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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173523
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】突出型リニアアクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   B25J 19/00 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
B25J19/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023091999
(22)【出願日】2023-06-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】521071219
【氏名又は名称】株式会社RoboSapiens
(74)【代理人】
【識別番号】110002675
【氏名又は名称】弁理士法人ドライト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】長尾 俊
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707BS01
3C707CU02
3C707CY29
3C707CY36
3C707HS27
3C707HT02
3C707HT37
3C707KS03
3C707KT01
3C707KT04
3C707KV01
(57)【要約】
【課題】従来よりも取扱い性を向上し得る突出型リニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】突出型リニアアクチュエータ10は、一対の巻尺部25a,25b、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを筐体の内部に収容して外部から非露出状態にすることができるので、例えば、アームロボットのスライダに取り付ける際にも、巻尺部25a,25bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bがスライダなどの他の部位に当たってしまうことがなく、これら巻尺部25a,25bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bの位置を気にすることなく取り付け作業を行わせることができる。よって、その分、従来よりも取扱い性を向上し得る。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺プレートが渦巻状に巻装されて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部を内部に収容し、一対の前記巻尺部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートが重ね合わさるように前記長尺プレートを当接させ、一対の前記長尺プレートの重ね合わせた自由端部を開口部から外部に突出させる筐体と、
前記筐体の内部に収容され、重ね合わせた一対の前記長尺プレートの片面に当接して一対の前記長尺プレートを前記長尺プレートの長手方向に移動させる駆動ローラと、
前記筐体の内部に収容され、前記駆動ローラに対向配置されて、重ね合わせた一対の前記長尺プレートを前記駆動ローラとの間に挟み込む回転ローラと、
を備え、
前記筐体は、
一対の巻尺部が収容される一対の巻尺部収容凹部と、前記駆動ローラおよび前記回転ローラを収容するローラ収容凹部と、を有する筐体本体と、
一対の前記巻尺部収容凹部および前記ローラ収容凹部が形成された前記筐体本体の本体側設置面に着脱自在に固定され、前記筐体本体と一体化されて、一対の前記巻尺部収容凹部に収容された一対の前記巻尺部と、前記ローラ収容凹部に収容された前記駆動ローラおよび前記回転ローラと、を覆う蓋部と、
を備え、
一対の前記巻尺部から前記長尺プレートが引き出され、または、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートが巻き取られて、前記筐体の前記開口部から突出した一対の前記長尺プレートを前記筐体の外部で往復直線運動させる、突出型リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記回転ローラは、
ロータリーエンコーダであり、前記長尺プレートの往復直線運動に応じて前記ロータリーエンコーダが回転可能に構成されており、前記ロータリーエンコーダの回転方向および回転数に基づいて前記長尺プレートの自由端部の位置が特定される、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記筐体には、
対向配置された一対の前記巻尺部の間の領域内であって、かつ、一対の前記巻尺部の外周頂上部同士を結んだ仮想線を超えない領域内に、前記駆動ローラおよび前記回転ローラが配置されている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項4】
一対の前記巻尺部は、
前記筐体の前記開口部が形成された第1面と対向する第2面側に位置し、かつ、前記巻尺部が互いに対向する位置にあるプレート離隔部から前記長尺プレートがそれぞれ伸びており、
前記駆動ローラおよび前記回転ローラは、
一対の前記巻尺部の間に配置されており、
前記筐体本体には、
一対の前記巻尺部の前記プレート離隔部から、前記ローラ収容凹部の前記駆動ローラおよび前記回転ローラの間に向かうに従って、前記プレート離隔部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートを互いに近づくように案内するプレート案内凹部が形成されている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記プレート案内凹部は、
前記巻尺部の外郭形状に合わせて形成された前記巻尺部収容凹部の円柱形状の内周面からそれぞれ接線方向に沿って前記ローラ収容凹部に向けて延びるように形成されている、
請求項4に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項6】
一対の前記巻尺部は、
それぞれの外周に形成された歯車部により互いに係合し、一方の前記巻尺部の回転に伴って他方の前記巻尺部が回転する、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項7】
一対の前記巻尺部のうち少なくともいずれか一方には、
前記巻尺部を回転させて前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせる巻き取り用駆動装置が設けられている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項8】
一対の前記巻尺部を回転させるときには前記歯車部の歯溝から抜かれ、一対の前記巻尺部を停止させたときには前記歯溝に挿入されて前記巻尺部の非回転状態を維持させるストッパを備える、
請求項6に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記筐体には、
一対の前記巻尺部の回転軸方向に、厚みを貫通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には、
前記筐体の外表面に配置される電子機器の配線が挿通可能な構成を有する、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項10】
一対の前記長尺プレートの自由端には、
電子機器、ハンドロボット、スクリーン装置のスクリーンシート、照明装置および押圧子のうち、少なくともいずれかが設けられている、
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、突出型リニアアクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
突出型リニアアクチュエータとして、一対の巻尺部からそれぞれ伸びる長尺プレートの自由端部を略直角に折り曲げて重ね合わせ、一対の長尺プレートの自由端部を連結した押圧子を形成するスライダと、ガイドフレームに沿ってスライダを往復直線運動させる駆動部と、正逆転して押圧子を往復直線運動させるギヤと、を備えた構成が、特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6944227号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の突出型リニアアクチュエータは、一対の巻尺部や、正逆転するギヤなどが外部に露出しているため、アームロボットや自走式ロボットなどに搭載させる際、これら一対の巻尺部や、正逆転するギヤなどがアームロボットや自走式ロボットの各部位に接触しないよう配慮する必要があった。そのため、突出型リニアアクチュエータは取扱い性を向上させることが望まれていた。
