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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173435
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ベローズポンプ装置
(51)【国際特許分類】
   F04B 49/08 20060101AFI20241205BHJP
   F04B 43/08 20060101ALI20241205BHJP
   F04B 43/10 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
F04B49/08 321
F04B43/08 A
F04B43/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091848
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000229737
【氏名又は名称】株式会社PILLAR
(74)【代理人】
【識別番号】110000280
【氏名又は名称】弁理士法人サンクレスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】乙野 裕紀
(72)【発明者】
【氏名】西村 瞭我
【テーマコード(参考)】
3H077
3H145
【Fターム(参考)】
3H077AA08
3H077CC03
3H077CC07
3H077CC17
3H077DD09
3H077DD14
3H077EE02
3H077FF12
3H077FF14
3H077FF45
3H145AA03
3H145AA16
3H145AA22
3H145BA28
3H145BA33
3H145CA05
3H145CA23
3H145CA28
3H145DA12
(57)【要約】
【課題】加圧流体の消費量を低減することができるベローズポンプ装置を提供する。
【解決手段】ベローズポンプ装置1は、ベローズ12と、密閉された第1空気室21及び第2空気22と、第1空気室21と第2空気室22とを連通する連通路40と、連通路40を開閉する第1開閉弁8Aと、ベローズ12の伸縮状態を検出する検出部30と、検出部30の検出信号に基づいて第1開閉弁8Aを制御する制御部9と、を備える。制御部9は、ベローズ12が伸長動作中及び収縮動作中のときは、第1開閉弁8Aを閉鎖状態とし、ベローズ12が伸長動作を終了した状態及び収縮動作を終了した状態のとき、第1開閉弁8Aを開放する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベローズと、密閉された第1流体室及び第2流体室と、を備え、前記第1流体室に加圧流体を供給し且つ前記第2流体室から加圧流体を排出することで前記ベローズが伸長動作して移送流体を吸入し、前記第2流体室に加圧流体を供給し且つ前記第1流体室から加圧流体を排出することで前記ベローズが収縮動作して移送流体を吐出するベローズポンプ装置であって、
前記第1流体室と前記第2流体室とを連通する連通路と、
前記連通路を開閉する第1開閉弁と、
前記ベローズの伸縮状態を検出する検出部と、
前記検出部の検出信号に基づいて前記第1開閉弁を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記ベローズが伸長動作中及び収縮動作中のときは、前記第1開閉弁を閉鎖状態とし、
前記ベローズが伸長動作を終了した状態及び収縮動作を終了した状態のうち少なくとも一方の状態のとき、前記第1開閉弁を開放する、ベローズポンプ装置。
【請求項2】
前記第1流体室に加圧流体を供給するための第1供給路と、
前記第1流体室から加圧流体を排出するための第1排出路と、
前記第2流体室に加圧流体を供給するための第2供給路と、
前記第2流体室から加圧流体を排出するための第2排出路と、
前記第1供給路を開閉する第2開閉弁と、
前記第1排出路を開閉する第3開閉弁と、
前記第2供給路を開閉する第4開閉弁と、
