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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173485
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】食材切断装置及び切断方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/28 20060101AFI20241205BHJP
   B26D 1/553 20060101ALI20241205BHJP
   A47J 43/20 20060101ALI20241205BHJP
   B26D 3/24 20060101ALN20241205BHJP
【FI】
B26D3/28 620P
B26D3/28 620K
B26D1/553
A47J43/20
B26D3/24 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091929
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】516053291
【氏名又は名称】大宮高圧有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111707
【弁理士】
【氏名又は名称】相川 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】秋谷 和之
(72)【発明者】
【氏名】大池 国博
【テーマコード(参考)】
4B053
【Fターム(参考)】
4B053AA03
4B053CA30
(57)【要約】
【課題】構造が簡単でかつ連続的に切断可能な食材切断装置を提供する。
【解決手段】2つの回転円板及びスリット棚を含む回転部材と、 切断刃と、 を備える食材切断装置であって、 前記2つの回転円板及び前記スリット棚によって食材を収納可能なコンパートメントを形成し、 前記コンパートメントは、前記回転部材の外周面側に開口を備え、 前記回転部材を回転させることにより、 前記コンパートメントの前記開口が上を向いたときに、前記食材が投入され、収納され、 前記食材が収納されたコンパートメント内において前記切断刃で切断され、 切断後の食材が前記コンパートメントから重力で排出されることを特徴とする食材切断装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転円板及びスリット棚を含む回転部材と、
切断刃と、
を備える食材切断装置であって、
前記回転円板及び前記スリット棚によって食材を収納可能なコンパートメントを形成し、
前記コンパートメントは、前記回転部材の外周面側に開口を備え、
前記切断刃は、前記回転部材の回転により前記コンパートメントに対して相対的に移動し、
前記回転部材を回転させることにより、
前記コンパートメントの前記開口が上を向いたときに、前記食材が投入され、収納され、
前記食材が収納されたコンパートメント内において前記切断刃で切断され、
切断後の食材が前記コンパートメントから重力により排出されることを特徴とする食材切断装置。
【請求項2】
前記食材を前記回転部材の外周面側の前記開口まで導くシュートを更に備える請求項1に記載の食材切断装置。
【請求項3】
前記切断刃は、ワイヤを含み、
前記ワイヤは、切断方向に対して前後に互い違いに張設されることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項4】
前記回転円板は、中心開口部を備え、
前記回転部材は、前記中心開口部が固定軸まわりを摺動することにより回転することを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項5】
前記回転部材は、回転駆動手段に接続され、
前記回転駆動手段を作用することにより、前記回転部材が回転させられることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項6】
前記スリット棚は、複数のスリットを備え、
前記切断刃は、前記回転部材の回転により前記複数のスリットの少なくとも1つを通過することにより、前記食材を切断することを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項7】