【0005】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、従来よりも取扱い性を向上し得る突出型リニアアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る突出型リニアアクチュエータは、長尺プレートが渦巻状に巻装されて対向配置された一対の巻尺部と、一対の前記巻尺部を内部に収容し、一対の前記巻尺部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートが重ね合わさるように前記長尺プレートを当接させ、一対の前記長尺プレートの重ね合わせた自由端部を開口部から外部に突出させる筐体と、前記筐体の内部に収容され、重ね合わせた一対の前記長尺プレートの片面に当接して一対の前記長尺プレートを前記長尺プレートの長手方向に移動させる駆動ローラと、前記筐体の内部に収容され、前記駆動ローラに対向配置されて、重ね合わせた一対の前記長尺プレートを前記駆動ローラとの間に挟み込む回転ローラと、を備え、前記筐体は、一対の巻尺部が収容される一対の巻尺部収容凹部と、前記駆動ローラおよび前記回転ローラを収容するローラ収容凹部と、を有する筐体本体と、一対の前記巻尺部収容凹部および前記ローラ収容凹部が形成された前記筐体本体の本体側設置面に着脱自在に固定され、前記筐体本体と一体化されて、一対の前記巻尺部収容凹部に収容された一対の前記巻尺部と、前記ローラ収容凹部に収容された前記駆動ローラおよび前記回転ローラと、を覆う蓋部と、を備え、一対の前記巻尺部から前記長尺プレートが引き出され、または、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートが巻き取られて、前記筐体の前記開口部から突出した一対の前記長尺プレートを前記筐体の外部で往復直線運動させる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、一対の巻尺部、駆動ローラおよび回転ローラを筐体の内部に収容して外部から非露出状態にすることができるので、その分、従来よりも取扱い性を向上し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】第1実施形態に係る突出型リニアアクチュエータを備えたアームロボットの構成を示す斜視図である。
図2図1とは異なる方向からアームロボットを見たときの構成を示す斜視図である。
図3】一対の長尺プレートが引き出されたときの突出型リニアアクチュエータであり、図1および図2に示した蓋部の図示を省略して突出型リニアアクチュエータの内部の構成を示した概略図である。
図4】一対の長尺プレートが巻き取られたときの突出型リニアアクチュエータであり、図1および図2に示した蓋部の図示を省略して突出型リニアアクチュエータの内部の構成を示した概略図である。
図5】筐体本体の構成を示す概略図である。
図6】ローラ収容凹部の構成を示す拡大詳細図である。
図7】蓋部の構成を示す概略図である。
図8】第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの構成を示す概略図である。
図9】第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの内部の構成を示す概略図である。
図10】第2実施形態に係る巻尺部の構成を示す概略図である。
図11】巻尺部に固定された長尺プレートの構成を示す概略図である。
図12】蓋部を外したときの筐体本体の構成を示す概略図である。
図13】駆動ローラおよびロータリーエンコーダが設けられた第2実施形態に係る蓋部の構成を示す概略図である。
図14】巻尺部に対するストッパ機構部の配置位置を説明するための概略図である。
図15】ストッパ機構部の構成を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図面について本発明の一実施の形態を詳述する。以下の説明において、同一の構成要素には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0010】
(1)第1実施形態
(1-1)<第1実施形態に係る突出型リニアアクチュエータを有するアームロボットの構成>
図1および図2は、本実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ10を備えたアームロボット1の構成を示す概略図である。図1および図2中、x1およびx2は、突出型リニアアクチュエータ10から引き出される一対の長尺プレート17a,17bが伸縮する伸縮方向であり、x1は、一対の長尺プレート17a,17bの自由端部が突出型リニアアクチュエータ10から遠ざかる方向を示し、x2は、一対の長尺プレート17a,17bの自由端部が突出型リニアアクチュエータ10に近づく方向を示す。y1およびy2は、一対の長尺プレート17a,17bの長手方向と直交する長尺プレート17a,17bの幅方向を示す。
【0011】
z1およびz2は、一対の長尺プレート17a,17bの伸縮方向x1,x2および幅方向y1,y2の両方向に直交する、長尺プレート17a,17bの面法線方向を示す。なお、本実施形態では、面法線方向z1,z2が、アームロボット1の高さ方向になるように、突出型リニアアクチュエータ10を配置してもよく、また、面法線方向z1,z2が、アームロボット1の水平方向になるように、突出型リニアアクチュエータ10を配置してもよい。
【0012】
本実施形態に係るアームロボット1は、突出型リニアアクチュエータ10と、突出型リニアアクチュエータ10を幅方向y1,y2に移動させる移動機構部3と、を備える。なお、ここでは、移動機構部3によって突出型リニアアクチュエータ10を幅方向y1,y2に移動させ、幅方向y1,y2において所望の位置に突出型リニアアクチュエータ10を配置させるアームロボット1を一例に説明するが、本発明はこれに限らない。例えば、移動機構部3を備えないアームロボットの他、当該移動機構部3に加えて他の移動機構部を設けて、突出型リニアアクチュエータ10を面法線方向z1,z2に移動させたり、さらには面法線方向z1,z2を回転軸として周方向に突出型リニアアクチュエータ10を回転させたりするアームロボットを適用してもよい。
【0013】
アームロボット1は、移動機構部3により所望の位置で位置決めされた突出型リニアアクチュエータ10から一対の長尺プレート17a,17bを引き出させ、長尺プレート17a,17bの自由端部をx1方向に突出させる。アームロボット1は、長尺プレート17a,17bの自由端部に設けた押圧子(図1および図2では図示せず)を突出させ、例えば、伸縮方向x1,x2の延長線上に位置するエレベータのボタンや、工場施設内にある各種ボタンなどの対象物を、押圧子によって押下することができる。
【0014】
突出型リニアアクチュエータ10は、押圧子を突出させた一対の長尺プレート17a,17bを筐体11の内部に収容し得、当該長尺プレート17a,17bの自由端部に設けた押圧子を伸縮方向x1,x2に沿って往復直線運動し得る。
【0015】
移動機構部3は、軽量なアルミニウムまたはアルミニウム合金により形成されたガイドレール6と、当該ガイドレール6の一端に設けられたアクチュエータ駆動部4と、当該ガイドレール6の他端に設けられた支持部7と、アクチュエータ駆動部4および支持部7間に張架されたベルト9と、ガイドレール6に沿ってアクチュエータ駆動部4および支持部7の間を移動可能なスライダ8と、を備える。ここでは、ガイドレール6の長手方向が幅方向y1,y2に延びるように配置されている。
【0016】
アクチュエータ駆動部4には、モータなどの駆動部4aにより回動される駆動プーリ4bが設けられ、支持部7には、従属プーリ7aが設けられている。アクチュエータ駆動部4の駆動プーリ4bと支持部7の従属プーリ7aとの間には、スライダ8が設けられたベルト9が巻き掛けられて張架されている。アクチュエータ駆動部4は、駆動プーリ4bを正逆回転させることで、駆動プーリ4bおよび従属プーリ7a間に張架されているベルト9を正逆回転させ、ベルト9に固定されたスライダ8をガイドレール6の長手方向に沿って往復直線運動させる。
【0017】
