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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173448
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】検知システム
(51)【国際特許分類】
   A62B 35/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
A62B35/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091874
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000196716
【氏名又は名称】西部電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【弁理士】
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【弁理士】
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】加賀 吉弘
(72)【発明者】
【氏名】福岡 大太
(72)【発明者】
【氏名】蒲原 進一
(72)【発明者】
【氏名】高木 秀紀
(72)【発明者】
【氏名】松本 潤二
【テーマコード(参考)】
2E184
【Fターム(参考)】
2E184JA03
2E184KA11
2E184MA01
2E184MA05
(57)【要約】
【課題】作業者を安全に作業させることができる検知システムを提供する。
【解決手段】検知システム1は、フック保持具10と、サーバ20と、管理端末40とを備える。フック保持具10はフック検知部12と高度検知部13とを有し、サーバ20は危険状態判定部22と危険信号送信部23を有する。危険状態判定部22は、フック検知結果情報と所定の値以上の高度検知結果情報それぞれのフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報が所定の値以上である場合に、墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定する。危険信号送信部23は、危険状態判定部22が、作業者が危険な状態であると判定した場合に、フック保持具10へ危険信号を送信する。フック保持具10は危険告知部15を有し、危険告知部15は、サーバ20から送信される危険信号に基づいて、作業者が危険な状態であることを告知する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理端末と、フックを有する墜落制止用器具に取付可能であり同フックを着脱自在に保持可能なフック保持具と、前記フック保持具及び前記管理端末と通信回線を介して通信可能なサーバと、を備える検知システムであって、
前記フック保持具は、
前記フックを着脱自在に保持可能なフック保持部と、
該フック保持部が前記フックを保持したことを検知可能なフック検知部と、
前記フック保持部の位置の高度を検知可能な高度検知部と、
前記フック検知部が検知して得られたフック検知結果情報及び前記高度検知部が検知して得られた高度検知結果情報を、同フック検知結果情報及び同高度検知結果情報がそれぞれ得られている間の日時に関する情報であるフック検知状態日時情報及び高度検知状態日時情報と共に前記サーバへ送信可能な検知結果情報送信部と、
前記サーバから送信される危険信号に基づいて、前記墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であることを告知可能な危険告知部と、を有し、
前記サーバは、
前記フック保持具の前記検知結果情報送信部が送信した、前記フック検知結果情報と前記高度検知結果情報と前記フック検知状態日時情報と前記高度検知状態日時情報、並びに同フック保持具が取付けられた前記墜落制止用器具を装着した作業者に関する情報である作業者情報と同作業者の作業工程に関する情報である作業工程情報とを、互いに対応させて記録可能な作業者情報記録部と、
該作業者情報記録部が記録した、前記フック検知結果情報と所定の値以上の前記高度検知結果情報それぞれの前記フック検知状態日時情報と前記高度検知状態日時情報が所定の値以上である場合に、前記墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定可能な危険状態判定部と、
該危険状態判定部が、前記作業者が危険な状態であると判定した場合に、前記フック保持具へ危険信号を送信可能な危険信号送信部と、を有し、
前記管理端末は、前記通信回線を介して前記作業者情報記録部が記録した情報を参照可能な情報参照部を有する
検知システム。
【請求項2】
前記サーバの前記危険状態判定部は、前記墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定した場合に、前記作業者情報記録部が記録した、前記高度検知結果情報と、同高度検知結果情報の前記高度検知状態日時情報と、同高度検知状態日時情報に対応する前記フック検知状態日時情報とに基づいて、同作業者の危険度を判定可能であり、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記危険状態判定部が判定して得られた危険状態情報と、前記危険状態判定部が判定して得られた前記危険度に関する情報である危険度情報を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバは、前記作業者情報記録部が記録した前記作業者情報に対応する作業者の行動傾向を、同作業者情報記録部が記録した前記危険度情報に基づいて分析可能な分析部を有する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項3】
前記サーバは、前記分析部が分析して得られた分析結果情報と、前記フック保持具の前記検知結果情報送信部が送信する、前記フック検知結果情報と前記高度検知結果情報と前記フック検知状態日時情報及び前記高度検知状態日時情報とを対比して、同分析部が行動傾向を分析した前記作業者の危険を予知可能な予知部を有する
請求項2に記載の検知システム。
【請求項4】
前記フック保持具は、周囲の気圧を検知可能な気圧検知部を有し、
前記フック保持具の前記検知結果情報送信部は、前記気圧検知部が検知して得られた気圧検知結果情報を、同気圧検知結果情報の気圧検知状態日時情報と共に前記サーバへ送信可能であり、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記フック保持具の前記検知結果情報送信部が送信した前記気圧検知結果情報と前記気圧検知状態日時情報を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバは、
前記作業者情報記録部が記録した複数の作業者情報それぞれに対応すると共に前記作業工程情報に含まれる作業場所情報が互いに同じ複数の前記気圧検知結果情報それぞれの変動結果同士を対比可能な気圧対比部と、
該気圧対比部が変動結果同士を対比した複数の前記気圧検知結果情報それぞれに対応する複数の前記高度検知結果情報同士を対比可能な高度対比部と、
前記気圧対比部が対比した結果、気圧の下がり幅が所定の値以上であり、前記高度対比部が対比した結果、高度の上がり幅がゼロである場合に、避難信号を前記フック保持具へ送信可能である避難信号送信部と、を有する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項5】
前記フック検知部は、前記フック保持部の振動を検知可能な振動検知部を有し、
前記フック保持具は、前記フック検知部の前記振動検知部が検知した振動を振動信号として前記サーバへ送信可能は振動信号送信部を有する
請求項1に記載の検知システム。
【請求項6】
前記フック保持部は電磁誘導コイルを有し、
前記フック検知部は、前記フック保持部の前記電磁誘導コイルから発生する磁場を検知可能な磁場検知部を有し、
前記フック検知部は、前記振動検知部が前記フック保持部の振動を検知すると共に前記磁場検知部が同フック保持部の前記磁場を検知した場合に、同フック保持部が前記フックを保持したことを検知可能である
請求項5に記載の検知システム。
【請求項7】
前記サーバは、前記作業者情報記録部が記録した、前記フック検知結果情報の前記フック検知状態日時情報の終点から再度の前記フック検知結果情報の前記フック検知状態日時情報の始点までの時間に基づいて作業時間を算出可能な作業時間算出部を有し、
前記サーバの前記作業者情報記録部はさらに、前記作業時間算出部が算出した前記作業時間を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバは、前記作業者情報記録部が記録した前記作業時間と同作業時間に対応する前記高度検知結果情報の変動とに基づいて、作業進捗情報を推定可能な作業進捗情報推定部を有し、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記作業進捗情報推定部が推定して得られた作業進捗情報を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバは、前記作業者情報記録部が記録した前記危険状態情報と前記作業進捗情報とに基づいて、同作業者情報記録部が記録した前記作業者情報と前記作業工程情報との対応付けを再構築可能な作業再割当部を有する
