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特開2024-173494医薬品提案支援装置、医薬品提案支援システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173494
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】医薬品提案支援装置、医薬品提案支援システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/10 20180101AFI20241205BHJP
【FI】
G16H20/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091945
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】000006769
【氏名又は名称】ライオン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523211774
【氏名又は名称】有限会社ウインファーマ
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100153763
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 広之
(72)【発明者】
【氏名】丸山 美由紀
(72)【発明者】
【氏名】柿木 智宏
(72)【発明者】
【氏名】仲田 篤史
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 伸悟
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝久
(72)【発明者】
【氏名】藤田 勝成
【テーマコード(参考)】
5L099
【Fターム(参考)】
5L099AA25
(57)【要約】
【課題】各個人に合った医薬品の選択を支援する。
【解決手段】表示制御部は、相談者の第一の症状と、平生の健康状態に関する第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した受診勧奨情報を記憶部から読み出し、相談者が受診勧奨情報に含まれる受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する。表示制御部は、相談者が受診勧奨情報に含まれる受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に相談者の第一の症状よりも不調部位の分類について細分化された第二の症状と、第一の症状とは重複しない第三の症状と、第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との一以上からなる組合せに対応した医薬品の医薬品情報を一覧表示するための情報を生成する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一の症状と、
平生の健康状態に関する第一の条件と、
不調部位の分類と
のうち一以上と、
医療機関への受診が勧奨される症状を示す受診勧奨症状とを対応付けた受診勧奨情報、
前記第一の症状よりも前記分類について細分化された第二の症状と、
前記第一の症状と重複しない第三の症状と、
前記第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件と
のうち一以上と、
医薬品とを対応付けた医薬品選択情報、
及び、
前記医薬品それぞれの情報種別ごとの情報を示す医薬品情報を記憶する記憶部から、
相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した前記受診勧奨情報を読み出し、
前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する処理を行い、
前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に前記相談者の第二の症状と、第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件との一以上からなる組合せに対応した一以上の前記医薬品を提案医薬品として前記医薬品選択情報から読み出し、前記提案医薬品それぞれの前記医薬品情報を一覧表示するための情報を生成する表示制御部、
を備える医薬品提案支援装置。
【請求項2】
前記表示制御部は、入力された前記相談者の前記第一の症状と、前記第一の条件と、前記不調部位の分類との一以上からなる前記組合せに基づいて選択した前記受診勧奨情報から受診勧奨症状を読み出して表示し、
前記相談者が表示された前記受診勧奨症状の少なくともいずれかを有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示し、
前記相談者が表示された前記受診勧奨症状のいずれも有さないことが入力された場合に、前記相談者の前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受ける、
請求項1に記載の医薬品提案支援装置。
【請求項3】
前記情報種別ごとの情報は、
前記医薬品の名称と、
前記医薬品の価格と、
前記医薬品の剤型と、
前記医薬品の用法及び用量と、
前記医薬品の有効成分と、
前記医薬品の効能及び効果と、
前記医薬品の禁忌事項と、
前記医薬品を使用する場合に医療機関への相談が推奨される条件を示す相談事項と、
前記医薬品の使用開始後に再相談を行うタイミングと、
車両の運転の可否と、
対象年齢と、
前記医薬品の内容量又は入り数と、
前記医薬品のセルフメディケーション税制優遇対象の該当又は非該当と、
前記医薬品のリスク分類と、
前記医薬品の有効成分及び前記有効成分以外の成分と、
のうち一以上の情報を含む、
請求項1に記載の医薬品提案支援装置。
【請求項4】
前記第一の条件及び第二の条件は、持病と、服用している医薬品とを含む、
請求項1に記載の医薬品提案支援装置。
【請求項5】
購入された前記提案医薬品の前記再相談を行うタイミングの情報に基づいて計算された再相談日まで所定期間となった場合に通知を出力する通知部をさらに備える、
請求項3に記載の医薬品提案支援装置。
【請求項6】
前記医薬品提案支援装置又は前記医薬品提案支援装置の外部の装置が前記記憶部を備える、
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の医薬品提案支援装置。
【請求項7】
第一の症状と、
平生の健康状態に関する第一の条件と、
不調部位の分類と
のうち一以上と、
医療機関への受診が勧奨される症状を示す受診勧奨症状とを対応付けた受診勧奨情報、
前記第一の症状よりも前記分類について細分化された第二の症状と、
前記第一の症状と重複しない第三の症状と、
前記第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件と
のうち一以上と、
医薬品とを対応付けた医薬品選択情報、
及び、
前記医薬品それぞれの情報種別ごとの情報を示す医薬品情報を記憶する記憶部と、
相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した前記受診勧奨情報を前記記憶部から読み出し、
前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する処理を行い、
前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に前記相談者の第二の症状と、第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件との一以上からなる組合せに対応した一以上の前記医薬品を提案医薬品として前記医薬品選択情報から読み出し、前記提案医薬品それぞれの前記医薬品情報を一覧表示するための情報を生成する表示制御部と、
を備える医薬品提案支援システム。
【請求項8】
コンピュータを、
請求項1に記載の医薬品提案支援装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬品提案支援装置、医薬品提案支援システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、日本の医療費は増加傾向である。これは、保険診療での1回の受診において病院での診察・処方箋発行料や保険調剤薬局での調剤基本料など、「医薬品以外の費用」を要することが一つの要因である。医療費を低減するための一つの施策として、この「医薬品以外の費用」を削減すること、すなわち、保険診療以外の対応が挙げられる。保険診療以外の対応には、病院を受診せずに、処方箋を必須とせずに購入可能なOTC(Over The Counter)医薬品(以下、「OTC薬」と記載する)や処方箋医薬品以外の医薬品を活用して、患者自身で軽微な身体不調を改善(セルフメディケーション)することが含まれる。
【0003】
