(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173456
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法
(51)【国際特許分類】
B60W 50/12 20120101AFI20241205BHJP
B60K 28/10 20060101ALI20241205BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20241205BHJP
B60W 40/08 20120101ALI20241205BHJP
B60W 40/04 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B60W50/12
B60K28/10 Z
G08G1/16 C
B60W40/08
B60W40/04
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091891
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100123593
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 宣夫
(74)【代理人】
【識別番号】100133835
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 努
(74)【代理人】
【識別番号】100135976
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】石黒 聖也
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D037FA01
3D037FB01
3D241BA70
3D241BB06
3D241CC01
3D241CD07
3D241CD09
3D241CE05
3D241DC01Z
3D241DD02Z
5H181AA01
5H181CC04
5H181LL01
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】前方に移動物体が現れた場合、高齢のドライバの誤った速度操作から生じる車両の不適切な挙動を抑制できる車両制御装置を提供する。
【解決手段】車両制御装置は、車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、ドライバの年齢を推定する推定部と、車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と車両との距離を算出する算出部と、推定部によって推定されたドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、算出部によって算出された移動物体と車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定する判定部と、判定部によって、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限することを決定する決定部と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定する推定部と、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出する算出部と、
前記推定部によって推定された前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記算出部によって算出された前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定する決定部と、
を備える、ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、更に、前記車両の速度が所定の第2基準速度を上回るか否かを判定し、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回り、且つ、前記車両の速度が前記第2基準速度を上回ると判定された場合、前記決定部は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定し、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回り、且つ、前記車両の速度が前記第2基準速度を上回らないと判定された場合、前記決定部は、前記車両の速度を前記第1基準速度以下に制限することを決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記車両の現在の速度に応じて、前記第2基準速度を変更する、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記車両の現在の速度に応じて、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限する度合いを変更する、請求項1~3の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定し、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出し、
た前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、
前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限することを決定する、
ことを含む処理をプロセッサに実行させる、
ことを特徴とする車両制御用コンピュータプログラム。
【請求項6】
車両制御装置が、
