(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173486
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】シート積載装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B65H 31/26 20060101AFI20241205BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20241205BHJP
【FI】
B65H31/26
G03G15/00 460
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091931
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003133
【氏名又は名称】弁理士法人近島国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】赤松 雄貴
【テーマコード(参考)】
2H072
3F054
【Fターム(参考)】
2H072AA17
2H072AA22
2H072CA05
2H072FA05
2H072FB08
2H072JA03
3F054AA01
3F054AC01
3F054BA02
3F054BB14
3F054BE09
3F054BG03
3F054BH03
3F054BH07
3F054CA03
3F054CA31
3F054DA06
3F054DA16
(57)【要約】
【課題】より多様なシートについて良好な整合性を実現可能とする。
【解決手段】シート積載装置は、積載部と、シートを搬送する搬送手段と、シートの先端が突き当てられる突当て部と、搬送手段によって搬送されてきたシートをシート搬送方向に引き込んで突当て部に突き当てる第1引き込み部材と、搬送手段によって搬送されてきたシートをシート搬送方向に引き込んで突当て部に突き当てる第2引き込み部材であって、積載部に積載されたシートに接触する接触状態と、積載部に積載されたシートから退避した退避状態と、に切替可能に設けられた第2引き込み部材と、第2引き込み部材を接触状態として第1引き込み部材及び第2引き込み部材によってシートを引き込む第1モードと、第2引き込み部材を退避状態として第1引き込み部材によってシートを引き込む第2モードと、を実行可能な制御手段と、を備える。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートが積載される積載部と、
シートを前記積載部に向けてシート搬送方向に搬送する搬送手段と、
前記シート搬送方向におけるシートの先端が突き当てられる突当て部と、
前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第1引き込み部材と、
前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第2引き込み部材であって、前記積載部に積載されたシートに接触する接触状態と、前記積載部に積載されたシートから退避した退避状態と、に切替可能に設けられた第2引き込み部材と、
前記第2引き込み部材を前記接触状態として前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材によってシートを引き込む第1モードと、前記第2引き込み部材を前記退避状態として前記第1引き込み部材によってシートを引き込む第2モードと、を実行可能な制御手段と、
を備えることを特徴とするシート積載装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記積載部に積載するシートに関するシート情報に基づいて、前記第1モード及び前記第2モードのいずれを実行するかを決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項3】
前記制御手段は、第1の坪量のシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1の坪量よりも小さい第2の坪量のシートを積載する場合に前記第2モードを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項4】
前記制御手段は、第1のサイズのシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1のサイズよりも面積が小さい第2のサイズのシートを積載する場合に前記第2モードを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項5】
前記制御手段は、第1の材質のシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1の材質よりも密度が低い第2の材質のシートを積載する場合に前記第2モードを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項6】
前記第2引き込み部材は、前記シート搬送方向と直交するシート幅方向において前記第1引き込み部材と並んで配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項7】
前記第2引き込み部材は、前記シート幅方向において前記第1引き込み部材よりも内側に配置されている、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート積載装置。
【請求項8】
前記突当て部は、前記シート幅方向に延びる第1面と、前記第1面に対して前記シート幅方向の外側に隣接し、且つ前記シート幅方向の外側に向かって前記シート搬送方向の下流側に傾斜した第2面と、を含み、
前記第1面と前記第2面の境界は、前記シート幅方向において前記第2引き込み部材よりも外側且つ前記第1引き込み部材よりも内側に位置する、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート積載装置。
【請求項9】
前記シート幅方向における前記積載部の中央に対して前記第1引き込み部材の反対側であって前記第1引き込み部材と対称な位置に配置され、前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第3引き込み部材と、
前記シート幅方向における前記積載部の前記中央に対して前記第2引き込み部材の反対側であって前記第2引き込み部材と対称な位置に配置され、前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第4引き込み部材であって、前記積載部に積載されたシートに接触する接触状態と前記積載部に積載されたシートから退避した退避状態とに切替可能に設けられた第4引き込み部材と、
をさらに備える、
ことを特徴とする請求項7に記載のシート積載装置。
【請求項10】
前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材は、前記シート幅方向において、前記シート積載装置が前記積載部に積載可能なシートのうち前記シート幅方向の長さが最も短いシートの側端位置よりも内側に配置される、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート積載装置。
【請求項11】