前記第2排出路を開閉する第5開閉弁と、をさらに備え、
前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、及び前記第5開閉弁は、それぞれ前記検出部の検出信号に基づいて前記制御部により制御され、
前記制御部は、
前記ベローズが伸長動作中のときは、前記第2及び第5開閉弁をそれぞれ開放状態とするとともに、前記第3及び第4開閉弁をそれぞれ閉鎖状態とし、
前記ベローズが収縮動作中のときは、前記第2及び第5開閉弁をそれぞれ閉鎖状態とするとともに、前記第3及び第4開閉弁をそれぞれ開放状態とし、
前記ベローズが前記少なくとも一方の状態のとき、前記第2~第5開閉弁を全て閉鎖する、請求項1に記載のベローズポンプ装置。
【請求項3】
前記第1流体室及び前記第2流体室を内部に有するポンプケースをさらに備え、
前記連通路は、前記ポンプケースの外側に配置された配管である、請求項1又は請求項2に記載のベローズポンプ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベローズポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造や化学工業等において、薬液や溶剤等の移送流体を送給するポンプとして、例えば特許文献1に記載されたベローズポンプが知られている。特許文献1に記載されたベローズポンプは、ベローズと、密閉された2つの空気室と、を備えている。各空気室には、コンプレッサ等の空気供給装置から加圧空気が供給される。各空気室に供給された加圧空気は、大気に排出されるようになっている。
【0003】
前記ベローズポンプにおいて、一方の空気室に加圧空気が供給されると、他方の空気室内の加圧空気は大気に排出される。これにより、ベローズが伸長動作し、ベローズ内に移送流体が吸入される。この状態から、他方の空気室に加圧空気が供給されると、一方の空気室内の加圧空気は大気に排出される。これにより、ベローズが収縮動作し、ベローズ内の移送流体が吐出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-113785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記ベローズポンプでは、移送流体の吸入工程(吐出工程)が行われるたびに、他方(一方)の空気室内の加圧空気は、大気に全て排出される。このため、移送流体の吐出工程(吸入工程)が行われるたびに、空気供給装置から他方(一方)の空気室に新たな加圧空気を供給する必要がある。したがって、前記ベローズポンプでは、加圧空気の消費量が多く、空気供給装置の消費電力が大きいので、ランニングコストが高くなってしまう。
【0006】
本開示は、このような事情に鑑みてなされたものであり、加圧流体の消費量を低減することができるベローズポンプ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本開示は、ベローズと、密閉された第1流体室及び第2流体室と、を備え、前記第1流体室に加圧流体を供給し且つ前記第2流体室から加圧流体を排出することで前記ベローズが伸長動作して移送流体を吸入し、前記第2流体室に加圧流体を供給し且つ前記第1流体室から加圧流体を排出することで前記ベローズが収縮動作して移送流体を吐出するベローズポンプ装置であって、前記第1流体室と前記第2流体室とを連通する連通路と、前記連通路を開閉する第1開閉弁と、前記ベローズの伸縮状態を検出する検出部と、前記検出部の検出信号に基づいて前記第1開閉弁を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記ベローズが伸長動作中及び収縮動作中のときは、前記第1開閉弁を閉鎖状態とし、前記ベローズが伸長動作を終了した状態及び収縮動作を終了した状態のうち少なくとも一方の状態のとき、前記第1開閉弁を開放する、ベローズポンプ装置である。
【0008】