前記スリット棚は、側面視で柄杓状の形状を呈し、その形状から構成される窪みに前記食材を収納するが、切断中に前記食材を前記窪みから出ないように先端部が長くかつ鋭角的に延びることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項8】
前記回転円板は、奥側回転円板及び手前側回転円板を含み、
前記スリット棚は、前記奥側回転円板及び前記手前側回転円板の間にほぼ垂直に設置され、
前記コンパートメントは、前記スリット棚の前記回転部材の外周側の面並びに前記奥側回転円板及び前記手前側回転円板の互いに対向する内側面によって構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項9】
前記スリット棚は、複数の細板部材及びハブ板部材から構成され、
前記切断刃は、前記回転部材が回転することを妨げないような、前記複数の細板部材及び前記ハブ板部材との位置関係を備えて設置されることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【請求項10】
切断された食材が排出される際に、落下するその食材を前記回転部材の回転に連動して所定の位置に移動して受ける容器を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の食材切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食材切断装置及び切断方法に関し、特に、比較的柔らかい食材の切断装置及び切断方法に関する。
【0002】
食品の調理において、食材の切断は重要な役割を果たす。ここで、食材は、種類を限定されるものではない。例えば、食材は、苺、オレンジ、みかんのような果物を含むことができる。また、芋類、マッシュルームのようなキノコ類、その他の野菜類を含むことができる。また、食材は、生のままでもよく、煮たり茹でたり焼いたりするような加熱したものであってもよい。より具体的には、比較的柔らかい食材の典型例としてゆで卵を挙げることができる。例えば、ゆで卵のスライスにおいては、ゆで卵を所定部分に置いて、その上から平行なスライス刃を下方に降ろし、所定の厚みにスライスする装置が提案されてきた(例えば、特許文献1又は2)。また、業務用に使用される場合、複数のゆで卵を並べて、その上から平行なスライス刃を下方に降ろす装置が知られている。しかしながら、ゆで卵1つ1つについて、ゆで卵を所定の決められた位置に置き、スライス刃を降ろし、スライスされたゆで卵片を取り出す、3つの工程を行わなければならない。そこで、ゆで卵がロータの卵形のホールド凹部にホールドされると、回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部によりロータが所定角度回転せしめられ、被スライス材は、スライス刃で複数にスライスされ、さらにそのロータの回転により、スライスされたものがホールド凹部から外部に切り落とされた状態で取り出されるとするスライサが提案された(例えば、特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2010-533603号公報
【特許文献2】特開2003-25159号公報
【特許文献3】特開2013-46952号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、構造が簡単な装置では、ゆで卵1つ1つについて、配置、スライス、取り出しの工程をそれぞれ行う必要がある一方、ゆで卵がロータの卵形のホールド凹部にホールドされ、回転角度を調整可能な状態で回動せしめる回転駆動部によりロータが所定角度回転せしめられ、スライス刃で複数にスライスされ、さらにそのロータの回転により、スライスされたものがホールド凹部から外部に切り落とされる装置では、構造が複雑になりすぎるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで、構造が簡単でかつ連続的に切断可能な食材切断装置を提供する。本発明の実施例において、食材切断装置は、2つの回転円板及びスリット棚を含む回転部材と、切断刃と、を備える。より具体的には以下のものを提供する。
【0006】
