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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024173525
(43)【公開日】2024-12-12
(54)【発明の名称】型枠
(51)【国際特許分類】
   E04G 9/08 20060101AFI20241205BHJP
【FI】
E04G9/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023092001
(22)【出願日】2023-06-02
(71)【出願人】
【識別番号】393028058
【氏名又は名称】サクラパックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100228511
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 彩秋
(74)【代理人】
【識別番号】100173462
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【弁理士】
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(71)【出願人】
【識別番号】523206655
【氏名又は名称】富山交易株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】523211958
【氏名又は名称】株式会社CSメンテ
(74)【代理人】
【識別番号】110002996
【氏名又は名称】弁理士法人宮田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】二上 築
(72)【発明者】
【氏名】榊 慎之介
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 忠洋
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150BA16
2E150BA26
2E150BA32
2E150CA01
2E150GB31
2E150HB02
2E150MA11X
2E150MA52X
(57)【要約】
【課題】
輸送や取り付けや撤去を簡単に実施可能であり、法面など、資材の輸送方法に制約がある場所での使用に適した型枠の提供。
【解決手段】
型枠10は、プラダンなどの板材11で構成し、板材11は、三列の折り目16を境界として底部12と壁部13と後背部14と末端部15に区画し、底部12と末端部15には固定穴17を形成する。そして折り目16を屈曲させ、末端部15を底部12に載せ、さらに底部12と末端部15の双方の固定穴17を同心に揃えることで、底部12と壁部13と後背部14が三角形状に並び、この状態で底部12を土台部Bの表面に載せ、固定穴17に固定具21を差し込むだけで型枠10を取り付けることができる。また固定具21を取り外すだけで撤去が可能であり、しかも型枠10は、平面状に展開させて複数を積層可能であり、輸送や取り付けや撤去を簡単に実施することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板材(11)で構成される型枠であって、土台部(B)の表面に固定した状態で使用され、
板材(11)には平行に揃う三列の折り目(16)を形成してあり、折り目(16)を境界として板材(11)の一端面から順に底部(12)と壁部(13)と後背部(14)と末端部(15)とからなる四個の区画を確保してあり、そのうち底部(12)と末端部(15)には、折り目(16)と同じ方向に沿って複数の固定穴(17)を形成してあり、
全ての折り目(16)を屈曲させ、壁部(13)を底部(12)から立ち上げるほか、後背部(14)は壁部(13)の上端から斜め下向きに配置し、さらに末端部(15)を底部(12)に載せ、併せて底部(12)と末端部(15)の双方の固定穴(17)を同心に揃えることで、底部(12)と壁部(13)と後背部(14)が三角形状に並び、
底部(12)と末端部(15)の双方の固定穴(17)が同心に揃った状態において、底部(12)を土台部(B)の表面に載せ、固定穴(17)から土台部(B)に向けて棒状の固定具(21)を差し込むことで、土台部(B)に固定されることを特徴とする型枠。