前記積載部に積載されたシートに対する前記第2引き込み部材の接触領域は、前記積載部に積載されたシートに対する前記第1引き込み部材の接触領域に対して、前記シート搬送方向の下流側にオフセットしている、
ことを特徴とする請求項6に記載のシート積載装置。
【請求項12】
前記第2引き込み部材は、弾性を有し、無端状に形成されており、
前記シート積載装置は、
前記第2引き込み部材を挟持するローラ対と、
前記第2引き込み部材を前記接触状態と前記退避状態とに切り替えるように前記ローラ対を前記積載部に対して昇降駆動する駆動部と、を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項13】
前記第2引き込み部材は、前記接触状態に比べて弱い接触圧で前記積載部に積載されたシートと接触する中間状態に切替可能に設けられ、
前記制御手段は、前記第2引き込み部材を前記中間状態として前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材によってシートを引き込む第3モードを実行可能である、
ことを特徴とする請求項1に記載のシート積載装置。
【請求項14】
シートに画像を形成する画像形成手段を備えた画像形成装置本体と、
請求項1から13のいずれか1項に記載のシート積載装置と、
を備え、前記シート積載装置は、画像を形成されたシートを前記画像形成装置本体から受け取って積載する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シートを積載するシート積載装置、及びシートに画像を形成する画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置において、画像を形成されたシートを積載する大容量スタッカ等のシート積載装置が用いられている。特許文献1には、タイミングベルトに支持されるグリッパでシートを把持しながら搬送した後、ローレットベルトでシートの先端をストッパに突き当てて整合するシート積載装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、記録材として多様なシートを取り扱い可能なシート積載装置及び画像形成装置が求められている。しかし、上記文献の構成では、ローレットベルトがシートに付与する搬送力を調整したとしても、搬送力の不足によりシートの整合不良が発生したり、搬送力が過剰となってシートの撓みや座屈が発生し整合性が低下したりする場合があった。
【0005】
そこで、本発明は、より多様なシートについて良好な整合性を実現可能なシート積載装置及び画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、シートが積載される積載部と、シートを前記積載部に向けてシート搬送方向に搬送する搬送手段と、前記シート搬送方向におけるシートの先端が突き当てられる突当て部と、前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第1引き込み部材と、前記搬送手段によって搬送されてきたシートを前記シート搬送方向に引き込んで前記突当て部に突き当てる第2引き込み部材であって、前記積載部に積載されたシートに接触する接触状態と、前記積載部に積載されたシートから退避した退避状態と、に切替可能に設けられた第2引き込み部材と、前記第2引き込み部材を前記接触状態として前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材によってシートを引き込む第1モードと、前記第2引き込み部材を前記退避状態として前記第1引き込み部材によってシートを引き込む第2モードと、を実行可能な制御手段と、を備えることを特徴とするシート積載装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、より多様なシートについて良好な整合性を実現可能なシート積載装置及び画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】実施形態に係る画像形成装置の制御部を示すブロック図。
【
図4】実施形態に係るスタッカのスタック部を示す図(a~c)。
【
図5】実施形態に係るスタッカを示す図(a~d)。
【
図6】実施形態に係るシート積載動作の制御例を示すフローチャート。
【
図7】実施形態において、シート情報とアシストベルトの侵入要否との対応関係を示すテーブル。
【
図8】先端突当て面のテーパ部について説明するための図。
【
図9】比較例のスタッカについて説明するための図(a~c)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0010】
図1は、一つの実施形態である画像形成装置1Sを示す概略図である。画像形成装置1Sは、シートPに画像を形成する画像形成装置本体1(プリンタ部)と、画像形成装置本体1から画像を形成されたシートPを受け取って積載するシート積載装置としてのスタッカ100と、を含む。記録材(記録媒体)であるシートPとしては、普通紙及び厚紙等の紙、コート紙のような表面処理が施されたシート材、封筒やインデックス紙等の特殊形状のシート材、プラスチックフィルム、布等、サイズ及び材質の異なる多様なシート材を使用可能である。
【0011】
画像形成装置本体1は、電子写真方式を用いたカラー画像形成装置である。画像形成装置本体1は、4色のトナー像を作成するプロセス部PY、PM、PC、PK(プロセスユニット、画像形成ステーション)を中間転写ベルト31に沿って並べて配置した、中間転写タンデム方式の画像形成部1Bを備える。中間転写タンデム方式は、多種多様なシートPへの適応性や、プリント生産性に優れるという利点がある。
【0012】
画像形成装置1Sは、画像形成装置本体1と、シート積載装置としてのスタッカ100とを含む画像形成システムである。なお、画像形成装置1Sは、画像形成装置本体1及びスタッカ100以外の装置を含むことができる。このような装置としては、画像形成装置本体1にシートPを供給するシート給送装置(オプションフィーダ)や、シートPに綴じ処理等の処理を施すシート処理装置(フィニッシャ)がある。
【0013】
(画像形成装置本体)
画像形成装置本体1の構成を説明する。画像形成装置本体1は、画像形成部1Bと、定着装置5と、収納庫61~63と、手差しトレイ64と、シートPの搬送路を形成する搬送ガイド及びシートPを搬送する各種ローラ対と、制御部200と、を備える。
【0014】
画像形成部1Bは、4つのプロセス部PY、PM、PC、PKと、中間転写ベルト31と、二次転写ローラ41と、を含む。各プロセス部PYは、像担持体としての感光ドラム11と、帯電装置12と、露光装置13と、現像装置14と、一次転写装置35と、クリーニング装置15と、を含む。各現像装置14には、現像剤として、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのいずれかのトナーが収容される。ただし、トナーの色数は4色に限定されるものではなく、また色の並び順もこの限りではない。中間転写ベルト31は、駆動ローラ33、テンションローラ34および二次転写内ローラ32に張架され、駆動ローラ33の回転により回転駆動される。二次転写ローラ41は、中間転写ベルト31を挟んで二次転写内ローラ32と当接している。二次転写ローラ41と中間転写ベルト31のニップ部として、シートPにトナー像が転写される転写部としての二次転写部が形成される。
【0015】