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定し、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出し、
た前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、
前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限することを決定する、
ことを特徴とする車両制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車両を運転するドライバには、若い人から年配の人までを含む様々な年齢の方がいる。一般に、人は高齢になると、若い時よりも、視野、知覚能力、運動能力又は判断力等が低下してくる。
【0003】
従って、人は高齢になると、若い時よりも運転能力が低下してくる。車両の前方に、移動物体が現れた場合には、車両の的確な運転操作が求められることがある。このような場合に、ドライバの運転能力の衰えが車両の操作に影響を与えるおそれがある。
【0004】
例えば、特許文献1は、ドライバの年齢が高くなるほど、障害物の接近を警告するタイミングを早くする運転支援装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
高齢のドライバは不適切な運転操作を行う場合がある。例えば、高齢のドライバは、前方に歩行者等の移動物体が現れた場合、ブレーキ操作とアクセル操作とを間違えるおそれがある。
【0007】
特許文献1に記載の運転支援装置は、障害物の接近をドライバに警告するタイミングを早く行うが、ドライバが不適切な運転操作を行うことは防止できない。
【0008】
そこで、本開示は、前方に移動物体が現れた場合、高齢のドライバの誤った速度操作から生じる車両の不適切な挙動を抑制できる車両制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)一の実施形態によれば、車両制御装置が提供される。この車両制御装置は、車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、ドライバの年齢を推定する推定部と、車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と車両との距離を算出する算出部と、推定部によって推定されたドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、算出部によって算出された移動物体と車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定する判定部と、判定部によって、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限することを決定する決定部と、を備える、ことを特徴とする。
【0010】
(2)(1)の車両制御装置において、判定部は、車両の現在の速度に応じて、基準距離を変更することが好ましい。
【0011】
(3)(1)の車両制御装置において、判定部は、更に、車両の速度が所定の第2基準速度を上回るか否かを判定し、判定部によって、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、移動物体と車両との距離が基準距離を下回り、且つ、車両の速度が第2基準速度を上回ると判定された場合、決定部は、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限することを決定し、判定部によって、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、移動物体と車両との距離が基準距離を下回り、且つ、車両の速度が第2基準速度を上回らないと判定された場合、決定部は、車両の速度を第1基準速度以下に制限することを決定することが好ましい。
【0012】
(4)(2)の車両制御装置において、判定部は、車両の現在の速度に応じて、第2基準速度を変更することが好ましい。
【0013】
(5)(1)から(4)の何れかの車両制御装置において、決定部は、車両の現在の速度に応じて、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限する度合いを変更することが好ましい。
【0014】
(6)他の一の実施形態によれば、車両制御装用コンピュータプログラムが提供される。この車両制御装用コンピュータプログラムは、車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、ドライバの年齢を推定し、車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と車両との距離を算出し、ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、車両の速度を第1基準速度以下に制限することを決定する、ことを含む処理をプロセッサに実行させる、ことを特徴とする。
【0015】
(7)また他の実施形態によれば、車両制御方法が提供される。この車両制御方法では、車両制御装置が、車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、ドライバの年齢を推定し、車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と車両との距離を算出し、ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、車両の速度を第1基準速度以下に制限することを決定する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本開示に係る車両制御装置は、前方に移動物体が現れた場合、基準年齢を上回るドライバの速度操作から生じる車両の不適切な挙動を抑制できるので、車両の安全を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】第1実施形態の車両制御装置の動作の概要を説明する図であり、(A)は、車両が走行している道路を示す図であり、(B)は、車室内で車両を運転するドライバを示す図である。