本開示のベローズポンプ装置によれば、ベローズが伸長動作(収縮動作)を終了した状態で、制御部が第1開閉弁を開放することで、第1流体室(第2流体室)内の加圧流体は、連通路を通過して第2流体室(第1流体室)に供給される。これにより、ベローズの伸長動作終了(収縮動作終了)によって不要になった第1流体室(第2流体室)内の加圧流体を、ベローズの収縮動作時(伸長動作時)に第2流体室(第1流体室)に供給される加圧流体として再利用することができる。したがって、従来のベローズポンプと比較して加圧流体の消費量を低減することができる。
【0009】
(2)前記(1)のベローズポンプ装置は、前記第1流体室に加圧流体を供給するための第1供給路と、前記第1流体室から加圧流体を排出するための第1排出路と、前記第2流体室に加圧流体を供給するための第2供給路と、前記第2流体室から加圧流体を排出するための第2排出路と、前記第1供給路を開閉する第2開閉弁と、前記第1排出路を開閉する第3開閉弁と、前記第2供給路を開閉する第4開閉弁と、前記第2排出路を開閉する第5開閉弁と、をさらに備え、前記第2開閉弁、前記第3開閉弁、前記第4開閉弁、及び前記第5開閉弁は、それぞれ前記検出部の検出信号に基づいて前記制御部により制御され、前記制御部は、前記ベローズが伸長動作中のときは、前記第2及び第5開閉弁をそれぞれ開放状態とするとともに、前記第3及び第4開閉弁をそれぞれ閉鎖状態とし、前記ベローズが収縮動作中のときは、前記第2及び第5開閉弁をそれぞれ閉鎖状態とするとともに、前記第3及び第4開閉弁をそれぞれ開放状態とし、前記ベローズが前記少なくとも一方の状態のとき、前記第2~第5開閉弁を全て閉鎖するのが好ましい。
この場合、従来のベローズポンプで一般的に使用される3位置の電磁切換弁よりも簡単な構成である第1~第5開閉弁が用いられるので、第1流体室の加圧流体の給排、第2流体室の加圧流体の給排、及び連通路による加圧流体の再利用を容易に行うことができる。
【0010】
(3)前記(1)又は(2)のベローズポンプ装置は、前記第1流体室及び前記第2流体室を内部に有するポンプケースをさらに備え、前記連通路は、前記ポンプケースの外側に配置された配管であるのが好ましい。
この場合、既存のベローズポンプ装置に対して連通路を容易に設けることができる。
【発明の効果】
【0011】
本開示のベローズポンプ装置によれば、加圧流体の消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、第1実施形態に係るベローズポンプ装置の概略構成図である。
図2図2は、ベローズポンプの駆動制御の説明図であり、ベローズを伸長動作させるときの状態を示している。
図3図3は、ベローズポンプの駆動制御の説明図であり、ベローズが最伸長状態で伸長動作を終了した状態を示している。
図4図4は、ベローズポンプの駆動制御の説明図であり、ベローズを収縮動作させるときの状態を示している。
図5図5は、ベローズポンプの駆動制御の説明図であり、ベローズが最収縮状態で収縮動作を終了した状態を示している。
図6図6は、第2実施形態に係るベローズポンプ装置の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本開示の好ましい実施形態について添付図面を参照しながら説明する。なお、以下に記載する各実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
[第1実施形態]
<全体構成>
図1は、第1実施形態に係るベローズポンプ装置1の概略構成図である。ベローズポンプ装置1は、例えば半導体製造装置において薬液や溶剤等の移送流体を一定量供給するときに用いられる。ベローズポンプ装置1は、空気供給装置(流体供給装置)2、レギュレータ3、第1供給路4、第1排出路5、第2供給路6、第2排出路7、複数の開閉弁8、制御部9、及びベローズポンプ10を備えている。
【0014】
空気供給装置2は、例えばエアコンプレッサからなり、ベローズポンプ10に供給する加圧空気(加圧流体)を生成する。レギュレータ3は、例えば機械式であり、空気供給装置2で生成された加圧空気の空気圧(流体圧)を調整可能である。第1供給路4、第1排出路5、第2供給路6、及び第2排出路7のそれぞれは、加圧空気が流れる流路であり、本実施形態では配管からなる。
【0015】
