(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173455
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】ノイズ対策装置、ノイズ対策電気機器およびノイズ対策方法
(51)【国際特許分類】
H04B 15/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
H04B15/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091890
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【弁理士】
【氏名又は名称】宮園 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100202728
【弁理士】
【氏名又は名称】三森 智裕
(72)【発明者】
【氏名】長島 隆一
【テーマコード(参考)】
5K052
【Fターム(参考)】
5K052AA01
5K052BB14
5K052DD02
5K052GG31
5K052GG57
(57)【要約】
【課題】電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を適切に伝達することが可能なノイズ対策装置を提供する。
【解決手段】このノイズ対策装置100は、ノイズ対策電気機器101に入力される入力信号B1~B6を伝達する複数の信号線3と、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号B0を出力するアンテナ部1およびノイズ状態信号B7を出力するアンテナ部2と、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を電気機器に伝達する処理を行う制御部20とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器に入力される入力信号を伝達する複数の信号線と、
前記電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力するアンテナ部と、
前記ノイズ状態信号に基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う制御部とを備える、ノイズ対策装置。
【請求項2】
前記アンテナ部は、前記電磁ノイズが存在しない場合に、高出力の前記ノイズ状態信号を出力する高出力側アンテナ部と、前記電磁ノイズが存在しない場合に、低出力の前記ノイズ状態信号を出力する低出力側アンテナ部とを含み、
前記制御部は、前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部から出力される前記ノイズ状態信号に基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う、請求項1に記載のノイズ対策装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部の両方が、高出力の前記ノイズ状態信号を出力した場合に、前記複数の入力信号のうち低出力の前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行い、
前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部の両方が、低出力の前記ノイズ状態信号を出力した場合に、前記複数の入力信号のうち高出力の前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う、請求項2に記載のノイズ対策装置。
【請求項4】
前記アンテナ部は、前記電磁ノイズが存在しない場合に高出力の前記ノイズ状態信号を出力する高出力側アンテナ部と、
前記電磁ノイズが存在しない場合に低出力の前記ノイズ状態信号を出力する低出力側アンテナ部とを含み、
前記制御部は、前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部から出力される前記ノイズ状態信号の各々を、第1のしきい値以上の場合には1を示し、第2のしきい値以下の場合には0を示す2進数信号からなるノイズ状態信号データに変換するとともに、
変換された前記2つのノイズ状態信号データに基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う、請求項1に記載のノイズ対策装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数の入力信号を前記第1のしきい値以上の場合に1を示し、前記第2のしきい値以下の場合に0を示す2進数信号からなる入力信号データに変換し、
前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部から出力された前記ノイズ状態信号の両方を、1を示す前記ノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、0を示す前記入力信号データに変換された前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行い、
前記高出力側アンテナ部および前記低出力側アンテナ部から出力された前記ノイズ状態信号の両方を、0を示す前記ノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、1を示す前記入力信号データに変換された前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う、請求項4に記載のノイズ対策装置。
【請求項6】
前記2つのノイズ状態信号データおよび前記複数の入力信号データの集合を、バイトデータとして取得して、取得した前記バイトデータに基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う、請求項5に記載のノイズ対策装置。
【請求項7】
ノイズ対策装置を備えたノイズ対策電気機器であって、
前記ノイズ対策装置は、前記ノイズ対策電気機器に入力される入力信号を伝達する複数の信号線と、
前記ノイズ対策電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力するアンテナ部と、