【
図2】第1実施形態の車両制御装置を含む車両制御システム1が実装される車両の概略構成図である。
【
図3】第1実施形態の車両制御装置の年齢推定処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図4】第1実施形態の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図5】第2の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。
【
図6】第3の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1(A)及び
図1(B)は、第1実施形態の車両制御装置11の動作の概要を説明する図である。
図1(A)は、車両10が走行している道路50を示す図であり、
図1(B)は、車室30内で車両10を運転するドライバ40を示す図である。以下、
図1(A)及び
図1(B)を参照しながら、本明細書に開示する車両制御装置11の車両制御処理に関する動作の概要を説明する。
【0019】
車両10は、前方カメラ2、監視カメラ3及び車両制御装置11を有する。車両制御装置11は、ドライバ40の運転に関与する度合いの異なる2つの運転モードに応じて、車両10の動作を制御する。車両10は、自動運転車両であってもよい。
【0020】
例えば、車両制御装置11は、ドライバ40の運転に関与する度合いの低い自動運転モード(例えば、レベル3~5の運転モード)と、ドライバ40の運転に関与する度合いの高い手動運転モード(例えば、レベル0~2の運転モード)とを有する。
【0021】
ドライバ40は、車室30において運転モードに応じて車両10を操作する。自動運転モードでは、車両制御装置11が主体となって車両10を運転する。また、手動運転モードでは、ドライバ40が主体となって車両10を運転する。手動運転モードでは、ドライバ40は、ステアリングホイール31、アクセルペダル32及びブレーキペダル33を操作して車両10を運転する。
【0022】
図1(A)に示すように、車両10は道路50を走行している。道路50は2つの車線51、52を有する。車線51と車線52とは車線区画線(車線境界線)54により区画される。車両10は車線51を走行しており、車両10の前方には他の車両60が走行している。
【0023】
車両制御装置11は、監視カメラ3を介して、ドライバ40の顔が表された顔画像を取得する。車両制御装置11は、顔画像に基づいて、ドライバ40の年齢を推定する。
図1(B)に示す例では、車両制御装置11は、顔画像に基づいて、ドライバ40の年齢を70歳であると推定する。ドライバ40は、高齢者であると考えられる。
【0024】
車両制御装置11は、前方カメラ2を介して、車両10の前方の状況を表す前方画像を取得する。車両制御装置11は、前方画像に基づいて、車両10の前方を走行する車両60を検出する。車両60は、移動物体の一例である。車両制御装置11は、前方画像に基づいて、車両60と車両10との距離を推定する。
図1(A)に示す例では、車両制御装置11は、車両60と車両10との距離を30mであると推定する。
【0025】
車両制御装置11は、ドライバの年齢(70歳)が基準年齢(例えば、65歳)を上回り、且つ、車両60と車両10との距離(30m)が基準距離(例えば、50m)を下回ると判定する。
【0026】
そこで、車両制御装置11は、車両10の速度を第1基準速度(例えば、20km/h)以下に制限することを決定する。例えば、車両10の現在の速度が40km/hであった場合、車両10の速度を20km/hまで減速させることを決定する。
【0027】
図1(A)に示す例において、高齢者のドライバ40が、車両60に対する運転操作として、本来ブレーキペダル33を操作すべきであった所を、誤ってアクセルペダル32を操作したとする。
【0028】
しかし、車両制御装置11は、ドライバ40によってアクセルペダル32が操作されても、車両10の速度を20km/hを超えるような制御は許容しない。
【0029】
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置11は、前方に車両60が現れた場合、基準年齢を上回るドライバ40の速度操作から生じる車両10の不適切な挙動を抑制できるので、車両10の安全を向上できる。
【0030】
図2は、本実施形態の車両制御装置11を含む車両制御システム1が実装される車両10の概略構成図である。車両10は、前方カメラ2と、監視カメラ3と、車速センサ4と、ユーザインターフェース(UI)5と、車両制御装置11等とを有する。車両制御システム1は、少なくとも車両制御装置11を含む。また、車両10は、更に、車両10と車両10の前方の物体との距離を測定するための、LiDARセンサのような測距センサを有していてもよい。
【0031】
前方カメラ2と、監視カメラ3と、車速センサ4と、UI5と、車両制御装置11は、コントローラエリアネットワークといった規格に準拠した車内ネットワーク12を介して通信可能に接続される。
【0032】
前方カメラ2は、車両10に設けられる撮像部の一例である。前方カメラ2は、車両10の前方を向くように、車両10に取り付けられる。前方カメラ2は、例えば所定の周期で、車両10の前方の所定の領域の状況が表された前方画像を撮影する。前方画像には、車両10の前方の所定の領域内に含まれる道路と、その路面上の車線区画線等の道路特徴物が表わされ得る。前方カメラ2は、CCDあるいはC-MOS等、可視光に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮影対象となる領域の像を結像する撮像光学系を有する。
