(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173451
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】情報管理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0207 20230101AFI20241205BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20241205BHJP
【FI】
G06Q30/0207 328
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091881
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢能 章禎
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L030BB07
5L049BB07
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】
【課題】イベント側に電力供給する電動車のユーザにより適正なインセンティブを付与する。
【解決手段】情報管理システムは、イベントの開催に必要な電力を要求するイベント開催側制御装置と、要請に基づいてイベントに電力供給を行なう登録された複数の電動車に搭載された車両側制御装置と、情報管理装置と、を備える。情報管理装置は、イベントの地域活性化の貢献度の評価を登録されたユーザに要請すると共にユーザからの評価に基づいてイベントへの電力供給に対するインセンティブを決定し、イベント開催側制御装置から電力供給の要求を受け付けたときには、車両側制御装置へのイベントへの電力供給の要請と、イベントへの電力供給に対するインセンティブとを送信する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントの開催に必要な電力を要求するイベント開催側制御装置と、要請に基づいて前記イベントに電力供給を行なう登録された複数の電動車に搭載された車両側制御装置と、前記イベント開催側制御装置および前記車両側制御装置と通信可能な情報管理装置と、を備える情報管理システムにおける前記情報管理装置であって、
前記イベントの地域活性化の貢献度の評価を登録されたユーザに要請すると共にユーザからの評価に基づいて前記イベントへの電力供給に対するインセンティブを決定し、
前記イベント開催側制御装置から電力供給の要求を受け付けたときには、前記車両側制御装置への前記イベントへの電力供給の要請と、前記イベントへの電力供給に対する前記インセンティブとを送信する、
ことを特徴とする情報管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報管理装置に関し、詳しくは、イベントの開催側の制御装置とイベントに電力供給可能な電動車に搭載された車両側制御装置と共に情報管理システムを構成する情報管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、全国に展開する店舗の蓄電装置に電機自動車を介して電力供給を行なうシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムでは、電力の授受によって付与又は消費される電力ポイントを設定し、電力ポイントを使って店舗等での電気の購入や商品等の対価の支払いに充てることを可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、地方の活性化を図るための各種イベントが行なわれている。こうしたイベントではある程度の電力需要が見込まれるが、イベントを開催する場所によっては電力不足となることから、電動車からイベント側への電力供給が望まれる。この際、電力供給を行なう電動車のユーザに対して何らかのインセンティブを付与することが望まれる。
【0005】
本開示の情報管理装置は、イベント側に電力供給する電動車のユーザにより適正なインセンティブを付与することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の情報管理装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示の情報管理装置は、
イベントの開催に必要な電力を要求するイベント開催側制御装置と、要請に基づいて前記イベントに電力供給を行なう登録された複数の電動車に搭載された車両側制御装置と、前記イベント開催側制御装置および前記車両側制御装置と通信可能な情報管理装置と、を備える情報管理システムにおける前記情報管理装置であって、
前記イベントの地域活性化の貢献度の評価を登録されたユーザに要請すると共にユーザからの評価に基づいて前記イベントへの電力供給に対するインセンティブを決定し、
前記イベント開催側制御装置から電力供給の要求を受け付けたときには、前記車両側制御装置への前記イベントへの電力供給の要請と、前記イベントへの電力供給に対する前記インセンティブとを送信する、
ことを特徴とする。
【0008】
本開示の情報管理装置は、イベントの開催に必要な電力を要求するイベント開催側制御装置や、要請に基づいてイベントに電力供給を行なう登録された複数の電動車に搭載された車両側制御装置と通信することにより情報管理システムを構成する。情報管理装置は、イベントの地域活性化の貢献度の評価を登録されたユーザに要請すると共にユーザからの評価に基づいてイベントへの電力供給に対するインセンティブを決定する。そして、イベント開催側制御装置から電力供給の要求を受け付けたときには、車両側制御装置へのイベントへの電力供給の要請と、イベントへの電力供給に対するインセンティブとを送信する。これにより、イベント側に電力供給する電動車のユーザは、より適正なインセンティブを受けることができる。
【0009】