前記ノイズ状態信号に基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記ノイズ対策電気機器に伝達する処理を行う制御部とを備える、ノイズ対策電気機器。
【請求項8】
電気機器に影響する電磁ノイズを対策するノイズ対策方法であって、
前記電気機器に影響する前記電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力する信号伝達ステップと、
前記ノイズ状態信号に基づいて、前記複数の入力信号のうち前記電磁ノイズの影響を受けていない前記入力信号を前記電気機器に伝達する処理を行う伝達信号処理ステップとを備える、ノイズ対策方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ノイズ対策装置、ノイズ対策電気機器およびノイズ対策方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、信号処理に用いられる電気機器を電磁ノイズから保護するために、電気機器の目的の信号が電磁ノイズに影響されている場合に、電気機器の動作を停止させる電磁ノイズ保護回路が提供されている(たとえば、特許文献1参照)。上記特許文献1に記載のノイズ保護回路は、電磁ノイズを感知するための感知手段と、目的の信号が電磁ノイズに影響されたか否かを判別する判別手段と、電気機器の動作および停止を制御するフィルタ部とを備えている。
【0003】
上記特許文献1に記載のノイズ保護回路では、感知手段を介して判別手段に入力された信号がしきい値以上またはしきい値以下となった場合に、判別手段が、目的の信号が電磁ノイズの影響を受けていることを判別する。そして、上記特許文献1に記載のノイズ保護回路では、判別手段がフィルタ部に信号を送信して、フィルタ部が電気機器の動作を全て停止させることにより、電気機器を電磁ノイズから保護している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載のノイズ保護回路では、判別手段により目的の信号が電磁ノイズの影響を受けていると判別されている間は、電気機器の動作のうち一部のみが電磁ノイズに影響を受ける場合においても、電気機器の全ての動作が停止されてしまう。そのため、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、目的の信号(入力信号)を適切に伝達することが可能なノイズ対策装置が望まれている。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を適切に伝達することが可能なノイズ対策装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、この発明の第1の局面によるノイズ対策装置は、電気機器に入力される入力信号を伝達する複数の信号線と、電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力するアンテナ部と、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う制御部とを備える。
【0008】
この発明の第1の局面による欠相検出装置は、上記のように、電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う制御部を備えている。これにより、制御部が、ノイズ状態信号に基づいて、電気機器に入力される入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行うことができるため、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を適切に伝達することができる。
【0009】
上記第1の局面によるノイズ対策装置において、好ましくは、アンテナ部は、電磁ノイズが存在しない場合に、高出力のノイズ状態信号を出力する高出力側アンテナ部と、電磁ノイズが存在しない場合に、低出力のノイズ状態信号を出力する低出力側アンテナ部とを含み、制御部は、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力されるノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部が複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う際に、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力される2つのノイズ状態信号に基づいて処理を行うことができる。その結果、1つのアンテナ部がノイズの有無をノイズ状態信号として出力する場合に比べて、広範囲な値のノイズの有無をノイズ状態信号として出力することができるので、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を、より正確に電気機器に伝達する処理を行うことができる。
【0010】
この場合、好ましくは、制御部は、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部の両方が、高出力のノイズ状態信号を出力した場合に、複数の入力信号のうち低出力の入力信号を電気機器に伝達する処理を行い、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部の両方が、低出力のノイズ状態信号を出力した場合に、複数の入力信号のうち高出力の入力信号を電気機器に伝達する処理を行う。このように構成すれば、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部の両方から出力されたノイズ状態信号が、高出力か低出力かという単純なパターンに基づいて、制御部が、電気機器に伝達するべき入力信号を特定できるようになる。その結果、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を、電気機器に伝達する処理を、容易に行うことができる。
【0011】