(1)回転円板及びスリット棚を含む回転部材と、 切断刃と、 を備える食材切断装置であって、 前記回転円板及び前記スリット棚によって食材を収納可能なコンパートメントを形成し、 前記コンパートメントは、前記回転部材の外周面側に開口を備え、 前記切断刃は、前記回転部材の回転により前記コンパートメントに対して相対的に移動し、 前記回転部材を回転させることにより、 前記コンパートメントの前記開口が上を向いたときに、前記食材が投入され、収納され、 前記食材が収納されたコンパートメント内において前記切断刃で切断され、 切断後の食材が前記コンパートメントから重力により排出されることを特徴とする食材切断装置。
(2)前記食材を前記回転部材の外周面側の前記開口まで導くシュートを更に備える上記(1)に記載の食材切断装置。
(3)前記切断刃は、ワイヤを含み、 前記ワイヤは、切断方向に対して前後に互い違いに張設されることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の食材切断装置。
(4)前記回転円板は、中心開口部を備え、 前記回転部材は、前記中心開口部が固定軸まわりを摺動することにより回転することを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の食材切断装置。
(5)前記回転部材は、回転駆動手段に接続され、 前記回転駆動手段を作用することにより、前記回転部材が回転させられることを特徴とする上記(1)から(4)のいずれかに記載の食材切断装置。
(6)前記スリット棚は、複数のスリットを備え、 前記切断刃は、前記回転部材の回転により前記複数のスリットの少なくとも1つを通過することにより、前記食材を切断することを特徴とする上記(1)から(5)のいずれかに記載の食材切断装置。
(7)前記スリット棚は、側面視で柄杓状の形状を呈し、その形状から構成される窪みに前記食材を収納するが、切断中に前記食材を前記窪みから出ないように先端部が長くかつ鋭角的に延びることを特徴とする上記(1)から(6)のいずれかに記載の食材切断装置。
(8)前記回転円板は、奥側回転円板及び手前側回転円板を含み、 前記スリット棚は、前記奥側回転円板及び前記手前側回転円板の間にほぼ垂直に設置され、 前記コンパートメントは、前記スリット棚の前記回転部材の外周側の面並びに前記奥側回転円板及び前記手前側回転円板の互いに対向する内側面によって構成されることを特徴とする上記(1)から(7)のいずれかに記載の食材切断装置。
(9)前記スリット棚は、複数の細板部材及びハブ板部材から構成され、 前記切断刃は、前記回転部材が回転することを妨げないような、前記複数の細板部材及び前記ハブ板部材との位置関係を備えて設置されることを特徴とする上記(1)から(8)のいずれかに記載の食材切断装置。
(10)切断された食材が排出される際に、落下するその食材を前記回転部材の回転に連動して所定の位置に移動して受ける容器を更に備えることを特徴とする上記(1)から(9)のいずれかに記載の食材切断装置。
【0007】
ここで、回転円板は、1又は2個以上の回転円板を含んでよい。スリット棚は、回転円板に取り付けられてもよい。食材は、如何なるものを含んでもよいが、特に、表面形状にいわゆる丸みのあるものが好ましい。球形、楕円球形、円柱状形状等の形状のものを含んでよい。コンパートメントは、窪みを含んでもよい。回転部材の概形は、所定距離離れた2つの平行な回転円板からなるものを含んでよい。所定距離は、スリット棚の幅に相当するものであってもよい。スリット棚は、回転円板に固定されてもよい。回転部材に備えられるコンパートメントは、その位置が最も高いところ若しくはコンパートメントの開放部(例えば、開口部)が落下する食材を受け取るのに十分な回転位置で、食材を受け取ってもよい。更に、回転部材が回転することにより、食材が切断刃と接触し、更には、切断刃が食材を通り抜け、スリット棚のスリットを通ってもよい。同時に、スリット棚は、重力に従って食材を支持する状態から、食材の重量の少なくとも一部は支持しない状態になる。更に、回転部材が回転することにより、切断された食材は、コンパートメントの開放部(例えば、開口部)が切断された食材を重力に従って放出するに十分な回転位置に移動してもよい。
【0008】
