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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173480
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/659 20150101AFI20241205BHJP
   B60J 5/06 20060101ALI20241205BHJP
   B60J 5/10 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
E05F15/659
B60J5/06 D
B60J5/10 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091923
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】植田 祐生
【テーマコード(参考)】
2E052
【Fターム(参考)】
2E052AA09
2E052CA06
2E052DA02
2E052DB02
2E052EA09
2E052EB01
2E052EC01
2E052GB06
(57)【要約】
【課題】車両の後方監視用のバックカメラを用いてバックドア近傍の障害物を検出することができる。
【解決手段】本開示にかかる車両用制御装置は、車両のバックドアに設けられたカメラからの前記車両の後方画像と、前記バックドアを開閉させるモータからの信号とが入力される入力部と、前記バックドアの動作時に、前記カメラの移動に伴って前記後方画像に映った対象物に生じる視差に基づいて、前記対象物の位置を演算する演算部と、を備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のバックドアに設けられたカメラからの前記車両の後方画像が入力される入力部と、
モータによる前記バックドアの動作時に、前記カメラの移動に伴って前記後方画像に映った対象物に生じる視差に基づいて、前記対象物の位置を演算する演算部と、を備える、
車両用制御装置。
【請求項2】
前記対象物の位置、並びに前記バックドアの動作範囲および動作速度に基づいて、前記対象物と前記バックドアとが所定時間内に干渉するか否かを判定する判定部を更に備える、
請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記入力部には、
前記モータの回転位置の情報を含む信号が入力され、
前記演算部は、
第1の時刻に撮影された第1の後方画像に映った前記対象物と、前記第1の時刻より後の第2の時刻に撮影された第2の後方画像に映った前記対象物と、の前記第1及び第2の後方画像における移動距離を演算し、
前記第1の時刻における前記モータの回転位置から求めた前記カメラの位置と、前記第2の時刻における前記モータの回転位置から求めた前記カメラの位置とに基づいて、前記第1及び第2の時刻間における前記カメラの移動量を演算し、
前記対象物の移動距離と前記カメラの移動量とに基づいて、前記第2の時刻における前記対象物と前記カメラとの距離を演算する、
請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項4】
前記入力部には、
前記モータの回転位置の情報を含む信号が入力され、
前記判定部は、
第1の時刻における前記モータの回転位置から求めた前記カメラの位置と、前記第1の時刻より後の第2の時刻における前記モータの回転位置から求めた前記カメラの位置とに基づいて、前記バックドアの動作速度を求める、
請求項2に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
モータの駆動によりバックドアを開閉させる機能を有する車両がある。バックドアの動作時に、周辺の障害物等とバックドアとの干渉を回避するため、超音波を発する障害物センサをバックドアに設け、障害物の手前でバックドアを停止させる技術がある(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-108556号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、バックドアに障害物センサを設ける必要があり、コストが増大してしまう。
【0005】
本開示は、車両の後方監視用のバックカメラを用いてバックドア近傍の障害物を検出することができる車両用制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかる車両用制御装置は、車両のバックドアに設けられたカメラからの前記車両の後方画像と、前記バックドアを開閉させるモータからの信号とが入力される入力部と、前記バックドアの動作時に、前記カメラの移動に伴って前記後方画像に映った対象物に生じる視差に基づいて、前記対象物の位置を演算する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかる車両用制御装置によれば、車両の後方監視用のバックカメラを用いてバックドア近傍の障害物を検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態にかかるカメラECU及びバックドアECUを備える車両の構成の一例を示すブロック図である。
図2図2は、実施形態にかかるカメラECU及びバックドアECUの機能構成の一例を示すブロック図である。
図3図3は、実施形態にかかるカメラECUの詳細機能の一例について説明する模式図である。