しかし、調剤薬局やドラッグストアに多数並んでいるOTC薬が十分に活用されていない場合がある。その理由として以下が考えられる。一つは、患者がアレルギー、基礎疾患のような身体状態を考慮しつつ、自身でOTC薬の使用可否を判断することは難しいことである。もう一つは、OTC薬の数が膨大なために、最適な薬の選択が困難であるということである。これらの理由から、患者は自分の持病や症状に基づく最適な医薬品を選択できず、医師の診察による症状改善を求めて保険診療を受診する場合がある。
【0004】
加えて、調剤薬局の薬剤師が、医療用医薬品の知識だけでなく、相談機会の少ないOTC薬についても十分に把握することは非常に負荷が高い。医療用医薬品の数も多いが、OTC薬は毎年多く発売されるため新製品も多く、薬剤師がそれら全てを把握すると共に、患者一人一人に適切なOTC薬を選択し、提案するには時間と労力を要する。
【0005】
一方で、患者の疾患情報及び体質情報に基づいて生薬情報又は方剤情報を提供する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-4221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した特許文献1の技術では、各個人が自身に合った医薬品を選択することは依然として難しい場合があった。
【0008】
上記事情に鑑み、本発明は、各個人に合った医薬品の選択を支援することができる医薬品提案支援装置、医薬品提案支援システム及びプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、第一の症状と、平生の健康状態に関する第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上と、医療機関への受診が勧奨される症状を示す受診勧奨症状とを対応付けた受診勧奨情報、前記第一の症状よりも前記分類について細分化された第二の症状と、前記第一の症状と重複しない第三の症状と、前記第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件とのうち一以上と、医薬品とを対応付けた医薬品選択情報、及び、前記医薬品それぞれの情報種別ごとの情報を示す医薬品情報を記憶する記憶部から、相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した前記受診勧奨情報を読み出し、前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する処理を行い、前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に前記相談者の第二の症状と、第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件との一以上からなる組合せに対応した一以上の前記医薬品を提案医薬品として前記医薬品選択情報から読み出し、前記提案医薬品それぞれの前記医薬品情報を一覧表示するための情報を生成する表示制御部、を備える医薬品提案支援装置である。
【0010】
本発明の一態様は、上述の医薬品提案支援装置であって、前記表示制御部は、入力された前記相談者の前記第一の症状と、前記第一の条件と、前記不調部位の分類との一以上からなる前記組合せに基づいて選択した前記受診勧奨情報から受診勧奨症状を読み出して表示し、前記相談者が表示された前記受診勧奨症状の少なくともいずれかを有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示し、前記相談者が表示された前記受診勧奨症状のいずれも有さないことが入力された場合に、前記相談者の前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受ける。
【0011】
本発明の一態様は、上述の医薬品提案支援装置であって、前記情報種別ごとの情報は、前記医薬品の名称と、前記医薬品の価格と、前記医薬品の剤型と、前記医薬品の用法及び用量と、前記医薬品の有効成分と、前記医薬品の効能及び効果と、前記医薬品の禁忌事項と、前記医薬品を使用する場合に医療機関への相談が推奨される条件を示す相談事項と、前記医薬品の使用開始後に再相談を行うタイミングと、車両の運転の可否と、対象年齢と、前記医薬品の内容量又は入り数と、前記医薬品のセルフメディケーション税制優遇対象の該当又は非該当と、前記医薬品のリスク分類と、前記医薬品の有効成分及び前記有効成分以外の成分と、のうち一以上の情報を含む。例えば、医薬品の禁忌事項は、添付文書に記載された禁忌事項であり、相談事項は、医薬品の添付文書に記載された相談事項である。
【0012】
本発明の一態様は、上述の医薬品提案支援装置であって、前記第一の条件及び第二の条件は、持病と、服用している医薬品とを含む。
【0013】
本発明の一態様は、上述の医薬品提案支援装置であって、購入された前記提案医薬品の前記再相談を行うタイミングの情報に基づいて計算された再相談日まで所定期間となった場合に通知を出力する通知部をさらに備える。
【0014】
本発明の一態様は、上述の医薬品提案支援装置であって、前記医薬品提案支援装置又は前記医薬品提案支援装置の外部の装置が前記記憶部を備える。
【0015】
本発明の一態様は、第一の症状と、平生の健康状態に関する第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上と、医療機関への受診が勧奨される症状を示す受診勧奨症状とを対応付けた受診勧奨情報、前記第一の症状よりも前記分類について細分化された第二の症状と、前記第一の症状と重複しない第三の症状と、前記第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件とのうち一以上と、医薬品とを対応付けた医薬品選択情報、及び、前記医薬品それぞれの情報種別ごとの情報を示す医薬品情報を記憶する記憶部と、相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した前記受診勧奨情報を前記記憶部から読み出し、前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する処理を行い、前記相談者が読み出された前記受診勧奨情報に含まれる前記受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に前記相談者の第二の症状と、第三の症状と、前記第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された前記第二の症状と、前記第三の症状と、前記第二の条件との一以上からなる組合せに対応した一以上の前記医薬品を提案医薬品として前記医薬品選択情報から読み出し、前記提案医薬品それぞれの前記医薬品情報を一覧表示するための情報を生成する表示制御部と、を備える医薬品提案支援システムである。
【0016】
本発明の一態様は、コンピュータを、上述した医薬品提案支援装置として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0017】
本発明により、各個人に合った医薬品の選択を支援するための情報を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態による医薬品提案支援システムの構成例を示す図である。
図2】同実施形態による医薬品提案支援装置の構成例を示す図である。
図3】同実施形態による分類情報の例を示す図である。
図4】同実施形態による受診勧奨情報の例を示す図である。
図5】同実施形態による医薬品選択条件情報の例を示す図である。
図6】同実施形態による医薬品選択情報の例を示す図である。
図7】同実施形態による医薬品情報の例を示す図である。
図8】同実施形態による購入履歴情報の例を示す図である。
図9】同実施形態による医薬品提案支援システムの医薬品提案処理を示すフロー図である。
図10】同実施形態による画面表示例を示す図である。
図11】同実施形態による画面表示例を示す図である。
図12】同実施形態による画面表示例を示す図である。
図13】同実施形態による画面表示例を示す図である。
図14】同実施形態による医薬品提案支援装置の購入登録処理を示すフロー図である。
図15】同実施形態による医薬品提案支援装置の再相談通知処理を示すフロー図である。
図16】第2の実施形態による医薬品提案支援システムの構成例を示す図である。
図17】同実施形態による医薬品提案支援装置の構成例を示す図である。
図18】同実施形態による端末装置の構成例を示す図である。
図19】第1及び第2の実施形態の医薬品提案支援装置のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0020】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態による医薬品提案支援システム1の構成例を示す図である。図1においては、本実施形態と関係する機能ブロックのみを抽出して示してある。医薬品提案支援システム1は、医薬品提案支援装置2と、薬局用コンピュータ3と、在庫管理装置4とを有する。医薬品提案支援装置2と、薬局用コンピュータ3と、在庫管理装置4とは、ネットワークNを介して通信する。ネットワークNは、例えば、VPN(Virtual Private Network)やLAN(Local Area Network)などの私設網でもよく、インターネットなどの公衆網でもよく、私設網と公衆網との組合せでもよい。医薬品提案支援装置2と薬局用コンピュータ3との間のネットワークと、医薬品提案支援装置2と在庫管理装置4との間のネットワークとが異なっていてもよい。