請求項2に記載の検知システム。
【請求項8】
前記作業工程情報は、前記作業者が所属する団体からの指示に基づく情報であり、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記作業再割当部が前記作業者情報と前記作業工程情報との対応付けを再構築した回数に関する情報である再構築回数情報を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバは、前記作業者情報記録部が記録した前記再構築回数情報に基づいて前記団体の作業品質を判定可能な品質判定部を有する
請求項7に記載の検知システム。
【請求項9】
前記フック保持具は、同フック保持具の加速度と角速度と方位を検知可能な9軸センサを有し、
前記フック保持具の前記検知結果情報送信部は、前記9軸センサが検知して得られた9軸検知結果情報を、同9軸検知結果情報の9軸検知状態日時情報と共に前記サーバへ送信可能であり、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記フック保持具の前記検知結果情報送信部が送信した前記9軸検知結果情報と前記9軸検知状態日時情報を、前記作業者情報に対応させて記録可能であり、
前記サーバの前記作業進捗情報推定部は、前記作業者情報記録部が記録した、変動したときの前記高度検知結果情報の前記高度検知状態日時情報と、前記9軸検知状態日時情報とが略同一である場合に、同高度検知結果情報の変動に基づく作業進捗情報を推定不可であり、
前記サーバは、同サーバの前記作業進捗情報推定部が作業進捗情報を推定不可である場合に、前記作業者の事故発生を推定可能な事故発生推定部を有する
請求項7に記載の検知システム。
【請求項10】
前記フック保持具は、
同フック保持具の位置情報を測定可能な測位部と、
該測位部が測定して得られた前記フック保持具の位置情報を前記サーバへ送信可能な位置情報送信部と、を有し、
前記サーバの前記作業者情報記録部は、前記位置情報送信部が送信した前記フック保持具の前記位置情報を、同フック保持具を携帯する作業者の前記作業者情報と対応させて記録可能である
請求項1に記載の検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は検知システムに関する。詳しくは、例えば高所作業において使用されるフックを検知するための検知システムに係るものである。
【背景技術】
【0002】
足場を使った建設工事など、2m以上の高さで行う作業である高所作業においては、転落した場合、重大な災害に繋がってしまうため、安全措置を取らなければならないことが法律で定められている。
【0003】
具体的には、規定を満たす命綱や墜落制止用器具(安全帯)の着用、作業床を設ける場合に手すりや囲いで転落を防止する、などの安全措置が必要である。
【0004】
ここで、墜落制止用器具は、作業者の肩と胸と胴と腿に装着されるベルトと、一端がベルトに取付けられていると共に他端にフックが取付けられた「ランヤード」と呼ばれるロープとを備える器具である。
【0005】
墜落制止用器具は、大きく2つの効果を発揮する。
1つ目は、フックを手すりや囲いに掛けて、作業者の移動範囲を制限し、落下の危険がある場所へ作業者を接近させないようにすることである。
2つ目は、万が一落下しても、地面への激突を防いだり転落の衝撃を抑えたりすることである。
【0006】
しかし、このような機能を備える墜落制止用器具を作業者が装着していても、作業者がフックを手すりなどに掛けなければその効果を発揮できない。
そこで、作業者がフックを手すりなどに掛けたか否かを確認するための様々な技術が提案されている。
【0007】
例えば特許文献1には、安全帯フック係止検出装置を少なくとも一つと、受信警報装置とを備える作業者安全確認システムが記載されている。安全帯フック係止検出装置は、作業者の身体に装着された安全帯のフックが、棒状のフック係止部材に掛けられているか否かを検出する。
また、安全帯フック係止検出装置は、フックの存在を検出しない場合に警報を出力することができる。
また、受信警報装置は、安全帯フック係止検出装置が出力した警報についての情報を受信し、その受信した情報に基づき警報を出力する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2022-182771号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に記載の作業者安全確認システムのように、安全帯フック係止検出装置がフックの存在を検出しない場合に、警報を受信警報装置が出力するようなシステムでは、作業者が高所において作業しているときに、ほんの少しでもフックの存在を検出しない場合に警報を出力することになり、そうなると作業者は集中力を削がれてしまったり、警報に慣れてしまって警報が出力されてもフック係止部材に直ぐにはフックを掛けなくなったりして、むしろ逆に作業者が安全に作業し難い状況となる可能性があった。
そこで、作業者を安全に作業させることができるシステムが望まれていた。
【0010】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、作業者を安全に作業させることができる検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の検知システムは、管理端末と、フックを有する墜落制止用器具に取付可能であり同フックを着脱自在に保持可能なフック保持具と、前記フック保持具及び前記管理端末と通信回線を介して通信可能なサーバと、を備える検知システムであって、前記フック保持具は、前記フックを着脱自在に保持可能なフック保持部と、該フック保持部が前記フックを保持したことを検知可能なフック検知部と、前記フック保持部の位置の高度を検知可能な高度検知部と、前記フック検知部が検知して得られたフック検知結果情報及び前記高度検知部が検知して得られた高度検知結果情報を、同フック検知結果情報及び同高度検知結果情報がそれぞれ得られている間の日時に関する情報であるフック検知状態日時情報及び高度検知状態日時情報と共に前記サーバへ送信可能な検知結果情報送信部と、前記サーバから送信される危険信号に基づいて、前記墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であることを告知可能な危険告知部と、を有し、前記サーバは、前記フック保持具の前記検知結果情報送信部が送信した、前記フック検知結果情報と前記高度検知結果情報と前記フック検知状態日時情報と前記高度検知状態日時情報、並びに同フック保持具が取付けられた前記墜落制止用器具を装着した作業者に関する情報である作業者情報と同作業者の作業工程に関する情報である作業工程情報とを、互いに対応させて記録可能な作業者情報記録部と、該作業者情報記録部が記録した、前記フック検知結果情報と所定の値以上の前記高度検知結果情報それぞれの前記フック検知状態日時情報と前記高度検知状態日時情報が所定の値以上である場合に、前記墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定可能な危険状態判定部と、該危険状態判定部が、前記作業者が危険な状態であると判定した場合に、前記フック保持具へ危険信号を送信可能な危険信号送信部と、を有し、前記管理端末は、前記通信回線を介して前記作業者情報記録部が記録した情報を参照可能な情報参照部を有する。
【0012】
ここで、フック保持具が、サーバから送信される危険信号に基づいて、墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であることを告知可能な危険告知部を有することによって、作業者に対し、その作業者自身が危険な状態であると認識させることができる。
【0013】
また、フック保持具の検知結果情報送信部が送信した、フック検知結果情報と高度検知結果情報とフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報、並びにフック保持具が取付けられた墜落制止用器具を装着した作業者に関する情報である作業者情報と作業者の作業工程に関する情報である作業工程情報とを、互いに対応させて記録可能な作業者情報記録部によって、作業者の作業における行動履歴を把握することができる。
【0014】
また、作業者情報記録部が記録した、フック検知結果情報と所定の値以上の高度検知結果情報それぞれのフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報が所定の値以上である場合に、墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定可能な危険状態判定部によって、フックを検知すると直ちに、すなわちフックが使用されていないと直ちに危険な状態であると判定することなく、時間の概念も取り入れて危険な状態であると判定でき、作業現場の状況に合った判定をすることができる。
【0015】
また、管理端末が、通信回線を介して作業者情報記録部が記録した情報を参照可能な情報参照部を有することによって、作業現場の管理者は、作業現場における作業者それぞれの行動を把握することができる。
【0016】
また、墜落制止用器具に取付可能なフック保持具がフック検知部を有するので、既存の墜落制止用器具に本発明の検知システムを適用できる。
【0017】