画像形成動作の概要を説明する。画像形成動作では、各プロセス部PY、PM、PC、PKは感光ドラム11上にそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの単色トナー像を作成し、中間転写ベルト31で単色トナー像を重ねることでフルカラー画像を作成する。
【0016】
各プロセス部PY、PM、PC、PKでは、感光ドラム11が回転駆動され、帯電装置12が感光ドラム11の表面を一様に帯電させる。露光装置13は、制御部200から受信した信号に基づいて感光ドラム11に光を照射することで露光を行い、感光ドラム11の表面に静電潜像を形成する。現像装置14は、感光ドラム11にトナーを供給し、静電潜像をトナー像に現像する。一次転写装置35は、感光ドラム11上に担持されているトナー像を中間転写ベルト31に一次転写する。中間転写ベルト31に転写されずに感光ドラム11上に残留した転写残トナーは、クリーニング装置15によって回収される。
【0017】
各プロセス部PY、PM、PC、PKで作成された単色トナー像は、中間転写ベルト31上で互いに重なるように調整されたタイミングで、中間転写ベルト31に一次転写される。その結果、中間転写ベルト31上にフルカラー画像が形成される。このフルカラー画像は、中間転写ベルト31の回転によって二次転写部に搬送される。
【0018】
画像形成部1Bにおけるトナー像の作成に並行して、シートPの搬送動作が実行される。シートPは収納庫61、62、63又は手差しトレイ64に積載されており、給送ユニット61a、62a、63a、64aによって1枚ずつ給送される。給送されたシートPは、搬送ローラ対70、71、72、74、75により給送パス73を搬送され、レジストレーションローラ対76に到達する。レジストレーションローラ対76は、シートPの先端をせき止めて斜行を補正した後、フルカラー画像が二次転写部に到達するタイミングに合わせてシートPを二次転写部に搬送する。そして、二次転写部において、二次転写ローラ41により、中間転写ベルト31からシートPにフルカラー画像が二次転写される。
【0019】
その後、シートPは定着前搬送ユニット42により定着装置5へと搬送される。定着前搬送ユニット42は、例えばファンによって負圧を発生させシートPをベルトに吸着しながらベルトを回転させることでシートPを搬送する。定着装置5は、ローラ又はベルトからなる回転体対と、シートP上の画像を加熱する加熱手段と、を有する熱定着方式のユニットである。加熱手段としては、ハロゲンランプや誘導加熱機構を用いることができる。定着装置5は、回転体対のニップ部(定着ニップ)でシートPを挟持して搬送しながらシートP上のトナーに熱及び圧力を加えることで、画像をシートPに定着させる。
【0020】
定着装置5を通過したシートPの搬送経路は、切替ガイド81によって切り替えられる。片面印刷(片面画像形成)の場合、シートPは切替ガイド81により排出パス82に案内され、排出ローラ対77により画像形成装置本体1から排出される。両面印刷(両面画像形成)の場合、第1面に画像を形成された状態のシートPは切替ガイド81により反転パス83に案内され、搬送ローラ対79を介してスイッチバックパス84に搬送される。反転ローラ対86、87によってスイッチバックされたシートPは、両面パス85を経由して、再びレジストレーションローラ対76に搬送される。そして、再び二次転写部及び定着装置5を通過することで第2面に画像を形成されたシートPは、切替ガイド81により排出パス82に案内され、排出ローラ対77により画像形成装置本体1から排出される。
【0021】
なお、画像形成装置本体1は、片面印刷の場合に、画像が形成されたシートPの面を下に向けた状態で排出するいわゆるフェイスダウン排出を実行可能である。この場合、定着装置5を通過したシートPは反転パス83に案内され、スイッチバックパス84でスイッチバックされた後、第2排出パス78を介して排出ローラ対77に搬送される。
【0022】
また、本実施形態で説明した中間転写タンデム方式の画像形成部1Bは、シートPに画像を形成する画像形成手段の一例である。画像形成手段は、例えば、像担持体から中間転写体を介さずにシートに直接トナー像を転写する直接転写型の電子写真ユニット、インクジェット方式の印刷ユニット、又は、オフセット方式の印刷ユニットであってもよい。
【0023】
(制御部の説明)
図2は、制御部200の構成を示すブロック図である。制御部200は、CPU回路部206を有する。CPU回路部206は、CPU203、ROM207、RAM208を内蔵している。CPU回路部206は、CPU203がROM207に格納されている制御プログラムを読みだして実行することにより、操作部209、画像信号制御部204、プリンタ制御部205、スタッカ制御部210等を総括的に制御する。
【0024】
また、制御部200は、画像形成装置本体1と外部のコンピュータ211とのインタフェースである外部I/F201を含む。外部I/F201は、コンピュータ211から受信した画像情報(プリントデータ)をビットマップ画像に展開し、画像データ(デジタル画像信号)として画像信号制御部204へ出力する。RAM208は、制御データを一時的に保持し、また制御に伴う演算処理の作業領域として用いられる。画像信号制御部204は、コンピュータ211から外部I/F201を介して入力された画像データに対して各種処理を施すと共に、画像データをビデオ信号に変換してプリンタ制御部205に出力する。画像信号制御部204による処理は、CPU回路部206により制御される。プリンタ制御部205は、入力されたビデオ信号に基づいて、不図示の露光制御部を介して前述の露光装置13を駆動する。
【0025】
操作部209は、画像形成に関する各種機能を設定する複数のキーやタッチパネル等の入力部と、設定状態等を示す情報を表示するための表示部(表示パネル及びランプ等)とを有する。操作部209は、入力部の操作に対応する信号をCPU回路部206に出力すると共に、CPU回路部206からの信号に基づいて情報を表示部に表示する。ユーザは、操作部に対する操作により、画像形成装置1Sの画像形成対象であるシートPの属性を示す情報(以下、シート情報)を設定することができる。本実施形態におけるシート情報は、シートPの坪量、サイズ、材質のいずれか、又はこれらの組合せである。シートPの材質とは、例えばコート紙、普通紙、再生紙等の分類である。
【0026】
スタッカ制御部210はスタッカ100に搭載される(
図1)。スタッカ制御部210は、CPU回路部206と情報のやり取りを行うことにより、スタッカ100に搭載される後述のベルト駆動モータ310、ベルト昇降モータ311、シート検知部312等を含むスタッカ100全体の動作を制御する。スタッカ制御部210は、シート積載装置の動作を制御する制御手段の一例である。また、画像形成装置本体1の制御部200及びスタッカ制御部210は、画像形成装置1Sの動作を制御するシステム全体の制御手段の一例である。なお、以下で説明するスタッカ制御部210の機能の一部又は全部を、画像形成装置本体1のCPU回路部206に組み込み、画像形成装置本体1から直接、スタッカ100を制御するようにしてもよい。
【0027】
(スタッカ全体の説明)
図3を用いて、スタッカ100について説明する。スタッカ100は、入口ローラ対101と、第1切換部材102と、第2切換部材121と、搬送パス103と、出口ローラ対104と、サンプルトレイ109と、を有する。また、スタッカ100は、排出ローラ対105と、積載トレイ106と、グリッパ107a、107bと、グリッパベルト108と、先端ストッパ114と、引き込みベルト116aと、アシストベルト116bと、側端規制部材と、を有する。先端ストッパ114は、当接斜面114a及び先端突当て面114bを有する。