シュートは、食材を所望の向きに揃えるのに十分な幅を備える壁で形成されてもよい。また、食材が重力に従って移動可能なように傾斜する底面を備えてもよい。シュートのコンパートメント側の底面は、開口があってもよく。該開口は、コンパートメントの開放部(例えば、開口部)と連通することができる。切断刃は、通常の刃を含んでよく、また、1つ又は2つ以上のワイヤを含んでよい。切断(スライス)される切断片(スライス片)の数から1引いた数のワイヤであってもよい。断方向に対して前後に互い違いに張設されるとは、隣り合うワイヤが食材に対して切断時に前後して接触することを含んでよい。回転駆動手段は、ハンドルを含んでよい。また、電動を含む動力源により駆動されてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本願の発明の実施例において、上述のような構成としたため、構造が簡単でかつ連続的に切断可能な食材切断装置が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願の発明の実施例において、切断本体部を示す斜視図である。
図2】本願の発明の実施例において、切断本体部に関し、取付方法を図解する斜視図である。
図3】本願の発明の実施例において、食材切断装置を示す側面図である。
図4】切断対象の食材を支持するスリット棚を示す上面図である。
図5】切断対象の食材を支持するスリット棚及び切断刃を図解する側面図である。
図6】切断刃部材の上面図である。
図7】切断刃部材の正面図である。
図8】切断刃部材の底面図である。
図9】スリット棚を配置する開口部を備える回転円板を示す正面図である。
図10図3の食材切断装置において、回転円板を所定角度前進させた状態を示す側面図である。
図11図3の食材切断装置において、切断された食材を収納する容器を更に配置した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例を説明するが、本発明の範囲を限定するものではない。同様な部品については、同じ番号を付与し、詳細な説明は省略する。
【実施例0012】
図1は、本願の発明の実施例において、切断本体部を示す斜視図である。図2は、切断本体部に関し、取付方法を図解する斜視図である。図3は、該切断本体部を含む食材切断装置を示す側面図である。ここに開示する切断本体部10を含む食材切断装置12は、底面14からほぼ垂直に立つL字型の支持板部材16に支持される。例えば、図2に示すように、支持板部材16からほぼ直角に延びる円筒17に、手前側回転円板18及び奥側回転円板20に挟まれた6個のスリット棚22、24、26、28、30、32を含む回転部材を回転円板18の中心開口部19及び回転円板20の中心開口部19、に通すことにより取り付けることができる。このとき、支持板部材16の面との摺動を考慮し、ワッシャー15を備えることが好ましい。この回転部材は、上記円筒17まわりをこれら2つの中心開口部19が滑ることにより回転する。このとき、適切な潤滑を行うことができ、また、ボールベアリング等を使用することもできる。もちろん、支持板部材16に軸受け(例えば、ボールベアリング)を設けて、回転部材を回転可能に支持する回転軸を片持ち梁で受けてもよい。この回転部材は、手前側回転円板18及び奥側回転円板20に挟まれた6個のスリット棚22、24、26、28、30、32により規定できるコンパートメント34、36、38、40、42、44を回転方向に等間隔に備える。手前側回転円板18の手前側にはハンドル取付円板46及びハンドル取付軸48並びにハンドル50が取り付けられ、ハンドル50の先端にはつまみ52が備えられる。この食材切断装置12により切断、より詳しくは、複数個のスライス体としてスライスされる食材(例えば、ゆで卵)が用いられてもよい。
【0013】
図3において、スリット棚22及び手前側回転円板18及び奥側回転円板20により規定されるコンパートメント34には、図示で円形の食材54が入り込んでいる。このような食材56、58、60、62が切断本体部10に向かって所定の角度で下方に傾斜する溝形状のシュート64が、支持板部材16に支持され取り付けられる。溝形状のシュート64の下端には壁が立っているが、その底面には、切断本体部10のコンパートメント34、36、38、40、42、44がほぼ真上に来た時に連通する開口66が備えられる。食材54は、この開口66から重力によりコンパートメント34に落下・収納されたものである。この食材54に続く食材56は、シュート64の傾斜に従って下端側にやってくるが、既に収納された食材54によってブロックされるので、更に、コンパートメント34に落下することはない。
【0014】