また、本発明の検知システムにおいて、サーバの危険状態判定部は、墜落制止用器具を装着した作業者が危険な状態であると判定した場合に、作業者情報記録部が記録した、高度検知結果情報と、高度検知結果情報の高度検知状態日時情報と、高度検知状態日時情報に対応するフック検知状態日時情報とに基づいて、作業者の危険度を判定可能であり、サーバの作業者情報記録部は、危険状態判定部が判定して得られた危険状態情報と、危険状態判定部が判定して得られた危険度に関する情報である危険度情報を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバは、作業者情報記録部が記録した作業者情報に対応する作業者の行動傾向を、作業者情報記録部が記録した危険度情報に基づいて分析可能な分析部を有する構成とすることができる。
【0018】
この場合、同じ危険な状態であるという判定の中で、危険性の度合いである危険度も判定するので、特に注意が必要な作業者と、それほど注意が必要ではない作業者とを区分けすることができる。
【0019】
また、作業者情報記録部が記録した作業者情報に対応する作業者の行動傾向を、作業者情報記録部が記録した危険度情報に基づいて分析可能な分析部によって、作業者それぞれの行動傾向例えば、どれくらいの高さの場所での作業においてフック検知部がフックを検知することが多いか、すなわちフックを使用していないことが多いか、作業工程情報に基づく作業開始予定時間から一定時間が経過するまではフック検知部がフックを検知することが多いかを分析することができる。
【0020】
また、危険度情報に基づいて作業者の行動傾向を分析するので、危険状態情報に基づいて分析するよりも、分析結果が作業者の取り得る危険な行動に結びつく可能性が高まるため、分析結果の重要度が大きい。
【0021】
また、本発明の検知システムにおいて、サーバは、分析部が分析して得られた分析結果情報と、フック保持具の検知結果情報送信部が送信する、フック検知結果情報と高度検知結果情報とフック検知状態日時情報及び高度検知状態日時情報とを対比して、分析部が行動傾向を分析した作業者の危険を予知可能な予知部を有する構成とすることができる。
【0022】
この場合、危険度情報に基づいた分析結果から作業者の行動傾向が判っているので、危険な行動を取る可能性が高い作業者を特定でき、特定された作業者に注意を促すことができる。
【0023】
また、本発明の検知システムにおいて、フック保持具は、周囲の気圧を検知可能な気圧検知部を有し、フック保持具の検知結果情報送信部は、気圧検知部が検知して得られた気圧検知結果情報を、気圧検知結果情報の気圧検知状態日時情報と共にサーバへ送信可能であり、サーバの作業者情報記録部は、フック保持具の検知結果情報送信部が送信した気圧検知結果情報と気圧検知状態日時情報を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバは、作業者情報記録部が記録した複数の作業者情報それぞれに対応すると共に作業工程情報に含まれる作業場所情報が互いに同じ複数の気圧検知結果情報それぞれの変動結果同士を対比可能な気圧対比部と、気圧対比部が変動結果同士を対比した複数の気圧検知結果情報それぞれに対応する複数の高度検知結果情報同士を対比可能な高度対比部と、気圧対比部が対比した結果、気圧の下がり幅が所定の値以上であり、高度対比部が対比した結果、高度の上がり幅がゼロである場合に、避難信号を前記フック保持具へ送信可能である避難信号送信部と、を有する構成とすることができる。
【0024】
この場合、高度の上昇に起因する気圧低下の状況を排除して、同じ場所で一斉に発生した気圧低下が気候の変動に起因する気圧低下であることを特定でき、豪雨や強風などを想定して作業者へ避難を促すことができる。
【0025】
また、本発明の検知システムにおいて、フック検知部は、フック保持部の振動を検知可能な振動検知部を有し、フック保持具は、フック検知部の振動検知部が検知した振動を振動信号としてサーバへ送信可能は振動信号送信部を有する構成とすることができる。
【0026】
この場合、作業者が例えば宙吊りとなったり大怪我をしたりして、その作業者の周囲に他の作業者がいなかったりその作業者が、身動きがほとんど取れなかったりしたときに、フック保持部を指で叩いて振動信号をモールス信号のようにしてサーバへ送信できる。
【0027】
また、本発明の検知システムにおいて、フック保持部は電磁誘導コイルを有し、フック検知部は、フック保持部の電磁誘導コイルから発生する磁場を検知可能な磁場検知部を有し、フック検知部は、振動検知部がフック保持部の振動を検知すると共に磁場検知部がフック保持部の磁場を検知した場合に、フック保持部がフックを保持したことを検知可能である構成とすることができる。
【0028】
この場合、振動検知部がフック保持部の振動を検知しただけでは、フック検知部は、フック保持部がフックを保持したことを検知しないので、振動検知部が検知した振動信号を有効に利用することができる。
【0029】
また、本発明の検知システムにおいて、サーバは、作業者情報記録部が記録した、フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点から再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点までの時間に基づいて作業時間を算出可能な作業時間算出部を有し、サーバの作業者情報記録部はさらに、作業時間算出部が算出した作業時間を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバは、作業者情報記録部が記録した作業時間と作業時間に対応する高度検知結果情報の変動とに基づいて、作業進捗情報を推定可能な作業進捗情報推定部を有し、サーバの作業者情報記録部は、作業進捗情報推定部が推定して得られた作業進捗情報を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバは、作業者情報記録部が記録した危険状態情報と作業進捗情報とに基づいて、作業者情報記録部が記録した作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築可能な作業再割当部を有する構成とすることができる。
【0030】
ここで、「フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点」は、フック保持部がフックを保持している間の日時情報の最後すなわち、フックの使用が開始された日時情報である。
また、「再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点」は、フック保持部が再びフックを保持している間の日時情報の最初すなわち、フックの使用が終了した日時情報である。
また、本発明で言う「フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点から再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点まで」とは、互いに最も近いフック検知状態日時情報の終点とフック検知状態日時情報の始点の組み合わせを意味する。
【0031】
従って、フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点から再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点までの時間に基づいて作業時間を算出可能な作業時間算出部によって、フックを使用している時間を作業時間であるとして算出するので、作業者にフックの使用を促すことができる。
【0032】
また、高度検知結果情報の変動によって、作業者が一の高所作業現場から移動したこと、すなわち作業の中断を含めて作業が終了したことが明確となる。
そして、作業者情報記録部が記録した作業時間と作業時間に対応する高度検知結果情報の変動とに基づいて、作業進捗情報を推定可能な作業進捗情報推定部によって、作業者の作業効率が判る。
【0033】
また、作業者情報記録部が記録した危険状態情報と作業進捗情報とに基づいて、作業者情報記録部が記録した作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築可能な作業再割当部によって、一の作業者にとって一の作業工程が、危険な状態となることが多い作業工程であるか、作業効率が良い作業工程であるかを検討し、その作業者に適していないと判断したときに、別の作業工程を担当させることができる。
【0034】
また、本発明の検知システムにおいて、作業工程情報は、作業者が所属する団体からの指示に基づく情報であり、サーバの作業者情報記録部は、作業再割当部が作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築した回数に関する情報である再構築回数情報を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバは、作業者情報記録部が記録した再構築回数情報に基づいて団体の作業品質を判定可能な品質判定部を有する構成とすることができる。
【0035】
この場合、品質判定部は、再構築回数情報が少なければ、作業者情報と作業工程情報の対応付け(組み合わせ)が適しているとの判断から、作業者が所属する団体の作業品質が良いと判定し、再構築回数情報が多ければ、作業者情報と作業工程情報の対応付けが適していないとの判断から、団体の作業品質が宜しくないと判定し、業界団体の作業品質の検証を行うための判断材料を得ることができる。
【0036】