【0021】
なお、第1の実施形態では、薬局用コンピュータ3と在庫管理装置4とを有した態様で以後説明するが、有しなくても、本願発明の効果を奏することはできる。
【0022】
医薬品提案支援装置2は、例えば、薬局やドラッグストアにおいて用いられ、薬剤師や登録販売者によって操作される。薬局やドラッグストアにおいて医薬品の購入を検討している顧客を相談者と記載する。医薬品提案支援装置2は、薬剤師や登録販売者により入力された相談者の問診結果に基づいて、相談者に提案する医薬品薬の一覧を表示する。なお、相談者自身が、薬局やドラッグストアなどが保有する医薬品提案支援装置2を操作してもよい。また、相談者が医薬品提案支援装置2を操作する場合、医薬品提案支援装置2は、相談者のコンピュータ端末であってもよい。この場合、医薬品提案支援装置2は、薬局やドラッグストア以外でも使用されうる。医薬品とは、例えば、一般用医薬品(OTC薬)及び処方箋医薬品以外の医薬品である。ここでは、医薬品の例として、主に、OTC薬を提案する場合を例に記載する。
【0023】
薬局用コンピュータ3は、例えば、レセコンである。薬局用コンピュータ3は、調剤薬局の業務に関する処理を実行する。薬局用コンピュータ3は、複数の患者それぞれの患者属性、薬歴、問診結果等の各種データを管理する。薬局用コンピュータ3は、医薬品提案支援装置2から受信した問診結果に基づく支援情報の提供依頼を受け付け、患者属性、問診結果及び処方箋のデータを参照して、相談者に対して直近(例えば、2週間以内)に服用歴のある処方薬の情報を生成する。薬局用コンピュータ3は、生成した支援情報を医薬品提案支援装置2に提供する。なお、薬局用コンピュータ3は、医薬品提案支援装置2から問診結果に基づく情報の提供依頼を受け付けた場合に、情報の生成を外部サーバに依頼し、外部サーバによって生成された情報を取得することにより、医薬品提案支援装置2に情報を提供してもよい。なお、医薬品提案支援装置2と薬局用コンピュータ3とが、一体の装置でもよい。
【0024】
在庫管理装置4は、薬局やドラッグストアにおいて販売される各医薬品の在庫を管理する。また、在庫管理装置4は、医薬品の発注処理を行う。薬局用コンピュータ3と在庫管理装置4とが一体の装置でもよく、医薬品提案支援装置2と在庫管理装置4とが一体の装置でもよい。
【0025】
図2は、医薬品提案支援装置2の構成を示すブロック図である。医薬品提案支援装置2は、例えば、パーソナルコンピュータやタブレット端末などの情報処理装置により実現される。医薬品提案支援装置2は、通信部21と、記憶部22と、処理部23と、入力部28と、表示部29とを備える。
【0026】
通信部21は、ネットワークNを介したデータの送受信を行う。記憶部22は、各種データを記憶する。記憶部22は、分類DB(データベース)221と、受診勧奨症状DB222と、医薬品選択条件DB223と、医薬品選択DB224と、医薬品DB225と、購入履歴DB226とを有する。
【0027】
分類DB221は、分類情報を記憶する。分類情報は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上の組合せに基づく相談分類を示す。
第一の条件は、持病、服用中の医薬品など、服薬に制限が生じうる相談者の平生の健康状態に関する条件である。
【0028】
受診勧奨症状DB222は、受診勧奨情報を記憶する。受診勧奨情報は、第一の症状と、第二の条件と、不調部位の分類とのうち一以上の組合せにより示される相談分類別の受診勧奨症状を示す。受診勧奨症状は、医療機関への受診が勧奨される症状を示す。
【0029】
医薬品選択条件DB223は、医薬品選択条件情報を記憶する。医薬品選択条件情報は、相談者に提案する医薬品(以下、提案医薬品と記載)を選択するための条件として用いられる第二の症状、第三の症状、及び、第二の条件のリストを示す。
第二の症状は、第一の症状よりも不調部位の各分類について細分化された症状である。
第三の症状は、第一の症状と重複しない症状である。
第二の条件は、第一の条件と重複しない持病、服用中の医薬品などの平生の健康状態に関する条件である。
【0030】
医薬品選択DB224は、医薬品選択情報を記憶する。医薬品選択情報は、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち一以上からなる組合せに応じて提案されるOTC薬等の医薬品を示す。
【0031】
医薬品DB225は、医薬品情報を記憶する。医薬品情報は、各医薬品の情報種別ごとの詳細な情報である医薬品詳細情報を示す。情報種別は、例えば、医薬品名、価格、成分、効能及び効果、禁忌事項、相談事項、再相談タイミングなどを含む。相談事項とは、医薬品の使用について医療機関や薬剤師等へ相談することが推奨される事項を示す。再相談タイミングは、医薬品の使用開始後に医療機関や薬剤師等へ再相談を行うことが推奨されるタイミングである。購入履歴DB226は、購入履歴情報を記憶する。購入履歴情報は、相談者が購入したOTC薬等の医薬品の購入履歴を示す。
【0032】
処理部23は、情報取得部24と、表示制御部25と、購入記録部26と、通知部27とを有する。情報取得部24は、入力部28により入力された情報を取得する。情報取得部24は、分類用情報取得部241と、判定用情報取得部242と、医薬品選択用情報取得部243とを有する。
【0033】
分類用情報取得部241は、入力部28により入力された分類用情報を取得する。分類用情報は、相談分類を決定するために用いられる情報であり、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上からなる。判定用情報取得部242は、入力部28により入力された、相談者の受診勧奨症状に関する情報を取得する。医薬品選択用情報取得部243は、入力部28により入力された医薬品選択用情報を取得する。医薬品選択用情報は、相談者の第二の症状、第三の症状、第二の条件のうち一以上を含む。
【0034】
表示制御部25は、表示部29への表示を制御する。表示制御部25は、分類用情報表示制御部251と、受診勧奨症状表示制御部252と、表示判定部253と、提案表示制御部254とを有する。分類用情報表示制御部251は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一覧を表示するための情報を生成し、その情報を表示部29に表示させる。受診勧奨症状表示制御部252は、分類用情報取得部241が取得した分類用情報が示す第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち1以上からなる組合せに対応した相談分類を分類DB221から読み出す。受診勧奨症状表示制御部252は、読み出された相談分類に対応した受診勧奨症状を受診勧奨症状DB222から読み出し、表示部29に表示する。
【0035】
表示判定部253は、判定用情報取得部242がいずれかの受診勧奨症状を示す情報を取得した場合、医療機関の受診を勧奨すると決定し、表示部29に受診勧奨を表示する。表示判定部253は、判定用情報取得部242がいずれの受診勧奨症状もないことを示す情報を取得した場合、OTC薬等の医薬品の提案を行うと判断する。この場合、表示判定部253は、相談分類に対応した医薬品選択条件を医薬品選択条件情報から読み出して表示部29に表示する。
【0036】
提案表示制御部254は、医薬品選択用情報取得部243が取得した医薬品選択用情報が示す第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との1以上からなる組合せに基づいて選択したOTC薬等の医薬品の情報を医薬品選択情報から読み出す。提案表示制御部254は、読み出した医薬品を提案医薬品とする。提案表示制御部254は、提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を医薬品DB225から読み出す。提案表示制御部254は、各提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を一覧表示する提案画面を表示部29に表示する。なお、提案画面には、一部の情報種別の医薬品詳細情報を表示してもよい。表示させる情報種別は、予め決められてもよく、入力部28により入力されてもよい。
【0037】
購入記録部26は、入力部28により入力された情報に基づき、購入履歴情報を購入履歴DB226に書き込む。通知部27は、購入履歴に基づく情報を通知する。
【0038】
入力部28は、医薬品提案支援装置2にデータを入力する。入力部28は、例えば、タッチパネルに配されたタッチセンサや、キーボード、マウス、ボタンなど、ユーザ操作を入力するデバイスである。また、入力部28は、バーコードリーダや、ICタグリーダーでもよい。表示部29は、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の画像表示装置である。表示部29は、情報を表示する。