上記第1の局面によるノイズ対策装置において、好ましくは、アンテナ部は、電磁ノイズが存在しない場合に高出力のノイズ状態信号を出力する高出力側アンテナ部と、電磁ノイズが存在しない場合に低出力のノイズ状態信号を出力する低出力側アンテナ部とを含み、制御部は、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力されるノイズ状態信号の各々を、第1のしきい値以上の場合には1を示し、第2のしきい値以下の場合には0を示す2進数信号からなるノイズ状態信号データに変換するとともに、変換された2つのノイズ状態信号データに基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部が、0と1とからなる単純な2進数データに基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行うことができる。その結果、制御部の処理負荷を抑制しながら、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に適切に伝達する処理を行うことができる。
【0012】
この場合、好ましくは、制御部は、複数の入力信号を第1のしきい値以上の場合に1を示し、第2のしきい値以下の場合に0を示す2進数信号からなる入力信号データに変換し、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力されたノイズ状態信号の両方を、1を示すノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、0を示す入力信号データに変換された入力信号を電気機器に伝達する処理を行い、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力されたノイズ状態信号の両方を、0を示すノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、1を示す入力信号データに変換された入力信号を電気機器に伝達する処理を行う。このように構成すれば、高出力側アンテナ部および低出力側アンテナ部から出力されたノイズ状態信号の両方を変換した単純な2進数のノイズ状態信号データの単純なパターンに基づいて、電気機器に伝達する入力信号を特定できる。その結果、複数の入力信号のうち、電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に適切に伝達する処理を、容易に行うことができる。
【0013】
上記制御部がノイズ状態信号データに基づいて入力信号を電気機器に伝達する処理を行うノイズ対策装置において、好ましくは、制御部は、2つのノイズ状態信号データおよび複数の入力信号データの集合を、バイトデータとして取得して、取得したバイトデータに基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部が2進数の入力信号データおよびノイズ状態信号データを、バイトデータとして一括して読み込むことで、入力信号データおよびノイズ状態信号データを1つずつ読み込むような遅延が生じる処理に比べて、遅延なく処理を行うことができる。その結果、同タイミングの情報を読み取る事が可能となり、正確に電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を選別することができる。
【0014】
この第2の局面によるノイズ対策電気機器は、ノイズ対策装置を備えたノイズ対策電気機器であって、ノイズ対策装置は、ノイズ対策電気機器に入力される入力信号を伝達する複数の信号線と、ノイズ対策電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力するアンテナ部と、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号をノイズ対策電気機器に伝達する処理を行う制御部とを備える。
【0015】
上記第2の局面によるノイズ対策電気機器は、上記のように、ノイズ対策装置が、ノイズ対策電気機器に入力される入力信号を伝達する複数の信号線と、ノイズ対策電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力するアンテナ部と、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号をノイズ対策電気機器に伝達する処理を行う制御部とを備える。これにより、制御部が、ノイズ状態信号に基づいて、電気機器に入力される入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行うことができる。その結果、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を適切に伝達することが可能な、ノイズ対策電気機器を提供することができる。
【0016】
この第3の局面によるノイズ対策方法は、電気機器に影響する電磁ノイズを対策するノイズ対策方法であって、電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力する信号伝達ステップと、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う伝達信号処理ステップとを備える。
【0017】
上記第3の局面によるノイズ対策方法は、上記のように、電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号を出力する信号伝達ステップと、ノイズ状態信号に基づいて、複数の入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行う伝達信号処理ステップとを備える。これにより、制御部が、ノイズ状態信号に基づいて、電気機器に入力される入力信号のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号を電気機器に伝達する処理を行うことができる。その結果、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を適切に伝達することが可能な、ノイズ対策方法を提供することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、電気機器に影響する電磁ノイズが発生した場合にも、電気機器の全ての動作を停止させることなく、入力信号を伝達することができるようなノイズ対策装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態によるノイズ対策電気機器の構成を示した図である。
【