スライダ8は、ガイドレール6を挟む一対の支持板8a,8bと、ガイドレール6を挟んだ支持板8a,8bを繋ぐ複数の連設ピン8cと、各連設ピン8cにそれぞれ転動可能に設けられたスライドローラ8dと、を備える。スライドローラ8dは、ガイドレール6の長手方向に沿って形成されたガイド溝6aに位置決めされ、ガイド溝6a内で回動可能に配置されている。
【0018】
スライダ8は、一方の支持板8aがベルト9に連結されており、ベルト9が周方向に移動することにより引っ張られ、スライドローラ8dが転動してガイドレール6の長手方向に沿って移動する。スライダ8は、他方の支持板8bに突出型リニアアクチュエータ10が固定されており、ベルト9が移動することにより突出型リニアアクチュエータ10をガイドレール6の長手方向に沿って移動させる。
【0019】
突出型リニアアクチュエータ10は、矩形状に形成された筐体11を有し、当該筐体11の一端がスライダ8の支持板8bに固定されている。本実施形態に係る筐体11は、例えば、直方体形状でなり、プラスチックや金属などにより形成されている。なお、本実施形態では、直方体形状でなる筐体11について説明するが、本発明はこれに限らず、例えば、立方体形状や、円柱形状などその他種々の形状としてもよい。
【0020】
筐体11は、第1面21aに開口部21cが形成されており、一対の長尺プレート17a,17bが筐体11の内部から当該開口部21cを通過して外部に向けて突出している。この場合、筐体11は、第1面21aの面法線方向が伸縮方向x1,x2となっており、第1面21aの開口部21cから第1面21aの面法線方向に沿って一対の長尺プレート17a,17bが伸びるように構成されている。
【0021】
筐体11には、一対の長尺プレート17a,17bを移動させるためのプレート駆動装置12と、物体認識装置13と、が外表面の所定位置に設けられている。また、筐体11には、厚みを貫通した貫通孔15aがガイドレール6から所定距離離れた位置に形成されている。プレート駆動装置12および/または物体認識装置13から延びる配線(図示せず)は、筐体11の貫通孔15aを通過して他方側に案内され、所定位置に設けた制御装置(図示せず)に接続される。
【0022】
筐体11は、配線が貫通孔15aを通過していることで、当該配線が貫通孔15aにより1つに束ねられる。筐体11は、ガイドレール6に沿って突出型リニアアクチュエータ10が移動する際に、貫通孔15aにより1つに束ねられた配線が、ガイドレール6に接触しないように構成されている。これにより、突出型リニアアクチュエータ10は、ガイドレール6に沿って移動する際に、プレート駆動装置12および/または物体認識装置13から延びる配線が移動の妨げとならず、ガイドレール6に沿ってスムーズに移動することができる。
【0023】
本実施形態に係る筐体11は、箱状の筐体本体15と、筐体本体15の開口領域を覆う蓋部16とを有しており、筐体本体15の長手方向に位置する一方の端部がスライダ8に連結された構成を有する。筐体本体15には、一方の端部と対向する他方の端部に取付金具13aを介して物体認識装置13が設けられている。
【0024】
物体認識装置13は、例えば、撮像装置、ライダ(LiDAR:Light Detection And Ranging)または3Dスキャナ装置などであり、撮像装置により取得した撮像画像や、ライダおよび3Dスキャナ装置により取得した位置情報に基づいて、押圧子により押圧するボタンなどの操作対象物の位置を検出し得る。
【0025】
プレート駆動装置12は、例えば、モータなどであり、一対の長尺プレート17a,17bに対して駆動力を与え、長尺プレート17a,17bを伸縮方向x1,x2に沿って移動させる。本実施形態では、蓋部16の外表面にプレート駆動装置12が設けられ、プレート駆動装置12の出力軸が蓋部16に形成された貫通孔(図示せず)を介して筐体11の内部に配置され、出力軸に連結した駆動ローラ(後述する)により筐体11の内部において長尺プレート17a,17bに対して駆動力を伝達している。
【0026】
(1-2)<第1実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの構成>
次に、突出型リニアアクチュエータ10の構成について以下説明する。図3は、一対の長尺プレート17a,17bが巻尺部25a,25bから引き出されたときの突出型リニアアクチュエータ10であり、図1および図2に示した蓋部16の図示を省略して突出型リニアアクチュエータ10の内部の構成を示した概略図である。図4は、一対の長尺プレート17a,17bが巻尺部25a,25bにより巻き取られたときの突出型リニアアクチュエータ10であり、図1および図2に示した蓋部16の図示を省略して突出型リニアアクチュエータ10の内部の構成を示した概略図である。
【0027】
筐体本体15は、蓋部16(図1および図2)が設置される本体側設置面21eの四隅にそれぞれネジ孔21dが形成されている。突出型リニアアクチュエータ10は、図7にて後述する蓋部16の挿通孔37dが、筐体本体15の本体側設置面21eのネジ孔21dに位置決めされ、重ね合わせた蓋部16の挿通孔37dと、筐体本体15のネジ孔21dとに対してネジが螺着されることで筐体本体15と蓋部16とが一体化される(図1および図2)。
【0028】
なお、本実施形態においては、本体側設置面21eの外郭形状を長方形状としているが、本発明はこれに限らず、並んで配置した一対の巻尺部25a,25bの外周形状に合わせて、本体側設置面21eを楕円形状に形成してもよい。この場合、蓋部16は、筐体本体15の本体側設置面21eに設置される蓋側設置面が、当該本体側設置面21eの形状に合わせて楕円形状となり得る。
【0029】
筐体本体15には、一対の巻尺部25a,25bと、駆動ローラ30aと、回転ローラであるロータリーエンコーダ30bとが、内部に収容されている。一対の各巻尺部25a,25bは、各長尺プレート17a,17bをそれぞれ渦巻状に巻装し、所定距離を設けて対向配置されている。ここで、一対の巻尺部25a,25bは、筐体本体15の開口部21cが形成された第1面21aと対向する第2面21b側に位置し、かつ、これら巻尺部25a,25bが互いに対向する位置にプレート離隔部255が配置されている。
【0030】
巻尺部25a,25bの内部に巻装された各長尺プレート17a,17bは、巻尺部25a,25bのプレート離隔部255から後述するプレート案内凹部35a,35b内にそれぞれ引き出されている。
【0031】
巻尺部25a,25bは、中心に固定芯27aを有し、当該固定芯27aにより筐体本体15に固定されている。各巻尺部25a,25bは、内部にゼンマイバネなどの弾性部材を備えており、当該弾性部材によって、各巻尺部25a,25bに巻装された各長尺プレート17a,17bに、当該長尺プレート17a,17bを渦巻状に巻き取る方向の力(弾性復元力)を与えている。
【0032】
ここで、これらの長尺プレート17a,17bは、各巻尺部25a,25bからそれぞれ引き出されて外力が与えられていない状態では直線状を成して往復直線運動が可能な程度の剛性を有しており、巻尺部25a,25bにおいて渦巻状に巻き付けられる程度の弾性を有している。
【0033】
なお、各長尺プレート17a,17bは、長尺の帯状金属プレートや帯状樹脂プレートなどによって構成されており、本実施形態では、アルミニウム製またはアルミニウム合金製のものが使用されている。本実施形態に係る長尺プレート17a,17bは、同一形状および同一部材により形成されており、自由端部の断面が弓なり状に湾曲した形状を有している。このように、長尺プレート17a,17bは、自由端部の断面を弓なり状に湾曲した形状とすることで、直線性の向上が図られているとともに、巻尺部25a,25b内での捲回性の向上が図られている。また、長尺プレート17a,17bは、表面の凹部面が外側に向けて配置され、裏面の凸部同士が互いに当接するように重ね合わせられた状態で自由端部に押圧子18が設けられている。
【0034】
長尺プレート17a,17bは、筐体本体15の内部において、一対の巻尺部25a,25bからそれぞれ互いに近づくように伸びて当接し、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間に挟み込まれる。長尺プレート17a,17bは、重ね合わせられた状態で駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間を通過し、筐体本体15の第1面21aに形成された開口部21cから外部に向けて自由端部が突出する。
【0035】
駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bは、筐体本体15に設けた一対の巻尺部25a,25bの間に配置されている。本実施形態では、対向配置された一対の巻尺部25a,25bの間の領域内であって、かつ、一対の巻尺部25a,25bの外周頂上部同士を結んだ仮想線L1を超えない領域内に、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bが配置されている。突出型リニアアクチュエータ10は、筐体本体15の縦横の大きさが、一対の巻尺部25a,25bを囲える大きさであればよいため、例えば、仮想線L1を超えた領域を小さくして筐体11を小型化し得る。
【0036】
駆動ローラ30aは、円柱状に形成され、ウレタンなどの軟質樹脂部材により外周表面が形成されている。また、駆動ローラ30aは、図示しない蓋部16に設けたプレート駆動装置12(図1および図2)の出力軸に結着され、当該プレート駆動装置12による駆動力により正逆回転される。駆動ローラ30aは、回転軸が一対の巻尺部25a,25bの回転軸と平行に配置されており、一対の巻尺部25a,25bの周方向と同じ方向に周方向が配置されている。
【0037】
回転ローラとしてのロータリーエンコーダ30bは、円柱状に形成され、ウレタンなどの軟質樹脂部材により外周表面が形成されている。なお、本実施形態に係るロータリーエンコーダ30bの直径は、駆動ローラ30aの直径と同程度に選定されているが、本発明はこれに限らない。ロータリーエンコーダ30bの直径を駆動ローラ30aの直径よりも大きくしたり、小さくしたり、ロータリーエンコーダ30bの直径と駆動ローラ30aの直径とを異なる径としてもよい。駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの直径は、巻尺部25a,25bの直径の1/2程度となっており、巻尺部25a,25bの直径よりも小さく選定されている。
【0038】
ロータリーエンコーダ30bは、駆動ローラ30aに対向配置されて、重ね合わせた一対の長尺プレート17a,17bを当該駆動ローラ30aとの間に挟み込ませる。ロータリーエンコーダ30bは、回転軸が一対の巻尺部25a,25bや駆動ローラ30aの回転軸と平行に配置されており、一対の巻尺部25a,25bおよび駆動ローラ30aの周方向と同じ方向に周方向が配置されている。
【0039】
ロータリーエンコーダ30bは、筐体本体15の外表面に設けた計測回路の出力軸に結着され、駆動ローラ30aの正逆回転により移動する長尺プレート17a,17bの移動に連動して正逆回転される。計測回路は、長尺プレート17a,17bの進退に連動して回転するロータリーエンコーダ30bの回転方向や回転数に基づいて、進退時における長尺プレート17a,17bの自由端部の移動方向や移動距離を特定して伸縮方向x1,x2における押圧子18の位置を計測可能に構成されている。
【0040】
筐体本体15には、一対の巻尺部25a,25bから引き出されて駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間で合流する長尺プレート17a,17bの合流前の長尺プレート17a,17b間の領域に、一対の巻尺部25a,25bの回転軸方向に厚みを貫通した貫通孔15aが形成されている。
【0041】
図5は、筐体本体15の構成を示す概略図である。図5に示すように、筐体本体15には、一対の巻尺部収容凹部26a,26bと、ローラ収容凹部29と、一方の巻尺部収容凹部26aおよびローラ収容凹部29を連通させるプレート案内凹部35aと、他方の巻尺部収容凹部26bおよびローラ収容凹部29を連通させるプレート案内凹部35bと、が本体側設置面21eに形成されている。この場合、本実施形態に係る筐体本体15は、プラスチックなどの硬質樹脂部材により形成されており、一対の巻尺部収容凹部26a,26bと、ローラ収容凹部29と、プレート案内凹部35a,35bとが形成されていない本体側設置面21eの領域に、当該硬質樹脂部材でなる中実部155を有する。なお、本体側設置面21eには、四隅にネジ孔21dが形成されているとともに、一対の巻尺部収容凹部26a,26b間に貫通孔15aが形成されている。
【0042】
一対の巻尺部収容凹部26a,26bは、左右対称に形成された有底の溝部であり、それぞれ巻尺部25a,25bの外郭形状に合わせて円柱形状に形成されている。また、巻尺部収容凹部26a,26bは、径が巻尺部25a,25bの径より僅かに大きく選定されており、筐体本体15の小型化が図られている。巻尺部収容凹部26a,26bには、底部の中心に孔部27bが形成されており、当該孔部27bにそれぞれ巻尺部25a,25bの固定芯27aが圧入され、巻尺部25a,25bが巻尺部収容凹部26a,26b内部に固定される。
【0043】
プレート案内凹部35a,35bは、左右対称に形成されており、巻尺部収容凹部26a,26b内に収容した巻尺部25a,25bからそれぞれ引き出される長尺プレート17a,17bを、ローラ収容凹部29内に収容した駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間に案内する。
【0044】
ここで、一対の巻尺部25a,25bは、筐体本体15の開口部21cが形成された第1面21aと対向する第2面21b側に位置し、かつ、これら巻尺部25a,25bが互いに対向する位置にプレート離隔部255が配置されている。巻尺部25a,25bの内部に巻装された各長尺プレート17a,17bは、巻尺部25a,25bのプレート離隔部255からプレート案内凹部35a,35b内にそれぞれ引き出されている。
【0045】
プレート案内凹部35a,35bは、長尺プレート17a,17bが引き出される巻尺部25a,25bのプレート離隔部255から、ローラ収容凹部29に向かうに従ってそれぞれ互いに近づくように形成されている。本実施形態では、プレート案内凹部35a,35bは、巻尺部収容凹部26a,26bの円柱形状の内周面266からそれぞれ接線方向に沿ってローラ収容凹部29に向けて延びるように形成されている。プレート案内凹部35a,35bは、それぞれ対向する第1傾斜面32aと第2傾斜面32bとを有し、第1傾斜面32aおよび第2傾斜面32bとの間の中空領域に長尺プレート17a,17bが挿通する。
【0046】
プレート案内凹部35a,35bの第1傾斜面32aは、巻尺部収容凹部26a,26bの円柱形状の内周面266からそれぞれ接線方向に沿ってローラ収容凹部29に向けて延びている。プレート案内凹部35a,35bは、巻尺部収容凹部26a,26bの内周面266からそれぞれ接線方向に向けて延びる互いの第1傾斜面32aの先端同士が接合され、三角状の頂点部33を形成している。
【0047】
プレート案内凹部35a,35bの第2傾斜面32bは、巻尺部収容凹部26a,26bの円柱形状の内周面266からそれぞれ接線方向に対してV字状に押し返して、第1傾斜面32aと並走するようにローラ収容凹部29に向けて延びている。巻尺部収容凹部26a,26bの内周面266と、第2傾斜面32bとのV字状の接合部35は、先端に鋭角な角部がなく滑らかな湾曲状に形成されており、進退する長尺プレート17a,17bが接合部35に接触しても損傷し難い形状となっている。
【0048】
ローラ収容凹部29は、駆動ローラ30aが収容される駆動ローラ収容凹部29aと、ロータリーエンコーダ30bが収容される回転ローラ収容凹部29bとを有し、駆動ローラ収容凹部29aと回転ローラ収容凹部29bとが連通した構成を有する。ここで、図6は、ローラ収容凹部29の構成を示す拡大詳細図である。
【0049】
図6に示すように、駆動ローラ収容凹部29aは、内周面291aが駆動ローラ30aの外周に沿って湾曲状に形成され、円形仮想線L2で示すように、円柱形状空間を形成する。駆動ローラ収容凹部29aは、内周面291aの一端がプレート案内凹部35aの第2傾斜面32bと連設され、内周面291aの他端が開口部21cの内面211cと連設されている。
【0050】
回転ローラ収容凹部29bは、内周面291bがロータリーエンコーダ30bの外周に沿って湾曲状に形成され、円形仮想線L3で示すように、駆動ローラ収容凹部29aの円形仮想線L2と一部重なる円柱形状空間を形成する。回転ローラ収容凹部29bは、内周面291bの一端がプレート案内凹部35bの第2傾斜面32bと連設され、内周面291bの他端が開口部21cの内面211cと連設されている。回転ローラ収容凹部29bの底面には、厚みを貫通する貫通孔28が穿設されている。この貫通孔28には、筐体本体15の外表面に設けた計測回路の出力軸が配置され、当該出力軸にロータリーエンコーダ30bが結着されて配置される。
【0051】