また、本発明の検知システムにおいて、フック保持具は、フック保持具の加速度と角速度と方位を検知可能な9軸センサを有し、フック保持具の検知結果情報送信部は、9軸センサが検知して得られた9軸検知結果情報を、9軸検知結果情報の9軸検知状態日時情報と共にサーバへ送信可能であり、サーバの作業者情報記録部は、フック保持具の検知結果情報送信部が送信した9軸検知結果情報と9軸検知状態日時情報を、作業者情報に対応させて記録可能であり、サーバの作業進捗情報推定部は、作業者情報記録部が記録した、変動したときの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報と、9軸検知状態日時情報とが略同一である場合に、高度検知結果情報の変動に基づく作業進捗情報を推定不可であり、サーバは、サーバの作業進捗情報推定部が作業進捗情報を推定不可である場合に、作業者の事故発生を推定可能な事故発生推定部を有する構成とすることができる。
【0037】
この場合、作業者が作業を終えて高所作業現場から移動するときの不自然な高度検知結果情報の変動を、作業進捗情報の推定の際に除外できると共に、高度検知結果情報の変動が作業者の転落あるいは転倒によるものであることが判る。
【0038】
また、本発明の検知システムにおいて、フック保持具は、フック保持具の位置情報を測定可能な測位部と、測位部が測定して得られたフック保持具の位置情報をサーバへ送信可能な位置情報送信部と、を有し、サーバの作業者情報記録部は、位置情報送信部が送信したフック保持具の位置情報を、フック保持具を携帯する作業者の作業者情報と対応させて記録可能である構成とすることができる。
【0039】
この場合、フック保持具が取付けられた墜落制止用器具を装着した作業者の位置を把握できるので、作業者が事故を起こしたときに直ちにその作業者の元へ駆けつけることができる。
【発明の効果】
【0040】
本発明に係る検知システムは、作業者を安全に作業させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
図1】本発明を適用した検知システムの全体構成の一例を示す概略図である。
図2】本発明を適用した検知システムが備えるフック保持具が、墜落制止用器具に取付けられてフックを保持した状態の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した検知システムの全体構成の一例を示す概略図である。
また、図2は、本発明を適用した検知システムが備えるフック保持具が、墜落制止用器具に取付けられてフックを保持した状態の一例を示す概略図である。
【0043】
図1に示す本発明の検知システム1は、フック保持具10と、サーバ20と、管理端末40とを備える。
サーバ20は、フック保持具10及び管理端末40とインターネット回線50を介して通信可能である。
インターネット回線50は通信回線の一例であり、通信できる回線であればどのような回線でもよいことは勿論である。
【0044】
フック保持具10は、墜落制止用器具2に着脱自在に取付可能である。
また、墜落制止用器具2はフック3を有しており、フック保持具10はフック3を着脱自在に保持可能である。
【0045】
また、フック保持具10は、フック保持部11を有する。
フック保持部11は、フック3を着脱自在に保持可能である。
また、図示していないが、フック保持部11は電磁誘導コイルを有する。
【0046】
また、フック保持具10は、フック検知部12を有する。
【0047】
また、フック検知部12は、振動検知部12Aを有する。
振動検知部12Aは、フック保持部11の振動を検知可能である。
【0048】
また、フック保持具10は、振動信号送信部12Cを有する。
振動信号送信部12Cは、フック検知部12の振動検知部12Aが検知した振動を振動信号としてインターネット回線50を介して、サーバ20と管理端末40へ送信可能である。
【0049】
また、フック検知部12は、磁場検知部12Bを有する。
磁場検知部12Bは、フック保持部11の電磁誘導コイルから発生する磁場を検知可能である。
そして、フック検知部12は、振動検知部12Aがフック保持部11の振動を検知すると共に磁場検知部12Bが、フック保持部11の電磁誘導コイルから発生する磁場を検知した場合に、フック保持部11がフック3を保持したことを検知可能である。
【0050】
また、フック保持具10は、高度検知部13を有する。
高度検知部13は、フック保持部11が存在する位置の高度を検知可能である。
高度検知部13は、一定の間隔例えば1秒間隔で高度を検知可能である。検知の間隔を適宜変更できることは勿論である。
【0051】
また、フック保持具10は、検知結果情報送信部14を有する。
検知結果情報送信部14は、フック検知部12が検知して得られたフック検知結果情報及び高度検知部13が検知して得られた高度検知結果情報を、フック検知結果情報及び高度検知結果情報がそれぞれ得られている間の日時に関する情報であるフック検知状態日時情報及び高度検知状態日時情報と共にサーバ20へ送信可能である。
【0052】
フック保持具10が取付けられた墜落制止用器具2を装着した作業者が、階段を上って地上から高度12mの位置に配置された作業床へ移動し、その場での作業が終わって再び階段を下りて地上へ移動する場合を説明する。
【0053】
フック保持具10の電源をオンにして、フック検知部12がフック3を最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日8時00分00秒」であり、高度12mの位置に到達してフック保持部11からフック3が外された日時情報が例えば「2023年5月8日8時00分45秒」である場合、フック検知状態日時情報は「2023年5月8日8時00分00秒から2023年5月8日8時00分45秒までの45秒」となる。
【0054】
ここで、「2023年5月8日8時00分00秒」がフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点であり、「2023年5月8日8時00分45秒」がフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点である。
また、午前中の作業が終わり、再びフック検知部12がフック3を検知した日時情報が例えば「2023年5月8日12時00分00秒」である場合、この「2023年5月8日12時00分00秒」が、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点である。
【0055】
また、作業者が階段を上っていき、高度検知部13が高度2mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日8時00分03秒」であり、高度検知部13が高度12mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日8時00分25秒」であり、再び、階段を下りて高度11mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日12時00分20秒」であり、そして高度2m未満を最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日12時01分05秒」であるとする。
ここで、高度2mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点は「2023年5月8日12時01分05秒」である。
【0056】
このとき、高度2m以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報は「2023年5月8日8時00分03秒から2023年5月8日12時01分05秒までの4時間01分02秒」となる。
【0057】
また、作業者が地上に到着してもフック保持部11はフック3を保持したままなので、フック検知部12は、フック保持部11がフック3を保持したことを検知し続けており、検知結果情報送信部14はフック検知結果情報とフック検知状態日時情報を送信し続ける。
【0058】
また、作業者が地上に到着してフック保持具10の電源をオフにすると、検知結果情報送信部14が送信していないフック検知結果情報とフック検知状態日時情報と高度検知結果情報と高度検知状態日時情報は、フック保持具10に一時保存され、再びフック保持具10の電源がオンになったときに、検知結果情報送信部14が送信する。
このときのフック検知状態日時情報が、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点である。
【0059】
また、昼休みが終わった作業者が、再びフック保持具10の電源をオンにして階段を上り、地上から高度12mの位置に配置された作業床へ移動し、その場での作業が終わって移動する場合を説明する。
【0060】
再びフック保持具10の電源をオンにすると、フック保持具10に一時保存された、フック検知結果情報とフック検知状態日時情報と高度検知結果情報と高度検知状態日時情報を、検知結果情報送信部14が送信する。
【0061】
また、再びフック保持具10の電源をオンにして、フック検知部12がフック3を最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日13時01分00秒」であり、高度12mの位置に到達してフック保持部11からフック3が外された日時情報が例えば「2023年5月8日13時02分00秒」である場合、フック検知状態日時情報は「2023年5月8日13時01分00秒から2023年5月8日13時02分00秒までの1分」となる。
【0062】