図3において奥側に更なる食材収納箱68が支持板部材16の上に傾斜して備えられ、この傾斜の下端側に食材が通過可能な開口70が食材収納箱68に備えられると共に、これに連通する開口72がシュート64に備えられ、更に、開口70及び開口72を連絡する傾斜した通路74が備えられる。食材は、それぞれの傾斜に従って、食材収納箱68、通路74、シュート64へと重力により移動が可能である。特に、食材が丸みを帯びた形状、又は、球形若しくは楕円球形のような形状をしている場合、食材の移動はスムーズになる。例えば、球形であればそれぞれの傾斜面を転がることにより、また、楕円球であれば、短径方向を転がり面として転がりながら移動可能である。更に、ゆで卵のように表面が平滑な場合は、滑りによる移動も含まれてもよい。例えば、食材収納箱68に食材54が置かれると傾斜面に沿って転がり、開口70まで到達することができる。このとき、楕円球の食材54は、図3において長径方向が紙面に垂直方向となっている。短径方向を転がり面とするので移動中に方向付けが行われ得る。そして、開口70では、その向きのまま、通路74を滑り降りることができる。この通路74の傾斜をより急なものとするとこの傾向が高くなる。また、開口70の横幅を、短径方向の食材54の幅は通過するが、長径方向の食材54の幅は通過が容易でないように調整すると、この傾向が高くなると考えられる。そして、シュート64では、その幅を長径方向の食材54の幅が容易に通過できるように調整すれば、シュート64の傾斜面を転がりながら開口66に向かえば、その向きは一定となり易い。そのため、コンパートメント34に落下・収納される食材(楕円球形状)は、短径方向を図3の紙面と平行に(長径方向が垂直に)コンパートメント34に落下・収納される。
【0015】
図4は、切断対象の食材を支持するスリット棚を示す上面図である。図5は、切断対象の食材を支持するスリット棚及び切断刃を図解する側面図である。図5は、便宜的に、切断刃をスリット棚の上に配置したように描いているが、実際の切断装置内では、図3のスリット棚24のように切断刃の横にあるような位置関係を備えている。即ち、切断装置が実際に使用されるように例えば台の上に置かれるのであれば、図5の状態から90度以上時計回りに図5を回した状態であるとも言える。この実施例においては、いずれのスリット棚22、24、26、28、30、及び32も同形であるが、何れも或いは一部が異なる形であってもよい。スリット棚22、24、26、28、30、又は32は、何れも側面視柄杓状に曲げられた薄板からなる細板部材A、B、C、D、E、F、G、H、I、又はJを図中上から順に備える(例えば、スリット棚22の一番上の細板部材は、22Aと呼ぶことができる。以下同様。)。これらの細板部材A、B、C、D、E、F、G、H、I、及びJは、いずれも上面視で、ほぼ真っすぐ(直線的)である。逆に言えば、上面視において、スリット棚22、24、26、28、30、又は32は、9本の直線的なスリットを備えることになる。このスリットの幅は、食材を切断する切断刃(例えば、ワイヤ)76が、通過できる幅を備えている。ここで、通過とは、仮に接触があったとしても、食材の切断に支障がないことを意味する。図4中、細板部材A、B、C、D、E、F、G、H、I、及びJの右端は、ハブ板部材78に接続されるが、それは上面視で櫛で例えれば、櫛の持つところ(柄)に相当する。図中、ハブ板部材78の上下2つの突起80は、それぞれ、回転円板18、20に装着する際に使用される。このスリット棚22、24、26、28、30、及び32の幅(図3においては上下の高さに相当)は、食材が収納可能な大きさに調整される。例えば、楕円球の食材(例えば、ゆで卵)であれば、長径方向の長さを収納可能な幅に調整される。
【0016】
図4から図3に戻ると、切断刃部材82は、直接、支持板部材16に取り付けられ、そのフレームは、内側を回転円板18、20及びスリット棚22、24、26、28、30、32から構成される回転部材を通過させるように十分な幅で開口する。切断刃部材82内には、9個の切断刃(例えば、ワイヤ)76が備えられる。切断刃部材82は、回転円板18、20及びスリット棚22、24、26、28、30、32から構成される回転部材が回転しても、9個の切断刃(例えば、ワイヤ)76が回転軸を中心とする所定の径の円の中に入らない程度に、備えられる。回転により、各コンパートメントに入った食材が完全に切断できるように切断刃76が、スリット棚22、24、26、28、30、32の各スリットを通過又は食材切断可能な態様で相対運動する。また、ハブ板部材78にはスリットが設けられていない。従って、切断刃76との相対的な位置関係により、接触することがあったとしても食材の切断を妨げないように設定される所定の径の円よりも外側に切断刃76があるように調整されてもよい。切断刃76及びハブ板部材78が互いに干渉しなくてもよい。