開口部21cは、駆動ローラ収容凹部29aの内周面291aが描く円形仮想線L2と、回転ローラ収容凹部29bの内周面291bが描く円形仮想線L3とが一部重なる領域の中心に、当該開口部21cの中心軸L5が配置される。駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間を通過して重ね合わせられた一対の長尺プレート17a,17bは、互いに当接する位置が開口部21cの中心軸L5に配置され、中心軸L5に沿って開口部21c内を進退する。
【0052】
次に、筐体本体15の本体側設置面21eに固定される蓋部16について説明する。図7は、蓋部16の構成を示す概略図である。蓋部16は、筐体本体15の本体側設置面21eにおける縁部の外郭形状と同じ外郭形状に縁部が形成されており、筐体本体15の本体側設置面21eに固定されたときに、蓋部16の縁部が筐体本体15の縁部と一致し、筐体本体15と一体化し得る。
【0053】
蓋部16は、筐体本体15の本体側設置面21eを覆うように、筐体本体15の本体側設置面21eに蓋側設置面37eを当接させて位置決めし、ネジにより当該筐体本体15に対して固定される。この場合、蓋部16は、四隅にそれぞれ厚みを貫通した挿通孔37dが穿設されており、蓋部16を筐体本体15に位置決めしたときに、筐体本体15のネジ孔21d(図3および図4)に対して挿通孔37dが重なり合う。蓋部16は、挿通孔37に挿通されたネジが筐体本体15のネジ孔21dに螺着され、筐体本体15に固定され筐体本体15と一体化する(図1および図2)。
【0054】
蓋側設置面37eには、筐体本体15に形成された一対の巻尺部収容凹部26a,26bにそれぞれ嵌め込まれる凸状の嵌め込み部37fが形成されている。嵌め込み部37fは、巻尺部収容凹部26a,26bの凹み形状と同じ外郭形状を有した円形凸状に形成されている。嵌め込み部37fは、蓋部16が筐体本体15に位置決めされたときに、対応する巻尺部収容凹部26a,26bにそれぞれ嵌め込まれ、巻尺部収容凹部26a,26b内に収容された巻尺部25a,25bに当接する。
【0055】
蓋部16は、巻尺部収容凹部26a,26b内に収容した巻尺部25a,25bを嵌め込み部37fにより押え付けることができるので、外部から衝撃が与えられた際に、巻尺部収容凹部26a,26b内に巻尺部25a,25bを確実に位置決めさせることができる。
【0056】
また、蓋部16には、蓋部16が筐体本体15に位置決めされたときに、筐体本体15の開口部21cに嵌め込まれる開口嵌め込み部37cが形成されている。開口嵌め込み部37cは、一対の長尺プレート17a,17bが出入りする、開口部21cの外表面での開口面積を調整し得る。
【0057】
かかる構成に加えて、本実施形態に係る蓋部16には、駆動ローラ30aが蓋側設置面37eに回動自在に予め設けられている。この場合、蓋部16には、駆動ローラ30aが設置される位置に厚みを貫通した貫通孔(図示せず)が穿設されている。蓋側設置面37eに設けた駆動ローラ30aは、蓋部16の外表面に固定したプレート駆動装置12(図1および図2)の出力軸と貫通孔を介して結着され、当該プレート駆動装置12による駆動力により正逆回転可能に設けられている。なお、蓋部16は、蓋側設置面37eからプレート駆動装置12にネジ39aが螺着され、蓋部16の外表面にプレート駆動装置12の配線39bが配置される。
【0058】
本実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ10は次のようにして組み立てられる。始めに、一対の巻尺部25a,25bおよびロータリーエンコーダ30bを予め設けた筐体本体15と、駆動ローラ30aおよびプレート駆動装置12を予め設けた蓋部16と、を用意する。そして、蓋部16の蓋側設置面37eに設けた駆動ローラ30aを、筐体本体15の駆動ローラ収容凹部29a内に収容されるように、筐体本体15の本体側設置面21eを蓋部16で覆うように配置させる。
【0059】
この際、蓋部16に形成された嵌め込み部37fが、筐体本体15に形成された巻尺部収容凹部26a,26b内に嵌め込まれるとともに、蓋部16に形成された開口嵌め込み部37cが、筐体本体15に形成された開口部21c内に嵌め込まれる。次いで、筐体本体15のネジ孔21dと重なった蓋部16の挿通孔37dにネジを挿通して当該ネジを筐体本体15のネジ孔21dに螺着させることにより、蓋部16と筐体本体15とを一体化することができる。
【0060】
この場合、蓋部16を筐体本体15の本体側設置面21eに取り付けるだけで、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bにより一対の長尺プレート17a,17bを挟み込むことができ、組み立て性が向上する。また、蓋部16を筐体本体15から取り外すことで、蓋部16から駆動ローラ30aを簡単に取り外すことができるとともに、筐体本体15からロータリーエンコーダ30bを簡単に取り外すことができるため、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを容易に交換することができる。
【0061】
また、蓋部16は、筐体本体15への取り付け時に、蓋部16の短手方向を誤って逆さまに筐体本体15に取りようとすると、駆動ローラ30aや開口嵌め込み部37cが本体側設置面21eに当接して取り付けることができないため、筐体本体15の正確な位置に簡単に位置決めできる。
【0062】
(1-3)<作用および効果>
以上の構成において、突出型リニアアクチュエータ10は、長尺プレート17a,17bが渦巻状に巻装されて対向配置された一対の巻尺部25a,25bと、重ね合わせた一対の長尺プレート17a,17bの片面に当接して一対の長尺プレート17a,17bを当該長尺プレート17a,17bの長手方向に移動させる駆動ローラ30aと、重ね合わせた一対の長尺プレート17a,17bを駆動ローラ30aとの間に挟み込むロータリーエンコーダ30bとを、筐体11の内部に収容し、これら一対の巻尺部25a,25b、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bが外部から非露出状態となっている。
【0063】
筐体11は、一対の巻尺部25a,25bからそれぞれ伸びる長尺プレート17a,17bが重ね合わさるように長尺プレート17a,17bを当接させ、一対の長尺プレート17a,17bの重ね合わせた自由端部を開口部21cから外部に突出させる。筐体11は、内部において、一対の巻尺部25a,25bから長尺プレート17a,17bが引き出され、または、一対の巻尺部25a,25bに長尺プレート17a,17bが巻き取られて、開口部21cから外部に向けて突出した一対の長尺プレート17a,17bを外部で往復直線運動させる。
【0064】
また、筐体11は、筐体本体15の本体側設置面21eに蓋部16が着脱自在に固定され、筐体本体15と蓋部16とが一体化される。筐体本体15は、一対の巻尺部25a,25bが収容される一対の巻尺部収容凹部26a,26bと、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを収容するローラ収容凹部29と、を有し、一対の巻尺部収容凹部26a,26bに収容された一対の巻尺部25a,25bと、ローラ収容凹部29に収容された駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bとが蓋部16によって覆われる。
【0065】
突出型リニアアクチュエータ10は、駆動ローラ30aを回転させることにより、各巻尺部25a,25bから各長尺プレート17a,17bが引き出され、その後、駆動ローラ30aが停止状態になり、押圧子18が所定位置で不動となる。突出型リニアアクチュエータ10は、長尺プレート17a,17bの長手方向の延長線上に位置するエレベータのボタンなどを押圧子18によって押下できる。なお、押圧子18に感圧センサを取り付け、感圧センサによって押圧子18がエレベータのボタンなどを押下する力を検出するようにしてもよい。
【0066】
突出型リニアアクチュエータ10は、駆動ローラ30aによって与えられる力と、各巻尺部25a,25b内に設けたゼンマイバネなどの弾性部材によって与えられる力(弾性復元力)とによって、各長尺プレート17a,17bを巻尺部25a,25に巻き取らせる。なお、巻尺部25a,25bにそれぞれ長尺プレート17a,17bを巻き取ってゆくと、自由端部に設けた押圧子18が筐体11に当接することから、長尺プレート17a,17bの巻き取り過ぎを防止できる。
【0067】