【0039】
なお、医薬品提案支援装置2と接続される他の装置が記憶部22を有してもよい。例えば、分類DB221と、受診勧奨症状DB222と、医薬品選択条件DB223と、医薬品選択DB224と、医薬品DB225と、購入履歴DB226との一部又は全てが、医薬品提案支援装置2とネットワークNを介して接続されるデータベースサーバに記憶されていてもよい。また、薬局用コンピュータ3又は在庫管理装置4が、医薬品提案支援装置2の一部の機能を有してもよい。
【0040】
図3は、分類DB221に記憶される分類情報の例を示す図である。分類情報は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上からなる組合せと、相談分類とを対応付けた情報である。組合せは、組合せを構成する要素が一つの場合も含む。分類情報は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一覧を表示する画像データに埋め込まれた情報でもよい。
【0041】
図4は、受診勧奨症状DB222に記憶される受診勧奨情報の例を示す図である。図4の例では、受診勧奨情報は、相談分類と、受診勧奨症状のリストとを対応付けた情報となっている。受診勧奨情報は、受診勧奨症状の一覧を表示する画像データに埋め込まれた情報でもよい。
【0042】
図5は、医薬品選択条件DB223に記憶される医薬品選択条件情報の例を示す図である。医薬品選択条件情報は、相談分類と、組合せリストと、組合せIDとを対応付けた情報である。組合せリストは、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち1以上からなる組合せのリストを示す。組合せは、組合せを構成する要素が一つの場合も含む。組合せIDは、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち1以上からなる組合せを特定する情報である。医薬品選択条件情報は、相談分類別の第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との一覧を表示する画像データ又は第二の症状と、第三の症状と、第二の条件の組合せのリストを表示する画像データに埋め込まれた情報でもよい。
【0043】
図6は、医薬品選択DB224に記憶される医薬品選択情報の例を示す図である。医薬品選択情報は、医薬品IDと、組合せIDとを対応付けた情報である。組合せIDは、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち一以上からなる組合せを特定する。医薬品IDは、OTC薬などの医薬品を特定する情報である。医薬品IDにより特定される医薬品は、対応する組合せIDにより特定される第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との組合せに対して効果がある医薬品である。
【0044】
図7は、医薬品DB225に記憶される医薬品情報の例を示す図である。医薬品情報は、医薬品それぞれの医薬品IDと、情報種別ごとの医薬品詳細情報とを示す。医薬品詳細情報は、医薬品名、内容量又は入り数、価格、剤型、用法・用量、主成分、成分・分量、有効成分・有効成分以外の成分、効能・効果、禁忌事項、相談事項、再相談タイミング、運転の可否、対象年齢、医薬品の画像データ(例えば医薬品のパッケージの画像や医薬品そのものの画像)、セルフメディケーション税制優遇対象の該当又は非該当、リスク分類の情報を含む。医薬品名、内容量又は入り数、剤型、用法・用量、主成分、成分・分量、有効成分・有効成分以外の成分、効能・効果、禁忌事項、相談事項、再相談タイミング、運転の可否、対象年齢、リスク分類などは、医薬品の添付文書に記載の情報でもよい。リスク分類は、例えば、要指導医薬品、第1類医薬品、第2類医薬品、第3類医薬品、等である。なお、詳細情報は、これらに限定されない。また、医薬品詳細情報に代えて、医薬品詳細情報へのリンクが設定されてもよい。リンク先は、医薬品提案支援装置2と接続される外部の装置が記憶する情報でもよい。例えば、リンク先を薬局用コンピュータ3又は外部の装置に記憶されている添付文書の所定の項目や、在庫管理装置4に記憶されている医薬品名、価格、医薬品の画像データなどとしてもよい。
【0045】
図8は、購入履歴DB226に記憶される購入履歴情報の例を示す図である。購入履歴情報は、相談者の顧客ID、購入した医薬品の医薬品ID、購入日、再相談日等を対応付けた情報である。顧客IDは、相談者を一意に特定する情報である。例えば、顧客IDは、薬局用コンピュータ3において患者を特定するための情報としても用いられる。再相談日は、医薬品の使用開始日からその医薬品の再相談タイミングが経過した日である。ここでは、医薬品の使用開始日が、医薬品の購入日であるとする。
【0046】
図9は、医薬品提案支援システム1の医薬品提案処理の動作を示すフロー図である。
医薬品提案支援装置2の入力部28により相談開始が入力されると、分類用情報表示制御部251は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一覧の中から該当する症状又は不調部位を選択可能に表示する分類選択画面を表示部29に表示させる。
第一の症状は、例えば「風邪」、「頭痛」、「口内炎」などである。
第一の条件は、例えば相談者の服用中の医薬品や持病など、『服薬に制限が生じうる』相談者の属性や平生の健康状態に関する条件である。
また、不調部位の分類は、例えば「鼻」、「目」、「皮膚」などである。
【0047】
分類用情報表示制御部251は、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一部又は全てを、テキストで入力するための入力フィールドを表示する画面を表示してもよい。また、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とを、複数の画面に分けて入力させるようにしてもよい。また、第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とを、任意の順で入力してもよい。分類用情報取得部241は、入力部28により入力された第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一以上からなる組合せを設定した分類用情報を取得し、受診勧奨症状表示制御部252に出力する(ステップS1)。なお、分類用情報取得部241は、第一の条件を、薬局用コンピュータ3から読み出してもよく、電子カルテを保持する外部のサーバから読み出してもよい。また、分類用情報取得部241は、不調部位が入力された場合、分類用情報にはその分類に変換して設定する。
【0048】
受診勧奨症状表示制御部252は、分類用情報が示す第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との組合せに対応した相談分類を分類DB221から読み出す(ステップS2)。さらに、受診勧奨症状表示制御部252は、読み出した相談分類に対応した受診勧奨症状のリストを受診勧奨症状DB222から読み出す。
例えば、第一の症状が風邪であることによって決定された相談分類の場合、「38度以上の熱」、「熱+発疹」、「熱+耳下腺のはれ・痛み」、「熱+強い頭痛・首のこわばり」、「腰痛」、「動悸」、「めまい」、「息が苦しい」、「激しい咳」、「ずっと風邪がなおらない」、などの受診勧奨症状が読み出される。受診勧奨症状表示制御部252は、読み出した受診勧奨症状のリストの中から該当する受診勧奨症状又は該当する受診勧奨症状なしを選択可能に表示する受診勧奨症状表示画面を表示部29に表示させる(ステップS3)。
【0049】
入力部28により、いずれかの受診勧奨症状、又は、該当する受診勧奨症状なしが入力されると(ステップS4)、判定用情報取得部242は、入力された情報を設定した判定用情報を表示判定部253に出力する。
【0050】
なお、ステップS3において、受診勧奨症状表示制御部252は、相談者の症状をテキストにより入力させるための入力フィールドを表示してもよい。ステップS4において、相談者の症状が入力されると、判定用情報取得部242は、入力された症状を設定した判定用情報を表示判定部253に出力する。
【0051】
表示判定部253は、判定用情報に基づいて受診勧奨を表示するか、医薬品選択用情報を入力するための画面を表示するかを判定する(ステップS5)。表示判定部253は、判定用情報がいずれかの受診勧奨症状を示す場合(ステップS5:YES)、表示部29に医療機関の受診を勧奨する旨を表示する(ステップS6)。
【0052】
一方、表示判定部253は、判定用情報が該当する受診勧奨症状なしを示す場合(ステップS5:NO)、医薬品選択用情報を入力するための画面を表示すると決定する。医薬品選択用情報は、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との一以上の組合せにより示される。表示判定部253は、ステップS2において読み出された相談分類に対応した組合せリスト及び組合せIDを医薬品選択条件DB223から読み出す。