図4図4は、実施形態にかかるカメラECUによるバックドア動作時の処理の手順の一例を示すフロー図である。
図5図5は、実施形態にかかるカメラECUによる低速走行時の処理の手順の一例を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示にかかる車両用制御装置の実施形態について説明する。
【0010】
(カメラECU及びバックドアECUの構成例)
図1は、実施形態にかかるカメラECU(Electronic Control Unit)20及びバックドアECU30を備える車両10の構成の一例を示すブロック図である。
【0011】
図1に示すように、実施形態の車両10は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、バックカメラ11B、車輪速センサ12、シフトセンサ13、バックドアモータ14、車内モニタ15、スピーカ16、カメラECU20、及びバックドアECU30を備える。
【0012】
カメラECU20と、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、バックカメラ11B、及び車内モニタ15とは、例えばHDMI(High-Definition Multimedia Interface)(登録商標)ケーブル等のディスプレイケーブルで接続されている。これにより、例えばフロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bが撮影した画像等をデジタル信号に変換して伝送することができる。
【0013】
カメラECU20と車輪速センサ12、シフトセンサ13、及びバックドアECU30、並びにバックドアECU30とバックドアモータ14及びスピーカ16とは、例えばCAN(Controller Area Network)等の車載ネットワークで接続されている。これにより、カメラECU20、バックドアECU30、車輪速センサ12、シフトセンサ13、バックドアモータ14、及びスピーカ16は、種々の情報を送受信することができる。
【0014】
フロントカメラ11Fは、例えばフロントバンパ等の車両10の前部に設けられ、車両10の前方画像を撮影する。サイドカメラ11Rは、運転席から見て例えば右側のドアミラー等の車両10の右側部に設けられ、車両10の右側方画像を撮影する。サイドカメラ11Lは、運転席から見て例えば左側のドアミラー等の車両10の左側部に設けられ、車両10の左側方画像を撮影する。バックカメラ11Bは、例えばバックドア下端部に付随するリヤバンパ等の車両10の後部に設けられ、車両10の後方画像を撮影する。
【0015】
これらのフロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bが撮影した周辺画像は、例えば駐車または出車の際などに車両10の周辺監視に用いられる。このため、死角を極力減らすことを目的として、これらのフロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bには例えば広角レンズが用いられる。
【0016】
また、バックカメラ11Bが撮影した後方画像は、車両10が備えるバックドアを動作させる際に、バックドア近傍の障害物等の検出に用いられる。バックカメラ11Bの後方画像を用いた障害物等の検出手法の詳細については後述する。
【0017】
車輪速センサ12は、例えばホール素子などを用いて構成され、車両10が備える車輪の回転量または単位時間当たりの回転数等から、車輪速を表す車輪速パルスを検出結果として出力する。
【0018】
シフトセンサ13は、例えば変位センサ等を含んで構成され、車両10の変速操作を行うためのレバー、アーム、またはボタン等の位置を検出し、シフト位置を表す信号を検出結果として出力する。
【0019】
バックドアモータ14は、車両10が後部に備えるバックドアの開閉動作を行う。運転者等は、例えばインストルメントパネルまたは運転席側ドア等の運転席周辺に設けられたスイッチ等を操作することで、バックドアモータ14を駆動させてバックドアの開閉動作を行わせることができる。
【0020】
バックドアモータ14には、エンコーダ14eが設けられている。エンコーダ14eは、バックドアモータ14の回転方向、回転位置、及び回転数を制御する制御信号を発生させて、バックドアモータ14を駆動させる。
【0021】
車内モニタ15は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)等であり、例えばインストルメントパネル中央付近に設けられたセンターインフォメーションディスプレイ(CID:Center Information Display)等である。車内モニタ15は、例えばフロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bにより撮影された車両10の周辺画像を表示したり、これらの周辺画像を合成して得られる俯瞰画像を表示したりすることが可能に構成されている。車内モニタ15が、ナビゲーションシステムに供用されることにより、ナビゲーション画面を表示可能に構成されていてもよい。
【0022】
スピーカ16は、例えばインストルメントパネル等の運転席周辺に設けられ、警報、ブザー音、またはアナウンス等により運転者に各種情報を報知することが可能に構成されている。スピーカ16が、例えば車内モニタ15と一体的に設けられていてもよい。
【0023】
カメラECU20及びバックドアECU30は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)等を備えるコンピュータとして構成されている。