以上の構成によれば、突出型リニアアクチュエータ10は、一対の巻尺部25a,25b、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを筐体11の内部に収容して外部から非露出状態にすることができるので、例えば、アームロボット1のスライダ8に取り付ける際にも、巻尺部25a,25bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bがスライダ8などの他の部位に当たってしまうことがなく、これら巻尺部25a,25bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bの位置を気にすることなく取り付け作業を行わせることができる。よって、その分、従来よりも取扱い性を向上し得る。
【0068】
(2)<第2実施形態>
(2-1)<第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータの構成>
次に、第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータについて説明する。図8は、第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ40の構成を示す概略図である。突出型リニアアクチュエータ40は、例えば、上述した第1実施形態と同様にアームロボット1のスライダ8などに設けられ、ボタンなどの操作対象物を押圧子18によって押下可能な構成を有する。
【0069】
突出型リニアアクチュエータ40は、例えば、プラスチックなどの硬質樹脂部材で形成された矩形状の筐体42を有している。筐体42は、第1面53aに開口部53cが形成されており、一対の長尺プレート17a,17bが筐体42の内部から当該開口部53cを通過して外部に向けて突出している。この場合、筐体42は、第1面53aの面法線方向が伸縮方向x1,x2となっており、第1面53aの開口部53cから第1面53aの面法線方向に沿って一対の長尺プレート17a,17bが伸びるように構成されている。
【0070】
筐体42は、箱状の筐体本体50と、筐体本体50の開口領域を覆う蓋部51とを有し、筐体42の内部に設けたロータリーエンコーダ30b(図9にて後述する)と連結される計測回路43と、プレート駆動装置44と、巻き取り用駆動装置45と、後述するストッパ機構部が設置される取付部47と、が外表面に設けられている。
【0071】
プレート駆動装置44は、上述した第1実施形態に係るプレート駆動装置12に相当し、蓋部51の外表面に設けられ、筐体42の内部に設けた駆動ローラ30a(図9にて後述する)が、出力軸に結着されている。プレート駆動装置44は、筐体42の内部に設けた駆動ローラ30aを回転させて一対の長尺プレート17a,17bに駆動力を与え、一対の長尺プレート17a,17bを筐体42の内部から外部へと引き出させる。
【0072】
巻き取り用駆動装置45は、蓋部51の外表面に設けられ、筐体42の内部に設けた一方の巻尺部60b(図9にて後述する)の回転軸に、出力軸が結着されている。巻き取り用駆動装置45は、筐体42の内部に設けた一方の巻尺部60bを回転させ、一方の巻尺部60bと、一方の巻尺部60bと連結する他方の巻尺部60aとに駆動力を与え、一対の長尺プレート17a,17bを巻尺部60a,60bに巻き取らせて筐体42の内部に収容させる。
【0073】
図9は、図8に示した蓋部51の図示を省略して突出型リニアアクチュエータ40の内部の構成を示した概略図である。なお、図9では、一例として、一方の巻尺部60aから送り出される長尺プレート17aの片面にロータリーエンコーダ30bが当接し、他方の巻尺部60bから送り出される長尺プレート17bの片面に駆動ローラ30aが当接した構成を示しており、上述した第1実施形態とは駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの配置位置を逆にした構成を図示している。筐体本体50は、蓋部51(図8)が設置される本体側設置面53eの四隅にそれぞれネジ孔53dが形成されている。突出型リニアアクチュエータ40は、図13にて後述する蓋部51の連通孔67dが、筐体本体50の本体側設置面53eのネジ孔53dに位置決めされ、重ね合わせた蓋部51の連通孔67dと、筐体本体50のネジ孔53dとに対してネジが螺着されることで筐体本体50と蓋部51とが一体化される(図8)。
【0074】
なお、本実施形態においては、本体側設置面53eの外郭形状を四辺形状としているが、本発明はこれに限らず、並んで配置した一対の巻尺部60a,60bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bの外周形状に沿って本体側設置面53eを凸形状に形成してもよい。この場合、蓋部51は、筐体本体50の本体側設置面53eに設置される蓋側設置面が、当該本体側設置面53eの形状に合わせて凸形状となり得る。
【0075】
筐体本体50には、一対の巻尺部60a,60bと、駆動ローラ30aと、回転ローラであるロータリーエンコーダ30bとが、内部に収容されている。この場合、筐体本体50には、一対の巻尺部60a,60bを収容する一対の巻尺部収容凹部57a,57bと、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを収容するローラ収容凹部58と、が本体側設置面53eに形成されている。巻尺部収容凹部57a,57bと、ローラ収容凹部58との間には、一対の長尺プレート17a,17bが挿通する挿通孔59が形成されている。
【0076】
この場合、本実施形態に係る筐体本体50は、プラスチックなどの硬質樹脂部材により形成されており、一対の巻尺部収容凹部57a,57bと、ローラ収容凹部58とが形成されていない本体側設置面53eの領域に、当該硬質樹脂部材でなる中実部501を有する。
【0077】
一対の巻尺部収容凹部57a,57bは、左右対称に形成された有底の溝部であり、それぞれ巻尺部60a,60bの外郭形状に合わせて円柱形状に形成されている。また、巻尺部収容凹部57a,57bは、径が巻尺部60a,60bの径より僅かに大きく選定されており、筐体本体50の小型化が図られている。巻尺部収容凹部57a,57bには、底部の中心にそれぞれ軸芯61aが設けられている。巻尺部収容凹部57a,57bには、各軸芯61aにそれぞれ巻尺部60a,60bが回転自在に設けられて、当該巻尺部60a,60bが巻尺部収容凹部57a,57b内に収容される。
【0078】
ローラ収容凹部58には、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bが収容され、巻尺部60a,60bから挿通孔59を通過して送り出される一対の長尺プレート17a,17bが案内される。本実施形態に係るローラ収容凹部58は、有底の溝部であり、開口の形状が、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの外周を連続して囲んだ楕円形状を有している。ローラ収容凹部58は、第1面53aに形成された開口部53cと連通し、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30b間を通過した一対の長尺プレート17a,17bを開口部53cに向けて通過し得る。
【0079】
一対の各巻尺部60a,60bは、各長尺プレート17a,17bをそれぞれ渦巻状に巻装し、それぞれ外周に形成された歯車部62により係合され、一方の巻尺部60bの回転に伴って他方の巻尺部60aが回転する。
【0080】
ここで、一対の巻尺部60a,60bは、筐体本体50の開口部53cが形成された第1面53aと対向する第2面53b側に位置し、かつ、これら巻尺部60a,60bが互いに対向する位置に、巻尺部60a,60bから長尺プレート17a,17bが離隔してゆくプレート離隔部が配置されている。
【0081】
巻尺部60a,60bに巻装された各長尺プレート17a,17bは、巻尺部60a,60bのプレート離隔部から、筐体本体50に形成された後述するローラ収容凹部58内にそれぞれ引き出されている。
【0082】
巻尺部60a,60bは、図10に示すように、中心に孔部655aを有し、筐体本体50に設けた軸芯61aに当該孔部655aが挿通され、筐体本体50に回動自在に設けられている。各巻尺部60a,60bは、上述した第1実施形態とは異なり、内部にゼンマイバネなどの弾性部材は備えておらず、巻き取り用駆動装置45の駆動力によって、各巻尺部60a,60bにそれぞれの長尺プレート17a,17bを巻き取るように構成されている。
【0083】
長尺プレート17a,17bは、長尺の帯状金属プレートや帯状樹脂プレートなどによって構成されており、例えば、剛性が高いアルミニウム製またはアルミニウム合金製のものを使用してもよい。第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ40は、巻き取り用駆動装置45の駆動力によって巻尺部60a,60bに長尺プレート17a,17bを巻き取ることから、ゼンマイバネなどの弾性部材により与えられる弾性復元力では巻尺部60a,60bに巻き取ることが難しい、剛性が高い帯状金属プレートでも、巻尺部60a,60bに長尺プレート17a,17bを巻き取ることができる。