図2】本発明の一実施形態によるノイズ対策装置の動作の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図3】本発明の一実施形態による電磁ノイズが存在しない状態における入力信号およびノイズ状態信号を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態による低出力側に電圧値を変化させる下振れ電磁ノイズが発生した状態における入力信号およびノイズ状態信号を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態による高出力側に電圧値を変化させる上振れ電磁ノイズが発生した状態における入力信号およびノイズ状態信号を示す図である。
【
図6】本発明の変形例によるノイズ対策電気機器の構成を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を具体化した一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0021】
図1を参照して、本実施形態によるノイズ対策電気機器101の構成を説明する。
【0022】
(ノイズ対策電気機器101の構成)
図1に示すように、ノイズ対策電気機器101は、ノイズ対策電気機器101を動作させるための入力信号B1~B6が生成される入力部10と、電磁ノイズの対策に用いられるノイズ対策装置100とを備えている。また、ノイズ対策装置100は、ノイズ対策電気機器101の動作を制御する制御部20と、制御部20に電磁ノイズの有無を示す信号を出力するための高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2と、入力部10からの入力信号B1~B6を制御部20に伝達するための複数の信号線3とを備える。また、制御部20は、入力信号B1~B6を確実に「1」と判定できる第1のしきい値V1と、入力信号B1~B6を確実に「0」と判定できる第2のしきい値V2を持つ。ノイズ対策装置100は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2が電磁ノイズの有無を示すために、高出力側アンテナ部1は、第1のしきい値V1よりわずかに高い電圧に設定し、低出力側アンテナ部2は、第2のしきい値V2よりわずかに低い電圧に設定した電子回路部30を備える。なお、ノイズ対策電気機器101は、特許請求の範囲の「電気機器」の一例である。
【0023】
ノイズ対策電気機器101は、制御部20が取得した入力信号B1、B2、B3、B4、B5およびB6に基づいて、制御部20により動作が制御される機器である。たとえば、ノイズ対策電気機器101は、メダルゲーム機などの遊戯機器、監視カメラを含む警備機器、自動販売機などであり、入力信号B1~B6に応じて商品を排出したり、画像の記録を行ったりするような機器である。
【0024】
入力部10は、外部からの手動操作、または、センサの反応による自動操作で入力信号B1~B6を生成する。たとえば、入力部10は、操作用のボタン、メダルの通過を示す光電センサ、監視カメラに備わる赤外線人感センサなどである。また、入力部10は、信号線3と接続されており、入力部10により生成された入力信号B1~B6は、信号線3を介してノイズ対策電気機器101の制御部20に伝達される。
【0025】
高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2は、制御部20に接続された高インピーダンスの電気配線であり、たとえばプリント基板上のプリント配線である。なお、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の各々は、入力部10には接続されていない。また、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の各々は、グランドと接続されており、複数の信号線3の外側を並走するように、または、重要な信号線3に並走するように設けられている。これにより、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2は、電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号B0およびB7を制御部20に出力するように構成されている。
【0026】
信号線3は電気配線であり、たとえばプリント基板上のプリント配線である。信号線3は、いくつでもよく、入力部10により生成される入力信号の数に応じて、複数設けられている。具体的には、信号線3の数は、入力部10により生成される入力信号B1~B6の数より多い数で、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の2本の配線と合わせた数が、8以上の2のべき乗となるような数である。なお、本実施形態では、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の2本の配線と合わせた数が8となるように、信号線3は6つ設けられている。
【0027】
制御部20は、信号線3に接続されており、信号線3を介して入力部10により入力される入力信号B1~B6に基づいて、ノイズ対策電気機器101の動作を制御する。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2と接続されており、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されたノイズ状態信号B0およびB7に基づいて、ノイズ対策電気機器101の動作を制御する。なお、制御部20は、マイクロコンピュータなどが用いられ、たとえばPCB基板に実装される。制御部20は、プロセッサとしてのCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)などを含む。
【0028】
ここで、制御部20は、高出力側アンテナ部1、低出力側アンテナ部2および複数の信号線3からの信号が伝達される端子を有する。なお、端子の割付は自由で、本実施形態では、
図1に示すように、低出力側アンテナ部2と接続される端子をA0端子とする。また、制御部20は、6つの信号線3の各々に接続されるA1、A2、A3、A4、A5およびA6端子を有する。高出力側アンテナ部1からの信号が伝達される端子は、A7端子とする。そして、制御部20は、入力信号B1~B6を「0」または「1」からなる2進数の入力信号データに変換する。また、制御部20は、ノイズ状態信号B0およびB7の各々を、「0」または「1」からなる2進数の入力信号データおよびノイズ状態信号データに変換する。