【0053】
表示判定部253は、読み出した組合せリストの中から該当する第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との組合せを選択可能に表示する医薬品選択用情報入力画面を表示部29に表示させる(ステップS7)。
【0054】
例えば、相談分類が風邪の場合、医薬品選択用情報入力画面では、38度未満の熱、軽度な頭痛、のどの痛み、時々出て来る程度の咳、おなかの不快感のなどの第一の症状の分類よりも細分化された第二の症状、及び、第一の症状とは重複しない第三の症状と、花粉症などの『服薬に制限が生じ難い』持病や服用中の薬等の第一の条件には重複しない第二の条件とを選択可能に表示する。なお、「重複しない」とは、症状が異なることだけでなく、症状の軽重のレベル感の違いも含む。
【0055】
表示判定部253は、医薬品選択用情報入力画面における組合せリストの表示に、その組合せリストの組合せIDを対応付ける。さらに、医薬品選択用情報入力画面では、日常生活で運転するか否かなどの相談者の付加情報を選択可能に表示してもよい。なお、表示判定部253は、第二の症状、第三の症状、及び、第二の条件のうち一以上をテキストにより入力させるための入力フィールドを表示してもよい。また、複数の医薬品選択用情報入力画面により入力を行ってもよい。また、第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とを、任意の順で入力してもよい。
【0056】
医薬品選択用情報取得部243は、入力部28により選択された第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との組合せを表す組合せIDを提案表示制御部254に出力する(ステップS8)。
なお、医薬品選択用情報取得部243は、第二の条件を、薬局用コンピュータ3から読み出してもよく、電子カルテを保持する外部のサーバから読み出してもよい。
提案表示制御部254は、組合せIDに対応した医薬品IDを医薬品選択DB224から読み出す(ステップS9)。
提案表示制御部254は、読み出した医薬品IDにより特定される提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を医薬品DB225から読み出す。
提案表示制御部254は、提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を一覧表示する提案画面を表示部29に表示させる(ステップS10)。
提案画面には、予め決められた、又は、入力部28により入力された一部の情報種別の医薬品詳細情報を一覧表示してもよい。
【0057】
提案表示制御部254は、読み出した医薬品詳細情報に禁忌事項がある場合、提案画面に禁忌事項を表示させる。また、提案表示制御部254は、薬局用コンピュータ3から読み出した相談者の情報や、入力部28により入力された付加情報や症状に基づいて提案医薬品の禁忌事項に該当すると判断した場合には、提案医薬品提案画面への表示対象からその提案医薬品を除外してもよい。例えば、提案表示制御部254は、日常生活で運転する旨の付加情報が入力され、かつ、医薬品詳細情報に運転不可が設定されている場合には、表示対象から除外してもよい。また、提案表示制御部254は、入力部28により入力された車両の運転、症状などのほか、薬局用コンピュータ3へ問合せて取得した支援情報が示す使用中の医薬品、持病、年齢などを相談者の情報として用い、禁忌事項に該当するかを判断してもよい。また、禁忌事項がない場合、提案表示制御部254は、禁忌事項がない旨を提案画面に表示してもよい。また、提案表示制御部254は、医薬品詳細情報に含まれる情報を検索キーに用いて予め記憶部22又は外部の装置に記憶されている情報を読み出して提案画面に表示してもよい。例えば、主成分に対応した効能などの情報を提案画面に表示してもよく、提案医薬品の在庫に関する情報を在庫管理装置4から読み出して表示してもよい。また、一部の医薬品詳細情報については提案画面に折りたたんで見出しを表示してもよい。提案表示制御部254は、入力部28により見出しの展開が入力された場合に、折りたたんでいた医薬品詳細情報を展開して表示する。
【0058】
なお、ステップS10において提案画面が表示された後、さらに、入力部28により相談者の症状、持病や服用中の薬などの情報を例えばキーワードとして入力してもよい。医薬品提案支援装置2の処理部23は、入力された持病や服用中の薬の情報を第一の条件に加えてステップS2からの処理を行う。また、処理部23は、入力された症状がステップS3において読み出された受診勧奨症状に合致する場合には、ステップS6の処理を行う。処理部23は、入力された症状の情報が、受診勧奨症状のいずれにも当てはまらない場合、ステップS8において選択された第二の症状、第三の症状及び第二の条件の組合せに、入力された症状の情報を加えた新たな組合せの組合せIDを用いて、ステップS9からの処理を行う。このように、相談者の症状や、相談者の持病や服用中の薬の情報は、任意のタイミングで追加の入力が可能である。
【0059】
また、追加に限らず、ステップS8または/およびステップS9が必須ではない場合、スキップしてもよい。例えば、水虫であればすぐに判断できるため、ステップS8やステップS9を実行することなく、ダイレクトにステップS10の処理を行い、提案画面を表示できる。
また、ステップS8がない場合、ステップS10にダイレクト表示してもよい。
また、ステップS7が最終表示でもあっても、ステップS10が最終表示であってもよい。
【0060】
また、ステップS10において提案画面が表示された後、さらに、入力部28により運転の有無など付加情報が入力された場合、提案表示制御部254は、現在得られている提案医薬品から、新たに入力された付加情報が禁忌事項に該当する提案医薬品を除いた提案医薬品についての提案画面を表示してもよい。
【0061】
また、医薬品提案支援装置2の処理部23は、異なる相談分類について図9の処理を行った結果得られた提案医薬品同士の飲み合わせを判断し、注意する飲み合わせであった場合にはその旨を表示部29に表示してもよい。この場合、注意する飲み合わせの医薬品の情報を予め記憶部22又は外部の装置に記憶しておく。例えば、処理部23は、注意する飲み合わせの医薬品を、医薬品に含まれる成分・分量に基づいて選択してもよい。また、処理部23は、注意する飲み合わせの医薬品については提案医薬品から除外し、除外されなかった提案医薬品の提案画面を表示部29に表示してもよい。
【0062】
また、医薬品提案支援装置2の処理部23は、市場で頻繁に処方されている医療用医薬品との注意する飲み合わせの提案医薬品の情報を表示部29に表示してもよい。例えば、処理部23は、薬局用コンピュータ3から相談者に高血圧の基礎疾患があることを読み出した場合、「アムロジピン」と「メチルエフェドリン(またはプソイドエフェドリン)」を含む提案医薬品の併用は、血圧低下効果の低減リスクがあることを提案画面に表示する。
【0063】
なお、医薬品提案支援装置2は、第一の症状、第一の条件、及び、不調部位の一覧の表示と、受診勧奨症状の表示と、禁忌事項の該当判定との一部又は全てを同時に行ってもよく、順番に行ってもよい。また、医薬品提案支援装置2は、適宜上記の処理の順番を入れ替えて実行してもよい。
【0064】
また、医薬品提案支援装置2は、相談事項の確認画面を表示部29に表示してもよい。また、医薬品提案支援装置2は、相談事項の確認を、禁忌事項の該当判定と同時に行ってもよい。また、医薬品提案支援装置2は、相談事項の確認を、受診勧奨の判定と同時に行ってもよい。
【0065】
なお、相談事項に限らず、他に除く項目(粉の剤形は希望しない、運転するため眠気のあるものは希望しない、高額な医薬品は希望しない、セルフメディケーション税制優遇の医薬品以外は希望しない)であってもよい。除く項目とは、提案医薬品として選択する対象から除外する条件を示す。
【0066】
図10は、分類選択画面の表示例を示す図である。分類選択画面には、「風邪・発熱」、「不眠」、「疲労」などの第一の症状や、「目」などの不調部位の分類を選択可能に表示する。操作者は、入力部28により第一の症状、又は、不調部位の分類の表示を選択する。分類用情報取得部241は、選択された第一の症状、又は、不調部位の分類と、分類選択画面とは異なる画面において入力された第一の条件とを示す分類用情報を分類用情報表示制御部251に出力する。なお、分類選択画面に第一の条件の入力フィールドを設けてもよい。
【0067】
図11は、受診勧奨症状表示画面の表示例を示す図である。図11に示す受診勧奨症状表示画面には、相談分類「風邪・発熱」の受診勧奨症状のリストが表示されている。受診勧奨症状は、1以上の症状により表される。図11の場合、38度以上の熱、熱と発疹、熱と耳下腺のはれ・痛み、腰痛、動悸、めまい、息が苦しいなどの受診勧奨症状が表示されている。操作者は、入力部28により、該当する受診勧奨症状のチェックボックス、あるいは、「いずれも該当しない」の表示を選択する。判定用情報取得部242は、チェックボックスが選択された場合、選択されたチェックボックスに対応した受診勧奨症状を設定した判定用情報を表示判定部253に出力し、「いずれも該当しない」が選択された場合、該当する受診勧奨症状なしを設定した判定用情報を表示判定部253に出力する。表示判定部253は、判定用情報がいずれかの受診勧奨症状を示す場合、受診勧奨表示P1を表示部29に表示する。