【0017】
図5は、食材、スリット棚、及び切断刃の関係を概略側面視で示す(切断刃部材82のフレームは図示しない)。スリット棚22、24、26、28、30、32は、細板部材A、B、C、D、E、F、G、H、I、J及びハブ板部材78からそれぞれ構成されるが、この細板部材は、側面視で柄杓状の形状をしており、先端立ち上がり部98、底面形成部100、傾斜上がり部102、及び傾斜延長部104を含む。特に、先端立ち上がり部98、底面形成部100、及び傾斜上がり部102によりいわゆる窪みが形成され、この窪みの中に食材54が収納される。上述のように、楕円球の食材の場合は、その長径方向は紙面の直角方向に向いている。回転部材が矢印84に沿って回転すると、切断刃(例えばワイヤ)76は、スリット棚の各スリットを通過するように移動し、食材54を切断(例えばスライス)する。このとき、切断刃76及びスリット棚22に食材54が挟まれるので、食材54に圧縮圧力がかかる。特に、ゆで卵のような弾力性のある食材では、変形し、切断刃76及びスリット棚22で囲まれた環境から飛び出すおそれがある。そのため、このような柔らかい食材が逃げないように、先端立ち上がり部98がより長く(仮想線106よりも上に)、より鋭角的に立ち上がるように形成される。また、細板部材A、B、C、D、E、F、G、H、I、Jは、短冊状の形状をしており、厚みが幅に比べて小さい。また、ハブ板部材78から片持ち梁のように延びると共に、回転円板18、20にはこのハブ板部材78が固定され、各細板部材の先端は自由端となっている。そのため、食材54を支持するスリット棚の細板部材は撓むことにより、柔軟にかつ確実に食材を保持可能である。
【0018】
図6から図8は、切断刃部材82の上面図、正面図、及び底面図を示す。切断刃部材82は、フレーム118に切断刃であるワイヤ120を張設して構成される。フレーム118の上面では、取付・調節ねじ122がワイヤ120を取り付け、突起部124を介して、上面前進孔126へとワイヤ120がフレーム118内に導入される。このワイヤ120は、底面側の底面後進孔144へと引っ張られ、底面において底面前進孔146へと導かれ、フレーム118内に再び導入される。そして、このワイヤ120は、上面側の上面後進孔128へと引っ張られる。同様にして、ワイヤ120は、前進孔及び後進孔間で交互に段差を設けるように張設される。最終的には、底面後進孔160にまで引っ張られ、突起部162を介して取付・調節ねじ164で固定される。ここで、前進及び後進は、それぞれ、切断刃76の切断方向において所定距離離れた前側及び後側を意味してよい。即ち、ワイヤ120は、切断方向において同じ位置に一様に並ぶのではなく、交互に段差を設けて設置される。このようにすると、切断される食材内部に発生する応力が低減し、切れ味が良くなると考えられるからである。また、スライスされた食材は、スライス面がきれいになりがちである。
【0019】
図9は、スリット棚を配置する開口部を備える回転円板を示す正面図である。図3等において回転部材が回転する方向を矢印84で示す。図5においては、スリット棚22が側面視で柄杓形の窪みに食材54を下から受けるように示しているが、図1から図3で、スリット棚22及び食材54は回転部材の最も高いところに位置している。そして矢印84にあるように回転すると、切断刃(例えば、ワイヤ)76はスリット間を通過する。一方、ハブ板部材78とは、回転部材の回転を妨げないような位置関係を備える。互いに干渉しない関係であってもよい。これは、図9に示すように、スリット棚22、24、26、28、30、32の、ハブ板部材78に設けられる2つの突起80を、回転円板18、20の開口部86、88、90、92、94、96に差し込むことにより、スリット棚22、24、26、28、30、32を回転円板18及び回転円板20の間に配置する。少なくとも、ここに示す開口部86、88、90、92、94、96の内側まで、切断刃76が入り込まないように、切断刃部材82は、支持板部材16に備えられる。
【0020】