ベローズポンプ10は、ポンプケース11と、ベローズ12と、ピストン13と、を備えている。ポンプケース11は、図示を省略するポンプヘッドに設けられている。ポンプケース11は、ケース体111と、シリンダ体112と、を有している。ケース体111は、有底円筒状に形成されている。ケース体111の開口縁部111aは、ベローズ12の開口端部12a(後述)に固定されている。ケース体111の閉塞壁部111bの外面には、シリンダ体112が設けられている。
【0016】
シリンダ体112は、円筒部112aと、蓋部112bと、を有している。円筒部112aは、閉塞壁部111bの外面に一体に形成されている。円筒部112aの外径は、ケース体111の外径よりも小さい。蓋部112bは、円筒部112aの軸方向一方側(図1の右側)の開口を覆った状態で、ボルト19により円筒部112aに固定されている。
【0017】
ベローズ12は、ケース体111の内部に配置されている。ベローズ12は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)やテトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂により有底円筒状に形成されている。ベローズ12の周壁は、蛇腹形状に形成され、軸方向(図1の左右方向)に伸縮自在に構成されている。
【0018】
ベローズ12の開口端部12aは、ポンプヘッドに気密状に固定されている。ベローズ12の閉塞端部12bの外面には、ボルト15により作動板16が固定されている。作動板16には、連結軸17の一端部が連結されている。連結軸17は、ケース体111の閉塞壁部111bを貫通しており、閉塞壁部111bに対して軸方向に摺動可能に支持されている。
【0019】
連結軸17の他端部は、ナット18によりピストン13に連結されている。ピストン13は、シリンダ体112の内周面に対して、気密状態を保持しながら軸方向に摺動可能に支持されている。これにより、シリンダ体112の内部には、気密状態が保持された第1空気室(第1流体室)21が形成されている。第1空気室21は、閉塞壁部111b、シリンダ体112、及びピストン13により囲まれて密閉されている。
【0020】
第1供給路4は、空気供給装置2で生成された加圧空気を第1空気室21に供給するための流路である。第1供給路4の一端部は、シリンダ体112の周壁に接続され、第1空気室21と連通している。第1供給路4の他端部は、レギュレータ3を介して、空気供給装置2に接続されている。
【0021】
第1排出路5は、第1空気室21から加圧流体を排出するための流路である。第1排出路5の一端部は、第1供給路4の途中に接続されている。第1排出路5の他端は、大気に開放されている。なお、第1排出路5は、シリンダ体112の周壁において、第1空気室21と直接連通するように接続されてもよい。
【0022】
ケース体111の内部におけるベローズ12の径方向外側には、気密状態が保持された第2空気室(第2流体室)22が形成されている。第2空気室22は、ケース体111、ベローズ12、及びポンプヘッドにより囲まれて密閉されている。
【0023】
第2供給路6は、空気供給装置2で生成された加圧空気を第2空気室22に供給するための流路である。第2供給路6の一端部は、ケース体111の周壁に接続され、第2空気室22と連通している。第2供給路6の他端部は、レギュレータ3を介して、空気供給装置2に接続されている。本実施形態では、第1供給路4の空気供給装置2側の一部、及び第2供給路6の空気供給装置2側の一部は、共通の配管により構成されている。
【0024】
第2排出路7は、第2空気室22から加圧流体を排出するための流路である。第2排出路7の一端部は、第2供給路6の途中に接続されている。第2排出路7の他端は、大気に開放されている。なお、第2排出路7は、ケース体111の周壁において、第2空気室22と直接連通するように接続されてもよい。
【0025】