【0024】
カメラECU20は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11B等から取得した周辺画像から、そのときの車両10の状態および運転者等の指示にしたがって各種加工を施した画像を生成し、車内モニタ15に適宜出力する。
【0025】
また、カメラECU20は、車両10のバックドアが動作を開始すると、後に詳述するように、バックカメラ11Bが撮影した後方画像に基づいてバックドア近傍の障害物等を検出する。バックドア近傍の障害物等とバックドアとが干渉する恐れがある場合には、カメラECU20は、バックドアECU30によって動作途中のバックドアを停止させ、また、バックドアと干渉の恐れのある障害物等の存在を報知させる。
【0026】
このように、カメラECU20は、バックドアの動作時に障害物等を検出する車両用制御装置として構成されている。
【0027】
バックドアECU30は、運転者等の指示にしたがってバックドアモータ14を制御して、バックドアの開閉動作を行わせる。このとき、バックドアECU30は、エンコーダ14eからバックドアモータ14の回転位置等を制御する制御信号を取得して、カメラECU20に出力する。
【0028】
また、バックドアECU30は、カメラECU20からの指示にしたがって、バックドアモータ14を制御してバックドアの動作を停止させる。また、バックドアECU30は、カメラECU20からの指示にしたがって、バックドアと干渉の恐れのある障害物等の存在を報知する報知信号を、例えば車室内のスピーカ16等に出力する。これにより、スピーカ16が、警報、ブザー音、またはアナウンス等の警告音を車室内に報知する。
【0029】
なお、カメラECU20の上記機能の一部をバックドアECU30が有していてもよく、また、バックドアECU30の上記機能の一部をカメラECU20が有していてもよい。あるいは、カメラECU20及びバックドアECU30が、1つのコンピュータとして一体的に構成されていてもよい。
【0030】
また、カメラECU20が、表示ECU等を介して各種画像を車内モニタ15に出力するよう構成されていてもよい。表示ECUは、車内モニタ15を制御して、カメラECU20により加工された画像を含む各種情報を車内モニタ15に表示させる機能を有するコンピュータである。また、スピーカ16が、上述のように、例えば車内モニタ15と一体的に構成されている場合等には、表示ECUが車内モニタ15に加えて、スピーカ16を制御可能に構成されていてもよい。この場合、バックドアECU30が、表示ECU等を介して報知信号をスピーカ16に出力するよう構成されていてもよい。
【0031】
また、カメラECU20が、各種センサからの信号を駆動ECU及びブレーキECU等の他のECUを介して取得してもよい。駆動ECUは、エンジンまたはモータ等の駆動源を制御して、駆動源の出力を調整し、また、車両10の変速を行うコンピュータである。ブレーキECUは、例えば車輪速センサ12の車速パルスをカウントすることによって車両10の車速を求め、また、各車輪に設けられたブレーキによって駆動輪を含む車輪に制動をかけるコンピュータである。
【0032】
図2は、実施形態にかかるカメラECU2020及びバックドアECU30の機能構成の一例を示すブロック図である。
【0033】
図2に示すように、カメラECU20は、機能構成として、入力部21、生成部22、演算部23、判定部24、出力部25、及び記憶部26を備える。これらの機能部は、例えばカメラECU20が備える図示しないCPUが、ROM等に格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0034】
入力部21は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bから、上述のディスプレイケーブル等を介して、これらにより撮影された周辺画像を取得する。また、入力部21は、車輪速センサ12及びシフトセンサ13から、上述の車載ネットワーク等を介して、車輪速の検出結果、及びシフト位置の検出結果をそれぞれ取得する。
【0035】
また、入力部21は、バックドアECU30から、上述の車載ネットワーク等を介して、エンコーダ14eにより生成されたバックドアモータ14の制御信号を取得する。バックドアモータ14の制御信号には、バックドアモータ14の回転位置を示す情報が含まれている。
【0036】
生成部22は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bが撮影した画像に基づいて、車両10の周辺監視用の画像および俯瞰画像等を生成する。
【0037】
周辺監視用の画像は、上述のように、例えば駐車または出車の際などに、車両10の周囲に存在する障害物または歩行者等を含む、車両10の周辺の様子を運転者に示すための画像である。周辺監視用画像は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bのそれぞれが撮影した画像のいずれかに基づいて生成される。俯瞰画像は、自車アイコンを中心に置く車両10の周囲360°を示す合成画像であり、例えば駐車または出車の際の運転支援等に用いられる。
【0038】
したがって、生成部22は、車輪速センサ12の検出結果に基づく車両10の速度が所定速度未満である場合、または、シフトセンサ13の検出結果に基づく車両10のシフト位置がリバースとなっている場合等に、上記の各種画像の生成を行う。生成部22が画像生成処理を開始する車両10の上記所定速度は、例えば10km/h~15km/h未満のごく低速とすることができる。