【0033】
前方カメラ2は、前方画像を撮影する度に、前方画像及び前方画像が撮影された前方画像撮影時刻を、車内ネットワーク12を介して、車両制御装置11へ出力する。前方画像は、車両制御装置11において、車両10の位置を推定する処理、及び、車両10の周囲の物体を検出する処理に使用される。
【0034】
監視カメラ3は、車両10を運転するドライバ40の顔を含む顔画像を撮影可能に、車室30内に配置される。監視カメラ3は、撮像部の一例である。監視カメラ3は、例えば所定の周期を有する顔画像撮影時刻に、運転席を含む状況を表す顔画像を撮影する。監視カメラ3は、CCDあるいはC-MOS等、赤外線に感度を有する光電変換素子のアレイで構成された2次元検出器と、その2次元検出器上に撮像対象となる領域の像を結像する撮像光学系を有する。顔画像は、車両制御装置11において、ドライバ40の年齢を推定する処理に用いられる。
【0035】
車速センサ4は、車両10の速度を表す速度情報を検出する。車速センサ4は、例えば、車両10のタイヤの回転数を計測する計測部を有する。車速センサ4は、速度情報を、車内ネットワーク12を介して車両制御装置11へ出力する。速度情報は、車両制御装置11において、車両10の速度を算出する処理に用いられる。
【0036】
UI5は、通知部の一例である。UI5は、車両制御装置11等に制御されて、車両10に関する動作情報等をドライバ40へ通知する。車両10に関する動作情報は、車両10の走行情報等を含む。UI5は、動作情報等を表示するために、液晶ディスプレイ又はタッチパネル等の表示装置5aを有する。また、UI5は、動作情報等をドライバ40へ通知するための音響出力装置(図示せず)を有していてもよい。また、UI5は、ドライバ40から車両10に対する操作に応じた操作信号を生成する。操作情報として、例えば、目的位置、経由地、車両の速度、及び、運転モードの移行要求等が挙げられる。UI5は、ドライバ40から車両10への操作情報を入力する入力装置として、例えば、タッチパネル又は操作ボタンを有する。UI5は、入力された操作情報を、車内ネットワーク12を介して、車両制御装置11等へ出力する。
【0037】
車両制御装置11は、検出処理と、制御処理と、推定処理と、算出処理と、判定処理と、決定処理とを実行する。そのために、車両制御装置11は、通信インターフェース(IF)21と、メモリ22と、プロセッサ23とを有する。通信IF21と、メモリ22と、プロセッサ23とは、信号線24を介して接続されている。通信IF21は、車両制御装置11を車内ネットワーク12に接続するためのインターフェース回路を有する。
【0038】
メモリ22は、記憶部の一例であり、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリを有する。そしてメモリ22は、プロセッサ23により実行される情報処理において使用されるアプリケーションのコンピュータプログラム及び各種のデータを記憶する。
【0039】
車両制御装置11が有する機能の全て又は一部は、例えば、プロセッサ23上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。プロセッサ23は、検出部231と、制御部232と、推定部233と、算出部234と、判定部235と、決定部236とを有する。あるいは、プロセッサ23が有する機能モジュールは、プロセッサ23に設けられる、専用の演算回路であってもよい。プロセッサ23は、1個又は複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ23は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路を更に有していてもよい。
【0040】
検出部231は、前方画像に基づいて、車両10の前方の物体及びその種類(例えば、車両)を検出する。物体には、車両10の前方を走行する車両等の移動物体が含まれる。検出部231は、前方画像を入力することで、この前方画像に表され物体を検出する識別器を有する。検出部231は、そのような識別器として、例えば、入力された前方画像から、その前方画像に表された物体を検出するように予め学習されたコンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)を用いることができる。
【0041】
また、検出部231は、物体として、車両又は人等の移動物体を検出した場合、地図情報に表された車線区画線と、移動物体の位置とに基づいて、移動物体が走行している走行車線を特定する。検出部231は、検出された物体の種類を示す情報と、その位置を示す情報及び走行車線と、物体が表された前方画像及び前方画像内の物体の位置を表す情報とを含む物体検出情報を、制御部232、算出部234及び判定部235等へ通知する。
【0042】
地図情報はメモリ22に記憶される。地図情報は、路面の3次元情報と、道路上の車線区画線等の道路特徴物、構造物の種類及び位置を表す情報と、道路の法定速度等を含む高精度地図情報を有する。
【0043】
制御部232は、車両10の走行を含む動作を制御する。制御部232は、ドライバ40の運転に関与する度合いの異なる2つの運転モードを有する。制御部232は、運転モードに応じて、車両10の動作を制御する。
【0044】
例えば、制御部232は、ドライバ40の運転に関与する度合いの低い自動運転モード(例えば、レベル3~5の運転モード)と、ドライバ40の運転に関与する度合いの高い手動運転モード(例えば、レベル0~2の運転モード)とを有する。自動運転モードでは、制御部232が主体となって車両10を運転する。また、手動運転モードでは、ドライバ40が主体となって車両10を運転する。
【0045】
また、ドライバ40の運転に関与する度合いの高い運転モードは、車両10の走行に必要な運転動作の一部又は全てを自動で実行され、ドライバ40の運転に関与する度合いの低い運転モードは、自動で実行される運転動作の種類が、ドライバ40の運転に関与する度合いの高い運転モードよりも少ないか又はゼロであってもよい。