空気供給装置2から第1供給路4を介して第1空気室21に加圧空気が供給され、且つ第2空気室22内の加圧空気が第2排出路7を介して大気に排出されると、ベローズ12は伸長動作する。ベローズ12が伸長動作すると、作動板16が、ケース体111の閉塞壁部111bの内面に当接する。これにより、ベローズ12は、最伸長状態となり、伸長動作を終了する。ベローズ12が最伸長状態まで伸長するとき、ポンプヘッドに設けられた吸入通路(図示省略)から、ベローズ12内に移送流体が吸入される。
【0026】
空気供給装置2から第2供給路6を介して第2空気室22に加圧空気が供給され、且つ第1空気室21内の加圧空気が第1排出路5を介して大気に排出されると、ベローズ12は収縮動作する。ベローズ12が収縮動作すると、ピストン13が、ケース体111の閉塞壁部111bの外面に当接する。これにより、ベローズ12は、最収縮状態となり、収縮動作を終了する。ベローズ12が最収縮状態まで収縮するとき、ベローズ12内の移送流体は、ポンプヘッドに設けられた吐出通路(図示省略)を通過してポンプ外へ吐出される。
【0027】
なお、本実施形態のベローズポンプ装置1は、ベローズ12を伸縮動作させるために、加圧空気を用いているが、他の流体を用いてもよい。
【0028】
<検出部>
ベローズポンプ装置1は、ベローズ12の伸縮状態を検出する検出部30を備えている。検出部30は、第1近接センサ31と、第2近接センサ32と、被検出板33と、を備えている。第1近接センサ31及び第2近接センサ32は、シリンダ体112に取り付けられている。被検出板33は、ピストン13に取り付けられている。被検出板33は、ピストン13と共に軸方向に往復動することで、第1近接センサ31及び第2近接センサ32に交互に近接する。
【0029】
第1近接センサ31は、ベローズ12が最伸長状態のときに被検出板33を検出する位置に配置されている。第2近接センサ32は、ベローズ12が最収縮状態のときに被検出板33を検出する位置に配置されている。第1近接センサ31及び第2近接センサ32は、被検出板33を検出すると、その検出信号を制御部9に出力する。
【0030】
なお、検出部30は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、検出部30は、レーザ光等を用いた変位センサで構成されてもよい。
【0031】
<連通路>
ベローズポンプ装置1は、第1空気室21と第2空気室22とを連通する連通路40を備えている。本実施形態の連通路40は、ポンプケース11の外側に配置された配管からなる。連通路40の一端部は、シリンダ体112の周壁に接続され、第1空気室21と連通している。連通路40の他端部は、ケース体111の周壁に接続され、第2空気室22と連通している。これにより、第1空気室21(第2空気室22)内の加圧空気を、連通路40を介して、第2空気室22(第1空気室21)内へ供給することができる。
【0032】
なお、連通路40は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、連通路40は、ケース体111の閉塞壁部111bに形成された貫通孔により構成されてもよい。その場合、後述する第1開閉弁8Aを前記貫通孔に設ければよい。
【0033】
<開閉弁>
複数の開閉弁8は、第1開閉弁8A、第2開閉弁8B、第3開閉弁8C、第4開閉弁8D、及び第5開閉弁8Eを含む。第1開閉弁8Aは、連通路40を開閉する弁であり、連通路40の途中に設けられている。第2開閉弁8Bは、第1供給路4を開閉する弁である。第2開閉弁8Bは、第1供給路4において、上述の第2供給路6と共通する配管よりも下流側、かつ第1排出路5の接続部よりも上流側に設けられている。
【0034】
第3開閉弁8Cは、第1排出路5を開閉する弁である。第3開閉弁8Cは、第1排出路5の途中に設けられている。第4開閉弁8Dは、第2供給路6を開閉する弁である。第4開閉弁8Dは、第2供給路6において、上述の第1供給路4と共通する配管よりも下流側、かつ第2排出路7の接続部よりも上流側に設けられている。第5開閉弁8Eは、第2排出路7を開閉する弁である。第5開閉弁8Eは、第2排出路7の途中に設けられている。
【0035】
<制御部>