【0039】
演算部23は、バックドアの動作時に、バックカメラ11Bの後方画像を画像認識技術等によって解析し、バックドアの近傍に存在する物体またはヒト等を、バックドアと干渉の恐れのある対象物として検出する。また、演算部23は、バックドアの動作によってバックカメラ11Bの位置が移動するのに伴って、後方画像に映った対象物に生じる視差に基づいて、対象物のバックカメラ11Bに対する相対位置を演算する。
【0040】
判定部24は、演算部23が演算した対象物とバックカメラ11Bとの相対位置、並びにバックドアの動作範囲および動作速度に基づいて、その時点から所定時間内に、対象物とバックドアとが干渉することとなるか否かを判定する。
【0041】
対象物とバックドアとが所定時間内に干渉すると判定したときは、判定部24は、警告信号を生成する。警告信号は、バックドアECU30にバックドアを停止させる停止信号と、判定結果に基づく情報を運転者に報知する報知信号とを含んでいてよい。判定結果に基づく情報として、報知信号には、バックドア近傍にバックドアと干渉しうる対象物が存在することを報知する警告音、及び動作中のバックドアを停止することを報知する警告音の少なくともいずれかが含まれていてよい。
【0042】
なお、報知信号が、警報、ブザー音、またはアナウンス等の上記の警告音に替えて、あるいは加えて、判定結果に基づく情報を運転者に報知する文字、マーク、その他の記号等の車内モニタ15等に表示可能な情報を含んでいてもよい。
【0043】
出力部25は、生成部22が生成した周辺監視用の画像および俯瞰画像等を、上述のディスプレイケーブル等を介して車内モニタ15に出力する。これにより、これらの各種画像等が適宜、車内モニタ15に表示されることとなる。
【0044】
また、出力部25は、判定部24が生成した警告信号のうち、バックドアを停止させる停止信号をバックドアECU30に出力し、判定結果に基づく情報を運転者に報知する報知信号をスピーカ16に出力する。これにより、バックドアECU30が動作途中のバックドアを停止させ、また、スピーカ16からは警告音等が発せられる。
【0045】
記憶部26は、カメラECU20の各種機能の実現に用いられる制御パラメータ及び制御プログラムを記憶する。また、記憶部26は、バックドアの動作時の軌跡および動作範囲等のバックドアの動作に関する各種情報を記憶している。上述の判定部24は、記憶部26を参照し、バックドアの動作に関するこれらの各種情報に基づいて、バックドアと対象物との干渉判定を行う。
【0046】
このほか、記憶部26が、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bから取得した周辺画像を記憶していてもよい。また、記憶部26が、生成部22により生成された周辺監視用の画像および俯瞰画像等を記憶していてもよい。また、記憶部26が、演算部23による演算結果および判定部24による判定結果等を記憶していてもよい。
【0047】
バックドアECU30は、機能構成として、入力部31、制御部32、出力部33、及び記憶部34を備える。これらの機能部は、例えばバックドアECU30が備える図示しないCPUが、ROM等に格納されている制御プログラムをRAMに展開して実行することで実現される。
【0048】
入力部31は、バックドアの開閉動作を開始または停止させるスイッチが操作されたことを示す操作信号を受信する。バックドアの開閉動作中には、入力部31は、エンコーダ14eにより生成されたバックドアモータ14を制御する制御信号を、上述の車載ネットワーク等を介して、エンコーダ14eから取得する。ただし、バックドアECU30とエンコーダ14eとの信号の授受は、機器同士を1対1で接続する、いわゆるジカ線を介して行われてもよい。また、入力部31は、カメラECU20により生成された警告信号を受信する。
【0049】
制御部32は、バックドアの操作スイッチが操作されたことが受信されると、エンコーダ14eからの制御信号に基づいてバックドアモータ14の状態を把握しつつ、バックドアモータ14を制御してバックドアの開閉動作を行わせる。また、制御部32は、カメラECU20から警告信号が受信されると、バックドアモータ14を制御して、動作途中のバックドアを停止させる。
【0050】
出力部33は、カメラECU20から警告信号が受信されると、例えば警告信号に含まれる報知信号をスピーカ16等に出力する。これにより、スピーカ16から警告音が発せられる。
【0051】
ただし、カメラECU20は専らバックドアの停止信号を生成してバックドアECU30に出力し、これを受信したバックドアECU30が、バックドアを停止させるとともに、報知信号を生成してスピーカ16等に出力してもよい。
【0052】
記憶部34は、バックドアECU30の各種機能の実現に用いられる制御パラメータ及び制御プログラムを記憶する。記憶部34が、エンコーダ14eからの各種信号、バックドアの操作履歴、及びカメラECU20からの警告信号等を記憶していてもよい。
【0053】
(カメラECUの機能例)
次に、図3を用いて、実施形態のカメラECU20の詳細の機能例について説明する。
【0054】
図3は、実施形態にかかるカメラECU20の詳細機能の一例について説明する模式図である。図3(a)~図3(c)は、車両10後部のバックドアが開放動作を行う様子を示す車両10後部の側面図である。図3(d)~図3(f)は、図3(a)~図3(c)に示すそれぞれのタイミングで、バックカメラ11Bにより撮影される後方画像IMa~IMcの一例を示している。