【0028】
積載トレイ106は、シートPが積載される積載部の例である。排出ローラ対105、グリッパ107a、107b、グリッパベルト108は、積載部に向けてシートPを搬送する搬送手段の例である。先端ストッパ114の先端突当て面114bは、シート搬送方向D1におけるシートPの先端(シート搬送方向D1におけるシートPの下流端)が突き当てられる突当て部の例である。
【0029】
入口ローラ対101は、画像形成装置本体1から排出されるシートPを受け取って搬送する。第1切換部材102は、入口ローラ対101から送り出されるシートPの搬送経路を、出口ローラ対104又はサンプルトレイ109に向かう搬送パスと、積載トレイ106に向かう搬送パス(積載パス)との間で切り替える。第2切換部材121は、シートPの搬送経路を、出口ローラ対104に向かう搬送パス103と、サンプルトレイ109に向かう搬送パスと、に切り替える。出口ローラ対104は、搬送パス103を搬送されてきたシートPをスタッカ100の外部に排出する。
【0030】
排出ローラ対105は、シートPをシート搬送方向D1に搬送し、積載トレイ106に向けて排出する。グリッパベルト108(タイミングベルト)は、積載トレイ106の上方に配置され、駆動プーリ111と従動プーリ112に張架される。グリッパベルト108は、ベルトモータに駆動される駆動プーリ111の回転により、シート搬送方向D1に沿った回転方向に回転駆動される。グリッパ107a、107bは、グリッパベルト108の周方向所定位置にそれぞれ取り付けられ、グリッパベルト108と共に回転する。グリッパ107a、107bは、排出ローラ対105から排出されるシートPの先端を把持(挟持)した状態でシート搬送方向D1に移動可能に構成される。
【0031】
積載トレイ106は、スタッカ100の内部で昇降可能に設けられる。積載トレイ106は、例えば、積載トレイ106の上方の所定高さでシートPを検知するシート上面センサの検知結果に基づいて、積載トレイ106上に積載されたシートPの上面が略一定の高さで維持されるように、シート積載量に応じて昇降制御される。
【0032】
先端ストッパ114は、積載トレイ106上の積載空間のシート搬送方向D1における下流側の端部に配置される。先端ストッパ114の当接斜面114aは、グリッパベルト108の下面よりも下方に突出し、先端突当て面114bは当接斜面114aよりも更に下方に設けられている。
【0033】
当接斜面114aは、グリッパ107a又は107bに把持されたシートPの先端と当接することでシートPをグリッパ107a又は107bから離脱させる面である。本実施形態の当接斜面114aは、シート搬送方向D1の下流側に向かって下方に傾斜した傾斜面である。先端突当て面114bは、鉛直方向に広がる面である。先端突当て面114bにシートPの先端が突き当たることで、積載トレイ106に積載されるシートPのシート搬送方向D1における位置が整合される。つまり、先端突当て面114bは、積載トレイ106に積載されるシートPのシート搬送方向D1についての整合基準となる。
【0034】
引き込みベルト116aは、積載トレイ106の上方であって、シート搬送方向D1において当接斜面114aの上流端よりも下流側且つ先端突当て面114bよりも上流側に配置される。引き込みベルト116aは、シート搬送方向D1にシートPを引き込んで突当て部に突き当てる第1引き込み部材の例である。
【0035】
アシストベルト116bは、引き込みベルト116aと協働して、シート搬送方向D1にシートPを引き込んで突当て部に突き当てる第2引き込み部材の例である。アシストベルト116bの詳細は後述する。
【0036】
引き込みベルト116aは、例えばシリコーンゴム、EPDM(エチレンプロピレンゴム)、又はウレタンゴム等の弾性材料で無端状に形成される。引き込みベルト116aは、積載トレイ106上に積載されたシートPの上面と接触して弾性変形した状態となるように配置される。言い換えると、積載トレイ106及び積載トレイ106上のシート束が引き込みベルト116aから下方に退避した時の引き込みベルト116aの下端位置は、シート積載動作中における積載トレイ106上のシート束の上面位置に対して下方に侵入している。引き込みベルト116aの弾性により、引き込みベルト116aの外周面が積載トレイ106上のシート束の上面に接触したときの接触圧が適度な大きさとなる。
【0037】
引き込みベルト116aは、シートPの整合を行う整合ベルトとも呼ばれる。引き込みベルト116aは、シートPに対する摩擦力を調整するためにローレット加工(凹凸加工)を施されたローレットベルトであってもよい。
【0038】
側端規制部材は、積載トレイ106に積載されたシートPのシート幅方向の位置を規制する規制部材である。シート幅方向とは、シート搬送方向D1に対して直交する方向(
図3の紙面奥行き方向)である。本実施形態の側端規制部材は、シートPの側端位置を規制する規制位置と、シート幅方向において規制位置よりも外側に退避した退避位置(シート受入位置)との間で、シート幅方向に移動可能な一対の規制部材である。規制位置は、シート幅方向におけるシートPの長さ(シート幅)に対応して予め設定される。
【0039】
また、
図2に示すように、スタッカ100は、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bを回転駆動する駆動源としてのベルト駆動モータ310と、シートPを検知するシート検知部312と、を有する。さらに、スタッカ100は、アシストベルト116bを接触状態(侵入状態)と退避状態とに切り替えるベルト昇降モータ311を有する。
【0040】
シート検知部312は、それぞれシートを検知可能な複数のセンサを含む。各センサは、例えば、スタッカ100内の搬送パス上の所定位置(検知位置)に配置され、光を用いて検知位置におけるシートPの有無を検出する光学センサを用いることができる。また、シート検知部312は、前述のシート上面センサを含む。スタッカ制御部210は、シート検知部312の各センサからの検知信号に基づいて、スタッカ100内におけるシートPの現在位置や積載トレイ106におけるシート積載量等の情報を取得することができる。
【0041】
(スタッカの動作)
スタッカ100の動作について、
図3を用いて説明する。画像形成装置本体1からシートPが排出されると、入口ローラ対101がシートPを受け取る。シートPは、第1切換部材102及び第2切換部材121により、操作部209等で予め設定されたジョブ設定に従う所定の搬送パスに案内される。ジョブ設定でシートPの積載箇所がスタッカ100の下流側に接続された装置(シート処理装置等)に指定されている場合、シートPは搬送パス103を通って出口ローラ対104によって排出される。ジョブ設定でシートPの積載箇所がサンプルトレイ109に指定されている場合、シートPはサンプルトレイ109に排出される。
【0042】
ジョブ設定でシートPの積載箇所が積載トレイ106に指定されている場合、スタッカ100は以下のシート積載動作(スタック処理)を実行する。まず、入口ローラ対101から送り出されるシートPは、第1切換部材102によって排出ローラ対105に案内される。グリッパベルト108の回転は、排出ローラ対105からシートPが送り出されるタイミングと同期するように制御され、排出ローラ対105から送り出されたシートPの先端が2つのグリッパ107a、107bのうちの一方に把持される。以下ではシートPがグリッパ107aに把持された場合を説明する。