制御部9は、CPU等を有するコンピュータを備えて構成されている。制御部9の各機能は、前記コンピュータの記憶装置に記憶された制御プログラムがCPUにより実行されることで発揮される。制御部9は、検出部30の検出結果に基づいて、第1~第5開閉弁8A~8Eをそれぞれ制御することで、ベローズポンプ10の駆動制御を行う。
【0036】
具体的には、制御部9は、ベローズ12を伸長動作させるとき、及びベローズ12が伸長動作中のときは、第2及び第5開閉弁8B,8Eをそれぞれ開放状態とするとともに、第3及び第4開閉弁8C,8Dをそれぞれ閉鎖状態とする。制御部9は、ベローズ12を収縮動作させるとき、及びベローズ12が収縮動作中のときは、第2及び第5開閉弁8B,8Eをそれぞれ閉鎖状態とするとともに、第3及び第4開閉弁8C,8Dをそれぞれ開放状態とする。
【0037】
制御部9は、ベローズ12を伸長動作及び収縮動作させるとき、及びベローズ12が伸長動作中及び収縮動作中のときは、第1開閉弁8Aを閉鎖状態とする。制御部9は、ベローズ12が最伸長状態で伸長動作を終了した状態、及びベローズ12が最収縮状態で収縮動作を終了した状態のとき、第1開閉弁8Aを開放するとともに、第2~第5開閉弁8B~8Eを全て閉鎖する。
【0038】
なお、制御部9は、ベローズ12が伸長動作を終了した状態のときだけ、又はベローズ12が収縮動作を終了した状態のときだけ、第1開閉弁8Aを開放するとともに、第2~第5開閉弁8B~8Eを閉鎖してもよい。
【0039】
<ベローズポンプの駆動制御>
次に、制御部9が実行するベローズポンプ10の駆動制御を、図1図5を参照しながら説明する。図2に示すように、最収縮状態のベローズ12を伸長動作させるとき、制御部9は、第2及び第5開閉弁8B,8Eをそれぞれ開放するとともに、第3及び第4開閉弁8C,8Dをそれぞれ閉鎖する。そうすると、空気供給装置2から第1供給路4を介して第1空気室21に加圧空気が供給され、且つ第2空気室22内の加圧空気が第2排出路7を介して大気に排出される。これにより、ベローズ12は伸長動作し、ベローズ12内に移送流体が吸入される。
【0040】
次に、図3に示すように、ベローズ12が最伸長状態となり伸長動作を終了すると、第1近接センサ31は、被検出板33を検出し、制御部9に検出信号を出力する。制御部9は、第1近接センサ31の検出信号が入力されると、第2及び第5開閉弁8B,8Eをそれぞれ閉鎖した後(第2~第5開閉弁8B~8Eが全て閉鎖された後)、第1開閉弁8Aを開放する。これにより、第1空気室21内の加圧空気の一部は、連通路40を通過して第2空気室22に流入する。なお、制御部9は、第2及び第5開閉弁8B,8Eの閉鎖、及び第1開閉弁8Aの開放を、同時に行ってもよい。
【0041】
制御部9は、第1開閉弁8Aを開放してから所定時間が経過すると、図4に示すように、第1開閉弁8Aを閉鎖した後、第3及び第4開閉弁8C,8Dをそれぞれ開放する。なお、制御部9は、第1開閉弁8Aの閉鎖、及び第3及び第4開閉弁8C,8Dの開放を、同時に行ってもよい。このように制御部9が制御することで、空気供給装置2から第2供給路6を介して第2空気室22に加圧空気が供給され、且つ第1空気室21内の残りの加圧空気が第1排出路5を介して大気に排出される。これにより、ベローズ12は収縮動作し、ベローズ12内の移送流体がポンプ外へ吐出される。
【0042】
次に、図5に示すように、ベローズ12が最収縮状態となり収縮動作を終了すると、第2近接センサ32は、被検出板33を検出し、制御部9に検出信号を出力する。制御部9は、第2近接センサ32の検出信号が入力されると、第3及び第4開閉弁8C,8Dをそれぞれ閉鎖した後(第2~第5開閉弁8B~8Eが全て閉鎖された後)、第1開閉弁8Aを開放する。これにより、第2空気室22内の加圧空気の一部は、連通路40を通過して第1空気室21に流入する。なお、制御部9は、第3及び第4開閉弁8C,8Dの閉鎖、及び第1開閉弁8Aの開放を、同時に行ってもよい。
【0043】
制御部9は、第1開閉弁8Aを開放してから所定時間が経過すると、図2に示すように、第1開閉弁8Aを閉鎖した後、第2及び第5開閉弁8B,8Eをそれぞれ開放する。なお、制御部9は、第1開閉弁8Aの閉鎖、及び第2及び第5開閉弁8B,8Eの開放を、同時に行ってもよい。このように制御部9が制御することで、空気供給装置2から第1供給路4を介して第1空気室21に加圧空気が供給され、且つ第2空気室22内の残りの加圧空気が第2排出路7を介して大気に排出される。これにより、ベローズ12は伸長動作し、ベローズ12内に移送流体が吸入される。