【0068】
図12は、医薬品選択用情報入力画面の表示例を示す図である。図12に示す医薬品選択用情報入力画面には、相談分類「風邪・発熱」の第二の症状及び第三の症状の組合せのリストが表示されている。ここでは、第二の条件については、図12に示す医薬品選択用情報入力画面とは異なる画面で入力させる。図12に示す医薬品選択用情報入力画面には、「全般的に症状 特に熱、頭痛、のど」の症状の組合せや、「熱 頭痛 のど のみ」で「特に 熱 頭痛」の詳細症状の組合せ、「熱 頭痛 のど のみ」で「特に 熱 頭痛」かつ「のどもつらい」といった症状の組合せが表示される。また、一部の症状の組合せについては、運転の有無の付加情報をさらに組合せて表示している。操作者は、入力部28により、該当する症状の組合せ、又は、症状と付加情報の組合せに対応した番号A1~A16のいずれかを選択する。医薬品選択用情報取得部243は、選択された番号に応じた組合せIDを設定した症状選択情報を提案表示制御部254に出力する。なお、医薬品選択用情報入力画面に第二の条件の入力フィールドを設けてもよい。また、禁忌事項を第二の条件の入力フィールドに入力できるようにしてもよい。
【0069】
図13は、提案画面の表示例を示す図である。図13に示す提案画面では、提案医薬品の画像(C1)と、医薬品名(C2)と、内容量(C3)、金額(C4)、用法・用量(C5)、主成分(C6)、成分・分量(C7)、効能・効果(C8)、禁忌(C9)、相談事項(C10)、再相談タイミング(C11)などが表示されている。さらに、提案画面には、提案医薬品の在庫の有無(C12)を表示している。例えば、提案表示制御部254は、在庫管理装置4から読み出した提案医薬品の在庫の有無の情報を提案画面に表示する。また、禁忌がない提案医薬品には、禁忌がないことを表す画像C13を表示したり、運転不可の提案医薬品には運転不可を表す画像C14を表示したり、提案医薬品の対象年齢を表す画像C15を表示したり、提案医薬品が生薬であることを表す画像C16を表示したりすることにより、提案医薬品の特徴をわかり易く提示する。このように、複数のOTC薬等の医薬品に関する情報を並べて一覧表示するため、相談者、薬剤師、登録販売者は容易に対比判断が可能となる。
【0070】
また、提案表示制御部254は、提案画面に各提案医薬品の発注ボタンをさらに表示してもよい。また、提案表示制御部254は、各提案医薬品のうち在庫量が少ないことを示す所定の条件を満たした場合に、その提案医薬品について発注ボタンを表示してもよい。この場合、提案表示制御部254は、各提案医薬品のうち在庫量が少ないことを示す所定の条件を満たしていない提案医薬品については発注ボタンを表示しないように構成されてもよい。在庫量が少ないことを示す所定の条件は、例えば予め決められた値よりも在庫量が少なくなったことであってもよいし、予め定められた最大値に対する在庫量の割合が閾値よりも少なくなったことであってもよいし、他の態様で定義されてもよい。入力部28により提案医薬品の発注ボタンが押下された場合、処理部23は、在庫管理装置4に提案医薬品の発注処理を要求する。
【0071】
図14は、医薬品提案支援装置2の購入登録処理の動作を示すフロー図である。購入登録処理の前に、医薬品提案支援装置2の記憶部22又は薬局用コンピュータ3に、相談者の顧客IDと連絡先とを示す顧客管理情報が予め登録されているとする。連絡先は、電子的なメッセージの送信先のアドレスを示す。
【0072】
相談者が医薬品を購入した場合、顧客ID、購入された医薬品の医薬品ID、購入日などを含む購入情報が医薬品提案支援装置2の入力部28により入力される(ステップS21)。医薬品提案支援装置2は、POS(Point Of Sale)システムから購入情報の全て又は一部を受信してもよい。購入記録部26は、入力された購入情報に設定されている医薬品IDに対応した再相談タイミングを医薬品DB225から読み出す。購入記録部26は、購入日と再相談タイミングとに基づいて再相談日を決定する(ステップS22)。購入記録部26は、受信した購入情報に、再相談日を付加して生成した購入履歴情報を購入履歴DB226に格納する(ステップS23)。
【0073】
図15は、医薬品提案支援装置2の再相談通知処理の動作を示すフロー図である。医薬品提案支援装置2の通知部27は、1日1回など定期的に購入履歴DB226を参照し、再相談日が明日であるなど、再相談日が本日から所定日以内の購入履歴情報を特定する(ステップS31)。通知部27は、特定した購入履歴情報に設定されている顧客IDに対応した連絡先を医薬品提案支援装置2又は薬局用コンピュータ3に記憶されている顧客管理情報から読み出す。通知部27は、読み出した連絡先宛てに再訪、又は、相談を促すメッセージと再相談日とを送信する(ステップS32)。
【0074】
また、医薬品提案支援装置2の処理部23は、購入履歴DB226に記憶されている購入履歴情報に基づいてOTC薬等の医薬品の売り上げ等に関する統計情報の生成や解析を行ってもよい。
【0075】
なお、上記の第1の実施形態の各ステップの順序は、あくまで例であり、本願発明はこの順序に制限されず、ステップを入替えたりスキップしたりなどの多様な変形態様も許容する。後述の第2の実施形態も同じである。
【0076】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の医薬品提案支援システムは、サーバクライアントシステムにより実現される。第2の実施形態を、第1の実施形態との差分を中心に説明する。
【0077】
図16は、第2の実施形態による医薬品提案支援システム10の構成例を示す図である。図16において、図1に示す第1の実施形態における医薬品提案支援システム1と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図16に示す医薬品提案支援システム10が、図1に示す医薬品提案支援システム1と異なる点は、医薬品提案支援装置2に代えて、医薬品提案支援装置5及び端末装置6を有する点である。医薬品提案支援装置5と、端末装置6とは、ネットワークNを介して通知する。医薬品提案支援装置5と在庫管理装置4との間、及び、医薬品提案支援装置5と薬局用コンピュータ3との間の一方又は両方は、ネットワークNとは異なるネットワークにより接続されてもよい。
【0078】
医薬品提案支援装置5は、1台以上の端末装置6と接続される。端末装置6は、例えば、薬局やドラッグストアにおいて用いられ、薬剤師や登録販売者によって操作される。1個所の店舗において1台以上の端末装置6が使用される。医薬品提案支援装置5は、同一店舗の複数台の端末装置6と接続されてもよく、2以上の店舗それぞれの1台以上の端末装置6と接続されてもよい。端末装置6は、入力された相談者の問診結果を医薬品提案支援装置5に送信する。端末装置6は、送信した問診結果に対応して医薬品提案支援装置5が選択した提案医薬品の一覧を表示する。なお、相談者が、薬局やドラッグストアなどに設置された端末装置6を操作してもよい。また、端末装置6は、相談者のコンピュータ端末であってもよい。この場合、端末装置6は、薬局やドラッグストア以外でも使用されうる。
【0079】
図17は、医薬品提案支援装置5の構成を示すブロック図である。医薬品提案支援装置5は、例えば、サーバコンピュータにより実現される。図17において、図2に示す第1の実施形態による医薬品提案支援装置2と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。医薬品提案支援装置5は、通信部21と、記憶部22と、処理部51と、入力部28と、表示部29とを備える。
【0080】
処理部51は、情報取得部52と、表示制御部53と、購入記録部54と、通知部27とを有する。情報取得部52は、端末装置6に入力された情報及び入力部28に入力された情報を取得する。情報取得部52は、分類用情報取得部521と、判定用情報取得部522と、医薬品選択用情報取得部523とを有する。分類用情報取得部521、判定用情報取得部522、及び、医薬品選択用情報取得部523のそれぞれが、第1の実施形態の分類用情報取得部241、判定用情報取得部242、及び、医薬品選択用情報取得部243と異なる点は、入力部28により入力された情報に代えて、端末装置6に入力された情報を取得することも可能な点である。
【0081】
表示制御部53は、表示部29及び端末装置6への表示を制御する。具体的には、表示制御部53は、表示部29に表示される画面の情報や、端末装置6に表示される画面の情報を生成する。表示制御部53は、分類用情報表示制御部531と、受診勧奨症状表示制御部532と、表示判定部533と、提案表示制御部534とを有する。分類用情報表示制御部531、受診勧奨症状表示制御部532、表示判定部533、及び、提案表示制御部534のそれぞれが、第1の実施形態の分類用情報表示制御部251、受診勧奨症状表示制御部252、表示判定部253、及び、提案表示制御部254と異なる点は、表示部29に画面を表示する代わりに、端末装置6に画面を表示することも可能な点である。