【0043】
シートPは、排出ローラ対105とグリッパ107aとによって保持された状態で、積載トレイ106の上方をシート搬送方向D1に搬送される。そして、シートPの先端が先端ストッパ114の当接斜面114aに当接すると、シートPの先端はグリッパ107aから解放され、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bに向かって当接斜面114aに沿って移動する。
【0044】
ここで、シート搬送方向D1における排出ローラ対105のニップ位置から引き込みベルト116aの接触位置までの距離は、積載トレイ106に積載されるシートPのシート長よりも短い。接触位置は、引き込みベルト116aとシートPとの接触領域の中央位置である。先端ストッパ114及び引き込みベルト116aは、ジョブ設定に基づいて、積載トレイ106に積載されるシートPのシート搬送方向D1に沿った長さ(以下、単にシート長という)に対応した位置に予め移動される。また、シートPが積載トレイ106に排出されるときの積載トレイ106の位置(積載位置)は、引き込みベルト116aが積載トレイ106上のシート束の上面と接触する高さに制御される。
【0045】
このため、シートPの先端がグリッパ107aから解放された後、シートPの後端が排出ローラ対105を抜ける前に、シートPの先端部が引き込みベルト116aと接触し、引き込みベルト116aからシート搬送方向D1の力(搬送力)を受ける。引き込みベルト116aによりシートPがシート搬送方向D1に移動されることで、シートPの先端が先端ストッパ114の先端突当て面114bに突き当てられる。これにより、シート搬送方向D1についてシートPの位置が整合される。また、シートPが斜行していた場合、先端が先端突当て面114bに倣うようにして斜行補正される。また、シートPの先端が先端ストッパ114に突き当たる前に、シートPの後端は排出ローラ対105を抜ける。
【0046】
画像形成装置1Sが複数枚のシートPに対して連続的に画像を形成してスタッカ100で積載するジョブ(連続ジョブ)を実行する場合、上記の動作が繰り返し実行される。ユーザがスタッカ100からシートPを取り出す場合、操作部209(又はスタッカ100に設けられた開閉ボタン)を操作することで、スタッカ100を開状態とする。この場合、ユーザ操作を受けたスタッカ制御部210(
図2)は、積載トレイ106を積載位置からシートPの取り出しが可能な下方位置に下降させ、扉のロック解除等により積載トレイ106へのアクセスを可能とする。
【0047】
なお、側端規制部材は、シートPが積載トレイ106に排出されてくる前に退避位置に移動し、シートPの先端が先端ストッパ114の先端突当て面114bに突き当てられた後に規制位置に移動するように駆動される。これにより、積載トレイ106に積載されたシート束のシート搬送方向D1及びシート幅方向の整合性が保たれる。
【0048】
(引き込みベルトのみの場合)
ここで、アシストベルト116bを備えていない比較例について説明する。
図9(a)~(c)は、比較例のスタッカにおけるシート積載動作の様子を表している。
【0049】
比較例では、アシストベルト116bは設けられておらず、
図9(a)に示すように引き込みベルト516のみの搬送力でシートPを先端ストッパ114の先端突当て面114bに突き当てる。引き込みベルト516がシートPに付与する搬送力の大きさは、例えばシートPに対する引き込みベルト516の接触圧を変更することで調整可能である。接触圧の変更は、シート積載動作におけるシート束の上面位置に対する引き込みベルト516の侵入量を調整することで実現可能である。侵入量は、シート積載動作におけるシート束の上面位置に対する、積載トレイ106及びシート束を引き込みベルト516に接触しない位置まで下降させた状態における引き込みベルト516の下端位置の突出量である。しかし、比較例では、引き込みベルト516がシートPに付与する搬送力の大きさを、シートPの属性に応じて変更することはできない。
【0050】
このため、重量が軽いシートPに合わせて搬送力を設定すると、
図9(b)に示すように、重量が重いシートPの場合に搬送力が不足し、シートPの先端が先端突当て面114bに到達できずに整合不良となる可能性がある。重量が軽いシートPとは、例えば、サイズ(面積)が小さいシート、坪量が小さいシート、再生紙等の密度が低い材質からなるシートである。重量が軽いシートPの具体例は、帳票である。
【0051】
また、重量が重いシートPに合わせて搬送力を設定すると、
図9(c)に示すように、重量が軽いシートPの場合に搬送力が過剰となる場合がある。この場合、引き込みベルト516から受ける搬送力と先端突当て面114bから受ける反力とによってシートPの撓みや座屈が発生することで整合性が低下する可能性がある。重量が軽いシートPは剛性(ヤング率)が低い場合が多いため、撓みや座屈が生じやすい。重量が重いシートPとは、例えば、サイズ(面積)が大きいシート、坪量が大きいシート、コート紙等の密度が高い材質からなるシートである。重量が重いシートPの具体例は、パッケージ用紙である。
【0052】
そこで、本実施形態では、引き込みベルト116aに加えて、退避可能なアシストベルト116bを用いることで、より多様なシートについて良好な整合性を得ることを図る。
【0053】
(アシストベルト)
図4(a)~(c)及び
図5(a)~(d)を用いて、アシストベルト116bについて説明する。
図4(a)は、スタッカ100のスタック部STを示す斜視図である。スタック部STは、引き込みベルト116a、アシストベルト116b及び先端ストッパ114を含むユニットである。
図4(b)、(c)は、スタック部STをシート搬送方向D1の上流側から見た図である。
図5(a)は、スタッカ100を上方から見た様子を示す模式図である。
図5(b)は、
図5(a)のA-A線における断面図である。
図5(c)、(d)は、
図5(a)のB-B線における断面図である。
【0054】
図4(a)、(b)、
図5(a)に示すように、アシストベルト116bは、シート幅方向D2において引き込みベルト116aと並んで配置される。本実施形態において、引き込みベルト116aは、シート幅方向D2における積載トレイ106の中央C0に対して両側に1つずつ、対称な位置に配置される。アシストベルト116bは、シート幅方向D2における積載トレイ106の中央C0に対して両側に1つずつ、対称な位置に配置される。一方の引き込みベルト116aを第1引き込み部材とし、一方のアシストベルト116bを第2引き込み部材とするとき、他方の引き込みベルト116aは第3引き込み部材の例であり、他方のアシストベルト116bは第4引き込み部材の例である。
【0055】
図5(b)に示すように、引き込みベルト116aは、駆動ローラ対115aに挟持される。駆動ローラ対115aは、ベルト駆動モータ310(
図2)によって回転駆動される。駆動ローラ対115aの回転により、引き込みベルト116aは図中時計回り方向(引き込みベルト116aの下部がシート搬送方向D1の上流側から下流側に移動する回転方向)に回転駆動される。なお、引き込みベルト116aは、駆動ローラ対115とは異なる位置でガイドローラによって内周面を案内されている。
【0056】
図5(c)に示すように、アシストベルト116bは、駆動ローラ対115bに挟持される。駆動ローラ対115bは、ベルト駆動モータ310(