【請求項2】
末端部(15)に載せることのできる帯状の圧着板(31)を使用し、圧着板(31)には末端部(15)と同じ配置で複数の固定穴(37)を形成し、圧着板(31)を末端部(15)に載せ、さらに双方の固定穴(17、37)を同心に揃えた状態で固定具(21)を差し込むことを特徴とする請求項1記載の型枠。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平面状に仕上げられた土台部の表面にコンクリート製の壁などを構築する際、凝結前のコンクリートをせき止めるために使用する型枠に関する。
【背景技術】
【0002】
建築物や土木構造物の施工において、現地でコンクリートを打設する際は、設計図に基づいて型枠を据え付け、その内側に凝固前のコンクリートを流し込み、それが凝結した段階で型枠を撤去することになる。このような型枠は、合板などの木製が主流であり、現地に輸送した後に据え付けを行うことになる。ただし木製の型枠は、その大きさや重さから、人力での大量輸送が難しいほか、据え付けについても、釘類の打ち込みなど、面倒な作業が必要になるため、合成樹脂製の型枠が使用されることもある。合成樹脂製の型枠は高価になりやすいが、軽量であるほか耐久性にも優れており、繰り返して使用することが多い。
【0003】
このような合成樹脂製の型枠は以前から開発されており、その具体例として後記の特許文献が挙げられ、そのうち特許文献1では、コンクリート打設用の自己支持型仮枠が開示されている。この仮枠は、搬送や取り扱いを容易にすることを目的としており、プラスチックやダンボールを素材とした四角形の仮枠本体を三角断面に組み立てて使用するものであり、仮枠本体に二本の折線を形成することで、仮枠本体がパネル片と固定片と支持片に区画され、固定片と支持片のそれぞれには、相互に係止する係止部を設ける。そして双方の係止部をかみ合わせた後、建造物の屋上を形成するスラブなどに接着剤で仮枠本体を取り付ける。以降、パネル片はスラブなどから直立した状態になり、コンクリートを打設する際の仮枠として機能する。
【0004】
次の特許文献2では、打設コンクリートの角隅部に面取を形成する際に使用する面木が開示されている。通常、角隅部に面取を形成する際は、三角断面の面木を用意し、これを釘などで型枠の内面に取り付けた後、コンクリートを打設することになるが、この面木は、型枠を組み立てた後に取り付けを行うため、作業性が悪いほか、型枠を再利用する際は、面木を取り外して処分する必要があるなど、いくつかの課題がある。そこでこの文献の面木は、面木部と板状部を一体化した構成としてあり、面木部は三角断面とするほか、板状部は面木部の角部から突出するように配置し、実際にこの面木を取り付ける際は、隣接する型枠同士の間にその板状部を挟み込み、面木部だけを型枠の内面に配置する。なお面木の素材については、合成樹脂や板金材が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】公開実用平成2-62038号公報
【特許文献2】公開実用昭和63-12558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
山岳部で道路などを建設する際は、そこに隣接する法面を保護するため、様々な対策が講じられており、その一例として法面に排水用の水路を形成し、法面に雨水が浸透することを防ぐ場合がある。この水路は、法面の途中の踊り場に二列のコンクリート壁を形成しただけの簡易な構造とすることも可能だが、その施工時は、法面といった特殊性から、型枠の輸送や取り付けを人力に依存することになり、費用や時間など、様々な課題が発生する。そこで、このような箇所で使用する型枠については、施工時の労力を抑制できるよう、輸送や取り付けや撤去をできるだけ簡単に実施できることが望ましい。
【0007】
