれも露出している。本願でいう主面は、いずれもX-Y平面に沿うものであり、この主面に対する垂直な方向(法線方向)はZ方向である。
【0019】
X方向およびY方向は、互いに直交する方向である。ただし、X方向は、Y方向と直交しないで交差してもよい。X方向およびY方向のそれぞれに対して直交する方向であるZ方向において、基板1の第2主面1bと冷却部4の第3主面4aとは互いに対向している。すなわち、基板1と冷却部4とは、平面視において互いに重なっている。
【0020】
発光素子2は、アノード端子およびカソード端子を有する発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)である。発光素子2は、平面視で、3μm以上、300μm以下程度の大きさを有するLEDチップである。厳密な定義ではないが、チップサイズが100μmを下回るものは、マイクロLED(micro LED)と呼ばれる。各画素にマイクロLEDを備える表示装置は、マイクロLED表示装置とも呼ばれる。なお、マイクロLEDのマイクロは、発光素子2の大きさを限定するものではない。
【0021】
放熱シート(熱伝導シート)3は、例えば複数の炭素繊維を含み粘着性を有する板状部材である。放熱シート3は、基板1の第2主面1bおよび冷却部4の第3主面4aのそれぞれに接している。放熱シート3は、基板1と冷却部4との間に位置し、第2主面1bおよび第3主面4aのそれぞれに接着されている。放熱シート3は、基板1、接続部5および純水のいずれよりも熱伝導率が高い材料からなる。
【0022】
冷却部4は、例えば空冷または水冷などの方式により放熱が可能な冷却機構である。冷却部4は、例えばX-Y平面に沿う第3主面4aを備えた、略板状の形状を有している。発光素子実装部2a、基板1、放熱シート3および冷却部4の平面形状は、例えば矩形である。ここでは平面視における基板1と冷却部4との寸法がほぼ同じであり、それらに対して放熱シート3の寸法は小さい。平面視において、発光素子実装部2aと放熱シート3および冷却部4とは互いに重なっている。
【0023】
接続部5は熱収縮性樹脂からなる。接続部5は、表示装置の製造段階において液状の樹脂を加熱することで硬化・収縮させることで形成されたものである。すなわち、接続部5は、常温では液状であり、加熱された際に収縮して硬化する熱収縮性を有する材料からなる。加熱され硬化した接続部5は、常温となっても液状には戻らない。具体的には、接続部5は例えば熱硬化エポキシ樹脂などからなる。加熱前の液状の樹脂と、加熱により収縮した後の接続部5とを比較した収縮率は、例えば3~5%である。つまり、加熱よって、接続部5の長さは3~5%程度小さくなる。
【0024】
接続部5は、基板1の第2主面1bと冷却部4の第3主面4aとのそれぞれに接着されている。すなわち、接続部5は基板1の第2主面1bおよび冷却部4の第3主面4aのそれぞれに接している。つまり、接続部5は、第2主面1bと第3主面4aとの相互間を接続している。ただし、例えば接続部5と第2主面1bとの間、または、接続部5と第3主面4aとの間に接着剤が介在していてもよい。
【0025】
接続部5は、ここではX方向およびY方向のそれぞれにおいて放熱シート3と隣り合っており、Z方向において放熱シート3と同様の厚さを有している。接続部5は、X方向若しくはY方向の一方または両方、つまり、第2主面1bに沿う方向において、放熱シート3を挟むように配置されている。図2に示すように、矩形の放熱シート3の周囲は、環状の接続部5により囲まれている。言い換えれば、平面視において、放熱シート3の周囲は連続する環状構造を有する接続部5により完全に囲まれている。なお、図2では基板1および発光素子2の図示を省略している。
【0026】
冷却部4は主に、例えばガラスなどに比べて熱伝導率が高い金属により構成されている。冷却部4の冷却方式が空冷式である場合、図3に示すように、冷却部4は例えばヒートシンクであり、Y方向に延在する複数の凸部であるフィン20を備えていることが考えられる。フィン20は。X方向に複数並んで配置されている。フィン20は、冷却部4の第4主面4b側に形成されている。冷却部4は、複数のフィン20の周囲を流れる気流に熱を奪われ、これにより冷却される。
【0027】