図2)によって回転駆動される。駆動ローラ対115bは、第2引き込み部材を挟持するローラ対の例である。駆動ローラ対115bの回転により、アシストベルト116bは図中時計回り方向(アシストベルト116bの下部がシート搬送方向D1の上流側から下流側に移動する回転方向)に回転駆動される。なお、アシストベルト116bは、駆動ローラ対115とは異なる位置でガイドローラによって内周面を案内されている。
【0057】
また、
図5(c)、(d)に示すように、駆動ローラ対115bはベルト昇降モータ311(
図2)の駆動力により昇降可能に構成される。駆動ローラ対115bが
図5(c)に示す位置(上方位置、待機位置)に位置するとき、アシストベルト116bは積載トレイ106に積載されたシートPの上面から上方に退避(離間)する。駆動ローラ対115bが
図5(d)に示す位置(下方位置、作動位置)に位置するとき、アシストベルト116bは積載トレイ106に積載されたシートPの上面に接触する。ベルト昇降モータ311は、第2引き込み部材を接触状態と退避状態とに切り替えるように前記ローラ対を前記積載部に対して昇降駆動する駆動部の例である。
【0058】
駆動ローラ対115bが上方位置に位置するときのアシストベルト116bの状態(
図5(c))を、アシストベルト116bの「退避状態」とする。駆動ローラ対115bが下方位置に位置するときのアシストベルト116bの状態(
図5(d))を、アシストベルト116bの「接触状態」とする。このように本実施形態のアシストベルト116bは、接触状態と退避状態とに切替可能に設けられている。接触状態は、アシストベルト116bが積載トレイ106上のシートに対して所定の侵入量で侵入する侵入状態と言ってもよい。
【0059】
図4(a)、(b)に示すように、接触状態のアシストベルト116bは、先端ストッパ114の下向き面114cに設けられた開口を介して下向き面114cの下方に突出する。
図4(c)に示すように、退避状態のアシストベルト116bは、先端ストッパ114の下向き面114cよりも上方側に退避する。ただし、退避状態においてアシストベルト116bが実質的にシートPに搬送力を与えない構成となっていれば、退避状態のアシストベルト116bの一部が下向き面114cよりも下方に位置してもよい。
【0060】
本実施形態において、引き込みベルト116aは常に先端ストッパ114の下向き面114cの下方に突出しており、接触状態と退避状態との間で切り替わらない。積載トレイ106上のシートに対する引き込みベルト116aの侵入量は、例えば、積載トレイ106上のシートに対する接触状態のアシストベルト116bの侵入量と同等とする。
【0061】
アシストベルト116bは、シート幅方向D2において引き込みベルト116aよりも内側(引き込みベルト116aよりも中央C0寄り)に配置されることが好ましい。これは、アシストベルト116bを退避状態として引き込みベルト116aのみでシートPを引き込む場合に、シートPの旋回(斜行)を生じにくくするためである。つまり、アシストベルト116bを退避状態として引き込みベルト116aのみでシートPを引き込む場合、引き込みベルト116a同士の周長差や摩擦係数の差等により、シートPの左右で進行速度に差があると、シートPの旋回(斜行)が生じることがある。この場合、引き込みベルト116a同士のシート幅方向D2の間隔が狭いと、シートPは旋回(斜行)しやすい。ここで、アシストベルト116bを引き込みベルト116aよりも外側に配置した場合と比べて、アシストベルト116bを引き込みベルト116aよりも内側に配置した方が、引き込みベルト116a同士のシート幅方向D2の間隔が広くなる。このため、本実施形態の配置によれば、シートPの旋回(斜行)を低減できる。
【0062】
また、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bは、シート幅方向D2において、スタッカ100が積載トレイ106に積載可能なシートPのうちシート幅が最も短いシートの側端位置よりも内側に配置されることが好ましい。これにより、積載トレイ106に積載されるシートPの種類によらず、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bを使用したシートの引き込みが可能となる。
【0063】
本実施形態において、シート搬送方向D1における引き込みベルト116aのシート接触領域と、シート搬送方向D1におけるアシストベルト116bのシート接触領域は実質的に同じである。引き込みベルト116aのシート接触領域とは、積載トレイ106上のシート束の上面がシート積載動作における所定の高さに維持された状態で、引き込みベルト116aが最上位のシートと接触する領域である。アシストベルト116bのシート接触領域とは、積載トレイ106上のシート束の上面がシート積載動作における所定の高さに維持された状態で、接触状態のアシストベルト116bが最上位のシートと接触する領域である。
【0064】
(シート積載動作のシーケンス)
次に、シート積載動作のシーケンスに関して説明する。
図6は本実施形態のシート積載動作の制御例を示すフローチャートである。以下のフローチャートの各工程は、特に断らない限り、画像形成装置本体1の制御部200からの指示に基づいてスタッカ制御部210が実行する。
【0065】
スタッカ制御部210は、積載トレイ6にシートPを積載するジョブ設定を含む画像形成ジョブが画像形成装置1Sに投入された場合に、画像形成装置本体1の制御部200からの指示に基づいてシート積載動作を開始する。すると、スタッカ制御部210は、ベルト駆動モータ310を回転させ、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bの回転駆動を開始する(S1)。
【0066】
画像形成装置本体1から1枚のシートP(以下、今回のシートPとする)が排出され、排出ローラ対105により積載トレイ106に向けて今回のシートPが搬送される。今回のシートPが搬送される過程で、シート検知部312によってシートPの位置情報が検知される(S2)。シートPは、グリッパベルト108に取り付けられたグリッパ107a又は107bによって把持された状態で搬送され、シートPの先端が先端ストッパ114の当接斜面14aに当接することでグリッパ107a又は107bから解放される。
【0067】
スタッカ制御部210は、ジョブの投入時に予め指定されているシート情報に基づいて、アシストベルト116bを接触状態とするか退避状態とするか(アシストベルト116bの侵入要否)を判断する(S3)。アシストベルト116bを接触状態とする判断をした場合(S3:YES)、スタッカ制御部210はベルト昇降モータ311により駆動ローラ対115bを下方位置へ移動させ、アシストベルト116bを接触状態とする(S4)。アシストベルト116bを接触状態とするタイミングは、例えばシートPが先端ストッパ114の当接斜面114aと当接するタイミングとする。この場合、シートPは引き込みベルト116aとアシストベルト116bの両方によって引き込まれ、先端ストッパ114の先端突当て面114bに突き当てられる(S5、
図5(d))。
【0068】
アシストベルト116bを退避状態とする判断をした場合(S3:NO)、スタッカ制御部210は駆動ローラ対115bを上方位置に留めて、アシストベルト116bを退避状態に維持する。この場合、シートPは引き込みベルト116aによって引き込まれ、先端ストッパ114の先端突当て面114bに突き当てられる(S5、