【0029】
また、制御部20は、変換した「0」または「1」からなる2進数に変換された入力信号データおよびノイズ状態信号データの集合を「0」~「F」の16進数からなるバイトデータとして一括取得する。そして、制御部20は、取得したバイトデータに基づいて、電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を、ノイズ対策電気機器101に伝達する。
【0030】
また、電子回路部30は、電圧源と、グランドとを高抵抗を介して、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の各々とに接続されるテブナン終端回路である。このテブナン終端回路は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2がノイズの有無を検知する感度に影響する。具体的には、電子回路部30は、分圧抵抗4の抵抗比率と抵抗値を調整することで、入力信号B1~B6の電磁ノイズによる影響をより大きく受けるようにする。
【0031】
(ノイズ対策電気機器101を用いたノイズ対策方法)
次に、
図2~
図5を参照して、本実施形態におけるノイズ対策電気機器101におけるノイズ対策方法の処理について説明する。
【0032】
まず、
図2のステップS1として示す信号伝達ステップについて説明する。本実施形態では、ステップS1の信号伝達ステップにおいて、ノイズ対策電気機器101の動作を開始すると、まず入力部10によって生成された入力信号B1~B6と、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されるノイズ状態信号B0およびB7とが、制御部20に伝達される。本実施形態では、入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7は電圧信号である。
【0033】
このとき、高出力側アンテナ部1は、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない場合には、ノイズ状態信号B7として高出力の電圧を出力する。また、低出力側アンテナ部2は、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない場合には、ノイズ状態信号B0として低出力の電圧を出力する。
【0034】
ここで、
図3に、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない場合における、入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7の一例を示す。なお、説明を簡略化するため、
図1の制御部20の入力端子であるA0端子およびA7端子の各々に伝達されるノイズ状態信号B0およびB7と、A1およびA2端子の各々に伝達される入力信号B1およびB2との時間に対する推移を記載し、A3~A6端子の各々に伝達される入力信号B3~B6の記載は省略している。
【0035】
ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない場合、
図3のように、A7端子に伝達されたノイズ状態信号B7は、第1のしきい値V1以上の値となっている。また、A0端子に伝達されたノイズ状態信号B0は、第2のしきい値V2以下の値となっている。また、A1およびA2端子の各々に伝達された入力信号B1およびB2は、入力部10に対する入力がない限り、
図3の時刻t1のより前の時間に示すように、第2のしきい値V2以下の値となる。たとえば、時刻t1の時に入力部10からA1端子に入力信号B1が伝達されたときは、A1端子において取得される入力信号B1は、第1のしきい値V1以上の値になる。その後、ステップS2の処理に進む。
【0036】
次に、
図2のステップS2として示す信号変換ステップについて説明する。本実施形態では、ステップS2の信号変換ステップにおいて、制御部20は、伝達されたノイズ状態信号B0、B7および入力信号B1~B6を2進数の信号に変換する。制御部20は、伝達されたノイズ状態信号B0およびB7が第1のしきい値V1以上の値の電圧値である場合に「1」を示し、第2のしきい値V2以下の値の電圧値である場合に「0」を示すノイズ状態信号データに変換する。また、制御部20は、伝達された入力信号B1~B6が第1のしきい値V1以上の値の電圧値である場合に「1」を示し、第2のしきい値V2以下の値の電圧値である場合に「0」を示す入力信号データに変換する。なお、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない正常状態において、ノイズ状態信号B0、B7および入力信号B1~B6は、第1のしきい値V1と第2のしきい値V2との間の電圧値にはならないように設定されている。その後、ステップS3の処理に進む。
【0037】
ステップS3として示すノイズ検出ステップについて説明する。本実施形態では、ステップS3のノイズ検出ステップにおいて、制御部20は、ノイズ状態信号データおよび入力信号データの集合をバイトデータとして一括して取得し、取得したバイトデータに基づいて電磁ノイズを検出する動作を行う。ここで、A0端子におけるノイズ状態信号B0を変換したノイズ状態信号データが「0」を示したことを「B0(0)」のように表記する。また、ノイズ状態信号B0を変換したノイズ状態信号データが「1」を示したことを、「B0(1)」のように表記する。以下に、制御部20が電磁ノイズを検出する動作について説明する。
【0038】
制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(0)かつB7(1)のノイズ状態信号データを取得した場合に、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない正常状態であると判定する。また、制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(1)かつB7(1)のノイズ状態信号データを取得した場合に、ノイズ対策電気機器101の入力信号B1~B6を高電圧側に変化させる上振れ電磁ノイズが存在する状態であると判定する。また、制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(0)かつB7(0)のノイズ状態信号データを取得した場合に、ノイズ対策電気機器101の入力信号B1~B6を低電圧側に変化させる下振れ電磁ノイズが存在する状態であると判定する。なお、制御部20は、予め任意に設定した時間毎にバイトデータを取得する。