ここで、「2023年5月8日13時01分00秒」がフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点であり、「2023年5月8日13時02分00秒」がフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点である。
また、高度12mの作業床での作業が終了し、再びフック検知部12がフック3を検知した日時情報が例えば「2023年5月8日14時30分15秒」である場合、この「2023年5月8日14時30分15秒」が、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点である。
【0063】
また、再びフック保持具10の電源をオンにして、作業者が階段を上っていき、高度検知部13が高度2mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日13時01分15秒」であり、高度検知部13が高度12mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日13時01分30秒」であり、再び、階段を下りて高度11mを最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日14時40分05秒」であり、そして高度2m未満を最初に検知した日時情報が例えば「2023年5月8日14時41分00秒」であるとする。
ここで、高度2mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点は「2023年5月8日14時41分00秒」である。
【0064】
このとき、高度2m以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報は「2023年5月8日13時01分15秒から2023年5月8日14時41分00秒までの1時間39分45秒」となる。
そして、高度12mの作業床での作業が終了したことから、作業者は地上に到着してフック保持具10の電源をオフにし、この日はこのままその作業現場から別の作業現場へ移動したとする。
【0065】
また、フック保持具10は、危険告知部15を有する。
危険告知部15は、サーバ20から送信される危険信号に基づいて、墜落制止用器具2を装着した作業者が危険な状態であることを告知可能である。
告知できるのであれば、どのような態様で告知してもよく、振動による告知、音声による告知、文字による告知、発光による告知などが考えられる。
【0066】
また、危険告知部15は、作業者が携帯する端末例えばスマートフォンへ危険信号を送信して、スマートフォンから音声を発して、作業者が危険な状態であることを告知することもできる。
【0067】
また、フック保持具10は、気圧検知部16を有する。
気圧検知部16は、周囲の気圧を検知可能である。
気圧検知部16は、一定の間隔例えば1秒間隔で周囲の気圧を検知可能である。検知の間隔を適宜変更できることは勿論である。
【0068】
また、フック保持具10の検知結果情報送信部14は、気圧検知部16が検知して得られた気圧検知結果情報を、気圧検知結果情報の気圧検知状態日時情報と共にサーバ20へ送信可能である。
【0069】
また、フック保持具10は、測位部17を有する。
測位部17は、フック保持具10の位置情報を測定可能である。
【0070】
また、フック保持具10は、位置情報送信部18を有する。
位置情報送信部18は、測位部17が測定して得られたフック保持具10の位置情報を、インターネット回線50を介してサーバ20と管理端末40へ送信可能である。
【0071】
また、フック保持具10は、9軸センサ19を有する。
9軸センサ19は、フック保持具の加速度と角速度と方位を検知可能である。
【0072】
また、サーバ20は、検知結果情報受信部21Aを有する。
検知結果情報受信部21Aは、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した、フック検知結果情報と高度検知結果情報とフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報を受信可能である。
また、検知結果情報受信部21Aは、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した、気圧検知結果情報と気圧検知状態日時情報を受信可能である。
【0073】
また、サーバ20は、作業者情報記録部21を有する。
作業者情報記録部21は、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した、フック検知結果情報と高度検知結果情報とフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報、並びにフック保持具10が取付けられた墜落制止用器具2を装着した作業者に関する情報である作業者情報と作業者の作業工程に関する情報である作業工程情報とを、互いに対応させて記録可能である。
また、作業者情報記録部21は、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した、気圧検知結果情報と気圧検知状態日時情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0074】
また、サーバ20は、危険状態判定部22を有する。
危険状態判定部22は、作業者情報記録部21が記録した、フック検知結果情報と所定の値以上の高度検知結果情報それぞれのフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報が所定の値以上である場合に、墜落制止用器具2を装着した作業者が危険な状態であると判定可能である。
【0075】
ここで、高度検知結果情報の所定の値は例えば2mであるが、適宜設定できることは勿論である。
【0076】
また、フック検知状態日時情報の所定の値は例えば1分30秒であり、所定の値以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の所定の値は3分であるが、適宜設定できることは勿論である。
【0077】
また、作業工程情報に含まれる作業現場情報ごとに、フック検知状態日時情報の所定の値と高度検知状態日時情報の所定の値を設定することもできる。
例えば、高い位置が作業現場である作業者の危険状態を判定する場合のフック検知状態日時情報の所定の値と所定の値以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の所定の値を、移動時間を考慮して、低い位置が作業現場である作業者の危険状態を判定する場合のこれら検知状態日時情報の所定の値よりも大きく設定できる。
【0078】
また、危険状態判定部22が危険な状態であると判定するときに対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は、所定の値以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報のときの情報である。
すなわち、危険状態判定部22は、所定の値2m未満の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報のときにフック検知部12が検知して得られたフック検知結果情報のフック検知状態日時情報を除外して判定を行う。
【0079】
前述の具体的なフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報に基づいて説明すると、午前中の作業において、高度2m以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報は「2023年5月8日8時00分03秒から2023年5月8日12時01分05秒までの4時間01分02秒」であることから、所定の値「3分」を大きく超えている。
【0080】
しかし、危険状態判定部22が危険な状態であると判定するときに対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は、所定の値2m以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報のときの情報である。
そして、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点は高度検知部13が高度2mを最初に検知した日時情報と同じ「2023年5月8日8時00分03秒」であり、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点はフック保持部11からフック3が外された日時情報である「2023年5月8日8時00分45秒」である。
従って、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は「2023年5月8日8時00分03秒から2023年5月8日8時00分45秒までの42秒」となり、所定の値1分30秒以上ではないので、危険状態判定部22は、作業者が危険な状態であるとは判定しない。
【0081】
また、午前中の作業が終わって再びフック検知部12がフック3を検知し、また、そのとき作業者は高度12mの位置に配置された作業床に居るので、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点は、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点である「2023年5月8日12時00分00秒」であり、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点は高度2mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点と同じ「2023年5月8日12時01分05秒」である。