【0046】
自動運転モードでは、制御部232は、地図情報と、車両10に搭載されたセンサ(図示せず)の検知情報等とに基づいて、操舵、駆動、制動等の動作を制御する運転計画を生成する。制御部232は、この運転計画に基づいた自動制御信号を、車内ネットワーク12を介して、操舵輪を制御するアクチュエータ(図示せず)、駆動装置(図示せず)又はブレーキ(図示せず)へ出力する。
【0047】
また、手動運転モードでは、制御部232は、ドライバ40の操作に基づいて、操舵、駆動、制動等の車両10の動作を制御する手動制御信号を生成して、この手動制御信号を、車内ネットワーク12を介して、操舵輪を駆動するアクチュエータ、駆動装置又はブレーキへ出力する。
【0048】
制御部232は、自動運転モードが許容される領域(例えば、車両10を制御するための高精度地図が用意された領域)では、自動運転モードで車両10を運転可能である。制御部232は、自動運転モードが許容されない領域では、手動運転モードで車両10を制御する。また、制御部232は、ドライバ40の要求に応じて、自動運転モードから手動運転モードへ、又は、手動運転モードから自動運転モードへ移行する。また、制御部232は、自動運転モードにおいて車両10の安全な運転を行えないと判定した場合、自動運転モードから手動運転モードへ移行する。
【0049】
車両制御装置11は、例えば、電子制御装置(Electronic Contorol Unit:ECU)である。
図2では、検出部231と、制御部232と、推定部233と、算出部234と、判定部235と、決定部236とは、一つの装置として説明されていたが、推定部233、算出部234、判定部235及び決定部236は、検出部231及び/又は制御部232とは、別々の装置であってもよい。
【0050】
図3は、本実施形態の車両制御装置11の年齢推定処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図3を参照しながら、車両制御装置11の年齢推定処理について、以下に説明する。車両制御装置11は、所定の周期を有する年齢推定時刻に、
図3に示される動作フローチャートに従って年齢推定処理を実行する。年齢推定処理を実行する周期は、顔画像が撮影される周期以上であることが好ましい。また、年齢推定処理は、所定の周期で行うではなく、イグニッションオン時又はドライバの交代時等の所定のイベント時に実行するようにしてもよい。年齢推定処理は、車両制御処理の一例である。
【0051】
まず、推定部233は、監視カメラ3から、顔画像を取得する(ステップS101)。
【0052】
次に、推定部233は、車両10のドライバ40の顔を表す顔画像に基づいて、ドライバ40の年齢を推定して(ステップS102)、一連の処理を終了する。推定部233は、顔画像を入力することで、この顔画像に表された人物の年齢を検出する識別器を有する。推定部233は、そのような識別器として、例えば、入力された顔画像から、その顔画像に表された人物の年齢を検出するように予め学習されたコンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)を用いることができる。推定部233は、推定したドライバ40の年齢を、判定部235へ通知する。
【0053】
図4は、本実施形態の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。次に、
図4を参照しながら、車両制御装置11の速度制限処理について、以下に説明する。車両制御装置11は、所定の周期を有する速度制限処理時刻に、
図4に示される動作フローチャートに従って速度制限処理を実行する。速度制限処理を実行する周期は、年齢推定処理の周期よりも長いことが好ましい。速度制限処理は、車両制御処理の一例である。
図4に示す速度制限処理は、車両10の運転が手動運転モードの時に実行される。
【0054】
まず、判定部235は、推定部233によって推定されたドライバ40の年齢が所定の基準年齢を上回るか否かを判定する(ステップS201)。基準年齢は、ドライバ40が高齢者であるか否かを判定できる年齢であることが好ましい。基準年齢として、例えば、65歳から70歳とすることができる。なお、基準年齢は、これらの年齢に限定されるものではない。
【0055】
ドライバ40の年齢が基準年齢を上回る場合(ステップS201-Yes)、判定部235は、車両10の前方に移動物体が検出されているか否かを判定する(ステップS202)。判定部235は、検出部231から通知された物体検出情報に基づいて、車両10の前方に移動物体が検出されているか否かを判定する。移動物体は、例えば、車両、人、自転車等を含む。判定部235は、物体検出情報に含まれる物体の種類が、これらの移動物体を表す場合、車両10の前方に移動物体が検出されていると判定する。一方、判定部235は、物体検出情報が通知されていないか、又は、物体検出情報に移動物体が含まれていない場合、車両10の前方に移動物体が検出されていないと判定する。
【0056】
車両10の前方に移動物体が検出されている場合(ステップS202-Yes)、算出部234は、車両10の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と車両10との距離を算出する(ステップS203)。算出部234は、物体検出情報に含まれる前方画像内の移動物体の位置を表す情報に基づいて、移動物体が走行している車線を区画する前方画像内の車線区画線を検出する。
【0057】
算出部234は、前方画像を入力することで、この前方画像に表され車線区画線を検出する識別器を有する。検出部231は、そのような識別器として、例えば、入力された前方画像から、その前方画像に表された車線区画線を検出するように予め学習されたコンボリューショナルニューラルネットワーク(CNN)を用いることができる。
【0058】