【0039】
(ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズがない場合)
ここで、まず、
図3に示すような、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない状態における、入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7に基づいた制御部20の動作を説明する。たとえば、
図3において時刻t1より前の時点では、制御部20は、{B0(0)、B1(0)、B2(0)・・・B7(1)}というバイトデータを取得する。また、時刻t1より後の時点では、制御部20は、{B0(0)、B1(1)、B2(0)・・・B7(1)}というバイトデータを取得する。このとき、制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(0)かつB7(1)を継続して取得するため、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが存在しない正常状態であると判定する。そして、ステップS4の処理に進む。
【0040】
ステップS4として示す伝達信号処理ステップについて説明する。本実施形態では、ステップS4の伝達信号処理ステップにおいて、上記のような正常状態の場合は、制御部20は、入力信号B1~B6の各々をそのままノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。その後、動作を継続する場合はステップS1の処理から再度ステップS1~S4の処理を繰り返す。
【0041】
(ノイズ対策電気機器101に影響する下振れ電磁ノイズが発生した場合)
次に、
図4に示すように、時刻t2においてノイズ対策電気機器101に影響する下振れ電磁ノイズが発生した場合の入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7に基づいた制御部20の動作を説明する。ステップS3において、制御部20は、時刻t2において{B0(0)、B1(1)、B2(0)・・・B7(0)}というバイトデータを取得する。このとき、取得したバイトデータに、B0(0)かつB7(0)のノイズ状態信号データが含まれるため、制御部20は下振れ電磁ノイズが検出されたことを判定する。なお、入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7が、第1のしきい値V1より小さく、第2のしきい値V2の値より大きい値である不定領域の値となった場合は、入力信号データおよびノイズ状態信号データは、制御部20によって「0」または「1」のどちらかに振り分けられるが、入力信号データとノイズ状態信号B0およびB7とのしきい値は概ね同じである。本実施形態においては、入力信号B1~B6およびノイズ状態信号B0およびB7が不定領域の値になった場合でも、ノイズ状態信号B0およびB7の方が、電磁ノイズに対する感度が高いので、仮に入力信号B1~B6が反転する場合は、必ずノイズ状態信号B0およびB7も反転する。その後、ステップS4の処理に進む。
【0042】
ステップS4の伝達信号処理ステップにおいて、制御部20は、電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を、ノイズ対策電気機器101に伝達する。
図4の時刻t2で、制御部20は、ステップS3において取得したバイトデータのうち、「1」を示すB1(1)の入力信号データは、電磁ノイズの影響を受けていないと判定して、入力信号B1をノイズ対策電気機器101に伝達する。なお、このとき「0」を示すB2(0)の入力信号データは、もともとから「0」を示した入力信号データであるか、もともとは「1」を示していた入力信号データが下振れ電磁ノイズに影響されて「0」を示しているかが不明となる。そのため、時刻t2における入力信号B2は、ノイズ対策電気機器101に伝達されない。図示しない入力信号B3~B6についても、同様の処理が行われる。その後、動作を継続する場合は、再度ステップS1~S4の処理を繰り返す。
【0043】
ここで、動作を継続し、制御部20が、時刻t3においてバイトデータを取得した場合について説明する。この場合、ステップS3のノイズ検出ステップで取得した時刻t3のバイトデータは、{B0(0)、B1(1)、B2(0)・・・B7(1)}となり、B0(0)かつB7(1)のノイズ状態信号データを含むため、制御部20は、正常状態であることを検出する。したがって、制御部20は、前の処理における時刻t2において、ノイズ対策電気機器101に伝達をしなかった入力信号B2についても、時刻t3においては、ノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。
【0044】
(ノイズ対策電気機器101に影響する上振れおよび下振れ電磁ノイズが発生した場合)
図5に示すように、上振れ電磁ノイズが存在する場合であって、電磁ノイズの影響が非常に強力で、ノイズ状態信号B0、B7および入力信号B1~B6が所定の時間振動し続ける場合について説明する。なお、これまでに説明した記載と共通する項目は省略する。
【0045】
ステップS3のノイズ検出ステップにおいて、制御部20は、時刻t2において{B0(1)、B1(1)、B2(0)・・・B7(1)}というバイトデータを取得する。この時、ノイズ状態信号データとして取得したB0(1)、B7(1)に基づいて、制御部20は、上振れ電磁ノイズが発生していることを検出する。その後、制御部20は、ステップS4の伝達信号処理ステップにおいて、入力信号B2をノイズ対策電気機器101に伝達するような処理を行う。その後、再度ステップS1の信号伝達ステップからの処理に戻り、制御部20は、時刻t3において{B0(0)、B1(1)、B2(0)・・・B7(0)}というバイトデータを取得する。ステップS3において、制御部20は、取得したノイズ状態信号データであるB0(0)、B7(0)に基づいて、下振れ電磁ノイズが発生していることを検出する。その後、制御部20は、ステップS4において、B1(1)を示す入力信号データに変換された入力信号B1をノイズ対策電気機器101に伝達するような処理を行う。その後、再度ステップS1の信号伝達ステップからの処理に戻り、制御部20は、時刻t4において{B0(0)、B1(1)、B2(0)・・・B7(1)}というバイトデータを取得し、電磁ノイズが発生していない正常状態として、入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達するような処理を行う。