【0055】
図3(a)に示すように、車両10の後部に設けられたバックドアは、円弧状の軌跡CRを描いて開閉動作を行う。このとき、バックドアの開閉動作時にバックドアの支点となるバックドアモータ14の設置位置と、バックドアの軌跡CRとで囲まれた扇状の領域が、バックドアの動作範囲RGとなる。
【0056】
図3(a)に示す例では、閉じた状態のバックドア近傍に、バックドアとの干渉の恐れがあり、カメラECU20による検出対象となる2つの対象物OJx,OJyが存在していることとする。対象物OJxは、対象物OJyよりもバックドアに近接しており、かつ、対象物OJyから見て右斜め下方に位置している。
【0057】
図3(a)において、運転手等により車室内のスイッチ等が操作されると、バックドアの開放動作が開始される。このときの時刻を時刻Taとする。バックドアが閉じた状態では、位置Paにあったバックカメラ11Bもまた、バックドアの開放動作に伴って、バックドアの軌跡CRの内側位置を円弧状の軌跡を描いて移動していく。
【0058】
また、バックカメラ11Bは、バックドアの開放動作が開始されると撮影を開始し、バックドアの開放動作が終了するまで撮影を継続する。したがって、バックカメラ11Bの移動に伴って、これ以降、複数時刻における複数位置からの後方画像が撮影される。
【0059】
図3(d)は、バックカメラ11Bによって、時刻Taに撮影された後方画像IMaである。図3(d)に示すように、時刻Taにおいて位置Paから撮影された後方画像IMaには、対象物OJx,OJyよりも低い位置から見た対象物OJx,OJyが映っている。
【0060】
カメラECU20の演算部23は、例えば画像認識技術等を用いて、図3(d)に示す後方画像IMaから、バックドア近傍に位置する対象物OJx,OJyを検出する。このとき、例えば後方画像IMa中の輝度が大きく変化する箇所をエッジとして検出するエッジ検出処理等を行うことで、後方画像IMaから対象物OJx,OJyの特徴を抽出して、対象物OJx,OJyを検出することができる。このとき、後方画像IMaを白黒画像に変換する2値化処理を行ってもよい。
【0061】
図3(d)の例では、説明の便宜上、対象物OJx,OJyのそれぞれの特徴点FXa,FYaとして、画像認識により対象物OJx,OJyのそれぞれの中心点が抽出されたものとする。対象物OJx,OJyのこれらの特徴点FXa,FYaは、時刻Taに撮影された後方画像IMb中の対象物OJx,OJyの位置を示していると考えることができる。ただし、好ましくは上述のエッジ検出処理等により、対象物OJx,OJyのそれぞれの輪郭が抽出されるなどして、これらの輪郭上に位置する複数の点のそれぞれの位置が、後方画像IMb中の対象物OJx,OJyの位置として把握される。
【0062】
図3(b)は、バックドアの開放動作が開始された後の時刻Tbの状態を示している。時刻Tbでは、バックドアが所定の開度で開放されており、それに伴って、バックカメラ11Bも位置Paから位置Pbへと移動している。
【0063】
図3(e)は、バックカメラ11Bによって、時刻Tbに撮影された後方画像IMbである。図3(e)に示すように、時刻Tbにおいて位置Pbから撮影された後方画像IMbには、対象物OJxと略同じ高さ位置から見た対象物OJx,OJyが映っている。
【0064】
演算部23は、上述と同様、例えば画像認識技術等を用いて、図3(e)に示す後方画像IMbから対象物OJx,OJyを検出する。これにより、時刻Tbに撮影された後方画像IMbから、対象物OJx,OJyのそれぞれの特徴点FXb,FYbが抽出される。図3(e)に示す例では、対象物OJx,OJyのこれらの特徴点FXb,FYbは、時刻Tbに撮影された後方画像IMb中の対象物OJx,OJyの位置を示している。
【0065】
ここで、時刻Taの後方画像IMa内における対象物OJx,OJyの特徴点FXa,FYaのそれぞれの位置と、時刻Tbの後方画像IMb内における対象物OJx,OJyの特徴点FXb,FYbのそれぞれの位置とは異なっている。すなわち、時刻Taから時刻Tbの期間におけるバックカメラ11Bの移動によって、バックカメラ11Bにより撮影された後方画像IMa,IMb内の対象物OJx,OJyのそれぞれには視差が生じている。
【0066】
このとき、後方画像IMa内と後方画像IMb内とで、対象物OJxは、特徴点FXa,FXb間の距離DXabだけ移動して見える。また、後方画像IMa内と後方画像IMb内とで、対象物OJyは、特徴点FYa,FYb間の距離DYabだけ移動して見える。またこのとき、対象物OJxの移動距離である距離DXabは、対象物OJyの移動距離である距離DYabよりも長くなる。
【0067】
このように、バックドア及びバックドアに設けられたバックカメラ11Bに比較的近い対象物OJxは、バックドア及びバックカメラ11Bからより離れた対象物OJyよりも長い距離、移動して見える。つまり、後方画像IMa内と後方画像IMb内とで、対象物OJxに生じる視差は、対象物OJyに生じる視差よりも大きくなる。
【0068】
演算部23は、異なる時刻に撮影された後方画像内における対象物に生じる視差が、バックドア及びバックカメラ11Bに近いほど大きくなることを利用して、バックカメラ11Bと対象物との相対位置を演算する。すなわち、時刻Ta,Tbの後方画像IMa,IMbからは、時刻Tbにおけるバックカメラ11Bと、それぞれの対象物OJx,OJyとの相対位置を求めることができる。
【0069】