従って、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は「2023年5月8日12時00分00秒から2023年5月8日12時01分05秒までの1分5秒」となり、このときも、所定の値1分30秒以上ではないので、危険状態判定部22は、作業者が危険な状態であるとは判定しない。
【0082】
このように、危険状態判定部22は、作業者の移動時間も考慮して危険な状態を判定できる。
【0083】
また、前述の具体的なフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報に基づいて説明すると、午後の作業において、高度2m以上の高度検知結果情報の高度検知状態日時情報は「2023年5月8日13時01分15秒から2023年5月8日14時41分00秒までの1時間39分45秒」であることから、所定の値「3分」を大きく超えている。
【0084】
そして、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点は高度検知部13が高度2mを最初に検知した日時情報と同じ「2023年5月8日13時01分15秒」であり、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点はフック保持部11からフック3が外された日時情報である「2023年5月8日13時02分00秒」である。
従って、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は「2023年5月8日13時01分15秒から2023年5月8日13時02分00秒までの45秒」となり、所定の値1分30秒以上ではないので、危険状態判定部22は、作業者が危険な状態であるとは判定しない。
【0085】
一方、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点が「2023年5月8日14時30分15秒」であり、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点がないまま、すなわちフック保持部11がフック3を保持したまま、作業者が階段を下りて、高度11mを最初に検知した日時情報が「2023年5月8日14時40分05秒」であることから、この時点で、対象となるフック検知結果情報のフック検知状態日時情報は「2023年5月8日14時30分15秒から2023年5月8日14時40分05秒までの9分50秒」となり、所定の値1分30秒以上であるので、危険状態判定部22は、作業者が危険な状態であると判定する。
【0086】
また、危険状態判定部22は、作業者が危険な状態であると判定した場合に、作業者情報記録部21が記録した、高度検知結果情報と、高度検知結果情報の高度検知状態日時情報と、高度検知状態日時情報に対応するフック検知状態日時情報とに基づいて、作業者の危険度を判定可能である。
【0087】
例えば、作業者が危険な状態であると危険状態判定部22が判定したときの、高度検知結果情報の値が高く(例えば12m)、そして高度12mの高度検知状態日時情報の値も高く(例えば30分)、さらにそのときのフック検知状態日時情報の値も高い(例えば10分)場合に、危険状態判定部22は、危険度が「大」であると判定する。
【0088】
また、作業者が危険な状態であると危険状態判定部22が判定したときの、高度検知結果情報の値が低く(例えば2m)、そして高度2mの高度検知状態日時情報の値も低く(例えば3分30秒)、さらにそのときのフック検知状態日時情報の値も低い(例えば1分35秒)場合に、危険状態判定部22は、危険度が「小」であると判定する。
【0089】
また、作業者が危険な状態であると危険状態判定部22が判定したときのその他の場合、例えば、高度検知結果情報の値が高く(例えば12m)、そして高度12mの高度検知状態日時情報の値が低く(例えば3分30秒)、さらにそのときのフック検知状態日時情報の値も低い(例えば1分35秒)場合に、危険状態判定部22は、危険度が「中」であると判定する。
【0090】
また、作業者情報記録部21は、危険状態判定部22が判定して得られた危険状態情報と、危険状態判定部22が判定して得られた危険度に関する情報である危険度情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0091】
また、サーバ20は、危険信号送信部23を有する。
危険信号送信部23は、危険状態判定部22が、作業者が危険な状態であると判定した場合に、フック保持具10へ危険信号を送信可能である。
【0092】
また、サーバ20は、分析部24を有する。
分析部24は、作業者情報記録部21が記録した作業者情報に対応する作業者の行動傾向を、作業者情報記録部21が記録した危険度情報に基づいて分析可能である。
例えば、高度2m以上ではあるが比較的高度が低い(例えば4m)場所での作業において、フック3を使っていない状況が多い行動傾向にある、といった分析を行う。
【0093】
また、作業者情報記録部21は、分析部24が分析して得られた分析結果情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0094】
また、サーバ20は、予知部25を有する。
予知部25は、分析部24が分析して得られた分析結果情報と、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信する、フック検知結果情報と高度検知結果情報とフック検知状態日時情報及び高度検知状態日時情報とを対比して、分析部24が行動傾向を分析した作業者の危険を予知可能である。
【0095】
例えば、高度2m以上ではあるが比較的高度が低い(例えば4m)場所での作業において、フック3を使っていない状況が多い行動傾向にあると分析部24が分析した作業者が、高度12mの場所での作業を終え、次の作業のため高度4mの場所へ移動したことが高度検知結果情報や高度検知状態日時情報から判明するので、予知部25は、分析結果情報と、このような高度検知結果情報及び高度検知状態日時情報、さらにはフック検知結果情報及びフック検知状態日時情報とを対比して、作業者が危険な状態となることを予知する。
【0096】
また、サーバ20は、気圧対比部26を有する。
気圧対比部26は、作業者情報記録部21が記録した複数の作業者情報それぞれに対応すると共に作業工程情報に含まれる作業場所情報が互いに同じ複数の気圧検知結果情報それぞれの変動結果同士を対比可能である。
同じ環境における複数の気圧検知結果情報の変動結果に基づくことで、精度を高めることができる。
【0097】
また、サーバ20は、高度対比部27を有する。
高度対比部27は、気圧対比部26が変動結果同士を対比した複数の気圧検知結果情報それぞれに対応する複数の高度検知結果情報同士を対比可能である。
【0098】
また、サーバ20は、避難信号送信部28を有する。
避難信号送信部28は、気圧対比部26が対比した結果、気圧の下がり幅が所定の値例えば12hPa以上であり、高度対比部27が対比した結果、高度の上がり幅がゼロである場合に、避難信号をフック保持具10へ、インターネット回線50を介して送信可能である。
【0099】
例えば高度12mの気圧は通常、地上の気圧である約1013hPaよりも1hPa低い約1012hPaであるが、気圧対比部26が、高度12mの作業床で作業する複数の作業者の複数の気圧検知結果情報それぞれの変動結果同士を対比した結果、どの気圧検知結果情報の変動結果も約13hPa低下という結果となり、気圧の下がり幅は所定の値である12hPa以上であるとする。
そして、複数の作業者は全て高度12mの作業床から移動していないとし、気圧対比部26が対比した複数の気圧検知結果情報それぞれに対応する、複数の作業者の複数の高度検知結果情報同士を対比した結果、高度の上がり幅がゼロであるとする。
この場合、避難信号送信部28は、避難信号をフック保持具10へ送信する。
【0100】
また、フック保持具10は、避難信号受信部16Aを有する。
避難信号受信部16Aは、サーバ20の避難信号送信部28が送信した避難信号を受信可能である。
【0101】
避難信号を受信したフック保持具10は、例えば振動したり、フック保持具10の危険告知部15が、危険な状態であることを告知する場合とは異なる方法で、避難が必要であることを告知したりする。
【0102】
また、サーバ20は、作業時間算出部29を有する。
作業時間算出部29は、作業者情報記録部21が記録した、フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点から再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点までの時間に基づいて作業時間を算出可能である。
【0103】
前述の具体的なフック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報に基づいて説明すると、午前の作業時間については、フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点が「2023年5月8日8時00分45秒」であり、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点が「2023年5月8日12時00分00秒」であるので、サーバ20の作業時間算出部29は、「2023年5月8日8時00分45秒から2023年5月8日12時00分00秒までの3時間59分15秒」を午前の作業時間として算出する。