【0044】
制御部9が以上の制御を繰り返し行うことで、ベローズポンプ10は、移送流体の吸入と吐出を交互に連続して行うことができる。
【0045】
<作用効果>
以上、第1実施形態のベローズポンプ装置1によれば、ベローズ12が伸長動作(収縮動作)を終了した状態で、制御部9が第1開閉弁8Aを開放することで、第1空気室21(第2空気室22)内の加圧空気は、連通路40を通過して第2空気室22(第1空気室21)に供給される。これにより、ベローズ12の伸長動作終了(収縮動作終了)によって不要になった第1空気室21(第2空気室22)内の加圧空気を、ベローズ12の収縮動作時(伸長動作時)に第2空気室22(第1空気室21)に供給される加圧空気として再利用することができる。したがって、従来のベローズポンプと比較して加圧空気の消費量を低減することができる。その結果、空気供給装置2の消費電力を抑えられるので、ランニングコストを低減することができる。
【0046】
従来のベローズポンプで一般的に使用される3位置の電磁切換弁よりも簡単な構成である第1~第5開閉弁8A~8Eが用いられるので、第1空気室21の加圧空気の給排、第2空気室22の加圧空気の給排、及び連通路40による加圧空気の再利用を容易に行うことができる。
【0047】
連通路40は、ポンプケース11の外側に配置された配管であるので、既存のベローズポンプ装置に対して連通路40を容易に設けることができる。
【0048】
[第2実施形態]
図6は、第2実施形態のベローズポンプ装置1の概略構成図である。第2実施形態では、主にベローズポンプ10の構成が第1実施形態と相違する。本実施形態のベローズポンプ10は、ポンプヘッド51と、一対のポンプケース52と、一対のベローズ53と、を備えている。
【0049】
ポンプヘッド51は、移送流体を吸入するための吸入通路51aと、移送流体を吐出するための吐出通路51bと、を有している。ポンプヘッド51の吸入通路51aの左右両側には、それぞれ第1チェックバルブ55が設けられている。第1チェックバルブ55は、対応するベローズ53の伸長動作により開弁し、当該ベローズ53の収縮動作により閉弁する。ポンプヘッド51の吐出通路51bの左右両側には、それぞれ第2チェックバルブ56が設けられている。第2チェックバルブ56は、対応するベローズ53の伸長動作により閉弁し、当該ベローズ53の収縮動作により開弁する。
【0050】
一対のポンプケース52は、ポンプヘッド51の左右両側に設けられている。ポンプケース52は、有底円筒状に形成されている。ポンプケース52の開口縁部52aは、ポンプヘッド51の側面に固定されている。ポンプケース52の閉塞壁部52bには、加圧空気の給排口52cが形成されている。
【0051】
一対のベローズ53は、各ポンプケース52の内部において、ポンプヘッド51の左右両側に設けられている。ベローズ53の形状及び材質は、第1実施形態のベローズ12と同様であるため、説明を省略する。ベローズ53の開口端部53aは、ポンプヘッド51の側面に気密状に固定されている。ベローズ53の閉塞端部53bの外面には、ボルト57により作動板58が固定されている。
【0052】
一対のベローズ53のそれぞれに固定された作動板58は、棒状の連結部材59によって連結されている。連結部材59の長手方向の中間部は、ポンプヘッド51に設けられたガイド部60に対して、軸方向(左右方向)に移動可能に支持されている。これにより、一対のベローズ53は、連結部材59を介して連動する。すなわち、一対のベローズ53は、一方が伸長動作すると他方が収縮動作し、一方が収縮動作すると他方が伸長動作する。
【0053】