そして、算出部234は、前方画像内の移動物体の位置を挟む一対の車線区画線の領域を検出する。前方画像内の移動物体の位置は、前方画像において車両10の進行方向と一致する方向の位置を意味する。算出部234は、前方画像において車両10の進行方向と直行する方向において、一対の車線区画線間の幅を表す画素数を求める。一対の車線区画線間の幅を表す画素数は、移動物体が走行している車線の幅を表す。
【0059】
また、算出部234は、地図情報と、車両10の現在位置とに基づいて、車両10が現在走行している車線の幅を取得する。ここで、車両10の前方に位置する移動物体が走行している車線の幅は、車両10が現在走行している車線の幅と等しいと仮定する。
【0060】
算出部234は、移動物体が走行している位置の車線の幅と、移動物体が走行している車線の幅を表す画素数と、前方カメラ2の焦点距離と、前方カメラ2の車両10における取り付け位置及び取り付け角度とに基づいて、移動物体が走行している位置の車線と車両10との距離を算出する。前方カメラ2の焦点距離と、前方カメラ2の車両10における取り付け位置及び取り付け角度は、メモリ22に記憶される。移動物体が走行している位置の車線と車両10との距離は、移動物体と車両10との距離を表す。
【0061】
なお、移動物体と車両10との距離を算出できない場合、算出部234は、車両10の運転を、手動運転モードから自動運転モードへ移行する移行要求を、UI5を介して、ドライバ40へ通知してもよい。ドライバ40が移行要求を承認することにより、車両10は自動運転モードで運転される。これにより、ドライバ40の誤った操作が行われることを防止できる。
【0062】
なお、移動物体と車両10との距離を算出する方法は、上述したものに限定されない。例えば、車両10がLiDARセンサを有している場合、LiDARセンサを用いて、移動物体と車両10との距離を算出してもよい。
【0063】
次に、判定部235は、算出部234によって算出された移動物体と車両10との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定する(ステップS204)。この基準距離は、固定された値(例えば、50m)でもよい。また、この基準距離は、車両10の現在の速度に応じて、変更してもよい。例えば、車両10の速度が30km/h以下の場合、基準距離を30mとしてもよし。また、車両10の速度が30km/hを上回る場合、車両10が現在の速度(km/hで表された速度)で1時間走行した距離の1/500倍を、基準距離としてもよい。
【0064】
また、この基準距離は、ドライバ40の年齢に応じて変更してもよい。例えば、ドライバ40の年齢が高い程、基準距離を長くすることが好ましい。
【0065】
移動物体と車両10との距離が基準距離を下回る場合(ステップS204-Yes)、決定部236は、車両10の速度を第1基準速度以下に制限することを決定して(ステップS205)、一連の処理を終了する。第1基準速度は、固定値(例えば、30km/h)としてもよい。また、第1基準速度は、車両10の現在の速度に応じて、変更してもよい。例えば、車両10の速度が30km/h以下の場合、第1基準速度を10m/hとして、車両10の速度が30km/hを上回る場合、第1基準速度を車両10の速度(km/hで表された速度)の1/2倍としてもよい。
【0066】
決定部236は、車速センサ4から取得した速度情報に基づいて、車両10の現在の速度を算出できる。
【0067】
決定部236は、車両10の速度を第1基準速度以下に制限することを表す速度制限要求を、制御部232へ通知する。制御部232は、車両10が手動運転モードにあっても、車両10の速度が第1基準速度以下になるように車両10の速度を制御する。
【0068】
決定部236は、UI5を介して、車両10の速度が第1基準速度以下に制限されることを、ドライバ40へ通知してもよい。これにより、ドライバ40は、車両10の速度が第1基準速度以下に制限されていることを認識できる。
【0069】
一方、ドライバ40の年齢が基準年齢を上回らない場合(ステップS201-No)、車両10の前方に移動物体が検出されていない場合(ステップS202-No)、又は、移動物体と車両10との距離が所定の基準距離を下回らない場合(ステップS204-No)、一連の処理を終了する。
【0070】
なお、判定部235によって、車両10の前方に移動物体が検出されない状態で所定の基準時間が経過したと判定された場合、決定部236は、速度制限要求を解除してもよい。
【0071】
次に、車両制御装置11の車両制御処理について、
図1(A)を参照しながら、以下に説明する。
図1(A)に示す例では、判定部235は、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、車両60と車両10との距離が基準距離を下回ると判定する。
【0072】
そこで、決定部236は、車両10の速度を第1基準速度(例えば、20km/h)以下に制限することを決定する。例えば、車両10の現在の速度が40km/hであった場合、車両10の速度を20km/h以下に制限する。
【0073】
例えば、高齢者のドライバ40が、車両10を減速させて、車両10が車両60と近づかないようにしようと考えたとする。しかし、ドライバ40は、ブレーキペダル33を操作しようとした所、誤ってアクセルペダル32を操作した。
【0074】
しかし、制御部232は、ドライバ40によってアクセルペダル32が操作されても、車両10の速度を20km/hを超えるような制御は許容しない。これにより、ドライバ40がアクセルペダル32を操作しても、車両10の速度が増加しないので、車両10が車両60と接近することが防止できる。
【0075】
以上説明したように、本実施形態の車両制御装置は、前方に移動物体が現れた場合、基準年齢を上回るドライバの速度操作から生じる車両の不適切な挙動を抑制できるので、車両の安全を向上できる。
【0076】
次に、上述した実施形態の車両制御装置の第2及び第3実施形態を、