演算部23によりバックドア近傍に対象物OJx,OJy等が検出され、これらの対象物OJx,OJyの相対位置が演算されると、カメラECU20の判定部24は、これらの対象物OJx,OJyが、図3(a)に示したバックドアの動作範囲RG内にあるか否か、また、時刻Tbから所定時間内にバックドアと干渉することとなるか否かを判定する。
【0070】
このとき、判定部24は、記憶部26を参照して、バックドアの軌跡CR及び動作範囲RG等を読み出して上記判定に用いる。また、判定部24は、バックドアECU30から取得したエンコーダ14eからの制御信号を参照して、時刻Ta,Tb間におけるバックドアの開放速度を算出する。
【0071】
上述のように、エンコーダ14eからの制御信号には、それぞれの時刻Ta,Tbにおけるバックドアモータ14の回転位置を示す情報が含まれる。したがって、判定部24は、それぞれの時刻Ta,Tbにおけるバックドアの開度を算出し、さらに、バックドアに設けられたバックカメラ11Bの時刻Ta,Tbにおける位置Pa,Pbと、位置Pa,Pb間の距離、つまり、バックカメラ11Bの移動量と、を算出することができる。
【0072】
以上により、判定部24は、時刻Ta,Tbの期間におけるバックカメラ11Bの移動量と、時刻Taから時刻Tbまでの経過時間とに基づいて、バックドアの開放速度を算出する。このように求めたバックドアの開放速度と、記憶部26から取得したバックドアの動作範囲RGと、演算部23が演算した対象物OJx,OJyのバックドア等との相対位置とから、判定部24は、対象物OJx,OJyの少なくともいずれかとバックドアとが干渉するか否かを判定する。
【0073】
ここで、バックドアの開閉速度は、車両10全体における電力消費状況等に応じて、時々で異なり得る。上記のように、異なる時刻におけるバックドアモータ14の回転位置から、そのときの実際のバックドアの開放速度を求めることで、判定部24による上記判定をより精密に行うことが可能である。
【0074】
なお、バックドアの開放開始から開放終了までに要する時間は、例えば数秒程度であって、典型的には、例えば5秒~7秒程度である。
【0075】
対象物OJx,OJyの少なくともいずれかが、時刻Tbから所定時間内にバックドアと干渉すると判定した場合、判定部24は警告信号を生成し、出力部25はそれをバックドアECU30に出力する。
【0076】
図3(c)は、時刻Tbの更に後の時刻Tcの状態を示している。時刻Tcでは、バックドアの開度が図3(b)よりも更に増し、それに伴って、バックカメラ11Bも位置Pbから位置Pcへと移動している。
【0077】
図3(f)は、バックカメラ11Bによって、時刻Tcに撮影された後方画像IMcである。図3(f)に示すように、時刻Tcにおいて位置Pcから撮影された後方画像IMcには、対象物OJxより若干高く、対象物OJyより若干低い位置から見た対象物OJx,OJyが映っている。
【0078】
演算部23は、上述と同様、時刻Tcに撮影された後方画像IMcから、対象物OJx,OJyのそれぞれの特徴点FXc,FYcを抽出する。図3(f)に示す例では、対象物OJx,OJyのこれらの特徴点FXc,FYcは、時刻Tcに撮影された後方画像IMc中の対象物OJx,OJyの位置を示している。このときにも、時刻Tbから時刻Tcの期間におけるバックカメラ11Bの移動によって、バックカメラ11Bにより撮影された後方画像IMb,IMc内の対象物OJx,OJyのそれぞれに視差が生じている。
【0079】
すなわち、後方画像IMa~IMc内における対象物OJxの移動距離は、後方画像IMa,IMb内における特徴点FXa,FXb間の距離DXabと、後方画像IMb,IMc内における特徴点FXb,FXc間の距離DXbcとの合計の距離(DXab+DXbc)である。
【0080】
また、後方画像IMa~IMc内における対象物OJyの移動距離は、後方画像IMa,IMb内における特徴点FYa,FYb間の距離DYabと、後方画像IMb,IMc内における特徴点FYb,FYc間の距離DYbcとの合計の距離(DYab+DYbc)である。
【0081】
このとき、距離DXbcと距離(DXab+DXbc)とはいずれも、距離DYbcと距離(DYab+DYbc)よりも長い。つまり、後方画像IMb,IMc内において、また、後方画像IMa~IMc内全体を通して、対象物OJxに生じる視差は対象物OJyに生じる視差より大きい。
【0082】
演算部23は、上述と同様、時刻Tb,Tcの後方画像IMb,IMcから、時刻Tcにおけるバックカメラ11Bと、それぞれの対象物OJx,OJyとの相対位置を演算する。判定部24は、これらの対象物OJx,OJyが、図3(a)に示したバックドアの動作範囲RG内にあるか否か、また、時刻Tcから所定時間内にバックドアと干渉することとなるか否かを判定し、干渉すると判定した場合は警告信号を生成し、出力部25がそれをバックドアECU30に出力する。
【0083】
以上のように、カメラECU20は、バックドアの開放動作が終了するまで、あるいは、バックドアと干渉することとなる対象物が検出されるなどして、動作中のバックドアが停止されるまで、上記動作を繰り返す。
【0084】
このとき、時刻Ta,Tbの期間、及び時刻Tb,Tcの期間等の対象物の視差を利用して対象物の相対位置を演算する場合の期間の長さは、例えば1秒未満であって、好ましくは0.2秒以上0.5秒以下の期間とすることができる。これにより、後方画像に映り込んだ対象物に視差を生じさせて対象物の位置を割り出すことができ、また、刻々と変化する車両10の周囲の状況に対応することもできる。
【0085】