本発明はこうした実情を基に開発されたもので、輸送や取り付けや撤去を簡単に実施可能であり、法面など、資材の輸送方法に制約がある場所での使用に適した型枠の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題を解決するための請求項1記載の発明は、板材で構成される型枠であって、土台部の表面に固定した状態で使用され、板材には平行に揃う三列の折り目を形成してあり、折り目を境界として板材の一端面から順に底部と壁部と後背部と末端部とからなる四個の区画を確保してあり、そのうち底部と末端部には、折り目と同じ方向に沿って複数の固定穴を形成してあり、全ての折り目を屈曲させ、壁部を底部から立ち上げるほか、後背部は壁部の上端から斜め下向きに配置し、さらに末端部を底部に載せ、併せて底部と末端部の双方の固定穴を同心に揃えることで、底部と壁部と後背部が三角形状に並び、底部と末端部の双方の固定穴が同心に揃った状態において、底部を土台部の表面に載せ、固定穴から土台部に向けて棒状の固定具を差し込むことで、土台部に固定されることを特徴とする。
【0009】
本発明による型枠は、板材を三箇所で屈曲させて立体構造とすることを前提としており、この板材については、合成樹脂や耐水性を持たせた紙など、様々な素材を自在に選択可能だが、いずれの素材についても、直線状に伸びる折り目を形成可能であり、しかもこの折り目を軸として自在に屈曲できる必要がある。なお板材については、入手性や重量などを考慮すると「プラダン」が最適である。プラダンは、ごく薄い合成樹脂板を組み合わせて段ボールと同様の中空構造としたものであり、通常の段ボールと同様、プレス加工で折り目を形成することができる。
【0010】
本発明では、板材に三列の折り目を形成する。この三列の折り目は平行に揃っており、しかも全ての折り目は、板材の両端面の間を途切れることなく結んでいる。したがって板材は、この三列の折り目を境界として四個の区画に分割され、この区画を順に「底部」、「壁部」、「後背部」、「末端部」と称するものとする。必然的に底部と末端部は、板材の端面に位置しており、その間に壁部と後背部が挟み込まれる形態になる。
【0011】
板材を水平面上に展開させた状態において、底部と壁部との境界の折り目を屈曲させ、壁部を底部から立ち上げ、次に壁部と後背部との境界の折り目を屈曲させ、後背部を底部の上方に配置し、その後、後背部と末端部との境界の折り目を底部に載せると、底部と壁部と後背部が三角形状に並ぶことになる。なおその際は、後背部と末端部との境界の折り目を屈曲させ、末端部を底部に載せる。
【0012】
固定穴は、底部と末端部の双方に設けるが、いずれも折り目と同じ方向に沿って複数を形成し、しかも末端部を底部に載せた際、双方の固定穴は、全てが同心に揃うものとする。そしてこの固定穴に釘などの固定具を差し込むことで、底部と末端部が密着して移動不能になり、以降、底部と壁部と後背部が三角形状に並んだ状態を自然に維持する。なお、折り目や固定穴の配置を調整することで、壁部を傾斜させることも可能である。そのほか固定具は、釘類やピンなど、傘状の頭部を有する棒状のものを自在に選択可能であり、固定具が末端部を押し込むことで、末端部が底部に密着する。
【0013】
本発明による型枠は、土台部の表面に固定した状態で使用するが、この土台部は、建築物や土木構造物の床や壁などを想定している。また型枠は、釘などの固定具で土台部に固定する。そのため土台部は、固定具の打ち込みが可能であることが望ましい。なお土台部がコンクリートである場合でも、各種の電動工具を使用することで、固定具の差し込みは可能である。そして土台部に複数の型枠を固定した後、その壁部で囲まれた領域に凝固前のコンクリートを流し込む。
【0014】
本発明では、底部を接着剤などで土台部に固定することを想定しておらず、作業の簡素化の観点から、固定具だけで固定することを想定している。そのため凝固前のコンクリートが型枠の下に浸透しないよう、隣接する固定具の間隔を抑制するほか、土台部の表面は平滑に仕上げておき、底部が隙間なく土台部に密着できることが望ましい。そしてコンクリートの凝結後、固定具を取り外すと、末端部や後背部は移動可能な状態になり、これらの部位を利用して型枠を人力で取り外すことができ、以降、型枠を平面状に戻すことができる。
【0015】
このように、プラダンなどの板材を型枠として使用した上、この板材に三列の折り目を形成し、底部と壁部と後背部と末端部とからなる四個の区画を確保するほか、底部と末端部の双方に固定穴を形成して型枠を完成させることで、平面状に展開させた型枠を複数積層した状態で現地に輸送することが可能になる。そして現地では、型枠を各種の土台部の表面に載せ、次に折り目を屈曲させて底部と壁部と後背部を三角形状に並べるほか、末端部を底部に載せ、さらに底部と末端部の双方の固定穴を同心に揃え、そこに固定具を差し込むことで、型枠が土台部に固定される。固定具の差し込みにより、底部は土台部に密着するほか、三角形状に並んだ底部と壁部と後背部は移動不能になるため、壁部によって凝結前のコンクリートをせき止めることができる。