【0104】
さらに、午後の作業時間については、フック検知結果情報のフック検知状態日時情報の終点が「2023年5月8日13時02分00秒」であり、再度のフック検知結果情報のフック検知状態日時情報の始点が「2023年5月8日14時30分15秒」であるので、作業時間算出部29は、「2023年5月8日13時02分00秒から2023年5月8日14時30分15秒までの1時間27分45秒」を午後の作業時間として算出する。
【0105】
そして、高度12mの作業床での作業が終了したことから、2023年5月8日の作業時間は、午前の作業時間「3時間59分15秒」と午後の作業時間「1時間27分45秒」の合計の「5時間27分00秒」となる。
【0106】
また、作業者情報記録部21は、作業時間算出部29が算出した作業時間を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0107】
また、サーバ20は、作業進捗情報推定部30を有する。
作業進捗情報推定部30は、作業者情報記録部21が記録した作業時間と、この作業時間に対応する高度検知結果情報の変動とに基づいて、作業進捗情報を推定可能である。
【0108】
前述の具体的な作業時間と、この作業時間に対応する具体的な高度検知結果情報の変動とに基づいて説明すると、午前の作業時間に対応して高度12mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の始点が「2023年5月8日8時00分25秒」であり、高度11mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の始点、すなわち高度12mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点が「2023年5月8日12時00分20秒」であるから、高度検知結果情報の変動があり、作業進捗情報を推定できる。
また、午後の作業時間に対応して高度12mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の始点が「2023年5月8日13時01分15秒」であり、高度12mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点が「2023年5月8日14時40分05秒」であるから、高度検知結果情報の変動があり、作業進捗情報を推定できる。
【0109】
特に、前述の具体的な高度検知結果情報の変動の例においては、高度2mの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報の終点である「2023年5月8日14時41分00秒」以降、高度検知部13は再度の高度2mを検知しておらず、高度検知結果情報の変動がないことから、2023年5月8日のこの現場での作業は終了したことが明確となる。
そして、作業進捗情報推定部30は、「5時間27分00秒」の作業時間で高度12mの作業床における作業が終了したという内容の、2023年5月8日の作業進捗情報を推定する。
【0110】
また、作業者情報記録部21は、作業進捗情報推定部30が推定して得られた作業進捗情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0111】
また、サーバ20は、作業再割当部31を有する。
作業再割当部31は、作業者情報記録部21が記録した危険状態情報と作業進捗情報とに基づいて、作業者情報記録部21が記録した作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築可能である。
すなわち、作業再割当部31は、作業者と作業工程の組み合わせを変更できる。
【0112】
例えば、ある作業者について、作業効率が「低い」すなわち、作業時間が長いのに作業がなかなか終了しないという内容の作業進捗情報であり、危険状態情報が多いという場合、作業再割当部31は、作業者情報記録部21が記録した、その作業者の作業者情報と作業工程情報との対応付け(組み合わせ)を再構築すべき優先度が高いと判断し、再構築を行う。
また、例えば別の作業者について、作業効率が「高い」すなわち、短い作業時間で作業を終了させるという内容の作業進捗情報であり、危険状態情報が少ないという場合、作業再割当部31は、作業者情報記録部21が記録した、その作業者の作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築すべき優先度は「低い」と判断し、再構築を行わない。
【0113】
また、作業再割当部31は、危険状態情報を優先して作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築する。
すなわち、作業進捗情報が、高い作業効率であるという内容であっても、危険状態情報が多い場合、作業再割当部31は、その作業者情報と作業工程情報の対応付けを再構築する。
また、作業進捗情報が、低い作業効率であるという内容であっても、危険状態情報が少ない場合、作業再割当部31は、その作業者情報と作業工程情報の対応付けを再構築しない。
【0114】
また、サーバ20の作業者情報記録部21が記録する作業工程情報は、作業者が所属する会社などの団体からの指示に基づく情報である。
【0115】
また、作業者情報記録部21は、作業再割当部31が作業者情報と作業工程情報との対応付けを再構築した回数に関する情報である再構築回数情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0116】
また、サーバ20は、品質判定部32を有する。
品質判定部32は、作業者情報記録部21が記録した再構築回数情報に基づいて団体の作業品質を判定可能である。
すなわち、品質判定部32は、再構築回数情報の値が高い、つまり再構築した回数が多い作業工程情報を指示した団体の作業品質を「低い」と判定する。
【0117】
また、フック保持具10は9軸センサ19を有するが、フック保持具10の検知結果情報送信部14は、9軸センサ19が検知して得られた9軸検知結果情報を、9軸検知結果情報の9軸検知状態日時情報と共にサーバ20へ送信可能である。
また、サーバ20の検知結果情報受信部21Aは、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した9軸検知結果情報と9軸検知状態日時情報を受信可能である。
【0118】
また、作業者情報記録部21は、フック保持具10の検知結果情報送信部14が送信した、9軸検知結果情報と9軸検知状態日時情報を、作業者情報に対応させて記録可能である。
【0119】
また、作業進捗情報推定部30は、作業者情報記録部21が記録した、変動したときの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報と、9軸検知状態日時情報とが略同一である場合に、この高度検知結果情報の変動に基づく作業進捗情報を推定不可である。
このような場合に作業進捗情報を推定不可とすることで、不自然な高度検知結果情報の変動例えば作業者の転落あるいは転倒による高度検知結果情報の変動を、作業進捗情報を推定するにあたって除外でき、また、9軸検知結果情報から作業者の転落あるいは転倒が発生していることが判る。
【0120】
また、サーバ20は、事故発生推定部33を有する。
事故発生推定部33は、サーバ20の作業進捗情報推定部30が作業進捗情報を推定不可である場合に、作業者の事故発生を推定可能である。
9軸検知結果情報から作業者の転落あるいは転倒が発生していることが判るからである。
【0121】
また、サーバ20は、位置情報受信部35を有する。
位置情報受信部35は、フック保持具10の位置情報送信部18が送信したフック保持具10の位置情報を受信可能である。
【0122】
また、作業者情報記録部21は、位置情報送信部18が送信したフック保持具10の位置情報を、フック保持具10を携帯する作業者の作業者情報と対応させて記録可能である。
【0123】
また、管理端末40は、情報参照部41を有する。
情報参照物41は、インターネット回線50を介して作業者情報記録部21が記録した情報を参照可能である。
従って、作業現場の管理者は、管理端末40を使って作業現場における作業者それぞれの行動を把握することができる。
【0124】
また、管理端末40は、振動信号受信部42を有する。
振動信号受信部42は、フック保持具10の振動信号送信部12Cが送信した振動信号を受信可能である。
【0125】
また、管理端末40は、位置情報受信部43を有する。
位置情報受信部43は、フック保持具10の位置情報送信部18が送信した位置情報を受信可能である。
【0126】
図2に示すように、フック保持具10の表面には二次元コード4が表示されている。
また、管理端末40などで二次元コード4を読取ると、サーバ20の作業者情報記録部21が記録した、対応するフック保持具10を携帯した作業者の作業者情報を参照できる。
【0127】
本発明の検知システム1において、サーバ20の危険状態判定部22は、必ずしも作業者の危険度を判定可能でなくてもよい。