図5(c))。
【0069】
今回のシートPがシート積載動作の最終シートでない場合(S6:NO)、スタッカ制御部210はS2に戻って同様の処理(S2~S5)をシート毎に繰り返し実行する。今回のシートPがシート積載動作の最終シートであった場合(S6:YES)、スタッカ制御部210は引き込みベルト116a及びアシストベルト116bの回転駆動を停止し、シート積載動作を終了する(S7)。
【0070】
本実施形態において、S3におけるアシストベルト116bの侵入要否の判断基準は、重量の重いシートPの場合にアシストベルト116bを接触状態とし、重量の軽いシートPの場合にアシストベルト116bを退避状態とするように、予め設定される。具体的に、
図7に示す表は、シート情報に応じたアシストベルト116bの侵入要否の判断基準の例を示すテーブルである。ここでは、シートのサイズと坪量とに基づいてアシストベルト116bの侵入要否を判断する例を示す。図中の「○」は接触状態を表し、「×」は退避状態を表す。
【0071】
なお、
図7に示す判断基準は一例であり、スタッカ100の具体的構成(例えば、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bの材質やシートとの摩擦係数、シートPに対する接触圧)に応じて侵入要否の閾値を変更してもよい。また、
図7ではシート情報としてシートのサイズ及び坪量を用いる例を示したが、シートの材質や、それ以外のシートの属性に基づいてアシストベルト116bの侵入要否を判断してもよい。
【0072】
このように、本実施形態では、接触状態と退避状態とに切替可能なアシストベルト116bを設けている。そして、スタッカ制御部210は、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bの両方でシートPを引き込むモード(S3:YES、S4)と、引き込みベルト116aのみでシートPを引き込むモード(S3:NO)と、を実行可能である。言い換えると、本実施形態の制御手段は、前記第2引き込み部材を前記接触状態として前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材によってシートを引き込む第1モードと、前記第2引き込み部材を前記退避状態として前記第1引き込み部材によってシートを引き込む第2モードと、を実行可能である。
【0073】
このように、本実施形態では第1モードと第2モードを使い分けることにより、より多様なシートについて良好な整合性を実現することができる。
【0074】
例えば、重量の重いシートではアシストベルト116bを接触状態とする(第1モード)ことで、引き込みベルト116aのみでは搬送力が不足する場合であってもシートPをより確実に先端突当て面114bに突き当てることができる。このため、整合不良の可能性を低減できる。また、軽いシートではアシストベルト116bを退避状態とする(第2モード)ことで、搬送力が過剰となることを回避することができる。このため、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bと先端突当て面114bの間でシートPの撓みや座屈が発生する可能性を低減し、軽いシートの整合性を高めることができる。
【0075】
また、本実施形態では、スタッカ制御部210はジョブの投入時に予め指定されているシート情報に基づいて、アシストベルト116bの侵入要否を判断する。言い換えると、本実施形態の制御手段は、前記積載部に積載するシートに関するシート情報に基づいて、前記第1モード及び前記第2モードのいずれを実行するかを決定する。これにより、シート情報に応じて適切なモードを実行することができる。
【0076】
また、
図7に示すように、シートのサイズ(例えばA3)が同じであれば、坪量が大きい場合(350gsm以上)にアシストベルト116bを接触状態とし、坪量が小さい場合(350gsm未満)にアシストベルト116bを退避状態とする。言い換えると、本実施形態の制御手段は、第1の坪量のシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1の坪量よりも小さい第2の坪量のシートを積載する場合に前記第2モードを実行する。これにより、坪量の違いに応じて、適切なモードを実行することができる。
【0077】
また、
図7に示すように、シートの坪量(例えば200-250gsm)が同じであれば、サイズが大きい場合(例えばB3)にアシストベルト116bを接触状態とし、サイズが小さい場合(例えばB4)にアシストベルト116bを退避状態とする。言い換えると、本実施形態の制御手段は、第1のサイズのシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1のサイズよりも面積が小さい第2のサイズのシートを積載する場合に前記第2モードを実行する。これにより、サイズの違いに応じて、適切なモードを実行することができる。
【0078】
また、本実施形態では、密度が高い材質のシート(例えばコート紙)を積載する場合にアシストベルト116bを接触状態とし、密度が低い材質のシート(例えば普通紙又は再生紙)を積載する場合に退避状態とすることができる。言い換えると、本実施形態の制御手段は、第1の材質のシートを積載する場合に前記第1モードを実行し、前記第1の材質よりも密度が低い第2の材質のシートを積載する場合に前記第2モードを実行する。これにより、材質の違いに応じて、適切なモードを実行することができる。
【0079】
(先端突当て面のテーパ部)
先端突当て面114bに設けられたテーパ部と、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bとの位置関係について説明する。
【0080】
図4(a)に示すように、先端ストッパ114の先端突当て面114bは、シート搬送方向D1に対して略垂直に広がる整合面114b1と、整合面114b1に対して傾斜したテーパ部114b2(斜面)と、を有する。整合面114b1は、シート幅方向D2に延びる第1面である。テーパ部114b2は、前記第1面に対してシート幅方向D2の外側に隣接し、且つシート幅方向D2の外側に向かってシート搬送方向D1の下流側に傾斜した第2面である。
【0081】
整合面114b1とテーパ部114b2の境界114b3は、シート幅方向D2において、アシストベルト116bよりも外側且つ引き込みベルト116aよりも内側に位置することが好ましい。このような位置関係とする理由について、
図8を用いて説明する。
【0082】
図8は、
図4における左側の引き込みベルト116a及びアシストベルト116bと、先端突当て面114bの一部と、を示す模式図である。前述したように、本実施形態の先端突当て面114bは、整合面114b1及びテーパ部114b2を含む。シートPを整合するときは、引き込みベルト116a及びアシストベルト116bから受けるシート搬送方向D1の搬送力により、シートPの先端Paが整合面114b1に倣うようにシートPが旋回することで、シートPの斜行が補正される。
【0083】
ここで、
図8に破線で示すように、先端突当て面114bにテーパ部が設けられていない比較例の場合、シートPの先端Pa’は整合面114b1の外側の端部114b4を支点にして旋回する。これに対し、実線で示すように、本実施形態では、先端突当て面114bにテーパ部が設けられているため、シートPの先端Paは整合面114b1とテーパ部114b2の境界114b3を支点にして旋回する。