【0046】
以上のように、ノイズ対策電気機器101に影響する強力な電磁ノイズが存在し、ノイズ状態信号B0、B7および入力信号B1~B6が所定の時間振動し続ける場合においても、制御部20が、2回以上の複数回の処理により、全ての入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達することが可能となる。
【0047】
(本実施形態の効果)
次に、本実施形態の効果について説明する。
【0048】
本実施形態のノイズ対策装置100は、ノイズ対策電気機器101に入力される入力信号B1~B6を伝達する複数の信号線3と、電気機器に影響する電磁ノイズの有無を示すノイズ状態信号B0およびB7を出力する高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2と、ノイズ状態信号B0およびB7に基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を電気機器に伝達する処理を行う制御部20とを備えている。これにより、制御部20が、ノイズ状態信号B0およびB7に基づいて、ノイズ対策電気機器101に入力される入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行うことが可能となる。その結果、ノイズ対策電気機器101に影響する電磁ノイズが発生した場合にもノイズ対策電気機器101の全ての動作を停止させることなく、入力信号B1~B6を適切に伝達することができる。
【0049】
なお、本実施形態のノイズ対策装置100では、電磁ノイズが存在しない場合に、高出力のノイズ状態信号B7を出力する高出力側アンテナ部1と、電磁ノイズが存在しない場合に、低出力のノイズ状態信号B0を出力する低出力側アンテナ部2とを備える。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されるノイズ状態信号B0およびB7に基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部20が複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う際に、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力される2つのノイズ状態信号B0およびB7に基づいて処理を行うことができる。そのため、1つのアンテナ部がノイズの有無をノイズ状態信号B0およびB7として出力する場合に比べて、広範囲な値のノイズの有無をノイズ状態信号B0およびB7として出力することができる。その結果、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を、より正確にノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行うことができる。
【0050】
また、本実施形態では、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の両方が、高出力のノイズ状態信号B0およびB7を出力した場合に、複数の入力信号B1~B6のうち低出力の入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の両方が、低出力のノイズ状態信号B0およびB7を出力した場合に、複数の入力信号B1~B6のうち高出力の入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。このように構成すれば、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の両方から出力されたノイズ状態信号B0およびB7が、高出力か低出力かという単純なパターンに基づいて、ノイズ対策電気機器101に伝達するべき入力信号B1~B6を特定できるようになる。その結果、複数の入力信号B1~B6のうち、電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を適切にノイズ対策電気機器101に伝達する処理を、容易に行うことができる。
【0051】
また、本実施形態では、電磁ノイズが存在しない場合に高出力のノイズ状態信号B7を出力する高出力側アンテナ部1と、電磁ノイズが存在しない場合に低出力のノイズ状態信号B0を出力する低出力側アンテナ部2とを備える。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されるノイズ状態信号B0およびB7の各々を、第1のしきい値V1以上の場合には1を示し、第2のしきい値V2以下の場合には0を示す2進数信号からなるノイズ状態信号データに変換する。また、制御部20は、変換された2つのノイズ状態信号データに基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部20が、0と1とからなる単純な2進数データに基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行うことができる。その結果、制御部20の処理負荷を抑制しながら、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を適切に、ノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行うことができる。
【0052】