また、冷却部4の冷却方式が水冷式である場合、図4および図5に示すように、冷却部4は、内部に平面視において蛇行する流路24を備えていることが考えられる。この場合、冷却部4は外部に露出する入口孔23aおよび出口孔23bを備える。入口孔23aおよび出口孔23bは流路24の両端を構成しており、入口孔23aから供給された冷却媒体(例えば水などの液体)は、流路24を流れ、出口孔23bから排出される。冷却部4は、流路24内を流れる冷却媒体に熱を奪われ、これにより冷却される。
【0028】
本実施の形態の表示装置では、発光素子2または基板1上のトランジスタなどで発生した熱を、基板1および放熱シート3を介して伝導し、冷却部4において放熱する。接続部5は熱収縮性を有することで、基板1に対し冷却部4を押し付けている。放熱シート3の表面のうち、第2主面1bと対向する面は、全て第2主面1bに接している。つまり、Z方向において、放熱シート3と第2主面1bとの間には空隙が存在しない。これにより、放熱シート3を基板1の第2主面1bに密着させ、効果的な冷却を可能としている。
【0029】
<表示装置の製造方法>
本実施の形態の表示装置の製造方法を、図6および図7を用いて説明する。
【0030】
ここではまず、図6に示すように、第1主面1a上に複数の発光素子2が配置された基板1を用意する。このような基板1は、例えば、ガラス基板である基板1の第1主面1a上に金属配線およびトランジスタを形成した後、半導体ウエハからダイシングにより個片化した複数の発光素子2が主面上に並んで貼り付けられた転載用基板の当該主面を、基板1の第1主面1aに対向させて押し付け、これにより発光素子2を転載することで形成できる。また、第3主面4a上に放熱シート3が貼り付けられた冷却部4を用意する。
【0031】
次に、基板1の第2主面1bと冷却部4の第3主面4aとを互いに対向させた状態で基板1と放熱シート3および冷却部4とを型の中に入れる。続いて、第2主面1bと第3主面4aとの間の領域であって、第2主面1bに沿う方向における放熱シート3の周囲の領域(空間)に、熱収縮性樹脂である液状の樹脂5aを流し込む。樹脂5aは、加熱されると収縮して硬化する樹脂である。このとき、型内において基板1の第2主面1bと放熱シート3とは互いに接していてもよいが、相互が離間していてもよい。型内において、基板1と冷却部4とは相対的な位置が固定されておらず、一方が他方に近づくように動くことができる。樹脂5aには、例えば熱硬化エポキシ樹脂を使用できる。
【0032】
次に、図7に示すように、上記型内を加熱する。このときの加熱温度は、例えば100℃以上である。この加熱により、樹脂5aが収縮・硬化することで、樹脂5aからなる接続部5が形成される。この収縮により、Z方向における接続部5の長さは、Z方向における液状の樹脂5aの長さよりも短くなる。このように接続部5がZ方向に収縮する力により、基板1と冷却部4が互いに引き寄せられ、放熱シート3が基板1の第2主面1bに密着する。つまり、放熱シート3が基板1の第2主面1bに押し付けられる応力が働く。
【0033】
以上により、放熱シート3を介して基板1(発光素子2)の熱を冷却部4側に放熱可能な表示装置が略完成する。
【0034】
<本実施の形態の効果>
表示装置がその使用により発熱する場合、高温による発光素子または回路などへのダメージ発生を防ぐため、ヒートシンクなどの冷却機構を用いて発熱部を冷却する必要がある。発光素子(自発光素子)が各画素に配置されたマイクロLED表示装置は、各発光素子による発熱量が大きいため、温度上昇が顕著である。
【0035】
図15に示す比較例の表示装置のように、表示パネルである基板1と冷却機構である冷却部4とは、粘着性を有する放熱シート3を用いて互いに接着すれば、放熱シート3を介して基板1の熱を冷却部4へ伝導することができる。しかし、例えばマイクロLED表示装置のように、基板1の表面(第1主面1a)に発光素子2が露出している場合には、基板1と冷却部4とを重ねてそれらを基板1の第1主面1a側と冷却部4の第4主面4b側とから押圧することができない。そのような押圧を行うと、基板1の第1主面1a側の発光素子2が損傷するためである。よって、基板1と放熱シート3とを密着することができず、それらの相互間に隙間が生じることも考えられる。つまり、基板1の第2主面1bと放熱シート3とを互いに密着させることができず、基板1において生じる熱が冷却部4側に伝わり難くなるという問題がある。
【0036】