【0082】
購入記録部54は、購入情報を端末装置6から受信した場合も、第1の実施形態の購入記録部26と同様の処理を行い、購入履歴情報を購入履歴DB226に書き込む。
【0083】
なお、医薬品提案支援装置5と接続される他の装置が記憶部22を有してもよい。例えば、分類DB221と、受診勧奨症状DB222と、医薬品選択条件DB223と、医薬品選択DB224と、医薬品DB225と、購入履歴DB226の一部又は全てが、医薬品提案支援装置5とネットワークNを介して接続されるデータベースサーバに記憶されていてもよい。また、薬局用コンピュータ3又は在庫管理装置4が、医薬品提案支援装置5の一部の機能を有してもよい。また、医薬品提案支援装置5と薬局用コンピュータ3とが一体の装置でもよく、医薬品提案支援装置5と在庫管理装置4とが一体の装置でもよい。
【0084】
図18は、端末装置6の構成例を示すブロック図である。端末装置6は、例えば、タブレット端末、パーソナルコンピュータ、スマートフォンなどのコンピュータ端末である。端末装置6は、通信部61と、入力部62と、表示部63と、処理部64とを備える。
【0085】
通信部61は、ネットワークNを介したデータの送受信を行う。なお、通信部61は、医薬品提案支援装置5の通信部21と非接触通信を行ってもよい。入力部62は、端末装置6にデータを入力する。入力部62は、例えば、タッチパネルに配されたタッチセンサや、キーボード、マウス、ボタンなど、ユーザ操作を入力するデバイスである。また、入力部62は、バーコードリーダや、ICタグリーダーでもよい。表示部63は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の画像表示装置である。表示部63は、情報を表示する。
【0086】
処理部64は、入力部62によるユーザ操作に従って各種処理を行う。また、処理部64は、表示部63へ情報を表示する。例えば、処理部64は、ユーザが入力部62により入力したデータを医薬品提案支援装置5に送信する。また、処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信したデータを表示部63に表示する。さらに処理部64は、相談者が購入した医薬品の情報を医薬品提案支援装置5に送信する。
【0087】
図9の処理フローを用いて、医薬品提案支援システム10の動作を説明する。端末装置6の入力部62により相談開始が入力されると、処理部64は医薬品提案支援装置5に相談開始を通知する。医薬品提案支援装置5の分類用情報表示制御部531は、分類選択画面の画面データを端末装置6に送信する。端末装置6の処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信した画面データを用いて表示部63に分類選択画面を表示する。端末装置6の処理部64は、入力部62により入力された第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一以上からなる組合せを設定した分類用情報を医薬品提案支援装置5に送信する(ステップS1)。医薬品提案支援装置5の分類用情報取得部521は、分類用情報を端末装置6から受信し、受診勧奨症状表示制御部252に出力する。
【0088】
受診勧奨症状表示制御部532は、分類用情報が示す第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との組合せに対応した相談分類を分類DB221から読み出す(ステップS2)。さらに、受診勧奨症状表示制御部532は、読み出した相談分類に対応した受診勧奨症状を受診勧奨症状DB222から読み出す。受診勧奨症状表示制御部532は、読み出した受診勧奨症状を用いて受診勧奨症状表示画面の画面データ生成し、端末装置6に送信する(ステップS3)。端末装置6の処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信した画面データを用いて受診勧奨症状表示画面を表示部63に表示する。端末装置6の処理部64は、入力部62によりいずれかの受診勧奨症状、又は、該当する受診勧奨症状なしが選択されると、入力された情報を設定した判定用情報を医薬品提案支援装置5に送信する(ステップS4)。
【0089】
医薬品提案支援装置5の判定用情報取得部522は、端末装置6から判定用情報を受信し、表示判定部533に出力する。表示判定部533は、判定用情報がいずれかの受診勧奨症状を示す場合(ステップS5:YES)、端末装置6に医療機関の受診を勧奨する旨を表示する受診勧奨表示データを送信する。端末装置6の処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信した受診勧奨表示データを表示部63に表示する(ステップS6)。
【0090】
一方、医薬品提案支援装置5の表示判定部533は、判定用情報が該当する受診勧奨症状なしを示す場合(ステップS5:NO)、ステップS2において読み出された相談分類に対応した組合せリスト及び組合せIDを医薬品選択条件DB223から読み出す。表示判定部533は、読み出した組合せリスト及び組合せIDに基づいて生成した医薬品選択用情報入力画面の画面データを端末装置6に送信する。端末装置6の処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信した画面データを用いて医薬品選択用情報入力画面を表示部63に表示する(ステップS7)。
【0091】
端末装置6の処理部64は、入力部62により選択された第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との組合せを表す組合せIDを医薬品選択用情報に設定して医薬品提案支援装置5に送信する(ステップS8)。医薬品提案支援装置5の医薬品選択用情報取得部523は、端末装置6から受信した医薬品選択用情報を提案表示制御部534に出力する。提案表示制御部534は、医薬品選択用情報に設定されている組合せIDに対応した医薬品IDを医薬品選択DB224から読み出す(ステップS9)。提案表示制御部534は、読み出した医薬品IDにより特定される提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を医薬品DB225から読み出す。提案表示制御部534は、読み出した提案医薬品それぞれの医薬品詳細情報を一覧表示する提案画面の画面データを生成し、端末装置6に送信する。端末装置6の処理部64は、医薬品提案支援装置5から受信した画面データを用いて、提案画面を表示部63に表示する(ステップS10)。提案画面には、一部の情報種別の医薬品詳細情報を一覧表示してもよい。この場合、端末装置6の処理部64は、入力部62により入力された表示対象の情報種別を医薬品提案支援装置5に送信してもよい。
【0092】
医薬品提案支援装置5は、図14に示す購入登録処理と同様の処理を行う。ただし、ステップS21において、医薬品提案支援装置5の購入記録部54は、端末装置6から、入力部62により入力された購入情報を受信してもよい。また、医薬品提案支援装置5は、図15に示す再相談通知処理を行う。
【0093】
なお、医薬品提案支援装置2、5の通知部27は、購入履歴DB226に設定されている購入履歴情報をシステム管理者やシステム使用者の端末装置へ送信してもよい。また、通知部27は、相談者の端末装置へ、その相談者又はその相談者の家族の購入履歴情報を送信してもよい。この場合、顧客管理情報に家族の情報を設定しておく。また、医薬品提案支援装置2、5の通知部27は、システム管理者、システム使用者、又は、相談者の端末装置からのアクセスを受け、正当性を許可した場合に、アクセス元に許可されている相談者のOTC薬等の医薬品の購入履歴情報を提供してもよい。
【0094】
また、医薬品提案支援装置2、5は、同一の相談者が異なるOTC薬等の医薬品を購入した場合に、受診勧奨を行うようにしてもよい。例えば、医薬品提案支援装置2の処理部23又は医薬品提案支援装置5の処理部51は、新たな購入履歴情報(以下、第一購入履歴情報)の登録の際に、その相談者の過去の所定期間内の購入履歴情報(以下、第二購入履歴情報)を読み出す。処理部23、51は、第一購入履歴情報に登録されている医薬品と、第二購入履歴情報に登録されている医薬品とに基づいて受診勧奨の有無を判断し、受診勧奨を行うと判断した場合、その旨を表示部29又は端末装置6に表示する。例えば、第一購入履歴情報にイブプロフェンを含むOTC薬等の医薬品であるA薬を購入したことが登録されており、第二購入履歴情報にアセトアミノフェンを含むOTC薬等の医薬品であるB薬をA薬の購入から所定期間内に購入していたことが登録されているとする。この場合、その相談者はイブプロフェンのB薬では効果がなかったため、アセトアミノフェンのA薬に変えたと考えられる。この場合、処理部23、51は、単なる痛みの症状ではなく、脳障害による頭痛(脳内出血等)の可能性を示唆し、受診勧奨を表示部29、端末装置6に表示する。これにより、相談を受けた薬剤師が異なる場合や、異なる薬局で相談者が医薬品を購入した場合でも、受診勧奨を行うことが可能となる。