【0016】
請求項2記載の発明は、型枠の耐久性を向上させることを目的としており、末端部に載せることのできる帯状の圧着板を使用し、圧着板には末端部と同じ配置で複数の固定穴を形成し、圧着板を末端部に載せ、さらに双方の固定穴を同心に揃えた状態で固定具を差し込むことを特徴とする。圧着板は、末端部に載せる板であり、これによって底部と末端部と圧着板の三層が上下に重なり、末端部が保護されるため、固定具との激しい接触による末端部の劣化を抑制することができる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1記載の発明のように、プラダンなどの板材を型枠として使用した上、この板材に三列の折り目を形成し、底部と壁部と後背部と末端部とからなる四個の区画を確保するほか、底部と末端部の双方の固定穴を形成して型枠を完成させることで、平面状に展開させた型枠を複数積層した状態で現地に輸送することが可能になる。そして現地では、型枠を各種の土台部の表面に載せ、次に折り目を屈曲させて底部と壁部と後背部を三角形状に並べるほか、末端部を底部に載せ、さらに底部と末端部の双方の固定穴を同心に揃え、そこに固定具を差し込むことで、型枠が土台部に固定される。固定具の差し込みにより、底部は土台部に密着するほか、三角形状に並んだ底部と壁部と後背部は移動不能になるため、壁部によって凝結前のコンクリートをせき止めることができ、従来の木製の型枠と比較し、現地での作業を簡素化することができる。
【0018】
本発明による型枠は、平面状に展開させた状態で複数を積層できるため、狭い空間で多数を保管できるほか、人力での大量輸送も容易である。しかも本発明では、プラダンなど、広く普及している素材を使用できるため、製造費用を抑制できるほか、プラダンは、軽量でありながらも耐久性にも優れており、繰り返して使用することで、施工者などの経済的負担を軽減することができる。そのほか型枠を土台部に固定する際は、接着剤ではなく釘などの固定具を使用するため、型枠の撤去が容易であり、コンクリートが凝結した後に固定具を取り外し、それによって浮き上がった末端部や後背部を指などでつかみ、コンクリートから壁部を引き離せばよい。
【0019】
請求項2記載の発明のように、末端部に載せる圧着板を使用することで、固定具の差し込みによる型枠の劣化が抑制され、型枠を繰り返して使用可能な回数が増えるため、施工者などの経済的負担を一段と軽減することができる。なお圧着板は、末端部に載るだけの単純な形状であり、その製造自体は容易である。また圧着板を使用することで、底部を均等に押し付けて土台部に密着させることができ、凝固前のコンクリートが型枠の下に浸透することを確実に防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明による型枠の形状例を示す斜視図である。
図2図1の型枠を使用して壁状の構造物を構築する過程を示す斜視図である。
図3図2の後、打設したコンクリートが凝結して壁状の構造物が完成した状態を示す斜視図である。
図4】型枠を確実に土台部に密着させるため、圧着板を使用する場合を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による型枠10の形状例を示している。この型枠10は、一枚の長方形の板材11で構成されており、その素材については、プラダンなど、軽量で耐久性や耐水性に優れたものを使用する。また板材11には、平行に揃う三列の折り目16が所定の間隔を空けた状態で形成してあり、そこを軸として板材11を自在に屈曲させることができる。さらに板材11は、三列の折り目16を境界として四個の長方形に区画されており、この区画は、図の右側から順に、底部12、壁部13、後背部14、末端部15と称するものとする。そのほか底部12と末端部15には、折り目16と同じ方向に沿って複数の固定穴17を形成してある。
【0022】