【0084】
長尺プレート17a,17bは、一対の巻尺部60a,60bの外周の接線方向に伸びて当接し、ローラ収容凹部58内に収容した駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間に挟み込まれる。長尺プレート17a,17bは、重ね合わせられた状態で駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間を通過し、筐体本体50の第1面53aに形成された開口部53cから外部に向けて自由端部が突出する。
【0085】
次に、巻尺部60a,60bの構成について説明する。なお、巻尺部60a,60bは同一構成であるため、ここでは、巻尺部60aに着目して以下説明する。図10に示すように、巻尺部60aは、柱部66と、柱部66の端部にそれぞれ設けられる円板部65a,65bとを備える。柱部66には、平坦部66aを有し、当該平坦部66aに固定用孔66bが形成されている。柱部66には、図11に示すように、長尺プレート17aに形成された貫通孔(図示せず)が平坦部66aの固定用孔66b(図10)と重なるように位置決めされ、長尺プレート17aの貫通孔を挿通させたネジ67を平坦部66aの固定用孔66bに螺着させる。巻尺部60aは、平坦部66aに対してネジ67により長尺プレート17aを固定してネジ67が突出し難くなっており、ネジ67が邪魔にならずに長尺プレート17aを柱部66に巻き付けることができる。
【0086】
巻尺部60aには、ネジ67により柱部66に端部を固定させた長尺プレート17aが柱部66の外周に巻き取られてゆき、対向配置させた円板部65a,65b間の柱部66に長尺プレート17aが巻装される。
【0087】
図10に示すように、円板部65a,65bは、外周にそれぞれ歯車部62が形成されている。歯車部62は、歯部62aと歯溝62bとが交互に形成された構成を有し、一方の巻尺部60bの歯溝62bに他方の巻尺部60aの歯部62aが噛み合わされることで、一対の巻尺部60a,60が連動して回動可能となっている。
【0088】
第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ40は次のようにして組み立てられる。始めに、図12に示すように、一対の巻尺部60a,60bを予め設けた筐体本体50を用意する。また、図13に示すように、駆動ローラ30a、プレート駆動装置44、巻き取り用駆動装置45、ロータリーエンコーダ30bおよび計測回路43を予め設けた蓋部51を用意する。なお、図13に示すように、駆動ローラ30aは、蓋部51の厚みを貫通したプレート駆動装置44の出力軸71aに結着され、ロータリーエンコーダ30bは、蓋部51の厚みを貫通した計測回路43の出力軸71bに結着されている。
【0089】
そして、蓋部51の蓋側設置面67eに設けた駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを、筐体本体50のローラ収容凹部58内に収容されるように、筐体本体50の本体側設置面53eを蓋部51で覆うように配置させる。この際、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bの間に、一対の長尺プレート17a,17bを挟み込むようにして、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bをローラ収容凹部58内に収容する。
【0090】
次いで、筐体本体50のネジ孔53dと重なった蓋部51の連通孔67dにネジを挿通して当該ネジを筐体本体50のネジ孔53dに螺着させることにより、蓋部51と筐体本体50とを一体化することができる。この場合、上述した第1実施形態と同様に、蓋部51を筐体本体50の本体側設置面53eに取り付けるだけで、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bにより一対の長尺プレート17a,17bを挟み込むことができ、組み立て性が向上し、また、分解時に、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを容易に交換することができる。
【0091】
なお、突出型リニアアクチュエータ40では、剛性が高い帯状金属プレートなどの長尺プレート17a,17bを用いる場合、長尺プレート17a,17bが真っ直ぐになろうとする力が強く働く。そのため、巻尺部60a,60bを停止させ続ける場合、巻き取り用駆動装置45を動作させて常に巻尺部60a,60bに対して負荷をかけて、巻尺部60a,60bを停止させ続けることが必要になることも考えられる。
【0092】
そこで、剛性が高い長尺プレート17a,17bを用いる場合には、一対の巻尺部60a,60bのいずれかの歯溝62bに金属棒などの棒状のストッパを挿入し、当該ストッパによって巻尺部60a,60bを非回転状態に維持させるストッパ機構部を設けるようにしてもよい。図14は、巻尺部60a,60bに対するストッパ機構部74の配置位置を説明するための概略図である。図15は、ストッパ機構部74の構成を示す概略図である。
【0093】
この場合、突出型リニアアクチュエータ40は、図14に示すように、連結金具73を、図示しない蓋部51の取付部47に装着して、ストッパ機構部74を設ける構成となる。なお、図14では、巻尺部60aに対するストッパ機構部74の位置を説明するため、蓋部51の図示は省略している。なお、ストッパ機構部74を取付部47に装着して取り付ける手法としては、取付部47にストッパ機構部74を嵌合させてネジで螺着させるなど、公知の取り付け手法を適用すればよい。
【0094】
ストッパ機構部74は、一対の巻尺部60a,60bを回転させるときには歯車部62の歯溝62bからストッパ77を引き抜き、一対の巻尺部60a,60bを停止させたときには当該歯溝62bにストッパ77を挿入する。この場合、ストッパ機構部74は、枠部75内に電圧発生部75aを備え、当該電圧発生部75aからの電圧がソレノイド76に印加されることにより、ソレノイド76が外周に巻かれた棒状のストッパ77を、電圧の印加により発生した磁気によって突出可能に構成されている。ストッパ機構部74は、一対の巻尺部60a,60bを停止させたときに、ソレノイド76に電圧を印加し、ストッパ77を突出させて歯溝62bにストッパ77を挿入し、物理的に巻尺部60a,60bの非回転状態を維持させることができる。
【0095】
(2―2)<作用および効果>
以上の構成によれば、第2実施形態に係る突出型リニアアクチュエータ40でも、一対の巻尺部60a,60b、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを筐体42の内部に収容して外部から非露出状態にすることができるので、例えば、アームロボット1のスライダ8に取り付ける際にも、巻尺部60a,60bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bがスライダ8などの他の部位に当たってしまうことがなく、これら巻尺部60a,60bや、駆動ローラ30a、ロータリーエンコーダ30bの位置を気にすることなく取り付け作業を行わせることができる。よって、その分、従来よりも取扱い性を向上し得る。
【0096】
(3)<他の実施形態>
なお、上述した実施形態においては、回転ローラとして、ロータリーエンコーダ30bを適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らない。例えば、駆動ローラ30aに対向配置されて、重ね合わせた一対の長尺プレート17a,17bを駆動ローラ30aとの間に単に挟み込む回転ローラであってもよい。
【0097】
また、上述した実施形態においては、押圧子18を長尺プレート17a,17bの自由端部に設けた構成について説明したが、本発明はこれに限らず、例えば、電子機器などを長尺プレート17a,17bの自由端部に設けるようにしてもよい。
【0098】
電子機器としては、例えば、周辺環境のCO濃度を観測し、観測により得られた情報に基づいてCO濃度の計測値を示す検出信号を出力する電子機器の他、その他のガスセンサや、温度センサ、湿度センサ、照度センサ、放射線センサ、近接センサ、磁気センサ、撮像センサ、気圧センサ、加速度センサ、騒音センサまたは音響センサのいずれかを電子機器として設置してもよい。
【0099】