次に、具体的に、食材が切断される工程を説明する。図3において、上面が開放された食材収納箱68に食材(例えば、ゆで卵)を投入すると、傾斜に従って、食材収納箱68の左下まで回転して到達する。例えば、ゆで卵であれば、滑らかな楕円球の形状をした表面がつるつるの弾力性のある食材であるので、傾斜がわずかでも容易に転動する。食材収納箱68の左下においては、開口70を通過して通路74を通り開口72からシュート64へと傾斜に従って転動する。開口70や開口72を通過して、シュート64の右下まで到達する。図3に示すような回転部材の回転位置より、少し手前の位置(矢印84の逆向きに少し戻った位置)にあると、シュート64の開口66が、コンパートメント34の上部開口位置と一致するので、この時に、食材54が落ち込み、スリット棚22及び回転円板18及び回転円板20で囲まれたところに収納される。図10は、図3よりも更に矢印84に沿って回転した状態、即ち、所定角度前進させた状態を示す側面図である。食材54は、切断刃76によって切断が始まるが、先端立ち上がり部98、底面形成部100、傾斜上がり部102、及び傾斜延長部104によって形成される窪み及びハブ板部材78からなる柄杓形状のスリット棚22に入った食材が、切断刃76によって押されるので、柔らかい食材が逃げないように、先端立ち上がり部98がより長く(仮想線106よりも上に)、より鋭角的に立ち上がるように形成される。ゆで卵のように柔らかい食材は、変形して飛び出し易くなるので、その点も留意することが好ましい。
【0021】
図10で分かるように、食材54の次に位置していた食材56が、回転により、食材54の上面での支持、及び、スリット棚22の先端立ち上がり部98の先端から離脱して、次のスリット棚32及び回転円板18及び回転円板20で囲まれたところに収納されようとしている。この時、スリット棚22の先端立ち上がり部98のいわゆる外側面(窪みを形成する面の反対側面)により、開口66から落下する食材56をガイドしてもよい。このように先の食材54の切断開始と、食材56のコンパートメント44への導入とが連続して生じてもよい。また、図10において、切断が開始された食材54は、所定の角度で傾斜した切断刃76の通過により完全に切り離され、そして、同図のスリット棚24のように、窪みが完全に下向きとなり、食材を重力により支えることができなくなり、容易に切断後の食材をスリット棚の窪みから排出することができる。排出される切断後の食材は、重力で落下可能であるが、落下位置及びその範囲は、切断刃76の傾斜に依存する。あまり広くない範囲に落下させるためには、傾斜角は90度に近い方が好ましいとも考えられる。
【0022】
図11は、図3の食材切断装置において、切断された食材を収納する容器を更に配置した側面図である。追加された容器トレイン108は、複数の容器110、112、114を連結器109、111、113、115で連結して構成され、矢印116の方向に進むことができる。これらの容器は、回転部材の回転角度と連携してもよい。従って、排出される食材ごとに異なる容器を用いることができる。また、容器の代わりに、単なる平面や曲面を提供してもよい。ベルトコンベヤのようなものを用いてもよい。切断された食材が破損しないように、落下する距離を調節する、ソフトに受け止められるようにクッション材を配置する等を行ってもよい。
【0023】
本願の発明の実施例においては、ハンドルで手動により回転させるようになっているが、モータなどで電動化してもよいことは言うまでもない。
【符号の説明】
【0024】
10 切断本体部 12 食材切断装置 14 底面
16 支持板部材 18、20 回転円板
22、24、26、28、30、32 スリット棚
34、36、38、40、42、44 コンパートメント
46 ハンドル取付円板 48 ハンドル取付軸
50 ハンドル 52 つまみ
54、56、58、60、62 食材 64 シュート64 66 開口
68 食材収納箱 70 開口 72 開口 74 通路
76 切断刃 78 ハブ板部材 80 突起 82 切断刃部材
84 矢印 86、88、90、92、94、96 開口部
98 先端立ち上がり部 100 底面形成部 102 傾斜上がり部
104 傾斜延長部 106 仮想線 108 容器トレイン
109、111、113、115 連結器 110、112、114 容器

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11