この問題は、第1主面1a上の発光素子2が例えば透明な保護層により覆われている場合であっても、その保護層の強度が低い場合には同様に生じる。放熱シート3は粘着性を有しているが、ガラスに対する粘着性は比較的低い。このため、基板1がガラスである場合には、特に放熱シート3を基板1の第2主面1bに押し付けて接着することが重要となる。
【0037】
そこで、本実施の形態では、図1に示すように基板1と冷却部4との間を接続し、平面視において放熱シート3の周囲に配置された接続部5を設けている。接続部5は加熱により収縮する熱収縮性樹脂からなり、製造工程中に加熱されることで収縮し、これにより放熱シート3と基板1の第2主面1bとを互いに押し付けている。したがって、放熱シート3と基板1の第2主面1bとが互いに密着するため、基板1側から放熱シート3を介して冷却部4側に効率よく熱を伝えることができる。よって、押圧による画素の損傷を防ぎつつ、表示装置の温度上昇を防げる。このため、温度上昇による発光素子の発光効率の低下、および、高温による素子または回路へのダメージ発生を防げる。温度上昇の抑制が可能となるため、発光素子の輝度をさらに高めることも可能である。以上より、表示装置の性能を向上できる。
【0038】
<変形例1>
図8に示すように、接続部5が基板1のX方向またはY方向における側面を覆い、接続部5の一部が基板1の第1主面1aの端部を覆っていてもよい。この場合、画素(発光素子2)は、第1主面1aを覆う接続部5から露出している。言い換えれば、接続部5は、第1主面1aの端部であって、平面視において複数の発光素子2が並ぶ表示部を囲む領域に接着されている、また、接続部5が冷却部4のX方向またはY方向における側面を覆い、接続部5の一部が冷却部4の第4主面4bの端部を覆っていてもよい。図8では、第1主面1aの端部および第4主面4bの端部の両方が1つの接続部5により覆われているが、第1主面1aの端部または第4主面4bのどちらか一方が図1の表示装置と同様に露出していてもよい。ただし、接続部5の収縮による放熱シート3と基板1との密着性を高める観点、および、接続部5の剥離を防ぐ観点から、図8に示すように第1主面1aの端部および第4主面4bの端部の両方が1つの接続部5により覆われていることが好ましい。ここでは、接続部5は第1主面1a、冷却部4の側面および第4主面4bのそれぞれに接着されている。
【0039】
本変形例では、図1を用いて説明した構造に比べ、接続部5のZ方向の長さが長くなる。言い換えれば、放熱シート3のZ方向の厚さに比べて、接続部5のZ方向の長さを大きくすることができる。したがって、接続部5の収縮により放熱シート3が基板1に押し付けられる力を大きくでき、放熱シート3と基板1との密着性を高められる。
【0040】
ここでは、冷却部4の第4主面4bが端部を除き露出しているため、第4主面4bの全面が接続部5により覆われる場合に比べ、冷却効率を高められる。特に、冷却部4の冷却方式が空冷式である場合、本変形例のように第4主面4bが端部を除き露出している態様は、冷却効率の低下を防ぐ観点から有効である。
【0041】
<変形例2>
図9に示すように、冷却部4の第3主面4aは、その中央に基板1側に向かって突出する凸部14を有していてもよい。言い換えれば、冷却部4の第3主面4aは、その端部(周辺部)に冷却部4の第4主面4b側に凹んだ凹部を有していてもよい。接続部5は当該凹部の底面に接着されており、放熱シート3は凸部14の上面(基板1の第2主面1bと対向する面)に接している。凸部14の上面と当該凹部の底面との境界には、段差15が存在する。
【0042】
冷却部4が段差15を有することにより、Z方向において、接続部5の長さは放熱シート3の厚さよりも大きくなる。これにより、図1を用いて説明した構造に比べ、接続部5のZ方向の長さが長くなる。したがって、接続部5の収縮により放熱シート3が基板1に押し付けられる力を大きくでき、放熱シート3と基板1との密着性を高められる。
【0043】
<変形例3>
図2では、接続部5が環状構造を有し、放熱シート3の周囲を囲む態様について説明した。これに対し、図10に示すように、接続部5は離散的に複数配置されていてもよい。つまり、平面視において、接続部5は放熱シート3の周囲を囲むように、互いに離間して複数並んで配置されていてもよい。
【0044】
図10では、平面形状が矩形である表示装置の4隅のそれぞれに接続部5が設けられている構造を示している。つまり、平面視において、接続部5は放熱シート3の4つの角部の近傍に配置されている。