しかし、危険状態判定部22が危険度を判定可能であれば、同じ危険な状態であるという判定の中で、危険性の度合いである危険度も判定するので、特に注意が必要な作業者と、それほど注意が必要ではない作業者とを区分けすることができ、好ましい。
【0128】
また、本発明の検知システム1において、サーバ20は必ずしも分析部24を有さなくてもよい。
しかし、サーバ20が分析部24を有していれば、作業者それぞれの行動傾向例えば、どれくらいの高さの場所での作業においてフック検知部がフックを検知することが多いか、すなわちフックを使用していないことが多いか、作業工程情報に基づく作業開始予定時間から一定時間が経過するまではフック検知部がフックを検知することが多いかを分析することができ、好ましい。
また、分析部24は、危険度情報に基づいて作業者の行動傾向を分析するので、危険状態情報に基づいて分析するよりも、分析結果が作業者の取り得る危険な行動に結びつく可能性が高まるため、分析結果の重要度が大きくなり、好ましい。
【0129】
また、本発明の検知システム1において、サーバ20は必ずしも予知部25を有さなくてもよい。
しかし、サーバ20が予知部25を有していれば、危険度情報に基づいた分析結果から作業者の行動傾向が判っているので、危険な行動を取る可能性が高い作業者を特定でき、特定された作業者に注意を促すことができるので、好ましい。
【0130】
また、本発明の検知システム1において、フック保持具10は、必ずしも気圧検知部16を有さなくてもよく、また、サーバ20は、必ずしも気圧対比部26と高度対比部27と避難信号送信部28とを有さなくてもよい。
しかし、フック保持具10が気圧検知部16を有し、サーバ20が気圧対比部26と高度対比部27と避難信号送信部28とを有していれば、高度の上昇に起因する気圧低下の状況を排除して、同じ場所で一斉に発生した気圧低下が気候の変動に起因する気圧低下であることを特定でき、豪雨や強風などを想定して作業者へ避難を促すことができるので好ましい。
【0131】
また、本発明の検知システム1において、フック検知部12は必ずしも振動検知部12Aを有さなくてもよく、また、フック保持具10は必ずしも振動信号送信部12Cを有さなくてもよい。
しかし、フック検知部12が振動検知部12Aを有し、フック保持具10が振動信号送信部12Cを有していれば、作業者が例えば宙吊りとなったり大怪我をしたりして、その作業者の周囲に他の作業者がいなかったりその作業者が、身動きがほとんど取れなかったりしたときに、フック保持部11を指で叩いて振動信号をモールス信号のようにしてサーバ20へ送信できるので、好ましい。
【0132】
また、本発明の検知システム1において、フック保持部11は必ずしも電磁誘導コイルを有していなくてもよく、フック検知部12は必ずしも磁場検知部12Bを有していなくてもよく、また、フック検知部12は、必ずしも振動検知部12Aがフック保持部11の振動を検知すると共に磁場検知部12Bがフック保持部11の磁場を検知した場合に、フック保持部11がフック3を保持したことを検知可能でなくてもよい。
【0133】
しかし、フック検知部12が、振動検知部12Aがフック保持部10の振動を検知すると共に磁場検知部12Bがフック保持部11の磁場を検知した場合に、フック保持部11がフック3を保持したことを検知可能とすることで、振動検知部12Aがフック保持部11の振動を検知しただけでは、フック検知部12は、フック保持部11がフック3を保持したことを検知しないので、振動検知部12Aが検知した振動信号を有効に利用することができ、好ましい。
【0134】
また、本発明の検知システム1において、サーバ20は必ずしも作業時間算出部29や作業進捗情報推定部30を有していなくてもよい。
しかし、サーバ20が作業時間算出部29を有していれば、フック3を使用している時間を作業時間であるとして算出するので、作業者にフック3の使用を促すことができ、好ましい。
また、サーバ20が作業進捗情報推定部30を有していれば、作業者の作業効率が判るので、好ましい。
【0135】
また、本発明の検知システム1において、サーバ20は必ずしも作業再割当部31を有していなくてもよい。
しかし、サーバ20が作業再割当部31を有していれば、一の作業者にとって一の作業工程が、危険な状態となることが多い作業工程であるか、作業効率が良い作業工程であるかを検討し、その作業者に適していないと判断したときに、別の作業工程を担当させることができるので、好ましい。
【0136】
また、本発明の検知システム1において、サーバ20は必ずしも品質判定部32を有していなくてもよい。
しかし、サーバ20が品質判定部32を有していれば、作業者が所属する団体の作業品質の良し悪しを判定でき、業界団体の作業品質の検証を行うための判断材料を得ることができるので、好ましい。
【0137】
また、本発明の検知システム1において、フック保持具10は必ずしも9軸センサ19を有していなくてもよく、また、サーバ20の作業進捗情報推定部30は必ずしも変動したときの高度検知結果情報の高度検知状態日時情報と、9軸検知状態日時情報とが略同一である場合に、高度検知結果情報の変動に基づく作業進捗情報を推定不可としなくてもよい。
しかし、フック保持具10が9軸センサ19を有し、作業進捗情報推定部30がこのような場合に作業進捗情報を推定不可とすれば、作業者が作業を終えて高所作業現場から移動するときの不自然な高度検知結果情報の変動を、作業進捗情報の推定の際に除外できると共に、高度検知結果情報の変動が作業者の転落あるいは転倒によるものであることが判るので、好ましい。
【0138】
また、本発明の検知システム1において、フック保持具10は必ずしも測位部17や位置情報送信部18を有していなくてもよい。
しかし、フック保持具10が測位部17や位置情報送信部18を有していれば、フック保持具10が取付けられた墜落制止用器具2を装着した作業者の位置を把握できるので、作業者が事故を起こしたときに直ちにその作業者の元へ駆けつけることができ、好ましい。
【0139】
以上のように、本発明の検知システム1において、サーバ20が危険状態判定部を有するので、フックを検知すると直ちに、すなわちフックが使用されていないと直ちに危険な状態であると判定することなく、時間の概念も取り入れて危険な状態であると判定でき、作業現場の状況に合った判定をすることができる。
【0140】
また、本発明の検知システム1において、フック保持具10が危険告知部15を有するので、作業者に対し、その作業者自身が危険な状態であると認識させることができる。
【0141】
従って、本発明の検知システム1は、フックが使用されていない場合に直ちに危険を告知するような杓子定規の危険告知ではなく、作業現場の状況に合った危険状態判定を行うので、危険告知に対する信頼度が上がり、危険告知が生じた際には、作業者は素直に受け止めてフックを使用するよう心掛けるため、作業者を安全に作業させることができる。
【0142】
また、墜落制止用器具2に着脱自在に取付可能なフック保持具10がフック検知部12を有するので、既存の墜落制止用器具に本発明の検知システム1を適用できる。
【0143】
また、サーバ20が作業者情報記録部21を有するので、作業者の実際の作業行動を裏付ける、フック検知結果情報と、高度検知結果情報と、フック検知状態日時情報と、高度検知状態日時情報とを、作業者ごとに、作業者が担当する作業工程情報と関連付けて把握できるので、作業者の作業における行動履歴を把握することができ、作業者の管理を行い易い。
そして、作業者情報記録部21が、このような作業者の実際の作業行動を裏付ける情報を記録していくので、高所作業に関する作業者の行動のビッグデータを得ることができ、業界発展のための検討材料とすることができる。
【0144】
また、サーバ20が作業時間算出部29を有するので、フック3を使用している時間を作業時間であるとして算出するため、作業者にフック3の使用を促すことができ、より一層、作業者を安全に作業させることができる。
【0145】
また、サーバ20が作業再割当部31を有するので、一の作業者にとって一の作業工程が、危険な状態となることが多い作業工程であるか、作業効率が良い作業工程であるかを検討し、その作業者に適していないと判断したときに、別の作業工程を担当させることができる。
また、サーバ20が品質判定部32を有するので、作業者が所属する団体の作業品質の良し悪しを判定でき、業界団体の作業品質の検証を行うための判断材料を得ることができる。
【0146】
また、作業者情報記録部21が記録した作業者の作業に関するデータ、すなわちフック検知結果情報と、高度検知結果情報と、フック検知状態日時情報と高度検知状態日時情報を根拠に、作業の契約元は、作業者が所属する団体(協力会社)との契約内容に合致しているかを判断できる。
【符号の説明】
【0147】
1 検知システム
2 墜落制止用器具
3 フック
4 二次元コード
10 フック保持具
11 フック保持部
12 フック検知部
12A 振動検知部
12B 磁場検知部
12C 振動信号送信部
13 高度検知部
14 検知結果情報送信部
15 危険告知部
15A 危険信号受信部
16 気圧検知部
16A 避難信号受信部
17 測位部
18 位置情報送信部
19 9軸センサ
20 サーバ
21 作業者情報記録部
21A 検知結果情報受信部
22 危険状態判定部
23 危険信号送信部
24 分析部
25 予知部
26 気圧対比部
27 高度対比部
28 避難信号送信部
29 作業時間算出部
30 作業進捗情報推定部
31 作業再割当部
32 品質判定部
33 事故発生推定部
34 振動信号受信部
35 位置情報受信部
40 管理端末
41 情報参照部
42 振動信号受信部
43 位置情報受信部
50 インターネット回線
図1
図2