本開示の情報管理装置において、前記インセンティブは、前記イベントに電力供給を行なう前記電動車の電力供給の際の電力料金に反映するものとしてもよい。この場合、前記電力料金は、基本電力料金に、前記電動車のユーザの自宅から前記イベントの会場までの移動により前記電動車から排出した二酸化炭素量が多いほど小さくなる傾向の二酸化炭素排出係数と、前記電動車のバッテリに蓄えられている電力の再生可能エネルギの割合が大きいほど大きくなる傾向の再生可能エネルギ係数と、前記イベントの会場の近傍の電動車の数が多いほど小さくなる傾向の電動車数係数と、地域創生係数との積により計算するものとしてもよい。更にこの場合、前記地域創生係数は、前記イベントの規模が大きいほど大きくなる傾向のイベント規模係数と、前記電動車から前記イベントに供給すべき電力が大きいほど大きくなる傾向の電動車供給電力係数と、地域活性化の貢献度が大きいほど大きくなる傾向のインセンティブ係数との積により計算するものとしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本開示の実施形態としての情報管理装置50を含む情報管理システム20の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】情報管理装置50の機能ブロックとしての電力供給管理部52により実行される電力供給管理処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】情報管理装置50の機能ブロックとしてのインセンティブ設定部54により実行されるインセンティブ設定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本開示を実施するための形態(実施形態)について説明する。
図1は、本開示の実施形態としての情報管理装置50を含む情報管理システム20の構成の概略を示す構成図である。実施形態の情報管理システム20は、イベント会場30に併設された駐車場40に駐車している複数の電動車42に搭載されたバッテリからの電力のイベント会場への供給を管理するシステムとして構成されている。情報管理システム20は、イベント会場を管理するイベント管理用コンピュータ32と、複数の電動車42に搭載された車載用コンピュータ44と、情報管理装置50と、情報管理装置50に登録された複数のユーザの端末(ユーザ端末)60と、を備える。
【0012】
イベント管理用コンピュータ32は、汎用コンピュータにイベント会場の電力を管理するのに必要なアプリケーションソフトウエアがインストールされて構成されており、情報管理装置50に有線または無線による通信網によって接続されている。イベント管理用コンピュータ32は、イベント会場に必要な電力の情報管理装置50への要請や、イベント会場の各種機器で消費される電力の管理、複数の電動車42から供給される電力の管理などを行なう。
【0013】
車載用コンピュータ44は、汎用コンピュータに車両の電力を管理するのに必要なアプリケーションソフトウエアがインストールされて構成されており、情報管理装置50に有線または無線による通信網によって接続されている。車載用コンピュータ44は、情報管理装置50からの要請によりイベント会場への電力供給の際の車両側の機器の制御を行なう。
【0014】
情報管理装置50は、汎用のコンピュータに情報管理システム20を管理するのに必要なアプリケーションソフトウエアがインストールされて構成されており、イベント管理用コンピュータ32や、複数の車載用コンピュータ44、登録された複数のユーザ端末60と有線または無線による通信網により接続されている。情報管理装置50は、機能ブロックとして、イベント会場30への複数の電動車42からの電力供給を管理する電力供給管理部52と、イベント会場30の地域活性化の貢献度に対するインセンティブを設定するインセンティブ設定部54などを備える。
【0015】
ユーザ端末60は、携帯端末に各種イベント会場での電動車42からの電力供給を行なう会員としてのアプリケーションソフトウエアがインストールされて構成されており、情報管理装置50に有線または無線による通信網によって接続されている。
【0016】
次に、こうして構成された情報管理システム20の動作、特にイベント管理用コンピュータ32から電力供給の要請を受けた際の情報管理装置50の動作について説明する。
図2は、情報管理装置50の機能ブロックとしての電力供給管理部52により実行される電力供給管理処理の一例を示すフローチャートである。この処理は、通信網を介してイベント管理用コンピュータ32からイベント会場30への電力供給の要請があったときに実行される。
【0017】
電力供給管理処理が実行されると、情報管理装置50の電力供給管理部52は、まず、イベント管理用コンピュータ32からのイベント会場30への電力供給の要請を受け付ける(ステップS100)。電力供給の要請の受け付けは、要請の他、イベント管理用コンピュータ32との通信により、イベント会場30の場所や、イベント会場30におけるイベントの内容、イベント会場30で必要な総電力や、複数の電動車42から供給が要請される供給電力などを取得することにより行なわれる。
【0018】
続いて、駐車場40に駐車している電動車42からイベント会場30へ電力供給したときの電力料金(単位電力当たりの料金)を各電動車42に対して設定する(ステップS110)。電力料金Aは、次式(1)により計算される。式(1)中、「α」は、二酸化炭素排出係数であり、実施形態では自宅からイベント会場30までの移動により電動車42から排出した二酸化炭素量が多いほど小さくなる傾向のマップを用いて導出するものとした。「β」は、再生可能エネルギ係数であり、実施形態では電動車42のバッテリに蓄えられている電力の再生可能エネルギの割合が大きいほど大きくなる傾向のマップを用いて導出するものとした。「γ」は、電動車数係数であり、実施形態ではイベント会場30の近傍の電動車の数が多いほど小さくなる傾向のマップを用いて導出するものとした。「B」は、基本電力料金であり、予め定めるものとした。「Z」は、地方創生係数であり、実施形態では地方創生に貢献しているほど大きくなる傾向とし、次式(2)により計算するものとした。