【0095】
また、医薬品提案支援装置2の処理部23、医薬品提案支援装置5の処理部51、あるいは、医薬品提案支援装置2又は医薬品提案支援装置5と接続される外部の装置は、システム管理者、購入者及び又はシステム使用者からの要求を受け、購入履歴DB226に記憶されている購入履歴情報に基づいて、セルフメディケーション税制の申請に関する処理を行ってもよい。
【0096】
また、医薬品提案支援装置2の処理部23又は医薬品提案支援装置5の処理部51は、システム管理者、購入者及び又はシステム使用者の端末装置へ、提案医薬品と処方箋情報が示す医薬品との注意する飲み合わせ、医薬品の購入頻度等のアラート情報を提供してもよい。なお、医薬品提案支援装置2、5は、処方箋情報を薬局用コンピュータ3から読み出す。
【0097】
上述した実施形態によれば、薬局は、医薬品提案支援装置2、5の購入履歴DB226に記憶されている購入履歴情報に加え、薬局用コンピュータ3に記憶されている処方箋情報などを取得して、全ての相談者の服薬の履歴を確認することができる。また、相談者も、自身や家族の服薬の履歴を確認することができる。このように、医薬品提案支援装置2、5と薬局用コンピュータ3とを連携することにより、OTC薬等の医薬品の購入履歴を、電子処方箋及びレセコンにリンクできるため、併用薬のチェックも可能となる。また、レセコンとのリンクにより、マイナンバーやお薬手帳との紐づけも可能となる。
【0098】
また、医薬品提案支援装置2又は端末装置6にビデオ通話などのアプリケーションを実装することにより、表示部29又は端末装置6に表示された画面を相談者の端末装置にも表示させながら、オンライン服薬相談を提供することも可能である。
【0099】
また、医薬品提案支援システム1、10を使用している薬局であることを示す情報を、地図データ提供サーバから提供される地図データ上に表示することにより、相談者は、OTC薬等の医薬品に関する相談ができる薬局を選択しやすくなる。
【0100】
また、医薬品提案支援システム1、10によれば、各薬局におけるOTC薬等の医薬品の在庫管理や売上の記録が可能となり、売り上げに関する解析が可能となる。また、薬剤師や登録販売者は、相談者からの相談を受けているときに、提案画面に表示される在庫の情報に基づいて在庫が少ないことを認識した場合に、その場で発注が可能となる。
【0101】
なお、医薬品提案支援装置2、5をネットワークに接続される複数のコンピュータ装置により実現してもよい。この場合、医薬品提案支援装置2、5の各機能部を、これら複数のコンピュータ装置のいずれにより実現するかは任意とすることができる。また、同一の機能部を複数のコンピュータ装置により実現してもよい。
【0102】
上述した実施形態における医薬品提案支援装置2、5の機能をコンピュータで実現する場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組合せで実現できるものであってもよい。
【0103】
図19は、医薬品提案支援装置2、5のハードウェア構成例を示す装置構成図である。医薬品提案支援装置2は、プロセッサ71と、記憶部72と、通信インタフェース73と、ユーザインタフェース74とを備える。
【0104】
プロセッサ71は、演算や制御を行う中央演算装置である。プロセッサ71は、例えば、CPU(central processing unit)やGPU(Graphics Processing Unit)である。プロセッサ71は、記憶部72からプログラムを読み出して実行する。記憶部72は、さらに、プロセッサ71が各種プログラムを実行する際のワークエリアなどを有する。通信インタフェース73は、他装置と通信可能に接続するものである。ユーザインタフェース74は、キーボード、ポインティングデバイス(マウス、タブレット等)、ボタン、タッチパネル等の入力装置や、ディスプレイなどの表示装置である。ユーザインタフェース74により、人為的な操作が入力される。
【0105】
処理部23、51の機能は、プロセッサ71が記憶部72からプログラムを読み出して実行することより実現される。なお、これらの機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されてもよい。また、記憶部22は、記憶部72により実現される。
【0106】
以上説明した実施形態によれば、薬剤師や登録販売者に、膨大な種類のOTC薬等の医薬品の中から、相談者の症状・好み・持病の薬などを考慮して適正使用を高精度に判断し、一人ひとりに最適なOTC薬等の医薬品を提案するために有用な情報を提供することができる。適正使用の判断には、医療機関を受診するよう勧奨するという判断も含まれる。具体的には、薬局やドラッグストアで、薬剤師または登録販売者が、タブレット端末などを用いて、相談者の症状や要望を聞きながら、その相談者に合ったOTC薬等の医薬品を提案したり、リスクが高い症状の場合には医療機関の受診を勧奨したりすることが可能となる。従って、常に新たなOTC薬等の医薬品の情報により知識を拡充していくことが必要な薬剤師に対しても、医薬品提案支援システム1、10により、相談者に適したOTC薬等の医薬品の判断を支援することができる。
【0107】
上述した実施形態によれば、医薬品提案支援装置は、記憶部と、表示制御部とを備える。記憶部は、受診勧奨情報、医薬品選択情報、及び、医薬品情報を記憶する。受診勧奨情報は、第一の症状と、平生の健康状態に関する第一の条件と、不調部位の分類のうち一以上と、医療機関への受診が勧奨される症状を示す受診勧奨症状とを対応付けた情報である。医薬品選択情報は、第一の症状よりも不調部位の各分類について細分化された第二の症状と、第一の症状と重複しない第三の症状と、第一の条件には重複しない平生の健康状態に関する第二の条件とのうち一以上と、医薬品とを対応付けたである。医薬品情報は、医薬品それぞれの情報種別ごとの情報である。医薬品提案支援装置の外部の装置が記憶部を備えてもよい。表示制御部は、相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類とのうち一以上に対応した受診勧奨情報を読み出し、相談者が読み出された受診勧奨情報に含まれる受診勧奨症状を有することが入力された場合に受診を勧奨する旨を表示する処理を行う。表示制御部は、相談者が読み出された受診勧奨情報に含まれる受診勧奨症状を有さないことが入力された場合に相談者の第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち一以上の入力を受け、入力された第二の症状と、第三の症状と、第二の条件との一以上からなる組合せに対応した一以上の医薬品を提案医薬品として医薬品選択情報から読み出し、提案医薬品それぞれの医薬品情報を一覧表示する処理を行う。
【0108】
表示制御部は、入力された相談者の第一の症状と、第一の条件と、不調部位の分類との一以上からなる組合せに基づいて選択した受診勧奨情報から受診勧奨症状を読み出して表示し、相談者が表示された受診勧奨症状を有することが入力された場合に医療機関の受診を勧奨する旨を表示し、相談者が表示された受診勧奨症状のいずれも有さないことが入力された場合に、相談者の第二の症状と、第三の症状と、第二の条件とのうち一以上の入力を受ける。
【0109】
情報種別ごとの情報は、医薬品の名称と、医薬品の価格と、医薬品の剤型と、医薬品の用法及び用量と、医薬品の有効成分と、医薬品の効能及び効果と、医薬品の禁忌と、医薬品を使用する場合に医療機関への相談が推奨される条件を示す相談事項と、医薬品の使用開始後に再相談を行うタイミングと、車両の運転の可否と、対象年齢と、医薬品の内容量又は入り数と、医薬品のセルフメディケーション税制優遇対象の有無と、医薬品の有効成分及び有効成分以外の成分とのうち一以上の情報を含む。また、第一の条件及び第二の条件は、持病と、服用している医薬品とを含む。
【0110】
医薬品提案支援装置は、通知部をさらに備えてもよい。通知部は、購入された提案医薬品の再相談を行うタイミングの情報に基づいて計算された再相談日まで所定期間となった場合に通知を出力する。
【0111】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0112】
なお、本発明は、明細書における「医薬品」に限らず、医薬部外品、薬用化粧品でも適用可能である。
【符号の説明】
【0113】
1、10 医薬品提案支援システム
2、5 医薬品提案支援装置
3 薬局用コンピュータ
4 在庫管理装置
6 端末装置
21、61 通信部
22 記憶部
23、51、64 処理部
24、52 情報取得部
25、53 表示制御部
26、54 購入記録部
27 通知部
28、62 入力部
29、63 表示部
71 プロセッサ
72 記憶部
73 通信インタフェース
74 ユーザインタフェース
241、521 分類用情報取得部
242、522 判定用情報取得部
243、523 医薬品選択用情報取得部
251、531 分類用情報表示制御部
252、532 受診勧奨症状表示制御部
253、533 表示判定部
254、534 提案表示制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
図16
図17
図18
図19