【0084】
このため、シートPの傾きが同じ場合、本実施形態においてシートPが旋回を開始するときの位置は、比較例においてシートPが旋回を開始するときの位置よりもシート搬送方向D1の下流となる(差Δ)。その結果、図中にハッチング領域で示すように、シートPの旋回開始時にアシストベルト116bがシートPと接触する面積を広くすることができ、シートPを旋回させやすくすることができる。アシストベルト116bを接触状態とするのは、通常、重量の重いシートPを搬送する場合であり、接触面積をより広くすることで、シートPに搬送力をより効率的に伝えることができる。つまり、本実施形態における整合面114b1とテーパ部114b2の境界114b3の位置によれば、先端突当て面114bによるシートPの斜行補正をより容易にすることができる。
【0085】
なお、積載トレイ106の中央に対して、
図8に示した引き込みベルト116a及びアシストベルト116bとは反対側の引き込みベルト116a及びアシストベルト116bについても、シートPと接触する面積が広くなっている。このため、先端突当て面114bによるシートPの斜行補正をより容易にすることができる。
【0086】
(変形例)
上述した実施形態では、アシストベルト116bを接触状態とするタイミング(S4)を、シートPが先端ストッパ114の当接斜面114aと当接するタイミングとする例を説明した。これに限らず、アシストベルト116bを接触状態とするタイミングは、シートPが先端突当て面114bに突き当たる前にアシストベルト116bがシートPに搬送力を付与できるタイミングであればよい。例えばシートPの先端がシート検知部312によって検知されたタイミングでアシストベルト116bを接触状態としてもよい。
【0087】
また、上述した実施形態では、アシストベルト116bが接触状態と退避状態の2つの状態の間で切り替わるものとして説明したが、アシストベルト116bがさらに中間状態を取り得る構成としてもよい。つまり、アシストベルト116bは、接触状態に比べて軽い接触圧で積載トレイ106上のシートと接触する中間状態(軽接触状態)を取り得る構成としてもよい。具体的には、アシストベルト116bの駆動ローラ対115bを上方位置(
図5(c))と下方位置(
図5(d))の間の位置に移動させる。この場合、アシストベルト116bを接触状態とするシートよりも重量が軽く且つアシストベルト116bを退避状態とするシートよりも重量が重いシートについて、アシストベルト116bを中間状態とするとよい。
【0088】
言い換えると、前記第2引き込み部材は、前記接触状態に比べて弱い接触圧で前記積載部に積載されたシートと接触する中間状態に切替可能に設けられてもよい。さらに、前記制御手段は、前記第2引き込み部材を前記中間状態として前記第1引き込み部材及び前記第2引き込み部材によってシートを引き込む第3モードを実行可能であってもよい。第1モード、第2モード、第3モードを使い分けることで、より多様なシートについて良好な整合性を実現することができる。
【0089】
なお、アシストベルト116bのシートPに対する接触圧を3段階以上で変更可能な構成としてもよい。また、複数組のアシストベルト116bを配置し、接触状態のアシストベルト116bの組の数を変化させることで、複数組のアシストベルト116b全体でシートPに加える搬送力を3段階以上に変化させてもよい。また、アシストベルト116bを接触状態と退避状態とに切り替えることに加えて、引き込みベルト116aを接触状態と退避状態とに切替可能な構成としてもよい。
【0090】
また、上述した実施形態では、シート搬送方向D1における引き込みベルト116aのシート接触領域と、シート搬送方向D1におけるアシストベルト116bのシート接触領域は実質的に同じである例を説明した。これに代えて、アシストベルト116bのシート接触領域が、引き込みベルト116aのシート接触領域に対して、シート搬送方向D1の下流側にオフセットしていてもよい。例えば、アシストベルト116bのシート接触領域の上流側の端部位置が、引き込みベルト116aのシート接触領域の上流側の端部位置よりも数mm程度、シート搬送方向D1の下流側にオフセットしていてもよい。この場合、アシストベルト116bが接触状態か退避状態かに関わらず、搬送されてきたシートPに対して最初に接触するのは引き込みベルト116aとなる。これにより、アシストベルト116bが先に接触することでシートの旋回しやすくなる等の不都合を回避し、シートの挙動をより安定させることができる。
【0091】
また、上述した実施形態では、アシストベルト116bをシート幅方向D2において引き込みベルト116aよりも内側に配置する例を説明した。これに限らず、アシストベルト116bをシート幅方向D2において引き込みベルト116aよりも外側に配置してもよい。
【0092】
また、上述した実施形態では、第1引き込み部材及び第2引き込み部材がいずれも男性を有する無端状のベルトである例を説明した。第1引き込み部材及び第2引き込み部材は、ベルトに限らず、ローラ部材や、回転軸上に弾性を有する突起(パドル)が設けられたパドル部材などであってもよい。また、例えば第1引き込み部材がベルトで第2引き込み部材がローラ部材であるように、第1引き込み部材と第2引き込み部材の種類が異なっていてもよい。
【0093】
また、
図6のフローチャートの説明では、アシストベルト116bを退避状態とする場合もアシストベルト116bを回転駆動するものとして説明したが、アシストベルト116bを退避状態とする場合はアシストベルト116bの回転駆動を停止してもよい。この場合、例えばベルト駆動モータ310と駆動ローラ対115bまでの駆動伝達経路に電磁クラッチ等のクラッチ部を設けてもよい。また、引き込みベルト116aを駆動するベルト駆動モータ310とは別に、アシストベルト116bを回転駆動するモータを追加してもよい。
【0094】
上述した実施形態では、グリッパ107a、107bでシートの先端を把持し、当接斜面114aに当接することでシートの先端がグリッパ107a、107bから離脱する構成を例示した。これに限らず、例えばグリッパ107a、107bを開閉可能な構成とし、シートの先端が先端突当て面114bに接近した時にグリッパ107a、107bが開放されることでシートが離脱するようにしてもよい。
【0095】
また、グリッパ107a、107b及びグリッパベルト108を省略し、排出ローラ対105が直接、積載トレイ6上にシートを搬送するようにしてもよい。また、排出ローラ対105がシートを搬送する方向と、引き込みベルト116aがシートを搬送する方向は異なっていてもよい。例えば、排出ローラ対105が、引き込みベルト116aが先端ストッパ114に向けてシートを移動させる方向とは反対方向にシートを搬送して積載トレイ106にシートを排出するようにしてもよい。この場合、積載トレイ106に排出されたシートを、搬送部材(パドル、ローラ等)でシートを先端ストッパ114に向けてシート搬送方向に移動させ、さらに引き込みベルト116aによって先端ストッパ114に突き当ててもよい。
【0096】
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0097】
105、107a、107b、108…搬送手段(排出ローラ対、グリッパ、グリッパベルト)/106…積載部(積載トレイ)/114b…突当て部(先端突当て面)/116a…第1引き込み部材(引き込みベルト)/116b…第2引き込み部材(アシストベルト)/210…制御手段(スタッカ制御部)