また、本実施形態では、制御部20は、複数の入力信号B1~B6を第1のしきい値V1以上の場合に1を示し、第2のしきい値V2以下の場合に0を示す2進数信号からなる入力信号データに変換する。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されたノイズ状態信号B0およびB7の両方を、1を示すノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、0を示す入力信号データに変換された入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。また、制御部20は、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されたノイズ状態信号B0およびB7の両方を、0を示すノイズ状態信号データに変換して取得した場合に、1を示す入力信号データに変換された入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。このように構成すれば、高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2から出力されたノイズ状態信号B0およびB7の両方を変換した単純な2進数のノイズ状態信号データの単純なパターンに基づいて、ノイズ対策電気機器101に伝達する入力信号B1~B6を特定できる。その結果、複数の入力信号B1~B6のうち、電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を適切にノイズ対策電気機器101に伝達する処理を、容易に行うことができる。
【0053】
また、本実施形態では、制御部20は、2つのノイズ状態信号データおよび複数の入力信号データの集合を、バイトデータとして取得して、取得したバイトデータに基づいて、複数の入力信号B1~B6のうち電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達する処理を行う。このように構成すれば、制御部20が2進数の入力信号データおよびノイズ状態信号データを、バイトデータとして一括して読み込むことで、入力信号データおよびノイズ状態信号データを1つずつ読み込むような遅延が生じる処理に比べて、遅延なく処理を行うことができる。その結果、同タイミングの情報を読み取る事が可能となり、正確に電磁ノイズの影響を受けていない入力信号B1~B6を選別することができる。
【0054】
[変形例]
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0055】
たとえば、上記実施形態では、ノイズ対策装置100のアンテナ部が高出力側アンテナ部1および低出力側アンテナ部2の2つで構成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、アンテナ部が1つのアンテナで構成され、高出力側アンテナ部1と低出力側アンテナ部2とを交互に切り替えても良い。
【0056】
また、上記実施形態では、制御部20が高出力側アンテナ部1、低出力側アンテナ部2および信号線3の合計の数と等しい数の端子を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部20は、高出力側アンテナ部1、低出力側アンテナ部2および信号線3の合計の数以上の数の端子を備えるように構成されればよい。
【0057】
また、上記実施形態では、電子回路部30は、制御部20が2つのノイズ状態信号B0、B7および複数の入力信号B1~B6の各々を、2つのノイズ状態信号データおよび複数の入力信号データに変換するために用いる第1のしきい値V1および第2のしきい値V2を別々の値に設定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電子回路部30によって、第1のしきい値V1および第2のしきい値V2を同じ値と設定してもよい。
【0058】
また、上記実施形態では、ノイズ対策装置100が、高出力側アンテナ部1と、低出力側アンテナ部2と、信号線3と、制御部20と、電子回路部30とを備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、ノイズ対策装置100が高出力側アンテナ部1と、低出力側アンテナ部2と、信号線3と、制御部20と、電子回路部30とに加えて、少なくとも検出された電磁ノイズを記憶する記憶部を備えてもよいし、ダンピング抵抗やビーズコイルなどのノイズ対策部品を備えていてもよい。
【0059】
また、上記実施形態では、電子回路部30が、分圧抵抗4と配線とからなる2つのテブナン回路である例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、
図6に示すように、電子回路部30が、分圧抵抗4と、分圧抵抗4に並列に接続され、信号線3の浮遊容量と同等の容量を持つコンデンサ5と、配線とからなる2つのテブナン回路としてもよい。このように構成すれば、上振れ電磁ノイズの強度が強い場合にも、信号線3の浮遊容量の影響によって、入力信号B1~B6の電圧が高電圧に維持されてしまうことを抑制することができる。
【0060】
また、上記実施形態では、制御部20が、制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(0)かつB7(1)のノイズ状態信号データを取得した場合に正常状態であると判定し、B0(1)かつB7(1)のノイズ状態信号データを取得した場合に上振れ電磁ノイズが存在する状態であると判定し、B0(0)かつB7(0)のノイズ状態信号データを取得した場合に下振れ電磁ノイズが存在する状態であると判定する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、さらに制御部20は、取得したバイトデータのうち、B0(1)かつB7(0)のノイズ状態信号データを取得した場合に、ノイズ対策装置100が故障を起こしていると判定するように構成されていてもよい。
【0061】
また、上記実施形態では、制御部20が、電磁ノイズの影響を受けている入力信号B1~B6を検出したタイミングにおいて、電磁ノイズの影響を受けている入力信号B1~B6をノイズ対策電気機器101に伝達しない処理を行う例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、制御部20が、電磁ノイズの影響を受けている入力信号B1~B6を検出した際および故障を検出した際に、電磁ノイズの影響を受けている入力信号B1~B6を、検出前後の所定の期間において、ノイズ対策電気機器101に伝達しないように制御してもよい。
【符号の説明】
【0062】
1 高出力側アンテナ部
2 低出力側アンテナ部
3 信号線
4 分圧抵抗
5 コンデンサ
10 入力部
20 制御部
30 電子回路部
100 ノイズ対策装置
101 ノイズ対策電気機器(電気機器)
V1 第1のしきい値
V2 第2のしきい値
A0~A7 入力端子
B0、B7 ノイズ状態信号
B1~B6 入力信号