図5及び
図6を参照しながら、以下に説明する。第2及び第3実施形態において、第1実施形態と同様の処理については、第1実施形態の説明が適宜提供される。
【0077】
図5は、第2実施形態の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。
【0078】
本実施形態では、ステップS305の処理が、上述した第1実施形態のステップS205とは異なっている。本実施形態のステップS301からS304の処理は、上述したステップS201からS204と同様である。
【0079】
移動物体と車両10との距離が基準距離を下回る場合(ステップS304-Yes)、決定部236は、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを決定して(ステップS305)、一連の処理を終了する。決定部236は、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを表す加速制限要求を、制御部232へ通知する。
【0080】
制御部232は、この加速制限要求が通知されると、アクセルペダル32の操作量に基づいて決定される駆動装置における加速量を低減するように変更する。例えば、制御部232は、加速制限要求が通知されると、アクセルペダル32の操作量に基づいて決定される駆動装置における加速量を、それまでの1/3から1/2となるように変更する。これにより、アクセルペダル32の同じ操作量に対して、車両10の加速量は前よりも低減する。
【0081】
なお、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することは、これに限定されない。例えば、アクセルペダル32には、ドライバ40によるアクセルペダル32の操作に対して反力を生成する反力生成装置が配置されている。加速制限要求が通知された場合、制御部232は、アクセルペダル32の操作に対する反力を増加させるように反力生成装置を制御してもよい。これにより、ドライバ40が同じ力でアクセルペダル32を操作した場合、アクセルペダル32の操作量は前よりも低減する。
【0082】
なお、判定部235によって、車両10の前方に移動物体が検出されない状態が所定の基準時間が経過したと判定された場合、決定部236は、加速制限要求を解除してもよい。
【0083】
図1(A)に示す例では、判定部235は、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、車両60と車両10との距離が基準距離を下回ると判定する。
【0084】
そこで、決定部236は、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを決定する。
【0085】
決定部236は、UI5を介して、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを、ドライバ40へ通知してもよい。これにより、ドライバ40は、ドライバ40による加速操作の車両10の走行への反映を制限することを認識できる。
【0086】
例えば、高齢者のドライバ40が、車両10を減速させて、車両10が車両60と近づかないようにしようと考えたとする。しかし、ドライバ40は、ブレーキペダル33を操作しようとした所、誤ってアクセルペダル32を操作した。
【0087】
しかし、制御部232は、アクセルペダル32の操作量に基づいて決定される駆動装置における加速量を半減するように変更する。これにより、ドライバ40がアクセルペダル32を操作しても、車両10の加速量が制限されているので、車両10が車両60と接近することが防止できる。
【0088】
以上説明したように、本変型例の車両制御装置は、前方に移動物体が現れた場合、基準年齢を上回るドライバの加速操作から生じる車両の不適切な挙動を更に抑制できるので、車両の安全を一層向上できる。
【0089】
図6は、第3実施形態の車両制御装置の速度制限処理に関する動作フローチャートの一例である。第3実施形態において、第1実施形態又は第2実施形態と同様の処理については、第2実施形態の説明は適宜提供される。
【0090】
本実施形態では、ステップS405及びS406が追加されている点が、上述した実施形態とは異なっている。本変型例のステップS401からS404及びステップS407の処理は、上述したステップS201からS205の同様である。また、本変型例のステップS406の処理、上述したステップS305の同様である。
【0091】
移動物体と車両10との距離が基準距離を下回る場合(ステップS404-Yes)、判定部235は、車両10の速度が所定の第2基準速度を上回るか否かを判定する(ステップS405)。第2基準速度は、固定値(例えば、30km/h)としてもよい。また、第2基準速度は、車両10の現在の速度に応じて、変更してもよい。例えば、車両10の速度が10km/h未満の場合、第2基準速度を5km/h以下として、車両10の速度が車両10の速度が10km/hから30km/hの場合、第2基準速度を10km/h以下として、車両10の速度が30m/hから50km/hの場合、第2基準速度を20km/hから40km/hとしてもよい。
【0092】
車両10の速度が第2基準速度を上回る場合(ステップS405-Yes)。決定部236は、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを決定して(ステップ406)、一連の処理を終了する。決定部236は、ドライバ40による車両10を加速させるための加速操作の車両10の走行への反映を制限することを表す加速制限要求を、制御部232へ通知する。
【0093】
車両10の速度が第2基準速度を上回る場合、車両10は、比較的速い速度で走行していると考えられる。そこで、車両10が加速され難くすることにより、車両10が前方の移動物体と接近することが防止される。
【0094】