【0045】
(実施の形態2)
図11に示すように、X方向またはY方向において放熱シート3の両方の側面と隣り合って配置された接続部5のそれぞれは、冷却部4の両側面を覆い、冷却部4の底面を覆う接続部5により接着され、互いに一体となっていてもよい。
【0046】
この場合、接続部5は冷却部4の第3主面4aには接着されていないが、図8に示すように、X方向またはY方向における冷却部4の幅が放熱シート3の幅より大きいことで、接続部5が冷却部4の第3主面4aに接着されていてもよい。
【0047】
図11に示す接続部5は、X方向またはY方向における冷却部4の一方の側面と、冷却部4の第4主面(底面)4bと、冷却部4の他方の側面とを連続的に覆っている。図12に示すように、例えば、接続部5は帯状であり、1箇所または複数箇所で放熱シート3および冷却部4を覆っていることが考えられる。すなわち、冷却部4の第4主面4bの一部は、接続部5から露出している。図12では3本の帯状の接続部5が、互いに離間した位置で放熱シート3および冷却部4を覆っている。これに対し、接続部5は当該3本のうちの中央の1本だけでもよく、両端の2本だけでもよい。また、接続部5の数は4本以上でもよい。
【0048】
冷却部4の冷却方式が空冷式である場合、上記のように帯状の接続部5を設ければ、接続部5が冷却部4の第4主面4bの全体を覆う態様に比べて冷却効率の低下を防げる。
【0049】
また、冷却部4の冷却方式が水冷式である場合は、図13に示すように、冷却部4の全体を接続部5により覆ってもよい。ただし、流路24の一部は接続部5を貫通しており、冷却部4のX方向またはY方向における側面から外側に延出する入口孔23aおよび出口孔23bは、接続部5から露出している。水冷式の場合、入口孔23aと出口孔23bとの間で流路24内に冷却媒体を循環させれば、冷却部4の全体が接続部5により覆われていても冷却効率の低下を防げる。
【0050】
本実施の形態では、冷却部4の一方の側面と、冷却部4の第4主面4bと、冷却部4の他方の側面とを連続的に覆う接続部5の長さが、図1に示す基板1と冷却部4との間のみに形成された接続部5の長さに比べて長い。このため、熱収縮性樹脂からなる接続部5が加熱により収縮しようとする長さが、図1に示す接続部5に比べて長くなる。また、冷却部4および放熱シート3を、基板1と接続部5とが挟んでおり、接続部5の両端は基板1の第2主面1bに接着されている。したがって、接続部5の収縮により放熱シート3を基板1の第2主面1bに押し付ける力が図1に示す構造に比べて強くなる。その結果、放熱シート3と基板1との密着性が向上し、表示装置における高い放熱効果を得られる。
【0051】
<変形例>
図11を用いて説明した構造と異なり、図14に示すように、接続部5が基板1のX方向またはY方向における側面を覆い、接続部5の一部が基板1の第1主面1aの端部を覆っていてもよい。この場合、画素(発光素子2)は、第1主面1aを覆う接続部5から露出している。
【0052】
本変形例では、図11を用いて説明した構造に比べ、接続部5のZ方向の長さが長くなる。したがって、接続部5の収縮により放熱シート3が基板1に押し付けられる力を大きくでき、放熱シート3と基板1との密着性を高められる。
【0053】
また、接続部5が加熱により収縮する際、接続部5に第2主面1bから離れる方向に応力が発生しても、接続部5の一部が第1主面1aの端部を覆っていることにより、接続部5が基板1から離脱することを防げる。
【0054】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。
【0055】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、発光装置の製造に利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
1 基板
1a 第1主面
1b 第2主面
2 発光素子
2a 発光素子実装部
3 放熱シート
4 冷却部
4a 第3主面
4b 第4主面
5 接続部
5a 樹脂
14 凸部
15 段差
20 フィン
23a 入口孔
23b 出口孔
24 流路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15