【0019】
A=α×β×γ×B×Z (1)
Z=z1×z2×z3 (2)
【0020】
式(2)中、「z1」は、イベント規模係数であり、実施形態ではイベントの規模(集客数)が大きいほど大きくなる傾向のマップを用いて導出するものとした。「z2」は、電動車供給電力係数であり、実施形態では電動車42からイベント会場30に供給すべき総電力が大きいほど大きくなる傾向のマップを用いて導出するものとした。なお、電動車供給電力係数は、電動車42からイベント会場30に供給すべき総電力が所定値(例えば2000kWhなど)以上のときには、より大きな値とするものとしてもよい。「z3」は、地域活性化係数であり、地域活性化の貢献度が大きいほど大きくなる傾向とし、後述するインセンティブ係数kを用いるものとした。
【0021】
電動車42毎に電力料金Aを設定すると、駐車場40に駐車する電動車42の車載用コンピュータ44にイベント会場30への電力供給を要請すると共にその電動車42の電力供給に対する電力料金Aを通知して(ステップS120)、本処理を終了する。電力供給の要請を受けた電動車42の車載用コンピュータ44は、イベント会場30への電力供給を許可し、イベント会場30への電力供給を行なう。
【0022】
インセンティブ係数kは、情報管理装置50の機能ブロックとしてのインセンティブ設定部54により設定される。
図3は、情報管理装置50のインセンティブ設定部54により実行されるインセンティブ設定処理の一例を示すフローチャートである。
【0023】
インセンティブ設定処理が実行されると、情報管理装置50のインセンティブ設定部54は、まず、登録している各ユーザのユーザ端末60にイベント会場30で開催されるイベントの地域活性化に対する貢献度の評価を依頼する(ステップS200)。この依頼は、イベント管理用コンピュータ32から取得したイベント会場30におけるイベントの内容を各ユーザのユーザ端末60に送信し、例えば10段階評価によりイベントの地域活性化に対する貢献度の評価を促すことにより行なわれる。こうした地域活性化に対する貢献度の評価の依頼には、評価したユーザにポイントを付与するなどのインセンティブを与えるものとしてもよい。
【0024】
続いて、登録された各ユーザのイベント会場30で開催されるイベントの地域活性化に対する貢献度の評価を集計する(ステップS210)。この集計は、例えば各ユーザのユーザ端末60から送信された10段階評価の平均値を求めることにより行なうことができる。評価の集計の際には、不正が行なわれているか否かをチェックを行なうものとしてもよい。例えば、定期的にシステム管理者が電力の使用用途の評価が実態に合っている否かを確認することによりチェックすることができる。また、イベント会場30に電力供給する電動車42のユーザの評価を集計から外すものとしてもよい。
【0025】
そして、集計された地域活性化に対する貢献度の評価に基づいてインセンティブ係数kを設定し(ステップS220)、本処理を終了する。インセンティブ係数kは、集計された地域活性化に対する貢献度の評価が大きいほど大きな値として設定される。
【0026】
実施形態の情報管理装置50では、こうしたインセンティブ係数kを地域活性化係数z3として用いているから、インセンティブ係数kが大きいほど、即ち地域活性化係数z3が大きいほど地域創生係数Zが大きくなり、イベント会場30に電動車42から電力供給した際の電力料金Aが大きくなる。したがって、インセンティブは、電力料金Aとして反映されることになる。
【0027】
以上説明した実施形態の情報管理システム20における情報管理装置50では、登録している各ユーザのユーザ端末60にイベント会場30で開催されるイベントの地域活性化に対する貢献度の評価を依頼し、これに伴って各ユーザのユーザ端末60から送信される評価を集計する。そして、集計された地域活性化に対する貢献度の評価に基づいてインセンティブ係数kを設定し、インセンティブ係数kに応じた電力料金Aを設定する。これにより、イベント会場30に電力供給する電動車42のユーザにより適正な電力料金A(インセンティブ)を付与することができる。
【0028】
実施形態の情報管理装置50では、地域活性化に対する貢献度の評価に基づいてインセンティブ係数kを設定し、インセンティブ係数kに応じた電力料金Aを設定するものとした。しかし、地域活性化に対する貢献度の評価に基づいてポイントなどのインセンティブを設定し、イベント会場30に電力供給する電動車42のユーザにインセンティブを付与するものとしてもよい。
【0029】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、イベント管理用コンピュータ32が、「イベント開催側制御装置」に相当し、車載用コンピュータ44が「車両側制御装置」に相当し、情報管理装置50が「情報管理装置」に相当し、情報管理システム20が「情報管理システム」に相当する。
【0030】
なお、実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施形態が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施形態は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0031】
以上、本開示を実施形態を用いて説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本開示は、情報管理装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0033】
20 情報管理システム、30 イベント会場、32 イベント管理用コンピュータ、40 駐車場、42 電動車、44 車載用コンピュータ、50 情報管理装置、52 電力供給管理部、54 インセンティブ設定部、60 ユーザ端末。