一方、車両10の速度が第2基準速度を上回らない場合(ステップS405-No)、決定部236は、車両10の速度を第1基準速度以下に制限することを決定して(ステップS407)、一連の処理を終了する。
【0095】
車両10の速度が所定の第2基準速度を上回らない場合、車両10は、速い速度では走行していないと考えられる。そこで、車両10の速度を制限して、車両10が前方の移動物体と接近することが防止される。
【0096】
以上説明したように、本変型例の車両制御装置は、前方に移動物体が現れた場合、車両の速度に応じて、基準年齢を上回るドライバの速度操作又は加速操作から生じる車両の不適切な挙動を抑制できるので、車両の安全を一層向上できる。
【0097】
本開示では、上述した実施形態の車両制御装置、車両制御用コンピュータプログラム及び車両制御方法は、本開示の趣旨を逸脱しない限り適宜変更が可能である。また、本開示の技術範囲はそれらの実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶものである。
【0098】
例えば、上述した実施形態では、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、決定部は、車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限することを決定していた。ここで、ドライバの年齢が基準年齢を上回り、且つ、移動物体と車両との距離が基準距離を下回ると判定された場合、決定部は、車両の速度を第1基準速度以下に制限し、且つ、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限することを決定してもよい。
【0099】
また、上述した第2実施形態及び第3実施形態において、決定部は、車両の現在の速度に応じて、ドライバによる車両を加速させるための加速操作の車両の走行への反映を制限する度合いを変更するようにしてもよい。例えば、決定部は、車両の速度が速い程、加速操作の車両の走行への反映を制限する度合いが大きくしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
1 車両制御システム
2 前方カメラ
3 監視カメラ
5 ユーザインターフェース
5a 表示装置
10 車両
11 車両制御装置
21 通信インターフェース
22 メモリ
23 プロセッサ
231 検出部
232 制御部
233 推定部
234 算出部
235 判定部
236 決定部
24 信号線
12 車内ネットワーク
【手続補正書】
【提出日】2024-07-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定する推定部と、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出する算出部と、
前記推定部によって推定された前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記算出部によって算出された前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定する決定部と、
を備える、ことを特徴とする車両制御装置。
【請求項2】
前記判定部は、更に、前記車両の速度が所定の第2基準速度を上回るか否かを判定し、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回り、且つ、前記車両の速度が前記第2基準速度を上回ると判定された場合、前記決定部は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定し、
前記判定部によって、前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回り、且つ、前記車両の速度が前記第2基準速度を上回らないと判定された場合、前記決定部は、前記車両の速度を前記第1基準速度以下に制限することを決定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記判定部は、前記車両の現在の速度に応じて、前記第2基準速度を変更する、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記決定部は、前記車両の現在の速度に応じて、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限する度合いを変更する、請求項1~3の何れか一項に記載の車両制御装置。
【請求項5】
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定し、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出し、
た前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、
前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定する、
ことを含む処理をプロセッサに実行させる、
ことを特徴とする車両制御用コンピュータプログラム。
【請求項6】
車両制御装置が、
車両のドライバの顔を表す顔画像に基づいて、前記ドライバの年齢を推定し、
前記車両の前方の状況を表す前方画像に基づいて検出された移動物体と前記車両との距離を算出し、
た前記ドライバの年齢が所定の基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が所定の基準距離を下回るか否かを判定し、
前記ドライバの年齢が前記基準年齢を上回り、且つ、前記移動物体と前記車両との距離が前記基準距離を下回ると判定された場合、前記車両の速度を第1基準速度以下に制限するか、又は、前記ドライバによる前記車両を加速させるための加速操作の前記車両の走行への反映を制限することを決定する、
ことを特徴とする車両制御方法。