また、対象物とバックドアとの干渉の判定基準となる所定時間は、例えば1秒程度とすることができる。このように、時刻Tb,Tc等の所定時刻から1秒後までの対象物とバックドアとの干渉が予測できれば、対象物とバックドアとが実際に干渉する前に、充分に余裕をもってバックドアを停止させることが可能である。
【0086】
(カメラECUの処理例)
次に、図4及び図5を用いて、実施形態のカメラECU20による処理例について説明する。
【0087】
図4は、実施形態にかかるカメラECU20によるバックドア動作時の処理の手順の一例を示すフロー図である。
【0088】
図4に示すように、バックドアの操作スイッチが操作されるなどして、バックドアの開放動作が開始されると(ステップS101)、カメラECU20の入力部21は、バックカメラ11Bからの後方画像の取得を開始する。上述のように、入力部21は、バックドアが停止するまで後方画像の取得を継続する。
【0089】
より詳細には、入力部21は、所定の時刻Tnにバックカメラ11Bが撮影した後方画像を取得する(ステップS102)。また、入力部21は、時刻Tnのバックドアモータ14の回転位置をバックドアECU30から取得する(ステップS103)。カメラECU20の演算部23は、時刻Tnの後方画像から対象物の特徴点等を抽出する(ステップS104)。
【0090】
入力部21は、時刻T(n+1)にバックカメラ11Bが撮影した後方画像を取得する(ステップS105)。時刻T(n+1)は、時刻Tnから例えば0.2秒以上0.5秒以下等の所定期間経過後の時刻である。
【0091】
入力部21は、時刻T(n+1)のバックドアモータ14の回転位置をバックドアECU30から取得する(ステップS106)。演算部23は、時刻T(n+1)の後方画像から対象物の特徴点等を抽出する(ステップS107)。
【0092】
また、演算部23は、時刻Tn,T(n+1)におけるバックドアモータ14の回転位置から、バックドアに設けられたバックカメラ11Bの移動量を演算する(ステップS108)。カメラECU20の判定部24は、演算部23が演算した、時刻Tn,T(n+1)の期間のバックカメラ11Bの移動量から、そのときのバックドアの実際の開放速度を算出する(ステップS109)。
【0093】
演算部23は、時刻Tn,T(n+1)に撮影された後方画像内における対象物の視差を演算する(ステップS110)。すなわち、時刻Tnの後方画像における対象物の特徴点と、時刻T(n+1)の後方画像における対象物の特徴点とから、これらの移動距離を演算し、それを対象物の視差とする。
【0094】
また、演算部23は、時刻Tn,T(n+1)の期間について、ステップS108の処理で求めたバックカメラ11Bの移動量と、ステップS110の処理で求めた対象物の視差とから、時刻T(n+1)におけるバックカメラ11Bと対象物との相対位置を演算する(ステップS111)。
【0095】
判定部24は、記憶部26が記憶するバックドアの動作に関する各種情報を参照して、演算部23が演算した対象物の相対位置から、対象物がバックドアの動作範囲RG(図3(a)参照)内に位置しているか否かを判定する(ステップS112)。
【0096】
対象物がバックドアの動作範囲RG内に位置している場合(ステップS112:Yes)、判定部24は、ステップS109の処理で求めたバックドアの開放速度に基づいて、時刻T(n+1)から例えば1秒間の所定時間内に対象物とバックドアとが干渉することとなるか否かを判定する(ステップS113)。
【0097】
対象物が所定時間内にバックドアと干渉することとなる場合には(ステップS113:Yes)、判定部24は、バックドアを停止させる停止信号および運転者に状況を知らせる報知信号を含む警告信号を生成し、出力部25がバックドアECU30へと出力する(ステップS114)。
【0098】
対象物が所定時間内にバックドアと干渉しない場合には(ステップS113:No)、判定部24は、ステップS114の処理をスキップする。また、対象物がバックドアの動作範囲RGから外れた位置にある場合(ステップS112:No)、ステップS113,S114の処理のいずれもがスキップされる。
【0099】
バックドアの開放動作が継続中である場合には(ステップS115:Yes)、“n”から“n+1”へのインクリメントが行われ(ステップS116)、上述の時刻Tn,T(n+1)より後の時刻についてステップS102からの処理が繰り返される。
【0100】
バックドアの開放動作が終了し、あるいは、バックドアECU30に警告信号が出力されて、バックドアが停止した場合には(ステップS115:No)、繰り返しの処理は行われない。
【0101】
以上により、実施形態のカメラECU20によるバックドア動作時の処理が終了する。
【0102】
図5は、実施形態にかかるカメラECU20による低速走行時の処理の手順の一例を示すフロー図である。以下に説明するように、カメラECU20は、駐車または出車等を行うために車両10が低速で走行している場合に周辺監視用画像を生成する。
【0103】
図5に示すように、カメラECU20の入力部21は、イグニッションスイッチ等により車両10のエンジンが始動されると(ステップS201)、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bが撮影した周辺画像の取得を開始する(ステップS202)。
【0104】
生成部22は、入力部21に入力されたシフトセンサ13の検出結果から、車両10のシフト位置がリバースとなっているか否かを判定する(ステップS203)。車両10のシフト位置がリバースとなっていなかった場合(ステップS203:No)、生成部22は、入力部21に入力された車輪速センサ12の検出結果から、車両10の速度が所定速度未満であるか否かを判定する(ステップS204)。