また、例えば、撮像装置や、ライダ、3Dスキャナ装置などの物体認識装置13を、電子機器として、長尺プレート17a,17bの自由端部に設けた突出型リニアアクチュエータ10,40としてもよい。また、照明装置を長尺プレート17a,17bの自由端部に設けた突出型リニアアクチュエータ10,40としてもよい。
【0100】
また、上述した実施形態においては、アームロボット1に突出型リニアアクチュエータ10,40を設けたが、本発明はこれに限らず、自律的に走行する自走式ロボットや、設備装置などの部位に設置するようにしてもよい。また、長尺プレート17a,17bの自由端部に、把持部を有したハンドロボットを設けるようにしてもよい。
【0101】
また、スクリーンを展開および折り畳むスクリーン装置に突出型リニアアクチュエータ10,40を設けるようにしてもよい。この場合、突出型リニアアクチュエータ10,40は、例えば、スクリーンシートを巻き取り可能なスクリーン装置の巻き取り機構に設置され、スクリーンシートの端部を支持するスクリーン支持部が、一対の長尺プレート17a,17bの自由端部に設置される。突出型リニアアクチュエータ10,40は、一対の長尺プレート17a,17bを伸ばして巻き取り機構からスクリーンシートを引き上げることができる。
【0102】
突出型リニアアクチュエータ10,40は、一対の長尺プレート17a,17bを進退させることにより、長尺プレート17a,17bの自由端部に設けたスクリーン支持部を伸縮方向x1,x2に往復直線運動させ、スクリーンシートを展開および畳み込み可能に構成することができる。突出型リニアアクチュエータ10,40は、例えば、隣接する机間や椅子間に設置することでスクリーンシートをパーテンションとして使用し得、或いは、建物開口部に設置することでスクリーンシートを日よけや目隠し等として使用し得る。また、突出型リニアアクチュエータ10,40は、例えば、プロジェクタからの画像や映像をスクリーンシートに投影させることでスクリーン装置としても使用し得る。
【0103】
また、上述した第1実施形態においては、筐体11の外表面に配置される電子機器としてプレート駆動装置12や、ロータリーエンコーダ30bに連結される計測回路、物体認識装置13を適用して、これらプレート駆動装置12、計測回路および物体認識装置13からそれぞれ延びる配線を筐体11の貫通孔15aに挿通させるようにしたが、本発明はこれに限らず、その他、種々の電子機器を筐体11に設け、当該電子機器の配線を筐体11の貫通孔15aに挿通させるようにしてもよい。また、上述した第1実施形態において筐体11に設けた貫通孔15aは、第2実施形態に係る筐体42に設けてもよい。
【0104】
また、上述した第1実施形態に係る筐体本体11において、一対の巻尺部25a,25bの外周頂上部同士を結んだ仮想線L1を超えた領域内に、駆動ローラ30aおよびロータリーエンコーダ30bを配置してもよい。また、巻尺部25aに第2実施形態に係る巻き取り用駆動装置45を設けるなど、第1実施形態の構成と第2実施形態の構成とを組み合わせた構成としてもよい。
【符号の説明】
【0105】
10,40 突出型リニアアクチュエータ
11,42 筐体
15,50 筐体本体
16,51 蓋部
17a,17b 長尺プレート
25a,25b,60a,60b 巻尺部
30a 駆動ローラ
30b ロータリーエンコーダ(回転ローラ)
26a,26b,57a,57b 巻尺部収容凹部
29,58 ローラ収容凹部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【手続補正書】
【提出日】2024-02-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状金属プレートまたは帯状樹脂プレートで構成され、表面に凹部面を有し裏面に凸部を有する長尺プレートが渦巻状に巻装されて対向配置された一対の巻尺部と、
一対の前記巻尺部を内部に収容し、一対の前記巻尺部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートが重ね合わさるように前記長尺プレートの前記凸部同士を互いに当接させ、一対の前記長尺プレートの重ね合わせた自由端部を開口部から外部に突出させる筐体と、
前記筐体の内部に収容され、重ね合わせた一対の前記長尺プレートの片面に当接して一対の前記長尺プレートを前記長尺プレートの長手方向に移動させる、円柱状に形成され軟質樹脂部材により外周表面が形成された駆動ローラと、
前記筐体の内部に収容され、前記駆動ローラに対向配置されて、重ね合わせた一対の前記長尺プレートを前記駆動ローラとの間に挟み込む、円柱状に形成され軟質樹脂部材により外周表面が形成された回転ローラと、
を備え、
前記駆動ローラと前記回転ローラとは、一対の前記長尺プレートが挟まれていない状態において接しており、
前記筐体は、
一対の巻尺部が収容される一対の巻尺部収容凹部と、前記駆動ローラおよび前記回転ローラを収容するローラ収容凹部と、を有する筐体本体と、
一対の前記巻尺部収容凹部および前記ローラ収容凹部が形成された前記筐体本体の本体側設置面に着脱自在に固定され、前記筐体本体と一体化されて、一対の前記巻尺部収容凹部に収容された一対の前記巻尺部と、前記ローラ収容凹部に収容された前記駆動ローラおよび前記回転ローラと、を覆う蓋部と、
を備え、
一対の前記巻尺部から前記長尺プレートが引き出され、または、一対の前記巻尺部に前記長尺プレートが巻き取られて、前記筐体の前記開口部から突出した一対の前記長尺プレートを前記筐体の外部で往復直線運動させる、突出型リニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記回転ローラは、
ロータリーエンコーダであり、前記長尺プレートの往復直線運動に応じて前記ロータリーエンコーダが回転可能に構成されており、前記ロータリーエンコーダの回転方向および回転数に基づいて前記長尺プレートの自由端部の位置が特定される、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記筐体には、
対向配置された一対の前記巻尺部の間の領域内であって、かつ、一対の前記巻尺部の外周頂上部同士を結んだ仮想線を超えない領域内に、前記駆動ローラおよび前記回転ローラが配置されている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項4】
一対の前記巻尺部は、
前記筐体の前記開口部が形成された第1面と対向する第2面側に位置し、かつ、前記巻尺部が互いに対向する位置にあるプレート離隔部から前記長尺プレートがそれぞれ伸びており、
前記駆動ローラおよび前記回転ローラは、
一対の前記巻尺部の間に配置されており、
前記筐体本体には、
一対の前記巻尺部の前記プレート離隔部から、前記ローラ収容凹部の前記駆動ローラおよび前記回転ローラの間に向かうに従って、前記プレート離隔部からそれぞれ伸びる前記長尺プレートを互いに近づくように案内するプレート案内凹部が形成されている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記プレート案内凹部は、
前記巻尺部の外郭形状に合わせて形成された前記巻尺部収容凹部の円柱形状の内周面からそれぞれ接線方向に沿って前記ローラ収容凹部に向けて延びるように形成されている、
請求項4に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項6】
一対の前記巻尺部は、
それぞれの外周に形成された歯車部により互いに係合し、一方の前記巻尺部の回転に伴って他方の前記巻尺部が回転する、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項7】
一対の前記巻尺部のうち少なくともいずれか一方には、
前記巻尺部を回転させて前記巻尺部に前記長尺プレートを巻き取らせる巻き取り用駆動装置が設けられている、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項8】
一対の前記巻尺部を回転させるときには前記歯車部の歯溝から抜かれ、一対の前記巻尺部を停止させたときには前記歯溝に挿入されて前記巻尺部の非回転状態を維持させるストッパを備える、
請求項6に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項9】
前記筐体には、
一対の前記巻尺部の回転軸方向に、厚みを貫通する貫通孔が形成されており、
前記貫通孔には、
前記筐体の外表面に配置される電子機器の配線が挿通可能な構成を有する、
請求項1に記載の突出型リニアアクチュエータ。
【請求項10】
一対の前記長尺プレートの自由端には、
電子機器、ハンドロボット、スクリーン装置のスクリーンシート、照明装置および押圧子のうち、少なくともいずれかが設けられている、
請求項1~9のうちいずれか1項に記載の突出型リニアアクチュエータ。