各ポンプケース52の内部におけるベローズ53の径方向外側には、気密状態が保持された空気室61が形成されている。空気室61は、ポンプヘッド51、ポンプケース52、及びベローズ53により囲まれて密閉されている。一対のポンプケース52内にそれぞれ形成された空気室61のうち、一方の空気室61は本開示の第1空気室(第1流体室)として機能し、他方の空気室61は本開示の第2空気室(第2流体室)として機能する。以下では、右側の空気室61を第1空気室61Aとし、左側の空気室61を第2空気室61Bとして説明する。
【0054】
ベローズポンプ装置1は、各ベローズ53の伸縮状態を検出する検出部30を備えている。検出部30は、第1近接センサ35と、第2近接センサ36と、を備えている。第1近接センサ35は、第2空気室61B側のポンプケース52の閉塞壁部52bを貫通して取り付けられている。第1近接センサ35は、第2空気室61B側のベローズ53が最伸長状態のときに、当該ベローズ53に固定されている作動板58を検出する。その際、第1空気室61A側のベローズ53は最収縮状態となる。したがって、第1近接センサ35は、第1空気室61A側のベローズ53の最収縮状態も間接的に検出することになる。
【0055】
第2近接センサ36は、第1空気室61A側のポンプケース52の閉塞壁部52bを貫通して取り付けられている。第1近接センサ35は、第1空気室61A側のベローズ53が最伸長状態のときに、当該ベローズ53に固定されている作動板58を検出する。その際、第2空気室61B側のベローズ53は最収縮状態となる。したがって、第2近接センサ36は、第2空気室61B側のベローズ53の最収縮状態も間接的に検出することになる。
【0056】
第1近接センサ35及び第2近接センサ36は、それぞれ対応する作動板58を検出すると、その検出信号を制御部9に出力する。
以上より、本実施形態の検出部30は、第1近接センサ35及び第2近接センサ36により、各ベローズ53の最伸長状態と最収縮状態を検出することができる。
【0057】
本実施形態の他の構成は、第1実施形態と同様であるため、同一の符号を付し、その説明を省略する。なお、本実施形態の第1供給路4及び第2供給路6の各一端部は、ポンプケース52の給排口52cに接続されている。また、本実施形態の連通路40の両端部は、それぞれ各ポンプケース52の周壁に接続されている。また、第1実施形態のベローズ12、第1近接センサ31、及び第2近接センサ32を、それぞれ本実施形態の第2空気室61B側のベローズ53、第1近接センサ35、及び第2近接センサ36に置き換えれば、本実施形態の制御部9は、第1実施形態の制御部9と同様の制御を行う。本実施形態のベローズポンプ装置1においても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0058】
[その他]
以上のとおり開示した実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものでない。例えば、第2実施形態の空気室61は、左側の空気室61を第1空気室61Aとし、右側の空気室61を第2空気室61Bとしてもよい。その場合、図6における、第1供給路4と第2供給路6の配置、第1排出路5と第2排出路7の配置、第2開閉弁8Bと第4開閉弁8Dの配置、第3開閉弁8Cと第5開閉弁8Eの配置、及び第1近接センサ35と第2近接センサ36の配置を、それぞれ左右逆にすればよい。
【0059】
第2実施形態のベローズポンプ装置1は、一対のベローズ53を連動して伸縮動作させるベローズポンプ10を用いているが、一対のベローズ53を独立して伸縮動作させるベローズポンプを用いてもよい。その場合、ベローズポンプ装置1は、ベローズ53毎に、レギュレータ3、第1供給路4、第1排出路5、第2供給路6、第2排出路7、及び複数の開閉弁8を備えればよい。
【符号の説明】
【0060】
1 ベローズポンプ装置
4 第1供給路
5 第1排出路
6 第2供給路
7 第2排出路
8A 第1開閉弁
8B 第2開閉弁
8C 第3開閉弁
8D 第4開閉弁
8E 第5開閉弁
9 制御部
11 ポンプケース
12 ベローズ
21 第1空気室(第1流体室)
22 第2空気室(第2流体室)
30 検出部
40 連通路
52 ポンプケース
53 ベローズ
61A 第1空気室(第1流体室)
61B 第2空気室(第2流体室)
図1
図2
図3
図4
図5
図6