【0105】
車両10の速度が所定速度未満でもなかった場合(ステップS204:No)、生成部22は、車両10のシフト位置がリバースとなるか、車両10の速度が所定速度未満となるまで待機する。
【0106】
車両10のシフト位置がリバースとなっていた場合(ステップS203:Yes)、生成部22は、バックカメラ11Bが撮影した後方画像から後方監視用画像を生成する(ステップS205)。
【0107】
車両10のシフト位置がリバースではないが(ステップS203:No)、車両10の速度が所定速度未満であった場合(ステップS204:Yes)、生成部22は、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bの少なくともいずれかが撮影した周辺画像から周辺監視画像を生成する(ステップS206)。
【0108】
このとき、生成部22は、そのときの車両10の状況に応じて、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bのいずれの画像を用いて周辺監視画像を生成するかを決定してよい。
【0109】
すなわち、例えば駐車または出車等の車両10の運転支援を行っている最中であれば、これから車両10が採り得る進路側の周辺監視画像を生成することができる。この場合、生成部22は、車両10が前進しようとしているときにはフロントカメラ11Fの前方画像から前方監視用画像を生成し、車両10が後退しようとしているときにはバックカメラ11Bの後方画像から後方監視用画像を生成することができる。
【0110】
あるいは、例えば駐車スペースに車両10を横付けした状況等であれば、生成部22は、駐車スペースの状態確認等のため、いずれかのサイドカメラ11R,11Lの側方画像から側方監視用画像を生成することができる。
【0111】
また、生成部22は、車両10の運転支援中である場合等には、フロントカメラ11F、サイドカメラ11R,11L、及びバックカメラ11Bからの周辺画像を合成して俯瞰画像を生成してもよい。
【0112】
出力部25は、生成部22が生成したステップS205の後方監視用画像、または、ステップS206の周辺監視用画像を車内モニタ15に出力する(ステップS207)。
【0113】
イグニッションがオンの状態が維持されている間は(ステップS208:No)、イグニッションがオフされるまで(ステップS208:Yes)、カメラECU20は、ステップS203からの処理を繰り返す。
【0114】
以上により、実施形態のカメラECU20による低速走行時の処理が終了する。
【0115】
(概括)
バックドアを自動で開閉させる機能を有する車両がある。このような車両は、通常、バックドアの動作範囲内の障害物等を検出する機能、及びバックドアを停止させるなどして障害物等との干渉を回避する機能を有していない。
【0116】
上述の特許文献1によれば、ソナーを用いた障害物センサをバックドアに設け、バックドアの動作範囲内にある障害物等を検出し、障害物とバックドアとの衝突を未然に防ぐことができる。しかしながら、特許文献1の技術では、バックドアに障害物センサを設ける必要があり、コストが増加してしまう。
【0117】
実施形態のカメラECU20によれば、バックドアの動作時に、バックドアに設けられたバックカメラ11Bの移動に伴って後方画像に映った対象物に生じる視差に基づいて、対象物の位置を演算する。
【0118】
車両10の後方監視に用いるバックカメラ11Bは、バックドアに設けられるのが一般的である。上記のように、後方監視用のバックカメラ11Bを用いることで、例えばソナー等の障害物センサを別途設けることなく、バックドア近傍の対象物の検出を行うことができる。これにより、車両10のコストを削減することができる。
【0119】
また、バックドアの動作に伴うバックカメラ11Bの移動を利用することで、ステレオカメラにより撮影したような複数の後方画像が得られ、対象物に視差を生じさせて対象物の位置を特定することができる。これにより、ステレオカメラを用いることなく、対象物の位置を知ることができ、いっそうのコスト削減を図ることができる。
【0120】
実施形態のカメラECU20によれば、対象物の位置、並びにバックドアの動作範囲GR及び動作速度に基づいて、対象物とバックドアとが所定時間内に干渉するか否かを判定する。これにより、対象物とバックドアとに干渉の恐れがある場合には、バックドアを停止させるなどして対象物とバックドアとの干渉を抑制することができる。
【0121】
実施形態のカメラECU20によれば、所定時刻におけるバックドアモータ14の回転位置から求めたバックカメラ11Bの位置と、上記の所定時刻より後の時刻におけるバックドアモータ14の回転位置から求めたバックカメラ11Bの位置とに基づいて、バックドアの動作速度を求める。
【0122】
上述のように、バックドアの動作速度は時々で変化しうるため、バックカメラ11の移動距離および移動時間に基づいて実際のバックドアの動作速度を算出し、それに基づき干渉判定を行うことで、判定精度を向上させることができる。
【符号の説明】
【0123】
10 車両
11B バックカメラ
11L,11R サイドカメラ
11F フロントカメラ
14 バックドアモータ
14e エンコーダ
15 車内モニタ
16 スピーカ
20 カメラECU
21 入力部
22 生成部
23 演算部
24 判定部
25 出力部
26 記憶部
30 バックドアECU
31 入力部
32 制御部
33 出力部
34 記憶部
図1
図2
図3
図4
図5