この型枠10を実際に使用する際は、図の下方のように、全ての折り目16を屈曲させ、底部12と壁部13と後背部14を三角形状に並べ、さらに末端部15を底部12に載せると共に、底部12と末端部15の双方の端面を段差なく上下に揃えると、双方の固定穴17が同心に揃う。そしてこの状態で固定穴17に固定具21を差し込むと、底部12と末端部15が実質的に一体化され、必然的に壁部13と後背部14の配置が拘束され、底部12と壁部13と後背部14による三角形状が自然に維持される。
【0023】
この図の固定具21は、ネジ釘を使用している。またここでの型枠10は、コンクリート製の土台部Bの表面に載せることを想定しており、型枠10を所定の位置に載せた後、電動工具を使用して固定具21を土台部Bに差し込んでいくが、固定具21の頭部が末端部15を過度に押し込んで破損することを防ぐため、ワッシャ22を組み込んでいる。なおこの図では、固定具21を差し込んだ状態において、壁部13は底部12に対して直角に配置されるよう、各部の寸法を調整してある。
【0024】
図2は、図1の型枠10を使用して壁状の構造物を構築する過程を示している。ここでの構造物は、土台部Bの表面から突出する壁状であり、その構築のため、凝固前のコンクリートを打設する際は、あらかじめ土台部Bの表面に二列の型枠10を配置することになるが、この二列は、双方の壁部13が一定の間隔を維持しながら対向しているほか、個々の列では、構築される構造物の長手方向に沿って複数の型枠10を隙間なく並べていく。そして個々の型枠10は、固定具21で土台部Bに固定されている。固定具21は狭い間隔で並んでいるため、凝固前のコンクリートが型枠10の下に浸透することを防いでいる。
【0025】
この図のように、複数の型枠10を土台部Bに固定した後、凝固前のコンクリートをせき止めるため、二列に並ぶ型枠10の端面をストッパで塞いでいる。このストッパは、対向する壁部13同士の間を結ぶような単純な板であり、粘着テープなどで型枠10と一体化させている。そのほか、同じ列で隣接する型枠10同士の境界についても、粘着テープを貼り付け、壁部13同士の隙間を塞いでいる。なおストッパについては、型枠10で代替することも可能である。そして全ての型枠10を隙間なく密着させた後、その内側にコンクリートを打設していく。
【0026】
図3は、図2の後、打設したコンクリートが凝結して壁状の構造物が完成した状態を示している。コンクリートが凝結したことで型枠10は不要になり、順次撤去することになるが、その際はまず固定具21とワッシャ22を取り外す。そして全ての固定具21を取り外すと、末端部15や後背部14は移動可能な状態になり、さらに折り目16で生じる弾性により、底部12から浮き上がる。その後、末端部15を指などでつかみ、構造物から遠ざかる方向に引き出すと、凝結後のコンクリートとの接触が解き放され、最終的には図の下方のように、土台部Bの表面に壁状の構造物が構築された状態になる。なお撤去後の型枠10は、平面状に変形させて複数を積層することで、人力でも大量に輸送することができる。
【0027】
図4は、型枠10を確実に土台部Bに密着させるため、圧着板31を使用する場合を示している。圧着板31は、末端部15に載せることのできる帯状の板であり、末端部15と同様に固定穴37を設けてあり、図1のワッシャ22の代替として機能する。圧着板31を末端部15に載せた状態で固定具21を差し込むことで、末端部15は、圧着板31によって途切れることなく上から押し付けられるため、底部12の全域を強固に土台部Bに密着させ、凝固前のコンクリートの浸透を確実に防ぐことができる。なお圧着板31は、後背部14と接触することがないよう、その幅を調整してある。
【0028】
固定具21を差し込む際、その締め付けが過剰になった場合でも、それによる変形は圧着板31に集中するため、末端部15の破損を防ぐことができ、型枠10の長寿命化を期待できる。ただし圧着板31自体は破損する可能性が高くなるが、圧着板31は単純な構成であるため、その影響は少ない。なお圧着板31についても、その素材は自在に選択可能であり、プラダンのほか、木材などでも構わない。しかも圧着板31は、隣接する型枠10同士の境界を跨ぐように配置することもできる。
【符号の説明】
【0029】
10 型枠
11 板材
12 底部
13 壁部
14 後背部
15 末端部
16 折り目
17 固定穴
21 固定具
22 ワッシャ
31 圧着板
37 固定穴
B 土台部
図1
図2
図3
図4